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JP5370966B2 - 回転陽極型x線管及びx線管装置 - Google Patents
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JP5370966B2 - 回転陽極型x線管及びx線管装置 - Google Patents

回転陽極型x線管及びx線管装置 Download PDF

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Description

この発明は、回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管を備えたX線管装置に関する。
一般に、X線管装置として、回転陽極型のX線管装置が使用されている。回転陽極型のX線管装置は、X線を放射する回転陽極型X線管と、ステータコイルと、これら回転陽極型X線管及びステータコイルを収容した筐体と、を備えている。回転陽極型X線管は、陽極ターゲットと、陰極と、真空外囲器と、を備え、動圧式のすべり軸受を使っている(例えば、特許文献1乃至5参照)。
すべり軸受は、回転軸を中心に回転可能な筒状の回転体と、この回転体の内部に嵌合され、回転体を回転可能に支持する固定シャフトと、回転体及び固定シャフト間の隙間に充填された金属潤滑剤とを有している。固定シャフトの軸受面にらせん溝が形成されている。
上記回転陽極型X線管装置の動作状態において、ステータコイルは回転体に与える磁界を発生するため、回転体及び陽極ターゲットは回転する。また、陰極は陽極ターゲットに対して電子ビームを照射する。これにより、陽極ターゲットは、電子と衝突するときにX線を放出する。
例えば、特許文献1及び2には、動圧式のラジアルすべり軸受を固定体の径小部に形成し、動圧式のスラストすべり軸受を固定体の径大部に形成した回転陽極型X線管が開示されている。
このような構成の回転陽極型X線管は、比較的小さい回転抵抗が得られるので、回転体
及び陽極ターゲットを100rpsを超える回転速度で連続的に又はX線曝射時に高速回転させることができる。たとえば、撮影待機時に50乃至150rpsの間の任意の回転数で常時連続回転させておき、X線曝射によりX線撮影する場合は150乃至190rpsに回転数を上げてX線撮影することができる。このように、必要な時に瞬時にX線曝射可能な高速回転数に上げてX線撮影することができる。そして、このような高速回転でも、回転体の回転軸のずれや傾きの発生が抑制され、安定な動作を得ることができる。
特許第3754512号公報 特開2001−325908号公報 特許第2735417号公報 特許第2714283号公報 特許第2898731号公報
ところで、上記の各特許文献に開示されている回転陽極型X線管は、以下に述べる問題がある。
固定体及び回転体間の隙間は僅か20μm程度であるため、X線管を組み立てる際、隙間(軸受隙間)やらせん溝の一部に空気が残ったり、構成部材からガスが放出される恐れがある。ガスは真空排気時又は真空排気後に膨張するため、ガスとともに金属潤滑剤の一部が軸受外部に噴出してしまう恐れがある。
そこで、特許文献3には、軸受の出口付近に円周溝空間を設け、軸受外部に金属潤滑剤が噴出する際にガスと金属潤滑剤とを分離させる技術が開示されている。また、特許文献4には、軸受外部に噴出する金属潤滑剤を閉じ込めるトラップを設け、金属潤滑剤の真空管内への飛散を抑える技術が開示されている。しかし、特許文献3及び4の何れの技術も、軸受外部に噴出した金属潤滑剤が真空管内に飛散することを完全に(100%)防止する作用があるわけではない。
また、特許文献5には、らせん溝ポンプを軸受出口近傍に設け、軸受外部に噴出しようとする金属潤滑剤を軸受内部に押し戻す技術が開示されている。しかしながら、上記らせん溝ポンプでは、経験的に、金属潤滑剤を軸受内部に押し戻すに十分なポンプ圧力が発生できないものである。
特許文献1の固定体は、ラジアル軸受面を有した径小部と、この径小部と同じ径寸法の他の径小部と、径小部及び他の径小部間に挟持されスラスト軸受面を有した径大部とを備えている。特許文献1の軸受では、上記した軸受内のガスの影響がない場合には問題はないが、軸受内のガスが膨張して金属潤滑材を押し出そうとする場合には金属潤滑材が軸受外部に噴出してしまう恐れがある。
特許文献2の固定体は、ラジアル軸受面を有した径小部と、この径小部より大きい径寸法の他の径小部と、径小部及び他の径小部間に挟持されスラスト軸受面を有した径大部とを備えている。特許文献2の軸受では、上記した軸受内のガスの膨張の有無に関わらず金属潤滑材が軸受外部に噴出してしまう恐れがある。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、固定体及び回転体間の隙間から外部への潤滑剤の噴出を低減できる回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管を備えたX線管装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る回転陽極型X線管は、
円柱状に形成され、一端に第1スラスト軸受面を有し他端に第2スラスト軸受面を有した径大部、前記径大部より外径の小さい円柱状に形成され、前記径大部の一端側に位置し、側面に形成されたラジアル軸受面及び前記ラジアル軸受面から外れた上記側面に位置し前記ラジアル軸受面に比べて窪んで形成された凹部を有した第1径小部、並びに前記径大部より外径の小さい円柱状に形成され、前記径大部の他端側に位置し、前記径大部及び第1径小部とともに同軸的に一体に形成された第2径小部を具備した固定体と、
前記固定体と同軸的に延出して筒状に形成され、前記固定体が内部に嵌合され、前記第1スラスト軸受面に隙間を置いて対向した他の第1スラスト軸受面、前記第2スラスト軸受面に隙間を置いて対向した他の第2スラスト軸受面及び前記ラジアル軸受面に隙間を置いて対向した他のラジアル軸受面を有し、前記固定体を中心に回転可能な回転体と、
前記固定体及び回転体間の隙間に充填され、前記第1スラスト軸受面及び他の第1スラスト軸受面とともに動圧形の第1スラストすべり軸受を形成し、前記第2スラスト軸受面及び他の第2スラスト軸受面とともに動圧形の第2スラストすべり軸受を形成し、前記ラジアル軸受面及び他のラジアル軸受面とともに動圧形のラジアルすべり軸受を形成する潤滑剤と、
前記回転体に固定され、電子が入射されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、
前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、
前記固定体、回転体、陽極ターゲット及び陰極を収容し、前記固定体を固定する真空外囲器と、を備え、
