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JP5454895B2 - 車両用回転電機 - Google Patents
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JP5454895B2 - 車両用回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用回転電機に関する。
従来から、三相インバータ回路に含まれる各スイッチング素子を、他相の相電圧を基準にして所定の遅延時間経過後にオフするようにした車両用三相回転電機用インバータ回路装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このインバータ回路装置では、スイッチング素子のオン時間を電気角で120°〜180°まで変化させるようにオフタイミングの設定が行われる。
特開2004−7964号公報
ところで、特許文献1に開示されたインバータ回路装置では、回転数を考慮してオフタイミングを設定しているが、回転変動があった場合にその変動分までは考慮されていないため、回転変動時のオフタイミングの設定精度が悪いという問題があった。例えば、ある時点の回転数がNであっても、回転数増加中であれば検出した回転数よりもさらに高い回転数に対応したオフタイミングの設定を行う必要があり、反対に、回転数減少中であれば検出した回転数よりもさらに低い回転数に対応したオフタイミングの設定を行う必要がある。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、回転変動時に精度よくスイッチング素子のオフタイミングの設定を行うことができる車両用回転電機を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の車両用回転電機は、2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路を構成し、電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、スイッチング素子のオンオフタイミングを制御する制御部と、相巻線の相電圧が第1しきい値に達した後第2しきい値に達するまでのダイオード通電期間を検出するダイオード通電期間検出部と、相電圧が第1しきい値に達したダイオード通電開始時点を検出するダイオード通電開始時点検出部とを備え、制御部は、第1の相巻線の相電圧を整流する上アームおよび下アームのいずれかに対応するスイッチング素子のオフタイミングを、第1の相巻線自身の相電圧あるいは第1の相巻線とは異なる第2の相巻線の相電圧が第3しきい値を超えた時点から所定時間経過した時点とするとともに、所定時間を2相以上の相巻線のそれぞれに対応する複数のダイオード通電期間の差分に基づいて設定している。ダイオード通電期間の長さやダイオード通電開始時点の位置は回転数に対応しており、2相以上の相巻線に対応するこれらの値を用いることにより、回転変動の程度を予測することが可能になり、精度の高いオフタイミングの設定が可能になる。しかも、このような差分値を用いることにより、回転変動の程度を正確に把握することができる。
また、本発明の車両用回転電機は、2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路を構成し、電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、スイッチング素子のオンオフタイミングを制御する制御部と、相巻線の相電圧が第1しきい値に達した後第2しきい値に達するまでのダイオード通電期間を検出するダイオード通電期間検出部と、相電圧が第1しきい値に達したダイオード通電開始時点を検出するダイオード通電開始時点検出部とを備え、制御部は、第1の相巻線の相電圧を整流する上アームおよび下アームのいずれかに対応するスイッチング素子のオフタイミングを、第1の相巻線自身の相電圧あるいは第1の相巻線とは異なる第2の相巻線の相電圧が第3しきい値を超えた時点から所定時間経過した時点とするとともに、所定時間を2相以上の相巻線のそれぞれに対応する複数のダイオード通電開始時点の間隔の差分に基づいて設定している。ダイオード通電期間の長さやダイオード通電開始時点の位置は回転数に対応しており、2相以上の相巻線に対応するこれらの値を用いることにより、回転変動の程度を予測することが可能になり、精度の高いオフタイミングの設定が可能になる。しかも、このような差分値を用いることにより、回転変動の程度を正確に把握することができる。
また、本発明の車両用回転電機は、2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路を構成し、電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、スイッチング素子のオンオフタイミングを制御する制御部と、相巻線の相電流の極性が反転した時点を電流のゼロクロス点として検出するゼロクロス検出部とを備え、制御部は、第1の相巻線の相電圧を整流する上アームおよび下アームのいずれかに対応するスイッチング素子のオフタイミングを、第1の相巻線自身の相電流あるいは第1の相巻線とは異なる第2の相巻線の相電流に対応するゼロクロス点から所定時間経過した時点とするとともに、所定時間を2相以上の相巻線に対応するゼロクロス点に基づいて設定している。ゼロクロス点の位置は回転数に対応しており、2相以上の相巻線に対応するこの値を用いることにより、回転変動の程度を予測することが可能になり、精度の高いオフタイミングの設定が可能になる。
また、上述した所定時間は、スイッチング素子をオフした後に、このスイッチング素子に並列接続されたダイオードを通して電流が流れる期間の長さが所定長となるように設定されることが望ましい。ダイオードを通して電流が流れる所定時間の期間を維持することによりスイッチング素子をオフするタイミングを正確に制御することができ、従来よりも整流損失を抑制することができるとともに、バッテリから電機子巻線への電流の逆流を防止することができる。
また、上述した制御部は、2相以上の相巻線のそれぞれに対応する複数のゼロクロス点の間隔の差分に基づいて、所定時間の設定を行うことが望ましい。このような差分値を用いることにより、回転変動の程度を正確に把握することができる。
また、磁気回路的に干渉しあうが電気回路的には干渉しない2つ以上の電機子巻線が備わっている場合に、所定時間の設定は、2つ以上の電機子巻線のそれぞれに対応して別々に行うようにしてもよい。これにより、一の電機子巻線やこれに対応するスイッチング部に生じた不具合によって他の電機子巻線に対応するオフタイミングの設定に影響を及ぼさないようにすることができるため、不具合発生時に一定以上の出力電流を確保することが可能となる。
また、磁気回路的に干渉しあうが電気回路的には干渉しない2つ以上の電機子巻線が備わっている場合に、所定時間の設定は、2つ以上の電機子巻線のそれぞれにおいて検出される情報を互いに共有して行うようにしてもよい。これにより、回転変動を推定するための情報が多くなるため、より精度の高いオフタイミングの設定が可能になる。
