JP5447154B2 - リチウムイオン伝導性固体電解質組成物および全固体二次電池 - Google Patents
リチウムイオン伝導性固体電解質組成物および全固体二次電池 Download PDFInfo
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Description
(1)固体電解質及び重合体を含んでなる二次電池用リチウムイオン伝導性固体電解質組成物であって、
前記重合体が、2−ノルボルネン90〜100重量%と、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン10〜0重量%とからなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の99%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物である二次電池用リチウムイオン伝導性固体電解質組成物。
前記正極活物質層、前記負極活物質層、または前記固体電解質層の少なくとも一層に、リチウムイオン伝導性固体電解質及び重合体が含まれ、
前記重合体が、2−ノルボルネン90〜100重量%と、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン10〜0重量%とからなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の99%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物である全固体二次電池。
本発明のリチウムイオン伝導性固体電解質組成物は、固体電解質及び重合体を含んでなる。
本発明で用いる固体電解質は、リチウムイオン伝導性の無機固体電解質であり、リチウムイオン伝導性を有していれば特に限定されないが、結晶性の無機リチウムイオン伝導体、又は非晶質の無機リチウムイオン伝導体を含むことが好ましい。
本発明で用いる重合体は、2−ノルボルネン90〜100重量%と、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン10〜0重量%とからなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の99%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物である。なお、本発明における「結晶性」は、示差走査熱量計を用いてDSC測定することにより判定することができる。具体的には、DSC測定によりDSC曲線を得、当該DSC曲線がショルダーを有さず、かつ、1つの最大吸熱ピークを示し、単一の吸熱ピーク温度(融点Tm)を特定できる場合に、「結晶性」であると判定することができる。
本発明に用いるノルボルネン系単量体は、オレフィンとメタセシス反応により分岐構造を生成しない、ノルボルネン構造を有する単量体であり、2−ノルボルネンと、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネンで構成される。
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−フェニル−2−ノルボルネン)等の芳香環を有するノルボルネン類;
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン)、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルプロピオン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、2−メチルオクタン酸5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシイソプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;
5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−カルボキシ−5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;等が挙げられる。
具体的には、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等のジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセン」ともいう。)等の芳香環を有するノルボルネン類;
テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;
8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;
8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;
ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセン等の無置換又はアルキル基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−フェニルヘキサシクロヘプタデセン等の芳香環を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘキサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−シアノヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−クロロヘキサシクロヘプタデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;
12−トリメトキシシリルヘキサシクロヘプタデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;等が挙げられる。
脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有するノルボルネン単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
exo−trans−exo−ペンタシクロ[8.2.1.14,7.02,9.03,8]テトラデカ−5,11−ジエン(以下、「NB−dimer」ということがある。)、4,4a,4b,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ビスメタノ−1H−フルオレン、1α,4α:5α,8α−ジメタノ−1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロアントラセン、5,5’−ビ(ノルボルナ−2−エン)、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4,9−ジエン、1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1,4:5,8:9,10−トリメタノアントラセン等のような分子内に2つのノルボルネン構造を有する単量体;
