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JP5437566B2 - ビシクロテトラアザポルフィリン化合物及びそれを用いたテトラアザポルフィリン化合物の製造方法、並びに有機電子デバイス及びその製造方法 - Google Patents
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JP5437566B2 - ビシクロテトラアザポルフィリン化合物及びそれを用いたテトラアザポルフィリン化合物の製造方法、並びに有機電子デバイス及びその製造方法 - Google Patents

ビシクロテトラアザポルフィリン化合物及びそれを用いたテトラアザポルフィリン化合物の製造方法、並びに有機電子デバイス及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なビシクロテトラアザポルフィリン化合物及びそれを用いたテトラアザポルフィリン化合物の製造方法、並びにそれを有機半導体として用いた有機電子デバイス及びその製造方法に関する。
フタロシアニンに代表されるテトラアザポルフィリン化合物は、大きな環状のπ共役電子に由来する半導体物性から、太陽電池、光触媒、有機ELの正孔注入層、有機トランジスタ、電子写真感光体などに用いられている。
一般に高い平面性を有する分子は、π共役性が良好で分子間の相互作用も大きくなるため、半導体材料として使用した場合に、高い半導体特性を示す事が多い。しかしながら、該分子がフタロシアニン系化合物の場合は、いわゆる顔料になってしまい、溶解性が低くなることが多い。フタロシアニン系化合物は、溶解性が低く、クロマトグラフィーや再結晶等の汎用の精製が難しくなり、高い純度の材料を得ることが困難になったり、純度の検定も難しくなったりすることがある。また、製膜する際にも、溶液からの製膜は難しくなり、微粒子の分散膜や蒸着膜等の限られた膜しか得られないことがある。このため、溶解性が低いフタロシアニン系化合物は、高い特性を得るのに障害になったり、製膜に手間がかかって高コストになったりする可能性があった(特許文献1)。
一方、難溶性の材料の取り扱いを改良する方法として、前駆体からの誘導が提案されてきた。これは、溶解性の高い前駆体から難溶性の顔料に変換するものである。
溶解性の高い前駆体は、溶液にして塗布することにより製膜が可能であり、あるいは、ポリマー等の他の材料のマトリクス中に溶解させる事も可能である。これを利用して、この前駆体を製膜した後で加熱等により、目的の難溶性の材料に変換する。この変換が定量的に進行するものであれば、高純度の難溶性の材料を得る事ができ、難溶性材料の塗布プロセスによる製膜が可能になる(特許文献2)。
特開平11−251601号公報 特開2005−93990号公報
高い半導体特性を有する、テトラアザポルフィリン化合物は、有機半導体の原料として高い期待がある。しかし、テトラアザポルフィリン化合物の難溶性のため、半導体分野への適用は困難であり、未だ満足できる性能を具備したものは得られていない。
本発明は上記課題に鑑みて創案されたもので、溶媒溶解性の良好な新規のテトラアザポルフィリン化合物の前駆体として用いることができる、新規なテトラアザポルフィリンのビシクロ化合物、及びそれを用いたテトラアザポルフィリン化合物の製造方法、並びに有機電子デバイス及びその製造方法、を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、種々検討を行った結果、所定の部位にビシクロ構造を有するテトラアザポルフィリン化合物が、溶解性の向上を計り得るとともに、テトラアザポルフィリン化合物の前駆体として使用しうるという利点を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、下記構造式(I)又は構造式(II)で表わされることを特徴とする、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物に存する(請求項1)。
Figure 0005437566
{構造式(I)及び構造式(II)において、R1〜R8はそれぞれ独立に一価の原子又は原子団を表わす。ただし、(R1、R2)、(R3、R4)、(R5、R6)及び(R7、R8)は、それぞれ独立に下記式(VI)で表わされる基である。また、構造式(II)において、Mは金属原子を表わす。}
Figure 0005437566
{式(VI)において、R 9 〜R 16 は炭素数6以下のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子又はアルコキシ基であり、R x 及びR y は、直接結合又はR x 及びR y が一体となって芳香環を形成する構造を表わす。}
本発明の別の要旨は、前記のビシクロテトラアザポルフィリン化合物から、逆ディールスアルダー反応により、下記構造式(IV)又は構造式(V)で表わされるテトラアザポルフィリン骨格を有するテトラアザポルフィリン化合物を得ることを特徴とする、テトラアザポルフィリン化合物の製造方法に存する(請求項)。
Figure 0005437566
{構造式(IV)及び構造式(V)において、Q1〜Q8はそれぞれ独立に一価の原子又は原子団を表わす。また、(Q1、Q2)、(Q3、Q4)、(Q5、Q6)及び(Q7、Q8)は、それぞれ独立に各組内で結合して芳香族炭化水素又は複素環を形成する構造である。また、構造式(V)において、Mは金属原子を表わす。
本発明の更に別の要旨は、前記構造式(IV)又は構造式(V)で表わされるテトラアザポルフィリン骨格を有するテトラアザポルフィリン化合物を、半導体として含むことを特徴とする、有機電子デバイスに存する(請求項)。
このとき、有機電子デバイスが、電界効果トランジスタであることが好ましい(請求項)。
本発明の更に別の要旨は、前記の有機電子デバイスの製造方法であって、前記のビシクロテトラアザポルフィリン化合物から、逆ディールスアルダー反応により、前記テトラアザポルフィリン化合物を得る工程を有することを特徴とする、有機電子デバイスの製造方法に存する(請求項)。
本発明によれば、溶媒溶解性が高い新規のビシクロテトラアザポルフィリン化合物及びそれを用いたテトラアザポルフィリン化合物の製造方法、並びにそれを有機半導体とした用いた有機電子デバイス及びその製造方法、を提供することが可能である。
以下、本発明について実施の形態を示して説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施すること可能である。
[1.ビシクロテトラアザポルフィリン化合物]
(ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の構造)
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、下記構造式(I)又は(II)で表わされる構造を有する化合物である。
Figure 0005437566
{構造式(I)及び構造式(II)において、R1〜R8はそれぞれ独立に一価の原子又は原子団を表わす。ただし、(R1,R2)、(R3,R4)、(R5,R6)及び(R7,R8)の少なくとも一組は、下記構造式(III)で表わされる置換されていてもよいビシクロ構造を有する基を表す。また、構造式(II)において、Mは金属原子を表わす。}
Figure 0005437566
以下に詳細を説明する。
構造式(I)及び構造式(II)における、R1〜R8はそれぞれ独立に1価の原子又は原子団を表わす。R1〜R8となる、1価の原子又は原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、(R1,R2)、(R3,R4)、(R5,R6)及び(R7,R8)の少なくとも一組は、構造式(III)で表わされるビシクロ構造を有する基(以下適宜、ビシクロ含有基という)を表す。また、Mは金属原子を表す。