また、上述した所定時間は、回転数が増加したときに、1未満の補正係数を乗じて補正されることが望ましい。あるいは、上述した所定時間は、回転数が減少したときに、1より大きい補正係数を乗じて補正されることが望ましい。また、上述した制御部は、1周期前にオフタイミングを設定するために用いた所定時間に補正係数を乗じて算出した新たな所定時間を用いてオフタイミングの設定を行うことが望ましい。あるいは、上述した所定時間は、回転数が増加したときに、負の値を有する補正値を加算して補正されることが望ましい。また、上述した所定時間は、回転数が減少したときに、正の値を有する補正値を加算して補正されることが望ましい。これにより、回転数の変動をオフタイミングの設定に確実に反映させることができ、より精度の高いオフタイミングの設定が可能になる。
一実施形態の車両用回転電機の構成を示す図である。 相電圧としきい値電圧との関係を示す図である。 各スイッチング素子のオフタイミングを2相以上の相巻線に対応するダイオード通電期間に基づいて設定する場合の動作タイミングを示す図である。 各スイッチング素子のオフタイミングを2相以上の相巻線に対応するダイオード通電開始時点に基づいて設定する場合の動作タイミングを示す図である。 各スイッチング素子のオフタイミングを2相以上の相巻線に対応するスイッチング素子に流れる電流のゼロクロス点に基づいて設定する場合の動作タイミングを示す図である。 各相巻線に対応させて別々に制御部等を設ける場合の部分的な構成を示す図である。
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用回転電機について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態の車両用回転電機の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車両用回転電機1は、電機子巻線2、3、界磁巻線4、インバータ回路5、6、制御部7、駆動部8、ダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11、電圧制御装置12を含んで構成されている。この車両用回転電機1は、電機子巻線2、3に誘起された交流電圧をインバータ回路5、6で整流して得られた直流電力をバッテリ13や電気負荷(図示せず)に供給する発電動作と、バッテリ13から供給される直流電圧をインバータ回路5、6によって三相交流電圧に変換して電機子巻線2、3に印加して回転子(図示せず)を回転させる電動動作を選択的に行う。なお、必ずしも発電動作と電動動作の両方を行う必要はなく、発電動作のみを行うようにしてもよい。
電機子巻線2は、多相巻線(例えば三相巻線)であって、電機子鉄心に巻装されて電機子を構成している。発電動作時には電機子巻線2の各相巻線に誘起される交流出力がインバータ回路5に供給される。また、電動動作時には、インバータ回路5によって生成された三相電圧が電機子巻線2の各相巻線に供給される。同様に、電機子巻線3は、多相巻線(例えば三相巻線)であって、電機子鉄心に巻装されて電機子を構成している。例えば、電機子巻線2と電機子巻線3は、電気角で30°異なる位置に巻装されている。発電動作時には電機子巻線3の各相巻線に誘起される交流出力がインバータ回路6に供給される。また、電動動作時には、インバータ回路6によって生成された三相電圧が電機子巻線3の各相巻線に供給される。界磁巻線4は、界磁極(図示せず)に巻装されて回転子を構成しており、界磁巻線4に界磁電流を流すことにより界磁極が磁化される。
インバータ回路5は、一方の電機子巻線2とバッテリ13との間に介在し、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームと複数の下アームとからなるブリッジ回路を形成している。具体的には、電機子巻線2は、Y結線されたU相巻線、V相巻線、W相巻線を有している。U相巻線に、上アームとしてのスイッチング素子Q1およびダイオードD1と、下アームとしてのスイッチング素子Q2およびダイオードD2とが接続されている。V相巻線に、上アームとしてのスイッチング素子Q3およびダイオードD3と、下アームとしてのスイッチング素子Q4およびダイオードD4とが接続されている。W相巻線に、上アームとしてのスイッチング素子Q5およびダイオードD5と、下アームとしてのスイッチング素子Q6およびダイオードD6とが接続されている。
同様に、インバータ回路6は、他方の電機子巻線3とバッテリ13との間に介在し、ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームと複数の下アームとからなるブリッジ回路を形成している。具体的には、電機子巻線3は、Y結線されたX相巻線、Y相巻線、Z相巻線を有している。X相巻線に、上アームとしてのスイッチング素子Q7およびダイオードD7と、下アームとしてのスイッチング素子Q8およびダイオードD8とが接続されている。Y相巻線に、上アームとしてのスイッチング素子Q9およびダイオードD9と、下アームとしてのスイッチング素子Q10およびダイオードD10とが接続されている。Z相巻線に、上アームとしてのスイッチング素子Q11およびダイオードD11、下アームとしてのスイッチング素子Q12およびダイオードD12とが接続されている。
上述したスイッチング素子Q1〜Q12は、例えば、一般的な整流回路に用いられているダイオードよりも低損失のMOS−FETが用いられる。また、MOS−FETを用いた場合には、ダイオードD1〜D12として寄生ダイオードを利用することができる。
制御部7は、インバータ回路5、6に含まれるスイッチング素子Q1〜Q12のそれぞれのオンオフタイミングを決定する。駆動部8は、スイッチング素子Q1〜Q12を駆動するドライバ回路であり、制御部7によって決定されたオンオフタイミングでスイッチング素子Q1〜Q12を駆動する。この制御部7は、CPUで所定の制御プログラムを実行することにより実現可能であるが、回路素子からなるハードウエアロジックによって構成するようにしてもよい。
ダイオード通電期間検出部9は、ダイオードD1〜D12のそれぞれに電流が流れる期間(ダイオード通電期間)を検出する。具体的には、上アームのスイッチング素子Q1については、スイッチング素子Q1がオフのときにU相巻線の電圧がバッテリ電圧よりも所定電圧(ダイオードの順方向電圧分を超えないようにこの所定電圧は設定される)だけ高い第1しきい値を超えてから、バッテリ電圧よりも低い第2しきい値に達するまでの期間がダイオード通電期間として検出される。
図2は、相電圧としきい値電圧との関係を示す図である。図2において、Vは相電圧を、VBはバッテリ電圧を、V1は第1しきい値を、V2は第2しきい値を、V3は第3しきい値を示している。例えば、上アームのスイッチング素子やダイオードに電流が流れる場合について考えるものとする。また、ダイオードの順方向電圧をVDとする。
