以下、本発明の実施の形態による自動作業機として油圧ショベルに適用した場合を例に挙げて添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、1は自動作業機としての油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、履帯を備えた下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3とによって構成されている。また、上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム4と、該旋回フレーム4の前部側に設けられ運転室を形成するキャブ5と、キャブ5の側方に位置して旋回フレーム4の前部に設けられた作業装置6とを備えている。
ここで、キャブ5の内部には、図2に示すように、オペレータが着座する運転席7が設けられると共に、該運転席7の前側には下部走行体2の走行操作を行うための左,右の走行用操作レバー8が立設されている。また、運転席7の左,右両側にはコンソール装置9がそれぞれ設けられると共に、これらのコンソール装置9には、上部旋回体3の旋回操作や作業装置6の俯仰動操作を行うための左,右の作業用操作レバー10が設けられている。
一方、作業装置6は、図1に示すように、旋回フレーム4の前部に俯仰動可能に連結されたブーム11と、該ブーム11の先端側に俯仰動可能に連結されたアーム12と、該アーム12の先端側に回動可能に連結されたバケット13とを備え、ブーム11、アーム12、バケット13にはアクチュエータとしてのブームシリンダ14、アームシリンダ15、バケットシリンダ16が設けられている。そして、オペレータが作業用操作レバー10を中立位置NからA方向またはB方向に傾転操作することによって、これらのシリンダ14〜16は伸長または縮小する。これにより、作業装置6は、上下方向に俯仰動し、土砂等の掘削作業を行うものである。
また、作業装置6には、旋回フレーム4とブーム11との間のブーム回動角θ1を検出する第1の角度検出器17が取付けられると共に、ブーム11とアーム12との間のアーム回動角θ2を検出する第2の角度検出器18が取付けられている。これらの角度検出器17,18は、作業装置6の姿勢を検出する姿勢検出器を構成し、姿勢検出信号として例えば回動角θ1,θ2に対応した電圧、電流等の信号を出力する。そして、油圧ショベル1は、直線掘削時に、角度検出器17,18が検出した回動角θ1,θ2等に基づいて、オペレータによるアーム操作に応じてブーム操作を自動的に行うことのできる自動動作機能を備えている。
次に、油圧ショベル1の自動動作機能およびショックレス機能に係る構成について、図3を参照しつつ説明する。
21はブームシリンダ14と油圧ポンプ22との間に接続して設けられたブーム用の主切換弁で、該主切換弁21は、パイロット圧Pi1,Pi2に応じて停止位置となる中立位置(イ)から動作位置となる切換位置(ロ)、(ハ)に切り換わる。これにより、主切換弁21は、油圧ポンプ22からブームシリンダ14に供給される油量および圧油方向を切り換える。
23A,23Bはオペレータによって手動操作されるブーム用の手動減圧弁で、これらの手動減圧弁23A,23Bは、パイロットポンプ(図示せず)に接続され、ブーム用の作業用操作レバー10の傾転操作に応じて第1の油圧信号Pm1,Pm2を出力する。そして、作業装置6を手動操作するときには、油圧信号Pm1,Pm2は、後述のシャトル弁25A,25Bを介してブーム用の主切換弁21に供給され、主切換弁21のパイロット圧Pi1,Pi2として作用する。
24A,24Bは後述する演算制御装置32によって操作される電気油圧変換弁としての比例減圧弁で、これらの比例減圧弁24A,24Bは、パイロットポンプ(図示せず)に接続され、演算制御装置32から出力される電圧、電流等の電流指令信号I1,I2を第2の油圧信号Pa1,Pa2に変換して出力する。そして、作業装置6を自動動作させるときには、油圧信号Pa1,Pa2は、後述のシャトル弁25A,25Bを介してブーム用の主切換弁21に供給され、主切換弁21のパイロット圧Pi1,Pi2として作用する。
25A,25Bは入力側が手動減圧弁23A,23Bおよび比例減圧弁24A,24Bに接続されると共に、出力側がブーム用の主切換弁21に接続されたシャトル弁で、これらのシャトル弁25A,25Bは、手動減圧弁23A,23Bからの油圧信号Pm1,Pm2と比例減圧弁24A,24Bからの油圧信号Pa1,Pa2のうちの高圧側の圧力を選択してパイロット圧Pi1,Pi2としてブーム用の主切換弁21に出力する。
