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JP5452315B2 - 回転体の抑え板 - Google Patents
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JP5452315B2 - 回転体の抑え板 - Google Patents

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Description

本発明は、モータの両端に設けられ、積層されたロータコアを、拘束力を加えることで支持するモータのエンドプレートなどに代表される回転体の抑え板に関するものである。
モータを代表とする回転駆動物では、その回転駆動時に回転体が回転軸方向へ変位することを拘束する目的で、回転軸の両端部に抑え板が設けられていることが多い。特に、その代表であるモータにおいては、回転体である積層されたロータコアが、その回転軸方向へ変位する現象を拘束することを目的に、回転軸の両端部に抑え板としてエンドプレートが設けられている。
このようなモータのエンドプレートは、特許文献1や特許文献2に開示されているように、平板状の厚板部品で形成された円板であることが多く、そのエンドプレートを回転体と面接触させることで、その回転体である積層されたロータコアに拘束力を加えていた。
これら平板状のエンドプレートは、シート状の圧延板をプレス加工によって打抜くことで製造されることが一般的であった。しかしながら、プレス加工によってエンドプレートを製造すると、そのエンドプレートに残留応力などに起因する反りなどが発生することが頻繁にあり、その結果、エンドプレートが回転体である積層されたロータコアに確実に面接触しないことがあって、このような単に平板状のエンドプレートを用いた場合は、確実に回転体に拘束力を加えることができないことがしばしばあるという問題があった。
また、エンドプレートを平板状ではなく、テーパー面を備えたプレート状にした技術が、特許文献3や特許文献4で提案されている。これらのエンドプレートはその外周縁のみで、積層されたロータコアに拘束力を加えるものである。
特に近年においては、自動車等の高性能化のため、モータを代表とする回転駆動物への軽量化要求が高くなってきており、エンドプレートをはじめとする抑え板にも軽量化ひいては薄肉化が求められるようになってきており、特許文献3や特許文献4で提案のエンドプレートではその要求に対応することは困難である。
また、単に抑え板を薄肉化しただけでは剛性を十分に確保することができなくなるため、抑え板を断面凹凸状の同心円形状に形成することで剛性を確保しようという技術も最近開発されつつある。更には、小型化に対する要求もあり、スペース制約の観点からその凹凸深さをできるだけ浅くしようと方向性もある。
一方、自動車等に用いられるモータなどでは、高性能化を目的とし、その回転体であるロータコアを積層したロータの外形拡大や、その回転速度(回転数)の上昇も図られており、回転体に加わる遠心力も増大する傾向にある。遠心力が増加した場合、回転体をしっかりと拘束しないと、遠心力で回転体が回転軸の方向へ変位し、部品の破損などにつながるといった問題が発生することがある。このため、エンドプレートをはじめとする抑え板による回転体に対する拘束力もこれまで以上に高いものが要求されるようになってきている。
特開2007−259583号公報 特開2006−67675号公報 特開2008−289329号公報 特開2008−86187号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、剛性を確保することができるうえに、回転体の回転速度が上昇しても、その回転数の増大に応じて回転体に加える拘束力を十分に増大することができる回転体の抑え板を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、回転軸が挿通される取付孔が中心に形成され前記回転軸と一体となって回転すると共に、その一側面側に配置される回転体に接触してその回転体に拘束力を加える円板よりなる回転体の抑え板であって、前記円板は、前記回転体に接触する平坦面を有する取付孔周辺部と、その取付孔周辺部の外周側に段差を介して連続し前記回転体には接触しない中間部と、その中間部の外周側に段差を介して連続し前記回転体に接触する平坦面を有する外縁部とよりなる断面凹凸状の同心円形状に形成されており、前記取付孔周辺部の外周側位置Dが、前記円板の内周直径をD、外周直径をDとしたとき次式を満足する位置に配置されていることを特徴とする回転体の抑え板である。