テトラアザポルフィリン化合物にビシクロ含有基を導入することは、立体障害の大きな置換基を導入することであり、これによりビシクロテトラアザポルフィリン化合物の溶解性が高まる。溶解性が高くなることにより、ビシクロアザポルフィリン化合物は、精製が容易となり、高い純度のものを容易に得る事ができるようになる。また、吸収スペクトルやNMR等、種々の手法を用いた純度の検定も可能になる。さらに、溶液を塗布することにより製膜が可能であり、あるいは、ポリマー等の他の材料のマトリクス中に溶解させる事も可能になる。
しかし、立体障害の大きな置換基の導入は、溶解性を高めることができる反面、分子間相互作用を弱める作用があるため、半導体特性は低下し、材料の耐久性も悪くなる可能性があった。
ところが、本発明のビシクロ含有基を含む化合物(以下適宜、ビシクロ化合物という)は、逆ディールスアルダー反応により単環の構造になる。ここで、逆ディールスアルダー反応とは、エチレン(あるいはその誘導体)が脱離する反応(脱エチレン化)のことである。
すなわち、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、立体的に嵩高い構造ゆえ溶解性が高く、また脱エチレン化をすることにより、その嵩高い構造が消失して平面の高い構造となりうる。
従って、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、いわゆる顔料であるテトラアザポルフィリン化合物の前駆体として用いる事ができ、有機半導体の材料として好ましい。
ビシクロ含有基は、構造式(III)のビシクロ構造を有していれば他に制限は無い。その様なビシクロ含有基のうち好適なものを一般化して表記すると、以下の構造式(VI)の様に表される。
Figure 0005437566
ここで、ビシクロ構造のR9〜R16は、一価の原子又は原子団を表し、具体的にはビシクロ含有基以外のR1〜R8(後述する)と同様のものが挙げられる。また、R9〜R16は、任意の組み合わせで結合して環を形成していても良い。ただし、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物から製造されるテトラアザポルフィリン化合物を有機半導体として機能させる観点から、R13〜R16は、エチレン誘導体の脱離後に形成されるπ電子共役分子が機能を発揮する有機基を用いることが好ましい。
なお、Rx及びRyは、それぞれ独立に直接結合、又はテトラアザポルフィリン骨格に結合する2価以上の基を表す。ここで、テトラアザポルフィリン骨格とは、構造式(I)及び構造式(II)のR1〜R8以外の部分、若しくは、構造式(III)及び構造式(IV)のQ1〜Q8以外の部分を示す。なお、Rx及びRyが互いに結合していてもよい。
このようなR9〜R16のうち、好ましい例としては、炭素数6以下のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、及びアルコキシ基等が挙げられる。
また、Rx、Ryのうち、好ましい例としては、直接結合又はテトラアザポルフィリン化合物の共役系を拡張する構造が挙げられる。具体的には、Rx、Ryが一体となって芳香環を形成するものが好ましい。その中でも特に好ましくは直接結合である。
ただし、R13〜R16、Rx、及びRyとしては、逆ディールスアルダー反応後に有機半導体中に残ることがある置換基であるため、あまりに立体的な障害が大きいものや、大きな置換基を有するものは好ましくない。本発明のテトラアザポルフィリン化合物から有機半導体を製造した場合に、有機半導体の配向性や結晶性が低下しやすくなるためである。また、R9〜R12は逆ディールスアルダー反応時の脱離基となるので、有機半導体膜内への残留を防止するために、揮発しやすい置換基が好ましい。
そのようなビシクロ含有基としては、以下のような例が挙げられる。
Figure 0005437566
{ここでRa、RbはR1〜R8と同様の置換基を表す。}
ビシクロ含有基は任意の数のビシクロ構造を任意の部位に有することができる。ただし、ビシクロ構造は、テトラアザポルフィリン骨格部位に近い位置にあるほど好ましく、直接結合していることがさらに好ましい。溶解性の向上の効果が大きいからである。
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物が有するビシクロ含有基の数は任意であり、1〜4の何れでもよい。ただし、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上のビシクロ含有基を有する。ビシクロ含有基が多いほど、溶解性が高まるためである。
また、本発明のビシクロアザポルフィリン化合物が、複数のビシクロ含有基を有する場合、全てのビシクロ含有基が同じ構造でも良いし、異なった構造のビシクロ含有基を任意の組み合わせで有していても良い。ただし、全てのビシクロ含有基が同じ構造を有する方が好ましい。合成が容易のためである。
また、ビシクロ含有基のビシクロ構造の部分の分子量は任意である。一方、脱離基部分の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常28以上、また通常200以下、好ましくは150以下、より好ましくは100以下である。脱離基の分子量が小さいほうが揮発しやすく、残留物として残りにくいためである。
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、(R1,R2)、(R3,R4)、(R5,R6)及び(R7,R8)のうち選択された少なくても一組がビシクロ含有基であればよい。
1〜R8のうちビシクロ含有基でないものについては、当該R1〜R8は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の一価の原子又は原子団を用いることができる。その例を挙げると、一価の有機基を挙げることができる。
そのような基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−へプチル基等の置換されていても良い炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の置換されていても良い炭素数3〜18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の置換されていても良い炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の置換されていても良い炭素数3〜18の環状アルケニル基;プロピニル基、ヘキシニル基等の置換されていても良い炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルキニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等の置換されていても良い複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の置換されていても良い炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換されていても良い炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の置換されていても良い炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等の置換されていても良い炭素数3〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の置換されていても良い炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基などが挙げられる。