前記固定体は、内部に設けられ前記潤滑剤を収容する少なくとも1つのリザーバと、前記リザーバ及び凹部に開口したダクトと、をさらに有し、
前記第2スラストすべり軸受の内径の最小値は、前記第1スラストすべり軸受の内径の最小値より小さいことを特徴としている。
また、本発明の他の態様に係るX線管装置は、
上記回転陽極型X線管と、
前記回転体に与える磁界を発生して前記回転体及び陽極ターゲットを回転させるコイルと、
前記回転陽極型X線管及びコイルを収容した筐体と、を備えていることを特徴としている。
この発明によれば、固定体及び回転体間の隙間から外部への潤滑剤の噴出を低減できる回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管を備えたX線管装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る回転陽極型X線管を備えたX線管装置を示す断面図である。 図1に示した回転陽極型X線管の一部を拡大して示す断面図である。 図2の線III−IIIに沿った回転陽極型X線管の一部を示す断面図である。 図2に示した第2スラストすべり軸受の内径の値が第1スラストすべり軸受の内径の最小値と等しい場合の上記回転陽極型X線管の一部を示す断面図である。 図2に示した第2スラストすべり軸受の内径の値が第1スラストすべり軸受の内径の最小値より小さい場合の上記回転陽極型X線管の一部を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る回転陽極型X線管を示す断面図である。 図6に示した回転陽極型X線管の一部を拡大して示す断面図である。 図7の線VIII−VIIIに沿った回転陽極型X線管の一部を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る回転陽極型X線管の一部を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る回転陽極型X線管の一部を示す断面図である。
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係る回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管を備えたX線管装置について詳細に説明する。
図1に示すように、回転陽極型X線管装置は、回転陽極型X線管1と、磁界を発生させるコイルとしてのステータコイル2と、回転陽極型X線管1及びステータコイル2を収容した筐体3と、筐体3内に充填された冷却液7とを備えている。
回転陽極型X線管1は、陽極ターゲット50と、陰極60と、真空外囲器70とを備えている。さらに、回転陽極型X線管1は、固定体としての固定シャフト10と、回転体20と、潤滑剤としての液体金属LMとを備え、すべり軸受を使っている。
図1、図2及び図3に示すように、固定シャフト10は、径大部11、第1径小部12及び第2径小部13を具備している。径大部11、第1径小部12及び第2径小部13は、同軸的に一体に形成されている。固定シャフト10は、Fe(鉄)合金やMo(モリブデン)合金等の金属で形成されている。
径大部11は、円柱状に形成され、一端に第1スラスト軸受面S11aを有し他端に第2スラスト軸受面S11bを有している。
第1径小部12は、径大部11より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の一端側に位置している。第1径小部12は、側面に形成されたラジアル軸受面S12a、S12b及び側面を円形枠状に窪めて形成された凹部12a、12b、12cを有している。
ラジアル軸受面S12a、S12bは、固定シャフト10の中心軸に沿った方向に互いに間隔を置いて位置している。凹部12a、12b、12cは、ラジアル軸受面S12a、S12bに比べて窪んでいる。凹部12a、12b、12cは、固定シャフト10の中心軸に沿った方向に互いに間隔を置いて位置し、ラジアル軸受面S12a、S12bから外れている。
上記のように、ラジアル軸受面S12a、S12b及び凹部12a、12b、12cは、それぞれ第1径小部12の側面に全周に亘って形成され、互いに固定シャフト10の中心軸に沿った方向に並んでいる。
第2径小部13は、径大部11及び第1径小部12より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の他端側に位置している。
固定シャフト10は、収容部13aをさらに有している。収容部13aは、後述する第2スラストすべり軸受B2近傍の第2径小部13の側面を円形枠状に窪めて形成されている。収容部13aは、第2スラストすべり軸受B2から押し出された液体金属LMを収容するものである。収容部13aは、液体金属LMが第2スラストすべり軸受B2内に押し戻されるまでの間、液体金属LMを収容する。
固定シャフト10は、少なくとも1つのリザーバと、ダクトとをさらに有している。ここでは、固定シャフト10は、1つのリザーバ15と、複数のダクト16a、16b、16cとを有している。
リザーバ15は、固定シャフト10の内部に設けられ、液体金属LMを収容するものである。リザーバ15は、固定シャフト10の中心軸に沿った方向に第1径小部12を貫通した貫通孔と、径大部11を上記中心軸に沿った方向に窪め上記貫通孔に連通した凹部とで形成されている。上記のように、リザーバ15は、回転体20の一端と対向した第1径小部12の端面に開口している。
ダクト16aは、リザーバ15及び凹部12aに開口した貫通孔を形成している。ダクト16bは、リザーバ15及び凹部12bに開口した貫通孔を形成している。ダクト16cは、リザーバ15及び凹部12cに開口した貫通孔を形成している。ダクト16a、16b、16cは、それぞれ固定シャフト10の中心軸の周りに3つずつ等間隔に形成されている。ダクト16a、16b、16cは、固定シャフト10の中心軸に沿った方向に互いに間隔を置いて位置している。
回転体20は、一端部が閉塞され他端部が円形枠状に窪められた筒状に形成され、固定シャフト10と同軸的に設けられている。回転体20は、回転体20の中心軸に沿った方向に延出している。詳しくは、回転体20は、一端部が閉塞された筒状の本体21と、本体21の他端部に取り外し可能にネジ留めされた蓋部22とで形成されている。蓋部22は、円環部23と筒部24とが一体となって形成されている。回転体20は、Fe合金やMo合金等の金属で形成されている。
本体21の他端部及び円環部23は、凹部20aを形成している。径大部11が凹部20aの内部に嵌合された状態で、固定シャフト10は回転体20の内部に嵌合されている。回転体20は、固定シャフト10を中心に回転可能である。径大部11及び凹部20aは、固定シャフト10及び回転体20の上記中心軸に沿った方向への相対的なズレを規制するものである。
