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JP5382002B2 - 電子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、電子部品及びその製造方法に関し、より特定的には、コイルを含む電子部品及びその製造方法に関する。
従来の電子部品として、特許文献1に記載の高周波用コイルが知られている。該高周波用コイルは、多層基板内にヘリカルコイルを内蔵している。ヘリカルコイルは、複数のコイルパターンが接続されて構成されている。また、コイルパターンは、同じ形状を有するものが2つずつ設けられている。更に、同じ形状を有する2つのコイルパターンは、導電位となるように、並列に接続されている。これにより、ヘリカルコイルの抵抗値が低減されている。
ところで、前記高周波用コイルでは、コイルパターンの断面形状は、長方形である。このような長方形の断面形状を有するコイルパターンに対して高周波信号が印加されると、コイルパターンの周囲に発生する磁束がコイルパターンの角部や端部に集中する縁端効果が発生する。縁端効果が発生すると、電流は、コイルパターンの角部や端部に集中して流れ、コイルパターンの断面全体に均等に電流が流れなくなる。その結果、コイルパターンの実質的な抵抗値が大きくなってしまい、抵抗損失が増加してしまう。
特開平5−36533号公報
そこで、本発明の目的は、抵抗値を低減できると共に、縁端効果の発生を抑制できる電子部品及びその製造方法を提供することである。
本発明の第1の形態に係る電子部品は、絶縁体層が積層されてなる積層体と、線状導体により構成され、かつ、前記積層体に内蔵されたコイルを構成している複数のコイル導体と、を備え、前記絶縁体層を介して対向していると共に、略同位相の信号が流れる3以上の前記コイル導体は、前記線状導体が延在する方向に直交する断面において、線幅方向の中央から離れるにしたがって積層方向の厚みが小さくなる形状を有する領域を形成しており、かつ、積層方向に重なるように設けられると共に、積層方向において中央に行くにしたがって線幅が広くなる形状を有していること、を特徴とする。
本発明の第2の形態に係る電子部品は、絶縁体層が積層されてなる積層体と、線状導体により構成され、かつ、前記積層体に内蔵されたコイルを構成している複数のコイル導体であって、第1のコイル導体及び第2のコイル導体を含む複数のコイル導体と、を備え、前記絶縁体層を介して対向していると共に、略同位相の信号が流れる前記第1のコイル導体及び前記第2のコイル導体は、前記線状導体が延在する方向に直交する断面において、線幅方向の中央から離れるにしたがって積層方向の厚みが小さくなる形状を有する領域を形成しており、積層方向の上側に突出するように湾曲したU字型の断面形状を有する前記第1のコイル導体、及び、積層方向の下側に突出するように湾曲したU字型の断面形状を有する前記第2のコイル導体が、前記領域内において積層方向に対向していること、を特徴とする。
本発明の第1の形態に係る電子部品の製造方法は、第1の絶縁体層及び第2の絶縁体層を準備する工程と、前記第1の絶縁体層上及び前記第2の絶縁体層上のそれぞれに、線状導体により構成され、かつ、該線状導体が延在する方向に直交する断面において、線幅方向の中央から離れるにしたがって積層方向の厚みが小さくなる断面構造を有する第1のコイル導体及び第2のコイル導体を形成する工程と、前記第1の絶縁体層の前記第1のコイル導体が形成された主面に、絶縁体層を塗布して平坦化する工程と、前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体とが積層方向から平面視したときに重なるように、前記第1の絶縁体層に前記第2の絶縁体層を積層する工程と、を備えていること、を特徴とする。
本発明の第2の形態に係る電子部品の製造方法は、第1の絶縁体層及び第2の絶縁体層を準備する工程と、前記第1の絶縁体層上及び前記第2の絶縁体層上のそれぞれに、線状導体により構成される第1のコイル導体及び第2のコイル導体を形成する工程と、前記第2のコイル導体の線幅方向の中央部分に中間層を形成する工程と、前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体とが積層方向から平面視したときに重なるように、前記第1の絶縁体層に前記第2の絶縁体層を積層する工程と、を備えていること、を特徴とする。
本発明によれば、コイルの抵抗値を低減できると共に、縁端効果の発生を抑制できる。
