JP5378692B2 - アクリル系樹脂フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、アクリル酸アルキルエステル重合体の架橋粒子の存在下でメタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルを共重合してなるコア−シェル型粒子(通称:2層型のコア−シェル型粒子)を、メタクリル系樹脂に配合してなるアクリル系樹脂フィルムが提案されている。
また、アクリル系樹脂フィルムを液晶保護フィルム、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面フィルム、拡散フィルム等の光学関係部品などに用いる場合には、フィルムとしての取扱い性に加え、表面欠点の少なさなどの高い表面平滑性が要求される。さらに、フィルム表面に賦形を施す際にはその基材となるフィルムの表面粗さが賦形精度に影響を及ぼすので、この点からも非常に高い表面平滑性が要求される。
Macromolecules, Vol.34, 4277 (2001)
(1) 重量平均分子量が40000以上のメタクリル系樹脂〔A〕と、数平均重合度が200〜4000のポリビニルアルコール樹脂を(共)アセタール化して得られたアセタール化度が55〜83mol%のポリビニルアセタール樹脂〔B〕とを、質量比(〔A〕/〔B〕)99/1〜51/49で含有し、前記メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度TgAと前記ポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度TgBとの間にメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPを有し、且つ少なくとも片方の面の粗度が1.5nm以下であるアクリル系樹脂フィルム。
(2) JIS K7136に準じて測定したヘイズが0.3%以下である(1)に記載のアクリル系樹脂フィルム。
(3) HB以上の鉛筆硬度を有する(1)または(2)に記載のアクリル系樹脂フィルム。
(4) 前記メタクリル系樹脂〔A〕と前記ポリビニルアセタール樹脂〔B〕とを溶融混練し、Tダイから溶融状態で押し出し、その両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて成形してなる(1)〜(3)のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム。
(5) 少なくとも片面に印刷が施されている、(1)〜(4)のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム。
(7) 樹脂温度140℃以上で溶融混練する際に、せん断速度100sec-1以上のせん断を印加する段階と、せん断速度を50sec-1以下にする段階とをそれぞれ少なくとも2回経る、(6)に記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
(8) 重量平均分子量が40000以上のメタクリル系樹脂〔A〕と、数平均重合度が200〜4000のポリビニルアルコール樹脂を(共)アセタール化して得られたアセタール化度が55〜83mol%のポリビニルアセタール樹脂〔B〕とを、質量比(〔A〕/〔B〕)99/1〜51/49で溶融混練して、前記メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度TgAと前記ポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度TgBとの間にメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPを有する樹脂組成物を得、
該樹脂組成物をTダイから溶融状態で押し出し、その両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて成形する工程を含む、アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
(10) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルムを射出成形雌雄金型間に挿入し、該金型内に該フィルムの片方の面から熱可塑性樹脂を射出する工程を含む、積層体の製造方法。
(11) 前記(10)に記載の製造方法によって得られた積層体。
(12) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルムの少なくとも一方の面に、他の熱可塑性樹脂層が少なくとも1層設けられてなる積層フィルム。
(13) 前記(12)に記載の積層フィルムが熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂の表面に設けられてなる積層体。
(14) 前記(12)に記載の積層フィルムを射出成形雌雄金型間に挿入し、
該金型内に該積層フィルムの片方の面から熱可塑性樹脂を射出する工程を含む、積層体の製造方法。
(15) 前記(14)に記載の製造方法によって得られた積層体。
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、メタクリル系樹脂〔A〕とポリビニルアセタール樹脂〔B〕とを含有するフィルムである。
アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレートなどが挙げられる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。これらのアルキルメタリレートは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレートなどが挙げられる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレートが好ましい。これらのアルキルアクリレートは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、メタクリル系樹脂〔A〕の耐熱性の観点から0.1〜20質量%の範囲でアルキルアクリレート単位を含有することが好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂は、完全けん化されたものであってもよいが、部分的にけん化された部分けん化ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。けん化度は80mol%以上のものを用いることが好ましい。
これらポリビニルアルコール樹脂は、一種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度(mol%)は、以下の式で定義することができる。
アセタール化度(mol%)=
{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2
/{{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2+l+m}×100
ブチラール化度(mol%)={k(1)}×2
/{{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2+l+m}×100
上記酸触媒除去のために用いる化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属化合物やアンモニア、アンモニア水溶液が挙げられる。また、アルキレンオキサイド類としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類が挙げられる。
残渣等が除去された含水状態のポリビニルアセタール樹脂は、必要に応じて乾燥され、さらに必要に応じてパウダー状、顆粒状若しくはペレット状に加工され、成形材料として供される。パウダー状、顆粒状若しくはペレット状に加工する際に、減圧状態で脱気することによりアルデヒドの反応残渣や水分などを低減しておくことが好ましい。
ガラス転移温度が一つしか観測できない場合は、すなわちTgAP=TgBPとなる場合は、アクリル系樹脂フィルム中のメタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全な相溶状態になっていることを示している。
TgAP=TgA、TgBP=TgBとなる場合は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全な非相溶の状態になっていることを示している。
これに対して、本発明のアクリル系樹脂フィルムは、メタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPが、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(TgA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(TgB)との間の値である。すなわち、TgB<TgAP<TgA、又はTgA<TgAP<TgBの関係を満たしている。このような関係を満たすTgAPを持つ本発明のアクリル系樹脂フィルムは、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが部分的に相溶した状態になっていると考えられる。そして、本発明のアクリル系樹脂フィルムは、少なくともメタクリル系樹脂(A)が連続相を成しているものであることが好ましい。
なお、本発明において、メタクリル系樹脂(A)が二以上のメタクリル系樹脂の組み合わせである場合、その組み合わせたもののうちのいずれか一つのガラス転移温度をTgAとし、ポリビニルアセタール樹脂(B)が二以上のポリビニルアセタール樹脂の組み合わせである場合は、その組み合わせたもののうちのいずれか一つのガラス転移温度をTgBとし、上記関係、すなわちTgB<TgAP<TgA、又はTgA<TgAP<TgBの関係を満たしていればよい。
一方、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全相溶である場合は、アクリル系樹脂フィルムの表面硬度が低下傾向になる。また、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全相溶でTgB<TgAである場合には耐熱性が低下傾向になる。メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全非相溶である場合は、強度が低下したり、白化したりするようになる。
さらに好適な製法では、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、樹脂温度140℃以上で溶融混練する際に、せん断速度100sec-1以上のせん断を印加する段階と、該せん断速度を50sec-1以下とする段階とをそれぞれ少なくとも2回経ることが好ましい。このような工程を経ることにより、少なくともメタクリル系樹脂(A)が連続相を成しているアクリル系樹脂フィルムを得ることができる。
