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JP5412181B2 - ウェブの製造方法及び製造装置、並びに、光学フィルムの製造方法及び製造設備 - Google Patents
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JP5412181B2 - ウェブの製造方法及び製造装置、並びに、光学フィルムの製造方法及び製造設備 - Google Patents

ウェブの製造方法及び製造装置、並びに、光学フィルムの製造方法及び製造設備 Download PDF

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Description

本発明は、ウェブの製造方法及び製造装置、並びに、光学フィルムの製造方法及び製造設備に関する。
ポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学フィルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートフィルムは、市場が急激に拡大している液晶表示装置の偏光板の保護フィルムや位相差フィルム(例えば、視野角拡大フィルム等)などの光学フィルムにも用いられている。
ポリマーフィルムの主な製造方法として、溶液製膜方法や溶融製膜方法が知られている。溶液製膜方法は、ポリマーと溶剤とを含むポリマー溶液(以下、ドープと称する)を支持体上に吐出して流延膜を形成し、流延膜が自己支持性を有するものとなった後、これを支持体から一度に剥がして湿潤フィルムとし、湿潤フィルムを乾燥しフィルムとして巻き取る方法である。溶液製膜方法は、融解したポリマーを押出機で押し出してフィルムを製造する溶融押出方法と比べて、膜厚の均一性に優れるとともに、含有異物の少ないフィルムを得ることができるため、フィルム、特に光学フィルムの製造方法には、溶液製膜方法が採用されている。
この溶液製膜方法は、流延膜に自己支持性を発現させる方法により、乾燥方式と冷却ゲル化方式とに大別される。乾燥方式は、流延膜の残留溶剤量を所定の範囲になるまで、支持体上の流延膜から溶剤を蒸発させるものである。一方、冷却ゲル化方式では、流延膜に含まれる溶剤の流動性を低下させるために、支持体上の流延膜を冷却するものである(例えば、特許文献1または2)。
ところで、フィルムの光学特性の指標として用いられるレターデーションは、フィルムの厚さ及び複屈折率ΔN(=通常光線についての屈折率n−異常光線についての屈折率n)に支配されることが知られている。したがって、レターデーションが所望の範囲内のフィルムを製造するために、溶液製膜方法において、フィルムの厚みムラの発生を抑える方策(例えば、特許文献1)や、ポリマー分子の配向を所定のものにする方策(例えば、特許文献2)が採用されている。
特許文献1には、減圧チャンバを用いて、ビードの背面側にある空気を吸引する発明が記載されている。これにより、支持体の走行により支持体の表面に発生する同伴風がビード近傍へ流れることを防ぐことができる結果、厚みムラの原因とされている、ビードの振動、並びに延膜及び支持体の表面の間への流入を防ぐことができる。
特許文献2には、延伸装置において、所定の範囲内の温度に調節されたフィルムに対し、予熱処理、延伸処理、及び緩和処理を行う発明が記載されている。これにより、フィルムのレターデーションを所望のものに調節することができる。
特開2008−238697号公報 特開2007−90866号公報
ところが、特許文献1や特許文献2に記載される方策を行っても、光学特性のムラが多発した。特に、クロスニコル法において、偏光子の透過軸とフィルムの遅相軸とが45°で交差する状態で測定される面内レターデーションReのムラは、顕著であった。
発明者は、鋭意検討の結果、この光学特性のムラがポリマー分子の配向のばらつきに起因すること、及びこのポリマー分子の配向のばらつきの傾向が、流延膜のわずかな厚みムラの傾向と相関があることを突き止めた。更に、発明者は、このポリマー分子の配向のばらつきが、流延膜の厚みムラ及び支持体からの剥ぎ取り時に流延膜に付与される剥ぎ取り張力に起因することを突き止めた。
この光学特性のムラの発生を抑えるために、特許文献1に記載される方策を用いても、支持体上に形成された流延膜には、小さいとはいえ厚みムラが生じやすいこと、そして、この厚みムラの原因が、同伴風に起因にするビードの振動のみならず、減圧チャンバの吸引量の変動に起因する圧力変動や、流延ダイや支持体の機械振動であることが明らかになった。したがって、特許文献1に記載される方法では、上記の光学特性のムラを防止することはできない。
また、特許文献2に記載される方策は、フィルム全体の平均的な光学特性を調節するものであり、膜厚が厚い部分及び薄い部分に応じて、光学特性を個別に調節することは困難である。したがって、特許文献2に記載される方法では、上記の光学特性のムラを防止することはできない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、流延膜に剥ぎ取り張力が極力付与されないように、支持体から流延膜を剥離するウェブの製造方法及び製造装置、並びに、光学フィルムの製造方法及び製造設備を提供するものである。
本発明のウェブ製造方法は、ポリマーと溶剤とを含むドープを支持体に吐出して、前記ドープからなる膜を前記支持体上に形成する膜形成工程と、把持部材を用いて前記膜の両端にある耳部を把持する耳部把持工程と、前記耳部が把持された前記膜のうち、前記耳部の間にある中央部を前記支持体から剥離する中央部剥離工程と、支持体から耳部を剥離する耳部剥離工程とを有し、耳部把持工程の前に耳部剥離工程を行うことを特徴とする。
中央部剥離工程では、複数の把持部材を用いて耳部を把持することが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、上記のウェブ製造方法を用いて、前記支持体から前記膜を剥離した後、この膜を乾燥することを特徴とする。また、前記膜形成工程では、前記膜を形成する前記ドープがゲル化するように、前記膜を冷却することが好ましい。