本発明の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。 本発明の実施形態に係る電子部品の積層体の分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る電子部品の等価回路図である。 第1の実施形態に係る電子部品の図1のA−Aにおける断面構造図である。 図4の電子部品の作製時における工程断面図である。 第2の実施形態に係る電子部品の図1のA−Aにおける断面構造図である。 図6の電子部品の作製時における工程断面図である。 図6の電子部品の変形例である電子部品の図1のA−Aにおける断面構造図である。 コイルの断面構造図の拡大図である。
以下に、本発明の実施形態に係る電子部品及びその製造方法について説明する。該電子部品は、例えば、コイル及びコンデンサを内蔵した高周波フィルタである。
(第1の実施形態)
(電子部品の構成)
第1の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電子部品10a,10b,10cの外観斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る電子部品10a,10b,10cの積層体12の分解斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る電子部品10a,10b,10cの等価回路図である。図4は、第1の実施形態に係る電子部品10aの図1のA−Aにおける断面構造図である。図1〜図4において、積層体12の積層方向をz軸方向と定義し、積層体12の長辺方向をx軸方向と定義し、積層体12の短辺方向をy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。
電子部品10aは、図1に示すように、積層体12及び外部電極14a,14b,16a,16bを備えている。積層体12は、直方体状をなしている。外部電極14a,14bはそれぞれ、信号電極であり、x軸方向の両端に位置する側面においてz軸方向に延在するように設けられている。外部電極16a,16bはそれぞれ、グランド電極であり、y軸方向の両端に位置する側面においてz軸方向に延在するように設けられている。
以下に、図2及び図3を参照しながら、積層体12についてより詳細に説明する。図2に示すように、積層体12は、絶縁体層18a〜18gがz軸方向の正方向側からこの順に並ぶように積層されてなる。絶縁体層18a〜18gは、長方形状のセラミック層(例えば、LTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics))である。絶縁体層18a〜18gは、1μm〜25μmの厚みを有している。また、積層体12は、図2に示すように、コイルL1〜L4及びコンデンサC1〜C8(図2では、コンデンサC5〜C7については参照符号を記載せず)を内蔵している。コイルL1〜L4及びコンデンサC1〜C8は、以下に説明する導体層20a〜20p及びビアホール導体b1〜b26により構成されている。なお、以下では、個別の絶縁体層18a〜18g及び導体層20a〜20pを指す場合には参照符号の後ろにアルファベットを付し、絶縁体層18a〜18g及び導体層20a〜20pを総称する場合には参照符号の後ろのアルファベットを省略する。
導体層20及びビアホール導体b1〜b26は、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金により作製されている。導体層20は、1μm〜20μmの厚みを有している。導体層20a〜20dは、絶縁体層18b上においてy軸方向に延在している線状導体である。導体層20a〜20dは、x軸方向の正方向側からこの順に並ぶように絶縁体層18b上に設けられている。また、導体層20e〜20hは、絶縁体層18c上においてy軸方向に延在している線状導体である。導体層20e〜20hは、x軸方向の正方向側からこの順に並ぶように絶縁体層18c上に設けられている。
ビアホール導体b1,b3,b5,b7はそれぞれ、導体層20a〜20dのy軸方向の負方向側の端部と導体層20e〜20hのy軸方向の負方向側の端部とを接続しており、絶縁体層18bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b2,b4,b6,b8はそれぞれ、導体層20a〜20dのy軸方向の正方向側の端部と導体層20e〜20hのy軸方向の正方向側の端部とを接続しており、絶縁体層18bをz軸方向に貫通している。これにより、導体層20aと導体層20eとが並列に接続されている。また、導体層20bと導体層20fとが並列に接続されている。また、導体層20cと導体層20gとが並列に接続されている。また、導体層20dと導体層20hとが並列に接続されている。
導体層20a,20e及びビアホール導体b1,b2は、図2及び図3に示すコイルL1を構成している。導体層20b,20f及びビアホール導体b3,b4は、図2及び図3に示すコイルL2を構成している。導体層20c,20g及びビアホール導体b5,b6は、図2及び図3に示すコイルL3を構成している。導体層20d,20h及びビアホール導体b7,b8は、図2及び図3に示すコイルL4を構成している。