他の具体例としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアナト基;イソシアナト基;チオシアナト基;イソチオシアナト基;メルカプト基;ヒドロキシ基;ヒドロキシアミノ基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;−COR17で表されるアシル基、−NR1819で表されるアミノ基、−NHCOR20で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR21で表されるカーバメート基、−COOR22で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR23で表されるアシルオキシ基、−CONR2425で表されるカルバモイル基、−SO226で表されるスルホニル基、−SO2NR2728で表されるスルファモイル基、−SO329で表されるスルホン酸エステル基、−NHSO230で表されるスルホンアミド基、−SOR31で表されるスルフィニル基などが挙げられる。ここでR17、R20、R21、R22、R23、R26、R29、R30、R31は置換されていても良い炭化水素基、又は置換されていても良い複素環基を表し、R18、R19、R24、R25、R27、R28は水素原子、置換されていても良い炭化水素基、置換されていても良い複素環基のいずれかを表す。
このR17〜R31で表される炭化水素基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば、直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、環状アルケニル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘプチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18の環状アルケニル基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。これらの基のアリール基部分は前述のR1〜R8と同様の置換基で更に置換されていても良い。
またR17〜R31で表される複素環基は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のものを用いられる。このような複素環の例を挙げると、4−ピペリジル基、モルホリノ基、2−モルホリニル基、ピペラジル基等の飽和複素環でも、2−フリル基、2−ピリジル基、2−チアゾリル基、2−キノリル基等の芳香族複素環でも良い。これらは複数のヘテロ原子を含んでいても、さらに置換基を有していても良く、また結合位置も問わない。複素環として好ましい構造のものは、5〜6員環の飽和複素環、5〜6員環の単環及びその2縮合環の芳香族複素環である。
さらに、R1〜R8は、それぞれ独立に置換基で置換されていてもよい。従って、例えば、前記R1〜R8が有し得る直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、環状アルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又は分岐のアルキルチオ基、及びR17〜R31が示すアルキル基のアルキル鎖部分は、更に置換基を有し得る。その置換基の例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
即ち、前記R1〜R8に置換する置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のアリール基(これらは任意の置換基でさらに置換されていても良い。);フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の炭素数2〜12のアルケニルオキシ基等が例示される。
さらに、R1〜R8に置換する他の置換基として、例えば、2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等の複素環基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。なお、R1〜R8に置換する置換基は、1種を単独で用いてもよく、2以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、R1〜R8は、互いに結合して環を形成し、環構造の原子団(基)としてテトラアザポルフィリン骨格に結合していてもよい。ただし、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物に導入されたビシクロ含有基の数が少ない場合には、R1〜R8としてビシクロ含有基とは別にアルキル基等の溶解性を向上させる基を導入する事が望ましい。そのような基の例として、ビシクロ構造を有しない環構造を有する基があり、次のような例がある。なお、ビシクロ構造を有しない環構造を有する基は、1種を単独で用いてもよく、2以上を任意の組み合わせ及び比率で使用してもよい。
Figure 0005437566
構造式(II)のMである金属原子は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば、Cu、Zn、Mg、Co、Fe等の単一金属原子;AlCl、TiO、FeCl、SiCl2等の3価以上の金属と他の元素とが結合して2価になっている原子団等が挙げられる。
以下、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物の例を挙げる。ただし、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は以下の例に限定されるものではない。
Figure 0005437566
Figure 0005437566
Figure 0005437566
(ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の合成)
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物の製造方法に特に制限は無いが、例えば以下の要領で、ディールスアルダー反応を介した反応によって製造することができる。なお、ビシクロ構造に関する部分には、反応の任意の段階で、R9〜R12で示した置換基
を結合させることができる。
Figure 0005437566
(ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の溶解度)
本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、溶媒に対する溶解性に優れている。具体的な溶解性は任意であるが、常温常圧(25℃、1.013×103hPa)において、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、クロロホルム1kgに対し、通常0.1g以上、好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上溶解する。なお、上限に制限は無い。
[2.テトラアザポルフィリン化合物の合成]
(脱エチレン化)
以下、脱エチレン化について例を示して説明する。
構造式(VI)で表されるビシクロ含有基から、下記構造式(VIII)で表わされるエチレン又はその誘導体を脱離することにより、下記構造式(VII)で表わされる置換基(以下適宜、「特定置換基」という)を得ることができる。
