JP5457737B2 - プラント制御情報生成装置及び方法、並びにそのためのコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
まず、スペクトラル・クラスタリングの基礎であるグラフ理論を簡単に紹介し、次にスペクトラル・クラスタリングの代表的なアルゴリズムを述べる。
電車での乗換について考える。乗換案内図を見ると、駅間の距離及び配置、並びに路線の形状は、実際の地理とは異なって表現されている。これは、乗換を考える場合、駅と駅とがどのように路線で結ばれているかが問題であって、線路が具体的にどこを通っているか、又はその形状がどのようであるかは本質的ではないためである。つまり、電車の乗換では、駅と駅とのつながり方が重要であって、その経路がどのような形状かは問題ではない。その結果、乗換案内図では、駅は点で、駅間の路線は簡略化された単なる線として描かれることが多い。このように、点のつながり方を、点とそれらを結ぶ線とからなる構造で抽象化したものをグラフと呼ぶ。グラフが持つ様々な性質を探求するのがグラフ理論である。
無向グラフの隣接行列は対称行列であるからその固有値は全て実数であり、固有ベクトルは互いに直交する。無向グラフGの隣接行列の固有値をλ1<λ2…<λNとし、それらの重複度をm1,…,mNとして得られる以下の表をグラフGのスペクトルと呼ぶ。
スペクトラル・クラスタリングは、重み付きグラフのグラフ分割法であり、いくつかのエッジをカットしてグラフをサブグラフに分割することで、ノードのクラスタリングを行なう。たとえば図4のグラフの場合、v4−V6間のエッジをカットすることで、G1={v1,…,v5}、G2={v6,v7,v8}の2つの部分グラフに分割でき、V={v1,…,v8}がV1={v1,…,v5}とV2={v6,v7,v8}とにクラスタリングされる。スペクトラル・クラスタリングにはいくつかのアルゴリズムがあるが、ここではグラフを2つのサブグラフに分割する方法であるMax−MinCut(Mcut)法について述べる。
前節で紹介したMcut法に類似の手法として、Normalized Cut(Ncut)法がある。Ncut法の評価関数は次の(17)式で表される。
既に述べたように、グラフとして表現できる構造は多いため、スペクトラル・クラスタリングも応用は広い。たとえば、Webのハイパーリンク及びソーシャルネットワークの構造解析、CAD等のメッシュ分割、タンパク質ネットワークの解析、並びにコンピュータビジョン等にスペクトル・クラスタリングが用いられている。各問題に適した類似度の与え方に工夫がある。
前節で紹介したMcut法では、類似度の定義は任意であった。一方、NJWアルゴリズムでは、類似度として、サンプル間の距離をカーネルによって写像した値を用いている。しかし、いずれにせよ従来法では変数間の相関関係を指標としてクラスタリングを行なうことは考慮されていない。そこで本実施の形態では、スペクトラル・クラスタリングにおいて変数間の相関関係を考慮した類似度行列の構成法を実現する。本実施の形態に係る方法は、変数間の相関関係を考慮した類似度行列を構築し、スペクトラル・クラスタリングによってクラスタリングを実施する方法である。この方法を本明細書ではNC−スペクトラル・クラスタリングと呼ぶことにする。
シミュレーションにより、従来法と本実施の形態に係るスペクトル・クラスタリングによるクラスタリングの識別性能の比較を行なった。本シミュレーション例では、2次元及び5次元のデータをそれぞれ用いて2通りの比較を行なった。
それぞれ互いに異なる相関関係を有する3クラスのデータを用い、クラスタリングを実施する。各クラスに属するサンプルは次式を用いて生成した。
前節と同様にそれぞれ互いに異なる相関関係を有する3クラスのデータを用い、クラスタリングを実施する。各クラスに属するサンプルは次式を用いて生成した。識別率は次式で定義される。
ここでAi∈R2×5は係数行列であり、S=[s1 s2]、Si〜N(0,10)である。また、n=[n1 n2 n3 n4 n5]T、ni〜N(0,0.1)である。係数行列Aiは
とし、各クラスについて100サンプル生成した。すなわち、K=100である。本シミュレーション例において、本実施の形態のステップ48で用いるパラメータ(しきい値)γは、0.999とした。
4.1 概略構成
本実施の形態は、並列化されたバッチプロセスの運転データのクラスタリングを対象とし、クラスタリング結果に基づいてソフトセンサ設計を行なうものである。この実施の形態のシミュレーションで用いたバッチプロセスモデルの詳細を最後に付録として示す。
