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JP5407501B2 - ガス吸着フィルタの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、気中のガス成分を吸着する脱臭フィルタやケミカルフィルタなどのガス吸着フィルタとその製造方法および、ガス吸着フィルタを搭載したガス吸着装置に関するものである。
従来から空気中のガス成分を除去するために、吸着剤を利用した様々な形状のガス吸着フィルタなどが報告されている。中でも粒状の吸着剤を成形あるいは固定化したものは比較的安価で製造可能であり、脱臭フィルタやケミカルフィルタなどに代表されるガス吸着フィルタとして広く使用されている。近年、更に高性能且つ長寿命であるガス吸着フィルタが求められており、例えば吸着剤粒子と熱可塑性樹脂バインダ粒子の混合物を加熱し、溶融した熱可塑性樹脂バインダ粒子によって吸着剤粒子同士を結合させる方法など、吸着剤に自己支持性を持たせることで基材を必要とせず、吸着剤の充填量を向上させることで高性能、長寿命化させたものが提案されている。
この吸着剤粒子とバインダ粒子を混合し、加熱成形するフィルタの製造方法において、吸着剤粒子とバインダ粒子をいかに均一に混合するかが成形性の重要な条件となる。混合性が悪いとフィルタの強度不足や粉落ちだけでなく吸着性能低下の原因となってしまうからである。吸着剤に自己支持性を持たせるためには、ほとんどすべての吸着剤粒子がバインダ粒子と部分的に接触し、バインダ粒子を介して吸着剤粒子同士がお互いに保持し合っている状態が求められるが、通常吸着剤粒子やバインダ粒子は乾燥状態で付着性に乏しく、また材質、粒子径、密度も異なるため、特にバインダ粒子が100メッシュ以下程度の大きさである場合、吸着剤粒子とは均一に混ざり難く、密度の高いバインダ粒子が下方側に分離してしまう。しかし、吸着剤粒子とバインダ粒子の付着性を求めるあまり、吸着剤粒子の大きさに対してバインダ粒子を微細にし過ぎると、バインダ粒子が吸着剤粒子の表面全体を被覆してしまい、加熱時に樹脂皮膜となって吸着剤粒子の細孔を閉塞するため、フィルタの吸着性能は急激に低下してしまう。このように、吸着剤粒子とバインダ粒子は大きさも密度も異なるため、単純に二種類の粒子を混合するだけでは均一に混合することは難しく、また、フィルタの除去性能低下の抑制が同時に求められるため、混合の方法には様々な工夫がなされている(例えば特許文献1、2および3参照)。
すなわち特許文献1に記載のエアフィルタは、加熱した吸着剤粒子を一旦粒状の熱可塑性樹脂バインダと攪拌機で攪拌しながら混合し、得られた凝集物粒子を再び加熱成形するものであり、成形時に加圧しないことで凝集物の間に隙間を与えて圧力損失を低減させている。
また特許文献2に記載のフィルタ成形品は、吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子製バインダとの混合物を型に充填し、プレス及び加熱を行い、前記混合物を結合させて成形するものであり、表面がバインダで完全に覆われず、添着薬剤などによる結合力の低下を抑制している。
また特許文献3に記載の脱臭フィルタは、粉末状の活性炭と酸化チタンと、有機系バインダと無機系バインダと水とを含む混合物を圧縮成形した後、乾燥機で乾燥して成形するものであり、無機系バインダの割合が有機系バインダの割合よりも多くすることで、有機系バインダによる活性炭表面の被覆を抑制している。
特許第3612329号公報 特開2001−149730号公報 特許第3234165号公報
特許文献1においては、混合する材料の均一性を改善するために熱可塑性樹脂バインダが軟化し、接着性を発現する温度まで吸着剤粒子を予備加熱した状態で混合することで吸着剤粒子の表面にバインダ粒子が接着しやすくなり、均一に混合できるものであるが、吸着剤粒子を予備加熱する必要があるため、フィルタの成型に余分に時間を要し、生産性が悪いという課題があった。
