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JP5372811B2 - ワンウェイクラッチ - Google Patents
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本発明は、アウター部材の内周面とインナー部材の外周面との間に形成される空間に配置した複数のローラをスプリングで円周方向一方に付勢し、前記アウター部材および前記インナー部材の所定の方向への相対回転により前記ローラを前記アウター部材の内周面と前記インナー部材の外周面との間に噛み込ませてトルクを伝達するワンウェイクラッチに関する。
お互いの端部を突き合わせた状態で同軸上に配置した入力軸および出力軸の対向する端部の外周にコイルスプリングを巻き付け、入力軸の一方向の回転によりコイルスプリングを縮径して入力軸から出力軸への動力伝達を可能にするとともに、入力軸に過大なトルクが入力した場合にコイルスプリングの内周面と出力軸の外周面とをスリップさせてトルクリミット機能を発揮させるワンウェイクラッチにおいて、コイルスプリングの最小締まり径を変化させることでトルクミット値を調整するものが、下記特許文献1により公知である。
特許3071389号公報
ところで、アウター部材とインナー部材との間にスプリングで付勢された多数のローラを配置したワンウェイクラッチは、その係合時にアウター部材とインナー部材とで形成される楔状の空間にローラが噛み込んでトルク伝達を行うようになっている。しかしながら、発明の詳細な説明の欄で詳述するように、ワンウェイクラッチに過大なトルクが入力すると、アウター部材およびインナー部材とローラとの間に作用する摩擦でローラを噛み込み位置に保持しようとする荷重よりも、楔状の空間からロータを押し出そうとする荷重の方が大きくなり、その瞬間にローラが高速で弾き出されるポップアウト現象が発生する場合がある。このポップアウト現象が発生すると、衝撃で損傷したローラの破片やローラが衝突した相手部材の破片が飛び散り、ワンウェイクラッチに大きな損傷を与える可能性がある。特に、複数のワンウェイクラッチを並置して使用する場合には、損傷したワンウェイクラッチの破片が隣接するワンウェイクラッチを損傷させることで、被害が更に拡大する可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、過大なトルクの入力時におけるワンウェイクラッチの損傷を最小限に抑えることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、アウター部材の内周面とインナー部材の外周面との間に形成される空間に配置した複数のローラをスプリングで円周方向一方に付勢し、前記アウター部材および前記インナー部材の所定の方向への相対回転により前記ローラを前記アウター部材の内周面と前記インナー部材の外周面との間に噛み込ませてトルクを伝達するワンウェイクラッチにおいて、前記アウター部材に所定値以上の荷重の入力により破断する脆弱部を設けたことを特徴とするワンウェイクラッチが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ワンウェイクラッチは複数個が並置されており、前記アウター部材に接続された駆動力入力部材にそれぞれ設けられた歪み検出手段の検出値を比較することで、前記アウター部材の破断を判定する破断判定手段を備えることを特徴とするワンウェイクラッチが提案される。
尚、実施の形態のコネクティングロッド19は本発明の駆動力入力部材に対応し.実施の形態のノッチ22aは本発明の脆弱部に対応し、実施の形態の歪みゲージ26は本発明の歪み検出手段に対応し、実施の形態の電子制御ユニットUは本発明の破断判定手段に対応する。
請求項1の構成によれば、アウター部材の内周面とインナー部材の外周面との間に形成される空間に配置した複数のローラをスプリングで円周方向一方に付勢したので、アウター部材およびインナー部材が所定の方向に相対回転すると、アウター部材の内周面とインナー部材の外周面との間にローラが噛み込んでワンウェイクラッチが係合する。ワンウェイクラッチが係合した状態でアウター部材またはインナー部材に所定値以上の荷重が入力すると、アウター部材の脆弱部が破断してトルクの伝達が遮断されるので、ローラのポップアウトを未然に防止してワンウェイクラッチの損傷を最小限に抑えることができる。
また請求項2の構成によれば、複数個が並置されたワンウェイクラッチのアウター部材に接続された駆動力入力部材の歪みを歪み検出手段で検出し、それらの歪みを比較することでアウター部材の破断を判定するので、アウター部材の破断を精度良く判定することができる。
