JP5437566B2 - ビシクロテトラアザポルフィリン化合物及びそれを用いたテトラアザポルフィリン化合物の製造方法、並びに有機電子デバイス及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このとき、有機電子デバイスが、電界効果トランジスタであることが好ましい(請求項4)。
(ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の構造)
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、下記構造式(I)又は(II)で表わされる構造を有する化合物である。
構造式(I)及び構造式(II)における、R1〜R8はそれぞれ独立に1価の原子又は原子団を表わす。R1〜R8となる、1価の原子又は原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、(R1,R2)、(R3,R4)、(R5,R6)及び(R7,R8)の少なくとも一組は、構造式(III)で表わされるビシクロ構造を有する基(以下適宜、ビシクロ含有基という)を表す。また、Mは金属原子を表す。
ところが、本発明のビシクロ含有基を含む化合物(以下適宜、ビシクロ化合物という)は、逆ディールスアルダー反応により単環の構造になる。ここで、逆ディールスアルダー反応とは、エチレン(あるいはその誘導体)が脱離する反応(脱エチレン化)のことである。
すなわち、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、立体的に嵩高い構造ゆえ溶解性が高く、また脱エチレン化をすることにより、その嵩高い構造が消失して平面の高い構造となりうる。
従って、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、いわゆる顔料であるテトラアザポルフィリン化合物の前駆体として用いる事ができ、有機半導体の材料として好ましい。
また、Rx、Ryのうち、好ましい例としては、直接結合又はテトラアザポルフィリン化合物の共役系を拡張する構造が挙げられる。具体的には、Rx、Ryが一体となって芳香環を形成するものが好ましい。その中でも特に好ましくは直接結合である。
ただし、R13〜R16、Rx、及びRyとしては、逆ディールスアルダー反応後に有機半導体中に残ることがある置換基であるため、あまりに立体的な障害が大きいものや、大きな置換基を有するものは好ましくない。本発明のテトラアザポルフィリン化合物から有機半導体を製造した場合に、有機半導体の配向性や結晶性が低下しやすくなるためである。また、R9〜R12は逆ディールスアルダー反応時の脱離基となるので、有機半導体膜内への残留を防止するために、揮発しやすい置換基が好ましい。
R1〜R8のうちビシクロ含有基でないものについては、当該R1〜R8は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の一価の原子又は原子団を用いることができる。その例を挙げると、一価の有機基を挙げることができる。
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物の製造方法に特に制限は無いが、例えば以下の要領で、ディールスアルダー反応を介した反応によって製造することができる。なお、ビシクロ構造に関する部分には、反応の任意の段階で、R9〜R12で示した置換基
を結合させることができる。
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、溶媒に対する溶解性に優れている。具体的な溶解性は任意であるが、常温常圧(25℃、1.013×103hPa)において、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、クロロホルム1kgに対し、通常0.1g以上、好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上溶解する。なお、上限に制限は無い。
(脱エチレン化)
以下、脱エチレン化について例を示して説明する。
構造式(VI)で表されるビシクロ含有基から、下記構造式(VIII)で表わされるエチレン又はその誘導体を脱離することにより、下記構造式(VII)で表わされる置換基(以下適宜、「特定置換基」という)を得ることができる。
構造式(VI)、構造式(VII)、及び構造式(VIII)において、R9〜R16、Rx及びRyは上述した通りである。
上記反応式で示したように、構造式(VI)で表わされるビシクロ含有基は、逆ディールスアルダー反応により、構造式(VIII)で表わされるエチレン又はその誘導体を脱離し、平面性の高い置換基(構造式(VII)で表わされる特定置換基)に変換することができる。この一連の逆ディールスアルダー反応を脱エチレン化という。
脱エチレン化を利用すると、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物からテトラアザポルフィリン化合物を合成できるようになり、有機半導体製造時の塗布液の塗布性を向上させ、有機半導体の製造を簡単に行なうことが可能となる。
即ち、温度条件は、通常100℃以上、好ましくは130℃以上、また、通常400℃以下、好ましくは300℃以下である。高温ほど反応時間は短く、低温ほど反応時間を長く要することが多い。
さらに、反応雰囲気は、真空中、或いは、窒素、希ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
