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JP5458446B2 - 生体材料の保存方法 - Google Patents
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Description

この発明は、血液、細胞、組織、及び臓器を含む、生体材料の保存方法に関する。
従来、微生物及び動物由来物の保存方法として、100Vないし5000Vの交流又は直流電圧を電極に印加して静電場雰囲気を形成し、−20℃〜−40℃でこの静電場雰囲気内におくことによる保存方法が開示されていた。これは、100V〜5000V、好ましくは100V〜3000Vの交流又は直流電圧の静電場雰囲気に保存することにより、微生物又は動物由来物が有する活性を不活化若しくは不活性化させることなく、又は死滅化させることなく保存することができる、とされるものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−112839号公報
しかしながら、従来の保存方法では、電流電圧のかけ方について、電流は交流、直流のいずれであってもよいとされ、100V、500V、1000V等といった各電圧値の他に、有効な電圧印加方法の特定はされていなかった。また上記従来の保存方法では、長期間の間自然に近い状態で、微生物又は動物由来物が有する活性を不活化若しくは不活性化させることなく、又は死滅化させることなく保存することに主眼を置いたものであった。このため、保存による酸化の抑制や細胞障害の軽減が十分にできるものとはいいきれなかった。
上記課題を解決すべく、本発明では下記(1)ないし(2)の手段を採用するものとしている。すなわち、
(1)本発明の生体材料の保存方法は、冷蔵庫内に電圧印加板を設置し、生体材料を収容した収容器を前記電圧印加板の上に載置し、前記生体材料に対して交流電圧とマイナスの直流電圧とを同時にかけることで、電圧同時印加ステップを行いながら生体材料を凍結する生体材料の保存方法であって、前記交流電圧の設定値の絶対値よりも前記直流電圧の設定値の絶対値のほうが大きいことを特徴とする。
(2)また、前記生体材料の保存方法において、電圧同時印加ステップが、生体材料の少なくとも周囲を囲む導電性金属からなる収容器に生体材料を収容し、前記収容器の外部の一面に、直流電圧と交流電圧とを重畳印加した電圧印加板を直接又は間接的に沿わせることで、生体材料を間接的に電圧印加するものであることが好ましい。
上記構成を採用することで、保存中の生体材料Oの溶存酸素を不活性化させることで、より効果的な保存による酸化の抑制や細胞障害の軽減が達成される。
実施例1の生体材料の保存方法における、印加板、収容器及び電極の保存時の状態例を示す斜視説明図である。 図1に示す実施例1の状態例に、更に保存庫を含めた保存時の全体構成を示す正面視断面説明図である。 実施例2の生体材料の保存方法における、印加板、収容器及び電極の保存時の状態例を示す斜視説明図である。 図3に示す実施例2の状態例に、更に保存庫を含めた保存時の全体構成を示す正面視断面説明図である。 実施例3の生体材料の保存方法における保存時の(保存庫を含む)全体構成を示す概念説明図である。 実験1の、室温保存によるラット血清脂質過酸化反応の抑制に関するデータを示す図である。 実験2の、ヒト赤血球凍結における直流交流同時印加の優位性に関するデータを示す図である。 実験3の、ヒト赤血球凍結における電圧印加の至適条件に関するデータを示す図である。 実験4の、細胞培養による酸化ストレス下での細胞死の比較に関するデータを示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、実施例1の生体材料Oの保存方法における、印加板2、収容器1及び電極の保存時の状態例を示す斜視説明図である。