しかし、上述した従来のカード印刷機に備えるカード供給装置は、次のような問題点があった。
第一に、カードをホッパ部の下端から送り出す構成のため、ホッパ部にカードを収容した状態において、他の異なるカードを一枚だけ割り込ませて印刷するなどの手差供給による印刷ができず、使い勝手及び利便性に欠けるとともに、仮に、手差供給を実現しようとしてしても、ホッパ部からカードを供給する供給系の機構をほとんど利用できないため、供給系全体の大型化及びコストアップが避けられない。
第二に、サイズが小さく、かつ厚みがあるとともに、プラスチック等の摩擦係数の小さい材質で形成されるカードに印刷することが多いため、カードをローラ搬送する場合にはスリップによる搬送トラブルや印刷精度の低下を生じやすい。また、ローラ搬送は、多様なカードに対する適用性、更には汎用性にも難がある。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したカード供給装置の提供を目的とするものである。
本発明は、上述した課題を解決するため、複数のカードC…(カード群Co)を積層状態に収容するカードホッパ部2からカードCを一枚ずつ印刷部3に供給するカード供給手段を備えるプリンタPのカード供給装置1を構成するに際して、少なくとも上端2u及び下端2dが開放されたカードホッパ部2と、このカードホッパ部2の下方の位置Xsでカード群Coを支持するとともに、上面4uに一枚のカードCを載せた状態でカードホッパ部2の下方からカード送り方向の前方Df及び後方Drへの移動が許容される高さに配したカードトレイ4と、このカードトレイ4をカードホッパ部2に対して前方Df及び後方Drの範囲へ移動可能なトレイ移動機構5と、カード群Coの最下部を支持可能な支持アーム6a…及びこの支持アーム6a…を昇降させるアーム昇降駆動部6b…を有するリフト機構6と、少なくともトレイ移動機構5及びリフト機構6を制御することにより、支持アーム6a…を下降位置Xdへ下降させ、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから前方Dfへ移動させる制御機能を含む自動供給モード,及び支持アーム6a…を上昇位置Xuへ上昇させてカード群Coをカードトレイ4から離間させ、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから後方Drへ移動させる制御機能を含む手差供給モードを有する制御部7とを備えることを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、カードホッパ部2の下端における前端位置には、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから前方Dfへ移動させた際に、当該カードトレイ4の上面4uに一枚のカードCのみを載せるリタードローラ8r、望ましくはトルクリミッター内蔵型アクティブリタードローラを用いたカード分離部8を設けることができるとともに、制御部7には、自動供給モードの選択時にカード分離部8の機能を有効にする制御機能を設けることができる。一方、カードトレイ4には、上面4uに載せたカードCを当該上面4uに吸着させる吸引ファン9fを用いた吸引部9を設けることができるとともに、上面4uの後部に、当該上面4uに載せた一枚のカードCの後端辺に係止する突起状のカードキッカー10…を設けることができる。さらに、トレイ移動機構5は、カードトレイ4を前方Df及び後方Drへガイドするガイドレール11,11と、カードトレイ4を移動させるベルト搬送機構12により構成できる。なお、印刷部3には熱転写印刷部13を用いることができる。
このような構成を有する本発明に係るカード供給装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 上面4uに一枚のカードCを載せた状態でカードホッパ部2の下方からカード送り方向の前方Df及び後方Drへの移動が許容されるカードトレイ4と、カード群Coを支持可能な支持アーム6a…及びこの支持アーム6a…を昇降させるアーム昇降駆動部6b…を有するリフト機構6を備えるため、カードホッパ部2にカードC…を収容した状態において、他の異なるカードCを一枚だけ割り込ませて印刷するなどの手差供給による印刷が可能となり、使い勝手及び利便性を高めることができる。