なお、逆ディールスアルダー反応については、例えば、特開2003−304014号公報、Chem.Commun.,1998,P1661−P1662 HETEROCYCLES,vol52,No.1,2000,P399−P411などを参照することができる。
上記脱エチレン化を、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物に行なうことによって、下記構造式(IV)または(V)で表わされるテトラアザポルフィリン化合物(以下適宜、本発明のテトラアザポルフィリン化合物という)を得ることができる。
さらに、テトラアザポルフィリン化合物が半導体特性を示すためには、Q1〜Q8が、平面性の高いものである事が望ましい。R1〜R8の具体例の中でも、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;炭素数10以下の分岐しないアルキル基、アルケン基、アルケニル基などが好ましい。
さらに(Q1,Q2)、(Q3,Q4)、(Q5,Q6)、及び(Q7,Q8)が各組内で結合して、全体としてπ電子の共役系が広がる構造が好ましく、例えば環構造を有するものが好ましい。好適なものの具体例を挙げると、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の、芳香族炭化水素を形成するもの;フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、イミダゾール、キノキサリン等の、複素環を形成するもの等が挙げられる。これらの環は、さらに例えばアルキル基等の一価の有機基;ハロゲン原子などの置換基で置換されていてもよい。
構造式(V)のMである金属原子も、構造式(II)のMと同様である。
なお、構造式(IV)や(V)の化合物は、構造式(I)や(II)の化合物を前駆体として誘導されるものが好ましい。
(電子デバイス)
本発明のテトラアザポルフィリン化合物は、有機電子デバイスなどに用いることができる。
ここで、電子デバイスの構成の例を挙げると、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置などが挙げられる。また、例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子などが挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振等が挙げられる。
また、デバイスの例としては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー等、あるいはこれらの素子の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。また、光により起電力を生じる太陽電池や、光電流を生じるフォトダイオード、フォトトランジスター等の光素子も挙げることができる。
本発明テトラアザポルフィリン化合物の用途は特に制限されないが、光或いは電気的な機能を有効に発揮することから、有機電子デバイス等の半導体材料として好適に利用できる。その具体例としては、以下の3つが挙げられる。
本発明のテトラアザポルフィリン化合物を用いた、さらに別の好適な電子デバイスの例として、電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。以下、このFETの一実施形態について詳細に説明する。
図1A〜Dは、FETの構造の例を模式的に示す図である。図1A〜Dにおいて、1が半導体層、2が絶縁体層、3及び4がソース電極及びドレイン電極、5がゲート電極、6が基板をそれぞれ示す。
さらに、基板には基板処理を施すことにより、FETの特性を向上させることができる。これは基板の親水性/疎水性を調整して、成膜の際に得られる膜質を向上させること、特に基板と半導体層の界面部分の特性を改良することがその原因と推定される。このような基板処理としては、例えばヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等の疎水化処理、塩酸や硫酸、酢酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ処理、オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴン等のプラズマ処理、ラングミュアブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理が挙げられる。
(電界効果トランジスタの製造)
特定置換基が平面性の高い分子に導入されている場合、半導体として高い性質を有する。これを利用して、有機半導体を製造することが可能である。
例えば、適切な溶媒に本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物を溶解した塗布液を用意し、この塗布液を基板等に塗布して塗布膜を作製し、加熱などによって塗布膜中のビシクロテトラアザポルフィリン化合物に前記の脱エチレン化(即ち、逆ディールスアルダー反応)を進行させれば、特定置換基を含む特定化合物の有機半導体の層を容易に作製することができる。このように、上記の脱エチレン化によりビシクロ含有基から、エチレン又はその誘導体を脱離する工程を有する製造方法により、有機半導体を製造することが可能である。
具体的に、上記の電界効果トランジスタの半導体層を、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物を用いて製造する方法の一例を示す。