また、特許文献2においては特に混合の際に特別な工夫はなされておらず、単純に吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子バインダを混合機で攪拌するだけで均一な混合を行うためには材料の材質や粒子径や密度の選定が必要であり、条件も制限されるため、製造方法に汎用性がないという課題があった。
また、特許文献3においては均一な混合と、粉末材料飛散の抑制という二つの主な理由から、水を相当量加えており、成型後、乾燥してフィルタを得るためにはかなりの乾燥時間を要し、生産性が悪いという課題があった。
本発明では、このような従来の課題を解決するものであり、生産性がよく、様々な材質や粒子径や密度を有する材料にも広く適用できるガス吸着フィルタとその製造方法およびガス吸着装置を提供することを目的としている。
本発明のガス吸着フィルタの製造方法は、上記目的を達成するために、ガス吸着性の細孔を有する吸着剤粒子と、熱可塑性樹脂粒子とを混合し、加熱成形するガス吸着フィルタの製造方法において、吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子を混合するときに、表面張力を少なくとも80mN/mとした界面不活性物質の水溶液を添加することを特徴とするものであり、水溶液の表面張力を高めて吸着剤粒子の細孔内部への水分の浸潤を抑制し、少ない水分量でも吸着剤粒子の表面を湿潤状態にし、熱可塑性樹脂粒子との混合性を向上させることで、加熱成形時の加熱時間を大幅に短縮することができるため、フィルタの生産性を高めることができる。また、吸着剤粒子表面が湿潤状態であり、材料の材質や粒子径や密度に左右されることなく均一な混合性を得ることができるため汎用性の高いガス吸着フィルタの製造方法を提供することができる。
本発明によれば、少ない水分量で吸着剤粒子の表面を湿潤状態にすることで、熱可塑性樹脂粒子との混合性が向上するため、加熱成形時の水分蒸発による加熱ロスを大幅に削減し、生産性の高いガス除去フィルタの製造方法を提供することができる。また、その製造方法によって高性能なガス吸着フィルタおよびガス吸着装置を提供することができる。
実施の形態1のガス吸着フィルタの概略図及びフィルタの拡大部分の概略図 アルカリ金属塩の水溶液を混合したときの粒子の混合状態の模式図 水を混合したときの粒子の混合状態の模式図 針状突起を有する針金型の概略図 実施の形態2のガス吸着装置の概略図 水の添加量に対する破砕炭の粘性トルクを表したグラフ 水を添加した破砕炭のTGおよびDTA曲線のグラフ
本発明の請求項1記載の発明は、ガス吸着性の細孔を有する吸着剤粒子と、熱可塑性樹脂粒子とを混合し、加熱成形するガス吸着フィルタの製造方法において、吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子を混合するときに、表面張力を少なくとも80mN/mとした界面不活性物質の水溶液を添加することを特徴としている。
異なる材質、粒径、密度を有する複数種の粒子を乾燥状態で混合する場合、うまく均一に混合できないことが多く、分離してしまうことが度々生じる。このとき、少し水分を添加することで粒子の表面が湿潤し、粒子同士が水を介してうまく絡み合い、均一に混合することが可能となる。しかし、その粒子が活性炭に代表される高い表面積を有する吸着剤粒子の場合、吸着剤粒子は内部に無数の細孔を有しており、水を含ませるとその細孔内に水を簡単に吸水してしまう。これは高い表面積であるほど顕著であり、活性炭によっては単位重量当り20〜30%もの水を細孔内に吸水する。このため、熱可塑性樹脂粒子と均一に混合する際、吸着剤粒子の表面を湿潤状態にするためには多くの水を一緒に混ぜる必要があり、混合物を加熱成形するときに含ませた水分を蒸発させるのに余分に時間とエネルギーを費やすことになる。そこで本発明では、界面不活性物質の水溶液を添加することで、水溶液の表面張力を高めて吸着剤粒子の細孔内部への水分の浸潤を抑制することで、少ない水分量でも吸着剤粒子の表面を優先的に湿潤状態にすることができ、加熱成形時間を短縮することができるという作用を有する。
