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JP5451041B2 - デンドリマー化合物、デンドリマー錯体及びmri造影剤 - Google Patents
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JP5451041B2 - デンドリマー化合物、デンドリマー錯体及びmri造影剤 - Google Patents

デンドリマー化合物、デンドリマー錯体及びmri造影剤 Download PDF

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Description

本発明は、デンドリマー化合物、デンドリマー錯体及びMRI造影剤に関する。
核磁気共鳴イメージング(MRI)は、磁場内における核磁気共鳴を利用して、生体等の内部にある組織や構造などを画像として得る方法である。
核磁気共鳴(MR)の信号強度は、縦緩和時間(T1)、横緩和時間(T2)等に依存する。そこで、T1やT2を制御することで、得られる画像のコントラストを強くすることができる。
たとえば、ガドリニウムイオン(Gd3+)は常磁性を示し、T1及びT2を短縮させるので、MRIの造影剤として大きな効果が期待されている。もっとも、フリーのガドリニウムイオンは生体毒性を有している。そこで、有機配位子をガドリニウムイオンに配位させることにより安定化させた錯体(以下、「ガドリニウム錯体」という)が、造影剤として実用化されており、それに関連して多くの提案がなされている(特許文献1及び2参照)。
Gd3+の有するT1短縮効果は、フリーの水分子がGd3+に配位することによるところが大きいと考えられる。一方、MRIの造影剤として一般的に用いられているガドリニウム錯体は、配位子中の7つないし8つの配位性官能基(NやCOOH)がGd3+に配位してキレート錯体を形成している。Gd3+は9配位の金属イオンであることからすれば、このような一般的なガドリニウム錯体は、Gd3+本来のT1短縮能を十分に引き出せていない可能性が高い。この点は、Gd3+以外の金属イオンを用いた錯体においても同様である。
特許第2603357号 特開平11−021279号公報
そこで、本発明は、従来と比べて優れたT1短縮効果を示す金属錯体化合物、それに用いられる配位子となる化合物、及びその製造に用いられる中間体化合物を提供することを目的とする。また、本発明は従来のMRI造影剤よりも優れたT1短縮効果を示すMRI造影剤を提供することを目的とする。
本発明にかかる環状構造を有するデンドリマー化合物は、
下記式(6)、(7)、(8)および(9)のいずれかで表されることを特徴とする化合物である。
(式(6)中、φはフェニレン基を示す。)
(式(7)中、φはフェニレン基を示す。)
(式(8)中、φはフェニレン基を示す。)
(式(9)中、φはフェニレン基を示す。)
本発明にかかる金属錯体化合物は、上記の式(6)、(7)、(8)および(9)のいずれかで表される化合物と、ランタノイドイオン、マンガンイオン、クロムイオン及び鉄イオンのいずれかの金属イオンとが配位結合によって結合している金属錯体化合物である。また、本発明にかかるMRI造影剤は、かかる金属錯体化合物の少なくとも1種を造影成分として含有するMRI造影剤である。
本発明によれば、従来と比べて優れたT1短縮効果を示す金属錯体化合物、及びそれを含有するMRI造影剤を提供することができる。
本発明にかかる化合物を含む環状構造を有する化合物は、
で示される。すなわち、−N−(CH2n−からなる単位が所定数直列に繰り返され、両端が結合することで、環状鎖からなる構造を形成している。この環状構造によりコア部が形成されており、このコア部の環状鎖中の複数のNが金属イオンの配位座を構成する。
式(A)におけるnは1以上の整数であり、kは3〜8から選択された整数である。なお、それぞれの−N−(CH2n−ごとにnの値が異なっていても良い。
式(A)におけるRは、コア部に対する側鎖であり、下記式(1)で表される構造を有する。
(式(1)中、R1は置換基を有していても良いアリーレン基、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基と置換基を有していても良いアルキレン基とが結合した基、のいずれかであり、R8はH、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、シリル基、シリルオキシ基、COOR10(R10はH、アリール基もしくはアルキル基)のいずれかであり、R9はH、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、シリル基、シリルオキシ基、COOR10(R10はH、アリール基もしくはアルキル基)のいずれかであり、mは1以上の整数を表し、R2及びR3は、下記式(2−1):
(式(2−1)中、R1は置換基を有していても良いアリーレン基、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基と置換基を有していても良いアルキレン基とが結合した基、のいずれかであり、R8はH、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、シリル基、シリルオキシ基、COOR10(R10はH、アリール基もしくはアルキル基)のいずれかであり、R9はH、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、シリル基、シリルオキシ基、COOR10(R10はH、アリール基もしくはアルキル基)のいずれかであり、R4及びR5は、互いに独立にH、OH、COOH、NH2、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシル基のいずれかである。)で表される末端基、あるいは、下記式(2−2):