回転体20は、第1スラスト軸受面S11aに隙間を置いて対向した第1スラスト軸受面S21aと、第2スラスト軸受面S11bに隙間を置いて対向した第2スラスト軸受面S23と、ラジアル軸受面S12a、S12bに隙間を置いて対向したラジアル軸受面S21bとを有している。第1スラスト軸受面S21a、第2スラスト軸受面S23及びラジアル軸受面S21bは、回転体20の中心軸に沿った方向に並んでいる。
また、回転体20は、筒部25を有している。筒部25は、本体21の側面と接合され、本体21に固定されている。筒部25は、例えばCu(銅)で形成されている。
固定シャフト10及び回転体20は、全対向領域で、互いに隙間を置いて設けられている。第1スラスト軸受面S11a及び第1スラスト軸受面S21a間の隙間、第2スラスト軸受面S11b及び第2スラスト軸受面S23間の隙間、並びにラジアル軸受面S12a、S12b及びラジアル軸受面S21b間の隙間は、20μm程度である。径大部11及び第1径小部12は回転体20で覆われている。第2径小部13は回転体20の外側に突出している。固定シャフト10は回転体20を回転可能に支持している。
液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20間の隙間に充填されている。詳しくは、液体金属LMは、径大部11及び第1径小部12と、回転体20との間の隙間に充填されている。液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20間の隙間だけでなく、リザーバ15内にも適量充填されている。この実施の形態において、液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20の中心軸が鉛直方向に直交する姿勢で、リザーバ15内に平坦な液面を形成している。すなわち、リザーバ15内は液体金属LMで100%充填されてはおらず、リザーバ15内には一部液体金属LMが充填されていない空間が設けられている。液体金属LMは、GaIn(ガリウム・インジウム)合金又はGaInSn(ガリウム・インジウム・錫)合金等の材料を利用することができる。液体金属LMは、ダクト16a、16b、16cを介して固定シャフト10の内部及び外部に出入り可能である。
液体金属LMは、第1スラスト軸受面S11a及び第1スラスト軸受面S21aとともに動圧形の第1スラストすべり軸受B1を形成している。液体金属LMは、第2スラスト軸受面S11b及び第2スラスト軸受面S23とともに動圧形の第2スラストすべり軸受B2を形成している。液体金属LMは、ラジアル軸受面S12a及びラジアル軸受面S21bとともに動圧形の第1ラジアルすべり軸受B3を形成している。液体金属LMは、ラジアル軸受面S12b及びラジアル軸受面S21bとともに動圧形の第2ラジアルすべり軸受B4を形成している。
第2スラストすべり軸受B2の内径の最小値D2は、第1スラストすべり軸受B1の内径の最小値D1より小さい。
陽極ターゲット50は、円盤状に形成され、固定シャフト10及び回転体20と同軸的に設けられている。陽極ターゲット50は、継手40を介して回転体20の一端部に固定されている。陽極ターゲット50は、陽極本体51と、陽極本体51の外面の一部に設けられたターゲット層52とを有している。陽極ターゲット50は、回転体20とともに回転可能である。陽極ターゲット50は、ターゲット層52に電子が入射されることによりX線を放出するものである。
陰極60は、陽極ターゲット50のターゲット層52に間隔を置いて対向配置されている。陰極60は、真空外囲器70の内壁に取付けられている。陰極60は、ターゲット層52に照射する電子を放出する電子放出源としてのフィラメント61を有している。
真空外囲器70は、円筒状に形成されている。真空外囲器70はガラス及び金属で形成されている。真空外囲器70において、陽極ターゲット50と対向した個所の径は、回転体20と対向した個所の径より大きい。真空外囲器70は開口部71を有している。真空外囲器70は、密閉され、固定シャフト10、回転体20、陽極ターゲット50及び陰極60等を収容している。真空外囲器70の内部は真空状態に維持されている。
真空外囲器70の密閉状態を維持するよう、開口部71は、固定シャフト10の他端部に密着している。この実施の形態において、回転陽極型X線管1は、片端支持軸受構造を採用している。真空外囲器70は、固定シャフト10の第2径小部13を固定し、第1径小部12を支持していない。すなわち、第2径小部13は、軸受の片持ち支持部として機能している。
ステータコイル2は、回転体20の側面、より詳しくは筒部25の側面に対向して真空外囲器70の外側を囲むように設けられている。ステータコイル2の形状は環状である。
筐体3は、陰極60と対向したターゲット層52付近にX線を透過させるX線透過窓3aを有している。筐体3の内部には、回転陽極型X線管1及びステータコイル2が収容されている他、冷却液7が充填されている。
上記のように回転陽極型X線管1を備えたX線管装置が形成されている。
上記X線管装置の動作状態において、ステータコイル2は回転体20(特に筒部25)に与える磁界を発生するため、回転体20は回転する。これにより、陽極ターゲット50は回転する。ここで、上記X線管装置の動作状態において、撮影時の陽極ターゲット50(回転体20)の回転数は180rpsであるが、待機時の陽極ターゲット50の回転数は150rpsである。陽極ターゲット50が回転する時間的には150rpsの回転数で回転している時間の方が長い。また、陰極60に相対的に負の電圧が印加され、陽極ターゲット50に相対的に正の電圧が印加される。
これにより、陰極60及び陽極ターゲット50間に電位差が生じる。このため、フィラメント61は、電子を放出すると、この電子は、加速され、ターゲット層52に衝突される。これにより、ターゲット層52は、電子と衝突するときにX線を放出し、放出されたX線は真空外囲器70及びX線透過窓3aを透過し、筐体3の外部に放出される。
次に、上記回転陽極型X線管1により、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を低減できる原理について説明する。
第1径小部12の端面は、軸受面ではないが、この端面と回転体との隙間に充満した液体金属LMにも遠心力が働くため、液体金属LMは、ラジアル軸受面S12a、S12b及びラジアル軸受面S21b間の隙間へと移動する。しかし移動した液体金属LMはダクト16a、16b、16cを経由してリザーバ15内に収容される。
また、回転陽極型X線管1の姿勢にもよるが、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間が空になると、この空の隙間にリザーバ15から液体金属LMが供給される。いずれにしても、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間に充満した液体金属LMに働く遠心力による圧力が、第1スラストすべり軸受B1及び第2スラストすべり軸受B2が形成されている径大部11及び凹部20a間の隙間に充満した液体金属LMに影響を及ぼすことはない。