1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、4−(2−プロペニル)−1,6−ヘプタジエン、3−ビニル−1,4−ペンタジエン、3−ビニル−1,5−ヘキサジエン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,2,4,5−テトラビニルベンゼン等のような分子内に3つ以上の末端炭素−炭素二重結合を有する単量体;等が挙げられる。
すなわち、2−ノルボルネン(2−NB)とNB−dimerが開環メタセシス反応を起こしてポリマー鎖(4)を生じ、これに別のポリマー鎖(2−1)がメタセシス反応することで、ポリマー鎖(5)が生成する。さらに、これに2−ノルボルネン(NB)がメタセシス反応を起こすことで、4分岐ポリマー(6)が生成する。
すなわち、2−ノルボルネン(2−NB)から得られるポリマー鎖(2)と、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン(TVC)の3つのビニル基とがそれぞれメタセシス反応を起こして、3分岐のポリマー(7)が生成する。
[η]Braは分岐状の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度、[η]Linは同一の重量平均分子量である直鎖状の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度である。ここで極限粘度[η]は、シクロヘキサンに溶解した試料を60℃で測定した値である。
ノルボルネン系単量体の開環重合に用いるメタセシス重合触媒としては、例えば、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−240517号公報等に記載された、本質的に(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs et al.,WO98/21214号パンフレット等)等のリビング開環メタセシス触媒;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を好適な範囲に調節するには、(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分とからなるメタセシス重合触媒が好ましい。
具体例としては、TiCl4、TiBr4、VOCl3、WBr3、WCl6、WOCl4、MoCl5、MoOCl4、WO3、H2WO4等が挙げられる。なかでも、重合活性等の点から、W、Mo、Ti、又はVの化合物が好ましく、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、又はアルコキシハロゲン化物が好ましい。
具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジエチルジメチルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ化合物;n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物;n−ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムイオジド等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジエチルカドミウム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等が挙げられる。これらの中で、第13族の金属の化合物が好ましく、特にAlの有機化合物が好ましい。
開環重合においては、反応系に分子量調節剤を添加することができる。分子量調節剤を添加することで、得られる開環重合体の分子量を調整することができる。
開環重合は、ノルボルネン系単量体、分岐剤、メタセシス重合触媒、及び所望により分子量調節剤を混合することにより開始させることができる。
重合時間は、特に制限はなく、通常1分間〜100時間である。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とするノルボルネン系開環重合体を単離することができる。
得られたノルボルネン系開環重合体は、次の水素添加反応工程へ供される。後述するように、開環重合を行った反応溶液に水素添加触媒を添加して、ノルボルネン系開環重合体を単離することなく、連続的に水素添加反応を行うこともできる。
触媒の使用量は、ノルボルネン系開環重合体100重量部に対し、通常0.05〜10重量部である。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
以上のようにして、本発明に用いる結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を得ることができる。
本発明に用いる結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物は、ノルボルネン系開環重合体中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が通常99%以上、好ましくは99.9%以上である。上記の範囲にあると、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物中に残留二重結合がほとんど含まれないため、電池の充放電時の耐酸化性に優れる。水素添加率が上記範囲未満であると、電池の充放電時の電気化学的酸化に対する耐性が低下し、サイクル寿命特性等の電池特性が低下する。
結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにより測定して求めることができる。
本発明の全固体二次電池は、正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、前記正極活物質層及び負極活物質層の層間に固体電解質層とを有し、正極活物質層、負極活物質層または固体電解質層の少なくとも一層に、上記固体電解質及び上記重合体が含まれる。以下において、固体電解質層、正極活物質層、負極活物質層の順に説明する。
固体電解質層は、上記固体電解質及び上記重合体を含んでなるリチウムイオン伝導性固体電解質組成物を、正極活物質層または負極活物質層の上に塗布し、乾燥することにより形成される。
有機溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上を混合して、乾燥速度や環境上の観点から適宜選択して用いることができ、中でも、本発明においては固体電解質との反応性の観点から芳香族炭化水素類から選ばれる非極性溶媒を用いることが好ましい。