また、図2に示すように、コイルL1とコイルL2とは並んで設けられている。よって、コイルL1とコイルL2との間には、寄生容量が発生している。この寄生容量は、図3に示すコンデンサC5を構成している。コイルL2とコイルL3とは並んで設けられている。よって、コイルL2とコイルL3との間には、寄生容量が発生している。この寄生容量は、図3に示すコンデンサC6を構成している。コイルL3とコイルL4とは並んで設けられている。よって、コイルL3とコイルL4との間には、寄生容量が発生している。この寄生容量は、図3に示すコンデンサC7を構成している。
導体層20i,20jは、絶縁体層18d上にx軸方向に並ぶように設けられている。また、導体層20kは、絶縁体層18e上において、絶縁体層18dを介して導体層20i,20jに対向するように設けられている。これにより、導体層20iと導体層20kは、コンデンサC2を構成し、導体層20jと導体層20kは、コンデンサC3を構成している。
ビアホール導体b12,b14はそれぞれ、導体層20f,20gのy軸方向の正方向側の端部と導体層20i,20jとを接続しており、絶縁体層18cをz軸方向に貫通している。また、ビアホール導体b11,b13はそれぞれ、導体層20f,20gのy軸方向の負方向側の端部に接続されており、絶縁体層18cをz軸方向に貫通している。更に、ビアホール導体b19,b20はそれぞれ、ビアホール導体b11,b13と導体層20kとを接続しており、絶縁体層18dをz軸方向に貫通している。これにより、コンデンサC2,C3はそれぞれ、図3に示すように、コイルL2,L3に並列に接続されている。
更に、導体層20kは、絶縁体層18eにおいて、y軸方向の正方向側及び負方向側の両端に位置する辺に引き出されている。これにより、導体層20kは、図1に示す外部電極16a,16bに接続されている。すなわち、コイルL2,L3及びコンデンサC2,C3の一端は、図3に示すように、外部電極16a,16bに接続されている。
導体層20l,20mは、絶縁体層18f上にx軸方向に並ぶように設けられている。更に、導体層20l,20mは、絶縁体層18eを介して導体層20kに対向するように設けられている。これにより、導体層20kと導体層20lは、コンデンサC1を構成し、導体層20kと導体層20mは、コンデンサC4を構成している。
ビアホール導体b9,b15はそれぞれ、導体層20e,20hのy軸方向の負方向側の端部に接続されており、絶縁体層18cをz軸方向に貫通している。また、ビアホール導体b17,b21はそれぞれ、ビアホール導体b9,b15に接続されており、絶縁体層18dをz軸方向に貫通している。更に、ビアホール導体b23,b24はそれぞれ、ビアホール導体b17,b21と導体層20l,20mとを接続しており、絶縁体層18eをz軸方向に貫通している。また、ビアホール導体b10,b16はそれぞれ、導体層20e,20hのy軸方向の正方向側の端部に接続されており、絶縁体層18cをz軸方向に貫通している。また、ビアホール導体b18,b22はそれぞれ、ビアホール導体b10,b16と導体層20kとを接続し、絶縁体層18dをz軸方向に貫通している。これにより、コンデンサC1,C4はそれぞれ、図3に示すように、コイルL1,L4に並列に接続されている。更に、図3に示すように、コイルL1及びコンデンサC1の一端は、導体層20kを介して外部電極16a,16bに接続されている。
導体層20nは、絶縁体層18g上に設けられており、x軸方向の負方向側に位置する辺に引き出されている。また、ビアホール導体b25は、導体層20lと導体層20nとを接続しており、絶縁体層18fをz軸方向に貫通している。これにより、図3に示すように、コイルL1及びコンデンサC1の他端は、導体層20nを介して外部電極14aに接続されている。
導体層20pは、絶縁体層18g上に設けられており、x軸方向の正方向側に位置する辺に引き出されている。また、ビアホール導体b26は、導体層20mと導体層20pとを接続しており、絶縁体層18fをz軸方向に貫通している。これにより、図3に示すように、コイルL2及びコンデンサC2の一端は、導体層20pを介して外部電極14bに接続されている。
また、導体層20oは、絶縁体層18g上に設けられており、絶縁体層18fを介して導体層20l,20mに対向している。これにより、導体層20l,20m,20oは、コンデンサC8を構成している。
以上のように構成された絶縁体層18a〜18gが積層され、外部電極14a,14b,16a,16bが形成されることにより、電子部品10aは、図4に示すような断面形状を有するようになる。なお、図4では、絶縁体層18b上に、導体層20a〜20dとz軸方向に等しい厚みを有する絶縁体層22が設けられている。ただし、図2では、図面が煩雑になることを避けるために、絶縁体層22については省略してある。