(式(2−2)中、R1は置換基を有していても良いアリーレン基、置換基を有していても良いアルキレン、置換基を有していても良いアリーレン基と置換基を有していても良いアルキレン基とが結合基した基、のいずれかであり、R8はH、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、シリル基、シリルオキシ基、COOR10(R10はH、アリール基もしくはアルキル基)のいずれかであり、R9はH、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基、シリル基、シリルオキシ基、COOR10(R10はH、アリール基もしくはアルキル基)のいずれかであり、R6及びR7は、互いに独立に水素、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基のいずれかである。)で表される5員環構造を有する末端基である。
各式において、R1が有する置換基としては、最終的に得られる金属錯体化合物の水溶性を高めるものであることが好ましい。一方、R1が有する置換基は、金属錯体化合物を形成した際に中心金属に配位しない基であることが好ましい。これらのことからすれば、R1が有する置換基としてはエーテル基が好ましい。
1の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
・フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基などのアリーレン基、オキシフェニレン基などの置換基としてエーテル基を有するアリーレン基
・メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキル基
・オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などの置換基としてエーテル基を有するアルキル基
・メチレンフェニレン基、オキシメチレンフェニレン基、オキシフェニレンメチレン基などの、置換基を有していても良いアリーレン基と置換基を有していても良いアルキレン基とが結合基した基
また、mが1以上である場合の好ましい範囲は、1以上8以下である。
4又はR5がアルキル基又はアルコキシ基である場合、その好ましい炭素数は1以上3以下である。また、R6又はR7がアルキル基の場合も、その好ましい炭素数は1以上3以下である。R4、R5、R6、R7が有していてもよい置換基としては、ハロゲン、NH3、COOH、などが挙げられる。
8がアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基のいずれかである場合、その好ましい炭素数は1以上3以下である。また、R8がアリール基、アリールオキシ基のいずれかである場合、アリール部分はフェニル基であることが好ましい。また、シリル基、R8がシリルオキシ基のいずれかである場合、シリル部分は、トリメチルシリル基またはトリメトキシシリル基であることが好ましい。R10がアリール基もしくはアルキル基である場合、その炭素数は1以上3以下であることが好ましい。これらの点は、R9についても同様である。
以下、簡単のためにR8、R9がともにHの場合について記載すると、式(1)における[]内は下記式(4)で示される繰り返し単位を表す。
この構造が繰り返される場合は、最初のR1を含む繰り返し単位の有するO側(R2側及びR3側)の少なくとも一方に、次のR1を含む繰り返し単位のメチレン基側が結合し、結合がmの数に応じて繰り返される。上記の繰り返し単位の式で説明すると、R2側のbの位置及びR3側のcの位置の少なくとも一方に、次の繰り返し単位がメチレン基側のaの位置で結合する。更に、mの数に応じて、繰り返し単位が結合し、最終的に側鎖の伸長はR2及びR3が末端に結合した状態で停止する。常に、b及びcの位置に次の繰り返し単位がaの位置で結合する場合には、繰り返し単位が付加される毎に、繰り返し単位の数は付加回数の二乗個で増加する分岐鎖が得られる。すなわち、繰り返し単位の合計数はΣm2となる。m=2〜4である場合についての構造を以下に示す。
m=2
m=3
m=4
このような分岐構造としては、R1が各繰り返し単位間で同一であり、先に示したb及びcの両方に次に繰り返し単位が結合して、繰り返し単位が繰り返し数の二乗で増える分岐鎖構造が好ましい。
1は置換基を有していても良いアリーレン基、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基と置換基を有していても良いアルキレン基とが結合した基、のいずれかであり、上記の繰り返し単位が複数ある場合は、各繰り返し単位で独立している。つまり、R1は各繰り返し単位で異なっていても良い。また、R2及びR3を有する末端基は、各末端基で独立して先に記載した式(2−1)または式(2−2)で表される末端基を表す。これらの中では、各繰り返し単位中のR1が同じもの、各末端基が同じものが好ましい。
m=2で、R2とR3が連結して繰り返し単位中の2つの酸素原子を含む構造とともに5員環構造を形成している場合の具体例が、後述する実施例における化合物(R)−9である。
式(A)で表される化合物の式(1)で示される部分の具体例を以下に示す。
(式(1−2)中、Rはそれぞれ独立して、H、アルキル基又はアリール基を示す。)
(式(1−3)中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
(式(1−7)中、Meはメチル基を示す。)
これらのうち、後述するMRI造影剤を調整するために用いる場合の溶解度を考慮すると、式(1−1)、式(1−2)、式(1−4)、式(1−5)で表されるものがより好ましいものといえる。
なお、式(A)の化合物のうち、式(2−1)で表される基のR4及びR5のすべてがCOOHである化合物は本発明の範疇から除く。
式(A)の化合物の配位座を、T1短縮効果を有する金属イオンに配位させることで、造影剤の造影成分(有効成分)として有用な金属錯体化合物を得ることができる。ここで、T1短縮効果を有する金属イオンとしては、ランタノイドイオン、マンガンイオン、クロムイオン、鉄イオンのいずれかを挙げることができる。更に、この金属錯体化合物の少なくとも1種を有効成分としてMRI造影剤を調製することができる。
式(A)の化合物を製造するための原料としては、下記式(3)で表される化合物が好適である。
式(3)において、Xはハロゲン原子であり、m、R1〜R3、R8、R9は、式(1)と同様に定義される。
式(A)で示される化合物は、下記式(B)
(式(B)中、nは1以上の整数であり、kは3〜8の整数である。)
