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JP5453782B2 - 鋳造解析装置および鋳造解析方法 - Google Patents
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JP5453782B2 - 鋳造解析装置および鋳造解析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造方案の設計や金属溶湯の評価などに利用することができる鋳造解析装置および鋳造解析方法に関するものである。
鋳造は、金属部材を製造する一般的な方法である。鋳造では、金属溶湯が接触する鋳型の表面からの抜熱により凝固が進行する。このとき、ガス欠陥、引け巣、溶質元素の偏析などの鋳造欠陥が、鋳物の内部に発生することがある。鋳造欠陥は破壊起点となるため、鋳物の品質上問題とされる。このような欠陥は、後の塑性加工により完全に除去することが困難であるため、鋳造により高品質な鋳物を製造する必要がある。そこで、鋳型内における金属溶湯の状態を把握し、鋳物内部での鋳造欠陥の発生を抑制できる鋳型を設計することが望まれている。
鋳型内に供給される金属溶湯をX線で撮影してキャビティ内の湯流れを観察する技術は、既にある。たとえば、特許文献1では、鋳型内に供給される金属溶湯に、金属溶湯とは異なるX線透過特性をもつトレーサ粒子を混入して、X線解析装置を用いて溶湯金属の湯流れを可視化している。また、非特許文献1では、高輝度放射光施設(SPring−8)を用い、厚さ100μmの薄膜状の金属溶湯に対して凝固中の核形成・成長を観察している。
特開2007−54873号公報 安田(H.Yasuda)、他8名,「核形成、分断および微細組織変化 (In-situ observation of nucleation, fragmentation and microstructure evolution)」,第10回アジア鋳物会議予稿集(Proceedings of 10th Asian Foundry Congress),2008年5月,p.145−148
特許文献1では、鋳型内での金属溶湯の湯流れを観察できるものの、液相から固相への変化を捉えることはできない。これは、そもそも特許文献1では液相と固相とを判別することを目的としていないからである。湯流れを観察するだけであれば、トレーサ粒子、金属溶湯および気相のコントラストが明確であればよいため、鋳造時に実際に使用する鋳型にX線を照射するだけで、判別可能である。しかし、そのような観察条件では、金属溶湯の凝固状態を観察することは無理である。
一方、非特許文献1では、液相から固相への変化を観察することが可能である。しかし、SPring−8では平行度の高いX線を広い領域に照射することができないため、狭い範囲でしか観察を行うことができない。つまり、SPring−8の利用は、微細構造の観察には好適であるが、巨視的な凝固状態を観察するには不適である。また、SPring−8は極めて特殊な施設であるため、製品の鋳造に用いられる鋳型の解析や金属溶湯の評価などに簡易に使用できないという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、一般的なX線源を用いて鋳造における金属溶湯の凝固状態を観察することができる鋳造解析装置および鋳造解析方法を提供することを目的とする。
本発明の鋳造解析装置は、X線源をもつX線照射手段と、
前記X線照射手段より照射されるX線が透過するとともに金属溶湯が充填されるキャビティをもちX線が透過する方向に対して直交する方向に該金属溶湯を凝固させる解析用鋳型と、
前記解析用鋳型を挟んで前記X線照射手段の反対側に設置され前記解析用鋳型を透過したX線を画像として検出するX線検出手段と、
を備え、前記解析用鋳型は、前記X線照射手段に対向する正面壁と、該X線検出手段と対向する背面壁と、該正面壁および該背面壁とともに前記キャビティを区画する側壁と、からなり該正面壁および該背面壁の熱伝導率は該側壁の熱伝導率よりも低く、