相電圧Vが次第に上昇してバッテリ電圧VBを超える場合を考えると、スイッチング素子がオフしている場合には、相電圧VがVB+VDを超えるまでは相電流が流れない。また、相電圧VBがVB+VDを超える場合にはダイオードを通して相電流が流れるため、ダイオードのアノード側の電位はそれ以上上昇せずに相電圧VがVB+VDに固定される。その後、再び、相電圧VがVB+VDよりも低くなると、ダイオードを介して流れていた相電流が停止し、ダイオードのアノード側の電位(相電圧V)が次第に低下する。図2では、この相電圧Vの変化の様子が示されている。したがって、正確にはダイオードを通して電流が流れるダイオード通電期間は、図2にAで示した範囲であるが、本実施形態では、その開始時点を第1しきい値を用いて検出し、終了時点を第2しきい値を用いて検出した範囲Bをダイオード通電期間として用いている。
実際には、相電圧Vが第3しきい値V3を超えるとスイッチング素子がオンされるため、以後、相電流はこのスイッチング素子を通して流れる(図2では、この様子が点線で示されている)。しかも、MOS−FETで形成されたスイッチング素子のオン時の両端電圧は0.1V程度であってVDよりも小さいため、スイッチング素子がオンされた後は相電圧VはほぼVB+0.1Vに固定され、VB+VDには達しない。このようにして相電圧がVB+0.1Vに低下した際に、ダイオード通電期間の終了時点を誤検出しないように、第2しきい値V2がバッテリ電圧VBよりも低い値に設定されている。
このように、第1しきい値V1に達した後に第2しきい値V2に達するまでの「ダイオード通電期間」には、電流が流れていない期間やスイッチング素子を介して電流が流れる期間も含まれる。また、相電圧Vが第3しきい値に達したときにスイッチング素子がオンされて相電圧VがVB+0.1Vに固定されるが、この際の検出遅れや制御遅れがあるため、実際には相電圧VがVB+0.1Vよりも高い値まで上昇する。このため、第1しきい値V1と第3しきい値V3は、VB〜VB+VDの範囲であれば、同じ値に設定しても異なる値に設定してもよい。
なお、本実施形態(特に後述する第3および図4に示す例)では、他相のスイッチング素子をオフする基準を決めるしきい値を「第3しきい値」とし、他相のスイッチング素子をオンするタイミング(このタイミングを決めるしきい値を「第4しきい値」としている)を他相のスイッチング素子をオフするタイミングとして用いているため、第3のしきい値と第4のしきい値が同じであるとしてこれらをまとめて「第3しきい値」としている。したがって、これらのタイミングを異ならせる場合、あるいは、厳密な表現を用いる場合には、相電圧Vが第3しきい値V3とは異なる第4しきい値V4(これらの値は同じであっても異なってもよい)を超えるとスイッチング素子がオンされるということになる。この第4のしきい値V4は、第1しきい値V1と同様に、VB〜VB+VDの範囲内で設定される。また、第1〜第4しきい値V1〜V4のそれぞれは、各相巻線の起電圧のバラツキにあわせて、各相毎に値を調整することが望ましい。
また、図2では上アームのスイッチング素子やダイオードについて説明したが、下アームのスイッチング素子やダイオードについては各しきい値の極性を反転させることで(−VB、−V1、−V2、−V3等)、基本的に同様に考えることができる。
ダイオード通電開始時点検出部10は、ダイオードD1〜D12に電流が流れ始める時点(ダイオード通電開始時点)を検出する。上述したように、上アームのスイッチング素子Q1については、スイッチング素子Q1がオフのときにU相巻線の電圧がバッテリ電圧よりも所定電圧だけ高い第1しきい値を超えた時点がダイオード通電開始時点として検出される。
ゼロクロス検出部11は、スイッチング素子Q1〜Q12のそれぞれがオンされているときに、このスイッチング素子を通して流れる電流の向きが反転する時点(例えば、スイッチング素子を通してバッテリ13に電流が供給される場合の電流の向きを「正」としたときに、電流の向きが正から負に反転するゼロクロス点)を検出する。
上述したダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11の動作は、ダイオードD1〜D12、スイッチング素子Q1〜Q12のそれぞれについて別々に行われる。
電圧制御装置12は、スイッチング素子(図示せず)を断続制御することにより、界磁巻線4に流れる界磁電流を制御する。例えば、発電動作時には、車両用回転電機1の出力電圧(あるいはバッテリ電圧)が所定の調整電圧となるように界磁電流が制御される。
本実施形態の車両用回転電機1はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。上述したように、制御部7によってスイッチング素子Q1〜Q12をオンするタイミングとオフするタイミングが決定されるが、各スイッチング素子のオン期間は回転子の回転数にあわせて設定する必要がある。本実施形態では、各スイッチング素子をオフするタイミングを、2相以上の相巻線に対応するダイオード通電期間、ダイオード通電開始時点、ゼロクロス点のいずれかを用いて設定している。以下、それぞれの設定方法について説明する。
(1)ダイオード通電期間に基づいてオフタイミングを設定する場合
図3は、各スイッチング素子のオフタイミングを2相以上の相巻線に対応するダイオード通電期間に基づいて設定する場合の動作タイミングを示す図である。図3には、一方の電機子巻線2の相電圧とインバータ回路5の各スイッチング素子のオフタイミングとの関係が示されているが、他方の電機子巻線3の相電圧とインバータ回路6の各スイッチング素子のオフタイミングとの関係についても同じである。この点については、後述する図4についても同じである。
図3において、VuはU相巻線に誘起される相電圧を、VvはV相巻線に誘起される相電圧を、VwはW相巻線に誘起される相電圧をそれぞれ示している。VBはバッテリ電圧を、V1は第1しきい値を、V2は第2しきい値をそれぞれ示している。また、V3は第3しきい値を示している。例えば、各スイッチング素子は、以下の1)〜6)の順番で、電気角で60°間隔でオンされる。その後、同じ動作が繰り返される。
1)U相上アームのスイッチング素子Q1:U相巻線の相電圧Vuがバッテリ電圧VBよりも高い第3しきい値(V3)を越えた時点でオンされる。
2)W相下アームのスイッチング素子Q6:W相巻線の相電圧Vwがバッテリ電圧−VBよりも低い第3しきい値(−V3)を下回った時点でオンされる。
3)V相上アームのスイッチング素子Q3:V相巻線の相電圧Vvがバッテリ電圧VBよりも高い第3しきい値(V3)を越えた時点でオンされる。
4)U相下アームのスイッチング素子Q2:U相巻線の相電圧Vuがバッテリ電圧−VBよりも低い第3しきい値(−V3)を下回った時点でオンされる。
5)W相上アームのスイッチング素子Q5:W相巻線の相電圧Vwがバッテリ電圧VBよりも高い第3しきい値(V3)を越えた時点でオンされる。
6)V相下アームのスイッチング素子Q4:V相巻線の相電圧Vvがバッテリ電圧−VBよりも低い第3しきい値(−V3)を下回った時点でオンされる。
なお、上述したように、第3しきい値は、バッテリ電圧VBにダイオードD1等の順方向電圧降下分を加算した電圧を超えない範囲(マイナス側についてはバッテリ電圧−VBから上記順方向電圧降下分を減算した電圧を下回らない範囲)で設定されている。これにより、ダイオードD1等を介して電流が流れる時点とほぼ同時にスイッチング素子Q1等をオンすることができ、ダイオードよりも低損失のスイッチング素子を介して電流を流すことができる。このように、各スイッチング素子は、自相の相電圧に基づいてオンタイミングが決定される。この相電圧の検出やオンタイミングの設定は制御部7によって行われる。