(2) カード送り方向の前方Df及び後方Drへ移動するカードトレイ4及びカード群Coを支持するリフト機構6の追加により実現できるため、カード供給系全体を容易かつ簡便に構成できる。これにより、カード供給装置1の小型コンパクト化を図れるとともに、低コスト化に寄与できる。
(3) 上面4uに一枚のカードCを載せたカードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsからカード送り方向の前方Df及び後方Drの範囲へ移動させるようにしたため、カードC…の厚さ,大きさ及び材質等に左右されることなく、様々なカードC…に対して搬送トラブルを生じることなく安定かつ確実に搬送できるとともに、印刷精度を高めることができる。また、多様なカードに対する適用性、更には汎用性も高めることができる。
(4) 制御部7には、支持アーム6a…を下降位置Xdへ下降させ、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから前方Dfへ移動させる制御機能を含む自動供給モード,及び支持アーム6a…を上昇位置Xuへ上昇させてカード群Coをカードトレイ4から離間させ、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから後方Drへ移動させる制御機能を含む手差供給モードを設けたため、自動供給モードと手差供給モードを自動で切換えて行うことができ、自動供給モードと手差供給モードを確実に実現することができる。
(5) 好適な態様により、カードホッパ部2の下端における前端位置に、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから前方Dfへ移動させた際に、当該カードトレイ4の上面4uに一枚のカードCのみを載せるリタードローラ8rを用いたカード分離部8を設ければ、リタードローラ8rの分離作用により一枚のカードCを確実に分離して送り出すことができる。
(6) 好適な態様により、リタードローラ8rに、トルクリミッター内蔵型アクティブリタードローラを用いれば、特に、厚さの異なる様々な種類のカードC…に対しても一枚のカードCを確実に分離して送り出すことができる。
(7) 好適な態様により、制御部7に、自動供給モードの選択時にカード分離部8の機能を有効にし、手差供給モードの選択時にカード分離部8の機能を無効にする制御機能を設ければ、特に、手差供給モードでは不要となるカード分離部8の機能を無効にできるため、手差供給モードにおけるカードトレイ4を阻害することなく確実に移動させることができる。
(8) 好適な態様により、カードトレイ4に、上面4uに載せたカードCを当該上面4uに吸着させる吸引ファン9fを用いた吸引部9を設ければ、カードトレイ4の上面4uに載せたカードCの位置ズレを防止し、定位置に確実に保持できるため、カードCの搬送、更には後段における印刷処理等の各種処理を高い位置精度で行うことができる。
(9) 好適な態様により、カードトレイ4における上面4uの後部に、当該上面4uに載せた一枚のカードCの後端辺に係止する突起状のカードキッカー10…を設ければ、カードトレイ4の上面4uに載せたカードCに対する少なくとも前後方向の位置決め(保持)を確実に行うことができる。特に、吸引ファン9fと組合わさることにより左右方向,前後方向及び上下方向の位置規制(保持)を確実に行うことができる。
(10) 好適な態様により、トレイ移動機構5を、カードトレイ4を前方Df及び後方Drへガイドするガイドレール11,11と、カードトレイ4を移動させるベルト搬送機構12により構成すれば、カードトレイ4(カードC)の搬送系を比較的簡易な構成により低コストに実現できる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るカード供給装置1を備えるプリンタPの構成について、図1〜図6を参照して説明する。