言い換えると、固定シャフト10に設けられたリザーバ15及びダクト16a、16b、16cにより、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間に充満した液体金属LMに働く遠心力に起因した、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部(真空外囲器70内)への液体金属LMの噴出を防止することができる。
従って、遠心力の影響によって固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部に液体金属LMが噴出するか(漏れ出すか)どうかは、第1スラストすべり軸受B1及び第2スラストすべり軸受B2の構造にのみ依存して決まる。
図4に示すように、固定シャフト10及び回転体20間にガスが発生しない場合、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMの内径の値は、第1スラストすべり軸受B1の液体金属LMの内径の最小値D1と等しくなる。
図5に示すように、固定シャフト10及び回転体20間にガスが発生してLMを軸受外部に押し出そうとした場合、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMの内径の値は、第1スラストすべり軸受B1の液体金属LMの内径の最小値D1より小さくなる。
第1スラストすべり軸受B1の液体金属LMに最大に働く遠心力と、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMに最大に働く遠心力とに差が生じるため、遠心力差により、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部に噴出しようとする液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20間の隙間内に押し戻される。
上記遠心力差は、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMの内径が最小値D2となる場合に最も大きい。この場合の遠心力差に基づく圧力をP1とする。言い換えると、圧力P1は、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMの内径の最小値D2の位置に存在する液体金属LMに働く遠心力と、第1スラストすべり軸受B1の液体金属LMの内径の最小値D1の位置に存在する液体金属LMに働く遠心力との差に基づいている。また、固定シャフト10及び回転体20間にガスが発生した場合のガスの圧力をP2とする。すると、P2<P1であれば、ガスが発生しても、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を防止することができる。
ここで、本願発明者等は、第1スラストすべり軸受B1の内径の最小値D1が30.00mmの場合に、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を防止できる第2スラストすべり軸受B2の内径の最小値D2の寸法を変化させて実験を試みた結果、D2≦29.6mmであれば実用上の液体金属LMの噴出防止効果があることが分かった。
また、上記圧力P1は、次の式で表される。
P1=1/3・ρ・D2・(D1−D2)・ω/4 …(1)
ここで、ρ=6700kg/m、D1=30mm、D2=29.6mm、ω=2π・ν=2π・150とする。これらを上記式(1)に代入すると、上記圧力P1は、次の値となる。
P1=0.33×6700×29.6×0.4×(2π・150)/4/1000000=5871Pa
また、D1=30mm、D2=29.6mmの場合、D2・(D1−D2)は次の値となる。
D2・(D1−D2)=11.8mm
この結果、圧力P1が6547Pa(約0.065気圧)以上であれば、実用上の液体金属LMの噴出防止効果があるものと推測される。言い方を換えると、D2・(D1−D2)≧11.8であれば、実用上の液体金属LMの噴出防止効果があるものと推測される。なお、液体金属LMの噴出防止効果を一層得るため、D2・(D1−D2)>12であった方が好ましい。
上記のように構成された第1の実施の形態に係る回転陽極型X線管1及びX線管装置によれば、回転陽極型X線管1は、固定シャフト10と、回転体20と、液体金属LMと、陽極ターゲット50と、陰極60と、真空外囲器70と、を備えている。
固定シャフト10は、円柱状に形成され、第1スラスト軸受面S11a及び第2スラスト軸受面S11bを有した径大部11と、径大部11より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の一端側に位置し、ラジアル軸受面S12a、S12b及び凹部12a、12b、12cを有した第1径小部12と、径大部11より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の他端側に位置し、径大部11及び第1径小部12とともに同軸的に一体に形成された第2径小部13と、を具備している。
回転体20は、固定シャフト10と同軸的に延出して筒状に形成され、固定シャフト10が内部に嵌合され、第1スラスト軸受面S21a、第2スラスト軸受面S23及びラジアル軸受面S21bを有し、固定シャフト10を中心に回転可能である。
固定シャフト10、回転体20及び液体金属LMは、第1スラストすべり軸受B1、第2スラストすべり軸受B2、第1ラジアルすべり軸受B3及び第2ラジアルすべり軸受B4を形成している。固定シャフト10はリザーバ15及びダクト16a、16b、16cをさらに有している。
第2スラストすべり軸受B2の内径の最小値D2は、第1スラストすべり軸受B1の内径の最小値D1より小さい。第1スラストすべり軸受B1、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMに最大で圧力P1を加えることができるため、固定シャフト10及び回転体20間にガスが発生して液体金属LMにガスの圧力P2が加わっても、P2<P1であれば、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を防止することができる。
仮に、圧力P2が圧力P1を超え(P1<P2)、第2スラストすべり軸受B2から液体金属LMが押し出されても、収容部13aは、押し出された液体金属LMを収容することができる。このため、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を低減することができる。外部へ押し出された液体金属LMとともに排出されたガスは収容部13aを通って真空管内へと放出され、圧力P2が低下する。そして、圧力P1及び圧力P2の関係が、P2<P1となれば、収容部13aに一時的に収容された液体金属LMを、遠心力の作用により第2スラストすべり軸受B2へと押し戻すことができる。