導体層20aと導体層20eとは、並列接続されているので、略同位相の信号が流れる。導体層20aと導体層20eとは、その両端部がビアホール導体b1,b2により接続されている。更に、導体層20aは、ビアホール導体b9によりコンデンサC1を構成する導体層20lに接続されている。このような構成では、導体層20lを基準としたときにビアホール導体b1の長さの分だけ導体層20aと導体層20eとを流れる信号の位相が異なることになる。そして、導体層20aは、図4に示すように、z軸方向の正方向側に突出した断面形状を有している。導体層20eは、z軸方向の負方向側に突出した断面形状を有している。すなわち、導体層20a,20eは、線幅方向の中央から両端に行くにしたがって、z軸方向の厚みが小さくなる半円形状の断面形状を有している。更に、導体層20a,20eは、絶縁体層18bを介して互いに対向している。これにより、導体層20a,20eは、図4に示すように、y軸方向に直交する断面(線状導体が延在する方向に直交する断面)において、線幅方向の中央から離れるにしたがってz軸方向の厚みが小さくなる形状を有する領域Bを形成している。本実施形態では、領域Bは、楕円形状をなしている。この領域Bのz軸方向の厚みは、50μm以上である。なお、導体層20b〜20d,20f〜20hは、導体層20a,20eと同じ構造を有しているので、これらの詳細な説明を省略する。
(電子部品の製造方法)
次に、電子部品10aの製造方法について図面を参照しながら説明する。図5は、電子部品10aの作製時における工程断面図である。
まず、絶縁体層18a〜18gとなるLTCCのセラミックグリーンシートを準備する。なお、LTCCのセラミックグリーンシートの作成方法は、公知であるので説明を省略する。
次に、図2に示すように、絶縁体層18b〜18fとなるセラミックグリーンシートのそれぞれに、ビアホール導体b1〜b26を形成する。具体的には、絶縁体層18b〜18fとなるセラミックグリーンシートにレーザビームを照射してビアホールを形成する。次に、このビアホールに対して、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などの導電性ペーストを印刷塗布などの方法により充填する。
次に、図2に示すように、絶縁体層18b〜18gとなるセラミックグリーンシート上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法で塗布することにより、導体層20a〜20pを形成する。特に、図5(a)に示すように、絶縁体層18b,18cとなるセラミックグリーンシート上のそれぞれに、線幅方向の中央から離れるにしたがってz軸方向の厚みが小さくなる断面形状を有するように、導体層20a〜20hを形成する。なお、導体層20a〜20pの形成と同時に、ビアホール導体に対して導電性ペーストを充填してもよい。
次に、図5(b)に示すように、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシートの導体層20a〜20dが形成された主面に、絶縁材料(LTCC)のスラリーを塗布し、絶縁体層22となるセラミックグリーン層を形成する。これにより、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシートの主面を平坦化する。
次に、図5(c)に示すように、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシートの上下を反転させ、絶縁体層18aとなるセラミックグリーンシートに積層し、仮圧着する。次に、図5(d)に示すように、絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシートの上下を反転させ、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシート上に積層し、仮圧着する。この際、導体層20a〜20dと導体層20e〜20hとがz軸方向から平面視したときに重なるように、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシートの導体層20a〜20dが形成されていない主面に対して、導体層20e〜20hが対向するように絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシートを積層・仮圧着する。仮圧着により、導体層20e〜20hの線幅方向の両端は、図5(d)の下方向に押さえつけられる。これにより、導体層20e〜20hは、図4に示すように、絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシート側に突出した半円形状の断面形状を有するようになる。その結果、導体層20a〜20dと導体層20e〜20hはそれぞれ、楕円形状の断面形状を有する領域Bを形成する。