図1は、プリンタPの全体構成を示す。プリンタPは、主要構成として、カードCの供給側から、カード供給装置1,印刷部3,カードリーダ/ライタ20,ラミネータユニット21,デカーラ兼用反転ユニット22,カード排出部23及びコントローラボックス24を備える。例示のプリンタPは熱転写プリンタを構成するため、プリンタPは、プリンタ本体Poとこのプリンタ本体Poに対して着脱するリボンユニット13r等の装備品からなる。印刷対象となるカードCには、一般的なクレジットカード等の各種カードをはじめ、クレジットカードの二倍程度の大きさとなる首等から吊り下げて使用するネームプレート等の各種カード類が適用される。
カード供給装置1は、本発明の要部を構成するものであり、カードホッパ部2,カードトレイ4,トレイ移動機構5,リフト機構6及び制御部7を備える。以下、カード供給装置1の各部の構成について具体的に説明する。
カードホッパ部2は、少なくとも上端2u及び下端2dが開放され、内部に複数のカードC…(カード群Co)を積層状態に収容することができる。したがって、開放された上端2uは、カードC…の投入口となり、この上端2uからカードC…を補給できる。カードホッパ部2は、印刷するカードCの最大サイズを収容可能に構成するとともに、スライド式の規制板等を内部に付設することにより、印刷するカードCの最小サイズから最大サイズまで適応可能に構成する。
カードトレイ4は、図2及び図3に示すように、一枚のプレート部材により全体の形状を矩形状に形成する。これにより、上面4uには、印刷するカードC(カード群Co)を載せることができる。したがって、カードトレイ4は、印刷するカードCの最大サイズよりも大きい形状を選定する。図2中、仮想線がカードCを示している。また、カードトレイ4には、カード送り方向に対して左右両側に位置する側辺部の前後二か所(計四カ所)に、後述する支持アーム6a…の昇降を許容する切欠凹部31…をそれぞれ設ける。
一方、カードトレイ4には、上面4uに載せたカードCを当該上面4uに吸着させる吸引ファン9fを用いた吸引部9を付設する。吸引部9は、カードトレイ4の下面に配設し、吸引ファンモータ32(図6)により回転する吸引ファン9fと、この吸引ファン9fを囲むダクト部33と、カードトレイ4における当該ダクト部33の内側に位置する部位に設けた多数の吸気用小孔34…を備える。このような吸引部9を付設することにより、カードトレイ4の上面4uに載せたカードCの位置ズレを防止し、定位置に確実に保持できるとともに、カードCの搬送、更には後段における印刷処理等の各種処理を高い位置精度で行うことができる。
さらに、カードトレイ4の上面4uにおける後部には、当該上面4uに載せた一枚のカードCの後端辺に係止する突起状(爪状)のカードキッカー10…を設ける。これにより、カードトレイ4の上面4uに載せたカードCに対する少なくとも前後方向の位置決め(保持)を確実に行うことができる。特に、上述した吸引部9と組合わせれば、左右方向,前後方向及び上下方向の位置規制(保持)を確実に行うことができる。このカードトレイ4は、カードホッパ部2の下方の位置Xsがホームポジションとなる。したがって、カードトレイ4は、位置Xsにおいて、上面4uによりカード群Coを支持可能になるとともに、カードトレイ4の高さ、即ち、カードホッパ部2の下端2dの位置に対する相対高さは、上面4uに一枚のカードCを載せた状態で、位置Xsからカード送り方向の前方Df及び後方Drへの移動が許容される高さを選定する。
トレイ移動機構5は、カードトレイ4をカードホッパ部2に対して前方Df及び後方Drの範囲へ移動させる機能を備える。トレイ移動機構5は、カードトレイ4を前方Df及び後方Drへガイドする左右一対のガイドレール11,11と、カードトレイ4を移動させるベルト搬送機構12を備える。各ガイドレール11,11は、断面C形に形成し、側面に形成されるスリットを相対向させて配設する。一方、カードトレイ4の下面における前部及び後部にはローラブラケット35f,35rを取付ける。例示の場合、前部のローラブラケット35fは、矩形の枠形に形成し、一短辺となる上端辺部をカードトレイ4の下面に固定するとともに、後部のローラブラケット35rは、コの字形に形成し、中央辺部をカードトレイ4の下面に固定する。