Figure 0005437566
(構造式(VI)、構造式(VII)、及び構造式(VIII)中、R9〜R16は任意の1価の原子又は1価の原子団を表わす。また、Rx及びRyは、それぞれ独立に直接結合、又はテトラアザポルフィリン骨格に結合する2価以上の基を表す。)
以下、詳細に説明する。
構造式(VI)、構造式(VII)、及び構造式(VIII)において、R9〜R16、Rx及びRyは上述した通りである。
上記反応式で示したように、構造式(VI)で表わされるビシクロ含有基は、逆ディールスアルダー反応により、構造式(VIII)で表わされるエチレン又はその誘導体を脱離し、平面性の高い置換基(構造式(VII)で表わされる特定置換基)に変換することができる。この一連の逆ディールスアルダー反応を脱エチレン化という。
脱エチレン化を利用すると、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物からテトラアザポルフィリン化合物を合成できるようになり、有機半導体製造時の塗布液の塗布性を向上させ、有機半導体の製造を簡単に行なうことが可能となる。
この脱エチレン化の反応条件は、逆ディールスアルダー反応が進行する限り任意であるが、通常は、以下の通りである。
即ち、温度条件は、通常100℃以上、好ましくは130℃以上、また、通常400℃以下、好ましくは300℃以下である。高温ほど反応時間は短く、低温ほど反応時間を長く要することが多い。
さらに、反応雰囲気は、真空中、或いは、窒素、希ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
また、脱エチレン化による変換率は、通常100%である。なお、変換率は、例えば、加熱による重量変化を測定することにより反応進行現象を調べて測定することができる(TG法)。
なお、逆ディールスアルダー反応については、例えば、特開2003−304014号公報、Chem.Commun.,1998,P1661−P1662 HETEROCYCLES,vol52,No.1,2000,P399−P411などを参照することができる。
(テトラアザポルフィリン化合物)
上記脱エチレン化を、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物に行なうことによって、下記構造式(IV)または(V)で表わされるテトラアザポルフィリン化合物(以下適宜、本発明のテトラアザポルフィリン化合物という)を得ることができる。
Figure 0005437566
{構造式(IV)及び構造式(V)において、Q1〜Q8はそれぞれ独立に一価の原子又は原子団を表わす。また、(Q1,Q2)、(Q3,Q4)、(Q5,Q6)及び(Q7,Q8)は、それぞれ互いに結合して環を形成しても良い。また、構造式(V)において、Mは金属原子を表わす。}
1〜Q8は、R1〜R8と同様の原子及び原子団が挙げられるが、ビシクロ含有基は含まれないことが好ましい。
さらに、テトラアザポルフィリン化合物が半導体特性を示すためには、Q1〜Q8が、平面性の高いものである事が望ましい。R1〜R8の具体例の中でも、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;炭素数10以下の分岐しないアルキル基、アルケン基、アルケニル基などが好ましい。
さらに(Q1,Q2)、(Q3,Q4)、(Q5,Q6)、及び(Q7,Q8)が各組内で結合して、全体としてπ電子の共役系が広がる構造が好ましく、例えば環構造を有するものが好ましい。好適なものの具体例を挙げると、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の、芳香族炭化水素を形成するもの;フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、イミダゾール、キノキサリン等の、複素環を形成するもの等が挙げられる。これらの環は、さらに例えばアルキル基等の一価の有機基;ハロゲン原子などの置換基で置換されていてもよい。
構造式(V)のMである金属原子も、構造式(II)のMと同様である。
なお、構造式(IV)や(V)の化合物は、構造式(I)や(II)の化合物を前駆体として誘導されるものが好ましい。
このような本発明のテトラアザポルフィリン化合物は、次に示すような構造の化合物が例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 0005437566
Figure 0005437566
Figure 0005437566
[3.有機電子デバイス]
(電子デバイス)
本発明のテトラアザポルフィリン化合物は、有機電子デバイスなどに用いることができる。
ここで、電子デバイスの構成の例を挙げると、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置などが挙げられる。また、例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子などが挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振等が挙げられる。
また、デバイスの例としては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー等、あるいはこれらの素子の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。また、光により起電力を生じる太陽電池や、光電流を生じるフォトダイオード、フォトトランジスター等の光素子も挙げることができる。
本発明のテトラアザポルフィリン化合物は、これらの電子デバイスにおいて、有機半導体として用いることができる。なお、特定化合物を有機半導体として使用する場合、特定化合物以外の有機半導体を併用してもよい。
さらに、本発明のテトラアザポルフィリン化合物は、電子デバイスにおいて有機化合物以外の用途で用いてもよい。例えば、発明のテトラアザポルフィリン化合物を用いて電子デバイスの所望の位置に膜を形成し、当該特定化合物の膜の導電率を分子構造あるいはドーピング等で制御することにより、当該膜を配線に用いたりコンデンサや電界効果トランジスタ(FET)中の絶縁層に用いたりすることもできる。
なお、電子デバイスのより具体的な例は、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley−Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
(テトラアザポルフィリン化合物の用途)
本発明テトラアザポルフィリン化合物の用途は特に制限されないが、光或いは電気的な機能を有効に発揮することから、有機電子デバイス等の半導体材料として好適に利用できる。その具体例としては、以下の3つが挙げられる。
本発明のテトラアザポルフィリン化合物は、平面性の高いπ共役系の分子であるため、有機半導体として用いることができる。ここで、半導体とは、電荷を運搬できる材料であり、不純物のドーピングや印加する電場により、半導体中のキャリア密度を制御することにより、種々の機能を発現するものである。その用途の例としては、整流素子やトランジスタ等が挙げられる。これらの半導体のうち、有機物からなる半導体を有機半導体といい、発明のテトラアザポルフィリン化合物は、有機半導体の材料となりうる。
半導体には正孔を輸送するp型と電子を輸送するn型とがあるが、有機半導体の大多数がp型半導体であるのに対し、本発明のテトラアザポルフィリン化合物はn型として動作するものが多い。しかしながら、電極材料を工夫して正孔を注入できるようにしたり、π共役系に関与してる原子に電子供与性の置換基を結合させることにより、p型として動作させることも可能である。