本発明のウェブ製造装置は、ポリマー及び溶剤を含むドープを吐出する吐出部と、吐出した前記ドープからなる膜を形成する支持体と、前記膜を前記支持体から剥離する剥離部と、対になって前記膜の両端にある耳部を把持する把持部材と把持部材が走行する把持部材走行路とを備える搬送部とを有し、前記支持体は、前記耳部を支持する耳部支持体と、前記膜のうち前記耳部の間の中央部を支持する中央部支持体とを備え、前記剥離部は、前記中央部支持体から前記中央部を剥離する中央部剥離機構と耳部支持体から耳部を剥離する耳部剥離機構とを備え、耳部支持体及び中央部支持体は走行し、耳部剥離機構及び中央部剥離機構が、中央部支持体又は耳部支持体の走行方向に並ぶように配され、耳部剥離機構は、中央部剥離機構よりも中央部支持体の走行方向の上流側に設けられ、把持部材走行路は、中央部支持体の走行方向において、中央部剥離機構の上流側から下流側にかけて設けられ、中央部剥離機構の上流側の把持部材走行路には、把持部材による耳部の把持を開始する把持開始部が設けられていることを特徴とする。
本発明のウェブ製造装置は、ポリマー及び溶剤を含むドープを吐出する吐出部と、吐出したドープからなる膜を形成する支持体と、膜を支持体から剥離する剥離部と、対になって膜の両端にある耳部を把持する把持部材と把持部材が走行する把持部材走行路とを備える搬送部とを有し、支持体は、耳部を支持する耳部支持体と、膜のうち耳部の間の中央部を支持する中央部支持体とを備え、剥離部は、中央部支持体から中央部を剥離する中央部剥離機構と耳部支持体から耳部を剥離する耳部剥離機構とを備え、耳部支持体及び中央部支持体は走行し、耳部剥離機構及び中央部剥離機構が、中央部支持体又は耳部支持体の走行方向に並ぶように配され、耳部剥離機構は中央部支持体の中央部走行路及び耳部支持体の耳部走行路から構成され、耳部走行路は、中央部走行路の両側に並設される耳部並走路と、この耳部並走路の下流側に設けられ、中央部走行路から離隔するように設けられる耳部剥離路とを備えることを特徴として構成されている
耳部剥離機構は、中央部剥離機構よりも中央部支持体の走行方向の上流側に設けられ、把持部材走行路は、中央部支持体の走行方向において、中央部剥離機構の上流側から下流側にかけて設けられ、中央部剥離機構の上流側の把持部材走行路には、把持部材による耳部の把持を開始する把持開始部が設けられていることが好ましい。中央部剥離機構は中央部支持体の中央部走行路及び把持部材走行路から構成され、把持部材走行路は、中央部走行路の両側に並設される把持部材並走路と、この把持部材並走路の下流側に設けられ、中央部走行路から離隔するように設けられる把持部材剥離路とを有することが好ましい
本発明のウェブ製造装置は、ポリマー及び溶剤を含むドープを吐出する吐出部と、吐出したドープからなる膜を形成する支持体と、記膜を支持体から剥離する剥離部と、対になって膜の両端にある耳部を把持する把持部材と把持部材が走行する把持部材走行路とを備える搬送部とを有し、支持体は、耳部を支持する耳部支持体と、膜のうち耳部の間の中央部を支持する中央部支持体とを備え、剥離部は、中央部支持体から中央部を剥離する中央部剥離機構と耳部支持体から耳部を剥離する耳部剥離機構とを備え、耳部支持体及び中央部支持体は走行し、耳部剥離機構及び中央部剥離機構が、中央部支持体又は耳部支持体の走行方向に並ぶように配され、中央部剥離機構は中央部支持体の中央部走行路及び把持部材走行路から構成され、把持部材走行路は、中央部走行路の両側に並設される把持部材並走路と、この把持部材並走路の下流側に設けられ、中央部走行路から離隔するように設けられる把持部材剥離路とを有することを特徴として構成されている
本発明の光学フィルムの製造設備は、上記のウェブ製造装置と、前記支持体から剥離した前記膜を乾燥する乾燥部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、製品となる部分に剥ぎ取り張力をほとんどかけずに、支持体から流延膜を剥ぎ取ることが可能になる。
第1のウェブ製造方法を有する第1の光学フィルム製造方法の概要を示す説明図である。 第1の光学フィルム製造設備の概要を示す説明図である。 第1のウェブ製造室の概要を示す側面図である。 第1の走行支持体の概要を示す斜視図である。 冷却ドラム及び回転ローラの概要を示す斜視図である。 ウェブ製造室に設けられる、耳部走行路及び中央部走行路の概要を示す側面図である。 中央部走行路に設けられる位置Peの近傍の概要を示す斜視図である。 ウェブ製造室に設けられるピン走行路の概要を示す側面図である。 中央部走行路に設けられる位置Pb及び位置Pcの近傍の概要を示す斜視図である。 (A)は、吐出したドープから流延膜が支持体上に形成される様子を模式的に示した説明図である。(B)は、流延膜の要部を拡大した断面図である。 第2の走行支持体を有する第2のウェブ製造室の概要を示す側面図である。 第2のウェブ製造方法を有する第2の光学フィルム製造方法の概要を示す説明図である。 第3の走行支持体を有する第3のウェブ製造室の概要を示す側面図である。 第3の走行支持体の概要を示す斜視図である。 第3の走行支持体を構成する冷却ドラム及び回転ローラの概要を示す斜視図である。 第3のウェブ製造方法の概要を示す説明図である。 第4のウェブ製造方法の概要を示す説明図である。
図1に示すように、光学フィルム製造方法10は、ポリマー及び溶剤を含むドープ11から湿潤フィルム12をつくるウェブ製造工程13と、湿潤フィルム12に含まれる溶剤を蒸発させて、湿潤フィルム12から光学フィルム14を得る乾燥工程15とを有する。
また、ウェブ製造工程13は、膜形成工程22と、耳部剥離工程23と、耳部把持工程24と、中央部剥離工程25とを備える。膜形成工程22では、ドープ11を支持体に吐出して、ドープ11からなる流延膜27を支持体上に形成する。耳部剥離工程23では、流延膜27の耳部を支持体から剥離する。耳部把持工程24では、流延膜27の耳部を把持する。中央部剥離工程25では、流延膜27のうち耳部の間にある中央部を支持体から剥離して、流延膜27を湿潤フィルム12とする。
図2に示すように、光学フィルム製造設備30は、ウェブ製造室31と巻取室32とを有する。ウェブ製造室31では、ウェブ製造工程13(図1参照)により、ドープ11から帯状の湿潤フィルム12が形成される。ウェブ製造室31の詳細は後述する。湿潤フィルム12は、ウェブ製造室31から巻取室32に向けて送り出される。ウェブ製造室31及び巻取室32の間には、クリップテンタ33と、乾燥室34と、冷却室35とが順次設けられる。
クリップテンタ33は、湿潤フィルム12を長手方向に搬送しながら、幅方向への張力を付与し、湿潤フィルム12の幅を拡げるものである。なお、クリップテンタ33は省略してもよい。
