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JP5393414B2 - 全固体リチウム二次電池の再生方法 - Google Patents
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本発明は、全固体リチウム二次電池の再生方法に関する。
近年、携帯電話・PDA・ノートパソコンなどの高機能化に伴い、長時間使用が可能であり、且つ小型・軽量で、安全性の高い二次電池が強く要望されている。このような要望に応える二次電池として、他の二次電池に比べて、高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池が多用されており、またこのリチウム二次電池には、電解質として有機電解液を用いたものと、発火などの惧れがない無機固体物質を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このリチウム二次電池における電池反応は、層状化合物である正極活物質と負極活物質との層間をリチウムイオン(Li)が挿入脱離する反応であり、正極活物質と負極活物質に挟まれた電解質の中を移動する物質はリチウムイオンだけで良いが、従来の電解液系リチウム二次電池の有機電解液中では対のアニオン、溶媒分子、不純物も拡散する。したがって、電解液や不純物の電気化学的な安定性が低い場合(言い換えれば、電圧による酸化または還元分解を引き起こすような場合)、繰り返しの使用に伴い電極表面で副反応を起こし、サイクル劣化を引き起こす一因になっている。
このため、従来から、その繰返し使用時に生ずる劣化を抑制するための工夫が様々な方面よりなされている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、これらの工夫により劣化を減速させることはできても、一度、副反応等により劣化した電池については、その充放電容量を初期状態に戻すことは不可能であった。これは上述したように、劣化の原因が電池内部の化学反応に起因するからである。
特開2008−257962号公報 特開2009−238765号公報
ところが、電解質として無機固体物質を用いた全固体リチウム二次電池では、その固体電解質中においてリチウムイオンだけが移動する。その結果、全固体リチウム二次電池では、副反応が生じにくいと考えられる。しかし、電極活物質におけるリチウムイオンの挿入脱離に伴う膨張収縮などの物理的変化、その他の劣化原因によって、サイクル劣化はそれでもなお生じるものであり、したがってサイクル劣化の抑制を図ることはあっても、再生については、殆ど、実現されていないのが実情であった。
そこで、本発明は、固体電解質を有するリチウム二次電池において、その再生を図り得る全固体リチウム二次電池の再生方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の全固体リチウム二次電池の再生方法は、正極材と負極材との間にリチウムイオン伝導性固体電解質が配置されるとともにこれら各極材の外面にそれぞれ集電体が配置されて成る積層体がパッケージ化され、且つそのパッケージ化されたままの無加圧状態で使用された全固体リチウム二次電池を再生する際に、
所定の圧力を付加しながら所定の電流密度でもって充放電を行う方法であり、
また上記再生方法における所定の圧力は1〜80MPaの範囲であり、
さらに上記再生方法における所定の電流密度は、その標準時間率電流の1/2以下とするものである。
上記再生方法によると、所定の圧力下で、例えば1〜80MPaの圧力範囲で且つ所定の電流密度にて、例えば標準時間率電流の1/2以下の電流密度にて再生することにより、初期状態とほぼ同程度の容量に再生することができ、したがって再度、高容量でサイクル充放電を行わせることができる。
本発明の実施例に係る全固体リチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。 同実施例に係る全固体リチウム二次電池における充放電のサイクル数と放電容量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態に係る全固体リチウム二次電池の再生方法を具体的に示した実施例に基づき説明する。
まず、本発明に係る再生方法が適用される全固体リチウム二次電池の概略構成について説明するとともに、その製造方法について簡単に説明する。
