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JP5401066B2 - 磁気ディスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)等の情報を記録するための磁気ディスク装置に搭載する磁気ディスク及びその製造方法に関する。
従来、磁気ディスク装置においては、停止時には磁気ディスク上の接触摺動用の内周領域面に磁気ヘッドを接触させておき、起動時には磁気ヘッドをこの内周領域面に接触摺動させながら僅かに浮上させ、接触摺動用の内周領域面の外側に位置する記録再生用の領域面で記録再生を開始するCSS(Contact Start and Stop)方式が採用されてきた。このCSS方式では、磁気ディスク上に、記録再生用領域とは別に接触摺動用領域を確保しておく必要がある。
また、CSS方式では、停止時に磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触吸着してしまわないように、磁気ディスク主表面上にテクスチャと呼ばれる一定の表面粗さの凹凸形状を設けることが行われている。また、CSS方式では、磁気ヘッドの接触摺動から磁気ディスクを保護するために、磁気ディスクの表面を保護層で被覆する等、されてきた。
一方近年では、高記録容量化の可能な、LUL(Load Unload)方式が採用され始めている。LUL方式では、停止時には、磁気ヘッドを磁気ディスクの外に位置するランプと称される傾斜台に退避させておき、起動時には、磁気ディスクが回転開始した後に、磁気ヘッドをランプから磁気ディスク面上のLUL領域に滑動させてから記録再生を行うため、磁気ディスク上で磁気ヘッドが接触摺動することはない。
このLUL方式では、CSS方式のように磁気ディスク面上に磁気ヘッドの接触摺動用領域を設ける必要がないため、CSS方式に比べて記録再生用領域の面積を広く確保でき、磁気ディスクの記録容量を増やせるという利点がある。
また、LUL方式では、磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触しないので、CSS方式のようにテクスチャを設ける必要が無く磁気ディスク表面を更に平滑化できる。従って、磁気ヘッドの浮上量をCSS方式の場合よりも低下(10nm以下)させて、磁気ディスクの記録密度を高めることが出来るという利点もある。
特開2004−127493号公報
しかしながら、CSS方式からLUL方式へ移行するに伴って磁気ヘッドの再生素子部の腐食障害が頻発するようになってきた。ヘッド再生素子部の腐食現象が発生すると、再生信号の出力が低下することにより読み出しエラーが頻発し、場合によっては全く再生が不可能となったり、腐食部が増大して浮上走行中に磁気ディスクにダメージを与えることがある。
近年の磁気ヘッドは、浮上量制御の容易なNPABスライダ(負圧スライダ)が採用されているが、浮上走行時には、スライダ面に負圧が発生するために、磁気ヘッドは、磁気ディスク面上の記録再生用領域に存在する微量な有機系、無機系の付着物等を掃除機のように徐々にスライダ面に集め濃縮し、スライダ面に堆積させてしまう傾向にある。
CSS方式に比べてLUL方式の場合の方が、腐食障害が発生しやすい傾向にある原因について、本発明者が研究したところによると、CSS方式では、これら磁気ヘッドに移着した堆積物質は、磁気ヘッドが磁気ディスク面上の接触摺動用領域を接触摺動するときにクリーニングされるが、LUL方式では、磁気ヘッドが磁気ディスク上を接触摺動しないために、このクリーニング作用が得られないことを突き止めた。
そして、さらに研究を進めたところ、LUL方式では、クリーニング作用が得られないため、磁気ヘッドに移着した濃縮されたコンタミ、特に硫化物系コンタミ、塩化物系コンタミ、窒化物系コンタミ等の酸性系コンタミが再生素子部の腐食を起こしているものと考えられた。特に、高出力の得られる磁気抵抗効果型再生素子(MR,GMR,TMR素子等)は腐食されやすい。
また、磁気抵抗効果型ヘッドは従来用いられてきた薄膜ヘッドとは異なり、記録素子と再生素子が分離している録再分離構造を有している。録再分離構造の場合、両素子間にFe−Ni系などのパーマロイ等のシールドを広く形成する必要がある。このパーマロイは腐食されやすい合金であるために、薄膜ヘッドと異なり、磁気抵抗効果型ヘッドの場合、腐食現象を厳重に防止する必要があることが判った。
上記特許文献1には、このような腐食障害の発生を抑えるため、磁気ディスクの端面の保護層の膜厚を主表面上の保護層の膜厚よりも厚くする技術が開示されている。
ところで、近年は、HDDは大容量化、軽量化が進んでおり、特にモバイル用途として用いられることが多くなってきている。また、従来は、コンピュータの記憶装置として使用されることがほとんどであったが、最近では、携帯電話、カーナビゲーションシステム等にも搭載されるようになり、従前よりもはるかに過酷な使用環境にさらされる機会が増大している。そのため、HDDに搭載されている磁気ディスクは、様々な環境条件下でも正常に書き込みや読み取りができることが要求されている。そこで、磁気ディスクにおいて、過酷な環境条件(高温高湿)に放置するなどして信頼性試験が行われている。