Figure 0005452315
請求項2記載の発明は、前記取付孔周辺部の外周側位置Dと前記円板の内周直径Dの差が、前記円板の外周直径Dと内周直径Dの差の、0.45〜0.68倍であることを特徴とする請求項1記載の回転体の抑え板である。
請求項3記載の発明は、前記取付孔周辺部、中間部、および外縁部の板厚は、全て同じ厚みであることを特徴とする請求項1または2記載の回転体の抑え板である。
請求項4記載の発明は、前記取付孔周辺部の板厚は、その内周側より外周側が薄く形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の回転体の抑え板である。
請求項5記載の発明は、前記中間部の外周側位置の板厚が、取付孔周辺部の外周側位置の板厚と同等以上の厚みであることを特徴とする請求項4記載の回転体の抑え板である。
請求項6記載の発明は、前記中間部の板厚は、その内周側より外周側が厚く形成されていることを特徴とする請求項4または5記載の回転体の抑え板である。
請求項7記載の発明は、前記円板は冷間鍛造で成形加工されており、前記取付孔周辺部の板厚は、その内周側の板厚が加工前の板厚より厚く形成されていると共に、その外周側の板厚が加工前の板厚より薄く形成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の回転体の抑え板である。
請求項8記載の発明は、前記円板はモータのエンドプレートであって、前記回転体は積層されたモータのロータコアであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の回転体の抑え板である。
請求項9記載の発明は、前記円板は、アルミニウム合金材料の冷間圧延材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の回転体の抑え板である。
本発明の請求項1記載の回転体の抑え板によると、断面凹凸状の同心円形状に形成することで、剛性を確保することができるうえに、円板の取付孔周辺部の外周側位置Dを、前記円板の内周直径Dと外周直径Dを用いて先に示す式で計算される直径計算位置に配置することで、回転体の回転速度が上昇しても、その回転数の増大に応じて外縁部により回転体に加える拘束力を十分に増大することができる。
本発明の請求項2記載の回転体の抑え板によると、円板の取付孔周辺部の外周側位置Dと円板の内周直径Dの差を、円板の外周直径Dと内周直径Dの差の、0.45〜0.68倍とすることで、モータ等の回転数の増大に応じて外縁部により回転体に加える拘束力を更に増大することができる。
本発明の請求項3記載の回転体の抑え板によると、円板の板厚が全ての位置で同じ厚みであるため、製造が容易である。
本発明の請求項4記載の回転体の抑え板によると、取付孔周辺部の外周側の板厚を薄くしたことにより、取付孔周辺部の変形剛性を低くすることができ、回転体の方向に曲がる曲げ変形が生じやすくなり、その結果、外縁部による回転体に対する拘束力を増加させることができる。
本発明の請求項5記載の回転体の抑え板によると、回転時の遠心力が増加し、その結果、外縁部による回転体に対する拘束力を更に増加させることができる。
本発明の請求項6記載の回転体の抑え板によると、円板の中間部の、回転軸から最も遠い位置の重量低下を抑制して回転時の遠心力の低減を抑制することができ、外縁部による回転体に対する拘束力を確実に確保することができる。
本発明の請求項7記載の回転体の抑え板によると、切削加工により加工する必要がないため、切削加工による費用増加の影響を受けることなく、廉価な冷間鍛造により円板の複雑な成形加工を容易に実施することができる。
本発明の請求項8記載の回転体の抑え板によると、本発明をモータに適用することができ、モータの回転数の増大に応じて積層されたロータコアに加える拘束力を増大することができる。
本発明の請求項9記載の回転体の抑え板によると、円板をアルミニウム合金材料の冷間圧延材で形成することで、軽量化を図ることができる。また、プレス切断時に反りが発生しにくいので、切断性も向上する。