で表される環状構造化合物と、式(3)で表される化合物と、を反応させる工程を少なくとも有する製造方法により製造することができる。更に、式(A)の化合物を、T1短縮効果を有する金属イオンに配位させる工程を少なくとも有する製造方法により本発明にかかる金属錯体化合物を含む金属錯体化合物を製造することができる。これらの製造方法において、式(3)の化合物の合成には、不斉ジヒドロキシル化反応を用いることが好ましい。また、式(3)の化合物として末端基が5員環構造を有する化合物を用い、この化合物を、式(B)で示される環状構造化合物と反応させた後に、5員環構造を加水分解する工程を追加することもできる。
式(B)で表される化合物のうち、kが3以上6以下のものについては市販品を用いることができる。また、k=7,8のものについては公知の合成方法により合成することができる(前者につき、たとえば、Atkins, T. J.; Richman, J. E.; Dettle, W. F. Org. Synth. 1978, 58, 86.。後者につき、たとえば、Bianchi, A.; Mangani, S.; Micheloni,M.; Nanini, V.; Orioli, P.; Paoletti,P.; Seghi, B. Inorg. Chem. 1985, 24, 1182.)。また、各(−NH(CH2n−)ごとにnが異なるものについても市販品を購入したり、合成したりすることによって得ることが可能である。たとえば、kが4であって(−NH(CH22−)と(−NH(CH23−)からなるシクロアミンは市販されている。)
配位能を考慮すると、式(A)で表される化合物及び式(B)で示される化合物において、k(n+1)で表される数値(すなわち、環を構成する原子数)は8以上24以下であることが好ましい。
(第一の化合物:配位子)
本発明にかかる化合物を含む式(A)で示される化合物は、キレート錯体の配位子となりうる化合物である。この化合物の具体的な好ましい形態としては、例えば、下記式(5)の化合物を挙げることができる。
ここで、L1は上記式(1)で示される側鎖の部分であり、R8は側鎖の末端を包括的に表現したものであり、式(2)におけるR2及びR3に相当する(簡単のために省略しているが、それぞれのL1中に複数の末端が存在する)。
ここで重要なのは、末端部分の最先端(以下、単に「末端」と呼ぶ場合がある)の少なくとも一つがCOOH以外であるという点である。錯体を形成した場合に、COOHは、Gd3+等の中心金属イオンに強く配位すると考えられる。末端のすべてが中心金属イオンに強く配位した場合、自由水が配位する確率を著しく低減させてしまうため、中心金属のT1短縮効果を損なってしまうと考えられる。なお、側鎖の末端部分として上記式(2−2)で表される構造を選択した場合には、配位子として用いる以前に、その少なくとも一部を加水分解反応によってジヒドロキシル化することが望ましい。
側鎖の末端部分は、中心金属イオンの種類や配位子のその他の部分の構造などに応じて、適宜設計することが可能である。中心金属イオンに比較的配位しにくいという観点からは、末端の少なくとも1つとしてOH基を選択することが好ましい。式(B)で表される環状構造のコアのnやkの値も、主として中心金属の種類に応じて、適切な値が選択され得る。好ましいkの値は3以上5以下の整数である。また、好ましいnの値は2以上4以下の整数である。また、式(1)におけるmは1以上の整数であり、1以上9以下であることが好ましい。合成の容易性という観点からは、奇数(末端部分とあわせてカウントするとR1の数が偶数)であることが好ましい。代表的なmの値としては1及び3が挙げられる。なお、式(1)の構造は不斉炭素を含むので、第一の化合物は、光学活性化合物であっても良い。以下の化合物についても同様である。
式(A)の化合物から選択された先に示した式(6)、(7)、(8)および(9)のいずれかで表される化合物が本発明にかかるデンドリマー化合物である。
(第二の化合物:金属錯体化合物)
本発明の第二の化合物は、上記第一の化合物が金属イオンに配位結合した構造を有する金属錯体化合物である。中心金属イオンはT1短縮効果を有するものが選択される。そのような金属イオンとしては、ランタノイドイオン、マンガンイオン、クロムイオン、鉄イオンが挙げられるが、中でも、ガドリニウムイオンが好ましい。
本発明の第二の化合物は、従来のMRI造影剤用錯体と比べて、中心金属イオンに多数の自由水分子が接近できるので、優れたT1短縮効果を有する。
また、T1短縮効果は錯体分子自体の運動性を下げることによっても向上させることが可能である。分子自体の運動性の低下は、錯体分子、特に配位子の分子量を増大させることで達成することが可能である。本発明の第二の化合物は、市販のMRI造影剤用錯体と比較して分子量がかなり大きいため、錯体分子自体の運動性が下がることで、T1短縮効果がさらに増強されている。
また、MRI造影剤としての用いる場合、錯体自体の安定性が重要な性能の一つとなる。本発明の第二の化合物は、配位子の立体的なかさ高さによる保護効果により錯体自体の安定性にも寄与する。
さらにこのような分子量の大きな配位子を均一かつ選択的に合成することができる本発明は優れた方法である。
(第三の化合物:配位子の側鎖となる中間体化合物)
本発明の第三の化合物は、先に説明した式(3)で表される化合物である。この化合物は、式(1)の化合物を合成するための中間体として好適に用いられる。
(配位子の合成方法)
配位子を合成するにあたっては、式(3)で表される側鎖を合成しておき、その後に環状構造のコアを形成するための式(B)で表される化合物と反応させることが好ましい。側鎖の合成にあたっては、不斉ジヒドロキシル化反応が好適に用いられる。その具体的な手法については実施例で後述する。なお、不斉ジヒドロキシル化反応を用いた側鎖合成の途中までのプロセスについては、本件の発明者である近藤らによる文献(H.-T. Chang, C.-T. Chen, T. Kondo, G. Siuzdak, and K.B. Sharpless, Asymmetric Dihydroxylation Enables Rapid Construction of Chiral Dendrimers, Angew. Chem., 35, 182 (1996) )を参考にすることができる。さらに不斉ジヒドロキシル化反応を用いることにより、単一のジアステレオマーのみを合成できる。