また、クリップテンタ33の下流に、耳切装置37及びクラッシャ38が設けられることが好ましい。耳切装置37は、湿潤フィルム12の耳部をスリット状の耳屑として切り離す。耳切装置37に接続するカットブロア(図示しない)は、この耳屑を細かくカットする。図示しない風送装置は、カットされた耳屑をクラッシャ38に送り、クラッシャ38は耳屑を破砕して、チップとする。このチップはドープ調製用に再利用されるので、この方法はコストの点において有効である。
乾燥室34には複数のローラ40が設けられている。乾燥室34では、ローラ40に巻き掛けられながら搬送される湿潤フィルム12に乾燥空気をあてて、湿潤フィルム12に含まれる溶剤を蒸発させる。乾燥室34における湿潤フィルム12の温度は140℃以上180℃以下であることが好ましい。乾燥室34における乾燥処理により、湿潤フィルム12は光学フィルム14となる。
冷却室35では、光学フィルム14の温度が所定の温度(例えば室温)になるまで、フィルムを冷却する。
冷却室35及び巻取室32の間には、強制除電装置42やナーリング付与ローラ43が設けられる。強制除電装置42は、光学フィルム14の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように除電する。ナーリング付与ローラ43は、光学フィルム14の両縁にエンボス加工を施し、光学フィルム14の両縁にナーリングを付与する。その後、光学フィルム14は、巻取室32に送られ、プレスローラ47によって押圧されながら、巻き芯48に巻き取られる。
図3に示すように、ウェブ製造室31は、ドープ11(図2参照)を吐出する流延ダイ51と、吐出したドープ11から流延膜27を形成する走行支持体52と、ピンテンタ53と、回転ローラ54とを有する。走行支持体52が所定の方向へ走行するため、走行支持体52上に形成される流延膜27は、帯状に形成される。
走行支持体52は、流延膜27を支持するための支持面を有し、冷却ドラム56とバンド57とから構成される。冷却ドラム56は、図4及び図5に示すように、軸方向が水平となるように横たわり、軸58を中心に回動自在に設けられる。冷却ドラム56の周面のうち、流延膜27の幅方向(以下、A方向と称する)の両側縁部には、耳部支持面61が形成され、A方向における両側縁部の間には、バンド57が掛け渡される溝部62が設けられる。
バンド57及び冷却ドラム56は、バンド57が溝部62に掛け渡されたときに、面一となるように形成される。また、A方向におけるバンド57の長さは、A方向における溝部62の長さと等しい。こうして、冷却ドラム56に設けられた溝部62及び回転ローラ54にバンド57を掛け渡すことにより、流延膜27を支持するための支持面が、バンド57の表面に形成される中央部支持面65及び耳部支持面61から構成される。
冷却ドラム56及びバンド57は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。また、耳部支持面61や中央部支持面65は、表面粗さが0.05μm以下となるように研磨されていることが好ましい。また、耳部支持面61や中央部支持面65にクロムメッキ処理を施してもよく、例えば、ビッカース硬さHv700以上、膜厚2μm以上、いわゆる硬質クロムメッキ処理を施すことが好ましい。
図3に示すように、図示しない制御部は、冷却ドラム56を駆動し、冷却ドラム56は軸58を中心に、エンドレスに回転する。溝部62(図5参照)及び回転ローラ54に掛け渡されるバンド57は、冷却ドラム56の回転に追従して、エンドレスに走行する。こうして、走行支持体52が走行する。
中央部支持面65及び耳部支持面61が等しい速度で走行するように、走行支持体52を走行させることが好ましい。中央部支持面65及び耳部支持面61を等しい速度で走行させるために、溝部62に嵌合溝を設け、この嵌合溝と嵌合する嵌合突起をバンド57に設けてもよいし、溝部62に嵌合突起を設け、嵌合溝をバンド57に設けてもよい。なお、制御部は、冷却ドラム56を駆動する代わりに、回転ローラを駆動してもよい。
図示しない温度調節機は、冷却ドラム56及びバンド57に接続し、耳部支持面61の温度及び中央部支持面65の温度が所定の範囲内(−15℃以上0℃以下)で略一定となるように調節する。なお、耳部支持面61の温度、及び中央部支持面65の温度は、流延膜27の剥離が可能な程度な範囲であれば好ましい。したがって、本実施形態では、耳部支持面61の温度は中央部支持面65の温度以下であることが好ましく、中央部支持面65の温度と等しいことがより好ましい。なお、耳部支持面61の温度が中央部支持面65の温度よりも低い場合には、耳部支持面61の温度及び中央部支持面65の温度の差は5℃以下であることが好ましい。
走行支持体52の走行により、ウェブ製造室31内には、図6に示すように、耳部支持面61(図4参照)の耳部走行路71及び中央部支持面65(図4参照)の中央部走行路75が形成される。耳部走行路71は、冷却ドラム56(図4参照)の周面のうち、A方向の両側縁部に対となって形成される。
中央部走行路75は、バンド57の走行方向において順次設けられる、中央部並走路75a、中央部離隔路75b、及び中央部戻り路75cから構成される。中央部並走路75aは、走行するバンド57が溝部62(図4参照)へ導入する位置Paから、走行するバンド57が溝部62(図4参照)から送り出される位置Pcまでの間において、1対の耳部走行路71の間に設けられる。中央部離隔路75bは、位置Pcからバンド57の回転ローラ54への巻きかけが開始する位置Peまでの間において、バンド57の走行方向下流側に向かうに従って耳部走行路71から離隔するように設けられる。中央部戻り路75cは、位置Peから位置Paにかけて設けられ、中央部並走路75a及び中央部離隔路75bを接続する。
図3に戻って、流延ダイ51は、ドープ11を吐出する吐出口を有する。流延ダイ51は、吐出口が耳部支持面61及び中央部支持面65に近接するように、位置Pa及びPcの間の位置Pbに配される。吐出口は、矩形状に形成され、A方向に長く伸びる。A方向における吐出口の長さは、バンド57の長さWb(図4参照)よりも長く、冷却ドラム56の長さWd(図4参照)よりも短い。
図3及び図7に示すように、ピンテンタ53は、把持部材であるピン80を有するピンプレート81と、1対の第1プーリ82と、1対の第2プーリ83と、第1プーリ82及び第2プーリ83に掛け渡される1対のチェーン(図示しない)とを有する。1対のチェーン(図示しない)には、複数のピンプレート81が所定のピッチで取り付けられる。