26A,26Bは手動減圧弁23A,23Bに接続して設けられた操作検出器で、これらの操作検出器26A,26Bは、ブーム11が手動操作されたときに、油圧信号Pm1,Pm2を電流、電圧等の電気信号に変換し、この電気信号を操作信号m1,m2として後述の演算制御装置32に出力する。
27はアームシリンダ15と油圧ポンプ28との間に接続して設けられたアーム用の主切換弁で、該主切換弁27は、パイロット圧Pi3,Pi4に応じて停止位置となる中立位置(イ)から動作位置となる切換位置(ロ)、(ハ)に切り換わる。これにより、主切換弁27は、油圧ポンプ28からアームシリンダ15に供給される油量および圧油方向を切り換える。
29A,29Bはオペレータによって手動操作されるアーム用の手動減圧弁で、これらの手動減圧弁29A,29Bは、パイロットポンプ(図示せず)に接続され、アーム用の作業用操作レバー10の傾転操作に応じて油圧信号Pm3,Pm4を出力する。そして、作業装置6を手動操作するときには、油圧信号Pm3,Pm4はパイロット圧Pi3,Pi4となってアーム用の主切換弁27に供給される。
30は入力側が手動減圧弁29A,29Bに接続されると共に、出力側が操作検出器31に接続されたシャトル弁で、該シャトル弁30は、手動減圧弁29A,29Bからの油圧信号Pm3,Pm4のうちの高圧側の圧力を選択して操作検出器31に出力する。これにより、操作検出器31は、アーム12が操作されたときに、シャトル弁30によって選択された圧力を電圧、電流等の電気信号に変換し、操作信号Rとして演算制御装置32に出力する。
32は自動動作およびショックレスのための処理を実行する制御手段としての演算制御装置で、該演算制御装置32は、主開閉器33を介してバッテリ等の電源34に接続され、電源34による電力供給によって駆動する。また、演算制御装置32には、自動動作を行うか否かを選択する自動動作切換手段としての選択スイッチ35が接続されている。
演算制御装置32は、A/D変換器等からなる入力部36と、該入力部36から入力される信号に基づいて各種の処理を行う演算処理部37と、該演算処理部37から出力される電流指令値C1,C2に基づいて制御信号としての電流指令信号I1,I2を比例減圧弁24A,24Bに出力する出力部38と、入力部36および演算処理部37に低圧の駆動電圧を供給する電源部39とを備えている。
ここで、入力部36は、入力側が角度検出器17,18、操作検出器26A,26B,31および選択スイッチ35に接続され、出力側が演算処理部37に接続されている。そして、入力部36は、角度検出器17,18のよって検出した回動角θ1,θ2、操作検出器26A,26B,31によって検出した操作量に応じた操作信号m1,m2,R、選択スイッチ35のオン/オフに応じた選択信号Sがそれぞれ入力されたときに、これらの信号をデジタル信号に変換して演算処理部37に出力する。
演算処理部37は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成されると共に、自動動作処理や後述するショックレス処理を行うプログラムが格納された記憶部37Aを備えている。そして、演算処理部37は、これらのプログラムに従って動作し、比例減圧弁24A,24Bを用いて油圧信号Pa1,Pa2を出力するために、これらの油圧信号Pa1,Pa2に応じた電流指令値C1,C2を出力する。
次に、本実施の形態による油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、自動動作を行う場合は、主開閉器33および選択スイッチ35をオン状態にし、演算制御装置32の電源部39および出力部38に電源34から駆動電圧を供給する。次いで、演算制御装置32の入力部36には、選択スイッチ35がオン状態になったことを示す選択信号S、操作検出器26A,26Bからブーム11が操作されたことを示す操作信号m1,m2、操作検出器31からアーム12が操作されたことを示す操作信号R、ブーム回動角θ1およびアーム回動角θ2の各信号が入力される。このとき、演算処理部37では、例えばアーム12の操作だけでアーム12の先端を水平に移動させるように、入力された各信号に基づいて所定の演算処理を実行する。そして、演算処理部37は、ブーム11が予め決められた所定の動作軌跡に従って自動動作するように、電流指令値C1,C2を出力部38に出力する。
例えばアーム12のみの操作に応じてブーム11を自動的に動作させる場合には、ブーム用の手動減圧弁23A,23Bは操作されないので、演算制御装置32から出力された電流指令信号I1,I2によって比例減圧弁24A,24B、シャトル弁25A,25Bを介してブーム用の主切換弁21が切り換え制御される。これにより、ブーム11は自動動作制御される。