本発明者の検討によると、高温高湿条件下では、磁気ディスクを構成している層や基板から成分が表面上に溶出して固化し、腐食が発生する。腐食が発生すると、表面上は凹凸ができ、磁気ディスクとして正常な記録再生が行われなくなるという問題が生じる。このような内部の成分の溶出や腐食のメカニズムは、従来の磁気ディスクの特に端面は主表面よりも保護層や潤滑層で被覆され難いため、高温高湿環境下では水分が端面から磁気ディスク内部に浸透していき、その水分に磁性層や基板などの成分が溶けて、また磁気ディスク表面に拡散してくるものと推察される。
上記特許文献1に開示されたように、磁気ディスクの端面の保護層の膜厚を主表面上の保護層の膜厚よりも厚くすることにより、磁性層の金属イオンの溶出を抑制することは可能である。しかしながら、高温高湿条件下での信頼性に関する要求は近年さらに高まる傾向にあり、上記特許文献1に開示された技術だけでは、とくに高温高湿条件下での磁気ディスク端面の水分付着を要因とする成分溶出及び腐食を防止するには十分ではないことが判明した。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、磁気ディスク端面からの内部成分溶出や腐食障害の発生を十分に抑えることが可能な磁気ディスク及びその製造方法を提供することにある。
本発明者が、上述の腐食現象の発生メカニズムについて更に究明したところ、磁気ディスクの保護層及び潤滑層、特に、ディスク端面の保護層と潤滑層に着目し、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成を有するものである。
(構成1)ディスク基板上に順次形成された磁性層と炭素系保護層と潤滑層とを含む薄膜を有する磁気ディスクであって、前記磁気ディスクの主表面と端面とが前記炭素系保護層で被覆されてなり、前記炭素系保護層の前記潤滑層側は窒素を含有し、前記端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、前記主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上であることを特徴とする磁気ディスク。
(構成2)前記端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、原子比率で0.10以上であることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク。
(構成3)前記磁気ディスク端面の保護層の被覆率は95%以上であることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク。
(構成4)前記炭素系保護層はプラズマCVD法により形成された保護層であることを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載の磁気ディスク。
(構成5)前記磁性層はコバルト(Co)合金系磁性層であることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載の磁気ディスク。
(構成6)ディスク基板上に順次形成された磁性層と炭素系保護層と潤滑層とを含む薄膜を有する磁気ディスクの製造方法であって、前記ディスク基板上に磁性層と炭素系保護層を順次形成し、前記磁気ディスクの主表面と端面とを前記炭素系保護層で被覆し、その後、前記端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量が、前記主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上となるように、前記炭素系保護層の潤滑層側に窒素ドープを行うことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
本発明の磁気ディスクによれば、炭素系保護層の潤滑層側は窒素を含有し、磁気ディスクの端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、磁気ディスクの主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上であることにより、とくに高温高湿条件下での磁気ディスク端面の水分付着を要因とする内部成分溶出及び腐食の発生を十分に抑えることが可能になる。
また、本発明の磁気ディスクの製造方法によれば、上記効果を奏する磁気ディスクを好適に製造することができる。
発明を実施するための最良な形態
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