図示しない制御部の下、1対のプーリ82、83が回動すると、チェーンは所定の方向へ走行する。チェーンの走行により、ピン80は1対のプーリの間をエンドレスに走行する。そして、1対のプーリ82、83を所望の位置に設けることにより、ピン80の走行路85(図8参照。以下、ピン走行路と称する)を所定のものにすることができる。なお、ピン80の走行速度は、バンド57の走行速度と等しいことが好ましい。
本実施形態では、図8に示すように、1対の第1プーリ82を位置Pdの中央部離隔路75bの両側に設け、1対の第2プーリ83を所定の位置Pfに設ける。ここで、位置Pdは、中央部離隔路75b上の所定の位置である。これにより、ピン走行路85は、ピン80の走行方向において順次設けられる、ピン並走路85aと、ピン離隔路85bと、ピン戻り路85cとから構成される。ピン並走路85aは、位置Pdから位置Peまでの中央部離隔路75bの両側に並設される。ピン離隔路85bは、ピン80の走行方向下流側に向かうに従って中央部離隔路75bから離隔するように設けられる。ピン戻り路85cは、ピン並走路85a及びピン離隔路85bを接続するように設けられる。
図3及び図8に示すように、ピン走行路85を介して、1対の第1プーリ82と対向するように、噛みこみブラシ88を設けてもよい。特に、位置Pdにおける中央部離隔路75bの両側に噛みこみブラシ88を設けることが好ましい。なお、湿潤フィルム12から溶剤を蒸発させるために、位置Pd〜位置Pfの間にある湿潤フィルム12に、所定の空気をあてる送風機を設けてもよい。空気の温度は、所定の範囲内となるように調節されていることが好ましい。
また、中央部走行路75の位置Pe、または位置Peより下流側に、バンド57から中央部27aを剥離するスクレーパローラ89を設けてもよい。スクレーパローラに代えて、ヘラ状や刃状の剥離部材を用いて、バンド57から中央部27aを剥離してもよい。
図3及び図6に示すように、中央部離隔路75bでは、流延膜27は、中央部27aがバンド57に張り付き、耳部27bが走行支持体52と非接触の状態で搬送される。そこで、流延膜27の耳部27bを支持するために、中央部離隔路75bの両側に耳部支持ローラ92を設けることが好ましい。また、耳部支持ローラ92とともに、中央部72aを支持する中央部支持ローラを中央部離隔路75bに設けてもよい。図示しない温度調節機により、耳部支持ローラ92の温度は、所定の範囲内(−10℃以上5℃以下)で略一定となるように調節される。耳部支持ローラ92及び中央部支持ローラを併用する場合には、耳部支持ローラ92の温度を、中央部支持ローラの温度よりも低くすることが好ましく、耳部支持ローラ92の温度及び中央部支持ローラの温度の差は、0℃以上5℃以下であることが好ましい。
また、中央部戻り路75cを通過するバンド57の温度を調節する温度調節ローラ94を設けることが好ましい。図示しない温度調節機により、温度調節ローラ94の温度は、所定の範囲内(−15℃以上0℃以下)で略一定となるように調節される。
なお、耳部支持ローラ92、中央部支持ローラ、及び温度調節ローラ94のうち少なくとも1つのローラに代えて、所定の範囲の温度の冷却風をバンド57にあてる冷却風供給装置を設けてもよいし、これらの各ローラ及び冷却風供給装置を併用してもよい。
走行支持体52の走行方向において、流延ダイ51の上流側に減圧チャンバ99を設けることが好ましい。減圧チャンバ99は、A方向(図4参照)に設けられる後方板と、流延ダイ51及び後方板の間を塞ぐ1対の側板を有し、流延ダイ51、後方板、及び1対の側板によって囲まれる減圧ゾーンにある空気を吸引する。減圧ゾーンにある空気の吸引により、ビード近傍に向かって流れる同伴風を遮ることができる。後方板や側板には、ジャケット(図示しない)が取り付けられる。そして、温度が所定の範囲内に調節された伝熱媒体をこのジャケットに供給することにより、後方板や側板の温度を所定の範囲内に調節することができる。
ウェブ製造室31には、図示しない温調装置、コンデンサ、及び回収装置が設けられる。温調装置は、ウェブ製造室31内の雰囲気の温度を所定の範囲内で略一定となるように調節する。コンデンサは、ウェブ製造室31内で気体として存在する溶剤を液化する。コンデンサにより液化した溶剤は、図示しない回収装置によって回収される。コンデンサにより、ウェブ製造室31内における雰囲気の溶剤の凝縮点を調節することができる。
次に、本発明の作用を説明する。図1及び図2に示すように、光学フィルム製造設備30では、光学フィルム製造方法10が行われる。ウェブ製造室31では、ウェブ製造工程13が行われ、ドープ11から湿潤フィルム12がつくられる。ウェブ製造工程13の詳細は後述する。湿潤フィルム12は、クリップテンタ33及び乾燥室34において乾燥工程15が施され、光学フィルム14となる。光学フィルム14は、巻取室32において巻き芯48に巻き取られる。
(ウェブ製造工程)
次に、ウェブ製造工程13の詳細について説明する。図3、図6及び図8に示すように、ウェブ製造室31において、耳部支持面61は耳部走行路71をエンドレスに走行し、中央部支持面65は中央部走行路75を、ピン80はピン走行路85を、それぞれエンドレスに走行する。耳部支持面61、中央部支持面65、及びピン80の走行速度は、特に限定されないが、例えば50m/分以上200m/分以下であることが好ましい。
(膜形成工程)
流延ダイ51は、ドープ11を走行支持体52上に連続的に吐出する。吐出したドープ11はビードを形成する。こうして、図3及び図9に示すように、走行支持体52上には、吐出したドープ11から流延膜27が形成される。流延膜27において、ドープ11に含まれるポリマー分子は等方的に配向する。流延膜27のうち、耳部27bは耳部支持面61により支持され、1対の両側縁部の間にある中央部27aは、中央部支持面65により支持される。A方向において、耳部27bの長さは、それぞれ、流延膜27の長さの0.0025倍以上0.01倍以下であることが好ましい。走行支持体52との接触により、位置Pbから位置Pcまでの間では、流延膜27が冷却され、流延膜27をなすドープ11のゲル化が起こる。ここでドープのゲル化とは、溶剤がポリマー分子鎖の中で保持された状態で、流動性を失い、結果的にドープの流動性が失われた状態を意味するものである。
減圧チャンバ99は、減圧ゾーンにある空気を吸引する。これにより、走行支持体52の走行方向において、ビードの下流側を減圧することができる。ビードの上流側及び下流側における圧力差は、10Pa以上2000Pa以下であることが好ましい。
(耳部剥離工程)