第1径小部12の端面と回転体20との隙間に充満した液体金属LMに遠心力が働くと、液体金属LMは、ラジアル軸受面S12a、S12b及びラジアル軸受面S21b間の隙間へと移動するが、液体金属LMはダクト16a、16b、16cを経由してリザーバ15内に収容される。リザーバ15内は液体金属LMで100%充填されていないため、上記のようにリザーバ15は液体金属LMを収容することができる。
このため、固定シャフト10に設けられたリザーバ15及びダクト16a、16b、16cにより、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間に充満した液体金属LMに働く遠心力に起因した、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部(真空外囲器70内)への液体金属LMの噴出を防止することができる。上記したことから、上記回転陽極型X線管1は、真空外囲器70内への液体金属LMの噴出を低減できるため、製品寿命の長期化を図ることができ、製品信頼性の向上を図ることができる。
上記したことから、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を低減できる回転陽極型X線管1及びX線管装置を得ることができる。
次に、この発明の第2の実施の形態に係る回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管を備えたX線管装置について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6に示すように、回転陽極型X線管1は、陽極ターゲット50と、陰極60と、真空外囲器70とを備えている。さらに、回転陽極型X線管1は、固定体としての固定シャフト10と、回転体20と、潤滑剤としての液体金属LMとを備え、すべり軸受を使っている。
図6、図7及び図8に示すように、固定シャフト10は、径大部11、第1径小部12及び第2径小部13の他、第3径小部14をさらに具備している。径大部11、第1径小部12、第2径小部13及び第3径小部14は、同軸的に一体に形成されている。
径大部11は、円柱状に形成され、第1スラスト軸受面S11a及び第2スラスト軸受面S11bを有している。
第1径小部12は、径大部11より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の一端側に位置している。第1径小部12は、ラジアル軸受面S12a、S12b及び凹部12a、12b、12cを有している。
第2径小部13は、径大部11及び第1径小部12より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の他端側に位置している。
第3径小部14は、第1径小部12より外径の小さい円柱状に形成され、第1径小部12の一端側に位置している。詳しくは、第3径小部14の外径は、凹部12aの外径より小さい。この実施の形態において、固定シャフト10は、上述した第1の実施の形態で示した収容部13aを有していないが、収容部13aを有していてもよい。
固定シャフト10は、少なくとも1つのリザーバと、ダクトとをさらに有している。ここでは、固定シャフト10は、3つのリザーバ15と、複数のダクト16a、16b、16cとを有している。
リザーバ15は、固定シャフト10の内部に設けられ、液体金属LMを収容するものである。リザーバ15は、固定シャフト10の中心軸に沿った方向に第1径小部12を貫通した貫通孔と、上記中心軸に沿った方向に第3径小部14を貫通した貫通孔とが連通して形成されている。リザーバ15は、固定シャフト10の中心軸の周りに等間隔に形成されている。第3径小部14の一端面に開口したリザーバ15の開口部は、封止材17で封止されている。
ダクト16aは、リザーバ15及び凹部12aに開口した貫通孔を形成している。ダクト16bは、リザーバ15及び凹部12bに開口した貫通孔を形成している。ダクト16cは、リザーバ15及び凹部12cに開口した貫通孔を形成している。ダクト16a、16b、16cは、それぞれ固定シャフト10の中心軸の周りに3つずつ等間隔に形成されている。
固定シャフト10は、リザーバ15及びダクト16a、16b、16cから外れて内部を中心軸に沿って貫通し、両端部に開口して形成された貫通孔10aをさらに有している。ここで、貫通孔10aが形成された円柱状の固定シャフト10を、筒状の固定シャフト10と言い換えることができる。貫通孔10aは、冷却液7の流路として利用できるため、回転陽極型X線管1の発熱部の冷却率を向上させることができる。
回転体20は、両端部が円形枠状に窪められた筒状に形成され、固定シャフト10と同軸的に設けられている。回転体20は、回転体20の中心軸に沿った方向に延出している。詳しくは、回転体20は、筒状の本体21と、本体21の他端部に取り外し可能にネジ留めされた蓋部22とで形成されている。蓋部22は、円環部23と筒部24とが一体となって形成されている。
本体21の他端部及び円環部23は、凹部20aを形成している。径大部11が凹部20aの内部に嵌合された状態で、固定シャフト10は回転体20の内部に嵌合されている。回転体20は、固定シャフト10を中心に回転可能である。回転体20は、第1スラスト軸受面S21aと、第2スラスト軸受面S23と、ラジアル軸受面S21bとを有している。
固定シャフト10及び回転体20は、全対向領域で、互いに隙間を置いて設けられている。第1スラスト軸受面S11a及び第1スラスト軸受面S21a間の隙間、第2スラスト軸受面S11b及び第2スラスト軸受面S23間の隙間、並びにラジアル軸受面S12a、S12b及びラジアル軸受面S21b間の隙間は、20μm程度である。径大部11及び第1径小部12は回転体20で覆われている。
第2径小部13及び第3径小部14は、回転体20の外側に突出している。固定シャフト10は回転体20を回転可能に支持している。
液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20間の隙間に充填されている。詳しくは、液体金属LMは、径大部11及び第1径小部12と、回転体20との間の隙間に充填されている。液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20間の隙間だけでなく、リザーバ15内にも適量充填されている。この実施の形態において、液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20の中心軸が鉛直方向に直交する姿勢で、少なくとも1つのリザーバ15内に平坦な液面を形成している。すなわち、少なくとも1つのリザーバ15内は液体金属LMで100%充填されてはおらず、少なくとも1つのリザーバ15内には一部液体金属LMが充填されていない空間が設けられている。