前記X線検出手段で得られた透過X線像の少なくとも固相と液相とのX線透過率の違いに起因する明るさの違いから前記金属溶湯の凝固状態を二次元的に解析することを特徴とする。
なお、具体的に「凝固状態」とは、固相の晶出量や固相率などで表される凝固の進行度合、固液界面(凝固界面)の位置、固相の晶出時期、鋳巣の形成過程、金属溶湯に含まれる溶存ガスに起因する気泡の発生、などを含む。
既に述べたように、従来、鋳型内の金属溶湯の凝固状態を解析するという考えは、そもそもなかった。本発明者等は、凝固過程において固相が増加するにつれて、透過X線像が暗くなることに着目した。そこで、金属溶湯を凝固させる解析用鋳型の構成を、透過X線像により金属溶湯の凝固状態を解析するのに適した構成とした。すなわち、本発明の鋳造解析装置は、X線が透過する方向に対してほぼ直交する方向に金属溶湯を凝固させる解析用鋳型を備える。凝固の進行方向はX線の透過方向に対してほぼ直交するため、透過X線像により凝固状態を二次元的に観察できる。特に、解析用鋳型の寸法および材質の少なくとも一方を好適な範囲で使用することにより、鮮明な透過X線像が得られるとともに、X線の透過方向への凝固が良好に抑制され二次元的な観察に好適となる。
なお、金属溶湯の凝固過程において固相が増加するにつれて透過X線像が暗くなるのは、液相と固相との密度差に起因する。液相の密度よりも固相の密度の方が高いため、固相が多く存在するほどX線は透過しにくくなる。そのため、透過X線像の明るさの違いから金属溶湯の凝固状態、特に、凝固の進行度合、固液界面(凝固界面)の位置、固相の晶出時期、などを解析することが可能となる。
さらに、前記X線検出手段で得られた前記透過X線像の少なくとも一部から明度を算出する明度算出手段を備えるとよい。明度算出手段により金属溶湯の凝固状態を数値化できるため、さらに詳細な凝固解析が可能となる。さらに、前記明度算出手段で算出された明度が閾値を超えたときに前記金属溶湯の清浄度を判定する判定手段を備えるとよい。
また、本発明は、上記本発明の鋳造解析装置を用いた鋳造解析方法と捉えることもできる。すなわち本発明の鋳造解析方法は、解析用鋳型に充填された金属溶湯をX線により解析する鋳造解析方法であって、
本発明の鋳造解析装置の前記解析用鋳型に前記金属溶湯を注湯する注湯工程と、
前記解析用鋳型にX線を照射するX線照射工程と、
前記X線照射工程と並行してX線が透過する方向に対して直交する方向に前記解析用鋳型に充填された前記金属溶湯を凝固させる凝固工程と、
前記X線照射工程と並行して前記解析用鋳型を透過したX線を画像として検出するX線検出工程と、
前記X線検出工程で得られた透過X線像の少なくとも固相と液相とのX線透過率の違いに起因する明るさの違いから前記金属溶湯の凝固状態を解析する凝固解析工程と、
を含むことを特徴とする。
以下に、本発明の鋳造解析装置および鋳造解析方法を実施するための最良の形態を説明する。
[鋳造解析装置]
本発明の鋳造解析装置は、主として、X線照射手段、解析用鋳型およびX線検出手段を備える。そして、X線検出手段で得られた透過X線像の明るさの違いから金属溶湯の凝固状態を解析する。本発明の鋳造解析装置により解析される金属溶湯としては、X線を透過しやすいアルミニウム合金またはマグネシウム合金が好適である。
X線照射手段は、X線源をもつ。X線照射手段は、一般的なX線源をもち透視写真法に用いることができ、工場などに設置可能な簡易なものであればよい。あえて規定するのであれば、X線を発生させる加速電圧が50keV〜200keVである。加速電圧が高すぎると透過X線像にコントラストが付きにくく、固相と液相との差が明確に表れないため、金属溶湯の凝固状態を解析するのに不適である。