位置Pcでは、耳部27bのみが耳部支持面61から剥離される。耳部27bのみが剥離された流延膜27は、中央部27aがバンド57に貼り付いた状態のまま、位置Pdへ送られる。耳部剥離工程における、流延膜27の残留溶剤量は70重量%以上75重量%以下であることが好ましい。
フィルムの残留溶剤量は、対象となるフィルムからサンプルフィルムを採取し、採取時のサンプルフィルムの重量をx、サンプルフィルムを乾燥した後の重量をyとするとき、{(x−y)/y}×100で表される。
(耳部把持工程)
位置Pdでは、図3に示すように、噛みこみブラシ88により、バンド57に中央部27aが張り付いた状態の流延膜27の耳部27bが、ピン80(図7参照)に押し付けられる結果、ピン走行路85を走行するピン80が耳部27bに貫通する。こうして、ピン80の耳部27bへの貫通により、流延膜27は、走行するピン80及びバンド57により位置Peへ送られる。
(中央部剥離工程)
位置Peでは、図7に示すように、耳部27bがピン80により貫通した状態のまま、流延膜27の中央部27aがバンド57から剥離される。中央部把持工程における、流延膜27の残留溶剤量は70重量%以上75重量%以下であることが好ましい。中央部剥離工程により、流延膜27は湿潤フィルム12となる。
図3に戻って、位置Pe及び位置Pfの間では、湿潤フィルム12は、耳部27bがピン80により把持された状態で搬送され、湿潤フィルム12の温度が所定の範囲となるように調節される。そして、位置Pfでは、ピン80による耳部27bの把持が解除される。位置Pfにおける、湿潤フィルム12の残留溶剤量は2重量%以上7重量%以下であることが好ましい。耳部27bの把持が解除された湿潤フィルム12は、ウェブ製造室31から下流側に設けられる各装置に向けて送り出される。
図10に示すように、ウェブ製造室31で形成された流延膜27におけるポリマー分子の配向は極めて低いものの、厚みムラΔd(≦0.2μm)は依然と残っている。この厚みムラは、流延膜27の長手方向、すなわち走行支持体52の走行方向において交互に並ぶ膜厚の厚い部分100a及び膜厚の薄い部分100bから構成される。
流延膜27を走行支持体52から一度に剥ぎ取って湿潤フィルム12とする場合には、流延膜27に剥ぎ取り張力がかかり、剥ぎ取り張力によって湿潤フィルム12内において、ポリマー分子が剥ぎ取り張力の方向に配向する。そして、流延膜27に厚みのばらつきが生じている場合、走行支持体52から一度に剥ぎ取った湿潤フィルム12のうち、厚い部分は薄い部分に比べてポリマー分子の配向の程度が大きい。
更に、ピンテンタ53に導入した湿潤フィルム12について、残留溶剤量が20重量%以上30重量%以下であって、温度Tfが110℃以上であるとき、ポリマーの結晶化が起こる。そして、ポリマーの結晶化が起こると、面内レターデーションReが下がる。また、ポリマーの結晶化は、ポリマー分子の配向の程度が大きくなるにつれて顕著となる。したがって、ポリマー分子の配向にばらつきが生じている湿潤フィルム12をピンテンタ53に導入すると、ポリマー分子の配向の程度が大きい部分ほど、面内レターデーションReの低下量が大きくなる結果、光学特性のムラが生じてしまう。
以上より、走行支持体52から一度に剥ぎ取った湿潤フィルム12をピンテンタ53に導入すれば、流延膜27のうち厚い部分は、流延膜27のうち薄い部分に比べて面内レターデーションReの低下量が大きくなる結果、湿潤フィルム12の面内レターデーションReにばらつきが生じてしまう。
本発明では、支持体から流延膜27の剥離を、製品に用いられない耳部27bについて行った後に、製品となる中央部27aについて行う。更に、耳部27bの剥離後、且つ中央部27aの剥離前に、耳部27bをピンテンタ53により把持する。このように、本発明では、耳部27bを把持した状態で中央部27aの剥離を行うため、中央部27aの剥離の際に、中央部27aに剥ぎ取り張力がほとんどかからず、厚みムラ及び剥ぎ取り張力に起因する光学ムラの発生は抑えられる。また、耳部27bの剥離の際には、耳部27bに剥ぎ取り張力がかかってしまうものの、耳部27bは製品に用いられないため、フィルムに与える光学ムラの影響はない。したがって、本発明によれば、製品となる中央部27aに剥ぎ取り張力をかけずに、流延膜27を支持体から剥離することができるため、光学特性に優れたフィルムを製造することができる。
上記実施形態では、流延膜27の耳部27bを支持する支持体として、1つの冷却ドラム56を用いたが、本発明はこれに限られず、図11に示すように、2つの冷却ドラム56を用いてもよい。そして、流延膜27の中央部27aを支持する支持体として、2つの冷却ドラム56、及び回転ローラ54に巻きかけられたバンド57を用いてもよい。また、冷却ドラム56及び冷却ドラム110の間における、バンド57の走行路の両側に、耳部支持ローラ92を設けてもよい。
本発明は、図1に示す光学フィルム製造方法10に限られず、図12に示す光学フィルム製造方法120でもよい。光学フィルム製造方法120は、ウェブ製造工程123及び乾燥工程15を有する。ウェブ製造工程123では、膜形成工程22、中央部剥離工程25、及び耳部剥離工程23を順次行う。なお、耳部剥離工程23の後に、耳部把持工程24を行ってもよい。
図13に示すように、ウェブ製造室131は、流延ダイ51、走行支持体152、回転ローラ54、及び剥離ローラ158を有する。走行支持体152は、冷却ドラム156及び2つのバンド157からなる。なお、耳部把持工程24を行う場合には、ウェブ製造室131内に、或いは、ウェブ製造室131及びクリップテンタ33(図2参照)の間にピンテンタ53を設けてもよい。
図14及び図15に示すように、冷却ドラム156の周面のうち、A方向の中央部には、中央部支持面165が形成され、A方向における中央部支持面165の両側には、バンド157の走行路となる溝部162が設けられる。
バンド157及び溝部162は、バンド157が溝部162に掛け渡されたときに、面一となるように形成される。こうして、冷却ドラム156に設けられた溝部162及び回転ローラ54にバンド157を掛け渡すことにより、バンド157の表面に形成される耳部支持面161及び中央部支持面165から構成され、流延膜27を支持するための支持面が、走行支持体152に設けられる。
(ウェブ製造工程)
次に、ウェブ製造室131で行われるウェブ製造工程123(図12参照)の概要を説明する。図示しない制御部の下、冷却ドラム156が軸を中心に回転すると、冷却ドラム156及び回転ローラ54に掛け渡されたバンド157は、エンドレスに走行する。これにより、耳部支持面161及び中央部支持面165は、所定の走行路をエンドレスに走行する。