この後、絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシート上に、絶縁体層18d〜18gとなるセラミックグリーンシートをこの順に積層及び仮圧着する。これにより、マザー積層体を得る。更に、マザー積層体には、静水圧プレスなどにより本圧着を施す。
次に、マザー積層体を押し切りにより所定寸法の積層体12にカットして、未焼成の積層体12を得る。この未焼成の積層体12には、脱バインダー処理及び焼成がなされる。
以上の工程により、焼成された積層体12が得られる。積層体12には、バレル加工を施して、面取りを行う。その後、積層体12の表面には、例えば、浸漬法等の方法により主成分が銀である電極ペーストを塗布及び焼き付けすることにより、外部電極14a,14b,16a,16bとなる銀電極を形成する。最後に、銀電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極14a,14b,16a,16bを形成する。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10aが完成する。
(効果)
以上のように構成された電子部品10aによれば、以下に説明するように、コイルL1〜L4の抵抗値を低減できる。より詳細には、コイルL1〜L4を構成している導体層20a〜20dと導体層20e〜20hとが並列に接続されている。その結果、コイルL1〜L4が導体層20a〜20dのみにより構成されている場合に比べて、コイルL1〜L4の抵抗値が低減される。
更に、電子部品10aによれば、コイルL1〜L4において縁端効果が発生することを抑制できる。以下に、導体層20a,20eを例にとってより詳細に説明する。図4に示すように、導体層20a,20eの外縁は、楕円形状の領域Bを形成している。そして、導体層20a,20eは、その両端部がビアホール導体b1,b2で接続されているため、導体層20a,20bが形成されているセラミックグリーンシートは異なるものの、略同位相の信号が流れる。よって、導体層20a,20eの外縁からなる領域Bは、角部を有していない。そのため、導体層20a,20eの周囲に発生する磁束は、領域Bに沿った楕円形状の軌跡を描くようになり、角部を有する導体層の周囲に発生する磁束に比べて、特定の箇所に集中しにくくなる。すなわち、導体層20a,20eでは、角部を有する導体層に比べて、縁端効果が発生しにくい。なお、本願発明者が行ったコンピュータシミュレーションによれば、導体層20a,20eを長方形状の断面形状とした電子部品に比べて、電子部品10aは、縁端効果の発生を抑制することにより、4%程度の抵抗値の低減を図ることができた。
また、導体層20a〜20hの周囲の磁束密度は、導体層20a〜20hの線幅方向の中央において最も大きくなる。そこで、導体層20a〜20hは、線幅方向の中央から両端に行くにしたがってz軸方向の厚みが連続的に小さくなる断面形状を有している。これにより、磁束は、導体層20a〜20hの線幅方向の中央から両端に向かってスムーズに導体層20a〜20hを周回するようになる。その結果、電子部品10aでは、導体層20a〜20hにおいて磁束の集中が抑制されるようになり、縁端効果の発生がより効果的に抑制される。
また、電子部品10aでは、半円形状の導体層20a〜20hを形成し、絶縁体層22を形成するという比較的簡単な工程により、導体層20a〜20bに楕円形状の領域Bを形成させることが可能である。よって、電子部品10aの製造プロセスが簡単になり、該電子部品10aの製造コストが低減される。
また、以下に説明するように、z軸方向の正方向側の導体層20とz軸方向の負方向側の導体層20との間隔を、これらの導体層20の厚みの1/2以下とすることにより、電子部品10aの無負荷Qを高くすることができる。具体的には、本願発明者は、本実施形態の電子部品10aの無負荷Qの特性を測定した。まず、線幅50μm、厚み50μmの矩形状の断面を有する従来の電子部品では、無負荷Qは72であった。一方、図4の電子部品10aにおいて、z軸方向の正方向側の導体層20(例えば、導体層20a〜20d)とz軸方向の負方向側の導体層20(例えば、導体層20e〜20h)との形状を、線幅50μm、厚み25μmとし、z軸方向の正方向側の導体層20とz軸方向の負方向側の導体層20との間隔を変化させた。その結果、間隔が0.5μm、1.0μm、3.0μm、5.0μm、10μm、15μmのときの無負荷Qはそれぞれ、85.5、85.5、83.2、80.3、74.7、71.3であった。このように、z軸方向の正方向側の導体層20とz軸方向の負方向側の導体層20との間隔(すなわち、絶縁体層18bの厚み)を、これらの導体層20の厚みの1/2以下とすることにより、電子部品10aの無負荷Qを高くすることができることが分かる。無負荷Qは、減衰定数(α)と位相定数(β)との比(−2α/β)で表される。z軸方向の正方向側の導体層20とz軸方向の負方向側の導体層20との間隔を狭くすることにより、α,β共に小さくなるが、間隔を変化させることによる変化量はβの方が大きいので、無負荷Qが大きくなると考えられる。