(MRI造影剤)
本発明のMRI造影剤は、前記金属錯体化合物(本発明の第二の化合物)を含有する。本発明の第二の化合物のみをMRI造影剤としても良いし、他の造影成分として機能し得る化合物等と混合するなどしてMRI造影剤としても良い。また、必要に応じて、担体や希釈剤と混合して用いることができる。前述したように、本発明の第二の化合物は優れたT1短縮効果を有するので、MRI造影剤として好適である。
腎臓でのクリアランスを高めるためには、水溶性を高めた構造とする(具体的には、前述したようなエーテル基、COOH基などの水溶性基を導入する)ことが好ましい。一方、水溶性をあまり高めず、脂溶性がある程度高い構造とすることにより、肝臓での滞留性を高め、肝臓の造影効果を高めることが可能となる。
(実施例1)
以下のスキームに従って、中間体の合成を行った。
1.(R)-2 の合成
2Lの反応器に、K2OsO2(OH)4 触媒(114 mg)、(DHQD)2PHAL配位子(234 mg)、K3Fe(CN)6(148 g)、K2CO3(61.8 g)を入れ、よく振り混ぜた。次に、氷水とtBuOHとの1:1混合液を反応器に入れた。反応混合物をクールバスで冷却し、0℃になった後に、基質 1(22.8 g)を加え、そのまま0 ℃、空気下にて4時間攪拌した。
反応終了後、クールバスを外して室温に戻し、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)(225 g)を加えて、1 時間弱攪拌した。攪拌終了後、黄色の有機層をエバポレーターにて濃縮した。水層を酢酸エチルで抽出した。エバポレーター後の残渣に抽出液を加え、再度エバポレーターにて濃縮した。そして、残渣をヘキサン/酢酸エチル混合溶媒にて再結晶した。再結晶後、ろ過することにより、無色の針状結晶が得られた。ろ液を再度濃縮した後に再結晶を行った。得られた結晶をすべてまとめて数回再結晶を繰り返すことにより生成物 (R)-2を得た。
得られた生成物は、キラルカラムを備えたHPLC にてチェックした。HPLC分析の諸条件は以下の通りである。
2.(R)-3 の合成
(R)-2、アセトン、2,2-ジメトキシプロパン、p-トルエンスルホン酸 の順に反応器に入れ、空気下、室温にて4時間攪拌した。反応終了後、反応混合物に10% NaOH 水溶液を加えた。その際、オレンジ色の不溶物(副生成物)が沈殿した。そのまま、エバポレーターにて濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層をbrine、硫酸マグネシウムにて脱水した。再度エバポレーターにて濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性アルミナ)にて単離精製(展開溶媒は酢酸エチル:ヘキサン=1:4〜1:1の溶媒)し、微かに黄色を帯びた無色の液体である (R)-3を得た。
3.(R)-4 の合成
反応器に (R)-3、p-メトキシフェノール、テトラn-ブチルアンモニウムヨージド、炭酸カリウムを入れ、2−ブタノン中、空気下にて48時間加熱還流した。反応終了後、ろ過にて未反応の炭酸カリウムを除き、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。残渣を分液ロートに移し、水、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を硫酸マグネシウム、brineにて脱水し、エバポレーターにて濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(中性アルミナ。展開溶媒は酢酸エチル:ヘキサン=1:1〜100:0の溶媒)で精製し、無色固体 (R)-4を得た。(R)-4の構造式中、PMPは4-methoxyphenyl基である。なお、精製は再結晶(ヘキサン及び酢酸エチル)で行っても良い。
4.(R)-5 の合成
反応器に (R)-4とアセトニトリルを入れ空気下にて攪拌した。その均一溶液に 3Nの塩酸を加えた。しばらくすると、生成物が白色固体として析出してきた。2時間ないし3時間経過後、エバポレーターにて濃縮し、残渣をろ過することで白色固体である生成物を得た。ろ過した生成物をアセトニトリルで洗浄し、残留水分を除いた。ろ液は、再度エバポレーターにて濃縮し、ろ過、アセトニトリル洗浄した。まとめた粗生成物を再結晶(酢酸エチル)にて精製し、無色固体(R)-5を得た。
5.(R)-6 の合成
Dean-Stark 管と還流冷却管を備えた反応装置に、(R)-5 を入れ、系中をアルゴン置換した。続いて、(R)-3とトルエンをアルゴンフロー下、反応器へ入れた。30 分ほど加熱撹拌することで、均一溶液とした。得られた均一溶液にKOH を添加し、オレンジ色の濁った溶液とした。その後、12 時間加熱還流した。反応終了後、エバポレーターにて濃縮した。濃縮後、粘性の高いオレンジ色の粗生成物が得られた。これを塩化メチレンに溶かし、さらに酢酸エチル、ヘキサンを加え、吸引ろ過することにより、オレンジ色の均一溶液を得た。この溶液をエバポレーターにて濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィー(中性アルミナ)にて精製し、(R)-6を得た。
6.(R)-7 の合成
反応器に(R)-6を入れ、アセトニトリルを加えた後、反応器をクールバスに浸した。−10℃に冷却後、CAN の水溶液を少量ずつ加えた。添加終了後、30 分攪拌した後、冷却を停止し、大量の水を加えて反応を停止した。
混合物を分液ロートに移し、水層を酢酸エチルにて3回抽出した。有機層をまとめて5% K2CO3 水溶液にて2回洗浄した。この洗浄液を酢酸エチルで2回洗浄した。有機層を全てまとめて 10% Na2SO4 水溶液、次いで 5% K2CO3 水溶液で洗浄後、brineと MgSO4 にて脱水し、エバポレーターにて濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル。展開溶媒は酢酸エチル:ヘキサン=1:1→100:0)にて精製し、(R)-7を得た。
7.(R)-8 の合成
