JP5452017B2 - 新規チオラン化合物およびその用途 - Google Patents
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Description
I.新規チオラン化合物
(I-1)下式で示されるチオラン化合物:
(I-3)2R, 3S, 4S, 5R体である、(I-1)または(I-2)に記載するチオラン化合物。
(II-1)単離された(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するチオラン化合物を含有する香料組成物。
(II-2)単離された(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するチオラン化合物を、ネギ香を有する唯一の香料成分として含む(II-1)に記載する香料組成物。
(II-3)単離された(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するチオラン化合物を、唯一の含硫化合物として含む(II-1)または(II-2)に記載する香料組成物。
(III-1)(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するチオラン化合物、または(II-1)乃至(II-3)のいずれかに記載する香料組成物を、外添して調製される付香製品。
(III-2)新鮮なネギ風味を有するか、または新鮮なネギ風味が増強されてなる、(III-1)に記載する付香製品。
(III-3)付香製品が飲食品である、(III-1)または(III-2)に記載する付香製品。
(III-4)対象製品に、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するチオラン化合物、または(II-1)乃至(II-3)のいずれかに記載する香料組成物を外添する工程を有する、新鮮なネギ風味を有するか又は新鮮なネギ風味が増強されてなる付香製品の製造方法。
(IV-1)対象製品に、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するチオラン化合物、または(II-1)乃至(II-3)のいずれかに記載する香料組成物を外添することを特徴とする、対象製品に対して新鮮なネギ風味を付与するか、又は飲食品のネギ風味を増強する方法。
(IV-2)付香製品が飲食品である、(IV-1)に記載する方法。
本発明が提供する下式で示されるチオラン化合物:
本発明にかかる香料組成物は、前述するようにネギ科植物等から単離されたセパチオランを含有するか、または合成されたセパチオランを含有することを特徴とする。好ましい香料組成物は、上記セパチオランを、ネギ香を有する唯一の香料成分として含む香料組成物である。また好ましくは、上記セパチオランを、唯一の含硫化合物として含むことを特徴とする香料組成物である。
本発明が対象とする付香製品は、前述する本発明のセパチオランまたは本発明の香料組成物を外添して調製されるものであり、セパチオランの香りに基づいて、タマネギなどのネギ科植物をカットしたときに生じるフレッシュ感(新鮮な香り)およびネギ科植物が有する独特のネギ香を有するか、または当該フレッシュ感およびネギ香が添加前と比べて増強されてなることを特徴とする。
前述するように、対象製品に、本発明のセパチオランまたは本発明の香料組成物を外添することにより、当該対象製品は、セパチオランの香りに基づいて、タマネギなどのネギ科植物をカットしたときに生じるフレッシュ感(新鮮な香り)およびネギ科植物が有する独特のネギ香を有するようになるか、または当該フレッシュ感およびネギ香が添加前と比べて増強される。ゆえに、本発明は、対象製品に本発明のセパチオランまたは本発明の香料組成物を外添することを特徴とする、対象製品に新鮮なネギ風味を付与するか、当該ネギ風味を増強する方法に関する。
(1)タマネギからのセパチオランの分離抽出
タマネギ(北海道産北見産、スーパー北もみじ)の可食部2.4kgに等量のイオン交換水を加えて、ミキサーで磨砕し、2重のガーゼでろ過してタマネギ搾汁液3kgを得た。このタマネギ搾汁液3000gにジクロロメタン3000mlを添加し、次に分液ロートにて激しく振とうし、遠心分離2,500rpm、10分間(10℃)で分離してジクロロメタン層を採取した。次に得られたジクロロメタン層をエバポレータで濃縮し、濃縮液(重量3g)を得た。
(2-1)得られたタマネギ濃縮液(3g)を、順相カラム(Develosil 30-5(10mm x 250mm、5μm)、野村化学)を用いた分取HPLCで分画した。移動相は、2-プロパノールとヘキサンを用い、2-プロパノールの組成をインジェクションから5分間は3容量%に維持し、その後、2-プロパノールを一定の比率で増加させ、インジェクションから50分後に2-プロパノールの割合が35容量%となるようにした。流速は2.8 ml/min、カラム温度は25℃とし、紫外吸収波長254nmで検出した。この分取クロマトグラムを図1に示す。
下記に示す方法で、実施例1で分取したピークP-1-1の化合物(以下、「P-1-1化合物」ともいう)を同定し、構造決定を行った。