液体金属LMは、第1スラスト軸受面S11a及び第1スラスト軸受面S21aとともに動圧形の第1スラストすべり軸受B1を形成している。液体金属LMは、第2スラスト軸受面S11b及び第2スラスト軸受面S23とともに動圧形の第2スラストすべり軸受B2を形成している。液体金属LMは、ラジアル軸受面S12a及びラジアル軸受面S21bとともに動圧形の第1ラジアルすべり軸受B3を形成している。液体金属LMは、ラジアル軸受面S12b及びラジアル軸受面S21bとともに動圧形の第2ラジアルすべり軸受B4を形成している。
第2スラストすべり軸受B2の内径の最小値D2は、第1スラストすべり軸受B1の内径の最小値D1より小さい。
陽極ターゲット50は、円環状に形成され、固定シャフト10及び回転体20と同軸的に設けられている。陽極ターゲット50は、フランジ80を介して回転体20の一端部に固定されている。なお、フランジ80は、陽極本体51と同一材料で一体に形成されている。陽極ターゲット50は、回転体20とともに回転可能である。陽極ターゲット50は、ターゲット層52に電子が入射されることによりX線を放出するものである。
陰極60は、陽極ターゲット50のターゲット層52に間隔を置いて対向配置されている。陰極60は、真空外囲器70の内壁に取付けられている。陰極60は、フィラメント61を有している。
真空外囲器70は、円筒状に形成されている。真空外囲器70はガラス及び金属で形成されている。真空外囲器70は開口部71、72を有している。真空外囲器70は、密閉され、固定シャフト10、回転体20、陽極ターゲット50及び陰極60等を収容している。真空外囲器70の内部は真空状態に維持されている。
真空外囲器70の密閉状態を維持するよう、開口部71は、固定シャフト10の他端部に密着し、開口部72は、固定シャフト10の一端部に密着している。この実施の形態において、回転陽極型X線管1は、両端支持軸受構造を採用している。真空外囲器70は、固定シャフト10の第2径小部13及び第3径小部14を固定している。すなわち、第2径小部13及び第3径小部14は、軸受の両持ち支持部として機能している。
次に、上記回転陽極型X線管1により、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を低減できる原理について説明する。
第1径小部12の端面は、軸受面ではないが、この端面と回転体20との隙間に充満した液体金属LMにも遠心力が働くため、液体金属LMは、ラジアル軸受面S12a、S12b及びラジアル軸受面S21b間の隙間へと移動する。しかし移動した液体金属LMはダクト16a、16b、16cを経由してリザーバ15内に収容される。
また、回転陽極型X線管1の姿勢にもよるが、回転体20の回転時、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間は空になる。このため、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間に充満した液体金属LMに働く遠心力による圧力が、第1スラストすべり軸受B1及び第2スラストすべり軸受B2が形成されている径大部11及び凹部20a間の隙間に充満した液体金属LMに影響を及ぼすことはない。
言い換えると、固定シャフト10に設けられたリザーバ15及びダクト16a、16b、16cにより、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間に充満した液体金属LMに働く遠心力に起因した、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部(真空外囲器70内)への液体金属LMの噴出を防止することができる。
従って、遠心力の影響によって固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部に液体金属LMが噴出するか(漏れ出すか)どうかは、第1スラストすべり軸受B1及び第2スラストすべり軸受B2の構造にのみ依存して決まる。
ここで、上記X線管装置の動作状態において、撮影時の陽極ターゲット50(回転体20)の回転数は180rpsであるが、待機時の陽極ターゲット50の回転数は150rpsである。陽極ターゲット50が回転する時間的には150rpsの回転数で回転している時間の方が長い。
この実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同様、固定シャフト10及び回転体20間にガスが発生しない場合、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMの内径の値は第1スラストすべり軸受B1の液体金属LMの内径の最小値D1と等しくなり、固定シャフト10及び回転体20間にガスが発生してLMを軸受外部に押し出そうとした場合、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMの内径の値は第1スラストすべり軸受B1の液体金属LMの内径の最小値D1より小さくなる(図4及び図5参照)。
第1スラストすべり軸受B1の液体金属LMに最大に働く遠心力と、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMに最大に働く遠心力とに差が生じるため、遠心力差により、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部に噴出しようとする液体金属LMは、固定シャフト10及び回転体20間の隙間内に押し戻される。
上記遠心力差は、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMの内径が最小値D2となる場合に最も大きい。この実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同様、ρ=6700kg/m、D1=30mm、D2=29.6mm、ω=2π・ν=2π・150とすると、圧力P1が5871Pa(約0.058気圧)以上であれば、実用上の液体金属LMの噴出防止効果があるものと推測される。言い方を換えると、D2・(D1−D2)≧11.8であれば、実用上の液体金属LMの噴出防止効果があるものと推測される。なお、液体金属LMの噴出防止効果を一層得るため、D2・(D1−D2)>12であった方が好ましい。
上記のように構成された第2の実施の形態に係る回転陽極型X線管1及びX線管装置によれば、回転陽極型X線管1は、固定シャフト10と、回転体20と、液体金属LMと、陽極ターゲット50と、陰極60と、真空外囲器70と、を備えている。