図2は、図1に示す実施例1の状態例に、更に保存庫4を含めた保存時の全体構成を示す正面視断面説明図である。図3は、実施例2の生体材料Oの保存方法における、印加板2、収容器1及び電極の保存時の状態例を示す斜視説明図である。図4は、図3に示す実施例2の状態例に、更に保存庫4を含めた保存時の全体構成を示す正面視断面説明図である。図5は、実施例3の生体材料Oの保存方法における保存時の(保存庫4を含む)全体構成を示す概念説明図である。図6ないし図9はそれぞれ、実験1ないし実験4によるデータを示す図である。具体的には、図6が、室温保存によるラット血清脂質過酸化反応の抑制に関する実験1のデータである。また、図7が、ヒト赤血球凍結における直流交流同時印加の優位性に関する実験2のデータであり、図8が、ヒト赤血球凍結における電圧印加の至適条件に関する実験3のデータであり、図9が、細胞培養による酸化ストレス下での細胞死の比較に関する実験4のデータである。
(「血液、細胞、組織、及び臓器の保存」という言葉の及ぶ範囲について)
「生体材料Oの保存」という言葉の及ぶ範囲に関し、本発明の「生体材料O」には、血液、細胞、組織、及び臓器のいずれもが含まれる。また、「生体材料Oの保存」という言葉の及ぶ範囲に関し、本発明の「保存」には次の3つの意味が含まれる。
(1)室温保存(4℃から20℃(室温))
(2)凍結保存(−20℃から−196℃(液体窒素の温度))
(3)細胞の培養保存(37℃)
後述する実験1(図6)は、ラットの血清を上記1)室温保存したものである。また実験2(図7)及び3(図8)は、ヒト赤血球の凍結保存である。なお、(実験2)と(実験3)は同じ実験であるが、(実験2)の方はα(交流)単独とβ(直流)単独及びαβ併用とを比較したもので、(実験3)は同時印加の至適条件を調べたものである。実験4(図9)は(3)の培養保存である。
本発明の実施例1の生体材料Oの保存方法は、生体材料Oに対して図1及び図2に示す保存装置によって、直流電圧と交流電圧とを同時に、すなわち重畳的にかける電圧同時印加ステップを含むことを特徴とする。この電圧同時印加ステップは、収容器1たるチューブスタンド型保持器に生体材料Oを収容し、前記収容器1の外部の一面に、直流電圧と交流電圧とを重畳印加した電圧印加板2上を直接接触させて沿わせることで、生体材料Oを間接的に電圧印加するものである。なお、収容器1と印加板2とを接触させず、印加板2を間接的に沿わせる保存状態でも良い。
本発明の同時電圧印加を行う場合、例えば収容器1に直接電極を繋ぐことによる電圧印加や、生体材料Oを印加板2に直接載置することによる電圧印加よりも、前記のような間接的な電圧印加のほうが、効率的に、均等な電圧印加効果を得られることが判った。
具体的には、電圧同時印加ステップは、直流電圧と交流電圧とを重畳印加した電圧印加板2上に、生体材料Oを入れた収容器1(実施例1の収容器1はチューブスタンド型保持器)を積置することによる。
(収容器1)
収容器1は、生体材料Oの少なくとも周囲を囲むようにして生体材料Oを収容する容器であり、導電性金属、特に高伝導性の金属を主成分としてなる。実施例1では、純度80%以上のアルミニウムを主成分とする金属からなる。具体的には、60mm厚さのアルミニウム板に、生体材料Oを収容するための収容穴1hを8個、所定の穴間隔を開けてくりぬいた、チューブスタンド型保持器である。
(収容穴1h)
収容穴1hは、収容器1の少なくとも壁及び底(好ましくは更に蓋)に覆われて、収容した生体材料Oの、少なくとも周囲四方向及び下面方向(好ましくは更に上面)を囲うように構成される。但し、ここでいう底(或いは生体材料Oからみた下面方向)とは、電圧印加される印加板2をそわせる構成板をいう。