解析用鋳型は、X線照射手段より照射されるX線が透過する。そのため、解析用鋳型は、X線が透過しやすい寸法および材質からなるのが好ましい。解析用鋳型は、X線照射手段に対向する正面壁およびX線検出手段(後述)と対向する背面壁をもち、正面壁および背面壁は80keVの加速電圧で発生するX線に対する質量吸収係数μ/ρが0.25cm/g以下さらには0.1〜0.2cm/gである材料からなるとよい。質量吸収係数が0.25cm/gを超えると、解析用鋳型を透過するX線が十分ではなく、金属溶湯の凝固状態を解析するのに十分な透過X線像が得られないため好ましくない。具体的には、黒鉛(0.160cm/g)、珪酸カルシウム(ニチアス株式会社製ルミボード:0.242cm/g)、アルミナ(0.185cm/g)、ムライト(0.187cm/g)等が挙げられる。なお、括弧内の質量吸収係数μ/ρは、いずれも80keVの加速電圧で発生するX線に対する値である。
正面壁および背面壁のX線が透過する方向の厚さに特に限定はないが、正面壁、背面壁ともに1〜20mmさらには5〜15mmであるとよい。厚さが20mmを超えると解析用鋳型を透過するX線が十分ではなく、金属溶湯の凝固状態を解析するのに十分な透過X線像が得られないため好ましくない。そのため、正面壁および背面壁の厚さは薄い方が好ましいが、1mm未満では金属溶湯を保持するための強度が不足するため好ましくない。なお、正面壁および背面壁の厚さは均一であるのが好ましい。
また、解析用鋳型は、金属溶湯が充填されるキャビティをもちX線が透過する方向に対してほぼ直交する方向に金属溶湯を凝固させる。換言すれば、解析用鋳型では、X線の透過方向への凝固が抑制される。この構成により、透過X線像により金属溶湯の凝固状態を二次元的に解析することが可能となる。解析用鋳型は、X線照射手段に対向する正面壁と、X線検出手段と対向する背面壁と、正面壁および背面壁とともにキャビティを区画する側壁と、からなるとよい。このとき、正面壁および背面壁の熱伝導率を側壁の熱伝導率よりも低くすることで、X線の透過方向への凝固が効果的に抑制される。具体的には、断熱材からなる正面壁および背面壁、金属のなかでも熱伝導性の高い銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる金属製の側壁、を使用するとよい。断熱材としては、X線を透過しやすい黒鉛や珪酸カルシウムが使用可能である。あるいは、側壁を強制的に冷却して、X線が透過する方向に対してほぼ直交する方向へ、金属溶湯の凝固を促進させてもよい。このとき、側壁が、熱伝導率の高い材質からなれば、さらに効果的である。
また、解析用鋳型のキャビティは、X線が透過する方向の厚さが3〜20mmさらには5〜15mmであるとよい。3mm未満では、X線の透過方向への凝固が支配的となりやすく、凝固状態を観察するのに不適である。一方、20mmを超えると、解析用鋳型を透過するX線が十分ではなく、金属溶湯の凝固状態を解析するのに十分な透過X線像が得られないため好ましくない。なお、キャビティの厚さは均一であるのが好ましい。
解析用鋳型は、さらに、前述のように側壁を冷却するための冷却手段、溶湯の温度を測定する温度測定手段、などを備えてもよい。温度測定手段で所定の位置の温度を測定することで、その位置での固相率を算出し、透過X線像と比較検討することも可能である。
X線検出手段は、解析用鋳型を挟んでX線照射手段の反対側に設置され、解析用鋳型を透過したX線を画像として検出する。X線検出手段の具体例として、イメージインテンシファイア(I.I.)が挙げられる。I.I.は、微弱な光でも検知し増幅して、コントラストの高い像として可視化することが可能である。さらに、X線検出手段は、検出した透過X線像を断続的あるいは連続的に撮影する撮影装置を備えてもよい。
X線検出手段で検出された透過X線像から、金属溶湯の凝固状態を解析することが可能である。前述のように、凝固が進行して金属溶湯に固相が多く存在すると、X線は透過しにくくなる。つまり、固相と液相とでは、X線透過率が異なる。そのため、透過X線像の明るさから、金属溶湯の凝固状態を解析することができる。具体的には、解析用鋳型全体の透過X線像のコントラストから固液界面がわかるため、透過X線像を連続的に解析することで、凝固の過程を観察することができる。また、固相と液相とのコントラストに加え、金属と気相とのコントラストも明確に得られるため、鋳巣の発生挙動の直接観察も可能である。したがって、本発明の鋳造解析装置は、鋳造方案の設計に好適である。