本発明の実施形態に係る抑え板の全体形状を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。 本発明の異なる実施形態に係る抑え板を示す図1のA−A線断面図である。 本発明の更に異なる実施形態に係る抑え板を示す図1のA−A線断面図である。 本発明の回転体の抑え板を回転運動させた時の径方向応力σr分布と、円板の取付孔周辺部、中間部、および外縁部の変形形態の分析結果を示す説明図である。 段差のない円板の円周方向応力σθと径方向応力σrの理論計算値を示す説明図であり、(a)は円周方向応力σθの理論計算値を、(b)は径方向応力σrの理論計算値を夫々示す。 本発明の更に異なる実施形態に係る抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。 本発明の更に異なる実施形態に係る抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。 本発明の更に異なる実施形態に係る抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。 本発明の更に異なる実施形態に係る抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。 本発明の更に異なる実施形態に係る抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。 実施例の解析に用いた解析モデルを示す縦断面図である。 実施例1の解析で得られた回転角速度(回転数)ωと最大MISES応力の関係を示すグラフ図である。 実施例1の解析で得られた回転角速度(回転数)ωと端部拘束力Pの関係を示すグラフ図である。 回転角速度20000rpmにおける取付孔周辺部の外周側位置Dの違いに対する最大MISES応力の変化を示すグラフ図である。 回転角速度20000rpmにおける取付孔周辺部の外周側位置Dの違いに対する端部拘束力Pの変化を示すグラフ図である。 実施例1の解析で得られた取付孔周辺部の外周側位置の適正な配置位置を示すグラフ図である。 実施例1の解析で得られた回転角速度(回転数)ωと端部拘束力Pの関係を示すグラフ図である。
近年、自動車等に用いられるモータなどでは、高性能化を目的とし、回転体であるロータコアを積層したロータの外形拡大や、その回転速度(回転数)の上昇も図られており、回転体に加わる遠心力も増大する傾向にあり、その結果、モータ等の部品の破損にもつながる可能性があるため、本発明者は、剛性を十分に確保したうえで、回転体の回転速度(回転数)が上昇しても、その回転体に十分な拘束力を加えることができる回転体の抑え板に関する技術を開発するために、鋭意、実験、研究を進めた。
その結果、回転体に接触する平坦面を有する取付孔周辺部と、その取付孔周辺部の外周側に段差を介して連続しその回転体には接触しない中間部と、その中間部の外周側に段差を介して連続しその回転体に接触する平坦面を有する外縁部とよりなる断面凹凸状の同心円形状の円板を、回転体の抑え板として採用することで、十分な剛性を確保することができ、また、その取付孔周辺部の外周側位置を適切な位置に配置することで、回転体の回転速度(回転数)が上昇しても、外縁部によりその回転体に十分な拘束力を加えることができることを知見し、本発明の完成に至った。
また、本発明者は、回転運動に対して発生する面外方向への拘束力を更に高くするためには、前記円板の取付孔周辺部の変形剛性を低くすることが有効であることも知見した。具体的に面外方向への拘束力を更に高くするためには、取付孔周辺部の板厚を、その内周側より外周側を薄く形成することが有効であることも見出した。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
図1および図2は本発明の一実施形態を示し、図1は抑え板の全体形状を示す斜視図であり、図2はその抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。
例えば、本発明が適用されるモータにおいては、回転体8である電磁鋼板が積層されたロータコアが、その回転軸(図示せず)の軸方向へ変位する現象を拘束することを目的に、その回転軸の両端側に、抑え板1としてエンドプレートが設けられている。その抑え板1は、回転軸が挿通される取付孔6が中心に形成された円板2で形成されており、円板2は、その回転軸と一体となって回転すると共に、その一側面側に配置される回転体8に面接触することで回転体8に拘束力を加える働きをする。
この円板2は、回転体8に面接触する平坦面3bを有する円環板状の取付孔周辺部3と、その円環板状の取付孔周辺部3の外周側に段差7を介して連続し、回転体8には接触しない円環板状の中間部4と、その円環板状の中間部4の外周側に段差7を介して連続し、回転体8に接触する平坦面5bを有する円環板状の外縁部5とよりなる断面凹凸状の同心円形状に形成されている。このように、円板2を断面凹凸状の同心円形状に形成することで、十分な剛性を確保することができる。