本発明の磁気ディスクは、ディスク基板上に順次形成された磁性層と炭素系保護層と潤滑層とを有する。ここで、保護層と潤滑層は、磁性層を腐食や磨耗、磁気ヘッドの衝撃等から保護するために設けられている。そして、本発明の磁気ディスクにおいては、前記磁気ディスクの主表面と端面とが前記炭素系保護層で被覆されており、前記炭素系保護層の前記潤滑層側は窒素を含有し、前記端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、前記主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上であることを特徴とするものである。
磁気ディスクにおいては、炭素系保護層の上に、潤滑作用があり、かつ表面エネルギーの低い例えばパーフルオロポリエーテル系などの潤滑剤を塗布して潤滑層を形成するが、潤滑剤との結合性や塗布性を高めるために、炭素系保護層、とくに炭素系保護層の潤滑層形成側に窒素を含有させることが好適である。しかし、従来の磁気ディスクでは、特に端面は主表面よりも窒素含有量が少ないため、潤滑剤で被覆され難い。本発明においては、磁気ディスクの端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量を、磁気ディスクの主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上とすることにより、磁気ディスクの端面にも潤滑剤を十分に付着させて潤滑層を形成することができ、結果として磁気ディスク端面の表面エネルギーが低下し、水分付着を抑えることができる。したがって、とくに高温高湿条件下での磁気ディスク端面での水分付着を要因とする内部成分溶出及び腐食の発生を十分に抑えることが可能になる。
磁気ディスクの端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量を、磁気ディスクの主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上とするためには、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法で炭素系保護層を成膜した後、チャンバー内にプラズマ化した窒素を流入することによって保護層の表面に窒素ドープを行う。特に磁気ディスクの端面側を積極的に窒素ドープするために、窒化用のチャンバー内で、磁気ディスクの端面側に向けた窒素プラズマ発生源を別途配置して、端面側に窒素プラズマが直接照射されるようにしたり、或いは、窒素をラジカル化してシャワーとして磁気ディスクの主表面側だけでなく端面側にも均一に窒素ドープする方法などが挙げられる。
本発明による効果を十分に得るためには、磁気ディスク端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、原子比率で0.10以上であることが好ましい。
また、磁気ディスク用のガラス基板は、2つの主表面と、その間に形成された端面からなり、該端面は2つの主表面とそれぞれ連続する2つの面取面と、その間に形成された側壁面とからなる。このようなガラス基板を用いて製造した磁気ディスクにおいては、磁気ディスク端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量に関して、上記面取面上での窒素含有量と、上記側壁面上での窒素含有量がともに主表面のそれ以上である。
なお、ディスクの内周側端面からの内部成分の溶出量は、外周側端面からの内部成分の溶出量よりも少ないと考えられる。何故ならば、内周側端面の円周長は外周側端面の円周長よりも小さいからである。また、通常の磁気ディスク装置においては、内周側端面部分はスピンドルハブに接しているため、磁気ディスク装置雰囲気に暴露される部分が少ないと考えられるからである。しかし、本発明の効果をより確実に得る観点からは、内周側端面についても、保護層中の窒素含有量を、主表面に形成された保護層中の窒素含有量以上となるようにすることが望ましい。
一方、主表面の保護層の膜厚は、磁気ディスク装置としての所望の情報記録密度を実現するために適宜設定される場合が多い。例えば、所望の情報記録密度を実現するために、所定のスペーシングロスが設定され、このスペーシングロスを実現するために、所定の主表面の保護層膜厚が設定される。このようにして磁気ディスクの主表面の保護層膜厚は決定される。ディスクの主表面の保護層の膜厚については、内部成分の溶出を抑制するために30Å以上とするのが好ましいが、上限については、磁気ディスクの高記録密度化に伴うスペーシングロスを抑えるため、保護層の膜厚を出来るだけ低減する必要があり、その観点からは60Å以下とすることが好ましい。
また、本発明の磁気ディスクにおいて、ディスク端面の保護層の被覆率が95%以上であることが好ましい。保護層が端面部位を被覆する度合いを高めることにより、端面からの例えば金属イオンの溶出を十分に抑制することが可能になる。
本発明においては、前記保護層は炭素系保護層である。炭素系保護層は、一般に膜が硬く、耐磨耗性に優れ、摺動特性が良好である。特に、水素を含有する炭素系保護層は、CのダングリングボンドをHが埋めることにより、剛性の高い安定な非晶質構造が構成されるので、保護膜が全体として高い耐磨耗性を発揮する。また、この水素を含有する炭素系保護層は、極めて緻密な構造であるため、磁性層からの金属イオンの溶出を防止する作用が高い。