そして、各ローラブラケット35f,35rの各垂直辺部に空転ローラ36…を回動自在に取付けるとともに、各空転ローラ36…を各ガイドレール11,11にそれぞれ移動自在に装填する。ベルト搬送機構12は、前側に配した従動ローラ37sと、後側に配した駆動ローラ37dと、従動ローラ37sと駆動ローラ37d間に架け渡した無端タイミングベルト37bと、駆動ローラ37dを回転させる搬送ベルト駆動部38を備え、カードトレイ4に取付けたローラブラケット35fの下端辺部を無端タイミングベルト37bに固定する。この場合、ガイドレール11,11とベルト搬送機構12の前後方向における設置範囲(搬送ストローク)は、カードトレイ4を搬送するに必要な全ストロークを考慮して選定する。したがって、カード供給装置1として機能するトレイ移動機構5は、トレイ移動機構5の全体における一部となる。このように、トレイ移動機構5を、カードトレイ4をガイドするガイドレール11,11と、カードトレイ4を移動させるベルト搬送機構12により構成すれば、カードトレイ4(カードC)の搬送系を比較的簡易な構成により低コストに実現できる。
リフト機構6は、左右一対のリフト機構部6p…を備え、各リフト機構部6p…はカード群Coの最下部を支持可能な前後一対の支持アーム6a…と、この支持アーム6a…を昇降させるアーム昇降駆動部6b…を備える。支持アーム6aは、アーム昇降駆動部6bから上方に突出し、上端には直角に折曲した水平支持部6asを有する。例示のアーム昇降駆動部6bは、前側の支持アーム6aと後側の支持アーム6aをそれぞれ独立して昇降させることができる。
また、カード供給装置1には、カードホッパ部2の下端であって前端位置に、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから前方Dfへ移動させた際に、当該カードトレイ4の上面4uに一枚のカードCのみを載せるリタードローラ8rを用いたカード分離部8を設ける。この場合、リタードローラ8rには、トルクリミッター内蔵型アクティブリタードローラを用いる。このようなリタードローラ8rを用いれば、リタードローラ8rの分離作用により一枚のカードCを確実に分離して送り出すことができるとともに、特に、リタードローラ8rとしてトルクリミッター内蔵型アクティブリタードローラを用いれば、厚さの異なる様々な種類のカードC…に対しても一枚のカードCを確実に分離して送り出すことができる。さらに、カード分離部8には、その機能を有効にし又は無効にする切換手段を設ける。具体的には、リタードローラ8rとこのリタードローラ8rを回転させるリタードローラ駆動部39を、クラッチを介して接続する。これにより、クラッチの接続又は切断により、リタードローラ8rをカードCの供給方向に対して逆方向へ回転させるリタードモードと、リタードローラ8rを空転状態にするリタード解除モードに切換えることができる。
次に、プリンタPにおけるカード供給装置1以外の構成について説明する。カード供給装置1のカード送り方向前方(後段)には印刷部3を配設する。印刷部3は熱転写印刷部13であり、リボンユニット13rと転写ユニット13tを備える。リボンユニット13rは、フルカラーのインクリボン41を巻回したリボン供給リール42と、リボン供給リール42から繰出されるインクリボン41を巻取るリボン巻取リール43を備え、このリボンユニット13rは、プリンタ本体Poに対して着脱(交換)可能である。一方、プリンタ本体Poには、リボン供給リール42から繰出されるインクリボン41に当接して後述する転写シート51に印刷画像を一次転写させるサーマルヘッド45と、リボン巻取リール43を回転させるリボンユニット駆動部46(図6)を備える。また、転写ユニット13tは、透明な転写シート51を繰出す転写シート供給リール52と、カードCの印刷面に転写シート51を所定の圧力及び温度により圧接させて転写シート51の印刷画像をカードCの印刷面に二次転写させる転写ローラ53と、この転写シート51を巻取る転写シート巻取リール54と、転写シート51をガイドする複数のガイドローラ55…と、転写シート供給リール52又は転写シート巻取リール54を回転させる転写ユニット駆動部56(図6)を備える。したがって、転写ユニット駆動部56は、転写シート51を正方向(前方向)又は逆方向(後方向)へ選択的に移送させることができる。なお、転写ローラ53はヒータ58(図6)を内蔵し、このヒータ58により転写ローラ53の表面を所定の温度に加熱する。