一方、油圧ショベル1をベースマシンとして動作させる場合には、主開閉器33をオン状態に保持しつつ、選択スイッチ35をオフ状態にする。この状態で、オペレータが作業用操作レバー10を傾転操作することによって、ブーム用の手動減圧弁23A,23Bおよびアーム用の手動減圧弁29A,29Bが作動し、主切換弁21,27を切換操作することができる。これにより、油圧ショベル1をベースマシンとして作業させることができる。
また、演算制御装置32の入力部36には、選択スイッチ35がオフ状態になったことを示す選択信号Sおよび操作検出器26A,26Bからブーム11が操作されたことを示す操作信号m1,m2が入力される。このとき、演算処理部37では、入力された各信号に基づいて後述するショックレス処理を行い、ブーム11の起動時および停止時にブーム用の主切換弁21の切換えを鈍らせるように電流指令値C1,C2を出力部38に出力する。これにより、ブーム11を緩やかに起動や停止させることができる。
次に、演算制御装置32による自動動作およびショックレスの制御処理について、図4を用いて説明する。
まず、ステップ1では、入力部36に入力された、選択スイッチ35の選択信号S、操作検出器26A,26Bからブーム11が操作されたことを示す操作信号m1,m2、操作検出器31からアーム12が操作されたことを示す操作信号R、ブーム回動角θ1およびアーム回動角θ2の各データを読み込む。
ステップ2では、選択信号Sを用いて選択スイッチ35がオン状態か否かを判定する。ステップ2で「YES」と判定したときには、選択スイッチ35がオン状態となって自動動作処理が選択されているので、ステップ3に移って、操作信号Rが予め決められた判定値Rop以上か否かを判定する。
ステップ3で「YES」と判定したときには、操作信号Rが判定値Ropよりも大きくなって、アーム12が操作されているから、ステップ4に移って、ブーム11が所定の動作軌跡をとるように電流指令値C1,C2を演算すると共に、ステップ8に移って、これらの電流指令値C1,C2を出力部38に送る。これにより、出力部38は電流指令値C1,C2に応じた電流指令信号I1,I2を出力する。この結果、電流指令値C1,C2によって、ブーム11はアーム12の手動操作に連動して自動操作される。
一方、ステップ2またはステップ3で「NO」と判定したときには、手動操作が選択された場合、または自動操作の選択中でもアーム12が操作されず、自動動作を行っていない場合である。これらの場合には、ステップ5に移って、ブーム11の起動時に係るショックレス処理を行うために、後述の起動時ショック低減演算を行う。続いて、ステップ6に移って、ブーム11の停止時に係るショックレス処理を行うために、後述の停止時ショック低減演算を行う。
その後、ステップ7に移って、ステップ5によるショック低減用操作量inv_rmu1,inv_rmu2と、ステップ6によるショック低減用操作量rmd1,rmd2とに基づいて、電流指令値C1,C2を演算する。具体的には、ブーム下げ動作の起動時にパイロット圧Pi2による主切換弁21の切換え動作を緩和する逆方向のショック低減用操作量inv_rmu2と、ブーム上げ動作の停止時にパイロット圧Pi1の急激な減少を緩和する順方向のショック低減用操作量rmd1とのうち、いずれか大きい方を電流指令値C1として選択する。また、ブーム上げ動作の起動時にパイロット圧Pi1による主切換弁21の切換え動作を緩和する逆方向のショック低減用操作量inv_rmu1と、ブーム下げ動作の停止時にパイロット圧Pi2の急激な減少を緩和する順方向のショック低減用操作量rmd2とのうち、いずれか大きい方を電流指令値C2として選択する。
その後、ステップ8に移って、これらの電流指令値C1,C2を出力部38に送る。これにより、出力部38は電流指令値C1,C2に応じた電流指令信号I1,I2を出力する。この結果、電流指令値C1,C2によって、ブーム11の手動操作を行うときに、ブーム用の主切換弁21の切換えを鈍らせることができ、ブーム11の起動時や停止時に生じるショックが緩和される。
次に、図4中の起動時ショック低減演算について、図5、図7および図8を用いて説明する。