界面不活性物質とは水に対して界面活性剤と逆の作用を生じる物質であり、水溶液中において溶質が界面ではなく、溶液内部に偏る性質を持つため、表面張力が増加する作用を持つ。界面不活性物質としては大部分の無機塩、強酸、強アルカリが知られており、本発明においては表面張力を向上させる性質を持つものであればいかなる物質を用いてもよいが、安全性やハンドリング性を考慮すれば、無機塩を用いることが好ましい。尚、吸着剤粒子としては粒状活性炭や造粒化した活性炭、ゼオライト、シリカ、セピオライトなどが挙げられ、熱可塑性樹脂粒子との接着性が確保できるものであれば如何なるものを用いてもよく、対象となるガス成分の性質に合わせて選ぶことができ、1種類あるいは2種類以上の吸着剤粒子を組み合わせても良い。また、熱可塑性樹脂粒子としてはポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミドイミドなどが挙げられ、吸着剤粒子の粒子径や加熱成形時の加熱温度などの条件に合わせて最適なものを選定すればよい。
特に、水溶液の表面張力を少なくとも80mN/mすることで吸着剤粒子の細孔への浸潤を大幅に抑制することができ、少ない水分量でも吸着剤粒子の表面を優先的に湿潤状態にすることができ、加熱成形時間を短縮することができるという作用を有する。
また、本発明では界面不活性物質がアルカリ金属塩であって、アルカリ金属塩の水に対する溶解度が少なくとも30wt%であることを特徴としている。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランジウムが挙げられるが、水に対する溶解性や入手のしやすさ、価格を考慮するとリチウム、ナトリウム、カリウムの塩が好ましい。これらアルカリ金属の塩としては塩化物塩、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩など様々なものが挙げられる。これらアルカリ金属塩は水溶液中で界面不活性物質として作用し、水溶液の表面張力を向上させる働きを有するため、水溶液は吸着剤粒子の細孔への浸潤を抑制し、少ない水分量でも吸着剤粒子の表面を優先的に湿潤状態にすることができ、加熱成形時間を短縮することができるという作用を有する。
特に、本発明ではアルカリ金属塩の水に対する溶解度が少なくとも30wt%であること、すなわち、水に対する溶解度が30wt%以上のアルカリ金属塩を用いることで水溶液は吸着剤粒子の細孔への浸潤を抑制し、少ない水分量でも吸着剤粒子の表面を優先的に湿潤状態にすることができ、加熱成形時間を短縮することができるという作用を有する。
また、本発明ではアルカリ金属塩が炭酸カリウムであることを特徴としている。炭酸カリウムは水への溶解度が20℃の温度条件において112g/100mLと他のアルカリ金属塩と比較しても高く、また安価で、安全性も高いため、界面不活性剤としてより好ましい。また、水溶液の表面張力も高く、50wt%の炭酸カリウム水溶液の表面張力は、100mN/m以上になり、他のアルカリ金属塩と比べても高く、吸着剤粒子の細孔への浸潤を大幅に抑制することができる。また、炭酸カリウムは添着剤としても広く利用されている物質であり、酸性ガスに対する除去性能を向上させることができるという作用を有する。
また、本発明では吸着剤粒子の重量に対する熱可塑性樹脂粒子の混合重量比が5wt%〜30wt%であることを特徴としている。吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子を混合し、加熱成形することによって、熱可塑性樹脂粒子が吸着剤粒子どうしを接着し、フィルタを形成することが可能であるが、混合重量比が5wt%以下では接着強度が弱く、フィルタを形成することは困難であり、また混合重量比が30%以上では強度は高くなるが、樹脂成分多くなりすぎて吸着剤表面の大部分を覆ってしまい、ガス除去性能が低下してしまう。吸着剤粒子に対する熱可塑性樹脂粒子の重量混合比を5%〜30%の範囲にすることで高い機械強度を持ったガス吸着フィルタを形成可能であり、且つ高いガス除去性能を持たせることができるという作用を有する。