一方、各スイッチング素子のオフタイミングは、自相の相電圧に基づいて決定するのではなく、他相の相電圧に基づいて設定された他相のスイッチング素子のオンタイミングを基準にして、この基準に所定時間を加算することで決定される。しかも、この所定時間は、2相以上の相巻線に対応する複数のダイオード通電期間に基づいて補正が行われる。
一般に、各スイッチング素子のオンタイミングは、各相電圧に基づいて決定されるため、車両用発電機1の回転数に応じて適切な設定が行われる。しかし、オフタイミングについては、上記基準は回転数に応じて適切に設定されるが、上記所定時間は回転数に応じて適宜変更する必要がある。例えば、回転数が高くなれば所定時間を短くしてオフタイミングを早くする必要があり、反対に回転数が低くなれば所定時間を長くしてオフタイミングを遅くする必要がある。このため、本実施形態では、上記の所定時間を、2相以上の相巻線に対応する複数のダイオード通電期間に基づいて補正している。
以下、V相上アームのスイッチング素子Q3のオフタイミングを設定する場合について説明を行うが、他のスイッチング素子についても同様である。
スイッチング素子Q3のオフタイミングを設定する際に基準となるのは、スイッチング素子Q3がオフされる直前にオンされるU相下アームのスイッチング素子Q2のオンタイミングである。この基準位置をt0とすると、基準位置t0から所定時間Tが経過した時点t1がスイッチング素子Q3のオフタイミングとして設定される。このオフタイミングは、スイッチング素子Q3のダイオード通電期間がその後終了するように、すなわち、スイッチング素子Q3がオフになった後にダイオードD3を通して電流が流れる期間が存在するように設定される。また、このオフタイミング後にダイオードD3を通して電流が流れる期間が、回転数に関係なく一定、あるいは所定時間以上となるようにこのオフタイミングが設定される。
また、上記の所定時間Tは、回転数が一定であれば、スイッチング素子Q3の1周期前のオフタイミング設定で用いた所定時間T(この1周期前の設定で用いた所定時間をT0とする)と同じであるが、回転数変動を考慮して、この所定時間T0に補正係数αを乗じて補正した後の所定時間Tが設定される。補正係数αは、以下のようにして決定される。
ΔX0〜ΔX5を以下のように定義する。
・ΔX0:1周期前のV相上アームのダイオード通電期間(TVU)が、その直前のW相下アームのダイオード通電期間(TWL)に対してどの程度変化したかを示す差分値(TVU−TWL
・ΔX1:1周期未満のU相下アームのダイオード通電期間(TUL)が、その直前のV相上アームのダイオード通電期間(TVU)に対してどの程度変化したかを示す差分値(TUL−TVU
・ΔX2:1周期未満のW相上アームのダイオード通電期間(TWU)が、その直前のU相下アームのダイオード通電期間(TUL)に対してどの程度変化したかを示す差分値(TWU−TUL
・ΔX3:1周期未満のV相下アームのダイオード通電期間(TVL)が、その直前のW相上アームのダイオード通電期間(TWU)に対してどの程度変化したかを示す差分値(TVL−TWU
・ΔX4:1周期未満のU相上アームのダイオード通電期間(TUU)が、その直前のV相下アームのダイオード通電期間(TVL)に対してどの程度変化したかを示す差分値(TUU−TVL
・ΔX5:1周期未満のW相下アームのダイオード通電期間(TWL)が、その直前のU相上アームのダイオード通電期間(TUU)に対してどの程度変化したかを示す差分値(TWL−TUU)。
上述したΔX0〜ΔX5は、直前の1周期分のダイオード通電期間の変化を、接近する2つのダイオード通電期間に基づいて算出したものであり、ΔX5が最も直近の値であり、ΔX0が1周期前の最も古い値となっている。ΔX0〜ΔX5は制御部7によって算出される。
(設定例1)
ΔX0〜ΔX5の平均値を算出し、この平均値に基づいて1周期前に用いた所定時間T0を補正して今回の所定時間Tを設定する。この平均値を用いて補正係数αを設定する。例えば、平均値が0の場合(回転変動がない場合)には補正係数αが1に設定される。平均値が負の場合とは回転数が増加した場合であって、補正係数αが平均値の絶対値に応じて1より小さい値に設定される。反対に、平均値が正の場合とは回転数が減少した場合であって、補正係数αが平均値に応じて1より大きい値に設定される。なお、ΔX0〜ΔX5の全ての値を用いて平均値を計算するのではなく、直近の一部の値を用いて平均値を計算するようにしてもよい。
(設定例2)
直近の値ΔX5とΔX4の差分(ΔX5−ΔX4)を算出し、この差分に基づいて1周期前に用いた所定時間T0を補正して今回の所定時間Tを設定する。この差分は、ダイオード通電期間の変化量がどのように変化したかを示すものであるため、回転数の変化が一定ではなく、回転数が加速度的に増加あるいは減少しているか否かを判定することができる。例えば、ΔX5とΔX4のそれぞれが正の値を有し、これらの差分が正の値を有する場合には加速度的に回転数が減少していることを示している。この場合には、補正係数の値が差分の値に応じて1より大きい値に設定される。反対に、ΔX5とΔX4のそれぞれが負の値を有し、これらの差分が負の値を有する場合には加速度的に回転数が増加していることを示している。この場合には、補正係数の値が差分の値に応じて1より小さい値に設定される。
(設定例3)
ΔX0〜ΔX5の変化率を算出し、この変化率に基づいて1周期前に用いた所定時間T0を補正して今回の所定時間Tを設定する。この変化率を用いることにより、回転数が加速度的に増加あるいは減少しているかが判定可能であり、上述した設定例2の場合と同様に補正係数αの値をこの変化率に応じて設定することができる。
(その他の設定例)
基本的には、1周期以内に取得した自相あるいは他相を含む2相以上のダイオード通電期間を用いることにより、回転数の変動の様子がわかるため、任意の2相以上のダイオード通電期間を用いて補正係数αの値を設定することができる。例えば、直近のダイオード通電期間であるW相下アームのダイオード通電期間(TWL)と、その直前のダイオード通電期間であるU相上アームのダイオード通電期間(TUU)を用いて、その時点における回転数と回転変動率を求めて補正係数αを設定するようにしてもよい。
(変形例)
なお、上述した説明では、補正係数αを所定時間T0に乗じて補正後の所定時間Tを設定したが、補正係数αの代わりに補正値αを用い、1周期前の所定時間T0と目標値との差分として補正値αを用いて所定時間T0に加算あるいは減算して補正後の所定時間Tを設定するようにしてもよい。すなわち、各スイッチング素子のオフタイミングは、他相のスイッチング素子のオンタイミングからの電気角で示すことができるが、この電気角と等価である所定時間Tは、回転数に応じて変化する値となる。したがって、回転数が高い場合には所定時間Tは小さい値となり、同じ回転数でも回転数が増加中の場合にはこの所定時間Tはさらに小さい値に設定する必要がある。反対に、回転数が低い場合には所定時間Tは大きい値となり、同じ回転数でも回転数が減少中の場合にはこの所定時間Tはさらに大きい値に設定する必要がある。例えば、1周期前の所定時間T0に補正値αを加算して補正後の所定時間Tを設定する場合を考えると、1周期前の時点に対して回転変動がない場合には補正値αが0に設定される。一方、回転数が増加した場合にはその増加の程度に応じて絶対値が大きな負の値に補正値αが設定される。反対に、回転数が減少した場合にはその減少の程度に応じて絶対値が大きな正の値に補正値αが設定される。