収容穴1h内の生体材料Oからみたとき、間接的な電圧印加の作用する方向(下面方向)を導電板(底板)で覆い、かつ、少なくとも、同方向と逆の方向(上面方向)を除いた、すべての側面方)を導電板(四方に連なる壁板)で覆うこととなる。
実施例1の収容穴1hは、円柱状にくりぬいた円柱穴からなる。生体材料Oが血液の場合、この収容穴1hに、試験管に入れた血液を収容するか、或いは血液を直接収容する。収容穴1hは穴のいずれの深さにおける断面も等しいことが好ましい。
(壁厚及び底厚)
同時印加による効果のために、収容器1の構成材料の厚さは、10mm以上(少なくとも底厚10mm、壁厚15mm以上、好ましくは底厚、壁厚共に15mm程度)であることが好ましい。
実施例1では、平面視縦方向の最小壁厚1a(収容穴1h側端から収容器1の正面側面(又は背面側面)までの水平方向最小距離)が15mm、
平面視横方向の最小壁厚1b(収容穴1h側端から収容器1の右側面(又は左側面)までの水平方向最小距離)が30mm、
高さ方向の最小底厚1c(収容穴1h底から収容器1の底面までの鉛直方向最小距離)が15mm、
収容穴1h断面の代表長1d(円形の収容穴1h断面の径、方形の収容穴1h断面の長辺)が14mm、
収容穴1h間の最小壁厚1e(隣り合う第一の収容穴1h側端から、隣り合う第二の収容穴1h側端までの水平方向最小距離)が15mmである。
(印加板2)
印加板2は、導電性材料からなる板であり、一対の電気配線3による電極をそれぞれ対称位置に配してなる。電気配線3は、直流及び交流共に共通配線3としてなり、電極もまた直流及び交流を共有するものとして配される。これにより、同時印加によって、交流電圧の一部が直流電圧に重畳的に変換され、交流電圧の設定値よりも実際の(生体材料Oへの)交流電圧の実効値が低くなり、その分、直流電圧の設定値よりも実際の(生体材料Oへの)直流電圧の実効値が高くなる。
印加電圧は、直流、交流いずれも5000Vを超えないことが好ましい。さらにいえば、交流電圧の設定値が500ないし2500V、直流電圧の設定値が200ないし1000Vであることが好ましい。また、直流電圧はマイナスであることが好ましく、さらに交流電圧の設定値よりも、直流電圧の設定値(の絶対値)のほうが大きいことが好ましい。
また、交流と直流の各電圧値の組合せについて好ましくは、直流電圧の設定値が1000V程度又は3000V程度のとき、交流電圧の設定値が500ないし550V程度であることが好ましい。
但し、上記及び本発明にいう設定値とは、交流又は直流いずれか単独で電圧をかけたときの、実際の生体材料Oへの実効値をいう。
(保存庫4)
印加板2は、図2に示すような、保存棚月の保存庫4のうえに載置し、この状態で生体材料Oを保存する。
実施例2では、電圧同時印加ステップとして、直流電圧と交流電圧とを重畳印加した電圧印加板2上に、生体材料Oを入れた底厚、壁厚共に15mmの収容器1(実施例2の収容器1は升型保持器)を積置することによる。実施例2の収容器1を用いた電圧の同時印加保存によれば、容積の比較的大きな生体材料Oであっても、その他の構成は実施例1と同様である。
実施例3では、実施例1と比較して、収容器1の代わりに所定の袋材厚以上の収容袋を用いている。但し収容袋の内面には、導電性材料が塗布或いはラミネートされており、生体材料Oとほぼ全方向で接触することで、同時印加による効果を効率的に得るものとしている。生体材料Oには、図のAで示す直流電圧によるイオン誘引方向と、Bの矢印で示す交流電圧によるイオン誘引方向とが重畳的にかかる。
上記各実施例は、本発明の保存方法を達成するための例に過ぎず、必ずしも上記構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