また本発明では吸着剤粒子が粒状活性炭であることを特徴としている。粒状活性炭は他の吸着剤粒子に比べて安価であり、また、活性炭には様々なサイズの細孔が存在していることから、広範囲にわたるガス成分の吸着除去に適しており、様々な臭気が混在する家庭などの生活空間を脱臭するのに最も適している。また、粒状活性炭に添着薬剤を添着することで、通常の活性炭では吸着困難であるガス成分に対しても対応が可能であり、優れたガス吸着フィルタを作製することが可能であるという作用を有する。
また、本発明では熱可塑性樹脂粒子の溶融温度が80℃〜140℃であることを特徴としている。活性炭などの吸着剤粒子に添着する添着薬剤は熱によって変成や分解して性能が低下してしまう可能性がある。溶融温度が80℃〜140℃の範囲である熱可塑性樹脂粒子を用いることで、添着薬剤の性能を低下させることなく、ガス吸着フィルタを成形することができるという作用を有する。
また、本発明のガス吸着フィルタは、前記製造方法で作成したガス吸着フィルタに複数の針状突起を有する針金型を突き刺して通気孔を設けることを特徴としており、通気孔を設けることで圧力損失が小さいガス吸着フィルタを製造することができる。
なお、通気孔を設ける手段としては幾つかの方法が考えられる。例えば針状突起を多数有する型枠に吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子を混合したものを充填し、加熱成形後に型枠を抜き取るという方法が考えられる。しかし、この方法では無数に密集して立てられた針状突起に吸着剤粒子を均一に充填することは困難であり、生産効率を考えると好ましいとは言えない。
また、加熱成形したフィルタに穴抜き加工を施すという方法が考えられる。これは例えばパンチングメタルを製造するように、複数のパンチを有する機械を用いてフィルタの端部から連続的に穴抜き加工を施すというものであるが、この方法では穴抜き加工した断面の吸着剤粒子が破損し、粉落ちの原因になってしまうだけでなく、穴抜きした欠片がロスとなり、材料を効率的に利用できない。また、加工するフィルタの厚みの制限も大きく、あまり分厚いフィルタには加工が困難である。
そこで本発明では、通気孔を設ける手段として、複数の先端の尖った針状の突起を有する型を用いて、これをフィルタに突き刺して通気孔を設ける方法を用いている。こうすることで一本の針状突起に対して一個の通気孔を形成するため、針状突起を任意に配置することでその配置に対応した通気孔が容易に形成できるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明によるガス吸着フィルタの概略図および、フィルタ材料の混合状態を示す概略図を図1に示す。図1に示すようにガス吸着フィルタ1は、ガス吸着性の細孔を有する吸着剤粒子2と、熱可塑性樹脂粒子3とアルカリ金属塩の水溶液4を混合し、加熱成形したものに複数の円形の通気孔5を規則的に配列するように設けてなる。
吸着剤粒子2としては破砕炭や造粒炭などの粒状活性炭や、ゼオライト、シリカなどを造粒したものなどが挙げられ、強度があり、熱可塑性樹脂との接着性が確保できるものであることが好ましいが、粒状活性炭は他の吸着剤粒子に比べて安価であり、また、活性炭には様々なサイズの細孔が存在していることから、広範囲にわたるガス成分の吸着除去に適しており、様々な臭気が混在する家庭などの生活空間を脱臭するのに最も適している。また、粒状活性炭に添着薬剤を添着することで、通常の活性炭では吸着困難であるガス成分に対しても対応が可能であり、優れたガス吸着フィルタを作製することが可能であるという作用を有する。なお、吸着剤粒子の種類は脱臭の対象となるガスの性質に合わせて選ぶことができ、1種類あるいは2種類以上の吸着剤粒子を組み合わせても良い。また、吸着剤粒子2の粒子径としては8メッシュ〜150メッシュの範囲であることが好ましく、より好ましくは30メッシュ〜100メッシュの範囲である。吸着剤粒子は材質や製造方法によって様々な粒子径に制御が可能であり、例えば活性炭では粒子径が数十μm程度の微粉末のものから、粒子径が数mm程度の破砕炭や造粒炭などがある。これらを成形する場合、粉末状のものでは一度バインダ成分と混合し、スラリ状にした上で成形あるいは基材等に担持するやり方が一般的であるが、成形するためには多くのバインダ成分が必要であり、その結果バインダによって吸着剤が埋没してしまうために、吸着剤の細孔内部へのガスの接触が妨げられるため、性能が大幅に低減してしまう恐れがあり、また、バインダ成分を減らすと接着強度が弱く、微粉末の粉落ちが発生してしまう恐れがある。