さらに、X線検出手段で得られた透過X線像の少なくとも一部から明度を算出する明度算出手段を備えるのが好ましい。明度算出手段により金属溶湯の凝固状態を数値化するには、たとえば、解析用鋳型を透過したX線をMビット(bit:Mは整数)で受光して画像とすればよい。あるいは、透過X線像がアナログデータであれば、Mビット(bit:Mは整数)のデジタルデータに変換すればよい。これにより明度は2階調で表され、数値が大きいほど明るい。Mの値としては、10以上16以下が好ましい。10bit未満では、固相と液相とのコントラストが明確に得られないことがある。ここで、金属溶湯の凝固状態を解析するのに好適なコントラストは、共晶相の晶出前後での明度差がMビットで2M−8以上さらには1.25×2M−8以上(12bitで16以上さらには20以上)であるとよい。共晶相の晶出前後での明度差が2M−8未満では、透過X線を受光するときに生じる明度の「ゆらぎ」に埋もれて明度差が認識できないことがあるためである。また、Mの値が大きい方が透過X線像に即した正確なデータが得られるが、16bitを超えると得られるデータサイズが大きくなるため好ましくない。なお、透過X線をデジタル処理することで、各種ソフトウェアを用いた鋳造解析が可能となる。
さらに、明度算出手段で算出された明度が閾値を超えたときに金属溶湯の清浄度を判定する判定手段を備えるのが好ましい。判定手段により判定される金属溶湯の清浄度とは、金属溶湯に含まれるガス量である。金属溶湯に溶存ガスが存在すると、凝固の進行中に気泡となって発生する。気泡の発生が多い、つまり溶存ガス量が多い金属溶湯は、鋳造には不適である。液相に気泡が発生すると、透過X線像の明度は高くなることから、溶湯清浄度の判定が可能となる。なお、液相から固相への相変態に起因する引け巣が発生しても、透過X線像の明度は高くなる。しかし、本発明の鋳造解析装置であれば、透過X線像を経時的に観察することで、明度の上昇の原因となった空隙が、液相中に発生した気泡であるのか、引け巣であるのか、を判別することは容易である。
また、本発明の鋳造解析装置を用いることで、鋳造時に実際に使用する鋳型(製造用鋳型)の内部における凝固状態を解析することが可能となる。具体的には、解析用鋳型のX線の透過する方向に垂直の断面を、鋳物を製造する製造用鋳型の一部である解析部位の断面と同一の形状とする。解析用鋳型は、既に述べたように、X線の透過方向への凝固が抑制される。そのため、解析用鋳型では解析部位における凝固過程が再現され、X線検出手段で得られた透過X線像の明るさから、製造用鋳型の内部での金属溶湯の凝固状態を解析することができる。したがって、製造用鋳型全体の凝固状態を解析したい場合には、製造用鋳型の各位置に対応する断面形状の複数の解析用鋳型を作製する。複数の解析用鋳型を準備して本発明の鋳造解析装置により金属溶湯の凝固状態を解析することで、製造用鋳型における凝固状態を三次元的に捉えることが可能となる。
[鋳造解析方法]
本発明の鋳造解析方法は、解析用鋳型に充填された金属溶湯をX線により解析する鋳造解析方法であって、主として、注湯工程、X線照射工程、凝固工程、X線検出工程および凝固解析工程とを含む。
注湯工程は、解析用鋳型に金属溶湯を注湯する工程である。解析用鋳型は、既に述べた通りである。溶湯温度、注湯速度など、注湯する条件は適宜選択すればよい。
X線照射工程は、解析用鋳型にX線を照射する工程である。X線の照射は、少なくとも注湯工程が終了するまでに、あるいは終了後直ちに開始するとよい。しかし、金属溶湯が解析用鋳型に充填される際の湯流れを観察したい場合には、注湯工程と並行して行ってもよい。