(実験1「電圧印加によるラット血清脂質過酸化反応の抑制」(図6))
実験1として、ラットの血清を室温保存し、過酸化脂質量を測定した。
(実験1の実験方法)
ラット末梢血より血清を分離し、試料とした。試料をチューブに分注し、室温(20度)にて12時間静置、保存した。この際に印加板にα(交流)2020V、β(直流)3000Vの電圧を印加し、試料を印加板の上で印加しつつ保存した。12時間の保存の後、TBARS法(チオバルビツール酸反応物質法)を用いて過酸化脂質量を測定し、印加していない試料と比較した。TBARS法での測定では、試料中の過酸化脂質が分解してできるマロンジアルデヒド(MDA)がチオバルビツール酸と反応して赤色反応物をつくることを利用し、分光光度計にてその吸光度(525nm)を測定する。測定ではPharmacia Biotech社製Ultrospec 3000を用いて吸光度を測定し、その吸光度をもってそれぞれの群間で比較した。
(実験1の結果)
交流直流の電圧を印加した試料中の過酸化脂質量は、印加していない試料と比較して有意に吸光度が低く、過酸化脂質の産生が抑制されていることが示された。
このことは、電圧印加によって、血清中の脂質の酸化が抑制されていることを示している。
(実験2)「ヒト赤血球凍結における交流直流同時印加の優位性」(Effects of NICE01 Electric Deviceon RBC Cryopreservation(NICE01とは、本願発明の実施例1の保存装置を示す)と題された図7参照)
(実験2の実験方法)
ボランティアより採血して得られたヒト末梢血洗浄赤血球に凍結保存液(アルブミン加CP−1、極東製薬社)を等量添加した後に、−20度で3時間かけて凍結した。この際に冷凍庫内にアルミニウム製印加板を設置し、本発明の実施例1の電圧印加保存装置を用い、交流電圧(α5:980V)のみの単独印加、直流電圧(β8:3000V)のみの単独印加、交流直流同時(重畳)印加(α5β8)の3群それぞれについて電場を作製し、印加板の上で凍結を行なった。
凍結サンプルはその後−80度のフリーザー内で2週間保存し、37度恒温槽にて解凍の後、遠心分離を行い、その上清中のLDH(乳酸脱水素酵素)量を測定した。LDH測定はPromega社製のLDH release assay kitを用いて測定し、吸光度はMolecular Devices社製のTERMO MAX microplate readerを用いて測定した。測定結果を、交流電圧(α5:980V)単独印加、直流電圧(β8:3000V)単独印加、及び交流直流同時(重畳)印加(α5β8)の3群間で比較した。
(実験2の結果)
凍結解凍後に末梢血赤血球より逸脱したLDHは、交流単独、直流単独また交流直流併用群のいずれの群においても電圧印加(−)よりも減少しており、細胞障害が少ないことが示された。また、交流直流併用において、交流単独、また直流単独よりも有意に細胞障害の低下が認められた。
この結果より、電圧印加凍結における細胞障害の軽減はα及びβの両者を同時印加した際に、より顕著にみられることが確認された。
(実験3:「ヒト赤血球凍結における電圧印加の至適条件」(図8))
(実験3の実験方法)
実験2と同様、ボランティアより採血して得られたヒト末梢血洗浄赤血球に凍結保存液(アルブミン加CP−1、極東製薬社)を等量添加した後に、−20度で3時間かけて凍結した。この際に冷凍庫内にアルミニウム製印加板を設置し、本発明の実施例1の電圧印加保存装置を用い、表1に示す交流電圧(α)と、表2に示す直流電圧(β)の両者を印加し電場を作製し、印加板の上で凍結を行なった。電圧印加はαとβをそれぞれ、図8に示す組合せで行った。