尚、図1に示す3箇所の6aは、取付孔6の周囲に設けられた係止溝であって、回転軸の周囲に設けられた係止片(図示せず)が係止されることによって、抑え板1は、回転駆動する回転軸と一体となって回転することができる。
図2に示す実施形態では、円板2を構成する取付孔周辺部3、中間部4、および外縁部5の板厚は、全て同じ厚みであり、回転体8に面接触する取付孔周辺部3と外縁部5の回転体8側の一側面が平坦面3b,5bとなっている。図2に示す実施形態では、取付孔周辺部3、中間部4、および外縁部5の断面形状は、全て直線状であるが、中間部4の断面形状は、必ずしも直線状でなくても良く、例えば回転体8側やその逆側に膨らむ円弧状等の曲線状であっても良い。また、図3および図4に示すように、取付孔周辺部3の内周側に補強のためにリブ9が形成されていても良いが、図4に示す実施形態の場合は、リブ9の長さは回転体8に当接するまでの長さであることを条件とする。
尚、この抑え板1は、金属製、樹脂製等の非磁性材料で、強度を確保できる材料であればどのような材質のもので形成されていても良いが、抑え板1をモータのエンドプレートとして用いる場合は、特に、アルミニウム板材で形成されていることが望ましい。また、回転時の塑性変形防止という観点からは、そのアルミニウム板材の0.2%耐力は高い方が望ましい。更には、プレス切断時に反りが生じにくく、平坦面3b,5bを形成しやすいことを考慮すれば、AA乃至JIS規格に規定された3000系、5000系、或いは6000系等のアルミニウム材料でなる冷間圧延材で形成されていることが最も望ましい。
抑え板1がアルミニウム合金材料でなる冷間圧延材で形成されておれば、他の金属材料で抑え板1を製造する場合と比較して軽量化を図ることができる。また、抑え板1をモータのエンドプレートとして用いる場合は、アルミニウム自体が非磁性材料であるため、磁力線の漏れを抑制できるという付加価値効果も得ることができる。
本発明の構成要件のうち、最も重要な要件は、円板2の取付孔周辺部3の外周側位置3aを配置する位置である。この取付孔周辺部3の外周側位置3aを適切な位置に配置することで、回転体8の回転速度(回転数)が上昇しても、外縁部5によりその回転体8に十分な拘束力を加えることができる。
円板2の取付孔周辺部3の外周側位置3aを配置する位置を、円板2の外周直径と内周直径の相乗平均値よりも内周側にすると、外縁部5から回転体8に加える拘束力が非常に小さくなり、その取付孔周辺部3の外周側位置3aを、更に、内周側に配置すると、抑え板1自体がその回転運動に伴って、回転体8とは逆方向に反ってしまい、目的とする拘束力が全く得られなくなってしまう。従って、本発明では、円板2の取付孔周辺部3の外周側位置3aを配置する位置は、円板2の外周直径と内周直径の相乗平均値よりも外周側の位置とした。
また、抑え板1による拘束力は、抑え板1を回転運動させた時の径方向応力σrに起因して発現する。この径方向応力σrは、円板2の外周直径と内周直径の相乗平均値の位置で最大値となり、この位置より外周側では、円板2の外周側に向かうにつれ、おおむね単調に減少し、円板2の最外周では0になる。少なくとも、最大値の50%以上の径方向応力σrを得るための条件は、円板2の外周直径Dと内周直径Dを用いて次式で計算される直径計算位置Dに、配置することである。
Figure 0005452315
また、円板2の取付孔周辺部3の外周側位置3aを配置するより好ましい位置は、円板2の取付孔周辺部3の外周側位置Dと前記円板の内周直径Dの差が、前記円板の外周直径Dと内周直径Dの差の、0.45〜0.68倍の範囲に収まる位置である。
Figure 0005452315
以下、円板2の取付孔周辺部3の外周側位置3aを配置する位置を、上記のように限定した更に詳細な理由を説明する。
図5は、本発明の回転体の抑え板を回転運動させた時の径方向応力σr分布(濃い方がσrが大きいことを示す。)と、回転時の円板2の取付孔周辺部3、中間部4、および外縁部5の変形形態の分析結果を示す説明図である。先に説明したように、本発明に係る回転体8の抑え板1を構成する円板2は、取付孔周辺部3、中間部4、および外縁部5からなり、取付孔周辺部3と外縁部5は、その一側面に形成された平坦面3b,5bで回転体8と面接触している。また、この抑え板1と回転体8は、取付孔6に挿通する回転軸を中心軸として同一方向に回転運動する。
その回転に伴い、取付孔周辺部3では、遠心力に起因する径方向応力σrが加わり、中間部4との間に段差7が形成されていることで、曲げモーメントM1が加わる。取付孔周辺部3は、この曲げモーメントM1により、図5の上方向に凹形状になるように変形する。