(膜形成工程)
流延ダイ51は、ドープ11を走行支持体152上に吐出する。吐出したドープ11はビードを形成する。位置Pbにおいて、走行支持体52上にはドープ11からなる流延膜27が形成される。流延膜27のうち、耳部27bは耳部支持面161により支持され、中央部27aは、中央部支持面165により支持される。走行支持体152との接触により、位置Pbから位置Peまでの間では、流延膜27が冷却され、流延膜27をなすドープ11のゲル化が起こる。
(中央部剥離工程)
位置Peでは、耳部27bが耳部支持面161により支持された状態のまま、流延膜27の中央部27aが中央部支持面165から剥離される。
(耳部剥離工程)
位置Pcでは、剥離ローラ158により、耳部27bが耳部支持面161から剥離される。こうして、走行支持体152から剥離された流延膜27は、湿潤フィルム12となって、ウェブ製造室131から送り出される。
なお、ニップローラ169を位置Peの近傍に設けてもよい。位置Peの近傍にある耳部27bは、このニップローラ169及びバンド157により挟持されるため、中央部27aに付与される剥ぎ取り張力を抑えつつ、中央部剥離工程を行うことができる。
耳部剥離工程23では、1対の耳部27bを同時に剥ぎ取ってもよいし、いずれか一方の耳部27bを他方の耳部27bよりも先に剥ぎ取ってもよい。
上記実施形態では、位置Pcにおいて耳部剥離工程24を行ったが、本発明はこれに限られず、耳部剥離工程24に代えて、流延膜27から耳部27bを切り離す耳切工程を行ってもよい。耳切工程を行う位置は、位置Pe及び位置Pcの間であればいずれの位置でもよい。耳切工程を行う場合には、位置Pe及び位置Pcの間に、耳切装置37(図2参照)を設けることが好ましい。
なお、上記実施形態では、バンド及び冷却ドラムから走行支持体を構成したが、本発明はこれに限られず、複数のバンドのみ、または複数の冷却ドラムのみから走行支持体を構成してもよい。複数のバンドのみから走行支持体を構成する場合には、例えば、耳部27bを支持する1対の耳部支持用バンド及びこの耳部支持用バンドの間に設けられ、中央部27aを支持する中央部支持用バンドを回転ローラに掛け渡すことで、走行支持体を構成することができる。
上記実施形態では、各工程22〜25を連続して行う方式を用いたが、本発明はこれに限られず、各工程22〜25を逐一行う方式(以下、オフライン方式と称する)を用いてもよい。
次に、ウェブ製造工程13(図1参照)のオフライン方式について説明する。図16(A)に示すように、支持体170は、中央部支持体170a、及び中央部支持体170aの両側に設けられる1対の耳部支持体170bから構成される。支持体170にドープ11(図1参照)を塗布して、支持体170上に膜171を形成する。第2に、膜171から耳部支持体170bを剥離する(図16(B)参照)。第3に、把持部材172を用いて耳部171bを把持した状態で、膜171から中央部支持体170aを剥離する(図16(C)参照)。このようにして、中央部171aにかかる剥ぎ取り張力を極力抑えつつ、膜171を支持体170から剥離することができる。
次に、ウェブ製造工程123(図12参照)のオフライン方式について説明する。まず、支持体170にドープ11(図12参照)を塗布して、支持体170上に膜171を形成する(図17(A)参照)。第2に、膜171の耳部171bを、耳部支持体170b及び把持部材172で把持する(図17(B)参照)。第3に、耳部171bを把持した状態で、膜171から中央部支持体170aを剥離する(図17(C)及び図17(D)参照)。第4に、スクレーパローラ等の剥離部材を用いて、耳部171bから耳部支持体170bを剥離する。このようにして、中央部171aにかかる剥ぎ取り張力を極力抑えつつ、膜171を支持体170から剥離することができる。
上記実施形態では、スクレーパローラ等の剥離部材を用いて、耳部171bから耳部支持体170bを剥離したが、本発明はこれに限られず、膜171から耳部171bを切り離してもよい。これにより、中央部171aにかかる剥ぎ取り張力を極力抑えつつ、膜171を支持体170から剥離することができる。
上記実施形態では、耳部が、耳部支持体から流延膜の厚み方向に遠ざかるように耳部剥離工程を行ったが、本発明はこれに限られず、耳部が耳部支持体からA方向に遠ざかるように耳部剥離工程を行ってもよい。
(セルロースアシレート)
セルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)が特に好ましい。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位,3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位,3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1である)を意味する。
全アシル化置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)である。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位,3位及び6位の水酸基による置換度の総和をDSAとし、2位,3位及び6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DSBは0.30以上であり、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBはその20%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは25%以上が6位水酸基の置換基であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位の置換度が0.75以上であり、さらには0.80以上であり特には0.85以上であるセルロースアシレートも挙げることができる。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)が作製できる。特に非塩素系有機溶剤において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低く、濾過性の良い溶液の作製が可能となる。
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター,パルプのどちらから得られたものでも良い。