凍結サンプルはその後−80度のフリーザー内で2週間保存し、37度恒温槽にて解凍の後、遠心分離を行い、その上清中のLDH(乳酸脱水素酵素)量を測定した。LDH測定はPromega社製のLDH release assay kitを用いて測定し、吸光度はMolecular Devices社製のTERMO MAX microplate readerを用いて測定した。このとき、吸光度自体は、測定時の温度条件などで実験ごとに値は変わるため、必ずコントロールすなわち電圧印加していないもの(図8の2本の各並列グラフの左側)と、電圧印加したもの(図8の2本の各並列グラフの右側)との二つを各実験ごとに同時に行い、それを比較することで印加の効果があるかどうかを検討した。
(実験3の結果)図8に実験3の結果を示す。図8では、各α(交流電圧)β(直流電圧)の組合せにおけるLDH量を、電圧印加していないもの(左側の色の薄いグラフ)と、電圧印加したもの(右側の色の濃いグラフ)とをそれぞれ並べて2本ずつ示す。図8では、Y軸(縦軸)の目盛りは吸光度の実測値を示す。値が大きいほど、壊れた赤血球の細胞内から遊離される酵素(LDH)の量が増えていて、細胞障害の程度が大きいということになる。吸光度自体は、測定時の温度条件などで実験ごとに値は変わるため、必ずコントロールすなわち電圧印加していないもの(図8の2本の各並列グラフの左側)と、電圧印加したもの(図8の2本の各並列グラフの右側)との二つを各実験ごとに同時に行い、それを比較することで印加の効果があるかどうかを検討した。図8のそれぞれの2本並列グラフでみるとNICE(−)(電圧印加していないもの)とNICE(+)(電圧印加したもの)の差が大きいほど印加の効果が大きいということになる。
凍結解凍後に末梢血赤血球より逸脱したLDHは、α(交流)、β(直流)の、いずれの組合せにおいても印加をかけない群に比較して減少しており、凍結時の赤血球傷害が印加によって抑制されていることが示された。また特に、α5(980V)β8(3000V)、α5(980V)β3(950V)、α3(530V)β8(3000V)の組合せにて、より強い遊離LDHの減少が認められた。
(実験4「電圧印加による酸化ストレス下での細胞障害抑制」(図9))
実験4として、過酸化水素を細胞培養に添加して細胞障害を誘導し、これによる細胞死の比較実験を行った。
(実験目的)
ナイスゼロワンでの電圧同時印加が、生きた細胞に与える影響及び参加ストレス軽減に及ぼす影響を調べるため、培養細胞に過酸化水素による酸化ストレスを与えた状態での電圧印加の効果について検証した。
(実験方法)
ヒトマクロファージ細胞株であるTHP−1細胞を、96穴培養プレートを用いて、RPMI1640培養液中で37℃、5%CO2存在下で12時間培養し、その際に0uMから250uMの過酸化水素を添加し、酸化ストレスによる細胞障害を誘導した。培養器はナプコ社製インキュベーターを用い、この培養庫内にアルミニウム製印加板を設置し、この印加板の上に96穴培養プレートを静置し、交流電圧及び直流電圧の同時印加(α5β8)の下に培養を行った。細胞傷害の評価はMTT法を用いた。細胞培養開始12時間後にMTT試薬(5mg/ml)を培養プレートの各ウェルに20ul/ウェルずつ添加し、さらに4時間培養。全培養終了後SDS試薬を各ウェルに加えて細胞を溶解させた後に、ミトコンドリア内の脱水素酵素にて還元されて生成したフォルマザンを吸光度プレートリーダー(Molecular Devices社製のTERMO MAX microplate reader)を用いて波長490nmにて吸光度を測定した。
(実験4の結果(図9))過酸化水素添加による細胞のviabilityへの影響は、100uMまでの低い濃度では細胞のviabilityを上げ、逆に高い濃度では細胞死を誘導する。本実験でもMTT法での吸光度値は低濃度にてやや上昇し、高濃度にて低下していた。電圧印加群では印加(−)に比べて、いずれの過酸化水素濃度においても吸光度値が高く、細胞のviabilityが上昇または維持されていた。