無段変速機の全体側面図(TOP状態)。 同じく無段変速機の全体側面図(LOW状態)。 図1の3−3線断面図。 TOP状態での作用説明図。 LOW状態での作用説明図。 係合状態にあるワンウェイクラッチの要部拡大図。 ワンウェイクラッチの伝達トルクと角度αとの関係を示すグラフ。 コネクティングロッドの歪みゲージ出力波形を示す図。
以下、図1〜図8に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1および図3に示すように、本実施の形態の無段変速機Tは同一構造を有する複数個(実施の形態では4個)の変速ユニット10…を軸方向に重ね合わせたもので、それらの変速ユニット10…は平行に配置された共通の入力軸11および共通の出力軸12を備えており、入力軸11の回転が減速または増速されて出力軸12に伝達される。
以下、代表として一つの変速ユニット10の構造を説明する。エンジンのような駆動源13に接続されて回転する入力軸11は、電動モータのような変速アクチュエータ14の中空の回転軸14aの内部を相対回転自在に貫通する。変速アクチュエータ14のロータ14bは回転軸14aに固定されており、ステータ14cはケーシングに固定される。変速アクチュエータ14の回転軸14aは、駆動源13の入力軸11と同速度で回転可能であり、かつ入力軸11に対して異なる速度で相対回転可能である。
変速アクチュエータ14の回転軸14aを貫通した入力軸11には第1ピニオン15が固定されており、この第1ピニオン15を跨ぐように変速アクチュエータ14の回転軸14aにクランク状のキャリヤ16が接続される。第1ピニオン15と同径の2個の第2ピニオン17,17が、第1ピニオン15と協働して正三角形を構成する位置にそれぞれピニオンピン16a,16aを介して支持されており、これら第1ピニオン15および第2ピニオン17,17に、円板形の偏心ディスク18の内部に偏心して形成されたリングギヤ18aが噛合する。偏心ディスク18の外周面に、コネクティングロッド19のロッド部19aの一端に設けたリング部19bがボールベアリング20を介して相対回転自在に嵌合する。
出力軸12の外周に設けられたワンウェイクラッチ21は、コネクティングロッド19のロッド部19aにピン19cを介して枢支されたリング状のアウター部材22と、アウター部材22の内部に配置されて出力軸12に固定されたインナー部材23と、アウター部材22の内周の円弧面とインナー部材23の外周の平面との間に形成された楔状の空間に配置されてスプリング24…で付勢されたローラ25…とを備える。
図3から明らかなように、4個の変速ユニット10…はクランク状のキャリヤ16を共有しているが、キャリヤ16に第2ピニオン17,17を介して支持される偏心ディスク18の位相は各々の変速ユニット10で90°ずつ異なっている。例えば、図3において、左端の変速ユニット10の偏心ディスク18は入力軸11に対して図中上方に変位し、左から3番目の変速ユニット10の偏心ディスク18は入力軸11に対して図中下方に変位し、左から2番目および4番目の変速ユニット10,10の偏心ディスク18,18は上下方向中間に位置している。
図1に示すように、各々のコネクティングロッド19…のロッド部19a…には歪みゲージ26…が設けられており、それらの歪みゲージ26…が出力するコネクティングロッド19…の歪み量は電子制御ユニットUに入力される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
先ず、無段変速機Tの一つの変速ユニット10の作用を説明する。変速アクチュエータ14の回転軸14aを駆動源13の入力軸11に対して相対回転させると、入力軸11の軸線L1まわりにキャリヤ16が回転する。このとき、キャリヤ16の中心O、つまり第1ピニオン15および2個の第2ピニオン17,17が成す正三角形の中心は入力軸11の軸線L1まわりに回転する。
図1および図4は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と反対側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最大になって変速機TのレシオはTOP状態になる。図2および図5は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と同じ側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最小になって変速機TのレシオはLOW状態になる。