一方、粒子径が数mm程度の大きいものになると、吸着剤同士が重なり合う部分に大きな隙間が形成されることになるため、充填量が少なくなり性能が低下してしまう。そこで吸着剤に粒子径が前記範囲の吸着剤粒子を用いることで、バインダ成分による吸着剤の埋没を防ぎ、充填量も多くできるため高性能のガス除去フィルタを作製することができるという作用を有する。
また、熱可塑性樹脂粒子3としてはホットメルトと呼ばれる樹脂粒子が好ましく、その材質としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミドイミドなどが挙げられる。また、熱可塑性樹脂粒子3の粒子径としては、吸着剤粒子の粒子径に対する熱可塑性樹脂粒子の粒子径比が0.1〜1の範囲であることが好ましい。熱可塑性樹脂粒子の粒子径によって接着部の厚みや接着面積を制御することが可能となる。しかし、被接着物となる吸着剤粒子の粒子径に対して熱可塑性樹脂の粒子径があまりにも小さすぎると、吸着剤粒子表面の大部分を溶融した熱可塑性樹脂が被覆してしまい、ガス除去性能が低下してしまう。そこで吸着剤粒子の粒子径に対する熱可塑性樹脂の粒子径比を0.1〜1.0の範囲にすることにより、接着強度を十分に保持しつつ、ガス除去性能の高いガス吸着フィルタ1を形成することが可能であるという作用を有する。
また、吸着剤粒子2に対する熱可塑性樹脂粒子3の混合重量比は5%〜30%であることが好ましく、より好ましくは10%〜20%の範囲である。混合重量比が5%以下では接着強度が弱く、フィルタを形成することは困難であり、また混合重量比が30%以上では強度は高くなるが、樹脂成分が多くなりすぎて吸着剤表面の大部分を覆ってしまい、吸着性能が低下してしまう。吸着剤粒子に対する熱可塑性樹脂粒子の重量混合比を前記範囲にすることで高い強度を持ったフィルタが成型可能であり、且つ高い吸着性能を持たせることができるという作用を有する。
また、熱可塑性樹脂粒子の溶融温度が80℃〜140℃であることが好ましい。活性炭などの吸着剤粒子に添着する添着薬剤は熱によって変成や分解して性能が低下してしまう可能性がある。溶融温度が80℃〜140℃の範囲である熱可塑性樹脂粒子を用いることで、添着薬剤の性能を低下させることなく、ガス吸着フィルタを成形することができるという作用を有する。
また、吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子とアルカリ金属塩の水溶液を混合したときの粒子の混合状態を模式的に表したものを図2に示す。また、アルカリ金属塩の水溶液の代わりに水を混合したときの粒子の混合状態を模式的に表したものを図3に示す。図2に示すように、アルカリ金属塩の水溶液4を混合したものは表面張力が高いため、吸着剤粒子2の細孔内部6に水分が浸潤し難くなっており、吸着剤粒子2の表面に膜を形成するように水分が存在している。このため、少ない水分量でも吸着剤粒子2の表面を湿潤状態にすることが可能であり、熱可塑性樹脂粒子3との混合性が良くなる。一方、図3に示すように、水7を混合したものは吸着剤粒子2の細孔内部6に吸水されてしまうため、吸着剤粒子2の表面を湿潤状態にするためには細孔を水7で充填する必要があり、多くの水分を混合しなくてはならない。水溶液の表面張力としては、80mN/m以上であることが好ましく、より好ましくは100mN/m以上である。水の表面張力は常温で約73mN/mであり、アルカリ金属塩が水に溶解することで、イオンが水の内部に存在しようとする力が働くため表面張力は上昇する。特にアルカリ金属塩の溶解度寸前まで溶解した高濃度の水溶液はかなり表面張力が高くなっており、前記の値以上にすることで吸着剤粒子の細孔内部への水分の浸潤を大幅に抑制することができるという作用を有する。