(2)ダイオード通電開始時点に基づいてオフタイミングを設定する場合
図4は、各スイッチング素子のオフタイミングを2相以上の相巻線に対応するダイオード通電開始時点に基づいて設定する場合の動作タイミングを示す図である。Vu、Vv、Vw、第1しきい値、第2しきい値、第3しきい値の意味や、スイッチング素子Q1〜Q6のオンタイミングについては図3に示した例と同じであり、これらについての説明は省略する。
以下、V相上アームのスイッチング素子Q3のオフタイミングを設定する場合について説明を行うが、他のスイッチング素子についても同様である。
スイッチング素子Q3のオフタイミングを設定する際に基準となるのは、スイッチング素子Q3がオフされる前にオンされるU相下アームのスイッチング素子Q2(オンタイミングがスイッチング素子Q3の次に到来するU相下アームのスイッチング素子Q2)のオンタイミングである。この基準位置をt0とすると、基準位置t0から所定時間Tが経過した時点t1がスイッチング素子Q3のオフタイミングとして設定される。このオフタイミングは、スイッチング素子Q3のダイオード通電期間がその後終了するように、すなわち、スイッチング素子Q3がオフになった後にダイオードD3を通して電流が流れる期間が存在するように設定される。
また、上記の所定時間Tは、回転数が一定であれば、スイッチング素子Q3の1周期前のオフタイミング設定で用いた所定時間T(この1周期前の設定で用いた所定時間をT0とする)と同じであるが、回転数変動を考慮して、この所定時間T0に補正係数αを乗じて補正した後の所定時間Tが設定される。ここまでについては、上述した「(1)ダイオード通電期間に基づいてオフタイミングを設定する場合」と基本的に同じである。今回は、補正係数αは、以下のようにして決定される。
ΔY0〜ΔY5を以下のように定義する。
・ΔY0:1周期前のU相下アームのダイオード通電開始時点(tUL)から次のW相上アームのダイオード通電開始時点(tWU)までの時間(tWU−tUL
・ΔY1:1周期未満のW相上アームのダイオード通電開始時点(tWU)から次のV相下アームのダイオード通電開始時点(tVL)までの時間(tVL−tWU
・ΔY2:1周期未満のV相下アームのダイオード通電開始時点(tVL)から次のU相上アームのダイオード通電開始時点(tUU)までの時間(tUU−tVL
・ΔY3:1周期未満のU相上アームのダイオード通電開始時点(tUU)から次のW相下アームのダイオード通電開始時点(tWL)までの時間(tWL−tUU
・ΔY4:1周期未満のW相下アームのダイオード通電開始時点(tWL)から次のV上アームのダイオード通電開始時点(tVU)までの時間(tVU−tWL
・ΔY5:1周期未満のV上アームのダイオード通電開始時点(tVU)から次のU相下アームのダイオード通電開始時点(tUL)までの時間(tUL−tVU)。
上述したΔY0〜ΔY5は、直前の1周期分のダイオード通電開始時点の間隔を、隣接する2つのダイオード通電開始時点に基づいて算出したものであり、ΔY5が最も直近の値であり、ΔY0が1周期前の最も古い値となっている。ΔY0〜ΔY5は制御部7によって算出される。
(設定例1)
ΔY0〜ΔY5の平均値を算出し、この平均値に基づいて1周期前に用いた所定時間T0を補正して今回の所定時間Tを設定する。この平均値を用いて補正係数αを設定する。ダイオード通電開始時点の間隔を示すΔY0等は、車両用回転電機1の回転数に対応しており、回転数が減少すると大きくなり、回転数が増加すると小さくなる。平均値が大きい場合とは回転数が減少した場合であって、補正係数αが平均値に応じて1より大きい値に設定される。反対に、平均値が小さい場合とは回転数が増加した場合であって、補正係数αが平均値に応じて1より小さい値に設定される。なお、ΔY0〜ΔY5の全ての値を用いて平均値を計算するのではなく、直近の一部の値を用いて平均値を計算するようにしてもよい。また、平均値が小さい/大きいとは、1周期前の平均値を基準にしている。
(設定例2)
直近の値ΔY5とΔY4の差分(ΔY5−ΔY4)を算出し、この差分に基づいて1周期前に用いた所定時間T0を補正して今回の所定時間Tを設定する。この差分は、ダイオード通電開始時点の間隔がどのように変化したかを示すものであるため、回転数が増加あるいは減少しているか否かを判定することができる。例えば、ΔY5とΔY4の差分が正の値を有する場合には回転数が減少していることを示している。この場合には、補正係数の値が差分の値に応じて1より大きい値に設定される。反対に、ΔY5とΔY4の差分が負の値を有する場合には回転数が増加していることを示している。この場合には、補正係数の値が差分の値に応じて1より小さい値に設定される。上述した差分は、3つ以上の値のそれぞれについて求めるようにしてもよい。
(設定例3)
ΔY0〜ΔY5の変化率を算出し、この変化率に基づいて1周期前に用いた所定時間T0を補正して今回の所定時間Tを設定する。この変化率を用いることにより、回転数が増加あるいは減少しているかが判定可能であり、上述した設定例2の場合と同様に補正係数αの値をこの変化率に応じて設定することができる。
(その他の設定例)
基本的には、1周期以内に取得した自相あるいは他相を含む2相以上のダイオード通電開始時点を用いることにより、回転数の変動の様子がわかるため、任意の2相以上のダイオード通電開始時点を用いて補正係数αの値を設定することができる。また、補正係数αの代わりに上述した補正値αを用いて1周期前の所定時間T0に加算(あるいは減算)して補正後の所定時間Tを求めるようにしてもよい。
(3)ゼロクロス点に基づいて設定する場合
上述した「(1)ダイオード通電期間に基づいてオフタイミングを設定する場合」では、各スイッチング素子をオフした後にこのスイッチング素子と並列接続されたダイオード(寄生ダイオード)を通して電流が流れるようにオフタイミングを設定したため、ダイオード通電期間の終了時点を検出することができたが、オフタイミング近傍でダイオード通電期間を設けない場合(例えば、ダイオード通電期間の終了時点とほぼ同時にスイッチング素子をオフする場合や、効率改善等を目的にダイオード通電期間の終了時点よりも遅れたタイミングでスイッチング素子をオフする場合など)には、ダイオード通電期間の終了時点を検出することができない。このような場合には、相電圧に応じてダイオード通電期間を検出するのではなく、相電流(相巻線に流れる電流)のゼロクロス点を検出してそれを基準として各スイッチング素子のオフタイミングを設定するようにしてもよい。例えば、上アームのスイッチング素子を通して流れる電流が正から負(下アームのスイッチング素子の場合は負から正)に反転するゼロクロス点を検出し、このゼロクロス点を基準にして、所定時間後にこのスイッチング素子をオフしたり、別の所定時間後に別のスイッチング素子をオンしたりする場合が考えられる。このような場合に用いる「所定時間」についても回転数に応じた補正が必要であり、補正係数を用いて補正を行う基本的な考え方自体は、上述した「(1)ダイオード通電期間に基づいてオフタイミングを設定する場合」や「(2)ダイオード通電開始時点に基づいてオフタイミングを設定する場合」と共通する。