また、本発明のテトラアザポルフィリン化合物を利用して、特殊な分子集合体を合成することができる。例えば、上記式(VI)における基R14及びR15としてそれぞれ極性の異なる基を導入することにより本発明のテトラアザポルフィリン化合物に両親媒性を付与すれば、このテトラアザポルフィリン化合物を用いてペシクルやナノチューブを作製できる可能性がある。このような例として、ビシクロ含有基として
Figure 0005437566
を用いた場合、Ra及びRbとして極性の異なる基を用いることが好適である。このようにπ共役分子で形成されたベシクルやナノチューブは、良好な電気物性あるいは光・物性を有する半導体として期待される。
本発明のテトラアザポルフィリン化合物は強い光吸収帯を有する。これを利用して、光機能材料として用いることができる。一つの例としては、吸収された光により電荷分離を引き起こし機能する素子が挙げられる。これには、太陽電池や光電変換素子(フォトダイオード)等を具体的に挙げることができる。太陽電池は、金属や他の半導体との接合部分に生じる内部電界を利用して、光での電荷分離を引き起こしこれを外部に取り出すものである。また、光の吸収により生じた励起状態を利用して、ラジカル発生剤を増感したり、直接励起状態からラジカルを発生させることにより、光ラジカル発生等にも応用できる。
本発明のテトラアザポルフィリン化合物は、可視〜近紫外光の波長領域に吸収帯を有することから、色素として用いることができる。この色素としての特徴を利用すれば、染色のための色素の他、インクジェットや熱転写等の記録、光ディスク等の記憶、ディスプレイ等の光学フィルター等への応用が可能である。
(電界効果トランジスタ)
本発明のテトラアザポルフィリン化合物を用いた、さらに別の好適な電子デバイスの例として、電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。以下、このFETの一実施形態について詳細に説明する。
図1A〜Dは、FETの構造の例を模式的に示す図である。図1A〜Dにおいて、1が半導体層、2が絶縁体層、3及び4がソース電極及びドレイン電極、5がゲート電極、6が基板をそれぞれ示す。
ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極の各電極に制限はないが、例えば、白金、金、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属の他、InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子、及び、それに塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムカリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの、カーボンブラックや金属粒子を分散した導電性の複合材料等の、導電性を有する材料が用いられる。なお、電極の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、絶縁体層に用いられる材料としては、任意の絶縁体を用いることができ、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、窒化珪素等の窒化物、チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム等の強誘電性酸化物、あるいは、上記酸化物や窒化物、強誘電性酸化物等の粒子を分散させたポリマー等が挙げられる。なお、絶縁体層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
一般に絶縁膜の静電容量が大きくなるほどゲート電圧を低電圧で駆動できることになるので、有利になる。これには、誘電率の大きな絶縁材料を用いるか、絶縁体層の厚さを薄くする事に対応することができる。絶縁体層は、例えば塗布(スピンコーティングやブレードコーティング)、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷やインクジェット等の印刷法、アルミ上のアルマイトの様に金属上に酸化膜を形成する方法等、材料特性に合わせた方法で作製することができる。
また、FETは、通常基板上に作製する。基板としては任意のものを用いることができ、例えば、ポリマーの板、フィルム、ガラス、あるいは金属をコーティングにより絶縁膜を形成したもの、ポリマーと無機材料の複合材等を用いることができる。
さらに、基板には基板処理を施すことにより、FETの特性を向上させることができる。これは基板の親水性/疎水性を調整して、成膜の際に得られる膜質を向上させること、特に基板と半導体層の界面部分の特性を改良することがその原因と推定される。このような基板処理としては、例えばヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等の疎水化処理、塩酸や硫酸、酢酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ処理、オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴン等のプラズマ処理、ラングミュアブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理が挙げられる。
さらに、このFETにおいては、半導体層を、本発明のテトラアザポルフィリン化合物を含む有機半導体により形成する。半導体層は、基板上に直接又は他の層を介して有機半導体を膜状に形成したものである。ここで、半導体層には、本発明のテトラアザポルフィリン化合物以外にも、他の化合物(他の有機半導体など)を含有させても良い。また、半導体層は、特定化合物の層と、それ以外の半導体の層とを積層した積層構造で構成しても良い。
半導体層の膜厚に制限は無く、例えば横型の電界効果トランジスタの場合、素子の特性は必要な膜厚以上であれば膜厚には依存しない。ただし、膜厚が厚くなりすぎると漏れ電流が増加してくることが多いため、半導体層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは500nm以下である。また、半導体層の形状は基板上に形成された均一な膜の状態以外にも、例えば塗布液(有機半導体を適切な溶媒に溶解させた溶液)が液滴として付着した場合であっても、その付着物の厚さが上記範囲であるのが好ましい。
[4.有機電子デバイスの製造]
(電界効果トランジスタの製造)
特定置換基が平面性の高い分子に導入されている場合、半導体として高い性質を有する。これを利用して、有機半導体を製造することが可能である。
例えば、適切な溶媒に本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物を溶解した塗布液を用意し、この塗布液を基板等に塗布して塗布膜を作製し、加熱などによって塗布膜中のビシクロテトラアザポルフィリン化合物に前記の脱エチレン化(即ち、逆ディールスアルダー反応)を進行させれば、特定置換基を含む特定化合物の有機半導体の層を容易に作製することができる。このように、上記の脱エチレン化によりビシクロ含有基から、エチレン又はその誘導体を脱離する工程を有する製造方法により、有機半導体を製造することが可能である。
(ビシクロテトラアザポルフィリン化合物を用いた電解効果トランジスタの製造方法)
具体的に、上記の電界効果トランジスタの半導体層を、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物を用いて製造する方法の一例を示す。
