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JP5440928B2 - 保温性に優れた編地及び該編地を使用してなる肌着 - Google Patents
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本発明は、綿100%の薄地の編地であって、保温率が25%以上の肌着用編地及び該編地を使用した肌着に関する。
本発明の編地は、衣料品、特に肌着などに使用する、即ち、織編物編地は着用時人体形状に添い易く柔軟な保温性の高い生地が好ましい。織編物の保温性を高める手法としては、天然繊維や合成繊維からなる織編物の厚味を増やす、薄い生地を2重、3重に重ねる、生地表面を起毛することで空気の層を多くして保温性を高める手法が多い。しかし、近年ファッションの多様化などからアウターに響かない薄くて軽くて着心地が良く、保温性に優れた肌着が求められている。このため、天然繊維や合成繊維からなる織編物の保温効果を有する機能剤などを固着させる、或いは保温効果の高い繊維で構成された糸を用いて製編織を行う等の方法が採用されてきた。
例えば生地組織中の繊維間隙中に空気を多く保持させて保温性を向上しようとすると、空気保持空間を作るために生地自体の厚味を多くせねばならなくなってしまう。そのために生地を構成するポリエステル,ポリアミドなどの合成繊維の表面に人体から放射される赤外線を反射する効果のあるアルミニューム,銀などの金属を繊維表面にメッキ法,真空蒸着法などで被覆した金属被服合成繊維よりなる編地を用いた肌着が開示されている(特許文献1)。
また、天然繊維又は合成繊維を編成した素材で構成された衣料において、0.02μmの平均粒度を有し、かつ、5〜20μの遠赤外線波長領域で高い放射率を有するアルミナとシリカの混合物を主成分としたセラミック粒子をバインダーによって付着させてなる保温衣料も開示されている(特許文献2)。
多層編地の例としてしては、2層以上からなる編地であって、少なくとも外層が単糸繊度0.2〜3.0デシテックスの仮撚捲縮加工糸から構成されるとともに、該編地の少なくとも1層が50〜125コース/2.54cmかつ50〜80ウエール/2.54cmの編目密度を有し、該編地の通気度が5〜50cc/cm2secであって、吸水加工が施されており、かつ2sec以下の吸水性を有することを特徴とする保温編地が開示されている(特許文献3)。
更に生地素材に特徴を有するものとして、吸湿発熱性セルロース系繊維を10重量%以上含有し、且つ布帛の厚み方向に繊維密度差を有する保温性に優れた吸湿発熱性セルロース系繊維製品であり、布帛の厚み方向の繊維密度差が布帛組織、2層構造糸または布帛の起毛加工により達成されている保温性に優れた吸湿発熱性セルロース系繊維製品が開示されている(特許文献4)。
生地素材に特徴を有する他の例として、単繊維繊度が0.01〜10デニール、単繊維強度が2.5g/デニール以上有するポリエステル短繊維を含むスパン織編物を針布起毛加工し、しかる後織編物の表面を研磨フィルムの表面をもつ可撓性のある粗面材で、支持ローラー面上で叩打・擦過処理し、表面毛羽を平均毛羽長が少なくとも1.1mm以上50mm以下に、かつ平均毛羽密度が200本/cm以上になるように仕上げするポリエステルスパン織編物の製法が開示されている(特許文献5)。
特開2001−20103号公報 特許第3264366号公報 特許第3853175号公報 特開2001−172866号公報 特許第3536540号公報
然しながら、保温性を保つために厚地の肌着とすれば、着用時着心地が悪く、また、アウターにも響いてしまうためファッション性が低下する。これに対処するため薄い生地で保温性を高めるために、機能剤を繊維表面に固着させて、充分な保温性を得ようとする場合は大量の薬剤を含有させる必要があり、風合いや肌触りが悪くなるという欠点が生じた。また、機能繊維を使用する場合も風合い等問題が有り、天然繊維の風合いが求められていた点に鑑み、なされたのが本発明である。