図4に示すTOP状態で、駆動源13で入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図4(A)から図4(B)を経て図4(C)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を反時計方向(矢印B参照)に回転させる。図4(A)および図4(C)は、アウター部材22の前記矢印B方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B方向に回転すると、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22およびインナー部材23間の楔状の空間にローラ25…が噛み込み、アウター部材22の回転がインナー部材23を介して出力軸12に伝達されるため、出力軸12は反時計方向(矢印C参照)に回転する。
入力軸11および第1ピニオン15が更に回転すると、第1ピニオン15および第2ピニオン17,17にリングギヤ18aを噛合させた偏心ディスク18が反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図4(C)から図4(D)を経て図4(A)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を時計方向(矢印B′参照)に回転させる。図4(C)および図4(A)は、アウター部材22の前記矢印B′方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B′方向に回転すると、アウター部材22とインナー部材23との間の楔状の空間からローラ25…がスプリング24…を圧縮しながら押し出されることで、アウター部材22がインナー部材23に対してスリップして出力軸12は回転しない。
以上のように、アウター部材22が往復回転したとき、アウター部材22の回転方向が反時計方向(矢印B参照)のときだけ出力軸12が反時計方向(矢印C参照)に回転するため、出力軸12は間欠回転することになる。
図5は、LOW状態で変速機Tを運転するときの作用を示すものである。このとき、入力軸11の位置は偏心ディスク18の中心Oに一致しているので、入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量はゼロになる。この状態で駆動源13で入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。しかしながら、偏心ディスク18の偏心量がゼロであるため、コネクティングロッド19の往復運動のストロークもゼロになり、出力軸12は回転しない。
従って、変速アクチュエータ14を駆動してキャリヤ16の位置を図1のTOP状態と図2のLOW状態との間に設定すれば、ゼロレシオおよび所定レシオ間の任意のレシオでの運転が可能になる。
無段変速機Tは、並置された4個の変速ユニット10…の偏心ディスク18…の位相が相互に90°ずつずれているため、4個の変速ユニット10…が交互に駆動力を伝達することで、つまり4個のワンウェイクラッチ21…の何れかが必ず係合状態にあることで、出力軸12を連続回転させることができる。
次に、ワンウェイクラッチ21に発生するポップアウト現象について説明する。ポップアウト現象とは、係合状態にあるワンウェイクラッチ21に過剰なトルクが入力したとき、アウター部材22およびインナー部材23間に噛み込んだローラ45が急激に弾き出されることを言う。
図6は係合状態にあるワンウェイクラッチ21の要部拡大図である。ローラ25は円弧面よりなるアウター部材22の内周面と、平面よりなるインナー部材23の外周面との間に挟まれるが、実際には円弧面であるアウター部材22の内周面を、ローラ25との接点Poを通る接線Toで置き換えて考える。接点Poでアウター部材22の内周面に接するローラ25の接線Toと、接点Piでインナー部材23の外周面に接するローラ25の接線Tiとは角度2αで交差しており、ローラ25の中心Cは前記角度2αの二等分線L上に位置している。
アウター部材22およびローラ25の接点Poには、法線方向の法線荷重Nと接線To方向の接線荷重Nμとが作用しており、それらの前記二等分線L方向の成分であるNsinαがローラ25を押し出すように作用し、μNcosαがローラ25を噛み込ませる方向に作用する。アウター部材22およびインナー部材23が同一の材料で構成されている場合、インナー部材23およびローラ25の接点Piには、法線方向の法線荷重Nと接線Ti方向の接線荷重Nμとが作用しており、それらの前記二等分線L方向の成分であるNsinαがローラ25を押し出すように作用し、μNcosαがローラ25を噛み込ませる方向に作用する。
よって、ローラ25がポップアウトする条件は、2Nsinα>2μNcosαであり、μ>tanαが成立したときにローラ25がポップアウトすることになる。ちなみに、μ=0.080とするとα=4.57degとなり、αを4.57deg未満に抑えればポップアウトを防止することができる。