図5は、各スイッチング素子のオフタイミングを2相以上の相巻線に対応するスイッチング素子に流れる電流のゼロクロス点に基づいて設定する場合の動作タイミングを示す図である。図4には、一方の電機子巻線2の相電流とインバータ回路5のスイッチング素子Q3、Q4のオン/オフタイミングとの関係が示されているが、他方の電機子巻線3の相電流とインバータ回路6の各スイッチング素子のオン/オフタイミングとの関係についても同じである。また、図5において、IuはU相巻線に流れる相電流を、IvはV相巻線に流れる相電流を、IwはW相巻線に流れる相電流をそれぞれ示している。
以下、V相上アームのスイッチング素子Q3のオフタイミングと下アームのスイッチング素子Q4のオンタイミングを設定する場合について説明を行うが、他のスイッチング素子についても同様である。
スイッチング素子Q3のオフタイミングを設定する際に基準となるのは、スイッチング素子Q3自身の相電流のゼロクロス点(電流値が正から負に反転する時点)である。この基準位置をt0とすると、基準位置t0から所定時間T1が経過した時点t1がスイッチング素子Q3のオフタイミングとして設定される。また、この基準位置t0から所定時間T2が経過した時点t2が同じV相巻線の下アームのスイッチング素子Q4のオンタイミングとして設定される。
また、上記の所定時間T1は、回転数が一定であれば、スイッチング素子Q3の1周期前のオフタイミング設定で用いた所定時間T1(この1周期前の設定で用いた所定時間をT10とする)と同じであるが、回転数変動を考慮して、この所定時間T10に補正係数α1を乗じて補正した後の所定時間T1が設定される。同様に、上記の所定時間T2は、回転数が一定であれば、スイッチングQ4の1周期前のオンタイミング設定で用いた所定時間T2(この1周期前の設定で用いた所定時間をT20とする)と同じであるが、回転数変動を考慮して、この所定時間T20に補正係数α2を乗じて補正した後の所定時間T2が設定される。補正係数α1、α2は、以下のようにして決定される。
ΔZ0〜ΔZ5を以下のように定義する。
・ΔZ0:1周期前のV相上アームのゼロクロス点(tVU)から次のU相下アームのゼロクロス点(tUL)までの時間(tUL−tVU
・ΔZ1:1周期未満のU相下アームのゼロクロス点(tUL)から次のW相上アームのゼロクロス点(tWU)までの時間(tWU−tUL
・ΔZ2:1周期未満のW相上アームのゼロクロス点(tWU)から次のV相下アームのゼロクロス点(tVL)までの時間(tVL−tWU
・ΔZ3:1周期未満のV相下アームのゼロクロス点(tVL)から次のU相上アームのゼロクロス点(tUU)までの時間(tUU−tVL
・ΔZ4:1周期未満のU相上アームのゼロクロス点(tUU)から次のW相下アームのゼロクロス点(tWL)までの時間(tWL−tUU
・ΔZ5:1周期未満のW相下アームのゼロクロス点(tWL)から次のV相上アームのゼロクロス点(tVU)までの時間(tVU−tWL)。
上述したΔZ0〜ΔZ5は、直前の1周期分のゼロクロス点の間隔を、隣接する2つのゼロクロス点に基づいて算出したものであり、ΔZ5が最も直近の値であり、ΔZ0が1周期前の最も古い値となっている。ΔZ0〜ΔZ5は制御部7によって算出される。
(設定例1)
ΔZ0〜ΔZ5の平均値を算出し、この平均値に基づいて1周期前に用いた所定時間T10、T20を補正して今回の所定時間T1、T2を設定する。この平均値を用いて補正係数α1、α2を設定する。ゼロクロス点の間隔を示すΔZ0等は、車両用回転電機1の回転数に対応しており、回転数が減少すると大きくなり、回転数が増加すると小さくなる。平均値が大きい場合とは回転数が減少した場合であって、補正係数α1、α2が平均値に応じて1より大きい値に設定される。反対に、平均値が小さい場合とは回転数が増加した場合であって、補正係数α1、α2が平均値に応じて1より小さい値に設定される。なお、ΔZ0〜ΔZ5の全ての値を用いて平均値を計算するのではなく、直近の一部の値を用いて平均値を計算するようにしてもよい。また、平均値が小さい/大きいとは、1周期前の平均値を基準にしている。
(設定例2)
直近の値ΔZ5とΔZ4の差分(ΔZ5−ΔZ4)を算出し、この差分に基づいて1周期前に用いた所定時間T10、T20を補正して今回の所定時間T1、T2を設定する。この差分は、ゼロクロス点の間隔がどのように変化したかを示すものであるため、回転数が増加あるいは減少しているか否かを判定することができる。例えば、ΔZ5とΔZ4の差分が正の値を有する場合には回転数が減少していることを示している。この場合には、補正係数の値が差分の値に応じて1より大きい値に設定される。反対に、ΔZ5とΔZ4の差分が負の値を有する場合には回転数が増加していることを示している。この場合には、補正係数の値が差分の値に応じて1より小さい値に設定される。上述した差分は、3つ以上の値のそれぞれについて求めるようにしてもよい。
(設定例3)
ΔZ0〜ΔZ5の変化率を算出し、この変化率に基づいて1周期前に用いた所定時間T10、T20を補正して今回の所定時間T1、T2を設定する。この変化率を用いることにより、回転数が増加あるいは減少しているかが判定可能であり、上述した設定例2の場合と同様に補正係数α1、α2の値をこの変化率に応じて設定することができる。
(その他の設定例)
基本的には、1周期以内に取得した自相あるいは他相を含む2相以上のゼロクロス点を用いることにより、回転数の変動の様子がわかるため、任意の2相以上のゼロクロス点を用いて補正係数α1、α2の値を設定することができる。また、補正係数α1、α2の代わりに上述した補正値α(今回は補正係数が2つなので補正値も2つでα1、α2)を用いて1周期前の所定時間T0に加算(あるいは減算)して補正後の所定時間Tを求めるようにしてもよい。
このように、本実施形態の車両用回転電機1では、ダイオード通電期間やダイオード通電開始時点、ゼロクロス点を検出してこれらに基づいてスイッチング素子のオフタイミングの設定を行っている。一般に、ダイオード通電期間の長さや、ダイオード通電開始時点あるいはゼロクロス点の位置は回転数に対応しており、2相以上の相巻線に対応するこれらの値を用いることにより、回転変動の程度を予測することが可能になり、精度の高いオフタイミングの設定が可能になる。
また、スイッチング素子をオフした後に、このスイッチング素子に並列接続されたダイオードを通して電流が流れる期間の長さが所定長となるようにオフタイミングを設定することにより、スイッチング素子に比べて損失が大きいダイオードを通して電流が流れる時間を一定、あるいは所定時間以上にすることが可能になり、回転数に応じて損失が変動することを抑えることができる。
特に、複数のダイオード通電期間の差分や、複数のダイオード通電開始時点の間隔の差分、複数のゼロクロス点の間隔の差分に基づいて所定時間を設定することにより、回転変動の程度を正確に把握することができる。