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル、ブタノイルである。
(溶剤)
ドープを調製する溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶剤に溶解または分散して得られるポリマー溶液,分散液を意味している。
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度など及びフィルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶剤組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく用いられる。これらを適宜混合して用いることがある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶剤が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載も本発明にも適用できる。また、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
(用途)
本発明のポリマーフィルムは、偏光板保護フィルムや位相差フィルムとして有用である。このポリマーフィルムに光学的異方性層、反射防止層、防眩機能層等を付与して、高機能フィルムとしてもよい。
位相差フィルムとして用いる場合、面内レターデーションReは30nm以上100nm以下であることが好ましく、厚み方向レターデーションRthは70nm以上300nm以下であることが好ましい。
面内レターデーションReは、次のようにして測定することができる。サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21DH 王子計測(株))にて632.8nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値を用いた。なおReは以下式で表される。
Re=|nA−nB|×d
nAはA方向の屈折率,nBは光学フィルム14の長手方向の屈折率を表す。
厚み方向レターデーションRthは、次のようにして測定することができる。サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21DH 王子計測(株))にて589.3nmにおける垂直方向から測定した値と、フィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値とから下記式に従い算出する。
Rth={(nA+nB)/2−nC}×d
nCは厚み方向の屈折率を表す。
上記実施形態では、ドープから湿潤フィルムを製造したが、本発明はこれに限られず、支持体に液を塗布した後、この液からなる膜を支持体から剥ぎ取るウェブの製造方法に用いることができる。また、ポリマーとしては、ウェブの原料となるものを用いればよい。このようなウェブとしては、例えば、写真フィルムなどがある。
(実験1)
図3に示すウェブ製造室31において、ウェブ製造工程(図1参照)を行ない、ドープ11から流延膜27を形成し、この流延膜27を走行支持体52から剥ぎ取って湿潤フィルム12を得た。その後、クリップテンタ33及び乾燥室34にて、湿潤フィルム12に乾燥処理を施し、光学フィルム14を得た。ウェブ製造室31における湿潤フィルム12の製膜速度Vzは50m/分であった。
走行支持体52上に形成された流延膜27の厚みムラΔdは、0.2μmであった。ここで、厚みムラΔdは、(dmax−dmin)で表される。dmaxは、レーザ膜厚計により得られる流延膜27の膜厚の測定値のうち最大のものであり、dminは、流延膜27の膜厚の測定値のうち最小のものである。
また、走行支持体52からの剥ぎ取り前後における湿潤フィルム12の延伸率ERMDは117%であった。ここで、延伸率ERMDは、剥ぎ取り後における湿潤フィルム12の長手方向の長さを、剥ぎ取り前における湿潤フィルム12の長手方向の長さで除したものである。更に、ピンテンタ53により搬送される湿潤フィルム12の温度Tfは、80℃であった。
(実験2〜12)
ウェブ製造室のタイプ、製膜速度Vz、延伸率ERMD、及び温度Tfを表1に示す値としたこと以外は、実験1と同様にして、光学フィルム14を製造した。表1において、ウェブ製造工程をウェブ製造室31にて行った場合は、ウェブ製造室のタイプを「図3」と、ウェブ製造室111にて行った場合は、ウェブ製造室のタイプを「図11」と、ウェブ製造室131にて行った場合は、ウェブ製造室のタイプを「図13」と、それぞれ表す。
(比較実験1)
走行支持体として、軸方向が水平となるように横たわる冷却ドラムを用いた。そして、軸を中心に回転する冷却ドラムの周面にドープを吐出して、周面上に流延膜を形成した。剥ぎ取りローラを用いて、支持体から流延膜を剥ぎ取った。支持体からの流延膜の剥ぎ取りは、耳部の剥ぎ取り及び中央部の剥ぎ取りを同時に行った。
(比較実験2〜3)
製膜速度Vz、延伸率ERMD、温度Tfを表1に示す値としたこと以外は、比較実験1と同様にして、光学フィルム14を製造した。
実験1〜12及び比較実験1〜3により得られた各光学フィルム14について、光学ムラの有無の評価を行った。
(光学ムラの有無の評価)
A方向にサンプルフィルムを均等に20枚切り出し、各サンプルフィルムの面内レターデーションReを測定した。次に、各レターデーションの測定値から、ΔReを算出した。ここで、Reの測定値のうち最大値をRemax、最小値をReminとすると、ΔReは(Remax−Remin)で表される。そして、このΔReを指標として、光学ムラの有無の評価を、以下基準に基づいて行った。
◎:ΔReが0.1nm以内である。
○:ΔReが0.1nmより大きく、0.2nm以内である。
△:ΔReが0.2nmより大きく、0.3nm以内である。
×:ΔReが0.3nmより大きい。
実験1〜12及び比較実験1〜3について、ウェブ製造室のタイプ、製膜速度Vz、延伸率ERMD、温度Tf、厚みムラΔd、ΔRe、及び光学ムラの有無の評価結果を表1に示す。
Figure 0005412181
以上の結果から、本発明によれば、支持体上の膜のうち製品となる部分にできるだけ剥ぎ取り張力がかからないように、膜を支持体から剥ぎ取ることができることがわかった。
10 光学フィルム製造方法
11 ドープ
12 湿潤フィルム