まず、塗布法について説明する。塗布法は、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物を、必要な溶媒に溶解して溶液(塗布液)とし、当該塗布液を塗布対象(基板等)に塗布し、塗布された層内のビシクロ含有基に脱エチレン化を進行させることによって形成する。この際、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、溶媒の選択の幅を広げ、より好適な溶媒を使用することが可能である。
ケトン系溶媒の具体例を挙げると、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等が挙げられる。これらの中で、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが更に好ましい。
なお、溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、FETの用途によっては、成膜したビシクロテトラアザポルフィリン化合物の膜を部分的に変換して特性を調整することも可能である。この際には、例えば、低温あるいは短時間での処理で行われる。また、加熱には、ヒーターを用いて伝熱による加熱の他、炭酸ガスレーザーや赤外線ランプ、あるいはこのビシクロテトラアザポルフィリン化合物の吸収する波長の光を照射する事も利用できる。この際、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の近傍に光を吸収する層を設け、光をこの層で吸収させることにより、加熱することも可能である。
これらを形成する方法も、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等を用いることができる。また、そのパターニング方法も、フォトレジストのパターニングとエッチング液や反応性のプラズマでのエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法及びこれらの手法の複数の組み合わせた手法を利用することができる。また、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して材料を除去したり材料の導電性を変化させる事により、直接パターンを作製することも利用できる。
実施例1で得られたビシクロテトラアザポルフィリン化合物について熱量分析を行なった。加熱により、下記変化に対応する重量が見られた事から、テトラアザポルフィリン化合物の生成が確認できた。なお、熱重量分析のチャートを図2に示す。
図2の左端の縦軸はTGのスケール、右端の縦軸はTempのスケール、横軸はTimeのスケールを示している。ここで、TGとは、加熱開始時のビシクロテトラアザポルフィリン化合物の重量に対する重量変化量を百分率で示したものであり、単位は%である。図2では破線で示されている。また、Tempとは、試料の温度を示しており、単位は℃である。図2では実線で示されている。さらに、Timeとは加熱時間であり、単位は分(図2ではminと表記)である。
実施例1で合成したテトラアザポルフィリンを用いて電界効果トランジスタを作製、評価した。
膜厚300nmの酸化膜を形成したN型のシリコン(Si)基板(Sbドープ、抵抗率0.02Ωcm以下、住友金属工業社製)上に、フォトリソグラフィーで長さ(L)10μm、幅(W)500μmのギャップを有する金電極(ソース、ドレイン電極)を形成した。また、この電極と異なる位置の酸化膜を削り取ってむき出しになったSi部分にクロムを蒸着して、この部分を利用してゲート電極としてのシリコン基板に電圧を印加した。
こうして得られたFET(電界効果型トランジスタ)素子の電気特性をAgilent社製半導体パラメータアナライザ4155Cを用いて評価した結果、n型のFET特性を示し、飽和移動度1.1×10-5cm2/Vsが得られた。
実施例1と同様にして合成し、それにアルミナのカラムクロマトグラフ及び分取液体クロマトグラフでの精製を加えたビシクロアザポルフィリン化合物5mgをクロロホルム1mLに溶解し、実施例3と同様に電極を形成した基板上にスピンコートすることにより良好な膜を得た。その後に230℃で10分加熱処理することにより、テトラベンゾアザポルフィリンの膜を、電極を形成した基板上に作製した。
実施例1と同様にして合成した化合物6(102.1mg)をクロロホルム(20.0mL)に溶解し、これに酢酸銅のメタノール飽和溶液(20.0mL)を添加して、質量分析法による測定で原料が消失するまで4日間還流した。
その後、クロロホルムで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮した。
得られた組成物を、クロロホルムを用いてアルミナカラムで精製した後、やはりクロロホルムを用いて分取クロマトグラフィー(日本分析工業製、カラム:JAIGEL−1H+JAIGEL−2H)により、目的物である銅錯体のピークのみ分離した。
実施例5で得られた銅錯体を、実施例4と同様にして電界効果トランジスタを作製し、電気特性を評価した。その結果、良好なn型のFET特性を示し、飽和電子移動度1.3×10-4cm2/Vs、スレッショルド電圧21.5V、オンオフ比48を示した。
2 絶縁体層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
6 基板
Claims (5)
- 有機電子デバイスが、電界効果トランジスタである
ことを特徴とする、請求項3記載の有機電子デバイス。 - 請求項3又は請求項4に記載の有機電子デバイスの製造方法であって、
請求項1記載のビシクロテトラアザポルフィリン化合物から、逆ディールスアルダー反応により、前記テトラアザポルフィリン化合物を得る工程を有することを特徴とする、有機電子デバイスの製造方法。
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