請求項1記載の発明は、糸番手60/1以上の細番手の綿100%糸を編成してなる起毛編地であって、毛羽率24%以上40%以下とすることにより保温率25%以上の薄地の編地としたことを特徴とする保温性に優れた編地、及び、該編地を使用してなる肌着である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の保温性に優れた編地に使用する綿糸の撚係数を2.5〜3.0の甘撚とした。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の保温性に優れた編地において、編地組織はスムース編とし、編地の厚さは0.40mm以下、目付は150g/m2以下とした。
本発明では、糸番手60/1以上の細番手の綿100%糸を編成し起毛してなる編地において、毛羽率を24%以上40%以下とすることによって、過度の起毛を抑え、薄地でありながら実用に耐える強力を持ち、かつ、保温性に優れた綿100%の編地を得ることが出来た。
毛羽の画像を示す。Aは毛羽率11.6%、Bは毛羽率22.1%の編地の毛羽の画像である。 本発明の綿100%である各種編地の有する保温率と毛羽率との関係を示すグラフである。
本発明編地の実施形態につき次に説明する。
本発明編地は、薄地でありながら保温率を高めるため起毛しても生地強度を保つことを可能としたものであって、ここで言う薄地とは厚さ0.40mm以下、目付は150g/m2以下の編み地であり、綿100%スムース編地が好ましい。薄い編み地で保温率を高めるためには起毛加工を行うことで表面の毛羽を増やしていくのが有効な手段であり、毛羽率が上昇するに従い、保温率が上昇していく。毛羽により編地の空気層が増加することで断熱層ができ、薄い生地でも保温性を高めることができる。本発明の編地では、下記の表1及び図2に示すグラフの記載から明らかなように毛羽率が24%を超えると保温率が25%以上となり、それ以下では25%以上の保温率を確保できない。しかし、毛羽率が35%を超えたあたりから保温率の上昇は頭打ちとなっていく。また、表1に示す如く、毛羽率を増やすことで保温率は上昇していくが、編地の強度は毛羽率が多くなるほど低下していく。編地の強度は破裂強度で測定することができるが、破裂強度300kPa以下では実用上の強度を保つことができない。毛羽率が40%を超えると破裂強度は300kPaを下回る可能性が出てくるため、毛羽率は40%以下に抑える必要がある。
また、糸の撚係数が大きくなると編地強度は増加するが、起毛時の毛羽立ちが少なくなり目的の毛羽率を得るためには起毛条件を強くしなければならず、編地のダメージが大きくなり品位が低下する。また、撚係数を小さくすると起毛時の毛羽立ちが良好であるが、強力の低下をもたらす。レギュラー品の撚係数3.4−3.7より撚係数が30%以上低下すると編みでの穴欠点(強力低下)が増加し実用上問題となる。このため撚係数は2.5〜3.0に設定する必要がある。
以下に、本発明及び比較例によって、上記した本発明の各要件が選択される理由を詳述する。表1は、綿100%の繊維をスムース編とした編地についての測定結果を示したものである。
表1の試料1〜試料7においては、毛羽率と保温率において望ましい結果が得られなかった。試料8と試料9においては、毛羽率と保温率においてかなりの効果が見られる。
本発明については、表1に記載された編地素材の測定値に示した試料10〜試料12に示した試料を実施例1,2,3として採用し、その保温率,強度,毛羽率について更に各種試験を実施して表2に示した。
表1に示した測定結果は、糸番手が60/1以上の細番手で撚係数が2.5〜3.0の甘撚である試料10,11,12は保温率に優れ、甘撚であることを示している。甘撚とする理由は、編地編成後の起毛時に毛羽立ちが良好で容易に目的とする毛羽率とすることが出来るためである。
上記番手で、かつ、上記撚係数の試料10,11,12の糸によってスムース編組織により編地を編成する。編地の厚さは0.40mm以下、目付は150g/m2以下の薄い編地とする。編地の厚さは、(株)ミツトヨ製の厚み計(クイックミニPK−1012CPX)を使用して、編地全幅の5箇所を測定し、その平均値を小数点以下2桁に丸めて算定した。この編地は毛羽率24%以上40%以下で起毛することで実用に耐える強度を保つことが出来、かつ、保温率25%以上の性能を得ることが出来ることが判明した。編地強度は破裂強度にて測定する。破裂強度が300kPa以上であれば実用上問題ない強度を得ることができる。その製法過程の一例を示すと、編地を精練,漂白,ライン乾燥,開反,仕上げセット,検反,結反,起毛,シャーリング,ソーピング,タンブル乾燥,仕上げ処理,検反等の工程がある。