(第2の実施形態)
(電子部品の構成)
第2の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。外観斜視図、分解斜視図及び等価回路図については、図1ないし図3を援用する。図6は、第2の実施形態に係る電子部品10bの図1のA−Aにおける断面構造図である。図6において、積層体12の積層方向をz軸方向と定義し、積層体12の長辺方向をx軸方向と定義し、積層体12の短辺方向をy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。
電子部品10aと電子部品10bとの相違点は、図4及び図6に示すように、導体層20a〜20hの形状である。より具体的には、電子部品10aでは、導体層20a〜20hは、半円形状の断面形状を有していたのに対して、電子部品10bでは、導体層20a〜20hは、U字型の断面形状を有している。以下に、かかる相違点を中心に、電子部品10bについて説明する。
以下では、導体層20a,20eを例にとって説明する。図6に示すように、導体層20aは、平板状の導体層がz軸方向の正方向側に突出するように湾曲させられた断面形状を有している。一方、導体層20eは、平板状の導体層がz軸方向の負方向側に突出するように湾曲させられた断面形状を有している。そして、導体層20aと導体層20eはそれぞれ、絶縁体層18bを挟んで対向している。これにより、導体層20a,20eは、図6に示すように、y軸方向に直交する断面(線状導体が延在する方向に直交する断面)において、線幅方向の中央から離れるにしたがってz軸方向の厚みが小さくなる形状を有する領域Bを形成している。本実施形態では、領域Bは、楕円形状をなしている。なお、導体層20b〜20d,20f〜20hは、導体層20a,20eと同じ構造を有しているので、これらの詳細な説明を省略する。また、電子部品10bのその他の構成は、電子部品10aのその他の構成と同じであるので説明を省略する。
以上のような構成を有する電子部品10bにおいても、電子部品10aと同様に、コイルL1〜L4の抵抗値を低減することができると共に、コイルL1〜L4において縁端効果が発生することを抑制できる。
(電子部品の製造方法)
次に、電子部品10bの製造方法について図面を参照しながら説明する。図7は、電子部品10bの作製時における工程断面図である。
まず、絶縁体層18a〜18gとなるLTCCのセラミックグリーンシートを準備する。なお、LTCCのセラミックグリーンシートの作成方法は、公知であるので説明を省略する。
次に、図2に示すように、絶縁体層18b〜18fとなるセラミックグリーンシートのそれぞれに、ビアホール導体b1〜b26を形成する。具体的には、絶縁体層18b〜18fとなるセラミックグリーンシートにレーザビームを照射してビアホールを形成する。次に、このビアホールに対して、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などの導電性ペーストを印刷塗布などの方法により充填する。
次に、図2に示すように、絶縁体層18b〜18gとなるセラミックグリーンシート上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法で塗布することにより、導体層20a〜20pを形成する。なお、導体層20a〜20pの形成と同時に、ビアホール導体に対して導電性ペーストを充填してもよい。
次に、図7(a)に示すように、導体層20e〜20hの線幅方向の中央部分に絶縁材料(LTCC)のスラリーを塗布し、絶縁体層24a〜24dとなるセラミックグリーン層を形成する。この際、絶縁体層24a〜24dとなるセラミックグリーン層が上側に突出した半円形状をなすように、絶縁体層24a〜24dとなるセラミックグリーン層を形成する。