図1に示すように、この全固体リチウム二次電池は、リチウムイオン伝導性固体電解質を用いたもので、負極材(負極合材である)2と正極材(正極合材である)4との間にリチウムイオン伝導性固体電解質(以下、単に、固体電解質ともいう)3が配置されるとともに、負極材2の固体電解質3とは反対側の表面に負極集電体1が、また正極材4の上記固体電解質3とは反対側の表面に正極集電体5が積層されたものである。
上記正極材4としては、正極活物質とリチウムイオン伝導性固体電解質との混合物が用いられている。この正極活物質としては、例えば酸素気流中において700℃で20時間焼成したLiNi0.8Co0.15Al0.05が用いられるとともに、リチウムイオン伝導性固体電解質としては、例えばLiS(80%)とP(20%)との混合物が用いられている。さらに、この混合物の正極活物質(LiNi0.8Co0.15Al0.05)とリチウムイオン伝導性固体電解質(LiS−P)とは、所定の質量比(重量比)でもって、例えば7:3の割合にされている。
そして、正極材4は正極集電体5の上面に乾式にて成膜されている。具体的には、正極集電体5の上面に正極材4を積層し、単動式プレスにより、600MPaで加圧することにより厚さ約45μmの正極層を得た。
上記固体電解質3としては、例えばLiS−Pを56μmの開口幅を有する篩にかけ、その篩下のものが用いられる。この固体電解質3は、正極材4の上面に乾式にて成膜される。具体的には、正極材4の上面に固体電解質3を積層し、単動式プレスにより、825MPaで加圧することにより、厚さ約35μmの薄い固体電解質層(薄膜)を得た。
ところで、乾式による成膜方法としては、例えば静電塗布法(つまり静電塗装の原理による方法)が用いられる。この静電塗布法は、粉末材料を噴出用ノズルから被塗布部材の表面に噴出させる際に、噴出用ノズル内に配置された針状電極と対向電極側である被塗布部材との間に高電圧の直流を印加し、このとき発生したコロナ放電により粉末材料に電荷を帯電させて、クーロン力により粉末材料を被塗布部材に付着させる方法である。
上記負極材2としては、負極活物質とリチウムイオン伝導性固体電解質との混合物が用いられている。また、この負極活物質としては、グラファイトが用いられるとともに、リチウムイオン伝導性固体電解質としては、例えばLiS(80%)とP(20%)との混合物が用いられる。そして、負極活物質(グラファイト)とリチウムイオン伝導性固体電解質(LiS−P)とは、所定の質量比(重量比)でもって、例えば6:4の割合に混合されている。
そして、上記負極材2は固体電解質3の上面に上記と同様の乾式にて成膜されている。具体的には、固体電解質3の上面に負極材2を積層し、単動式プレスにより、1050MPaで加圧することにより、厚さ約90μmの負極層を得た。
また、負極集電体1として、銅(Cu)が用いられるとともに、正極集電体5には錫(Sn)が用いられている。
次に、上述した正極集電体5、正極材4、固体電解質3、負極材2および負極集電体1から成る積層体を負極リードおよび正極リードを有する袋状容器(ラミネートセル、ラミネートフィルムともいう)に封入する。このとき、袋状容器内の空気が吸引(真空引き)されるとともに、或る程度の真空度に維持されて、水分の影響を受けないようにされる。
次に、袋状容器を恒温槽内に配置して、圧力が60MPaとなるように且つ温度が30℃となるようになし、この状態で、充電終止電圧が4.2V、放電終止電圧が2.0Vおよび充放電電流が0.1mA/cmとなる条件にて、定電流による予備充放電(初期充放電であり、このとき加えられる圧力(60MPa)を初期時圧力と呼ぶこともできる)を行った。
次に、袋状容器を恒温槽から取り出し、袋状容器への圧力を開放した後、袋状容器をその正極に作用する圧力が0.1MPaとなるように真空状態にして、この袋状容器を30℃の恒温槽内に配置した。
次に、充電終止電圧が4.2V、放電終止電圧が2.0Vおよび充放電電流が0.5mA/cmとなる条件にて定電流による、通常の使用状態としての150サイクル充放電試験を行った。通常の使用状態では、全固体リチウム二次電池には、すなわち袋状容器に封入された積層体には余分な外力は付加されておらず、無加圧状態にされている。
引き続いて、この充放電が行われた全固体リチウム二次電池の再生方法について説明するが、当該二次電池を実際に使用する替わりに、上述したように、使用状態としての試験を行った結果について説明する。
すなわち、袋状容器を、再度、恒温槽内に配置して60MPaの圧力(正極に作用する圧力で、再生時圧力ともいう)を付与し、この状態で充電終止電圧が4.2V、放電終止電圧が2.0Vおよび充放電電流が0.1mA/cmとなる条件にて、定電流により1サイクル充放電を行った(再生工程である)。