また、本実施形態において説明したように、磁気回路的に干渉しあうが電気回路的には干渉しない2つの電機子巻線2、3が備わっている場合に、所定時間の設定を、これら2つの電機子巻線2、3のそれぞれに対応して別々に行うことにより、一方に生じた不具合によって他方におけるオフタイミングの設定に影響を及ぼさないようにすることができるため、不具合発生時に一定以上の出力電流を確保することが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、ダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11を全て備えるようにしたが、オフセットタイミングを設定するためにはこれらの中の一つを選択的に用いればよいため、オフセットタイミングの設定に用いなかった構成については省略するようにしてもよい。また、ダイオード通電期間を検出するためにはダイオード通電開始時点を検出する必要があるため、ダイオード通電開始時点検出部10の機能をダイオード通電期間検出部9に持たせて、ダイオード通電開始時点検出部10を省略するようにしてもよい。
また、図1では、2つのスイッチング部5、6の全体に1組の制御部7、駆動部8、ダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11が対応するように図示したが、2つのスイッチング部5、6のそれぞれに対して別々に制御部7、駆動部8、ダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11を対応させて設けたり、各相巻線に対応させて別々に制御部7、駆動部8、ダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11を設けるようにしてもよい。
図6は、各相巻線に対応させて別々に制御部7等を設ける場合の部分的な構成を示す図である。図6に示す構成では、U相巻線に対応する上アームおよび下アームのスイッチング素子Q1、Q2およびダイオードD1、D2に対応するように、制御部7、駆動部8、ダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11からなる制御回路20が設けられている。なお、上述したように、ダイオード通電期間検出部9、ダイオード通電開始時点検出部10、ゼロクロス検出部11は全てを備える必要はなく、選択的に1つあるいは2つを備えるようにしてもよい。また、同じ構成の制御回路20が他の相巻線のそれぞれに対応させて設けられている。このように、各相巻線毎に制御回路20を設ける場合には、この制御回路20と上アームおよび下アームのスイッチング素子およびダイオードの全体をモジュール化して1つの半導体パッケージで実現することができ、スイッチング部5、6およびその制御機構の製造や組み付けが容易となる利点がある。
また、上述した実施形態では、電機子巻線2のU相、V相、W相の全てについてダイオード通電期間やダイオード通電開始時点あるいはゼロクロス点を検出して補正係数αや補正値αを決定するようにしたが、これら3相の中の2相を用いて補正係数αや補正値αを決定するようにしてもよい。例えば、U相とV相のみを用いる場合には、ダイオード通電期間については上述したΔX1とΔX4のみを用いればよい。また、ダイオード通電開始時点については上述したΔY2とΔY5のみを用いればよい。さらに、ゼロクロス点については上述したΔZ0とΔZ3のみを用いればよい。これにより、処理内容および構成の簡略化が可能となる。
また、上述した実施形態では、2つの電機子巻線2、3と2つのインバータ回路5、6とを備える車両用回転電機1について本発明を適用したが、電機子巻線とインバータ回路を一つずつ備える車両用回転電機についても本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、一方の電機子巻線2とインバータ回路5の組み合わせにおいて各スイッチング素子のオフタイミングを設定する動作と、これらと磁気回路的には干渉しあうが電気回路的には干渉しあわない他方の電機子巻線3とインバータ回路6の組み合わせにおいて各スイッチング素子のオフタイミングを設定する動作とを別々に行うようにしたが、回転数変動を検出するために用いられるダイオード通電期間、ダイオード通電開始時点、ゼロクロス点などの情報を互いに共有するようにしてもよい。具体的には、一方の電機子巻線2とインバータ回路5の組み合わせにおける各スイッチング素子のオフタイミングの設定を、自身のΔX0〜ΔX5、ΔY0〜ΔY5、ΔZ0〜ΔZ5等の情報と他方の電機子巻線3とインバータ回路6との組み合わせにおいて得られた同様の情報とを用いて行うようにしてもよい。同様に、他方の電機子巻線3とインバータ回路6の組み合わせにおける各スイッチング素子のオフタイミングの設定を、自身のΔX0〜ΔX5、ΔY0〜ΔY5、ΔZ0〜ΔZ5等の情報と一方の電機子巻線2とインバータ回路5との組み合わせにおいて得られた同様の情報とを用いて行うようにしてもよい。回転変動を推定するための情報が増えるため、回転変動を正確に予測することができ、オフタイミングの設定精度を向上させることができる。
また、互いに情報を共有する場合に、例えば、一方のスイッチング部5に対応する各スイッチング素子のオフタイミングを決めるために基準となる他相のスイッチング部のオンタイミングとして、他方のスイッチング部6に対応する電機子巻線3の各相(X相、Y相、Z相)のいずれかに対応するスイッチング素子のオンタイミングを用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、電機子巻線とスイッチング部の組を2組備えたが3組以上を備える車両用回転電機についても本発明を適用することができる。
また、上述した図3および図4を用いた説明では、ある相巻線(第1の相巻線)に対応するスイッチング素子のオフタイミングの基準位置を他の相巻線(第2の相巻線)の相電圧が第3しきい値を超えた時点に設定したが、この基準位置を第1の相巻線自身の相電圧が第3しきい値を超えた時点とし、この基準位置から所定時間T’経過したときにスイッチング素子をオフするようにしてもよい。例えば、V相巻線に対応する上アームのスイッチング素子Q3のオフタイミングを決める基準位置をこのV相巻線自身の相電圧が第3しきい値V3に達した時点とし、この基準位置から所定時間T’(図3あるいは図4参照)経過したときにスイッチング素子Q3をオフする場合が考えられる。所定時間Tと同様に、この所定時間T’についても回転変動にあわせて値を補正する必要がある。
また、上述した図5を用いた説明では、V相巻線に対応する下アームのスイッチング素子Q3のオフタイミングをV相巻線自身のゼロクロス点から所定時間T1経過した時点としたが、このオフタイミングをV相巻線以外の相巻線(例えば、W相巻線)のゼロクロス点から所定時間T1’(図5参照)経過した時点としてもよい。所定時間T1と同様に、この所定時間T1’についても回転変動にあわせて値を補正する必要がある。