分散剤としてはアニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物が例示される。分散剤は、用いる固体電解質に応じて選択される。組成物中の分散剤の含有量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、具体的には、固体電解質100質量部に対して10質量部以下である。
レベリング剤としてはアルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤を混合することにより、組成物(A)を後述する正極活物質層または負極活物質層の表面に塗工する際に発生するはじきを防止でき、正負極の平滑性を向上させることができる。該組成物中のレベリング剤の含有量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、具体的には、固体電解質100質量部に対して10質量部以下である。
消泡剤としてはミネラルオイル系消泡剤、シリコーン系消泡剤、ポリマー系消泡剤が例示される。消泡剤は、用いる固体電解質に応じて選択される。組成物中の消泡剤の含有量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、具体的には、固体電解質100質量部に対して10質量部以下である。
正極活物質層は、上記固体電解質及び上記重合体を含んでなるリチウムイオン伝導性固体電解質組成物を、後述する集電体表面に塗布し、乾燥することにより形成される。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な化合物である。正極活物質は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。
導電剤は、導電性を付与できるものであれば特に制限されないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種金属のファイバーや箔などが挙げられる。
負極活物質層は、上記固体電解質及び上記重合体を含んでなるリチウムイオン伝導性固体電解質組成物を、後述する集電体表面に塗布し、乾燥することにより形成される。
負極活物質としては、グラファイトやコークス等の炭素の同素体が挙げられる。前記炭素の同素体からなる負極活物質は、金属、金属塩、酸化物などとの混合体や被覆体の形態で利用することも出来る。また、負極活物質としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の酸化物や硫酸塩、金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコン等を使用できる。負極活物質の平均粒子径は、初期効率、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、通常1〜50μm、好ましくは15〜30μmである。
集電体は、電気導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料が好ましい。中でも、正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、負極用としては銅が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。集電体は、上述した正・負極活物質層との接着強度を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、集電体と正・負極活物質層との接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
組成物(A)〜(C)は、上述した各成分を混合して得られる。
結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにて水素添加前の炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度と、水素添加後の炭素−炭素二重結合に由来するピーク強度とを測定し、それらの比により求めた。
融点は、示差走査熱量分析計(製品名「DSC6220SII」、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 7121(1987)に基づき、試料を融点より30℃以上高い温度に加熱した後、冷却速度−10℃/minで室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/minで測定した。
分岐指数は、分岐状のノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度[η]Braを、同じ重量平均分子量の直鎖状のノルボルネン系開環重合体水素化物の極限粘度[η]Linで除した値として算出した。
実施例および比較例で得られた組成物が、調製直後25℃において流動性を示すかどうかを目視にて判断した。流動性を示す組成物を「良好」とし、流動性を示さない組成物を「不良」とした。
固体電解質層が形成された電極を、幅2.5cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とし、固体電解質層面を上にして固定する。試験片の固体電解質層表面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端からセロハンテープを50mm/分の速度で180°方向に引き剥がしたときの応力を測定した。測定を10回行い、その平均値を求めてこれをピール強度(N/m)とし、以下の基準で評価する。この値が大きいほど、固体電解質層が形成された電極の集電体に対する密着力、並びに、固体電解質と重合体とを含む合剤層の機械的強度に優れている。
A:15N/m以上
B:10N/m以上〜15N/m未満
C:5.0N/m以上〜10N/m未満
D:5.0N/m未満
作製した固体電解質層の捲回特性を以下の手順により評価した。
固体電解質層を作製したフィルムをマンドレル試験(JIS K 5600(1999))に従い屈曲性試験を行った。マンドレル径は3mmφのものを使用し、固体電解質層を外側にマンドレルにまきつけ表面をデジタルマイクロスコープで観察した。10枚屈曲性試験を行い以下の条件で良否を判断した。割れの枚数が少ないほど、固体電解質と重合体とを含む合剤層の柔軟性に優れている。
A:10枚中1枚も割れ無し。
B:10枚中1〜3枚に割れがみられる。
C:10枚中4〜9枚に割れがみられる。
D:10枚中全てに割れがみられる。
作製した全固体二次電池を、電流密度130μA/cm2、電圧範囲3.0〜4.2Vで、充放電試験を行い、初期容量を測定した。さらに、充放電サイクル数に伴う容量維持率(%)((20サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100)を測定した。容量維持率が高いほど、電池サイクル寿命特性に優れている。