一方、中間部4では、この取付孔周辺部3の変形を抑えるために、回転体8から加わる反力Pによる曲げモーメントM1と、遠心力に起因する径方向応力σrと外縁部5との間の段差7に起因する逆方向の曲げモーメントM2が生じ、中間部4は、図5の上方向に凸形状になるように変形する。
ここで、段差7が形成されていない単なる平板状の円板2を仮定すると、円板中心から径方向に半径D/2離れた位置における円周方向応力σθと、径方向応力σrは、理論的に次に示す式で求めることができる。
Figure 0005452315

Figure 0005452315

Figure 0005452315

以上の3式で、νはポアソン比、ρは素材の密度、ωは回転速度、gは重力加速度である。
図2に示すように、円板2の直径(円板2の外周径)をDとし、その中心に形成された取付孔6の直径(円板2の内周径)をDとすると、径方向応力σrおよび円周方向応力σθの理論計算値は、円板2の各直径位置において、図6の(a)および(b)で示す表のようになる。尚、これらの表において、縦横軸は夫々無次元化している。
図6の(a)および(b)の表を比較すると、円周方向応力σθは、径方向応力σrに比べて相対的に高い値を示しており、円板2の内周縁(取付孔6の外周側)で最大値となっている。このため、回転する円板2の塑性変形開始条件は、円板2の内周縁の円周方向応力σθに依存することになる。また、板厚が一定の円板2の場合、円周方向応力σθは円板2の板厚に依存せず、円板2の直径(円板2の外周径)に大きく依存することが分かる。
本発明の回転体の抑え板は、取付孔周辺部3の外周側位置3aを適切な位置に配置することを要件としており、その配置位置を変更しても、抑え板1の塑性変形開始条件には、大きく影響しないことが分かる。
一方、径方向応力σrは、円板2の直径(円板2の外周径)Dと、その中心に形成された取付孔6の直径(円板2の内周径)Dの、相乗平均値となる位置で最大値を示し、これより内周側(中心側)の位置では急減することが分かる。外縁部5における回転体8に加える拘束力を高くするには、曲げモーメントM1を大きくすることが有効であり、取付孔周辺部3と中間部4の境界の段差7、および径方向応力σrを大きくすることが有効であるということができる。
しかしながら、取付孔周辺部3と中間部4の境界の段差7を大きくすることは、抑え板1の板厚方向のスペース増大、抑え板1の重量増加につながるため、省スペース等の観点であまり好ましい対策でないということができる。
一方、取付孔周辺部3の外周側位置3aを適切な位置に配置し、径方向応力σrを最大値に極力近づけることで、曲げモーメントM1を大きくすれば、スペース制約や重量増加を最小限に抑えて、回転体8に加える拘束力を高くすることができるといえる。
以上説明した内容をまとめると、取付孔周辺部3の外周側位置3aを、取付孔6が中心に形成された円板2の外周直径と内周直径の相乗平均値の位置に配置した場合に、遠心力に伴う径方向応力σrが最も大きくなることが分かる。逆に、取付孔周辺部3の外周側位置3aを、円板2の外周直径と内周直径の相乗平均値の位置より内周側に配置すると、急激に径方向応力σrが減少することから、バラツキも考慮すれば、取付孔周辺部3の外周側位置3aは、円板2の外周直径と内周直径の相乗平均値の位置より外周側に配置すれば良いことが分かる。
円板2の径方向応力σrは、円板2の外周側に向かうにつれ、おおむね単調に減少し、円板2の最外周では0になる。少なくとも、最大値の50%以上の径方向応力σrを得るための取付孔周辺部3の外周側位置3aは、先に式で示した径方向応力σrの理論解を用いて、次式のように定まる。
Figure 0005452315
円板2の外縁部5による回転体8に対する拘束力は、この径方向応力σrに起因する曲げモーメントM1に加えて、取付孔周辺部3の曲げ剛性と中間部4の変形剛性による影響も受ける。すなわち、取付孔周辺部3の径方向の長さが長くなるほど、図6の上方向に凹形状になる曲げモーメントM1を受けることによる取付孔周辺部3の変形が生じやすくなり、逆に、取付孔周辺部3の径方向の長さが短くなると、中間部4が図6の上方向に凸形状になる曲げモーメントM2を受けることによる取付孔周辺部3の変形が生じやすくなる。
また、取付孔周辺部3の外周側位置3aの、取付孔周辺部3および中間部4の変形剛性に対する影響と、その取付孔周辺部3の外周側位置3aに加わる曲げモーメントM1に対する影響を考慮した場合、円板2の外縁部5による回転体8に対する拘束力は、取付孔周辺部3の外周側位置3aを、円板2の外周直径と内周直径の相加平均値の位置に配置することで最も高くなることが分かる。