アルカリ金属塩としては、表面張力を高くできる物質であれば如何なるものを用いてもよく、特に表面張力を高める作用の大きい物質として炭酸カリウムや水酸化ナトリウムが好ましく、安全性を考慮すると炭酸カリウムがより好ましい。水溶液の濃度は30wt%以上であることが好ましく、より好ましくは45wt%以上である。また、水溶液の添加量は吸着剤粒子の重量に対して2wt%〜20wt%であり、より好ましくは2wt%〜5wt%である。こうすることで炭酸カリウム水溶液は80mN/m以上の高い表面張力を示し、吸着剤粒子の細孔内部への水分の浸潤を抑制される。その結果、少ない水分量でも吸着剤粒子の表面を湿潤状態にし、熱可塑性樹脂粒子との混合性を向上させることで、加熱成形時の加熱時間を大幅に短縮することができるため、フィルタの生産性を高めることができるという作用を有する。
また、図4に針状突起を有する針金型の概略図を示す。図4に示すように針金型8は土台となる板状の土台部9に針状突起10を固定化した形状をしており、これをガス吸着フィルタに突き刺すことで容易に通気孔を設けることができる。針状突起10の径及びピッチを任意に変更することで、その型に対応した通気孔5を設けることができるという作用を有する。針状突起10の径は脱臭フィルタの仕様となる圧力損失や、筐体内に設置したときの風速分布に合わせて変更すればよいが、径R=0.5mm〜5mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1mm〜2mmの範囲である。また、複数種の針状突起10を併用してもよい。また、針状突起10のピッチはフィルタの仕様となる圧力損失や、筐体内に設置したときの風速分布に合わせて変更すればよいが、ピッチP=1.2R〜2.5Rの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5R〜2Rの範囲である。また、このとき1つの通気孔5を中心に60度間隔で周囲に6つの孔を配列するのが好ましく、これは正六角形が配列したハニカム構造に近い最も最密な配列となる。この配列であれば隣り合う通気孔5同士のピッチが一定となるので、低い圧力損失でありながら、強度と吸着性能を両立できるガス吸着フィルタを提供することができるという作用を有する。
また、図4の針金型を予め熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱しておくことで、針金型を突き刺し、針金型の熱によって材料を加熱成形すると同時に通気孔を設けてもよく、こうすることで一度の工程で通気孔を設けた成形フィルタを作製することができ、生産性を大幅に向上させることができるという作用を有する。
(実施の形態2)
本発明によるガス吸着装置の概略図を図5に示す。図1と同じ構成、作用は、同一番号を付し、説明は省略する。図5に示すようにガス吸着装置11は、吸着剤粒子2と熱可塑性樹脂粒子3とアルカリ金属塩の水溶液4を混合したものを加熱成形し、複数の円形の通気孔5を規則的に配列するように設けたガス吸着フィルタ1と、送風手段12を吸込み口と吹出し口を有する筐体13の内部に備えてなり、送風手段12によって吸込み口から筐体13に導入されたガスをガス吸着フィルタ1によって吸着除去し、吹出し口から清浄空気を放出するものである。これによって通気性をもち圧力損失が低いながらも、1パスの吸着性能が高く、高性能のガス吸着装置を提供することができる。
(実施例)
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1、比較例1
吸着剤粒子の表面が湿潤状態になるまでに必要な水分量を確認した。
粒子径が30〜60メッシュの範囲にある破砕炭20gを容器に入れ、水を段階的に添加して充分に攪拌した。この破砕炭をデジタル粘度計(東機産業製:TVB−10)によってローターに作用する粘性トルクを測定し、水の添加量による粘性トルクの変化を観察した。この測定結果を比較例1とした。