一方、熱転写印刷部13の前方(後段)には、カードCがICチップを内蔵する際に、このICチップに対するデータの書込み及び読取りを行うカードリーダ/ライタ20を配設するとともに、このカードリーダ/ライタ20の前方(後段)には、カードCの印刷面をラミネートするラミネータユニット21を配設する。ラミネータユニット21は、ラミネートシート61を巻回したラミネートシート供給リール62と、カードCの印刷面にラミネートシート61を所定の圧力及び温度により圧接させてカードCの印刷面にラミネート層を形成するラミネートローラ63と、ラミネートシート61を巻取るラミネートシート巻取リール64と、ラミネートシート巻取リール64を回転させるラミネータユニット駆動部66(図6)を備える。ラミネートシート61はベースシートにラミネートフィルムを付着させたものであり、ラミネートローラ63によりラミネートフィルムのみがカードCの印刷面に転写される。ラミネートローラ63はヒータ67(図6)を内蔵し、このヒータ67によりラミネートローラ63の表面を所定の温度に加熱する。なお、カードCにICチップを内蔵しない場合は、カードリーダ/ライタ20は不要になるとともに、カードCの印刷面にラミネートを行わない場合は、ラミネータユニット21は不要になるため、カードリーダ/ライタ20とラミネータユニット21は、オプションとして用意することができる。
また、ラミネータユニット21の前方(後段)には、デカーラ兼用反転ユニット22を配設する。デカーラ兼用反転ユニット22は、ヒータ71を内蔵したデカールローラ72と、このデカールローラ72に対して所定の間隔をおいて配した一対のピンチローラ73,74を備える。図4及び図5はデカーラ兼用反転ユニット22の駆動機構を主に示している。75はプリンタ本体Poのシャーシ76にベアリングにより回動自在に支持されたローラ支持盤であり、このローラ支持盤75…は左右にそれぞれ配設する。この場合、一方のローラ支持盤75は、図4に示すように、反転用ギア78を兼ねており、この反転用ギア78に、シャーシ76に設置した反転駆動部79の回転出力軸に設けた駆動ギア80が噛合する。一方、デカールローラ72及びピンチローラ73,74の各シャフト72s,73s,74sの両端は、左右のローラ支持盤75…にベアリングを介して回動自在に支持される。デカールローラ72のシャフト72sは、図4に示すように筒形に形成し、内部の中心位置にヒータ71を配するとともに、ヒータ71に対する配線71eは、シャフト72sの端部から外部に導出させる。そして、各シャフト72s,73s,74sの一端に、ギア82,83,84をそれぞれ取付け、デカールローラ72のギア82に、ピンチローラ73,74のギア83,84を噛合させるとともに、ローラ支持盤75に設置したデカールローラ駆動部85の回転出力軸に設けた駆動ギア86をデカールローラ72のギア82に噛合させる。この際、カードCは、デカールローラ72とピンチローラ73間を通過した後、デカールローラ72とピンチローラ74間を通過するため、カードCに対するデカールローラ72及びピンチローラ73,74による移送速度が一致するように、各ギア82,83,84の歯数等を設定するとともに、カードCのカール(反り)を矯正することができるように、デカールローラ72及びピンチローラ73,74の相対位置を選定する。
さらに、デカーラ兼用反転ユニット22の前方(後段)にはカード排出部23を配設する。カード排出部23は、一対の排出ローラ91u,91dを有する排出ローラ機構91を備えるとともに、排出ローラ機構91から排出されるカードCを受取る受取トレイ92を備える。この場合、一方の排出ローラ91uは、搬送ローラ駆動部92(図6)により回転駆動される。
プリンタPにおいて、その他、カードCの搬送経路の適所には、搬送ローラ93,94…を配設する。各搬送ローラ93,94…は搬送ローラ駆動部92(図6)により回転駆動される。なお、図1中、95は、熱転写印刷部13の手前に配設したクリーニングローラを示す。このクリーニングローラ95には、表面にウェブを設けたフェノール樹脂ローラ又は表面に粘着性を持たせた樹脂ローラ等を利用できる。