また本発明においては、潤滑層と接する保護層表面部分に窒素を含有する。従って、保護層の磁性層に接する部分を炭素水素系保護層、保護層の潤滑層に接する表面部分を炭素窒素系保護層又は炭素水素窒素系保護層とすると、本発明にとって好適である。
なお、本発明において炭素系保護層は、炭素を主成分とするダイヤモンドライク炭素保護層とすることが好ましい。炭素水素系保護層や炭素窒素系保護層においても、炭素を主成分とするダイヤモンドライク炭素保護層として形成されることが好ましい。
このような炭素系保護層は、例えば、スパッタリング法により形成される。通常、スパッタリング法では、スパッタされた炭素原子が基板(ガラス基板上に少なくとも磁性層が形成されている状態)上にスパッタされる際に、基板に対し垂直に直線性良くスパッタリングされるため、基板の内外周の端面には殆ど保護層が形成されない。しかし、本発明者の研究の結果、保護層成膜時に、基板に所定のバイアスを印加しながらスパッタリングすることにより、スパッタさせる炭素原子の方向を予め基板の端面に向かせることで、基板の主表面だけでなく、端面にも保護層が形成されることを見い出した。これにより、ディスクの主表面及び端面の保護層の膜厚をそれぞれ所定値に調整することが可能になる。
なお、保護層の成膜は、以上のスパッタリング法に限定されず、たとえば、バイアスを印加しながらプラズマCVD法により行うことも可能である。
本発明においては、前記磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることができる。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。例えば,Cr系合金など立方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面に沿って配向させることができる。この場合、面内磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。また、例えば、RuやTiを含む六方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面の法線に沿って配向させることができる。この場合、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。下地層は磁性層同様にスパッタリング法により形成することができる。
本発明の磁気ディスクは、前記炭素系保護層上に潤滑層を備える。潤滑層の素材は特に限定されないが、炭素系保護層(特に窒素を含有する炭素窒素系保護層)との密着性が良好なものが好ましく、液体であっても固体であってもよい。具体的には、潤滑層を形成する潤滑剤としては、PFPE(パーフロロポリエーテル)化合物が好適である。このようなPFPE(パーフロロポリエーテル)化合物としては、アルコール変性PFPEを好ましく用いることができる。アルコール変性PFPEは、PFPE主鎖の末端官能基に水酸基(−OH)を備える化学構造となっている。
潤滑層の形成は、ディップ法、スプレイ法、スピンコート法等、公知の方法を用いることが出来る。潤滑層の膜厚は、本発明においては特に限定されないが、通常5〜20Å程度とするのが好ましい。磁気ディスク端面側の潤滑層の膜厚も、5〜20Åとするのが好ましい。
本発明において、前記基板としてはガラス基板を使用するのが好ましい。ガラス基板は、平滑性が高く、高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低浮上量化の要求を満たすことが可能である。ガラス基板の材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は結晶化ガラス等のガラスセラミックス等が挙げられる。アルミノシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、ガラス基板表面に圧縮応力層を設けることができ、抗折強度や、剛性、耐衝撃性、耐振動性、耐熱性に優れ、高温環境下にあってもNaの析出がないとともに、平坦性を維持し、ヌープ硬度にも優れる。
また、ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.5mm程度が好ましい。
本発明において、主表面については鏡面研磨されたディスク基板であることが好ましく、主表面の鏡面品質としては、Rmaxで6nm以下、Raで0.6nm以下であることが好ましい。また、端面についても鏡面研磨されていることが好ましい。端面の鏡面品質としては、表面粗さRmaxで1μm以下、Raでは0.1μm以下の鏡面であることが好ましい。なお、RmaxおよびRaは日本工業規格(JIS)B0601に準拠するものである。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態についてさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.5mmの円盤状のアルミノシリケートガラスからなるガラス基板を得、これに粗ラッピング工程(粗研削工程)、形状加工工程、精ラッピング工程(精研削工程)、端面鏡面加工工程、第1研磨工程、第2研磨工程を順次施すとともに、次いで化学強化を施すことにより、磁気ディスク用ガラス基板1を製造した。このガラス基板は、主表面、端面ともに鏡面研磨加工されている。