まず、塗布法について説明する。塗布法は、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物を、必要な溶媒に溶解して溶液(塗布液)とし、当該塗布液を塗布対象(基板等)に塗布し、塗布された層内のビシクロ含有基に脱エチレン化を進行させることによって形成する。この際、本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物は、溶媒の選択の幅を広げ、より好適な溶媒を使用することが可能である。
ビシクロ構造は立体的に嵩高いため、結晶性が悪く、この構造を有する分子は溶解性が良好で、かつ、溶液から塗布した際に、結晶性の低い、あるいは無定形の膜が得やすい性質を有することが多い。さらに、加熱により脱エチレン化を生じてベンゼン環に変化すると平面性の良好な分子構造になるために、結晶性の良好な分子に変化する。したがって、ビシクロ構造の化学変化を利用することにより、塗布法という簡便な方法により結晶性の良好な有機半導体層を得ることが出来る。
そのため、本製造方法によれば、脱エチレン化(或いは、対応する誘導体の脱離)により合成されるテトラアザポルフィリン化合物は、塗布液の溶媒に難溶なものではあるにもかかわらず、塗布法により膜形成が可能である。
塗布液の溶媒としては、例えば有機溶媒が挙げられる。中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、及びハロゲン非含有芳香族系溶媒からなる群より選ばれるいずれかが好ましい。
ケトン系溶媒の具体例を挙げると、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等が挙げられる。これらの中で、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが更に好ましい。
また、エステル系溶媒の具体例を挙げると、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、酪酸エステル、イソ酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ステアリン酸エステル、安息香酸エステル、桂皮酸エチル、アビエチン酸エステル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、γ−ブチロラクトン、シュウ酸エステル、マロン酸エステル、マレイン酸エステル、酒石酸ジブチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸エステル、フタル酸エステル、エチレングリコールモノアセタート、二酢酸エチレン、エチレングリコールエステル、ジエチレングリコールモノアセタート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、ホウ酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。これらの中で、安息香酸エステル、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールエステル、ジエチレングリコールモノアセタートが更に好ましく、安息香酸エステルが特に好ましく、安息香酸エチルが最も好ましい。
さらに、ハロゲン非含有芳香族系溶媒の具体例を挙げると、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリン、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、メトキシトルエン、アニリン、ベラトロール、ニトロベンゼン等が挙げられる。これらの中で、トルエン、キシレン、テトラリン、アニソールが更に好ましい。
なお、溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、塗布液を塗布する方法としては、溶液をたらすだけのキャスティング、スピンコーティング、ディップティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を用いることができる。さらに、塗布に類似の技術として、水面上に形成した単分子膜を基板に移し積層するラングミュア・ブロジェット法、液晶や融液状態を2枚の基板で挟んだり毛管現象で基板間に導入する方法等も挙げられる。
さらに、テトラアザポルフィリン化合物は、真空プロセスにより基板上に成膜してFETを作製することもできる。この場合には、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物をルツボや金属のボートに入れて真空中で加熱し、基板に付着させる真空蒸着法を用いることが出来る。この際、真空度としては、通常1×10-3Torr以下、好ましくは1×10-5Torr以下が望ましい。なお、1Torr=1.33322×102Paである。
また、真空度と蒸着源である本発明のビシクロテトラアザポルフィリン化合物の加熱温度の条件を調節することにより、種々の方法を採用できる。例えば、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物を蒸着源でまず脱エチレンさせた後に蒸着する事もできるし、この反応温度より低温でビシクロ含有基を有するまま蒸着した後に、基板上に成膜された膜の加熱処理を行ない、脱エチレン化により有機半導体層に変換することもできる。このような方法を採用することにより、テトラアザポルフィリン化合物を高純度で含む半導体層を得ることができる。
また、基板温度でデバイスの特性が変化するので、最適な基板温度を選択することが好ましい。具体的には、蒸着時の温度は0℃から200℃の範囲が好ましい。また、蒸着速度は通常0.01Å/秒以上、好ましくは0.1Å/秒以上、また、通常100Å/秒以下、好ましくは10Å/秒以下である。材料を蒸発させる方法としては、加熱の他、加速したアルゴン等のイオンを衝突させるスパッタ法も用いることが出来る。なお、1Å=10-10mである。
さらに、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の脱エチレン化は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上加熱処理により引き起こされる。また、上限は400℃以下、好ましくは300℃以下であり、高温ほど反応時間は短く、低温ほど反応時間を長く取ることが多い。
また、FETの用途によっては、成膜したビシクロテトラアザポルフィリン化合物の膜を部分的に変換して特性を調整することも可能である。この際には、例えば、低温あるいは短時間での処理で行われる。また、加熱には、ヒーターを用いて伝熱による加熱の他、炭酸ガスレーザーや赤外線ランプ、あるいはこのビシクロテトラアザポルフィリン化合物の吸収する波長の光を照射する事も利用できる。この際、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の近傍に光を吸収する層を設け、光をこの層で吸収させることにより、加熱することも可能である。
さらに、作製された半導体層は、後処理により特性を改良することが可能である。例えば、加熱処理により、成膜時に生じた膜中の歪みを緩和することができ、特性の向上や安定化を図ることができる。さらに、酸素や水素等の酸化性あるいは還元性の気体や液体にさらすことにより、酸化あるいは還元による特性変化を誘起することもできる。これは例えば膜中のキャリア密度の増加あるいは減少の目的で利用することができる。