重合体の作製
(開環重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン700部に、1−ヘキセン0.89部、ジイソプロピルエーテル1.06部、トリイソブチルアルミニウム0.34部、及びイソブチルアルコール0.13部を室温で反応器に入れ混合した。そこへ、2−ノルボルネン(2−NB)250部、5−ビニル−2−ノルボルネン(以下、「VNB」とすることがある。)1.25部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液26部を、55℃に保ちながら、2時間かけて連続的に添加し重合を行い、開環重合体を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。なお、分岐剤であるVNBの配合量は、ノルボルネン系単量体である2−NBの合計100モル%としたときに、0.39モル%であった。
上記で得た開環重合体を含む反応溶液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこへ、ケイソウ土担持ニッケル触媒(T8400、ニッケル担持率58%、ズードヘミー触媒社製)1.0部を加え、200℃、水素圧4.5MPaで6時間反応させた。この溶液を、珪藻土を濾過助剤としてステンレス製金網を備えた濾過器により濾過し、触媒を除去した。得られた反応溶液を3000部のイソプロピルアルコール中に撹拌下に注いで水素化物を沈殿させ、濾別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄したのち、0.13×103Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、重合体として結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を190部得た。
得られた結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は99.9%、融点は136℃、分岐指数は0.64であった。
固体電解質として硫化物系ガラスセラミック(Li2S−P2S5)、有機溶媒としてp−キシレンを用い、固体電解質100部、上記結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物5部をp−キシレンにて固形分濃度50%となるように希釈し、ビーズミルにて1mmφのジルコニアビーズを用いて5分間混合し、固体電解質層形成用のリチウムイオン伝導性固体電解質組成物を得た。得られたリチウムイオン伝導性固体電解質組成物の塗料性を評価した。結果を表1に示す。
正極活物質としてLiCoO2 30部と、固体電解質として平均粒子径1.2μm、累積90%の粒子径が2.3μmである硫化物系ガラスセラミックス(Li2S−P2S5)14部と、導電剤として粉状アセチレンブラック(電気化学工業製)0.6部と、上記の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物1.5部と、有機溶媒としてp−キシレン46.1部を樹脂製の容器に投入し、Zrビーズ 130部を加え、10分間(自転:2200rpm 公転:500rpm)ビーズミルにて混合し、正極活物質層形成用のリチウムイオン伝導性固体電解質組成物を得た。集電体としてアルミ箔(厚み20μm)を用い、アルミ箔上に該組成物を塗布し、120℃、20分間乾燥させて、正極を得た。乾燥後の正極活物質層の膜厚は30μmであった。
負極活物質としてグラファイト 12.5部と、固体電解質として硫化物系ガラスセラミックス(Li2S−P2S5)12.5部と、上記の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物0.63部と、有機溶媒としてp−キシレン25.6部を樹脂製の容器に投入し、Zrビーズ 130部を加え、2分間(自転:2200rpm 公転:500rpm)ビーズミルにて混合し、負極活物質層形成用のリチウムイオン伝導性固体電解質組成物を得た。集電体として銅箔(厚み20μm)を用い、銅箔上に該組成物を塗布し、120℃、20分間乾燥させて、負極を得た。乾燥後の負極活物質層の膜厚は20μmであった。
上記の正極活物質層表面上に、固体電解質層形成用のリチウムイオン伝導性固体電解質組成物を塗布し、120℃、30分乾燥させて、正極活物質層上に固体電解質層が形成された電極を作製した。乾燥後の固体電解質層の膜厚は6μmであった。得られた電極のピール強度を測定し、上記基準にて評価した。結果を表1に示す。
実施例1における分岐剤(VNB)の配合量を、ノルボルネン系単量体である2−NBの合計100モル%としたときに、3.6モル%とした以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた重合体である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、99.9%、融点は134℃、分岐指数は0.43であった。
実施例1における分岐剤(VNB)の配合量を、ノルボルネン系単量体である2−NBの合計100モル%としたときに、0.14モル%とした以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた重合体である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、99.9%、融点は135℃、分岐指数は0.93であった。
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン700部に、1−ヘキセン0.89部、ジイソプロピルエーテル1.06部、トリイソブチルアルミニウム0.34部、及びイソブチルアルコール0.13部を室温で反応器に入れ混合した。そこへ、2−ノルボルネン(2−NB)240部、ジシクロペンダジエン(DCP)10部、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)0.75部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液26部を、55℃に保ちながら、2時間かけて連続的に添加し重合を行い、開環重合体を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。なお、分岐剤であるVNBの配合量は、ノルボルネン系単量体である2−NBとDCPの合計100モル%としたときに、0.23モル%であった。
実施例1における分岐剤(VNB)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた重合体である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は99.9%、融点は132℃、分岐指数は0.99であった。