ピークP-1-1を採取した画分(画分P-1-1)(図3)を赤外吸収スペクトル分析(IR分析)に供した。具体的には、画分P-1-1から溶媒を留去した試料(以下、「P-1-1試料」という)をKBrと混合し、ディスク状に成形して定法に従ってIR分析を行った。なお、IR分析には、パーキンエルマー社製フーリエ変換赤外分光装置(Perkin Elmer Spectrum One FT-IR Spectrophotometer)を用いた。その結果を図4に示す。
前記分取HPLCで得られたP-1-1試料を紫外可視吸収スペクトル分析に供した。その結果、271nmに吸収極大を有し、そのモル吸光係数は3.63L/mol.cmであった。
前記で得られたP-1-1化合物試料を2ml容量のメスフラスコに移し、窒素ガスにて乾固後、重量を計量し、試料重量0.9mgを2ml容量のメスフラスコに定容し、その旋光度を旋光度計(日本分光社製、DIP-1000)で測定した。その結果、[α] D 25°-27.6(0.045w/v%、メタノール)の値を得た。
前記で得られたP-1-1試料をガスクロマトグラフ-質量分析に供した。具体的には、ガスクロマトグラフ-質量分析(GC/MS)は、飛行時間型GC/MS装置GCT Premier (Waters)により、GC注入口温度を250℃としスプリットレスで、DB-5ms(30m x 0.25mm、層厚0.25μm)をカラムとして用いて行った。カラム温度は、40℃で2分間保持し、1分間あたり15℃の速度で温度を上昇させ、250℃まで昇温させた。イオン化は、電子イオン化(EI)法で行った。イオン化電圧を70eV、イオン化電流を200μA、イオン源温度を250℃とした。
前記で得られたP-1-1試料を高分解-質量分析に供した。試料を白金製のプローブに直接塗布して上述の装置を用い脱離化学イオン化(DCI)で測定を行った。反応ガスとしてメタンを用い、イオン化電流を 200μA、イオン源温度を200℃、インターフェイス温度を200℃に設定した。その結果、強度は小さいが、m/z 252.0313に [M]+と考えられるピークが観測された。主要なイオンは次の通りであった。
P-1-1化合物の分子量と質量を分析した。
実施例1で単離されたP-1-1化合物について、NMRスペクトル(1H、13C、DQF-COCY、HSQC、HMBC、)による構造解析を行った。NMRスペクトルは、CDCl3中、291Kで、(貴社の装置)およびBruker Avance 800装置を用いて測定した。
以上のことから、たまねぎの抽出物から単離したP-1-1化合物は、下式で示される5-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-2-[(E)-1-プロペニルスルフィニル]スルファニルチオラン(以下、セパチオランと称する)であることが判明した。
(1)微淡黄色油状物質
(2)UV(メタノール)λmax, 271nm nm (ε):(モル吸光係数 3.63L/mol.cm)
(3)IR赤外線吸収スペクトル
IR(KBr)vmax 3392、2930、1628(C=C) 、1452、1379、1034 ( s, S=O )、996(s)、 948 cm-1
(4)比旋光度 [α] D 25°-27.6(濃度0.045w/v%、メタノール)
(5)質量分析(DCI法)
[M]+ : 252.0131[C9H16O2S3](14.08、DCI)
(6)NMR。
タマネギ中に存在するS-アルキルシステインスルホキシドからアリイナーゼによる酵素反応でスルフェン酸が生じ、チオスルフィネートを経由してビシクロスルテンが得られることは、Blockら( E.Block, T.Bayer, S.Naganathan and S.-H.Zhao, J.Am. Chem. Soc., 118, 2799-2810 (1996), E.Block, H.Gulati, D.Putman, D.Sha, N.You and S.-H.Zhao, J.Agric.Food Chem., 45, 4414-4422 (1997))によって報告されている。
上記で得られたセパチオランを、コンピュータ解析(半経験的、非経験的分子軌道法による解析)し、その原子間距離および立体構造を求めた。結果を図10−1〜図10−3に示す。
(1)セパチオランのアセチル化
実施例1で単離精製したセパチオランをピリジンと無水酢酸を用い、冷蔵庫(4℃)で2日間保存し、次いで定法にしたがってアセチル化した。
上記で得られたセパチオランのアセチル化物をIR分析に供した。得られた、IR分析の結果を以下に示す。
IR (KBr) vmax:2925、1740(-O-CO-)、1634、1453、1374、1230、1020cm-1。
(1)セパチオランのエステル化
実施例1で単離精製したセパチオランを、n-カプロイルクロライドを用いてエステル化した。
具体的には、セパチオラン1mgを25%酢酸エチル/へキサンに溶解し、ピリジン5滴とn-カプロイルクロライド1滴を混合し、冷蔵庫(4℃)で2日間保管した。保存した反応混合物に水1mlを添加し、室温で約10分間放置した。
以下の処方により、タマネギ香料を調製した。
(処方)
エタノール 50部
プロピレングリコール 30部
セパチオラン(実施例1) 0.005部
水にて合計 100部とする。
実施例8で調製したタマネギ香料(セパチオラン濃度が50ppmに調製したもの)1gにエタノール99gを添加混合し(セパチオランの濃度0.5ppm)、さらに、このエタノール溶液1部を水99部に添加混合して、タマネギ風味の清涼飲料水(セパチラン0.05ppm最終濃度)を調製した。