凝固工程は、X線照射工程と並行して、X線が透過する方向に対してほぼ直交する方向に金属溶湯を凝固させる工程である。既に説明した解析用鋳型を用いることで、注湯後の金属溶湯は、X線が透過する方向に対してほぼ直交する方向に凝固する。
X線検出工程は、X線照射工程と並行して解析用鋳型を透過したX線を画像として検出する工程である。また、凝固解析工程は、X線検出手段で得られた透過X線像の少なくとも固相と液相とのX線透過率の違いに起因する明るさの違いから金属溶湯の凝固状態を解析する工程である。X線検出工程および凝固解析工程は、[鋳造解析装置]の欄で既に述べた通りである。
本発明の鋳造解析方法は、さらに、透過X線像の少なくとも一部から明度を算出する明度算出工程、また、明度算出手段で算出された明度が閾値を超えたときに金属溶湯の清浄度を判定する判定工程を含んでもよい。明度算出工程および判定工程は、[鋳造解析装置]の欄で既に述べた通りである。
以上、本発明の鋳造解析装置および鋳造解析方法の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の鋳造解析装置および鋳造解析方法の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
図1は、鋳造解析装置の概略図である。鋳造解析装置は、X線発生器1、解析用鋳型2、イメージインテンシファイア(I.I.)3およびテレビカメラ4を備える。X線発生器1として、X−Tek社(米)製HMX225、I.I.3としてThalesElectronDevices社(仏)製TH49432QX H681 VR33を用いた。X線発生器1およびI.I.3は、解析用鋳型2を挟んで対向して配置されている。つまり、X線発生器1から照射されたX線は、解析用鋳型2を透過し、I.I.3に入力される。テレビカメラ4は、I.I.3によって変換出力された解析用鋳型2の透過X線の光学画像を映像化するため、I.I.3の出力側に配置されている。テレビカメラ4の画像データは12bitのデジタルデータであって、解析用鋳型2を透過したX線は、4096階調(=212階調)の明度により表される。以下に、解析用鋳型2の構成を説明する。
図2および図3は、解析用鋳型2の中央部の断面図である。図2は、X線が透過する方向に対して垂直方向の断面を示す。図3は、X線が透過する方向と平行な断面を示す。解析用鋳型2は、X線発生器1に対向する正面壁21と、I.I.3に対向する背面壁23と、正面壁21および背面壁23とともにキャビティ20を区画する側壁22と、から構成される。正面壁21および背面壁23はともに、110mm×100mm×10mmの黒鉛板である。また、側壁22は、110mm×100mm×10mmの銅板の中央部がキャビティ20の側面22sの形状に合わせて切り抜かれるとともに、その中央部と連通する湯口20aが形成されてなる。さらに、側壁22の周縁部には、冷却水が循環する流路22aが形成されている。正面壁21、側壁22および背面壁23は、X線の透過する方向に順に積層されて固定されている。つまり、正面壁21および背面壁23の対向する面が、キャビティ20を区画する前面21sおよび背面23sとなる。なお、正面壁21、側壁22および背面壁23の寸法よりわかるように、解析用鋳型2は、X線が透過する方向に対して、T=10mmの厚さのキャビティ20、t=10mmの厚さの正面壁21および背面壁23を備える。また、キャビティ20の最大幅は90mm、キャビティ20の最大高さ(湯口20aを含む)は90mmとした。
以上説明した鋳造解析装置を用い、アルミニウム合金の鋳造解析を行った。アルミニウム合金としてAC4CおよびADC12(ともにJIS規格)を準備した。
はじめに、アルミニウム合金の金属溶湯(ADC12:750℃)を、解析用鋳型2へ注湯した。キャビティ20に金属溶湯が充填されたら、X線発生器1(X線管電圧80keV)を作動させ、解析用鋳型2に対してX線の照射を開始した。同時に、I.I.3およびテレビカメラ4を作動させた。また、流路22aに冷却水を循環させることで、キャビティ20に充填された金属溶湯の一方向への凝固を促進した。I.I.3に入力された透過X線は、光学画像に変換出力され、この光学画像をテレビカメラ4により連続的に記録した。