また、円板2の外縁部5による回転体8に対する拘束力は、取付孔周辺部3の外周側位置3aを、円板2の外周直径と内周直径の相加平均値よりも内周側に配置する場合に比べて、外周側に配置する方が、低下しにくい。抑え板1自体の製造バラツキなどを考慮し、最大値の少なくとも8割以上の拘束力が得られる条件を適正範囲とすれば、円板2の取付孔周辺部3の外周側位置3aを配置するより好ましい位置は、円板2の取付孔周辺部3の外周側位置DDと前記円板の内周直径Dの差が、前記円板の外周直径Dと内周直径Dの差の、0.45〜0.68倍の範囲に収まる位置が望ましい位置といえる。以上の理由については、実施例の欄で詳細に説明する。
Figure 0005452315
円板2の外縁部5の平坦面5bは、回転体8の外周部に拘束力を加えるために設けられている。そのため、円板2の外周径は、回転体8の外周径となるべく一致させることが望ましい。また、この円板2の外縁部5による拘束力は、外縁部5の内周側の部位から最も強く加わるので、外縁部5の径方向の長さ(幅)を長くし、平坦面5bをあまり広くとりすぎると、拘束力を大きく加える位置が、回転体8の外周部より内側になってしまう。回転体8に拘束力を加える目的は、回転体8の外周部分を強固に支持することであり、その意味で、外縁部5の径方向の長さ(幅)は必要最低限とすることが望ましい。円板2の大きさ、厚みにもよるが、具体的には2〜10mm程度である。
次に、本発明の異なる実施形態を、図7〜9に基づいて詳細に説明する。尚、図7〜9は、夫々本発明の異なる実施形態を示し、夫々異なる形状の抑え板を用いて回転体に拘束力を加える状態を示す回転体を含めた図1のA−A線断面図である。
図7に示す実施形態の抑え板1も、円板2で構成されている。この円板2も、回転体8に面接触する平坦面3aを有する円環板状の取付孔周辺部3と、その円環板状の取付孔周辺部3の外周側に段差7を介して連続し、回転体8には接触しない円環板状の中間部4と、その円環板状の中間部4の外周側に段差7を介して連続し、回転体8に接触する平坦面5aを有する円環板状の外縁部5とよりなる断面凹凸状の同心円形状に形成されており、以上の構成は、先に示した図2に示す実施形態と同様である。
図7に示す実施形態が、図2に示す実施形態と異なるのは、取付孔周辺部3と中間部4の断面形状、すなわち、板厚である。取付孔周辺部3の板厚は、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に薄くなるように形成されており、内周側位置3cより外周側位置3aの方が板厚が薄い。一方、中間部4の板厚は、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に厚くなるように形成されており、内周側位置4cより外周側位置4aの方が板厚が厚い。
この実施形態の最大の特徴は、取付孔周辺部3の板厚が、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に薄くなるように形成されていることである。取付孔周辺部3の板厚をこのように構成すると、取付孔周辺部3の変形剛性が低くなり、取付孔周辺部3の外周側が回転体8の方向に曲がる曲げ変形が生じやすくなる。
また、中間部4の板厚は、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に厚くなるように形成されているが、その理由は、逆にその内周側より外周側の板厚が薄い場合は、抑え板1の回転時の遠心力を低下させてしまい、回転体8に加える拘束力が低下してしまうためである。
また、この実施形態では、中間部4の外周側位置4aの板厚が、取付孔周辺部3の外周側位置3aの板厚よりも厚い。中間部4の外周側位置4aの板厚と取付孔周辺部3の外周側位置3aの板厚を、このような関係とすることで、抑え板1の回転時の遠心力が増加し、外縁部5による回転体8に対する拘束力を増加させることができる。尚、中間部4の外周側位置4aの板厚が、取付孔周辺部3の外周側位置4aの板厚と少なくとも同等の厚みであれば、外縁部5による回転体8に対する拘束力を増加させることができる。
また、この図7に示す実施形態の抑え板1の板厚は、取付孔周辺部3の内周側位置3cの板厚、中間部4の外周側位置4aの板厚、外縁部5の板厚が、全て最大の厚みであるが、その理由は、図2に示す実施形態の抑え板1の製造に用いた板材と同じ材料でなる板材を用いて加工したためである。この図7に示す実施形態においては、取付孔周辺部3および中間部4の板厚加工は、切削加工で行われるため、抑え板1の質量は、板厚加工を施さない図2に示す実施形態の抑え板1に比べ、切削加工で除去した肉厚分だけ軽量化することができる。