また、ドーピングと呼ばれる微量の原子や原子団、分子、高分子を加えることにより、特性を変化させて望ましいものにすることができる。例えば、酸素、水素、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等をドーピングする事が挙げられる。これは、これらのガスに接触させたり、溶液に浸したり、電気化学的なドーピング処理をすることにより達成できる。これらのドーピングは膜の形成後でなくても、材料合成時に添加したり、溶液からの作製プロセスでは、その溶液に添加したり、前駆体膜の段階で添加することができる。また蒸着時に添加する材料を共蒸着したり、膜形成時の雰囲気に混合したり、さらにはイオンを真空中で加速して膜に衝突させてドーピングすることも可能である。
これらのドーピングの効果は、キャリア密度の増加あるいは減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(p型、n型)、フェルミ準位の変化等が挙げられ、半導体デバイスでは良く利用されているものである。ドーピング処理は同様にFET以外の他の電子デバイスでも利用することができる。
また、FETをはじめとした電子デバイス作製の為の電極や配線には、例えば、金、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、等の導電性高分子及びそのドーピングされた材料、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、等の半導体及びそのドーピングされた材料、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、などを用いることができる。なお、これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
これらを形成する方法も、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等を用いることができる。また、そのパターニング方法も、フォトレジストのパターニングとエッチング液や反応性のプラズマでのエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法及びこれらの手法の複数の組み合わせた手法を利用することができる。また、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して材料を除去したり材料の導電性を変化させる事により、直接パターンを作製することも利用できる。
さらに、電子デバイスは、半導体特性を改良したり、外気の影響を最小限にするために、保護膜を形成することができる。これには、例えばスチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート樹脂等のポリマー膜、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜等が挙げられる。ポリマー膜の形成方法に制限はないが、例えば溶液の塗布乾燥する方法、モノマーを塗布あるいは蒸着して重合する方法が挙げられ、さらに架橋処理や多層膜を形成することも可能である。無機物の膜の形成には、例えばスパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。半導体に接するポリマー膜は、半導体特性の改良にはポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリベンジルメタクリレート、ポリアセナフチレン、ポリカーボネート樹脂等の芳香環を含むものが好ましく、その上にガスバリア性を有する膜、例えば窒化珪素や酸化ケイ素等の無機膜、アルミニウムやクロム等の金属膜を積層するのが好ましい。また、用途などに応じて、電子デバイスには上述した以外の層や部材を設けても良い。
なお、本発明のテトラアザポルフィリン化合物を有機半導体として用いる場合、その他の有機半導体を併用しても良い。即ち、本発明のテトラアザポルフィリン化合物を含む有機半導体は、本発明の範囲に収まるものである。併用可能な有機半導体に制限は無く、任意のものを用いることが可能である。また、併用する有機半導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の記載において、DMSOとはジメチルスルホキシド、TFAAとは無水トリフルオロ酢酸、Etとはエチル基、Prとはプロピル基、TFAとはトリフルオロ酢酸を意味する。
[実施例1]ビシクロテトラアザポルフィリン化合物の合成
<Bicyclo[2.2.2]octa−5−ene−2,3−carbonate(以下、化合物1)の合成)>
Figure 0005437566
1,3−シクロヘキサジエン(20 mmol, 1.89 ml)とビニレンカーボレート(20 mmol, 1.27 ml) とをトルエン30mlに溶解し、オートクレーブ中140℃で120時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を減圧で留去した。残渣をクロロホルムを溶媒としてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物1が2.26g(収率68%)得られた。
<Bicyclo[2.2.2]octa−5−ene−2,3−diol(以下、化合物2)の合成>
Figure 0005437566
1.66gの化合物1を4規定NaOH10mlと1,4−ジオキサン50ml混合溶媒中に窒素下添加した。混合物を2時間還流した。室温に冷却後、反応溶液を2規定塩酸で中和した。水を添加して、クロロホルムで抽出し、有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、溶媒を減圧で留去した。残渣をクロロホルムを溶媒としてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物2が0.98g(収率90%)得られた。
<Bicyclo[2.2.2]octa−5−ene−2,3−dione(以下、化合物3 )の合成>
Figure 0005437566
ジメチルスルホキシド3mlをジクロロメタン22.5mlに加えたものをアルゴン中−78℃に冷却し、無水トリフルオロ酢酸5.5mlを10分で滴下した。そこに、0.702gの化合物2をジクロロメタン10mlに溶解したものを滴下した。その後室温まで昇温し、2規定塩酸で中和した。この反応溶液を水及び飽和食塩水で洗浄した。その後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧で留去した。残渣をクロロホルムを溶媒としてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物3が0.60g(収率89%)得られた。
<5,8−Dihydro−5,8−ethanoquinoxaline−2,3−dicarbonitrile(以下、化合物4)の合成>
Figure 0005437566
0.68gのジケトン化合物3と0.65gのジアミノマレオニトリルをクロロホルム200mlに添加し、室温で3時間撹拌した。反応が終了後、反応溶液を水と飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン−酢酸エチルの1:1混合溶媒用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物4が0.74g(収率71%)得られた。
<Tetra bicycle[2.2.2]octadiene−fused tetrapyrazinoporphyrazine(以下、化合物6)の合成>
Figure 0005437566