図4に、テレビカメラ4により連続的に記録された透過X線像を示す。なお、図4に示す透過X線像は、凝固の進行とともに連続的に記録された透過X線像のある時点(凝固の途中)での静止画像である。テレビカメラ4の画像では、図4に矢印で示すように、キャビティ20の側面22sからキャビティ20の中央部に向かって暗い領域(固相を多く含む)が、時間の経過とともに広がっていくのが目視により観察された。つまり、上記の鋳造解析装置により、凝固界面が移動するのが観察された。図4において、キャビティ20の側面22s側には暗い領域が見られ、中央に近付くほど明るくなる。中央部にある最も明るい部分は、気相の存在を示し、鋳巣が発生する最終凝固部である。
なお、上記鋳造解析装置において、正面壁21および背面壁23のX線が透過する方向の厚さtまたはキャビティ20のX線が透過する方向の厚さTを変更して同様の透過X線像を撮影したところ、tが20mm以下またはTが20mm以下であれば、凝固界面の移動を目視で容易に観察することができた。また、tが15mm以下またはTが15mm以下であれば、t=10mmかつT=10mmで得られた図4に示す透過X線像と同等の画像が得られた。
次に、得られた透過X線像の所定の部位(キャビティの寸法に換算して5mm×5mm)の範囲の明度を算出した。透過X線像の明度の算出には、米国立衛生研究所製フリーソフトウェアImageJを用いた。固相率に対する明度を図5に示す。なお、固相率は、明度を算出した部位に対応する位置で凝固が進行中の金属溶湯の温度を測定して得られた測定値から算出した。また、同様の解析をAC4Cについても行った。結果を図5にあわせて示す。冷却開始直後(固相率=0)では、ほとんど液相であるため、透過X線像の明度は高かった。しかし、いずれのアルミニウム合金も、固相率が1に近づくにつれて明度が徐々に低下した。なお、ADC12はCuおよびZnを含有するため、透過X線像の明度はAC4Cに比べて全体的に低かった。
また、図6は、ADC12およびAC4Cの固相率に対するX線強度比を示すグラフである。縦軸のX線強度比は、X線を単色X線光と仮定し、固相率に対する晶出物の種類と量に応じた公知のX線吸収率から透過X線量を算出して得たものである。たとえばAC4Cでは、図6のグラフ中に示した金属組織の模式図のように、液相中に初晶Alが晶出後、Al−Si共晶相が晶出して完全に凝固する。初晶AlとAl−Si共晶相とでは密度が異なるため、Al−Si共晶相が晶出しはじめると透過X線量は大きく低下する。すなわち、X線強度比が大きく低下する凝固率0.5程度で共晶相の晶出が開始する。また、ADC12では、AC4Cに比べて初晶Alの晶出量が少ない。そのため、ADC12では、固相率が0.1程度で共晶相の晶出の開始を示す透過X線量の低下が見られる。
ここで、図5と図6とを比較すると、両者はほぼ一致した。つまり、本発明の鋳造解析装置を用いた解析は、理論値にほぼ一致する信頼性の高い解析であった。
次に、正面壁21および背面壁23の厚さをt=24mmにした解析用鋳型2を用いて金属溶湯(ADC12)を凝固させ、同様の解析を行った。結果を図7に示す。なお、図7には、比較のために、図5と同様のADC12の固相率に対する明度を「t=10mm」として示した。図7からわかるように、t=24では、共晶相の晶出前後での明度差が10程度であった。一方、t=10では、共晶相の晶出前後での明度差が20を超えた。また、t=24に比べ、全体的に明度が高かった。すなわち、正面壁および背面壁のX線が透過する方向の厚さtが薄い方が、金属溶湯の凝固状態を透過X線像の明度により観察しやすいことがわかった。