実施例8で調製したタマネギ香料(本発明区)と、実施例8で調製したタマネギ香料のセパチオランを、タマネギに含まれる代表的な香り成分であるジメチルトリスルフィドに代えて調製したジメチルトリスルフィド香料(対照区)をそれぞれ用いて、実施例9の方法に従って清涼飲料水を調製した。
実施例8で調製したタマネギ香料を、各種の代表的な食品に利用した。以下、その食品応用例を示す。
実施例1で単離精製したセパチオランを含有する香料(実施例8:本発明品)を、下記処方のラーメンスープに添加し、常法によりラーメンスープを調製し、官能評価を行った。
<処方>
1.調味料(サンライク※ポークベース*) 9.0部
2.調味料(サンライク※チキンエンハンサー*) 2.5部
3.調味料(サンライク※アミノベース*) 0.6部
4.粉末醤油 28.0部
5.食塩 20.0部
6.L-グルタミン酸ナトリウム 15.0部
7.核酸調味料 0.5部
8.クエン酸三ナトリウム 0.1部
9.オニオン末 2.0部
10.ガーリック末 1.5部
11.ブラックペッパー末 0.2部
12.ホワイトペッパー末 0.2部
13.乳糖 7.6部
14.デキストリン 7.3部
15.コーンサラダ油 3.4部
16.タマネギ香料(実施例8)(セパチオランの割合として) 0.005部
(最終製品中、セパチオランを250ppb(10-1ppmオーダー)含む)
17.水 残 部
合 計 100.0部。
実施例8で調製した香料組成物を、下記処方のハンバーグソースに添加し、常法によりハンバーグソースを調製し、官能評価を行った。
<処方>
1.果糖ぶどう糖液糖 25.0部
2.濃口醤油 22.0部
3.魚醤 5.0部
4.みりん 5.0部
5.料理酒 3.0部
6.醸造酢(酸度10%) 2.0部
7.生ガーリックペースト 0.2部
8.生ジンジャーペースト 0.2部
9.調味料(サンライク※和牛風味*) 0.3部
10.調味料(サンライク※テイストベース※*) 0.3部
11.調味料(サンライク※ソテ-ドオニオン*) 0.1部
12.加工でんぷん 2.5部
13.増粘剤(ビストップ※TAR-S*) 0.8部
14.カラメル 0.3部
15.香料(ローストビーフフレーバー) 0.1部
16.タマネギ香料(実施例8)(セパチオランの割合として) 0.1部
(最終製品中、セパチオランを5ppm(100ppmオーダー)含む)
17.水 33.1部
合 計 100.0部。
実施例8で得られた香料組成物を、下記処方のドレッシングに添加し、常法によりドレッシングを調製し、官能評価を行った。
1 コーンサラダ油 35.0部
2 醸造酢(酸度10%) 10.0部
3 トマトペースト 4.0部
4 レモン透明果汁(ストレート) 3.0部
5 ウスターソース 0.35部
6 卵黄 4.0部
7 食塩 2.0部
8 甘味料(サンスイート※SU100*) 0.1部
9 調味料(サンライク※アミノベース*) 0.3部
10 オニオンパウダー 0.15部
11 ガーリックパウダー 0.1部
12.タマネギ香料(実施例8)(セパチオランの割合として) 0.1部
(最終製品中、セパチオランを5ppm含む)
13 増粘剤(サンエ-ス※*) 0.3部
14 ピクルス(みじん切り) 5.0部
15 水 35.6部
全量 100.0部。
実施例8で得られた香料組成物を、下記処方のパスタソースに添加し、常法によりパスタソ-スを調製し、官能評価を行った。
1 牛乳 30.0部
2 生クリーム 5.0部
3 無塩バター 4.0部
4 卵黄 3.0部
5 チーズパウダー 3.0部
6 食塩 0.8部
7 L-グルタミン酸ナトリウム 0.1部
8 調味料(サンライク※ソテードオニオン*) 0.3部
9 調味料(サンライク※テイストベース※*) 0.2部
10 調味料(サンライク※ブイヨンベース*) 0.1部
11 実施例1のエステル化物(実施例6の処方で調製したエステル化した本発明品、100ppm) 0.3部
(最終処方で0.300ppm=10-1オーダー)
12 メースパウダー 0.05部
13 セロリーシードパウダー 0.04部
14 焼成小麦粉 3.0部
15 加工でんぷん 2.0部
16 ベーコンオイル(BF-600) 0.06部
17 バターオイル(クックドバターオイル) 0.05部
18 水 48.0部
全量 100部とする。
Claims (7)
- 単離された請求項1に記載するチオラン化合物を、ネギ香を有する唯一の香料成分として含む香料組成物。
- 単離された請求項1に記載するチオラン化合物または請求項2に記載する香料組成物を外添して調製される付香製品。
- 新鮮なネギ風味を有するか、または新鮮なネギ風味が増強されてなる、請求項3に記載する付香製品。
- 付香製品が飲食品である、請求項3または4に記載する付香製品。
- 対象製品に請求項1に記載するチオラン化合物または請求項2に記載する香料組成物を外添する工程を有する、新鮮なネギ風味を有するか又は新鮮なネギ風味が増強されてなる付香製品の製造方法。
- 対象製品に請求項1に記載するチオラン化合物または請求項2に記載する香料組成物を外添することを特徴とする、対象製品に対して新鮮なネギ風味を付与するか又は増強する方法。
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