次に、図7(b)に示すように、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシートの上下を反転させ、絶縁体層18aとなるセラミックグリーンシートに積層し、仮圧着する。次に、図7(c)に示すように、絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシートの上下を反転させ、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシート上に積層し、仮圧着する。この際、導体層20a〜20dと導体層20e〜20hとがz軸方向から平面視したときに重なるように、絶縁体層18bとなるセラミックグリーンシートの導体層20a〜20dが形成されていない主面に対して、導体層20e〜20hが対向するように絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシートを積層・仮圧着する。仮圧着により、導体層20e〜20hの線幅方向の両端は、図7(c)の下方向に押さえつけられる。更に、導体層20a〜20dの線幅方向の中央はそれぞれ、絶縁体層24a〜24dにより図7(c)の下方向に押さえつけられる。これにより、導体層20a〜20dは、図6に示すように、絶縁体層18aとなるセラミックグリーンシート側に突出するように湾曲した断面形状を有するようになる。また、導体層20e〜20hは、絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシート側に突出するように湾曲した断面形状を有するようになる。その結果、導体層20a〜20dと導体層20e〜20hはそれぞれ、楕円形状の断面形状を有する領域Bを形成する。
この後、絶縁体層18cとなるセラミックグリーンシート上に、絶縁体層18d〜18gとなるセラミックグリーンシートをこの順に積層及び仮圧着する。これにより、マザー積層体を得る。更に、マザー積層体には、静水圧プレスなどにより本圧着を施す。この後、マザー積層体から電子部品10bを作製する工程に付いては、電子部品10aにおいて説明した工程と同じであるので説明を省略する。
(変形例)
以下に、電子部品10bの変形例について図面を参照しながら説明する。図8は、電子部品10bの変形例である電子部品10cの図1のA−Aにおける断面構造図である。
図8に示すように、電子部品10bの絶縁体層24a〜24dを、導体層26a〜26dに置き換えてもよい。この場合、コイルL1〜L4の断面積が増加するので、コイルL1〜L4の抵抗値が低減される。
(その他の実施形態)
本願発明に係る電子部品は、電子部品10a〜10cの構造に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
なお、コイルL1〜L4はそれぞれ、2つの導体層20により構成されているが、3以上の導体層20により構成されていてもよい。図9は、コイルL1の断面構造図の拡大図である。
図9では、平板状の断面形状を有する5つの導体層20がz軸方向に重なるように設けられている。そして、5つの導体層20は、z軸方向において、中央にいくにしたがって線幅が広くなる形状を有している。これにより、複数の導体層20が、図9に示すように、y軸方向に直交する断面(線状導体が延在する方向に直交する断面)において、線幅方向の中央から離れるにしたがってz軸方向の厚みが小さくなる形状を有する領域Bを形成するようになる。
また、図9に示す導体層20はそれぞれ、線幅方向の中央から離れるにしたがってz軸方向の厚みが小さくなる形状を有している。これにより、各導体層20の角部において縁端効果が発生することが抑制される。
また、電子部品10a〜10cでは、コイルL1〜L4を構成している導体層20は、z軸方向に絶縁体層18を挟んで並んでいた。しかしながら、コイルL1〜L4を構成している導体層20は、x軸方向又はy軸方向に絶縁体層18を挟んで並んでいてもよい。すなわち、領域B内において、複数の導電層20がx軸方向又はy軸方向に並んでいてもよい。
また、電子部品10a〜10cでは、絶縁体層18は、単一の材料(LTCC)からなるものとしたが、複数種類の材料からなっていてもよい。具体的には、同一の領域B内に複数の絶縁体層18が存在している場合(すなわち、導体層20a〜20dと導体層20e〜20hとの間に複数の絶縁体層18が存在している場合)には、複数の絶縁体層18は、透磁率の異なる複数種類の材料によって構成されていてもよい。これにより、コイルL1〜L4のインダクタンス値を任意の値に設定することが容易となる。
また、電子部品10a〜10cでは、導体層20は、単一の材料(LTCC)からなるものとしたが、複数種類の材料からなっていてもよい。具体的には、同一の領域B内に存在している複数の導体層20は、異なる複数種類の材料によって構成されていてもよい。これにより、コイルL1〜L4のインダクタンス値や抵抗値を任意の値に設定することが容易となる。
なお、図4に示す電子部品10aにおいて、導体層20a〜20dのz軸方向の正方向側に隣接している絶縁体層18aの厚み、及び、導体層20e〜20hのz軸方向の負方向側に隣接している絶縁体層18cの厚みを、絶縁体層18b,18d〜18gよりも大きくしてもよい。特に、絶縁体層18a,18cにおいて、導体層20a〜20hの線幅方向の中央とz軸方向に重なる部分の厚みを、大きくすることが望ましい。これにより、絶縁体層18同士の接合部分や積層体12外を通過する磁束の量を減らすことが可能となる。その結果、コイルL1〜L4のインダクタンス値が向上する。