マグネシウム53.6mgと触媒量(5〜10mg程度)のヨウ素をプロパノール78ml中で加熱還流した。マグネシウムが溶解した後、室温に冷却し、化合物4を0.62g添加し、24時間還流した。反応溶液を室温に冷却し、減圧で溶媒を留去した。残渣をクロロホルム/トリフルオロ酢酸(5/1)の混合溶媒100mlに溶解し、3時間撹拌した。この反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧で留去した。残渣をクロロホルム/メタノールから再結晶し、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物である、化合物6が得られた。
[実施例2]ビシクロテトラアザポルフィリン化合物からテトラアザポルフィリン化合物の合成
実施例1で得られたビシクロテトラアザポルフィリン化合物について熱量分析を行なった。加熱により、下記変化に対応する重量が見られた事から、テトラアザポルフィリン化合物の生成が確認できた。なお、熱重量分析のチャートを図2に示す。
図2の左端の縦軸はTGのスケール、右端の縦軸はTempのスケール、横軸はTimeのスケールを示している。ここで、TGとは、加熱開始時のビシクロテトラアザポルフィリン化合物の重量に対する重量変化量を百分率で示したものであり、単位は%である。図2では破線で示されている。また、Tempとは、試料の温度を示しており、単位は℃である。図2では実線で示されている。さらに、Timeとは加熱時間であり、単位は分(図2ではminと表記)である。
Figure 0005437566
[実施例3]有機トランジスタ
実施例1で合成したテトラアザポルフィリンを用いて電界効果トランジスタを作製、評価した。
<電界効果トランジスタの作製>
膜厚300nmの酸化膜を形成したN型のシリコン(Si)基板(Sbドープ、抵抗率0.02Ωcm以下、住友金属工業社製)上に、フォトリソグラフィーで長さ(L)10μm、幅(W)500μmのギャップを有する金電極(ソース、ドレイン電極)を形成した。また、この電極と異なる位置の酸化膜を削り取ってむき出しになったSi部分にクロムを蒸着して、この部分を利用してゲート電極としてのシリコン基板に電圧を印加した。
実施例1で得られたテトラアザポルフィリン7mgをクロロホルム1mLに溶解した。以下、グローブボックス中で窒素雰囲気下、操作を行った。その溶液を上記電極を形成した基板上にスピンコートすることにより良好な膜を得た。その後に210℃で60分加熱処理することにより、半導体膜を、電極を形成した基板上に形成した。
<電界効果トランジスタの評価>
こうして得られたFET(電界効果型トランジスタ)素子の電気特性をAgilent社製半導体パラメータアナライザ4155Cを用いて評価した結果、n型のFET特性を示し、飽和移動度1.1×10-5cm2/Vsが得られた。
[実施例4]トランジスタ特性の改良
実施例1と同様にして合成し、それにアルミナのカラムクロマトグラフ及び分取液体クロマトグラフでの精製を加えたビシクロアザポルフィリン化合物5mgをクロロホルム1mLに溶解し、実施例3と同様に電極を形成した基板上にスピンコートすることにより良好な膜を得た。その後に230℃で10分加熱処理することにより、テトラベンゾアザポルフィリンの膜を、電極を形成した基板上に作製した。
得られたFET(電界効果型トランジスタ)素子の電気特性を評価した結果、良好なn型のFET特性を示し、飽和電子移動度1.2×10-3cm2/Vs、スレッショルド電圧25.7V、オンオフ比520を示した。
[実施例5]銅錯体
実施例1と同様にして合成した化合物6(102.1mg)をクロロホルム(20.0mL)に溶解し、これに酢酸銅のメタノール飽和溶液(20.0mL)を添加して、質量分析法による測定で原料が消失するまで4日間還流した。
その後、クロロホルムで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮した。
得られた組成物を、クロロホルムを用いてアルミナカラムで精製した後、やはりクロロホルムを用いて分取クロマトグラフィー(日本分析工業製、カラム:JAIGEL−1H+JAIGEL−2H)により、目的物である銅錯体のピークのみ分離した。
Figure 0005437566
[実施例6]銅錯体の電気特性
実施例5で得られた銅錯体を、実施例4と同様にして電界効果トランジスタを作製し、電気特性を評価した。その結果、良好なn型のFET特性を示し、飽和電子移動度1.3×10-4cm2/Vs、スレッショルド電圧21.5V、オンオフ比48を示した。
本発明は、産業上の任意の分野において使用可能であるが、特に、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー、太陽電池、光電流を生じるフォトダイオード、フォトトランジスターなどの、有機半導体を適用しうる素子に用いて好適である。
FETの構造の例を模式的に示す図である。 本発明の実施例2の熱重量分析のチャートである。
符号の説明
1 半導体層
2 絶縁体層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
6 基板

Claims (5)

  1. 下記構造式(I)又は構造式(II)で表わされる
    ことを特徴とする、ビシクロテトラアザポルフィリン化合物。
    Figure 0005437566
    {構造式(I)及び構造式(II)において、(R1、R2)、(R3、R4)、(R5、R6)及び(R7、R8)は、それぞれ独立に下記式(VI)で表わされる基である。また、構造式(II)において、Mは金属原子を表わす。}
    Figure 0005437566
    {式(VI)において、R 9 〜R 16 は炭素数6以下のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子又はアルコキシ基であり、R x 及びR y は、直接結合又はR x 及びR y が一体となって芳香環を形成する構造を表わす。}
  2. 請求項記載のビシクロテトラアザポルフィリン化合物から、逆ディールスアルダー反応により、下記構造式(IV)又は構造式(V)で表わされるテトラアザポルフィリン骨格を有するテトラアザポルフィリン化合物を得る
    ことを特徴とする、テトラアザポルフィリン化合物の製造方法。
    Figure 0005437566
    {構造式(IV)及び構造式(V)において、(Q1、Q2)、(Q3、Q4)、(Q5、Q6)及び(Q7、Q8)は、それぞれ独立に各組内で結合して芳香族炭化水素又は複素環を形成する構造である。また、構造式(V)において、Mは金属原子を表わす。}
  3. 下記構造式(IV)又は構造式(V)で表わされるテトラアザポルフィリン骨格を有するテトラアザポルフィリン化合物を、半導体として含む
    ことを特徴とする、有機電子デバイス。
    Figure 0005437566
    {構造式(IV)及び構造式(V)において、(Q1、Q2)、(Q3、Q4)、(Q5、Q6)及び(Q7、Q8)は、それぞれ独立に各組内で結合して芳香族炭化水素又は複素環を形成する構造である。また、構造式(V)において、Mは金属原子を表わす。}
  4. 有機電子デバイスが、電界効果トランジスタである
    ことを特徴とする、請求項記載の有機電子デバイス。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の有機電子デバイスの製造方法であって、
    請求項記載のビシクロテトラアザポルフィリン化合物から、逆ディールスアルダー反応により、前記テトラアザポルフィリン化合物を得る工程を有することを特徴とする、有機電子デバイスの製造方法。
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