アルゴン置換した反応器に、(R)-7と塩化メチレンを入れた。クールバスに反応器を浸し、0℃に冷却後、アルゴンをフローしながら、PPh3 と NBS を加えた。反応終了後、ジエチルエーテルと飽和 Na2CO3 水溶液を加えた。分液後、有機層をbrine、MgSO4 で脱水した。エバポレーターにて濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル。展開溶媒は酢酸エチル:ヘキサン=1:1)にて精製し、(R)-8を得た。
(実施例2)
以下のスキームに従って、デンドリマーの合成を行った。
1.2nd Generation-キラルアセトニドトリアミンデンドリマー (R)-9 の合成
上記スキーム中において「φ」は「フェニレン基」を示す(以下同様)。
TACNと (R)-8 を反応器に入れ、アルゴン置換を行なった。そこへ脱水エタノールを加え、反応器をクールバスに浸した。しばらく攪拌した後、1M LiOEt / EtOH を加え、常温に戻しながら終夜攪拌した。brineを加えて反応を終了させ、酢酸エチルを加えて抽出した。分液後、水相を酢酸エチルにてもう一度抽出した。有機層をまとめ、brine、MgSO4 で脱水し、エバポレーターにて濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル。展開溶媒は10%MeOH/CHCl3)にて精製し、(R)-9を得た(収率 66%)。
2.2nd Generation-キラル−12−オールトリアミンデンドリマー (R)-10 の合成
反応器に、(R)-9、水、塩化メチレン、TFAの順に加え、室温、空気下攪拌した。反応終了後、減圧乾燥にて塩化メチレンとTFAを除いた。なお、TFAと水との体積比は4:1である。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シカゲル。展開溶媒は 10% MeOH / CHCl3)にて精製し(R)-10を得た(収率80%)。
(実施例3)
以下のスキームに従って、ガドリニウム錯体を合成した。
2nd Generation-キラル−12−オールトリアミンデンドリマーガドリニウム錯体 (R)-11の合成
反応器に、(R)-10とGdCl3・6H2O を入れ、純水、MeOH、THFの順に反応溶液が均一になるまで加える。室温、空気下にて一夜間攪拌した後、凍結乾燥し、(R)-11を得た。
1.化合物データ
1.1: (1R)-1-[4-(chloromethyl)phenyl]ethane-1,2-diol ((R)-2) [Sample No, HTKP1-7]
Colorless solid, mp 90 °C; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz):7.38 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 4.80 (dd, J = 8.3, 3.4 Hz, 1H), 4.58 (s, 2H), 3.74 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 1H), 3.62 (dd, J = 11.2, 8.3 Hz, 1H), 2.68 (brs, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz):140.7, 137.2, 128.8 (2C), 126.4 (2C), 74.3, 67.9, 45.9; MS (EI) m/z 186 (M+).
1.2: (4R)-4-[4-(chloromethyl)phenyl]-2,2-dimethyl-1,3-dioxolane ((R)-3) [Sample No, HTKP1-11]
Pale yellow oil, 1H NMR (CDCl3, 400 MHz):7.34 (s, 4H), 5.05 (dd, J = 7.8, 6.3 Hz, 1H), 5.03 (dd, J = 7.8, 6.3 Hz, 1H), 4.54 (s, 2H), 4.31 (dd, J = 7.8, 6.3 Hz, 1H), 3.65 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 1.55 (s, 3H), 1.49 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz):139.6, 137.2, 128.8 (2C), 126.5 (2C), 109.8, 77.5, 71.6, 45.9, 26.6, 25.9; MS (EI) m/z 226 (M+).
1.3: 1-[[4-((4R)-2,2-dimethyl(1,3-dioxolan-4-yl))phenyl]methoxy]-4-methoxybenzene2,2-dimethyl-1,3-dioxolane ((R)-4) [Sample No, HTKP1-30]
Pale yellow oil, mp 93 °C; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz):7.42-7.36 (m, 4H), 6.90 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 6.83 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 5.08 (dd, J = 14.2, 6.4 Hz, 1H), 5.00 (s, 2H), 4.30 (dd, J = 8.3, 6.3 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.70(t, J = 7.8 Hz, 1H), 1.55 (s, 3H), 1.49 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz):153.8, 152.6, 138.6, 137.0, 127.5 (2C), 126.2 (2C), 115.7 (2C), 114.5 (2C), 109.6, 77.6, 71.5, 70.3, 55.6, 26.6, 25.9; MS (EI) m/z 314 (M+).