上記化学強化及びその後の洗浄を終えたガラス基板表面の目視検査及び精密検査を実施した結果、ガラス基板表面に付着物による突起や、傷等の欠陥は発見されなかった。また、上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=2.13nm、Ra=0.20nmと超平滑な表面を持つ磁気ディスク用ガラス基板を得た。また、ガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
得られたガラス基板1は、図1に示すように、2つの主表面11,11と、その間に形成された端面12からなり、端面12は2つの面取面12b,12bと、その間に形成された側壁面12aとからなる。この端面は、ガラス基板1の内周側及び外周側に同様に形成されている。なお、端面の表面粗さは、Rmaxで0.8μm、Raで0.07μmであり、主表面に比べて粗かった。
次に、得られた磁気ディスク用ガラス基板1上に枚葉式スパッタリング装置を用いて、付着層、軟磁性層、第1下地層、第2下地層、磁性層を順次成膜し、次いでプラズマCVD法により炭素系保護層を形成し、更にその上に潤滑層をディップ法により形成した。この磁気ディスクは垂直磁気記録方式用の磁気ディスクである。
付着層は、Ti系合金薄膜を膜厚100Åに形成した。
軟磁性層は、Co系合金薄膜を膜厚600Åに形成した。
第1下地層は、Pt系合金薄膜を膜厚70Åに形成した。また、第2下地層は、Ru合系合金薄膜を膜厚400Åに形成した。
磁性層は、CoPtCr合金からなり、膜厚は200Åに形成した。
保護層は、ダイヤモンドライク炭素保護層とし、プラズマCVD法により成膜した。なお、この保護層成膜は基板に800Wの高周波バイアスを印加しながら行い、主表面上の膜厚が50Åとなるように形成した。
上記保護層成膜後、窒素ドープを行った。図3(ドープ方法B)に示すように、上記保護層まで形成した磁気ディスク10に対して、その上下両主表面側に窒素プラズマ発生源21,22を配置するとともに、その端面側にも窒素プラズマ発生源23,24を配置して、上記保護層表面に窒素ドープを行った。このときの窒化条件は、ガス圧2Pa、高周波電力100W、窒化時間は1秒とした。
保護層中の窒素ドープ量をX線光電子分光法によって測定した結果、端面の側壁面と面取面、及び主表面にそれぞれ形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、いずれも原子比率で0.10であった。
次に、潤滑層は、パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤中に磁気ディスクを浸漬させるディップ法により形成し、110℃60分間加熱焼成し、膜厚は15Åとした。なお、上記パーフルオロポリエーテル(PFPE)として、PFPE主鎖の両末端に水酸基(−OH)を備えるアルコール変性PFPEを用いた。
得られた磁気ディスク10は、図2に示すように、2つの主表面101と、その間に形成された端面102からなる。
得られた磁気ディスクについて、ディスク外周端面を評価したところ、ガラス基板1の側壁面12aと2つの面取面12b,12bを含む、ディスク端面102の全領域に磁性層と保護層と潤滑層が形成されていた。また、内周端面についても同様であった。また、外周端面の保護層の被覆率は、X線光電子分光法により測定した結果、98%であった。
次に、得られた磁気ディスクについて、以下の腐食検査を行った。
〔腐食検査〕
得られた磁気ディスクを70℃80%RHの高温高湿環境下に120時間放置後、その磁気ディスクを取り出し。高輝度ハロゲンランプ下での目視検査と、50倍の倍率を有する光学顕微鏡検査とで、磁気ディスク表面の腐食発生の有無を検査した。その結果、本実施例の磁気ディスクでは、腐食の発生は観察されなかった。
上記腐食検査後、以下のLUL試験により耐久信頼性評価を行った。
〔LUL試験〕
磁気記録装置に、上記磁気ディスクと、巨大磁気抵抗効果型再生素子(GMR素子)を備えた磁気ヘッドとを装着し、磁気ヘッド浮上時の浮上量を10nmとし、磁気記録装置内の環境を70℃、80%RHの高温高湿環境下で、ヘッドのロード・アンロード動作を繰り返し行った。その結果、本実施例の磁気ディスクは、80万回のロードアンロード動作に耐久した。
上記の耐久信頼性試験後、磁気記録装置から磁気ディスクと磁気ヘッドを取り出し。高輝度ハロゲンランプ下での目視検査と、50倍の倍率を有する光学顕微鏡検査とで、磁気ディスク表面と、磁気ヘッドのスライダー部及び、GMR素子部とシールド部の検査を行った結果、磁気ディスクと磁気ヘッドのいずれにも腐食の発生は認められなかった。