重合体として、ブタジエンブロック共重合体(CBC)を用いた以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
重合体として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を用いた以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1における分岐剤(VNB)の配合量を、ノルボルネン系単量体である2−NBの合計100モル%としたときに、11.72モル%とした以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた重合体である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、99.9%、融点は108℃、分岐指数は0.13であった。
実施例1において、分岐剤を配合せずに開環重合体を得、水素添加反応を以下のように行った以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた重合体である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、99.9%、融点は148℃、分岐指数は0.99であった。
上記で得た開環重合体を含む反応溶液を耐圧の水素添加反応器に移送し、触媒としてPd/CaCO3(Pd量:5%)(Strem社製)5.25部を加え、100℃、水素圧3.5MPaで48時間反応させた。この溶液を、ケイソウ土をろ過助剤としてステンレス製金網を備えたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。得られた反応溶液を3000部のイソプロピルアルコール中に攪拌下に注いで水素化物を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、0.13×103Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、重合体として結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を190部得た。
実施例1において、開環重合体として以下の開環重合体を用いて水素添加反応を行ったこと以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られた重合体であるノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率は、99.9%、分岐指数は1.00であった。また、明確な融点は存在せず、ガラス転移点(Tg)は100℃であった。
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン700部に、1−ヘキセン0.89部、ジイソプロピルエーテル0.18部、トリイソブチルアルミニウム0.59部、及びイソブチルアルコール0.45部を室温で反応器に入れ混合した。そこへ、DCP85重量部、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(ETD)15部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液10部を、55℃に保ちながら、2時間かけて連続的に添加し、重合を行い、開環重合体を得た。重合転化率は、ほぼ100%であった。なお、分岐剤は配合しなかった。
実施例1と同様の開環重合体を用い、得られた重合体である結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率を90%としたこと以外は、実施例1と同様に全固体二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。なお、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の融点は120℃、分岐指数は0.64であった。
一方、比較例1,2の水添ポリジエン系重合体を含むリチウムイオン伝導性固体電解質組成物および全固体二次電池は、塗料性、極板特性、電池の寿命特性の少なくともいずれかが劣っていた。
比較例3、4、5において、融点を110℃未満または145℃を超える、または融点をもたない性状にすると、極板特性が劣り、電池の寿命特性も低下することがわかった。
比較例6において、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素添加率を99%未満とすると、電池の寿命特性が著しく低下することがわかった。
以上のことから、実施例の結晶性ノルボルネン開環重合体水素化物は、全固体二次電池で要求される、固体電解質組成物の塗料特性、極板特性、電池の寿命特性の面で優れていると言える。
Claims (4)
- 固体電解質及び重合体を含んでなる二次電池用リチウムイオン伝導性固体電解質組成物であって、
前記重合体が、2−ノルボルネン90〜100重量%と、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン10〜0重量%とからなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の99%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物である二次電池用リチウムイオン伝導性固体電解質組成物。 - 前記結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の分岐指数が0.3〜0.98である請求項1に記載のリチウムイオン伝導性固体電解質組成物。
- 正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、前記正極活物質層及び負極活物質層の層間に固体電解質層とを有する全固体二次電池であって、
前記正極活物質層、前記負極活物質層、または前記固体電解質層の少なくとも一層に、リチウムイオン伝導性固体電解質及び重合体が含まれ、
前記重合体が、2−ノルボルネン90〜100重量%と、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を含まない置換基を有する2−ノルボルネン10〜0重量%とからなるノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の99%以上を水素添加してなる、融点が110〜145℃の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物である全固体二次電池。 - 前記結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物の分岐指数が0.3〜0.98である請求項3に記載の全固体二次電池。
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