実験ではMTT法をもちいて細胞のviabilityを測定しているが、吸光度の値が大きいほどviabilityが高く、逆に値が低いと生きた細胞は少ないということになる。ここで、一般的に細胞は、低い濃度の酸化ストレスを細胞増殖等の刺激として活用するが、病的な高いレベルの酸化ストレスは細胞障害また細胞死を誘導する。このため、100uMまでの低い濃度では細胞のviabilityは逆に少し上がる一方、250uMの高い濃度では細胞は傷害を受けて吸光度は下がる。結果として、電圧印加を行うと高い濃度の酸化ストレスでも細胞が死ににくくなるということがいえる。
この現象の説明としては、実験1(図6)にあるように電圧印加による酸化反応の中和、抑制が挙げらるが、それ以外にも電気エネルギーが生物エネルギーに変換されているという新たなメカニズムがあると思われる。すなわち、細胞が死なないようにするためには、細胞内のエネルギー(ATP)を増やしてやることが大事であるが、電圧印加をかけることで細胞が死ににくくなると考えられる。
(血液の冷凍保存の具体的な手順例)
血液の冷凍保存の具体的な手順例は、次のようなものである。供血者の肘静脈穿刺にて約400mlの末梢血を採血し、貯血バッグに保存する。遠心機にて血漿成分と血球成分とに分離後、血漿成分を除去し、生理食塩水および凍結保護液(CP−1、極東製薬工業社製)を加え凍結保存する。この際にα(交流)、β(直流)の同時印加を行いつつ凍結する。
医療産業で考えられる本発明の同時印加技術の利用可能性には下記のものがある。先ず電圧印加での凍結保存として、輸血用同種末梢血凍結保存、自己血液凍結保存、骨髄移植用骨髄細胞凍結保存、臍帯血凍結保存、膵島細胞凍結保存、各種培養細胞凍結保存、ES細胞凍結保存、移植用各種臓器の凍結保存、そして、骨、大動脈、気管、心臓弁、角膜、皮膚等の組織移植片の凍結保存が挙げられる。
次に、電圧印加での冷保存として、輸血用同種末梢血保存、自己血液保存、移植用各種臓器の冷保存が挙げられる。
1 収容器
11 チューブスタンド型収容器
12 升型収容器
1h 収容穴
1a 平面視縦方向の最小壁厚(収容穴側端から収容器の正面側面(又は背面側面)までの水平方向最小距離)
1b 平面視横方向の最小壁厚(収容穴側端から収容器の右側面(又は左側面)までの水平方向最小距離)
1c 高さ方向の最小底厚(収容穴底から収容器の底面までの鉛直方向最小距離)
1d 収容穴断面の代表長(円形の収容穴断面の径、方形の収容穴断面の長辺)
1e 収容穴間の最小壁厚(隣り合う第一の収容穴側端から、隣り合う第二の収容穴側端までの水平方向最小距離)
2 電圧印加板
3 電気配線
4 保存庫
41 保存棚
5 収容袋
O 生体材料

Claims (3)

  1. 冷蔵庫内に電圧印加板を設置し、生体材料を収容した収容器を前記電圧印加板の上に載置し、
    前記電圧印加板に設定値530V〜980Vの交流電圧と、設定値−950V〜−3000Vの直流電圧とを同時にかけることで、電圧同時印加ステップを行いながら生体材料を凍結することを特徴とする生体材料の保存方法。
  2. 前記交流電圧の設定値の絶対値よりも前記直流電圧の設定値の絶対値のほうが大きい請求項1に記載の生体材料の保存方法。
  3. 電圧同時印加ステップが、生体材料の少なくとも周囲を囲む導電性金属からなる収容器に生体材料を収容し、前記収容器の外部の一面に、直流電圧と交流電圧とを重畳印加した電圧印加板を直接又は間接的に沿わせることで、生体材料を間接的に電圧印加するものである請求項1又は請求項2に記載の生体材料の保存方法。
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