固定シャフト10は、円柱状に形成され、第1スラスト軸受面S11a及び第2スラスト軸受面S11bを有した径大部11と、径大部11より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の一端側に位置し、ラジアル軸受面S12a、S12b及び凹部12a、12b、12cを有した第1径小部12と、径大部11より外径の小さい円柱状に形成され、径大部11の他端側に位置し、径大部11及び第1径小部12とともに同軸的に一体に形成された第2径小部13と、を具備している。固定シャフト10は、第1径小部12より外径の小さい円柱状に形成され、第1径小部12の一端側に位置し、第1径小部12と同軸的に一体に形成された第3径小部14をさらに具備している。
回転体20は、固定シャフト10と同軸的に延出して筒状に形成され、固定シャフト10が内部に嵌合され、第1スラスト軸受面S21a、第2スラスト軸受面S23及びラジアル軸受面S21bを有し、固定シャフト10を中心に回転可能である。
固定シャフト10、回転体20及び液体金属LMは、第1スラストすべり軸受B1、第2スラストすべり軸受B2、第1ラジアルすべり軸受B3及び第2ラジアルすべり軸受B4を形成している。固定シャフト10はリザーバ15及びダクト16a、16b、16cをさらに有している。
第2スラストすべり軸受B2の内径の最小値D2は、第1スラストすべり軸受B1の内径の最小値D1より小さい。第1スラストすべり軸受B1、第2スラストすべり軸受B2の液体金属LMに最大で圧力P1を加えることができるため、固定シャフト10及び回転体20間にガスが発生して液体金属LMにガスの圧力P2が加わっても、P2<P1であれば、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を防止することができる。
第1径小部12の端面と回転体20との隙間に充満した液体金属LMに遠心力が働くと、液体金属LMは、ラジアル軸受面S12a、S12b及びラジアル軸受面S21b間の隙間へと移動するが、液体金属LMはダクト16a、16b、16cを経由してリザーバ15内に収容される。少なくとも1つのリザーバ15内は液体金属LMで100%充填されていないため、上記のようにリザーバ15は液体金属LMを収容することができる。
このため、固定シャフト10に設けられたリザーバ15及びダクト16a、16b、16cにより、第1径小部12の端面及び回転体20間の隙間に充満した液体金属LMに働く遠心力に起因した、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部(真空外囲器70内)への液体金属LMの噴出を防止することができる。上記したことから、上記回転陽極型X線管1は、真空外囲器70内への液体金属LMの噴出を低減できるため、製品寿命の長期化を図ることができ、製品信頼性の向上を図ることができる。
上記したことから、固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を低減できる回転陽極型X線管1及びX線管装置を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施の形態に係る回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管を備えたX線管装置について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9に示すように、回転陽極型X線管1は、支持部材100をさらに備えている。支持部材100は、第2径小部13より外径の大きい円筒状に形成され、一端が閉塞されている。支持部材100は、支持部材100内部の底面と、支持部材100の外面とに開口するよう貫通したガス抜き孔100aを有している。支持部材100は、第2径小部13の端部に締り嵌めにより取付けられている。
この実施の形態において、回転陽極型X線管1は、片端支持軸受構造を採用している。図示しないが、真空外囲器70は、支持部材100を介して第2径小部13を固定し、第1径小部12を支持していない。すなわち、支持部材100は、軸受の片持ち支持部として機能している。
上記のように構成された第3の実施の形態に係る回転陽極型X線管1及びX線管装置は、上述した第1の実施の形態に係る回転陽極型X線管1及びX線管装置と同様の効果を得ることができる。固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を低減できる回転陽極型X線管1及びX線管装置を得ることができることは言うまでもない。
回転体20の内部に固定シャフト10を嵌合する際、本体21内に固定シャフト10を差し込んだ後、蓋部22を本体21にネジ留めするため、第2径小部13自体の外径を大きくすることはできない。
そこで、回転陽極型X線管1は支持部材100を備え、軸受の支持部の外径を大きくしている。支持部材100は第2径小部13に強固に取付けられる。このため、第2径小部13を固定する強度を向上することができる。支持部材100を用いる場合は、回転陽極型X線管1が小型の場合、すなわち、第2径小部13の外径が小さい場合に好適である。
次に、この発明の第4の実施の形態に係る回転陽極型X線管及び回転陽極型X線管を備えたX線管装置について詳細に説明する。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第2の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図10に示すように、回転陽極型X線管1は、支持部材110をさらに備えている。支持部材110は、第2径小部13より外径の大きい円筒状に形成されている。支持部材110は、第2径小部13の端部に締り嵌めにより取付けられている。
支持部材110の端面には、この端面を円形枠状に窪めた溝110aが形成されている。同様に、第2径小部13の端面には、この端面を円形枠状に窪めた溝13bが形成されている。溝110a及び溝13bで挟まれた領域の支持部材110及び第2径小部13は溶接されている。
この実施の形態において、回転陽極型X線管1は、両端支持軸受構造を採用している。図示しないが、真空外囲器70は、支持部材110を介して第2径小部13を固定し、さらに第1径小部12を固定している。すなわち、支持部材110は、軸受の支持部として機能している。
上記のように構成された第4の実施の形態に係る回転陽極型X線管1及びX線管装置は、上述した第2の実施の形態に係る回転陽極型X線管1及びX線管装置と同様の効果を得ることができる。固定シャフト10及び回転体20間の隙間から外部への液体金属LMの噴出を低減できる回転陽極型X線管1及びX線管装置を得ることができることは言うまでもない。