起毛はサンドペーパー,針布による起毛,タンブル乾燥などによる公知の手段で差し支えない。起毛は、編地の片面,両面どちらに行っても良いが、強度を維持するためには片面に行うのが好ましい。更に、より好ましくは肌側に当たる面に行うことにより暖かさを高めることができる。
本発明において毛羽率の測定は以下の如くして行う。
1.試料から5cm角の試験片を採取する。試験片の取り方は、布の端末から50cm以 上、耳端から10cm以上離れた部分(JIS L 0105の5.3(2))からランダムに3ケ所採 取する。
2.試験片をウエール方向に対して直角に折り曲げ、毛羽の状態を50倍設定のマイクロ スコープで撮影する。
3.はがき大に印刷し、スキャナーでパソコンに取り込む。
4.取り込んだ画像ファイルを開き、フリーソフトのイメージカッターで編地の稜線に合 わせて毛羽側を850×120ピクセルでトリミングする。
5.その画像を保存し、ピクチャーパブリッシャーで開く。
6.クロママスク機能を用いて毛羽の部分をマスクする。この時、範囲のパーセンテージ を上げていき、ちょうど毛羽部分がマスクされるよう設定する。
7.塗りつぶし機能を用いて、マスクした毛羽部分を白で塗りつぶす。
8.ヒストグラム機能で算出された陰影部のパーセンテージを100からマイナスした値 を毛羽率とし、n=3の平均値を出す。
図1に毛羽の画像を示す。Aは毛羽率11.6%、Bは毛羽率22.1%である。
また、保温率の測定はボーケンのドライコンタクト法により行った。ドライコンタクト法は、一般的な保温性試験方法であって、皮膚と衣服が直接接するときを想定している。その手順は次の通りある。
1.試験片20cm×20cmを採取する(n=2)
2.測定装置は精密迅速熱物性測定装置(THERMO LABO II)を使用する
3.装置の恒温発熱体の温度を30℃に設定し、環境温度を20℃(発熱体との温度差1 0℃)、編地表面の空気の流れを30cm/sに設定する。
4.試験片を恒温発熱体に取り付けて、5分おきに、放熱する消費熱量を30分間測定し 、平均値を出す(b)。
5.これと試験片のない裸状のままで、同様の消費熱量を求める(a)
6.次の式から保温率を求める。
保温率(%)=(1−b/a)×100
a:発熱体の裸状における消費熱量(W/cm2
b:発熱体に試料を取り付けた時の消費熱量(W/cm2
次に保温性素材の実施例1〜3(試料1、試料2、試料3)と比較例1〜4(試料4、試料5、試料6、試料7)を表2に、官能試験結果を表3に示す。
この結果により本発明編地は、重量が軽く厚さが少ないにもかかわらず、保温率が大であることが明らかで、官能試験結果でも、◎暖かさを強く感じた,○暖かさを感じたが多く出ている。従って、実施例1〜3に記載の本発明による、糸番手60/1以上の細番手の綿100%糸を編成してなる起毛編地であって、毛羽率24%以上40%以下とした編地は、保温性に優れ、肌着として好ましいものであることが確かめられた。
本発明編地を用いてなる保温性肌着は、肌着衣料として用いられている下着類について全般的に用いられるものであって、特に使用に制限を加えられることはない。
1 毛羽

Claims (3)

  1. 糸番手60/1以上の細番手の綿100%糸を編成してなる起毛編地であって、毛羽率24%以上40%以下とすることにより保温率25%以上の薄地の編地としたことを特徴とする保温性に優れた編地。
  2. 使用する綿糸の撚係数を2.5〜3.0の甘撚としたことを特徴とする請求項1記載の保温性に優れた編地。
  3. 編地組織はスムース編とし、編地の厚さは0.40mm以下、目付は150g/m2以下であることを特徴とする請求項1記載の保温性に優れた編地。
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