1.4: (1R)-1-[4-[(4-methoxyphenoxy)methyl]phenyl]ethane-1,2-diol ((R)-5) [Sample No, HTKP1-24]
Colorless solid, mp 144 °C; 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz):7.38 (s, 4H), 6.94 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 5.32-5.31 (m, 2H), 5.00 (s, 2H), 4.82-4.80 (m, 1H), 4.62-4.61 (m, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.55 (brs, 1H), 3.50 (brs, 1H); 13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz):153.6, 152.5, 143.1, 136.0, 127.4 (2C), 126.5 (2C), 115.8 (2C), 114.7 (2C), 73.8, 69.7, 67.6, 55.4; MS (EI) m/z 274 (M+).1.5:2nd-G dendron of bis(acetonide) ether ((R)-6) [Sample No, HTKP1-63(2nd fraction)]
Yellow oil; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 7.43-7.24 (m, 12H), 6.92 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 6.83 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 5.08-5.04 (m, 2H), 5.00 (s, 2H), 4.63-4.49 (m, 4H), 4.23 (t, J = 6.4 Hz, 3H), 3.75 (s, 3H), 3.73-3.66 (m, 4H), 3.55 (dd, J = 10.3, 3.9 Hz, 3H), 1.55 (s, 3H), 1.48 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): MALDI-TOF-MASS (EI) m/z 571 (M++Na-H). 1.6: 2nd-G dendron of bis(acetonide) benzyl alcohol ((R)-7) [Sample No, HTKP1-66-4]
Yellow oil; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz):7.36-7.21 (m, 12H), 5.08-5.04 (m, 2H), 4.68 (s, 3H), 4.61-4.48 (m, 4H), 4.28 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 3.75-3.66 (m, 3H), 3.54 (dd, J = 10.8, 3.6 Hz, 3H), 3.46 (s, 1H), 1.91 (brs, 1H), 1.55 (s, 3H), 1.48 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz):172.8, 169.0, 129.9, 109.2, 60.3,34.9, 29.4, 25.8, 21.9, 14.2.1.7:2nd-G dendron of bis(acetonide) benzyl bromide ((R)-8) [Sample No, HTKP1-67-2]
Colorless oil; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz):6.68 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 5.02-4.92 (m, 1H), 4.14 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.04 (s, 3H), 2.41 (br, 4H), 2.20 (s, 3H), 1.26(t, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz):172.8, 169.0, 129.9, 109.2, 60.3,34.9, 29.4, 25.8, 21.9, 14.2.
(実施例4)
Gd トリアミン2nd G ‐ 12 オールデンドリマー錯体 ((R)-11)の500MHzNMRによるT1緩和時間測定(その1)
T1緩和時間測定は、500 MHz NMR装置 Avance 500(ブルカーバイオスピン社製)で、ブロードバンドプローブを用いて行った。T1緩和時間はすべてInversion Recovery 法を用いて、温度27℃で測定した。まず、Gd トリアミン2nd G ‐ 12 オールデンドリマー錯体 ((R)-11)を超純水1 mlに溶かし、錯体(R)-11濃度が24.05 mMの水溶液を調製した。なお錯体(R)-11の濃度は誘導結合プラズマ発光法(ICP発光法)によってGdの濃度から決定した。次に、上記水溶液を、錯体11の濃度が0.13mM、重水の濃度が10%になるように、超純水及び重水で希釈し、NMR測定試料とした。準備した試料の水のT1時間測定データを図1に示す。図1に示したデータから、上記錯体(R)-11水溶液の水のT1時間は429 msであることが明らかとなった。
(比較例1)
GdCl3およびGd(DTPA)(DTPA : Diethylene Triamine Pentaacetic Acid)のNMRによるT1緩和時間測定(その1)