回転体20の内部に固定シャフト10を嵌合する際、本体21内に固定シャフト10を差し込んだ後、蓋部22を本体21にネジ留めするため、第2径小部13自体の外径を大きくすることはできない。
そこで、回転陽極型X線管1は支持部材110を備え、軸受の支持部の外径を大きくしている。支持部材110は第2径小部13に強固に取付けられる。このため、第2径小部13を固定する強度を向上することができる。支持部材110を用いる場合は、回転陽極型X線管1が小型の場合、すなわち、第2径小部13の外径が小さい場合に好適である。
また、この実施の形態において、第2径小部13にのみ支持部材110を締り嵌めにより取付けたが、これに限らず、第3径小部14にも支持部材110を締り嵌めにより取付けてもよい。これにより、固定シャフト10を固定する強度を向上することができる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
この発明は、上記回転陽極型X線管1及びX線管装置に限らず、各種の回転陽極型X線管及びX線管装置に適用することができる。
1…回転陽極型X線管、2…ステータコイル、3…筐体、7…冷却液、10…固定シャフト、11…径大部、12…第1径小部、12a,12b,12c…凹部、13…第2径小部、13a…収容部、14…第3径小部、15…リザーバ、16a,16b,16c…ダクト、20…回転体、20a…凹部、21…本体、22…蓋部、50…陽極ターゲット、51…陽極本体、52…ターゲット層、60…陰極、61…フィラメント、70…真空外囲器、100,110…支持部材、LM…液体金属、S11a…第1スラスト軸受面、S11b…第2スラスト軸受面、S12a,S12b…ラジアル軸受面、S21a…第1スラスト軸受面、S23…第2スラスト軸受面、S21b…ラジアル軸受面、B1…第1スラストすべり軸受、B2…第2スラストすべり軸受、B3…第1ラジアルすべり軸受、B4…第2ラジアルすべり軸受、D1,D2…内径の最小値。

Claims (11)

  1. 円柱状に形成され、一端に第1スラスト軸受面を有し他端に第2スラスト軸受面を有した径大部、前記径大部より外径の小さい円柱状に形成され、前記径大部の一端側に位置し、側面に形成されたラジアル軸受面及び前記ラジアル軸受面から外れた上記側面に位置し前記ラジアル軸受面に比べて窪んで形成された凹部を有した第1径小部、並びに前記径大部より外径の小さい円柱状に形成され、前記径大部の他端側に位置し、前記径大部及び第1径小部とともに同軸的に一体に形成された第2径小部を具備した固定体と、
    前記固定体と同軸的に延出して筒状に形成され、前記固定体が内部に嵌合され、前記第1スラスト軸受面に隙間を置いて対向した他の第1スラスト軸受面、前記第2スラスト軸受面に隙間を置いて対向した他の第2スラスト軸受面及び前記ラジアル軸受面に隙間を置いて対向した他のラジアル軸受面を有し、前記固定体を中心に回転可能な回転体と、
    前記固定体及び回転体間の隙間に充填され、前記第1スラスト軸受面及び他の第1スラスト軸受面とともに動圧形の第1スラストすべり軸受を形成し、前記第2スラスト軸受面及び他の第2スラスト軸受面とともに動圧形の第2スラストすべり軸受を形成し、前記ラジアル軸受面及び他のラジアル軸受面とともに動圧形のラジアルすべり軸受を形成する潤滑剤と、
    前記回転体に固定され、電子が入射されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、
    前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、
    前記固定体、回転体、陽極ターゲット及び陰極を収容し、前記固定体を固定する真空外囲器と、を備え、
    前記固定体は、内部に設けられ前記潤滑剤を収容する少なくとも1つのリザーバと、前記リザーバ及び凹部に開口したダクトと、をさらに有し、
    前記第2スラストすべり軸受の内径の最小値は、前記第1スラストすべり軸受の内径の最小値より小さいことを特徴とする回転陽極型X線管。
  2. 前記第1スラストすべり軸受の内径の最小値をD1、前記第2スラストすべり軸受の内径の最小値をD2とすると、
    D2・(D1−D2)>11.8mmであることを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管。
  3. 前記固定体及び回転体の中心軸が鉛直方向に直交する姿勢で、前記潤滑剤は、前記少なくとも1つのリザーバ内に平坦な液面を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転陽極型X線管。
  4. 前記固定体は、前記第2スラストすべり軸受近傍の前記第2径小部の側面を窪めて形成され前記第2スラストすべり軸受から押し出された前記潤滑剤を収容する収容部をさらに有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転陽極型X線管。
  5. 前記回転体は、一端が閉塞して形成され、
    前記第1径小部は、前記回転体で覆われ、
    前記第2径小部は、前記回転体の外側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管。
  6. 前記リザーバは、前記回転体の一端と対向した前記第1径小部の端面に開口していることを特徴とする請求項5に記載の回転陽極型X線管。
  7. 前記固定体は、前記第1径小部より外径の小さい円柱状に形成され、前記第1径小部の一端側に位置し、前記第1径小部と同軸的に一体に形成された第3径小部をさらに具備し、
    前記第1径小部は、前記回転体で覆われ、
    前記第2径小部及び第3径小部は、それぞれ前記回転体の外側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管。
  8. 前記固定体は、前記リザーバ及びダクトから外れて内部を中心軸に沿って貫通し、両端部に開口して形成された貫通孔をさらに有していることを特徴とする請求項7に記載の回転陽極型X線管。
  9. 前記第2径小部の端部に締り嵌めにより取付けられ、前記第2径小部より外径の大きい円筒状に形成されている支持部材をさらに備えていることを特徴とする請求項5又は7に記載の回転陽極型X線管。
  10. 前記ラジアル軸受面及び凹部は、それぞれ前記第1径小部の側面に全周に亘って形成され、互いに前記固定体の中心軸に沿った方向に並んでいることを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の回転陽極型X線管と、
    前記回転体に与える磁界を発生して前記回転体及び陽極ターゲットを回転させるコイルと、
    前記回転陽極型X線管及びコイルを収容した筐体と、を備えていることを特徴とするX線管装置。
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