図8に示す実施形態の抑え板1は、図7に示す実施形態の抑え板1と同様に、取付孔周辺部3の板厚は、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に薄くなるように形成されているが、中間部4の板厚は、全て均一の厚みである。この図8に示す実施形態の抑え板1では、切削加工は、取付孔周辺部3にしか施さないため、図7に示す実施形態の抑え板1と比較して、切削加工に要する手間、コストを低減することができる。
図9に示す実施形態の抑え板1は、図8に示す実施形態の抑え板1と同様に、取付孔周辺部3の板厚が、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に薄くなるように形成されているが、その加工は切削加工ではなく、冷間鍛造などのプレス成形によって施されている。
この図9に示す実施形態の抑え板1も、図2に示す実施形態の抑え板1の製造に用いた板材と同じ材料の板材を用いて加工されるが、取付孔周辺部3の板厚は、その内周側の板厚が加工前の板材の板厚より厚く形成されに、その外周側の板厚が加工前の板材の板厚より薄く形成される。このような加工を施した場合、取付孔周辺部3の内周側位置3cの板厚が厚くなるので、その内周側位置3cの応力を更に低減することができる。
尚、図7〜9の実施形態は、取付孔周辺部3の板厚を、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に薄くなるように形成し、更に、図7の実施形態は、中間部4の板厚を、その内周側から外周側に向かうに伴い、徐々に厚くなるように形成したものであるが、それらの板厚は、必ずしも一方側から他方側に向かい徐々に薄くなるように形成する必要はなく、例えば、図10および図11に示すように、段状或いは部分的に傾斜を設けて加工形成されていても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
本発明が対象とする回転体の抑え板を、図12に示すように、軸対照要素でモデル化し、回転運動時の外縁部と回転体の面接触部における反力(端部拘束力)Pを求めた。尚、回転体は、剛体壁でモデル化しており、取付孔周辺部との面接触部と、外縁部との面接触部に分割して配置し、回転運動時の外縁部と回転体の面接触部における端部拘束力Pについて調査した。
この実施例1では、取付孔周辺部の外周側位置である取付孔周辺部の外周直径Dを円板の径方向の様々な位置に配置することで、適正な端部拘束力Pを得ることができる位置の範囲を調査した。参考ではあるが、回転運動時の塑性開始条件についても、最大MISES応力で評価した。
また、この解析では、円板はアルミニウム合金材料で形成したことを想定し、その弾性率は68600MPa、ポアソン比を0.3とした。その他の各解析条件は表1に示す。尚、取付孔周辺部の内周縁の拘束は全てない。解析には、汎用の静的陰解法ソフトABAQUSを用いた。
Figure 0005452315
解析で得られた回転角速度(回転数)ωと最大MISES応力の関係を図13に、回転角速度(回転数)ωと端部拘束力Pの関係を図14に夫々示す。これら図13および図14に示す解析結果によると、最大MISES応力と端部拘束力Pは共に回転角速度(回転数)ωに応じて増加するが、取付孔周辺部の外周側位置の配置位置が影響を与えるのは、端部拘束力Pについてのみであることが分かる。
また、回転角速度20000rpmにおける取付孔周辺部の外周側位置(取付孔周辺部の外周直径)Dの違いに対する最大MISES応力(MPa)と端部拘束力P(N)の変化を、夫々図15と図16に示す。図15に示すように、最大MISES応力は、取付孔周辺部の外周側位置Dの配置によって変化することはなく、回転運動に伴う塑性変形開始条件には影響しないことがわかる。一方、端部拘束力Pは、図16に示すように、取付孔周辺部の外周側位置Dの配置によって変化しており、取付孔周辺部の外周側位置Dが109mm前後で最大値を示し、それよりもDの値が大きくなっても小さくなっても、端部拘束力Pは減少することが分かる。