本実施例の磁気ディスクについて、端面及び主表面の保護層中の窒素含有量、腐食検査、LUL試験の結果をまとめて後記表1に示す。
(実施例2)
保護層中に窒素ドープする際、図3に示す方法により行い、その条件をガス圧4Pa、高周波電力100W、窒化時間は1秒としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の磁気ディスクを作製し、実施例1と同様の試験を行った。これらの結果はまとめて後記表1に示す。
(実施例3,4)
保護層中に窒素ドープする際、図4(ドープ方法C)に示すラジカル窒化方法により行い、実施例3の条件をガス圧2Pa、窒化時間は1秒、実施例4の条件をガス圧3Pa、窒化時間は1秒としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3,4の磁気ディスクを作製し、実施例1と同様の試験を行った。これらの結果はまとめて後記表1に示す。
(比較例1)
保護層成膜後、窒素ドープは行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、実施例1と同様の試験を行った。これらの結果はまとめて後記表1に示す。
(比較例2)
保護層中に窒素ドープする際、図5(ドープ方法A)に示すように、磁気ディスク10に対して、その上下両主表面側に窒素プラズマ発生源21,22を配置して行い(従来方法)、それ以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、実施例1と同様の試験を行った。これらの結果はまとめて後記表1に示す。
Figure 0005401066
なお、表1中、端面(T)は側壁面、端面(C)は面取面を示す。端面(T)、端面(C)及び主表面の保護層中のN/Cはいずれも原子比率で示している。また、腐食可否は、腐食検査の結果、腐食発生が認められなかった場合を「OK」、腐食発生が認められた場合を「NG」とした。また、LULテストは、80万回のロードアンロード動作に耐久した場合を「OK」、予め腐食試験は行わずにLUL試験を行ったが、30万回までにクラッシュ等により故障した場合を「NG」とした。
上記表1の結果から、本実施例による磁気ディスクは、腐食検査、LUL試験において高い信頼性が得られることがわかる。これに対して、例えば従来方法により保護層表面への窒素ドープを行った比較例2においては、特に端面側の保護層中の窒素含有量が主表面側より少ないため、潤滑層表面での水分付着を抑制できず、これを要因とする内部成分の溶出による腐食が発生し、高温高湿下で使用した場合の信頼性が得られない。
ガラス基板の側断面図である。 磁気ディスクの全体斜視図である。 本実施例における窒素ドープ方法を示す概略構成図である。 本実施例における窒素ドープ方法を示す概略構成図である。 比較例における窒素ドープ方法(従来方法)を示す概略構成図である。
符号の説明
1 ガラス基板
10 磁気ディスク
21〜24 窒素プラズマ発生源

Claims (5)

  1. ディスク基板上に順次形成された磁性層と炭素系保護層と潤滑層とを含む薄膜を有する磁気ディスクであって、前記磁気ディスクの主表面と端面とが前記炭素系保護層で被覆されてなり、前記炭素系保護層の前記潤滑層側は窒素を含有し、前記端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、前記主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上であり、前記端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量は、原子比率で0.10以上であることを特徴とする磁気ディスク。
  2. 前記磁気ディスク端面の保護層の被覆率は95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
  3. 前記炭素系保護層はプラズマCVD法により形成された保護層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
  4. 前記磁性層はコバルト(Co)合金系磁性層であることを特徴とする請求項1乃至の何れか一に記載の磁気ディスク。
  5. 請求項1乃至4の何れか一に記載のディスク基板上に順次形成された磁性層と炭素系保護層と潤滑層とを含む薄膜を有する磁気ディスクの製造方法であって、前記ディスク基板上に磁性層と炭素系保護層を順次形成し、前記磁気ディスクの主表面と端面とを前記炭素系保護層で被覆し、その後、前記端面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量が、前記主表面に形成された保護層中の炭素に対する窒素含有量以上となるように、前記炭素系保護層の潤滑層側に窒素ドープを行うことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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