14 光学フィルム
22 ウェブ製造工程
23 耳部剥離工程
24 耳部把持工程
25 中央部剥離工程
27 流延膜
27a 中央部
27b 耳部
30 光学フィルム製造設備
31 ウェブ製造室
51 流延ダイ
52 走行支持体
53 ピンテンタ
54 回転ローラ
56 冷却ドラム
57 バンド
61 耳部支持面
62 溝部
65 中央部支持面
71 耳部走行路
75 中央部走行路
75a 中央部並走路
75b 中央部離隔路
75c 中央部戻り路
80 ピン
85 ピン走行路
85a ピン並走路
85b ピン離隔路
85c ピン戻り路

Claims (10)

  1. ポリマーと溶剤とを含むドープを支持体に吐出して、前記ドープからなる膜を前記支持体上に形成する膜形成工程と、
    把持部材を用いて前記膜の両端にある耳部を把持する耳部把持工程と、
    前記耳部が把持された前記膜のうち、前記耳部の間にある中央部を前記支持体から剥離する中央部剥離工程と、
    前記支持体から前記耳部を剥離する耳部剥離工程とを有し、
    前記耳部把持工程の前に前記耳部剥離工程を行うことを特徴とするウェブ製造方法。
  2. 前記中央部剥離工程では、複数の前記把持部材を用いて前記耳部を把持することを特徴とする請求項1記載のウェブ製造方法。
  3. 請求項1または2記載のウェブ製造方法を用いて、前記支持体から前記膜を剥離した後、この膜を乾燥することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  4. 前記膜形成工程では、前記膜を形成する前記ドープがゲル化するように、前記膜を冷却することを特徴とする請求項3記載の光学フィルムの製造方法。
  5. ポリマー及び溶剤を含むドープを吐出する吐出部と、
    吐出した前記ドープからなる膜を形成する支持体と、
    前記膜を前記支持体から剥離する剥離部と、
    対になって前記膜の両端にある耳部を把持する把持部材と前記把持部材が走行する把持部材走行路とを備える搬送部とを有し、
    前記支持体は、前記耳部を支持する耳部支持体と、前記膜のうち前記耳部の間の中央部を支持する中央部支持体とを備え、
    前記剥離部は、前記中央部支持体から前記中央部を剥離する中央部剥離機構と前記耳部支持体から前記耳部を剥離する耳部剥離機構とを備え、
    前記耳部支持体及び前記中央部支持体は走行し、
    前記耳部剥離機構及び前記中央部剥離機構が、前記中央部支持体又は前記耳部支持体の走行方向に並ぶように配され、
    前記耳部剥離機構は、前記中央部剥離機構よりも前記中央部支持体の走行方向の上流側に設けられ、
    前記把持部材走行路は、前記中央部支持体の走行方向において、前記中央部剥離機構の上流側から下流側にかけて設けられ、
    前記中央部剥離機構の上流側の前記把持部材走行路には、前記把持部材による前記耳部の把持を開始する把持開始部が設けられていることを特徴とするウェブ製造装置。
  6. ポリマー及び溶剤を含むドープを吐出する吐出部と、
    吐出した前記ドープからなる膜を形成する支持体と、
    前記膜を前記支持体から剥離する剥離部と、
    対になって前記膜の両端にある耳部を把持する把持部材と前記把持部材が走行する把持部材走行路とを備える搬送部とを有し、
    前記支持体は、前記耳部を支持する耳部支持体と、前記膜のうち前記耳部の間の中央部を支持する中央部支持体とを備え、
    前記剥離部は、前記中央部支持体から前記中央部を剥離する中央部剥離機構と前記耳部支持体から前記耳部を剥離する耳部剥離機構とを備え、
    前記耳部支持体及び前記中央部支持体は走行し、
    前記耳部剥離機構及び前記中央部剥離機構が、前記中央部支持体又は前記耳部支持体の走行方向に並ぶように配され、
    前記耳部剥離機構は前記中央部支持体の中央部走行路及び前記耳部支持体の耳部走行路から構成され、
    前記耳部走行路は、前記中央部走行路の両側に並設される耳部並走路と、この耳部並走路の下流側に設けられ、前記中央部走行路から離隔するように設けられる耳部剥離路とを備えることを特徴とするウェブ製造装置。
  7. 前記耳部剥離機構は、前記中央部剥離機構よりも前記中央部支持体の走行方向の上流側に設けられ、
    前記把持部材走行路は、前記中央部支持体の走行方向において、前記中央部剥離機構の上流側から下流側にかけて設けられ、
    前記中央部剥離機構の上流側の前記把持部材走行路には、前記把持部材による前記耳部の把持を開始する把持開始部が設けられていることを特徴とする請求項6記載のウェブ製造装置。
  8. 前記中央部剥離機構は前記中央部支持体の中央部走行路及び前記把持部材走行路から構成され、
    前記把持部材走行路は、前記中央部走行路の両側に並設される把持部材並走路と、この把持部材並走路の下流側に設けられ、前記中央部走行路から離隔するように設けられる把持部材剥離路とを有することを特徴とする請求項5ないし7のうちいずれか1項記載のウェブ製造装置。
  9. ポリマー及び溶剤を含むドープを吐出する吐出部と、
    吐出した前記ドープからなる膜を形成する支持体と、
    前記膜を前記支持体から剥離する剥離部と、
    対になって前記膜の両端にある耳部を把持する把持部材と前記把持部材が走行する把持部材走行路とを備える搬送部とを有し、
    前記支持体は、前記耳部を支持する耳部支持体と、前記膜のうち前記耳部の間の中央部を支持する中央部支持体とを備え、
    前記剥離部は、前記中央部支持体から前記中央部を剥離する中央部剥離機構と前記耳部支持体から前記耳部を剥離する耳部剥離機構とを備え、
    前記耳部支持体及び前記中央部支持体は走行し、
    前記耳部剥離機構及び前記中央部剥離機構が、前記中央部支持体又は前記耳部支持体の走行方向に並ぶように配され、
    前記中央部剥離機構は前記中央部支持体の中央部走行路及び前記把持部材走行路から構成され、
    前記把持部材走行路は、前記中央部走行路の両側に並設される把持部材並走路と、この把持部材並走路の下流側に設けられ、前記中央部走行路から離隔するように設けられる把持部材剥離路とを有することを特徴とするウェブ製造装置。
  10. 請求項5ないし9のうちいずれか1項記載のウェブ製造装置と、
    前記支持体から剥離した前記膜を乾燥する乾燥部とを有することを特徴とする光学フィルムの製造設備。
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