本発明の積層フィルムは、前述の本発明アクリル系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、他の熱可塑性樹脂層が少なくとも1層、直接または接着層を介して設けられているものである。また、本発明の積層フィルムは、前述の本発明アクリル系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に木製基材やケナフなどの非木質繊維からなる基材が設けられてなるものであってもよい。
積層に適した他の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、他の(メタ)アクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂などが挙げられる。
これらの方法のうち、(1)または(2)の方法では、ラミネート前に、本発明のアクリル系樹脂フィルムまたは他の熱可塑性樹脂フィルムの貼り合せ面側にコロナ処理などの表面処理を施してもよい。
この射出成形同時貼合法は、本発明のアクリル系樹脂フィルムまたは本発明の積層フィルムを射出成形用雌雄金型間に挿入し、その金型に該フィルムの片方の面から溶融した熱可塑性樹脂を射出して、射出成形体を形成すると同時に、その成形体に前記フィルムを貼合する方法である。
フィルムの予備成形は、別個の成形機で行ってもよいし、射出成形同時貼合法に用いる射出成形機の金型内で予備成形を行ってもよい。後者の方法、すなわち、フィルムを予備成形した後その片面に溶融樹脂を射出する方法は、インサート成形法と呼ばれる。
フィルムに本発明の積層フィルムを用いる場合には、積層された他の熱可塑性樹脂の層が射出成形される樹脂側になるように、すなわち、本発明のアクリル系樹脂フィルムが最表面となるように配置することが好ましい。このようにして、最表層に本発明のアクリル系樹脂フィルムが設けられた積層体を得ることができる。
(1)重量平均分子量
テトラヒドロフランを溶媒に用い、昭和電工株式会社製Shodex(商標)GPC SYSTEM11に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー用カラムとしてShodex(商標)KF−806Lを繋ぎ、検出器としてShodex(商標)示差屈折率検出器RI−101を用いて測定した。試料溶液は、樹脂を3mg精秤し、これを3mlのテトラヒドロフランに溶解し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより調製した。測定の際の流量は、1.0ml/min.とし、ポリマーラボラトリーズ製標準ポリメタクリル酸メチルで作製した検量線に基づいて、ポリメタクリル酸メチル換算分子量として重量平均分子量(Mw)を算出した。
損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度(Tg)は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製EXSTAR6000 DMSを用いて、フィルムを作製するのに用いたアクリル系樹脂組成物からなるペレットを射出成形して得られた試験片を切断することによって得た長さ60mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片を曲げモード(両持ち梁測定)において、正弦波振動10Hz、昇温速度3℃/min.により測定した。
原子間力顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPI4000プローブステーションE−sweep環境制御ユニット)を用いて、表面の形状をDFMモードによって測定した。プローブはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製SI−DF20(背面Al)を用いた。試料測定に先立ち、ピッチ10μm、段差100nmの参照試料を測定し、装置のX軸、Y軸の測定誤差が10μmに対して5%以下、Z軸の誤差が100nmに対して5%以下であることを確認した。
※平均面粗さRa:基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値。
3次傾き補正は、測定した試料表面を3次の曲面で最小2乗近似によってフィッティングすることによって行い、フィルム試料の傾きおよびうねりの影響を排除するために行った。
JIS K7136に従い、厚さ100μmのフィルムのヘイズを測定した。
JIS K5400にしたがって、厚さ100μmのフィルムの鉛筆硬度を測定した。
〔A〕フィルムの製膜同時トリミング性
プラスチック工学研究所製GT−40単軸押出し機を用いて幅500mmのTダイよりフィルム状成形体を押出し、フィルムを巻き取る前に、フィルムのMD方向に平行に、かつ、フィルムの面方向に対して60°の角度でフェザー株式会社製フェザーS 青函片刃(品番FAS−10)をフィルムの両端から5cmのところに接触させることによりトリミングを行い、製膜同時トリミング性を評価した。フィルムが直線的に切断でき2時間以上フィルムのMD方向以外に亀裂が全く入らなかった場合を○、フィルムが直線的に切断できるが2時間以内にフィルムのMD方向以外に一度でも亀裂が入った場合を△、フィルムが直線的に切断できなかった場合を×として評価した。