まず、ステップ11〜16はブーム上げ起動時のショックレス処理を示している。ステップ11では、ブーム下げの操作信号m2が閾値M2よりも大きいか否かを判定する。この閾値M2は、ブーム下げの手動操作がなされているか否かを判断するために予め決められた一定値となっている。そして、ステップ11で「YES」と判定したときには、ブーム下げ操作を行っている。この場合、ブーム上げ起動時のショック低減を行う必要がないので、ステップ15に移って、ブーム上げ起動時のショック低減用操作量rmu1を現在のブーム上げの操作信号m1と同じ値に設定すると共に、ステップ16に移って、逆方向のショック低減用操作量inv_rmu1を操作信号m1からショック低減用操作量rmu1を減算した値に設定する。この場合、ショック低減用操作量rmu1と操作信号m1とは同じ値になるから、ショック低減用操作量inv_rmu1は、零に設定される(inv_rmu1=0)。
一方、ステップ11で「NO」と判定したときには、ブーム下げ操作は行っていないから、ステップ12に移って、ブーム上げの操作信号m1がブーム上げ起動時のショック低減用操作量rmu1よりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ12で「NO」と判定したときには、操作信号m1がショック低減用操作量rmu1よりも小さいから、このままブーム11を起動させてもショックが生じることはない。この場合、ブーム上げ起動時のショック低減を行う必要がないので、ステップ15に移って、ショック低減用操作量rmu1を操作信号m1と同じ値に設定すると共に、ステップ16に移って、逆方向のショック低減用操作量inv_rmu1を操作信号m1からショック低減用操作量rmu1を減算した値に設定する。この場合でも、ショック低減用操作量rmu1と操作信号m1とは同じ値になるから、ショック低減用操作量inv_rmu1は、零に設定される(inv_rmu1=0)。
これに対し、ステップ12で「YES」と判定したときには、ブーム上げの操作信号m1がブーム上げ起動時のショック低減用操作量rmu1よりも大きくなり、操作信号m1が急激に増加した可能性がある。このため、ステップ13に移って、現在のショック低減用操作量rmu1と図7に示す特性線40とに基づいて、ブーム上げ操作起動時のショックを低減するために制限すべきブーム上げ手動操作の単位時間当たりの操作圧増加量fmu1(rmu1)を演算し、この操作圧増加量fmu1(rmu1)と現在のショック低減用操作量rmu1とを加算して、新たなショック低減用操作量rmu1を算出する。
なお、ショック低減用操作量rmu1が零(rmu1=0)のときでも、操作圧増加量fmu1(rmu1)は、正の初期値fmu1(0)(fmu1(0)>0)が生じるものである。
次に、ステップ14では、新たなショック低減用操作量rmu1がブーム上げの操作信号m1よりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ14で「YES」と判定したときには、操作信号m1の増加量は操作圧増加量fmu1(rmu1)よりも小さいから、ブーム上げ起動時のショック低減を行う必要がない。このため、ステップ15,16の処理を行ってステップ17に移行する。
一方、ステップ14で「NO」と判定したときには、操作信号m1の増加量が大きく、ブーム上げの操作信号m1が新たなショック低減用操作量rmu1よりも大きいから、このままブーム上げ動作を行うとショックが発生する虞れがある。このため、ステップ16に移って、逆方向のショック低減用操作量inv_rmu1を操作信号m1からショック低減用操作量rmu1を減算した値に設定し、ステップ17に移行する。
次に、ステップ17〜22はブーム下げ起動時のショックレス処理を示している。ステップ17では、ブーム上げの操作信号m1が閾値M1よりも大きいか否かを判定する。この閾値M1は、ブーム上げの手動操作がなされているか否かを判断するために予め決められた一定値となっている。そして、ステップ17で「YES」と判定したときには、ブーム上げ操作を行っている。この場合、ブーム下げ起動時のショック低減を行う必要がないので、ステップ21に移って、ブーム下げ起動時のショック低減用操作量rmu2を現在のブーム下げの操作信号m2と同じ値に設定すると共に、ステップ22に移って、逆方向のショック低減用操作量inv_rmu2を操作信号m2からショック低減用操作量rmu2を減算した値に設定する。この場合、ショック低減用操作量rmu2と操作信号m2とは同じ値になるから、ショック低減用操作量inv_rmu2は、零に設定される(inv_rmu2=0)。