次に、袋状容器を恒温槽から取り出し、袋状容器への圧力を開放した後、袋状容器を、0.1MPa(正極に作用する圧力)となるように真空状態となし、そして充電終止電圧が4.2V、放電終止電圧が2.0Vおよび充放電電流が0.5mA/cmとなる条件にて、定電流により、100サイクル充放電試験を行った。その結果を図2のグラフにて示す。図2の範囲Aが無加圧状態である通常の使用状態を示し、B点が再生時の加圧状態を示し、範囲Cが再生後における使用状態を示している。この図2のグラフから、所定の圧力下(例えば、60MPa)で且つ所定の定電流密度で、すなわち通常の使用電流密度の1/2、言い換えれば、定格容量(標準時間率容量)を放電可能な標準時間率電流の1/2以下(具体的には、5時間率で表わされる二次電池については、10時間率での電流密度となる)の値で充放電を行うことにより、その容量を初期状態とほぼ同程度に再生させることができ、したがって再度、高容量でサイクル充放電を行わせることができる。
なお、再生(以下、コンディショニングともいう)としての所定の圧力下(加圧下)での充放電を行った後も、加圧したままで通常のサイクル充放電を行った場合には、その後、再々度、コンディショニングとしての充放電(再生)を行っても、容量は戻らなかった。
この実験から、全固体リチウム二次電池の容量を、使用後(サイクルの実施後)に再生するためには、下記の条件を満たす必要があることが判った。
(1)乾式にて、例えば静電塗布法により成膜を行い、不純物(電池材料以外の物質)を含まない全固体リチウム二次電池であること。
(2)成膜された層は薄い層で且つ均一な膜厚であり、加圧成形により、粒同士の接触状態が良好となる層であること(好ましくは、膜が形成された段階で密な状態を有していること)。このような薄く且つ均一な層は、具体的には、上述したような静電塗布法により得られ、加圧成形することにより、材料の粒同士が密に接触することになる。
(3)二次電池の作製後、コンディショニング充放電を加圧状態で且つ定格容量(標準時間率容量)を放電可能な標準時間率電流の1/2以下の電流密度で行うこと。すなわち、通常の使用状態(サイクル試験時)の電流密度の1/2以下の電流密度で行うことにより、負極に少しずつ堆積したリチウムイオンを正極に引き戻す効果を有しているからである。
(4)コンディショニング充放電後のサイクル充放電使用は、無加圧状態(真空引きしたパッキング状態、つまり1kg/cmの加圧状態)で行うこと。
(5)再コンディショニングは加圧状態での充放電であること。
(6)再コンディショニング後の再サイクル使用は、やはり、無加圧状態で行うこと。
ところで、上記実施例においては、積層体を袋状容器内に封入する際に真空引きを行い、その外圧が大気圧となるように説明したが、実際の製品では、積層体を複数個重ねてパッケージ化が行われるため、これら積層体には、その重量および封止力などにより、最大0.6MPa程度の圧力、通常はそれ以下の圧力が付加されることになり、したがって再生時に積層体に付加される所定の圧力は、これ以上の値、すなわち1MPa以上とされ、また最大圧力は80MPaとされる。圧力が80MPaを越えると、その性能が頭打ちになるからである。
上述したように、無加圧状態には、積層体が封入された袋状容器に付加される大気圧に加えて、0.6MPa程度の低加圧のパッケージ圧力も含んでおり、したがって無加圧状態とは、製品としての二次電池に余分な外力が作用していない状態を意味している。
1 負極集電体
2 負極材
3 固体電解質
4 正極材
5 正極集電体

Claims (3)

  1. 正極材と負極材との間にリチウムイオン伝導性固体電解質が配置されるとともにこれら各極材の外面にそれぞれ集電体が配置されて成る積層体がパッケージ化され、且つそのパッケージ化されたままの無加圧状態で使用された全固体リチウム二次電池を再生する際に、
    所定の圧力を付加しながら所定の電流密度でもって充放電を行うことを特徴とする全固体リチウム二次電池の再生方法。
  2. 所定の圧力は、1〜80MPaの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の全固体リチウム二次電池の再生方法。
  3. 所定の電流密度は、その標準時間率電流の1/2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の全固体リチウム二次電池の再生方法。
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