株式会社ダンベル製スーパーダンベルカッターを株式会社ダンベル製SDL−200型レバー式試料裁断器に取り付け、株式会社ダンベル製台紙(サイズ:160mm×200mm×3mm)の上にフィルムを置いて、フィルムからJIS K7162に記載の1A形ダンベル状試験片を10回打抜いた際に、1A形ダンベル形状以外に亀裂が10回とも入らなかった場合を○、1A形ダンベル形状以外に一回以上亀裂が入った場合を△、1A形ダンベル形状以外に亀裂が10回すべてに入った場合を×として評価した。
JIS K7105に従って、厚さ100μmのフィルムの60度表面光沢度を測定した。
表1に示す比率のメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂をバルク重合法により作製した。作製したメタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)およびガラス転移温度(TgA)を表1に示した。
ポリビニルアルコール樹脂を溶解した水溶液に、アルデヒド化合物ならびに酸触媒(塩酸)を添加し、攪拌してアセタール化し、樹脂を析出させた。公知の方法に従ってpH=6になるまで洗浄し、次いでアルカリ性にした水性媒体中に懸濁させて攪拌しながら後処理し、再びpH=7になるまで洗浄し、揮発分が1.0%になるまで乾燥することにより、表2に示すポリビニルアセタール樹脂をそれぞれ得た。
まず、JIS K6728(1977年)に記載の方法に則って、ビニルアルコールユニットの質量割合(l0)および酢酸ビニルユニットの質量割合(m0)を後記の方法によって求め、さらに、ビニルアセタールユニットの質量割合(k0)をk0=1−l0−m0によって求めた。
次に、l=(l0/44.1)/(l0/44.1+m0/86.1+2k0/Mw(acetal))およびm=(m0/86.1)/(l0/44.1+m0/86.1+2k0/Mw(acetal))を計算によって求め、k=1−l−mの計算式によりビニルアセタールユニットの割合(k=k(1)+k(2)+・・・+k(n))を計算し、最後に、アセタール化度(mol%)={k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2/{{k(1)+k(2)+・・・+k(n)}×2+l+m}×100によって求めた。
ここで、Mw(acetal)はアセタール化ユニットひとつあたりの分子量であり、例えば、ポリビニルブチラールのとき、Mw(acetal)=Mw(butyral)=142.2である。
また、ブチルアルデヒドとその他のアルデヒドとで共アセタール化した場合は、1H−NMR、または13C−NMRを測定し、各々のアセタール化度(mol%)を算出することができる。
ポリビニルアセタール樹脂約0.4gを共せん付き三角フラスコに正確に量りとり、ピリジン/無水酢酸(体積比92/8)の混合液10mlをピペットで加えて溶解し、冷却器をつけて温度50℃の水浴上で120分間加熱した。冷却後ジクロロエタン20mlを加えてよく振り混ぜ、さらに水50mlを加え、栓をして激しく振り混ぜた後、30分間放置した。生成した酢酸をN/2水酸化ナトリウム溶液でフェノールフタレインを指示薬として激しく振り混ぜながら微紅色をするまで滴定し、その滴定量をa(ml)とする。別にブランク試験を行い、これに要したN/2水酸化ナトリウム溶液の滴定量をb(ml)とし、次の式により求めた。
l0=2.2×(b−a)×Fl/(sl×Pl)
式中の、s1:ポリビニルアセタール樹脂の質量、Pl:純分(%)、Fl:N/2水酸化ナトリウム溶液の力価である。
また、ポリビニルアセタール樹脂約0.4gを共せん付き三角フラスコに正確に量りとり、エタノール25mlを加えて85℃で溶解し、N/10水酸化ナトリウム溶液5mlをピペットでよく振り混ぜながら加え、冷却器をつけて温度85℃の水浴中で60分間還流させた。冷却後、N/10塩酸5mlをピペットで加えてよく振り混ぜ、30分間放置した。過剰の塩酸をN/10水酸化ナトリウム溶液でフェノールフタレインを指示薬として微紅色を呈するまで滴定し、その滴定量をc(ml)とした。別にブランク試験を行い、これに要したN/10水酸化ナトリウム溶液の滴定量をd(ml)として、次の式により求めた。
m0=0.86×(c−d)×Fm/(sm×Pm)
式中の、sm:ポリビニルアセタール樹脂の質量、Pm:純分(%)、Fm:N/10水酸化ナトリウム溶液の力価である。
メタクリル系樹脂(A−1)75部、およびポリビニルアセタール樹脂(B−1)25部を、日本製鋼所製二軸混練押出機TEX−44α(L/D=40)を用いてシリンダー温度220℃、スクリュー回転数200rpmで混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。その際の押出機のダイ直前で測定した樹脂温度は233℃であった。押出機内の最大剪断速度は、300sec-1であり、バレルとスクリューエレメントとのクリアランスが大きい部分でのせん断速度は45sec-1であった。スクリューは、上記の回転数において、300sec-1のせん断と45sec-1のせん断とが交互に2回ずつ掛かる構成のものを用いた。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを、日本製鋼所製J50E2を用いて、シリンダー温度240℃で射出成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片を得た。さらに、この直方体試験片を切断することにより、長さ60mm×幅10mm×厚さ4mmの直方体試験片を得て、TgAPを測定した。