一方、ステップ17で「NO」と判定したときには、ブーム上げ操作は行っていないから、ステップ18に移って、ブーム下げの操作信号m2がブーム下げ起動時のショック低減用操作量rmu2よりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ18で「NO」と判定したときには、操作信号m2がショック低減用操作量rmu2よりも小さいから、このままブーム11を起動させてもショックが生じることはない。この場合、ブーム下げ起動時のショック低減を行う必要がないので、ステップ21に移って、ショック低減用操作量rmu2を操作信号m2と同じ値に設定すると共に、ステップ22に移って、逆方向のショック低減用操作量inv_rmu2を操作信号m2からショック低減用操作量rmu2を減算した値に設定する。この場合でも、ショック低減用操作量rmu2と操作信号m2とは同じ値になるから、ショック低減用操作量inv_rmu2は、零に設定される(inv_rmu2=0)。
これに対し、ステップ18で「YES」と判定したときには、ブーム下げの操作信号m2がブーム下げ起動時のショック低減用操作量rmu2よりも大きくなり、操作信号m2が急激に増加した可能性がある。このため、ステップ19に移って、現在のショック低減用操作量rmu2と図8に示す特性線41とに基づいて、ブーム下げ操作起動時のショックを低減するために制限すべきブーム下げ手動操作の単位時間当たりの操作圧増加量fmu2(rmu2)を演算し、この操作圧増加量fmu2(rmu2)と現在のショック低減用操作量rmu2とを加算して、新たなショック低減用操作量rmu2を算出する。
なお、ショック低減用操作量rmu2が零(rmu2=0)のときでも、操作圧増加量fmu2(rmu2)は、正の初期値fmu2(0)(fmu2(0)>0)が生じるものである。また、ブーム上げ操作では、油圧ポンプ22からの圧油によってブーム11を上向きに回動させるのに対し、ブーム下げ操作では、油圧ポンプ22からの圧油に加えて、作業装置6の重量等によってブーム11が下向きに回動する。この点を考慮して、図8に示すブーム下げ操作起動時の操作圧増加量fmu2(rmu2)の特性線41は、図7に示すブーム上げ操作起動時の操作圧増加量fmu1(rmu1)の特性線40よりも緩やかに変化する構成となっている。これらの操作圧増加量fmu1(rmu1),fmu2(rmu2)の特性は、油圧ショベル1の仕様等に応じて適宜設定されるものである。
次に、ステップ20では、新たなショック低減用操作量rmu2がブーム上げの操作信号m2よりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ20で「YES」と判定したときには、操作信号m2の増加量は操作圧増加量fmu2(rmu2)よりも小さいから、ブーム下げ起動時のショック低減を行う必要がない。このため、ステップ21,22の処理を行ってステップ23でリターンする。
一方、ステップ20で「NO」と判定したときには、操作信号m2の増加量が大きく、ブーム下げの操作信号m2が新たなショック低減用操作量rmu2よりも大きいから、このままブーム上げ動作を行うとショックが発生する虞れがある。このため、ステップ22に移って、逆方向のショック低減用操作量inv_rmu2を操作信号m2からショック低減用操作量rmu2を減算した値に設定し、ステップ23でリターンする。
次に、図4中の停止時ショック低減演算について、図6、図9および図10を用いて説明する。
まず、ステップ31〜36はブーム上げ停止時のショックレス処理を示している。ステップ36では、ブーム下げの操作信号m2が予め決められた閾値M2よりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ31で「YES」と判定したときには、ブーム下げ操作を行っている。この場合、ブーム上げ停止時のショック低減を行う必要がないので、ステップ36に移って、ブーム上げ停止時のショック低減用操作量rmd1を零に設定する(rmd1=0)。
一方、ステップ31で「NO」と判定したときには、ブーム下げ操作は行っていないから、ステップ32に移って、ブーム上げの操作信号m1がブーム上げ停止時のショック低減用操作量rmd1よりも小さいか否かを判定する。そして、ステップ32で「NO」と判定したときには、操作信号m1がショック低減用操作量rmd1よりも大きいから、このままブーム11を停止させてもショックが生じることはない。この場合、ブーム上げ停止時のショック低減を行う必要がないので、ステップ35に移って、ショック低減用操作量rmd1を操作信号m1と予め決められた係数kd1を掛けた値(rmd1=kd1×m1)に設定する。このとき、係数kd1は、ブーム下げ停止時のショックレス処理を開始する操作圧を決めるための定数であり、1よりも小さい値に設定されている(kd1<1)。