T1緩和時間測定は、実施例4と同様の方法で行った。GdCl3水溶液は市販のGdCl36H2Oを超純水と重水とで溶解し、GdCl3の濃度が0.13 mM、重水の濃度が10%になるように調整し、NMR測定試料とした。またGd(DTPA)水溶液は市販のGd(DTPA)水溶液(630 mM)を超純水と重水とで希釈することで、Gd(DTPA)の濃度が0.13 mM、重水の濃度が10%になるように調整し、NMR測定試料とした。図2に上記Gd(DTPA)水溶液試料の、図3に上記GdCl3水溶液試料の水のT1時間測定データを示す。図2に示したデータから求めたGd(DTPA)水溶液の水のT1緩和時間は1333 msであり、錯体(R)-11のT1緩和時間よりかなり長い値を示した。この結果は現在市販されているMRI造影剤であるGd(DTPA)と比較して、本発明の錯体(R)-11がかなり高いT1短縮能を持つことを示唆するものである。
なお、図3に示したデータから求めたGdCl3水溶液(0.13mM)の水のT1時間は712 msであり、実施例4で示した錯体(R)-11のT1緩和時間より大きな値を示した。このことから、錯体(R)-11はGdCl3よりも高いT1緩和能を示すことが示唆された。表1に上記の各試料の水のT1緩和時間をまとめた。
(実施例5)
Gd トリアミン2nd G ‐ 12 オールデンドリマー錯体 ((R)-11)のMRIによるT1緩和時間測定
MRIによるT1緩和時間測定は、7T MRI装置 BioSpec70/20(ブルカーバイオスピン社製)を用いて行った。T1緩和時間はInversion Recovery FISP法を用いて、TR/TE=3 / 1.5ms、FOV = 8*4 cm、Matrix = 128*128,、NA=2、温度24℃の測定条件で行った。測定試料として錯体(R)-11を超純水に溶解し、6種類の濃度(1.3mM , 0.65mM, 0.325mM, 0.13mM, 0.026mM, 0.013mM)の水溶液を調整し、それぞれエッペンドルフチューブに入れ、そのまま測定に用いた。図4に各濃度での錯体(R)-11のT1緩和時間測定データを、表2にそこから求めた各濃度での水のT1緩和時間およびT1緩和速度(1/T1)を、図5に錯体(R)-11の濃度vs1/T1のグラフをそれぞれ示す。図5に示すように1/T1とサンプル濃度は非常に良い直線関係を示した。その傾きの値から、錯体(R)-11のT1緩和能はr1=23.649 (L/mmol・s)であることが明らかとなった。
(比較例2)
GdCl3およびGd(DTPA)(DTPA : Diethylene Triamine Pentaacetic Acid) のMRIによるT1緩和時間測定
T1緩和時間測定は、実施例5と同様に行った。GdCl3水溶液は市販のGdCl36H2Oを超純水に溶解し、濃度が1.3 mMになるように、またGd(DTPA)水溶液は市販のGd(DTPA)水溶液(630 mM)を超純水希釈することで、濃度が2.0, 1.3, 1.0, 0.5, 0.25 mMになるようにそれぞれ調整し、それぞれエッペンドルフチューブに入れ、そのまま測定試料として用いた。図6にGdCl3水溶液(1.3 mM)およびGd(DTPA)水溶液(1.3 mM)のT1緩和時間測定の結果を、表3にそこから求めたT1緩和時間をまとめたものを示す。Gd(DTPA)水溶液の水のT1緩和時間は205.653 msであり、実施例5で求めた同濃度の錯体(R)-11の水のT1緩和時間(32.116 ms)と比較してかなり長い値を示した。
さらに比較としてsaturation recovery spin echo法で、2.0, 1.0, 0.5, 0.25 mMのGd(DTPA)水溶液を用いてT1緩和能を求めた(24℃)結果、r1=4.661(L/mmol・s)であった(図7)。Gd(DTPA)のr1は実施例5で求めた錯体(R)-11のr1(23.649 (L/mmol・s))の約1/5の値であり、現在市販されているMRI造影剤であるGd(DTPA)と比較して、本発明の錯体(R)-11が約5倍の高いT1短縮能を持つことが明らかとなった。
なお、GdCl3水溶液(1.3 mM)の水のT1緩和時間は58.991 msであり、実施例5で示した錯体(R)-11(1.3 mM)のT1緩和時間よりやや長い値を示したことから錯体(R)-11はGdCl3よりもやや高いT1緩和能を有していることがわかる。
図8にsaturation recovery spin echo法によって取得した各試料(錯体(R)-11 (1.3mM)、GdCl3(1.3mM)、Gd(DTPA) (1.3, 0.5 mM)、水)のMRI画像を示す。実際のMRI画像においても特にTR=100〜400ms付近において、錯体(R)-11はGd(DTPA)よりも高いコントラストを与えており、本発明の錯体(R)-11がMRI陽性造影剤として市販の造影剤より優れた高いT1緩和能を有することがわかる。
(実施例6)
Gd トリアミン2nd Generation ‐ 12 オールデンドリマー錯体 (11)のマウスMRI造影撮像実験
7T MRI装置 BioSpec70/20(ブルカーバイオスピン社製)にて、Bruker社製内径72mm Circularly polarized RF resonatorを用いて、マウスのMRIによる造影撮像を行った。雄性C57/BL6マウス(21-24g, 8週齢)を用い、イソフルラン1~1.5%麻酔下、造影剤投与前後にT1強調画像を撮像した。造影剤の投与はGd濃度1mmol/Lに調製した錯体11をマウス尾静脈より投与することによって行った。その際、投与による急性毒性は観察されなかった。
また、前記マウスのMRIT1強調画像は、Spin Echo法を用いて、TR/TE=200/6.2ms、NEX = 2、FOV=8*4cm、スライス厚=2mm、Matrix = 256*256の測定条件で得た。
各MRI画像測定後、各臓器の信号強度を計測し、投与前後の信号強度を比較した。図9(a)に錯体11を投与する前のマウスのT1強調画像を、図9(b)に錯体11を投与したマウスのT1強調画像を示す。図9(b)に見られるように,特に肝臓部(画像のほぼ中央)において高いコントラストが得られた。
(実施例7)
Gd トリアミン2nd Generation ‐ 12 オールデンドリマー錯体 ((R)-11)の500MHz NMRによるT1緩和時間測定(その2)
NMR測定試料を錯体(R)-11のFBS(牛胎児血清)溶液(FBSの濃度80%、重水の濃度10%、H2Oの濃度10%)とした点以外は実施例4と同様にしてT1時間を測定した。その結果、錯体(R)-11のFBS溶液の水のT1時間は1135 msであった。
(比較例3)