上述の実施の形態は、コンピュータシステムハードウェア及びコンピュータシステム上で実行されるプログラムによって実現され得る。図11はこの実施の形態で用いられる製品分子量推定装置98のブロック図である。なお、ここで示す製品分子量推定装置98は単なる例であって、他の構成も利用可能である。
本実施の形態について、以下のような条件でその性能についての数値シミュレーションを行ない、従来の方法による結果と比較した。以下の数値シミュレーションでは、バッチプロセス運転開始前に原料A及びBが室温20℃で反応炉に仕込まれるものとする。このシミュレーションでは、原料A及びBの仕込み量はそれぞれN(20,0.1)にしたがう乱数として変化するものとする。
データベースに保存されている100バッチ分の運転データのクラスタリングを,従来法であるk−平均法と、本実施の形態に係るNC−スペクトラル・クラスタリングを用いて実施した。シミュレーションでは、図12のステップ182から処理を開始した。すなわち、100データに対してPCAを行なって各データの次元を圧縮した。ここで採用する主成分数は2、主成分スコアt1,t2を入力としてクラスタリングを実施した。クラス数は3とし,NC−スペクトラル・クラスタリングにおけるしきい値γ=0.99とした。
製品Cの分子量MC[kmol]を推定するソフトセンサを設計する。設計手順は図12及び図13に示したとおりであり、図13のステップ204で新たなプロセスでの製品の分子量を推定した。なお、対比のために、k−平均法を用いたクラスタリングも行ない、その結果を用いて図13に示す方法で製品の分子量を推定した。クラスタリング時のクラス数は3である。
5.1 構成
第1の実施の形態と同様のシステムハードウェア構成で、プロセス異常を検出する実施の形態について、説明する。
本実施の形態について、プロセスの運転時間を10分間隔にて12分割し、10分ごとに異常の判定を実施するシミュレーションを行なった。
いま、新たな反応炉R6を対象にドリフト開始時間k0=20分とし、δTを変化させ異常を発生させた。対象とするデータは後掲のテーブルに示す6ケースであるが、このうちケース1、ケース2は正常データ(δT=0)である。本実施の形態に係る装置の目的は、異常発生後できるだけ早く、正確に異常を検出することである。なお、T2統計量、Q統計量の管理限界はそれぞれ信頼区間95%として設定し、採用した主成分数は5である。
バッチプロセスモデル
シミュレーションにて用いたバッチプロセスのモデルを示す。プロセスにおける収支式等は以下の通りである。
82,84,86 反応炉
92,94,96 コントローラ
98 製品分子量推定装置
140 CPU
Claims (8)
- プラントの稼動条件と、当該稼動条件での前記プラントの過去の稼動結果から得られるデータ項目の実測値との組合せからなる実測サンプルを複数個記憶するためのデータベースと、
前記データベースに記憶された前記複数個の実測サンプルを、複数個のクラスにクラスタリングするためのクラスタリング手段と、
前記クラスタリング手段によりクラスタリングされた各クラスに対して、前記プラントにおける稼動条件と前記データ項目の値との関係を示す統計的モデルを構築するためのモデル構築手段と、
新たな稼動条件が与えられたことに応答して、前記統計的モデルと、前記新たな稼動条件とに基づいて、前記プラントの制御に関連する情報を算出するための制御情報算出手段とを含む、プラント制御情報生成装置であって、
前記クラスタリング手段は、
前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間の相関の程度を成分とする行列を、前記データベースに記憶された前記実測サンプルから算出するための行列算出手段と、
前記行列算出手段により算出された前記行列を類似度行列として、前記複数個の実測サンプルに対するスペクトル・クラスタリングを行なって、前記複数個の実測サンプルを前記複数個のクラスにクラスタリングするための手段とを含み、
前記行列算出手段は、
前記プラントの稼動条件と前記データ項目とにより定義された実測ベクトルのベクトル空間において、前記複数個の実測サンプルにより定められる複数個の実測ベクトルのうち、基準となる実測サンプルに対応する実測ベクトルを他の実測ベクトルから減算するための減算手段と、
前記減算手段により減算された後の前記他の実測ベクトルの任意の2個について、共通の線形部分空間上に存在するか否かを基準として、互いの相関を求めるための相関算出手段と、
前記減算手段による減算と、前記相関算出手段による相関の算出とを、前記基準となる実測サンプルを変えながら前記複数個の実測サンプルの全てに対して行なうための繰返算出手段と、