図6において、ワンウェイクラッチ21の伝達トルクが大きくなるほど、ローラ25は図中左側に移動してアウター部材22およびインナー部材23に強く噛み込むため、接点Poにおける接線Toが立ち上がって角度αが大きくなる。従って、ワンウェイクラッチ21の伝達トルクが大きくなると、角度αが大きくなってポップアウトが発生する可能性が高くなる。
無段変速機Tの運転中に一つの変速ユニット10のワンウェイクラッチ21のローラ25がポップアウトすると、ポップアウトしたローラ25が衝突する衝撃で破片が飛び散り、その変速ユニット10だけでなく、他の変速ユニット10…にも被害が及ぶ可能性があるため、ポップアウトを未然に防止することが必要である。
図7は、横軸にワンウェイクラッチ21の伝達トルクをとり、縦軸に角度αをとったもので、伝達トルクおよび角度αの関係は放物線状のラインで示される。伝達トルクがT3以上(α≧4.57deg)の領域はポップアウトが発生する領域である。無段変速機Tの通常の運転状態で使用する領域は、伝達トルクがT1未満(α<4.0deg)の領域である。そして、伝達トルクがT2(α=4.3deg)のとき、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22がノッチ22a(図1参照)において破断するように、そのノッチ22aの強度が設定されている。
従って、無段変速機Tの出力トルクが次第に増加し、変速ユニット10のワンウェイクラッチ21の伝達トルクが通常の運転状態の上限値であるT1を超えてT2に達すると、アウター部材22がノッチ22aが破断する。アウター部材22のノッチ22aが破断すると、アウター部材22およびインナー部材23の間隔が広がって前記法線荷重Nが消滅するためにポップアウトが発生する虞はなくなり、そのワンウェイクラッチ21は非係合状態になって駆動力を伝達しなくなる。アウター部材22のノッチ22aが破断した場合、その被害はアウター部材22だけに止まり、破片がワンウェイクラッチ21の内部に飛散して損傷を拡大することが防止される。
図8は、コネクティングロッド19に設けた歪みゲージ26の出力波形を示すものである。各変速ユニット10が駆動力を伝達しているとき、図8(A)に示すように、コネクティングロッド19は周期的な圧縮荷重を受けるが、特定のワンウェイクラッチ21のアウター部材22が破断すると、図8(B)に示すように、伝達トルクが急激に減少するために前記圧縮荷重の振幅が小さくなる。よって、電子制御ユニットUは、特定のコネクティングロッド19の歪みゲージ26の出力波形の振幅が、他のコネクティングロッド19の歪みゲージ26の出力波形の振幅よりも小さくなったとき、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22の破断を判定して警報を発することができる。これにより、ワンウェイクラッチ21のポップアウトに起因する無段変速機Tの重大な損傷を未然に防止することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明のワンウェイクラッチ21は無段変速機T以外の任意の用途に適用可能である。
また本発明のワンウェイクラッチ21は、複数個を並置することなく1個で使用することも可能である。
19 コネクティングロッド(駆動力入力部材)
21 ワンウェイクラッチ
22 アウター部材
22a ノッチ(脆弱部)
23 インナー部材
24 スプリング
25 ローラ
26 歪みゲージ(歪み検出手段)
U 電子制御ユニット(破断判定手段)

Claims (2)

  1. アウター部材(22)の内周面とインナー部材(23)の外周面との間に形成される空間に配置した複数のローラ(25)をスプリング(24)で円周方向一方に付勢し、前記アウター部材(22)および前記インナー部材(23)の所定の方向への相対回転により前記ローラ(25)を前記アウター部材(22)の内周面と前記インナー部材(23)の外周面との間に噛み込ませてトルクを伝達するワンウェイクラッチにおいて、
    前記アウター部材(22)に所定値以上の荷重の入力により破断する脆弱部(22a)を設けたことを特徴とするワンウェイクラッチ。
  2. 前記ワンウェイクラッチ(21)は複数個が並置されており、前記アウター部材(22)に接続された駆動力入力部材(19)にそれぞれ設けられた歪み検出手段(26)の検出値を比較することで、前記アウター部材(22)の破断を判定する破断判定手段(U)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のワンウェイクラッチ。
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