同様の操作で50wt%の炭酸カリウム水溶液を段階的に添加して充分に攪拌したものを測定した。この測定結果を実施例1とした。
破砕炭重量に対する添加した水分の重量比をX軸、そのときの粘性トルクを無添加の破砕炭の粘性トルク値に対する比率で表したものをY軸にとったグラフを図6に示す。
水を添加した比較例1のグラフの変化をみると、25wt%程度まで少しずつ値が高くなっている。これは水分が破砕炭の細孔内部に吸水され、重量が重くなっているからである。しかし、添加量が28〜29wt%の辺りで急激に値が減少していることがわかる。これは破砕炭同士が付着し合い、ローターの回転に合わせて破砕炭がほとんど流動しなくなったためである。つまりこの粘性トルクが急激に減少する瞬間が、破砕炭の表面が湿潤した瞬間であると推測できる。同じ破砕炭の細孔容積を、比表面積測定装置を用いて測定した値は約0.35mL/gであり、細孔容積の8〜9割が水分で充填されていることになる。
一方、50wt%の炭酸カリウム水溶液を添加した実施例1のグラク変化をみると、わずか2.5wt%程度の水分を添加した時点で粘性トルク値の急激な減少が起こっており、この段階で既に表面が湿潤状態になっている。直前に値が一旦急上昇する現象ははっきり解らないが、炭酸カリウム水溶液の高い粘性がローターに作用したためだと考えられる。
この結果から、表面張力の高い炭酸カリウム水溶液を添加することで、水分量を大幅に削減することができ、その結果、加熱成形時の水分の蒸発による加熱ロスと成形時間を少なくし、生産性を高めることができる。
実施例2、3、比較例2、3、4、5
次に吸着剤粒子に混合した水分が破砕炭の細孔内部および表面上でどのような状態で存在しているのかを分析した。
粒子径が30〜60メッシュの範囲にある破砕炭にそれぞれ水を10wt%、23wt%、33wt%、45wt%添加し、充分に攪拌した。この破砕炭を熱重量/示差熱同時分析装置(SII製:TG/DTA6200)によって重量減少(以下TGと記載)と示唆熱変化(以下DTAと記載)を測定した。この測定結果を比較例2、3、4および5とした。
同様の方法で50wt%の炭酸カリウム水溶液をそれぞれ10wt%、44wt%添加した破砕炭のTGとDTAを測定した。この測定結果を実施例2とした。尚、50wt%水溶液であるため、水溶液に含まれる実際の水分量は半分の5wt%、22wt%となる。
水の添加量が増加するに従い、DTAに変化がみられた。添加量23%までは1つのピークが現れ、33wt%を超えると2つのピークが現れた。代表して33wt%の水を添加した比較例5のTG(曲線A)およびDTA(曲線B)のグラフを図7に示す。
この結果から水の存在状態には3つの状態が存在すると考えられる。すなわち、破砕炭の細孔壁面への吸着水、破砕炭の細孔内部への吸着水、破砕炭の表面への付着水であり、これらをそれぞれ壁面吸着水、細孔吸着水、表面付着水と呼ぶこととする。このDTAの曲線からそれぞれの状態の吸着水および付着水のTGを算出し、全水分量に対する表面付着水の重量比を求めた。同様の方法を用いて、実施例2、3においても水分量を算出した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005407501
水を添加した場合では、23wt%の水を添加してもその全てが細孔内に吸水されてしまい、破砕炭の表面には水分が存在していない。さらに水の添加量を増やすと、壁面吸着水および細孔吸着水の水分量にはあまり変化が見られず、表面付着水の水分量が増加していることから、この状態ではじめて破砕炭の表面に水分が存在していることがわかる。この結果は前記実施例の結果ともほぼ合致している。
一方、炭酸カリウム水溶液を添加した場合、わずか5wt%の水分を添加したものでもその半分以上が表面付着水として破砕炭の表面に存在していることがわかり、22wt%では70%以上の水分が細孔に吸水されることなく表面に存在していることから、表面張力の高い炭酸カリウム水溶液を添加することで、水分量を大幅に削減することができ、その結果、加熱成形時の水分の蒸発による加熱ロスと成形時間を少なくし、生産性を高めることができる。