他方、図6は、プリンタPの主要制御系の全体ブロック系統を示す。7は制御部(コントローラ)であり、プリンタPの全体を制御する機能を備える。したがって、少なくともカード供給装置1におけるトレイ移動機構5及びリフト機構6を制御する機能を備え、カード供給装置1を構成する、搬送ベルト駆動部38,アーム昇降駆動部6b,6b,吸引ファンモータ32及びリタードローラ駆動部39は、制御部7のドライブポートに接続する。また、カード供給装置1以外におけるサーマルヘッド45及びカードリーダ/ライタ20は、制御部7のデータ入出力ポートに接続するとともに、搬送ローラ駆動部92,リボンユニット駆動部46,転写ユニット駆動部56,転写ローラ53のヒータ58,ラミネータユニット駆動部66,ラミネートローラ63のヒータ67,反転駆動部79,デカールローラ駆動部85及びデカールローラ72のヒータ71は、制御部7のドライブポートに接続する。
制御部7は、CPU,メモリ,電源ユニット等を含むコンピュータ機能を備え、前述したコントローラボックス24に収容する。制御部7は、カード供給装置1に係わる一連のシーケンス制御を実行する機能を備えるとともに、プリンタPの全体の制御を実行する機能を備え、これらの制御を実現するための制御プログラムを格納する。特に、制御部7は、支持アーム6a…を下降位置Xdへ下降させ、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから前方Dfへ移動させる制御機能を含む自動供給モードと、支持アーム6a…を上昇位置Xuへ上昇させてカード群Coをカードトレイ4から離間させ、カードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsから後方Drへ移動させる制御機能を含む手差供給モードとを実行することができる。これにより、自動供給モードと手差供給モードを自動で切換えて行うことができるため、自動供給モードと手差供給モードを確実に実現することができる。また、制御部7は、自動供給モードの選択時にカード分離部8の機能を有効にし、手差供給モードの選択時にカード分離部8の機能を無効にする制御機能を備える。これにより、手差供給モードでは不要になるカード分離部8の機能を無効にできるため、手差供給モードにおけるカードトレイ4を阻害することなく確実に移動させることができる。他方、制御部7は、図6に示すように、外部のコンピュータシステム100に接続して使用する。コンピュータシステム100は、パソコン等の汎用コンピュータを使用可能である。コンピュータシステム100には、印刷を行うための各種印刷データ、例えば、ネームカードの場合には、氏名や写真等の各種印刷データを含むデータベース101を備えている。
次に、本実施形態に係るカード供給装置1の動作を含むプリンタPの全体動作を、図8〜図13及び図1〜図6を参照しつつ、図7に示すフローチャートに従って説明する。
プリンタPの使用に際しては、カード供給モードを選択することができる(ステップS1)。今、自動供給モードが選択されている場合を想定する(ステップS2)。自動供給モードでは、図8に示すように、カードトレイ4はカードホッパ部2の下方の位置Xsにあり、支持アーム6a…は下降位置Xdへ下降している。したがって、カードC…(カード群Co)はカードトレイ4の上面4uに載置される。なお、例示のカードCはネームプレートである。
使用者が、スタートボタンをONすることにより印刷工程が開始し、最初に、転写準備が行われる(ステップS3,S4)。転写準備では、コンピュータシステム100から転送された文字データ及び画像(写真)データを含む印刷データがサーマルヘッド45に供給されるとともに、制御部7によりリボンユニット駆動部46と転写ユニット駆動部56が駆動制御され、インクリボン41から転写シート51に対して印刷画像が一次転写される。この場合、インクリボン41には、異なる複数の色が順番に並んでいるため、使用する色に対応してインクリボン41が順次送り出されるとともに、転写シート51は使用する色に対応する回数だけ往復移動する。そして、一次転写処理が終了したなら転写シート51は二次転写開始位置まで移動する。