これに対し、ステップ32で「YES」と判定したときには、ブーム上げの操作信号m1がブーム上げ停止時のショック低減用操作量rmd1よりも小さくなり、操作信号m1が急激に低下した可能性がある。このため、ステップ33に移って、現在のショック低減用操作量rmd1と図9に示す特性線42とに基づいて、ブーム上げ操作停止時のショックを低減するために制限すべきブーム上げ手動操作の単位時間当たりの操作圧減少量fmd1(rmd1)を演算し、この操作圧減少量fmd1(rmd1)を現在のショック低減用操作量rmd1から減算して、新たなショック低減用操作量rmd1を算出する。
次に、ステップ34では、新たなショック低減用操作量rmd1が零以下(rmd1≦0)か否かを判定する。そして、ステップ34で「YES」と判定したときには、ショック低減用操作量rmd1が零以下になっているから、ステップ36に移って、ブーム上げ停止時のショック低減用操作量rmd1を零に設定する(rmd1=0)。
一方、ステップ34で「NO」と判定したときには、新たなショック低減用操作量rmd1が零よりも大きいから、ショック低減用操作量rmd1をそのままの値を保持してステップ37に移行する。
次に、ステップ37〜42はブーム下げ停止時のショックレス処理を示している。ステップ37では、ブーム上げの操作信号m1が予め決められた閾値M1よりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ37で「YES」と判定したときには、ブーム上げ操作を行っている。この場合、ブーム下げ停止時のショック低減を行う必要がないので、ステップ42に移って、ブーム下げ停止時のショック低減用操作量rmd2を零に設定する(rmd2=0)。
一方、ステップ37で「NO」と判定したときには、ブーム上げ操作は行っていないから、ステップ38に移って、ブーム下げの操作信号m2がブーム下げ停止時のショック低減用操作量rmd2よりも小さいか否かを判定する。そして、ステップ38で「NO」と判定したときには、操作信号m2がショック低減用操作量rmd2よりも大きいから、このままブーム11を停止させてもショックが生じることはない。この場合、ブーム下げ停止時のショック低減を行う必要がないので、ステップ41に移って、ショック低減用操作量rmd2を操作信号m2と予め決められた係数kd2を掛けた値(rmd2=kd2×m2)に設定する。このとき、係数kd2は、ブーム下げ停止時のショックレス処理を開始する操作圧を決めるための定数であり、1よりも小さい値に設定されている(kd2<1)。
これに対し、ステップ38で「YES」と判定したときには、ブーム下げの操作信号m2がブーム下げ停止時のショック低減用操作量rmd2よりも小さくなり、操作信号m2が急激に低下した可能性がある。このため、ステップ39に移って、現在のショック低減用操作量rmd2と図10に示す特性線43とに基づいて、ブーム下げ操作停止時のショックを低減するために制限すべきブーム下げ手動操作の単位時間当たりの操作圧減少量fmd2(rmd2)を演算し、この操作圧減少量fmd2(rmd2)を現在のショック低減用操作量rmd2から減算して、新たなショック低減用操作量rmd2を算出する。
次に、ステップ40では、新たなショック低減用操作量rmd2が零以下(rmd2≦0)か否かを判定する。そして、ステップ40で「YES」と判定したときには、新たなショック低減用操作量rmd2が零以下になっているから、ステップ42に移って、ブーム下げ停止時のショック低減用操作量rmd2を零に設定する(rmd2=0)。
一方、ステップ40で「NO」と判定したときには、新たなショック低減用操作量rmd2が零よりも大きいから、ショック低減用操作量rmd2をそのままの値に保持してステップ43でリターンする。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述のようなショックレス機能を有するもので、次にその作動について図11を参照しつつ説明する。なお、図11はブーム上げ操作の起動と停止を行った場合を示している。
まず、手動操作によって停止状態のブーム11を上向きに回動させるときには、オペレータは、選択スイッチ35をオフ状態に切り換えた状態で、作業用操作レバー10を中立位置Nから図2中の矢示A方向に向けて傾転操作する。このとき、作業用操作レバー10によって手動減圧弁23Aが作動し、作業用操作レバー10の傾転角度に応じた油圧信号Pm1を発生させる。これにより、油圧信号Pm1がパイロット圧Pi1としてブーム用の主切換弁21に作用するから、主切換弁21は中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切り換わり、ブームシリンダ14を伸長させる。