上記ペレットをプラスチック工学研究所製GT−40を用いて幅500mmのTダイより押出成形し、Tダイ直下において90℃に温度調節した2本の金属製鏡面ロールで、押付け圧力50N/mmで挟み込むことにより、厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムの表面の粗度(便宜上、A面およびB面と記載した。以下、同様。)、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表3に示した。
メタクリル系樹脂(A−2)75部及びポリビニルアセタール樹脂(B−1)25部に配合処方を変えた以外は実施例1と同様にして、ペレット、直方体試験片・フィルムを得た。TgAP、フィルムの表面の粗度(便宜上、A面およびB面と記載した。以下、同様。)、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表3に示した。
メタクリル系樹脂(A−3)75部及びポリビニルアセタール樹脂(B−1)25部に配合処方を変えた以外は実施例1と同様にして、ペレット、直方体試験片・フィルムを得た。TgAP、フィルムの表面の粗度(便宜上、A面およびB面と記載した。以下、同様。)、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表3に示した。
Tダイ直下において2本の金属製鏡面ロールで挟み込まず、フィルムを1本の90℃に温度調節した鏡面金属ロールのみに接触させ、片面を空気に開放したこと以外は実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。TgAP、フィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表3に示した。
メタクリル系樹脂および/またはポリビニルアセタール樹脂の種類を表3に記載した処方に変更した以外は実施例4と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。TgAP、フィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表3に示した。
メタクリル系樹脂(A−1)のみを用いて、プラスチック工学研究所製GT−40を用いて幅500mmのTダイより押出成形し、Tダイ直下において90℃に温度調節した2本の金属製鏡面ロールで、押付け圧力50N/mmで挟み込むことにより、厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表4に示した。
メタクリル系樹脂(A−2)のみを用いたこと以外は、比較例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表4に示した。
メタクリル系樹脂(A−3)のみを用いたこと以外は、比較例1と同様にしてフィルムを作製しようとしたが、樹脂が非常に脆いためフィルム状の成形体を作製することができなかった。
特公昭55−27576号公報(=USP3793402)の実施例1に準じて、最内層がメタクリル酸メチルと少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレンおよびメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の弾性共重合体、最外層がメタクリル酸メチルと少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる平均粒子径が280nmの球形の3層構造のコア−シェル型粒子(C−1)を作製し、この3層構造のコア−シェル型粒子25部をメタクリル系樹脂(A−1)75部に混合し、日本製鋼所製二軸混練押出機TEX−44α(L/D=40)を用いて混練してペレットを得た。得られたペレットをプラスチック工学研究所製GT−40を用いて幅500mmのTダイより押出成形し、Tダイ直下において90℃に温度調節した2本の金属製鏡面ロールで、押付け圧力50N/mmで挟み込むことにより、厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表4に示した。
比較例4において、3層構造のコア−シェル型粒子の最内層を形成することなく、内層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレンおよびメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の弾性共重合体、外層がメタクリル酸メチルと少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる平均粒子径が280nmの球形の2層構造のコア−シェル型粒子(C−2)を作製し、この2層構造のコア−シェル型粒子25部をメタクリル系樹脂(A−1)75部に混合し、日本製鋼所製二軸混練押出機TEX−44α(L/D=40)を用いて混練してペレットを得た。得られたペレットをプラスチック工学研究所製GT−40を用いて幅500mmのTダイより押出成形し、Tダイ直下において90℃に温度調節した2本の金属製鏡面ロールで、押付け圧力50N/mmで挟み込むことにより、厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表4に示した。
比較例4において、Tダイ直下において2本の金属製鏡面ロールで挟み込まず、フィルムを1本の90℃に温度調節した鏡面金属ロールのみに接触させ、片面を空気に開放した状態で製膜したこと以外は比較例4と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表4に示した。