なお、領域Bは、楕円形状であるとしたが、円形であってもよい。
本発明は、電子部品及びその製造方法に有用であり、特に、コイルの抵抗値を低減できると共に、縁端効果の発生を抑制できる点において優れている。
B 領域
C1〜C8 コンデンサ
L1〜L4 コイル
b1〜b26 ビアホール導体
10a〜10c 電子部品
12 積層体
14a,14b,16a,16b 外部電極
18a〜18g,22,24a〜24d 絶縁体層
20a〜20p,26a〜26d 導体層

Claims (10)

  1. 絶縁体層が積層されてなる積層体と、
    線状導体により構成され、かつ、前記積層体に内蔵されたコイルを構成している複数のコイル導体と、
    を備え、
    前記絶縁体層を介して対向していると共に、略同位相の信号が流れる3以上の前記コイル導体は、前記線状導体が延在する方向に直交する断面において、線幅方向の中央から離れるにしたがって積層方向の厚みが小さくなる形状を有する領域を形成しており、かつ、積層方向に重なるように設けられると共に、積層方向において中央に行くにしたがって線幅が広くなる形状を有していること、
    を特徴とする電子部品。
  2. 絶縁体層が積層されてなる積層体と、
    線状導体により構成され、かつ、前記積層体に内蔵されたコイルを構成している複数のコイル導体であって、第1のコイル導体及び第2のコイル導体を含む複数のコイル導体と、
    を備え、
    前記絶縁体層を介して対向していると共に、略同位相の信号が流れる前記第1のコイル導体及び前記第2のコイル導体は、前記線状導体が延在する方向に直交する断面において、線幅方向の中央から離れるにしたがって積層方向の厚みが小さくなる形状を有する領域を形成しており、
    積層方向の上側に突出するように湾曲したU字型の断面形状を有する前記第1のコイル導体、及び、積層方向の下側に突出するように湾曲したU字型の断面形状を有する前記第2のコイル導体が、前記領域内において積層方向に対向していること、
    を特徴とする電子部品。
  3. 前記領域は、円形又は楕円形であること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  4. 同一の前記領域内に存在している前記複数の絶縁体層は、複数種類の絶縁性材料で構成されていること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。
  5. 同一の前記領域内に存在している前記複数のコイル導体は、複数種類の導電性材料で構成されていること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子部品。
  6. 前記絶縁体層の厚みは、前記第1のコイル導体及び前記第2のコイル導体の厚みの1/2以下であること、
    を特徴とする請求項2に記載の電子部品。
  7. 第1の絶縁体層及び第2の絶縁体層を準備する工程と、
    前記第1の絶縁体層上及び前記第2の絶縁体層上のそれぞれに、線状導体により構成され、かつ、該線状導体が延在する方向に直交する断面において、線幅方向の中央から離れるにしたがって積層方向の厚みが小さくなる断面構造を有する第1のコイル導体及び第2のコイル導体を形成する工程と、
    前記第1の絶縁体層の前記第1のコイル導体が形成された主面に、絶縁体層を塗布して平坦化する工程と、
    前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体とが積層方向から平面視したときに重なるように、前記第1の絶縁体層に前記第2の絶縁体層を積層する工程と、
    を備えていること、
    を特徴とする電子部品の製造方法。
  8. 第1の絶縁体層及び第2の絶縁体層を準備する工程と、
    前記第1の絶縁体層上及び前記第2の絶縁体層上のそれぞれに、線状導体により構成される第1のコイル導体及び第2のコイル導体を形成する工程と、
    前記第2のコイル導体の線幅方向の中央部分に中間層を形成する工程と、
    前記第1のコイル導体と前記第2のコイル導体とが積層方向から平面視したときに重なるように、前記第1の絶縁体層に前記第2の絶縁体層を積層する工程と、
    を備えていること、
    を特徴とする電子部品の製造方法。
  9. 前記中間層は、絶縁体からなること、
    を特徴とする請求項8に記載の電子部品の製造方法。
  10. 前記中間層は、導電体からなること、
    を特徴とする請求項9に記載の電子部品の製造方法。
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