ここで、オペレータが作業用操作レバー10を急に大きく傾転させたときには、主切換弁21の切換動作が速過ぎてブーム11等にショックが生じる虞れがある。このとき、図11中の特性線44に示すように、演算制御装置32には操作検出器26Aから操作信号m1が入力される。このため、演算処理部37は、図4および図5に示す起動時ショック低減演算を行い、主切換弁21を中立位置(イ)に戻す方向に向けて作用させるために、図11中の特性線45に示すように、操作信号m1に基づいて逆方向のショック低減用操作量inv_rmu1を算出する。このショック低減用操作量inv_rmu1は、出力部38および比例減圧弁24Bを通じて油圧信号Pa2に変換されるから、この油圧信号Pa2が逆方向のパイロット圧Pi2としてブーム用の主切換弁21に作用する。
これにより、主切換弁21には互いに逆向きのパイロット圧Pi1,Pi2が作用するから、図11中の特性線47に示すように、これらの差分(Pi1−Pi2)に応じて主切換弁21が切り換わる。この結果、主切換弁21の切換動作が鈍くなり、ショックを低減しつつブーム11の上げ動作を開始することができる。
一方、上向きに回動するブーム11を停止させるときには、オペレータは、作業用操作レバー10を図2中の矢示A方向に傾転した状態から中立位置Nに向けて傾転操作する。このとき、作業用操作レバー10によって手動減圧弁23Aが作動し、作業用操作レバー10の傾転角度に応じて油圧信号Pm1を減少させる。これにより、油圧信号Pm1およびパイロット圧Pi1が減少するから、主切換弁21は切換位置(ロ)から中立位置(イ)に切り換わり、ブームシリンダ14を停止させる。
ここで、オペレータが作業用操作レバー10を急に大きく傾転させたときには、主切換弁21の切換動作が速過ぎてブーム11等にショックが生じる虞れがある。このとき、演算制御装置32には操作検出器26Aから操作信号m1が入力される。このため、演算処理部37は、図4および図6に示す停止時ショック低減演算を行い、主切換弁21が中立位置(イ)に切り換わるのを遅延させるために、図11中の特性線46に示すように、操作信号m1に基づいて順方向のショック低減用操作量rmd1を算出する。このショック低減用操作量rmd1は、出力部38および比例減圧弁24Aを通じて油圧信号Pa1に変換されるから、この油圧信号Pa1が手動減圧弁23Aの油圧信号Pm1よりも高圧になることによって、パイロット圧Pi1としてブーム用の主切換弁21に作用する。
これにより、パイロット圧Pi1を減少させる途中で、パイロット圧Pi1が手動減圧弁23Aの油圧信号Pm1から比例減圧弁24Aの油圧信号Pa1に切り換わる。この結果、図11中の特性線47に示すように、パイロット圧Pi1の減少が緩和されて主切換弁21の切換動作が鈍くなり、ショックを低減しつつブーム11の上げ動作を停止することができる。
以上のショックレス機能については、ブーム上げ操作の起動と停止を行った場合を例に挙げて説明したが、ブーム下げ操作を行う場合でも同様に作用するものである。
かくして、本実施の形態では、演算制御装置32は、選択スイッチ35によって自動動作を駆動しているときには、オペレータによる操作信号m1,m2と角度検出器によって検出した回動角θ1,θ2とに基づいて電流指令信号I1,I2を出力する。一対の比例減圧弁24A,24Bは、この電流指令信号I1,I2によって励磁されて油圧信号Pa1,Pa2を出力するから、シャトル弁25A,25Bは、手動減圧弁23A,23Bからの油圧信号Pm1,Pm2と比例減圧弁24A,24Bからの油圧信号Pa1,Pa2とのうち高圧側の油圧信号を選択して主切換弁21に向けて出力する。これにより、作業装置6のブーム11を所定の動作軌跡に沿って自動動作させることができる。
一方、演算制御装置32は、選択スイッチ35によって自動動作を停止しているときには、作業装置6のブーム11が上向きに回動する状態から停止状態に切換えるブーム上げ操作の停止時に、比例減圧弁24Aを励磁してブーム上げ操作を検出する操作検出器26Aによって検出された操作信号m1の方向と同方向の油圧信号Pa1を発生させる。これに加えて、図6中のステップ37,42等に示すように、ショック低減用操作量rmd2を零に設定し、比例減圧弁24Bの励磁を遮断する。