また、上述した図5を用いた説明では、V相巻線に対応する下アームのスイッチング素子Q4のオンタイミングをV相巻線自身のゼロクロス点から所定時間T2経過した時点としたが、このオンタイミングをV相巻線以外の相巻線(例えば、U相巻線)のゼロクロス点から所定時間T2’(図5参照)経過した時点としてもよい。所定時間T2と同様に、この所定時間T2’についても回転変動にあわせて値を補正する必要がある。
上述したように、本発明によれば、2相以上の相巻線に対応するダイオード通電期間の長さや、ダイオード通電開始時点あるいはゼロクロス点の位置を用いることにより、回転変動の程度を予測することが可能になり、精度の高いオフタイミングの設定が可能になる。
1 車両用回転電機
2、3 電機子巻線
4 界磁巻線
5、6 インバータ回路
7 制御部
8 駆動部
9 ダイオード通電期間検出部
10 ダイオード通電開始時点検出部
11 ゼロクロス検出部
12 電圧制御装置
13 バッテリ
20 制御回路
Q1〜Q12 スイッチング素子
D1〜D12 ダイオード

Claims (12)

  1. 2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、
    ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路を構成し、前記電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、
    前記スイッチング素子のオンオフタイミングを制御する制御部と、
    前記相巻線の相電圧が第1しきい値に達した後第2しきい値に達するまでのダイオード通電期間を検出するダイオード通電期間検出部と、
    前記相電圧が第1しきい値に達したダイオード通電開始時点を検出するダイオード通電開始時点検出部と、
    を備え、前記制御部は、第1の相巻線の相電圧を整流する前記上アームおよび前記下アームのいずれかに対応する前記スイッチング素子のオフタイミングを、前記第1の相巻線自身の相電圧あるいは前記第1の相巻線とは異なる第2の相巻線の相電圧が第3しきい値を超えた時点から所定時間経過した時点とするとともに、前記所定時間を2相以上の前記相巻線のそれぞれに対応する複数の前記ダイオード通電期間の差分に基づいて設定することを特徴とする車両用回転電機。
  2. 2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、
    ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路を構成し、前記電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、
    前記スイッチング素子のオンオフタイミングを制御する制御部と、
    前記相巻線の相電圧が第1しきい値に達した後第2しきい値に達するまでのダイオード通電期間を検出するダイオード通電期間検出部と、
    前記相電圧が第1しきい値に達したダイオード通電開始時点を検出するダイオード通電開始時点検出部と、
    を備え、前記制御部は、第1の相巻線の相電圧を整流する前記上アームおよび前記下アームのいずれかに対応する前記スイッチング素子のオフタイミングを、前記第1の相巻線自身の相電圧あるいは前記第1の相巻線とは異なる第2の相巻線の相電圧が第3しきい値を超えた時点から所定時間経過した時点とするとともに、前記所定時間を2相以上の前記相巻線のそれぞれに対応する複数の前記ダイオード通電開始時点の間隔の差分に基づいて設定することを特徴とする車両用回転電機。
  3. 2相以上の相巻線を有する電機子巻線と、
    ダイオードが並列接続されたスイッチング素子によって構成される複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路を構成し、前記電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部と、
    前記スイッチング素子のオンオフタイミングを制御する制御部と、
    前記相巻線の相電流の極性が反転した時点を電流のゼロクロス点として検出するゼロクロス検出部と、
    を備え、前記制御部は、第1の相巻線の相電圧を整流する前記上アームおよび前記下アームのいずれかに対応する前記スイッチング素子のオフタイミングを、前記第1の相巻線自身の相電流あるいは前記第1の相巻線とは異なる第2の相巻線の相電流に対応する前記ゼロクロス点から所定時間経過した時点とするとともに、前記所定時間を2相以上の前記相巻線に対応する前記ゼロクロス点に基づいて設定することを特徴とする車両用回転電機。
  4. 請求項1または2において、
    前記所定時間は、前記スイッチング素子をオフした後に、このスイッチング素子に並列接続された前記ダイオードを通して電流が流れる期間の長さが所定長となるように設定されることを特徴とする車両用回転電機。
  5. 請求項3において、
    前記制御部は、2相以上の前記相巻線のそれぞれに対応する複数の前記ゼロクロス点の間隔の差分に基づいて、前記所定時間の設定を行うことを特徴とする車両用回転電機。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、
    磁気回路的に干渉しあうが電気回路的には干渉しない2つ以上の前記電機子巻線が備わっており、
    前記所定時間の設定は、2つ以上の前記電機子巻線のそれぞれに対応して別々に行われることを特徴とする車両用回転電機。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項において、
    磁気回路的に干渉しあうが電気回路的には干渉しない2つ以上の前記電機子巻線が備わっており、
    前記所定時間の設定は、2つ以上の前記電機子巻線のそれぞれにおいて検出される情報を互いに共有して行われることを特徴とする車両用回転電機。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項において、
    前記所定時間は、回転数が増加したときに、1未満の補正係数を乗じて補正されることを特徴とする車両用回転電機。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項において、
    前記所定時間は、回転数が減少したときに、1より大きい補正係数を乗じて補正されることを特徴とする車両用回転電機。
  10. 請求項8または9において、
    前記制御部は、1周期前にオフタイミングを設定するために用いた前記所定時間に前記補正係数を乗じて算出した新たな前記所定時間を用いてオフタイミングの設定を行うことを特徴とする車両用回転電機。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項において、
    前記所定時間は、回転数が増加したときに、負の値を有する補正値を加算して補正されることを特徴とする車両用回転電機。
  12. 請求項1〜7のいずれか一項において、
    前記所定時間は、回転数が減少したときに、正の値を有する補正値を加算して補正されることを特徴とする車両用回転電機。
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