比較例5において、Tダイ直下において2本の金属製鏡面ロールで挟み込まず、フィルムを1本の90℃に温度調節した鏡面金属ロールのみに接触させ、片面を空気に開放した状態で製膜したこと以外は比較例5と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムの表面の粗度、ヘイズ、表面硬度、取扱い性、表面光沢を表4に示した。
Claims (15)
- メチルメタクリレート単位80〜99.9質量%およびアルキルアクリレート単位0.1〜20質量%を含有し且つ重量平均分子量が40000以上のメタクリル系樹脂〔A〕と、
数平均重合度が200〜4000のポリビニルアルコール樹脂を(共)アセタール化して得られたアセタール化度が55〜83mol%のポリビニルアセタール樹脂〔B〕と
を、質量比(〔A〕/〔B〕)99/1〜51/49で含有し、
前記メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度TgAと前記ポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度TgBとの間にメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPを有し、且つ
少なくとも片方の面の粗度が1.5nm以下
であるアクリル系樹脂フィルム。 - JIS K7136に準じて測定したヘイズが0.3%以下である請求項1に記載のアクリル系樹脂フィルム。
- HB以上の鉛筆硬度を有する請求項1または2に記載のアクリル系樹脂フィルム。
- 前記メタクリル系樹脂〔A〕と前記ポリビニルアセタール樹脂〔B〕とを溶融混練し、Tダイから溶融状態で押し出し、その両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて成形してなる請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム。
- 少なくとも片面に印刷が施されている、請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム。
- メチルメタクリレート単位80〜99.9質量%およびアルキルアクリレート単位0.1〜20質量%を含有し且つ重量平均分子量が40000以上のメタクリル系樹脂〔A〕と、数平均重合度が200〜4000のポリビニルアルコール樹脂を(共)アセタール化して得られたアセタール化度が55〜83mol%のポリビニルアセタール樹脂〔B〕とを、質量比(〔A〕/〔B〕)99/1〜51/49で、せん断速度100sec-1以上のせん断をかけながら樹脂温度140℃以上で溶融混練し、次いで120℃以下の温度に冷却する工程を含む、請求項1〜5に記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
- 樹脂温度140℃以上で溶融混練する際に、せん断速度100sec-1以上のせん断を印加する段階と、せん断速度を50sec-1以下にする段階とをそれぞれ少なくとも2回経る、請求項6に記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
- メチルメタクリレート単位80〜99.9質量%およびアルキルアクリレート単位0.1〜20質量%を含有し且つ重量平均分子量が40000以上のメタクリル系樹脂〔A〕と、数平均重合度が200〜4000のポリビニルアルコール樹脂を(共)アセタール化して得られたアセタール化度が55〜83mol%のポリビニルアセタール樹脂〔B〕とを、質量比(〔A〕/〔B〕)99/1〜51/49で溶融混練して、前記メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度TgAと前記ポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度TgBとの間にメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度TgAPを有する樹脂組成物を得、
該樹脂組成物をTダイから溶融状態で押し出し、その両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて成形する工程を含む、アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムが熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂の表面に設けられてなる積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムを射出成形雌雄金型間に挿入し、
該金型内に該フィルムの片方の面から熱可塑性樹脂を射出する工程を含む、積層体の製造方法。 - 請求項10に記載の製造方法によって得られた積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムの少なくとも一方の面に、他の熱可塑性樹脂層が少なくとも1層設けられてなる積層フィルム。
- 請求項12に記載の積層フィルムが熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂の表面に設けられてなる積層体。
- 請求項12に記載の積層フィルムを射出成形雌雄金型間に挿入し、
該金型内に該積層フィルムの片方の面から熱可塑性樹脂を射出する工程を含む、積層体の製造方法。 - 請求項14に記載の製造方法によって得られた積層体。
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