取付孔が中心に形成された円板の外周直径Dと内周直径Dの差に対する取付孔周辺部の外周側位置Dと円板の内周直径Dの差の比と、端部拘束力Pの関係を図17に示す。また、図17には、円板の外周直径Dと内周直径Dの相乗平均位置についても同様に整理して示す。図17によると、端部拘束力Pは、取付孔周辺部の外周側位置Dを、円板の外周直径Dと内周直径Dの相乗平均値よりも外周側に配置することで、確実な端部拘束力Pが得られていることが分かる。また、取付孔周辺部の外周側位置Dを、円板の取付孔周辺部の外周側位置Dと円板の内周直径Dの差が、円板の外周直径Dと内周直径Dの差の、0.45〜0.68倍の範囲に収まる位置に形成することで、端部拘束力Pはその最大値の80%以上になることが分かる。
(実施例2)
実施例2でも実施例1と同様に、本発明が対象とする回転体の抑え板を、図12に示すように、軸対照要素でモデル化し、回転運動時の外縁部と回転体の面接触部における反力(端部拘束力)Pを求めた。尚、回転体は、剛体壁でモデル化しており、取付孔周辺部との面接触部と、外縁部との面接触部に分割して配置し、回転運動時の外縁部と回転体の面接触部における端部拘束力Pについて調査した。
実施例2では、取付孔周辺部の板厚を、その内周側より外周側を薄く形成し、取付孔周辺部の板厚を均一な厚みとした基準例(No.1)と比較することで、更に適正な端部拘束力Pを得ることができるか調査した。
実施例2でも、解析では、円板はアルミニウム合金材料で形成したことを想定し、その弾性率は68600MPa、ポアソン比を0.3とした。その他の各解析条件は表2に示す。尚、取付孔周辺部の内周縁の拘束は全てない。解析には、汎用の静的陰解法ソフトABAQUSを用いた。
Figure 0005452315
解析で得られた回転角速度(回転数)ωと端部拘束力Pの関係を図18に示す。この結果によると、付孔周辺部の板厚を、その内周側より外周側を薄く形成する(No.2〜4)ことで、取付孔周辺部の板厚を均一な厚みとした基準例(No.1)より、高い端部拘束力Pが得られることを示している。
1…抑え板
2…円板
3…取付孔周辺部
3a…外周側位置
3b…平坦面
3c…内周側位置
4…中間部
4a…外周側位置
4c…内周側位置
5…外縁部
5b…平坦面
6…取付孔
6a…係止溝
7…段差
8…回転体
9…リブ

Claims (9)

  1. 回転軸が挿通される取付孔が中心に形成され前記回転軸と一体となって回転すると共に、その一側面側に配置される回転体に接触してその回転体に拘束力を加える円板よりなる回転体の抑え板であって、
    前記円板は、前記回転体に接触する平坦面を有する取付孔周辺部と、その取付孔周辺部の外周側に段差を介して連続し前記回転体には接触しない中間部と、その中間部の外周側に段差を介して連続し前記回転体に接触する平坦面を有する外縁部とよりなる断面凹凸状の同心円形状に形成されており、
    前記取付孔周辺部の外周側位置Dが、前記円板の内周直径をD、外周直径をDとしたとき次式を満足する位置に配置されていることを特徴とする回転体の抑え板。
    Figure 0005452315
  2. 前記取付孔周辺部の外周側位置Dと前記円板の内周直径Dの差が、前記円板の外周直径Dと内周直径Dの差の、0.45〜0.68倍であることを特徴とする請求項1記載の回転体の抑え板。
  3. 前記取付孔周辺部、中間部、および外縁部の板厚は、全て同じ厚みであることを特徴とする請求項1または2記載の回転体の抑え板。
  4. 前記取付孔周辺部の板厚は、その内周側より外周側が薄く形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の回転体の抑え板。
  5. 前記中間部の外周側位置の板厚が、取付孔周辺部の外周側位置の板厚と同等以上の厚みであることを特徴とする請求項4記載の回転体の抑え板。
  6. 前記中間部の板厚は、その内周側より外周側が厚く形成されていることを特徴とする請求項4または5記載の回転体の抑え板。
  7. 前記円板は冷間鍛造で成形加工されており、前記取付孔周辺部の板厚は、その内周側の板厚が加工前の板厚より厚く形成されていると共に、その外周側の板厚が加工前の板厚より薄く形成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の回転体の抑え板。
  8. 前記円板はモータのエンドプレートであって、前記回転体は積層されたモータのロータコアであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の回転体の抑え板。
  9. 前記円板は、アルミニウム合金材料の冷間圧延材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の回転体の抑え板。
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