次いで、転写シート51が二次転写開始位置まで移動するタイミングに合わせてカードトレイ4が前進移動を開始する(ステップS5)。図9はカードトレイ4が前進移動を開始した状態を示している。自動供給モードの選択時にはカード分離部8の機能が有効となり、リタードローラ8rはカード送り方向に対して反対方向(図中、Rr方向)に回転する。これにより、カードトレイ4が前進移動した際には、一枚のカードCのみがカード群Coから分離され、カードトレイ4と一緒に搬送される。この際、吸引ファンモータ32が作動し、吸引ファン9fの回転による吸気作用によりカードCはカードトレイ4の上面4uに保持されるとともに、カードCはカードトレイ4のカードキッカー10…によって位置決めされる。また、カードトレイ4が前進移動することにより、カードホッパ部2の内部のカード群Coは、支持アーム6a…の水平支持部6as…により支持される。この場合、カードトレイ4の厚さが薄ければ、支持アーム6a…の高さはそのままの状態であっても支障なく支持することができるが、水平支持部6as…とカード群Coとの間隔が無視できない程度に大きい場合には、カードトレイ4の移動タイミングに合わせてアーム昇降駆動部6b…を駆動制御し、支持アーム6a…を上昇位置Xuまで上昇させることが望ましい。図9は後側の支持アーム6a…を上昇位置Xuまで上昇させた状態を示している。
一方、カードトレイ4が前進移動することにより、クリーニングローラ95により印刷面がクリーニングされ、この後、熱転写印刷部13により印刷画像の転写処理が行われる(ステップS6)。この場合、カードトレイ4が所定の印刷開始位置に到達すれば、この移動タイミングに合わせて転写シート51が送られ、カードトレイ4が転写ローラ53を通過する際に、転写シート51に一次転写されている印刷画像がカードCの印刷面に二次転写(熱転写)される。なお、転写ローラ53により、転写シート51はカードCの印刷面に対して所定の圧力及び温度により圧接する。図10はカードCを載せたカードトレイ4が転写ローラ53を通過する状態を示している。転写ユニット13tを通過したカードトレイ4は、この後、ラミネータユニット21に到達し、ラミネート処理が行われる(ステップS7)。この場合、カードCがラミネートローラ63を通過する際に、ラミネートシート61からラミネートフィルムがカードCの印刷面に転写される。これにより、当該印刷面にラミネート層が形成され、印刷面が保護される。なお、ラミネートローラ63により、ラミネートシート61はカードCの印刷面に対して所定の圧力及び温度により圧接する。
また、カードトレイ4は、終端位置に到達することにより停止するとともに、吸引ファン9fの回転も停止する。したがって、この後は、搬送ローラ94によりカードCのみが前方に搬送される。デカーラ兼用反転ユニット22では、デカールローラ駆動部85によりデカールローラ72,ピンチローラ73,74が回転するとともに、ローラ支持盤75…はデカールローラ72とピンチローラ73が鉛直方向(垂直方向)に並ぶ位置に回動変位している。これにより、搬送ローラ94により搬送されたカードCは、デカールローラ72とピンチローラ73間に進入し、デカールローラ72とピンチローラ73、さらに、デカールローラ72とピンチローラ74により搬送されることによりデカール処理が行われる(ステップS8)。即ち、転写ローラ53(及びラミネートローラ63)を通過したカードCは、圧力と温度(熱)により上面が凹となるように湾曲(カール)する。このため、デカール処理では、図11に示すように、カードCを、デカールローラ72とピンチローラ73,74間を通過させ、逆方向の反りを付与することによりカードCの湾曲を矯正する。この際、デカールローラ72は内蔵するヒータ71により所定の温度に加熱される。また、カードCがデカーラ兼用反転ユニット22を通過する間に、制御部7は反転駆動部79を駆動制御し、デカーラ兼用反転ユニット22から送り出されるカードCがカード排出部23における排出ローラ機構91の排出ローラ91uと91d間に進入する位置(角度)までローラ支持盤75…を回動変位させる。なお、デカーラ兼用反転ユニット22は、両面印刷時には、カードCを排出させることなく保持した状態でカードCが進入した位置(角度)から180〔゜〕回動変位する。そして、カードCを裏返した(反転させた)状態で、再度、カードトレイ4まで戻す動作を行う。したがって、デカーラ兼用反転ユニット22は、デカール処理を行う機能とカードCを反転処理する機能を兼用する。他方、排出ローラ機構91に進入したカードCは、排出ローラ機構91により前方へ送られ、受取トレイ92上に排出される(ステップS9)。