GdCl3およびGd(DTPA)(DTPA : Diethylene Triamine Pentaacetic Acid)の500MHz NMRによるT1緩和時間測定(その2)
NMR測定試料をGdCl3又はGd(DTPA)のFBS(牛胎児血清)溶液(FBSの濃度80%、重水の濃度10%、H2Oの濃度10%)とした点以外は比較例1と同様にしてT1時間を測定した。その結果、Gd(DTPA)FBS溶液の水のT1緩和時間は1429 msであり、GdCl3FBS溶液の水のT1時間は1708msであった。
以上の結果から、GdCl3は生体に近いFBS溶液中でT1緩和能が大きく低下すること、錯体(R)-11は生体に近いFBS溶液中においてT1緩和能が低下するものの依然としてGd(DTPA)よりも高いT1緩和能を示すことが明らかになった。
(実施例8)
Gd トリアミン2nd Generation ‐ 12 オールデンドリマー錯体 ((R)-11)のXAFS測定と解析
SPring−8において、錯体 ((R)-11)のXAFS解析を行った。具体的には、XAFSスペクトルからバックグラウンドを除去し、フーリエ変換、逆フーリエ変換を用いることによってフィッティングを行い、配位水の数を推定した。なお、XAFSスペクトルは、錯体 ((R)-11)のペレット(粉末状態)についてはイオンチャンバーを用いた透過法で、錯体 ((R)-11)の水溶液については多素子半導体検出器を用いた蛍光法で、それぞれ取得した。最近接配位数を9に固定せずにフィッティングを行ったところ、粉末状態でOの配位数6.99、GdとOとの原子間距離2.421Å、水溶液(3mM)でOの配位数9.77、GdとOとの原子間距離2.430Åを得た。この測定結果においては、第二配位圏にCが観察されないこと及び水酸基が配位しているとすると原子間距離が近すぎることから配位しているOの殆どが水に由来するものと推定される。比較対象としてGd(DTPA)、Gd(DOTA)についてXAFS解析を行ったところ、水分子の配位数は1であった。したがって、正確な数値は明らかではないものの、錯体 ((R)-11)に配位する水分子の数は、既存の造影剤であるGd(DTPA)やGd(DOTA)と比較してかなり多いことが確認された。
(実施例9)
1.2nd Generation-キラルアセトニドテトラアミンデンドリマー (R)-9a の合成
コア部の原料としてTACNに代えて1,4,7,10-tetraazacyclododecane としたこと以外は実施例2と同様にして、(R)-9とはコア部のみが異なる2nd Generation-キラルアセトニドテトラアミンデンドリマー (R)-9aを合成した。そのESI−TOS MSスペクトルを図10に示す。
2.2nd Generation-キラル−16−オールテトラアミンデンドリマー (R)-10a の合成
実施例2と同様にして、(R)-9aを加水分解し、2nd Generation-キラル−16−オールテトラアミンデンドリマー (R)-10aを得た。
(実施例10)
2nd Generation-キラル−12−オールテトラアミンデンドリマーガドリニウム錯体 (R)-11aの合成
実施例3と同様にして、2nd Generation-キラル−12−オールテトラアミンデンドリマー (R)-10aをGdに配位させ、2nd Generation-キラル−12−オールテトラアミンデンドリマーガドリニウム錯体 (R)-11aを得た。
(実施例11)
2nd Generation-キラル−16−オールテトラアミンデンドリマーガドリニウム錯体 (R)-11aのMRIによるT1緩和時間測定
実施例4と同様にして錯体(R)-11aの7TMRIによるT1緩和時間測定を行った。その結果、錯体(R)-11aのT1緩和能はr1=8.4(L/mmol・s)であることが明らかとなった。
実施例4で500MHzNMR装置を用いて測定した0.13mM 錯体(R)-11水溶液に10%の重水を加えた試料の水のT1緩和時間測定データである。 比較例1で500MHzNMR装置を用いて測定した0.13mM Gd(DTPA)水溶液に10%の重水を加えた試料の水のT1緩和時間測定データである。 比較例1で500MHzNMR装置を用いて測定した0.13mM GdCl3水溶液に10%の重水を加えた試料の水のT1緩和時間測定データである。 実施例5で7TMRI装置を用いて測定した1.3mM , 0.65mM, 0.325mM, 0.13mM, 0.026mM, 0.013mM 錯体(R)-11水溶液および純水のT1緩和時間測定データである。 実施例5で錯体(R)-11の濃度と1/T1との関係をプロットしたグラフである。 比較例2で7TMRI装置を用いて測定した1.3 mM GdCl3水溶液および1.3mM Gd(DTPA)水溶液の水のT1緩和時間測定データである。 比較例2でGd(DTPA)の濃度と1/T1との関係をプロットしたグラフである。 7TMRI装置を用いてTRを変化させてそれぞれ測定した錯体(R)-11 (1.3mM)、GdCl3(1.3mM)、Gd(DTPA) (1.3, 0.5 mM)水溶液および水のファントムのMRI画像である。 実施例6で、7T MRI装置を用いて測定したマウスのMRI画像であり、(a)は錯体投与前の画像、(b)はGd トリアミン2nd G ‐ 12 オールデンドリマー錯体 (11)投与後の画像である。 実施例9で合成した2nd Generation-キラルアセトニドテトラアミンデンドリマー (R)-9aのESI−TOS MSスペクトルである。

Claims (4)

  1. 下記式(6)、(7)、(8)および(9)のいずれかで表されることを特徴とする化合物。

    (式(6)中、φはフェニレン基を示す。)

    (式(7)中、φはフェニレン基を示す。)

    (式(8)中、φはフェニレン基を示す。)
    (式(9)中、φはフェニレン基を示す。)
  2. 請求項1に記載の化合物と、ランタノイドイオン、マンガンイオン、クロムイオン及び鉄イオンのいずれかの金属イオンと配位結合によって結合している金属錯体化合物。
  3. 金属イオンが、ガドリニウムイオンである請求項2に記載の金属錯体化合物。
  4. 請求項2または3に記載の金属錯体化合物の少なくとも1種を造影成分として含有するMRI造影剤。
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