前記繰返算出手段により算出された、前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間で算出される複数個の相関に基づいて、前記行列を決定するための手段とを含む、プラント制御情報生成装置。 - 前記行列を決定するための手段は、前記繰返算出手段により、前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間で算出された前記複数個の相関を合計した値を成分とする行列を前記行列として出力するための手段を含む、請求項1に記載のプラント制御情報生成装置。
- 前記相関算出手段は、
前記減算手段により減算された後の前記他の実測ベクトルの任意の2個について、共通の線形部分空間上に存在するか否かを基準として、互いの相関係数を求めるための相関係数算出手段と、
前記相関係数算出手段により算出された相関係数が所定のしきい値より大きいか否かにしたがって、前記相関の値を2値化するための手段とを含む、請求項1又は請求項2に記載のプラント制御情報生成装置。 - 前記制御情報算出手段は、
新たな稼動条件が与えられたことに応答して、当該稼動条件が前記複数個のクラスのいずれに属するかを判定するための手段と、
当該クラスに対応する統計的モデルを、前記新たな稼動条件に適用することにより、前記新たな稼動条件の下での前記プラントにより生成される物質の属性を予測し、予測情報を出力するための手段とを含む、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプラント制御情報生成装置。 - 前記プラント制御情報生成装置は前記プラントの稼動状態を測定するための測定手段をさらに含み、
前記制御情報算出手段は、前記測定手段による測定結果が新たな稼動条件として与えられたことに応答して、当該稼動条件と前記複数個のクラスとを比較することにより、前記プラントの状態が異常か否かを判定するための異常判定手段を含む、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプラント制御情報生成装置。 - 前記異常判定手段は、
前記測定手段による測定結果が新たな稼動条件として与えられたことに応答して、前記複数個のクラスの統計的モデルのうち、当該稼動条件が適合するものを判定するための適合モデル判定手段と、
前記適合モデル判定手段により、前記新たな稼動条件が前記複数個のクラスの統計的モデルのいずれにも適合しないと判定されたことに応答して、前記プラントの異常を示す信号を生成し出力するための手段とを含む、請求項5に記載のプラント制御情報生成装置。 - コンピュータにより実行されると、当該コンピュータを、
プラントの稼動条件と、当該稼動条件での前記プラントの過去の稼動結果から得られるデータ項目の実測値との組合せからなる実測サンプルを複数個記憶するためのデータベースと、
前記データベースに記憶された前記複数個の実測サンプルを、複数個のクラスにクラスタリングするためのクラスタリング手段と、
前記クラスタリング手段によりクラスタリングされた各クラスに対して、前記プラントにおける稼動条件と前記データ項目の値との関係を示す統計的モデルを構築するためのモデル構築手段と、
新たな稼動条件が与えられたことに応答して、前記統計的モデルと、前記新たな稼動条件とに基づいて、前記プラントの制御に関連する情報を算出するための制御情報算出手段として機能させるコンピュータプログラムであって、
前記クラスタリング手段は、
前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間の相関の程度を成分とする行列を、前記データベースに記憶された前記実測サンプルから算出するための行列算出手段と、
前記行列算出手段により算出された前記行列を類似度行列として、前記複数個の実測サンプルに対するスペクトル・クラスタリングを行なって、前記複数個の実測サンプルを前記複数個のクラスにクラスタリングするための手段とを含み、
前記行列算出手段は、
前記プラントの稼動条件と前記データ項目とにより定義された実測ベクトルのベクトル空間において、前記複数個の実測サンプルにより定められる複数個の実測ベクトルのうち、基準となる実測サンプルに対応する実測ベクトルを他の実測ベクトルから減算するための減算手段と、
前記減算手段により減算された後の前記他の実測ベクトルの任意の2個について、共通の線形部分空間上に存在するか否かを基準として、互いの相関を求めるための相関算出手段と、
前記減算手段による減算と、前記相関算出手段による相関の算出とを、前記基準となる実測サンプルを変えながら前記複数個の実測サンプルの全てに対して行なうための繰返算出手段と、