次に、手差供給モードを選択した場合を想定する(ステップS2)。この場合、制御部7は、アーム昇降駆動部6b…を駆動制御して支持アーム6a…を上昇位置Xuまで上昇させる(ステップS10)。これにより、カード群Coは、支持アーム6a…により持ち上げられるため、カード群Coはカードトレイ4の上面4uから離間し、カード群Coとカードトレイ4の上面4u間に所定の隙間Gが生じる(ステップS11)。この状態を図12に示す。次いで、制御部7は、搬送ベルト駆動部38を駆動制御し、カードトレイ4を後退移動させる(ステップS12)。これにより、カードトレイ4は、図13に示すように、カードホッパ部2から後方へ抜け出る手差位置Xmまで移動する。したがって、この手差位置Xmにおけるカードトレイ4の上面4uに一枚のカードCを手差しによりセットすることができる(ステップS13)。
カードCをセットしたなら、使用者は、スタートボタンをONする(ステップS14)。これにより、印刷工程が開始する。なお、手差供給モードの選択時にはカード分離部8の機能が無効となり、リタードローラ8rは空転状態に切換えられる(ステップS15)。また、この際、吸引ファンモータ32が作動し、吸引ファン9fの回転による吸気作用によりカードCはカードトレイ4の上面4uに保持されるとともに、カードCはカードトレイ4のカードキッカー10…によって位置決めされる。さらに、スタートボタンのONにより、上述した自動供給モード時と同様の転写準備が行われる(ステップS4)。転写準備の終了により、カードトレイ4が前進移動を開始する(ステップS5)。この場合、カード群Coは支持アーム6a…により上昇位置Xuまで持上げられているため、カードトレイ4はそのままカードホッパ部2の下方を通過し、カードホッパ部2の前方へ搬送される。そして、以降は、前述した自動供給モードの場合と同様に二次転写処理等の一連の処理が行われる(ステップS6〜S9)。
よって、このような本実施形態に係るカード供給装置1によれば、上面4uに一枚のカードCを載せた状態でカードホッパ部2の下方からカード送り方向の前方Df及び後方Drへの移動が許容されるカードトレイ4と、カード群Coを支持可能な支持アーム6a…及びこの支持アーム6a…を昇降させるアーム昇降駆動部6b…を有するリフト機構6を備えるため、カードホッパ部2にカードC…を収容した状態において、他の異なるカードCを一枚だけ割り込ませて印刷するなどの手差供給による印刷が可能となり、使い勝手及び利便性を高めることができる。また、カード送り方向の前方Df及び後方Drへ移動するカードトレイ4及びカード群Coを支持するリフト機構6の追加により実現できるため、カード供給系全体を容易かつ簡便に構成できる。これにより、カード供給装置1の小型コンパクト化を図れるとともに、低コスト化に寄与できる。さらに、上面4uに一枚のカードCを載せたカードトレイ4をカードホッパ部2の下方の位置Xsからカード送り方向の前方Df及び後方Drの範囲へ移動させるようにしたため、カードC…の厚さ,大きさ及び材質等に左右されることなく、様々なカードC…に対して搬送トラブルを生じることなく安定かつ確実に搬送できるとともに、印刷精度を高めることができる。しかも、多様なカードに対する適用性、更には汎用性も高めることができる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、リタードローラ8rは必ずしも設けることを要せず、カードホッパ部2の下端にカードC一枚分の隙間を設けるなどの形態であってもよい。また、吸引部9も必ずしも設けることを要せず、カードトレイ4の上面4uにゴムシートを貼着するなどの滑止処理した形態であってもよい。さらに、トレイ移動機構5は、リニアモータ等の移動手段を利用するなど、他の移動手段により構成できる。