このとき、シャトル弁25Aは、手動減圧弁23Aからの油圧信号Pm1と比例減圧弁24Aからの油圧信号Pa1とのうち高圧側の油圧信号を選択して主切換弁21に向けて出力する。このため、手動操作によって手動減圧弁23Aからの油圧信号Pm1が早期に低下するときでも、油圧信号Pm1と同方向となる比例減圧弁24Aからの油圧信号Pa1を高めて、切換位置(ロ)から中立位置(イ)に切り換わるときの主切換弁21の切換えを遅延させることができ、ブーム上げ操作の停止時にブーム11等に生じるショックを緩和することができる。
同様に、ブーム下げ操作の停止時でも、切換位置(ハ)から中立位置(イ)に切り換わるときの主切換弁21の切換えを遅延させることができ、ブーム11等に生じるショックを緩和することができる。これにより、自動動作用の機器を用いて手動操作による停止時のショックレス機能を実現することができるから、ショックレスバルブを設けた場合に比べて、製造コストを低下させることができる。また、演算処理部37の処理プログラム等のようにソフトウェアによってショックレス機能を実現できるので、例えば図7ないし図10に示す特性線40〜43を変更することによって、ショックレスの効き方を容易に調整することができる。
また、例えばオペレータがブーム上げ操作の停止途中で作業用操作レバー10を中立位置Nよりも矢示B方向に傾転させると、演算制御装置32は、操作検出器26Bによってブーム下げ操作を検出する。このとき、演算制御装置32は、図6中のステップ31,36等に示すように、操作方向と同方向のショック低減用操作量rmd1を零に設定し、比例減圧弁24Aの励磁を遮断する。同様に、演算制御装置32は、ブーム下げ操作の停止時に操作検出器26Aによってブーム上げ操作を検出すると、図6中のステップ37,42等に示すように、操作方向と同方向のショック低減用操作量rmd2を零に設定し、比例減圧弁24Bの励磁を遮断する。これにより、ブーム11の停止途中であっても、オペレータが逆方向に向けてブーム11を操作するときには、停止時のショックレス機能を解除して速やかに作業装置6を動作させることができる。
さらに、演算制御装置32は、選択スイッチ35によって自動動作を停止しているときには、ブーム11の停止状態からブーム11が上向きに回動する状態に切換えるブーム上げ操作の起動時に、比例減圧弁24Bを励磁してブーム上げ操作を検出する操作検出器26Aによって検出された操作信号m1の方向と逆方向の油圧信号Pa2を発生させる。これに加えて、図5中のステップ11,15,16等に示すように、操作方向と同じ順方向のショック低減用操作量inv_rmu1を零に設定し、比例減圧弁24Aの励磁を遮断する。
このとき、手動減圧弁23Aは主切換弁21を中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切り換える油圧信号Pm1を出力するのに対し、比例減圧弁24Bは、ショック低減用操作量inv_rmu1に応じて油圧信号Pm1とは逆方向となる油圧信号Pa1を出力する。これにより、主切換弁21が中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切換わるのを遅延させることができ、ブーム上げ操作の起動時にブーム11等に生じるショックを低減することができる。
同様に、ブーム下げ操作の起動時でも、中立位置(イ)から切換位置(ハ)に切り換わるときの主切換弁21の切換えを遅延させることができ、ブーム11等に生じるショックを緩和することができる。これにより、自動動作用の機器を用いて手動操作による起動時のショックレス機能を実現することができる。
なお、前記実施の形態では、ブーム11の起動時および停止時の両方でショックレス機能を動作させる構成としたが、起動時のみショックレス機能を動作させる構成としてもよく、停止時のみショックレス機能を動作させる構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、ブーム上げ操作の停止途中でブーム下げ操作を行ったときには、停止時用のショックレス機能を解除する構成とした。同様に、ブーム下げ操作の停止途中でブーム上げ操作を行ったときにも、停止時用のショックレス機能を解除する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、ブームの停止途中で逆方向の操作を行うときでも、ショックレス機能をそのまま動作させる構成としてもよい。
さらに、前記実施の形態は、オペレータによるアーム操作に応じてブーム操作を自動的に操作し、直線掘削可能な油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば教示された動作軌跡に従って掘削から放土までを自動動作する油圧ショベル等の自動作業機に適用してもよい。