前記繰返算出手段により算出された、前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間で算出される複数個の相関に基づいて、前記行列を決定するための手段とを含む、コンピュータプログラム。 - プラントの稼動条件と、当該稼動条件での前記プラントの過去の稼動結果から得られるデータ項目の実測値との組合せからなる実測サンプルを複数個記憶するためのデータベースと、
前記データベースに記憶された前記複数個の実測サンプルを、複数個のクラスにクラスタリングするためのクラスタリング手段と、
前記クラスタリング手段によりクラスタリングされた各クラスに対して、前記プラントにおける稼動条件と前記データ項目の値との関係を示す統計的モデルを構築するためのモデル構築手段と、
新たな稼動条件が与えられたことに応答して、前記統計的モデルと、前記新たな稼動条件とに基づいて、前記プラントの制御に関連する情報を算出するための制御情報算出手段とを含む、プラント制御情報生成装置におけるプラント制御情報生成方法であって、
前記クラスタリング手段は、
前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間の相関の程度を成分とする行列を、前記データベースに記憶された前記実測サンプルから算出するための行列算出手段と、
前記行列算出手段により算出された前記行列を類似度行列として、前記複数個の実測サンプルに対するスペクトル・クラスタリングを行なって、前記複数個の実測サンプルを前記複数個のクラスにクラスタリングするための手段とを含み、
前記行列算出手段は、
前記プラントの稼動条件と前記データ項目とにより定義された実測ベクトルのベクトル空間において、前記複数個の実測サンプルにより定められる複数個の実測ベクトルのうち、基準となる実測サンプルに対応する実測ベクトルを他の実測ベクトルから減算するための減算手段と、
前記減算手段により減算された後の前記他の実測ベクトルの任意の2個について、共通の線形部分空間上に存在するか否かを基準として、互いの相関を求めるための相関算出手段と、
前記減算手段による減算と、前記相関算出手段による相関の算出とを、前記基準となる実測サンプルを変えながら前記複数個の実測サンプルの全てに対して行なうための繰返算出手段と、
前記繰返算出手段により算出された、前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間で算出される複数個の相関に基づいて、前記行列を決定するための手段とを含み、
前記プラント制御情報生成方法は、
前記クラスタリング手段が、前記データベースに記憶された前記複数個の実測サンプルを、複数個のクラスにクラスタリングするステップと、
前記モデル構築手段が、前記クラスタリングするステップにおいてクラスタリングされた各クラスに対して、前記プラントにおける稼動条件と前記データ項目の値との関係を示す統計的モデルを構築するステップと、
前記制御情報算出手段が新たな稼動条件が与えられたことに応答して、前記統計的モデルと、前記新たな稼動条件とに基づいて、前記プラントの制御に関連する情報を算出するステップとを含み、
前記クラスタリングするステップは、
前記行列算出手段が、前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間の相関の程度を成分とする行列を、前記データベースに記憶された前記実測サンプルから算出するステップと、
前記クラスタリングするための手段が、前記算出するステップにおいて算出された前記行列を類似度行列として、前記複数個の実測サンプルに対するスペクトル・クラスタリングを行なって、前記複数個の実測サンプルを前記複数個のクラスにクラスタリングするステップとを含み、
前記算出するステップは、
前記減算手段が、前記プラントの稼動条件と前記データ項目とにより定義された実測ベクトルのベクトル空間において、前記複数個の実測サンプルにより定められる複数個の実測ベクトルのうち、基準となる実測サンプルに対応する実測ベクトルを他の実測ベクトルから減算するステップと、
前記相関算出手段が、前記減算するステップにおいて減算された後の前記他の実測ベクトルの任意の2個について、共通の線形部分空間上に存在するか否かを基準として、互いの相関を求めるステップと、
前記繰返算出手段が、前記減算するステップにおける減算と、前記相関を求めるステップにおける相関の算出とを、前記基準となる実測サンプルを変えながら前記複数個の実測サンプルの全てに対して行なう繰返算出ステップと、
前記繰返算出ステップにおいて算出された、前記複数個の実測サンプルの任意の2個の間で算出される複数個の相関に基づいて、前記行列を決定するステップとを含む、プラント制御情報生成方法。
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