鋳造解析装置の概略図である。 解析用鋳型の中央部の断面図であって、X線が透過する方向に対して垂直方向の断面を示す。 解析用鋳型の中央部の断面図であって、X線が透過する方向と平行な断面を示す。 鋳造解析装置を用いた解析により得られた透過X線像である。 ADC12およびAC4Cの固相率(温度測定より算出)に対する透過X線像の明度(実測値)を示すグラフである。 ADC12およびAC4Cの固相率に対するX線強度比(計算値)を示すグラフである。 ADC12の固相率(温度測定より算出)に対する透過X線像の明度(実測値)を示すグラフである。
符号の説明
1:X線発生器(X線照射手段)
2:解析用鋳型 20:キャビティ 21:正面壁 22:側面壁 23:背面壁
3:イメージインテンシファイア(X線検出手段)

Claims (11)

  1. X線源をもつX線照射手段と、
    前記X線照射手段より照射されるX線が透過するとともに金属溶湯が充填されるキャビティをもちX線が透過する方向に対して直交する方向に該金属溶湯を凝固させる解析用鋳型と、
    前記解析用鋳型を挟んで前記X線照射手段の反対側に設置され前記解析用鋳型を透過したX線を画像として検出するX線検出手段と、
    を備え、前記解析用鋳型は、前記X線照射手段に対向する正面壁と、該X線検出手段と対向する背面壁と、該正面壁および該背面壁とともに前記キャビティを区画する側壁と、からなり該正面壁および該背面壁の熱伝導率は該側壁の熱伝導率よりも低く、
    前記X線検出手段で得られた透過X線像の少なくとも固相と液相とのX線透過率の違いに起因する明るさの違いから前記金属溶湯の凝固状態を二次元的に解析することを特徴とする鋳造解析装置。
  2. さらに、前記X線検出手段で得られた前記透過X線像の少なくとも一部から明度を算出する明度算出手段を備える請求項1記載の鋳造解析装置。
  3. さらに、前記明度算出手段で算出された明度が閾値を超えたときに前記金属溶湯の清浄度を判定する判定手段を備える請求項2記載の鋳造解析装置。
  4. 記正面壁および前記背面壁は80keVの加速電圧で発生するX線に対する質量吸収係数が0.25cm/g以下である材料からなる請求項1〜3のいずれかに記載の鋳造解析装置。
  5. 記正面壁および前記背面壁のX線が透過する方向の厚さは、1〜20mmである請求項1〜4のいずれかに記載の鋳造解析装置。
  6. 前記解析用鋳型の前記キャビティは、X線が透過する方向の厚さが3〜20mmである請求項1〜5のいずれかに記載の鋳造解析装置。
  7. 前記正面壁および前記背面壁は断熱材からなり、前記側壁は金属からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の鋳造解析装置。
  8. 前記金属溶湯は、アルミニウム合金またはマグネシウム合金である請求項1記載の鋳造解析装置。
  9. 前記解析用鋳型は、前記金属溶湯の温度を測定する温度測定手段を備える請求項1記載の鋳造解析装置。
  10. 前記解析用鋳型のX線の透過する方向に垂直の断面は、鋳物を製造する製造用鋳型の一部である解析部位の断面と同一の形状をもち、前記X線検出手段で得られた透過X線像の明度から該解析部位における前記金属溶湯の凝固状態を解析する請求項1〜9のいずれかに記載の鋳造解析装置。
  11. 解析用鋳型に充填された金属溶湯をX線により解析する鋳造解析方法であって、
    請求項1〜10のいずれかに記載の鋳造解析装置の前記解析用鋳型に前記金属溶湯を注湯する注湯工程と、
    前記解析用鋳型にX線を照射するX線照射工程と、
    前記X線照射工程と並行してX線が透過する方向に対して直交する方向に前記解析用鋳型に充填された前記金属溶湯を凝固させる凝固工程と、
    前記X線照射工程と並行して前記解析用鋳型を透過したX線を画像として検出するX線検出工程と、
    前記X線検出工程で得られた透過X線像の少なくとも固相と液相とのX線透過率の違いに起因する明るさの違いから前記金属溶湯の凝固状態を二次元的に解析する凝固解析工程と、
    を含むことを特徴とする鋳造解析方法。
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