実施例4、比較例6
粒子径が30〜60メッシュの範囲にある破砕炭20gに水を10g添加し、充分に攪拌した。その後に粒子状熱可塑性樹脂として大きさが0.08mm以上0.16mm以下の範囲で分布を持つポリアミド粒子を、2.5g混合し、ポリアミド粒子が均一に混ざるまでさらに攪拌した。混合した材料を型枠内に深さが等しくまた、平面になるようにならして入れ、130℃のオーブンで加熱した。このとき温度センサを材料の中心に埋める様に設置し、温度変化を観察した。この結果を比較例6とする。
次に粒子径が30〜60メッシュの範囲にある破砕炭20gに50wt%の炭酸カリウム水溶液を1g添加し、充分に攪拌した。その後に粒子状熱可塑性樹脂として大きさが0.08mm以上0.16mm以下の範囲で分布を持つポリアミド粒子を、2.5g混合し、ポリアミド粒子が均一に混ざるまでさらに攪拌した。混合した材料を型枠内に深さが等しくまた、平面になるようにならして入れ、130℃のオーブンで加熱した。このとき温度センサを材料の中心に埋める様に設置し、温度変化を観察した。この結果を実施例4とする。
材料の温度が100℃に達するまでの所要時間と、ポリアミド樹脂が溶けてガス吸着フィルタが成形されるまでの所要時間を表2に示す。
Figure 0005407501
水を添加した比較例6は中々温度が上昇しないのに対し、炭酸カリウム水溶液では加熱開始僅か7分で100℃まで達し、その後すぐにポリアミド樹脂が溶解してガス除去フィルタを成形することができた。表面張力の高い炭酸カリウム水溶液を添加することで、水分量を大幅に削減することができ、その結果、加熱成形時の水分の蒸発による加熱エネルギーのロスと加熱成形に要する時間を少なくし、生産性を高めることができる。
少ない水分量で吸着剤粒子の表面を湿潤状態にすることで、熱可塑性樹脂粒子との混合性が向上するため、加熱成形時の水分蒸発による加熱ロスを大幅に削減し、生産性の高いガス除去フィルタの製造方法を提供することができる。また、その製造方法によって高性能なガス吸着フィルタを提供することができ、空気清浄機の脱臭フィルタやクリーンルームなどの有害ガスの除去などの用途に適用できる。
1 ガス吸着フィルタ
2 吸着剤粒子
3 熱可塑性樹脂粒子
4 アルカリ金属塩の水溶液
5 通気孔
6 細孔内部
7 水
8 針金型
9 土台部
10 針状突起
11 ガス吸着装置
12 送風手段
13 筐体

Claims (6)

  1. ガス吸着性の細孔を有する吸着剤粒子と、熱可塑性樹脂粒子とを混合し、加熱成形するガス吸着フィルタの製造方法において、吸着剤粒子と熱可塑性樹脂粒子を混合するときに、表面張力を少なくとも80mN/mとした界面不活性物質の水溶液を添加することを特徴とするガス吸着フィルタの製造方法。
  2. 界面不活性物質がアルカリ金属塩であって、アルカリ金属塩の水に対する溶解度が少なくとも30wt%であることを特徴とする請求項1記載のガス吸着フィルタの製造方法。
  3. アルカリ金属塩が炭酸カリウムであることを特徴とする請求項2記載のガス吸着フィルタの製造方法。
  4. 吸着剤粒子の重量に対する熱可塑性樹脂粒子の混合重量比が5wt%〜30wt%であることを特徴とする請求項1乃至いずれか記載のガス吸着フィルタの製造方法。
  5. 吸着剤粒子が粒状活性炭であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のガス吸着フィルタの製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂粒子の溶融温度が80℃〜140℃であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のガス吸着フィルタの製造方法。
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