以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式によって画像を形成するカラープリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタの要部を示す要部構成図である。このプリンタは、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを備えている。また、レジストローラ対45、転写ユニット20、定着装置50、図示しない光書込ユニット、給紙カセットなども備えている。
図示しない光書込ユニットは、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kよりも上方に配設されており、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有している。そして、外部のパーソナルコンピュータ等から送られている画像情報に基づいて発した走査光により、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中時計回り方向に回転駆動せしめられる。光書込ユニットは、駆動中の感光体3Y,M,C,Kに対して、走査光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,M,C,Kには、Y,M,C,K画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
各色のプロセスユニット2K,Y,M,Cは、像担持体たる感光体と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部本体に対して着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にして説明すると、これは、感光体3Yの他、これの表面を一様に帯電せしめる帯電装置4Y、同表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像する現像装置5Y、同表面上の転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなどを有している。叙述した走査光は、感光体3Yの周方向における全領域のうち、帯電装置4Yによって一様帯電せしめられた直後の領域に照射される。本プリンタにおいては、このような構成の4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト21に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成を採用している。
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。無端ベルト状のものを用いても良い。
帯電装置4Yは、感光体3Yの表面に接触あるいは近接するように配設された帯電ローラに帯電バイアスを印加して、帯電ローラと感光体3Yとの間に放電を発生させることで、感光体3Yの表面を一様に帯電せしめる。かかる構成の帯電装置4Yに代えて、コロトロンやスコロトロンによって感光体3Yを一様に帯電せしめる帯電チャージャを採用してもよい。
現像装置5Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤を用いるいわゆる二成分現像方式により、感光体3Y上の静電潜像を現像するものである。かかる構成に代えて、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行う一成分現像方式の構成を採用してもよい。
ドラムクリーニング装置6Yとしては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。ドラムクリーニング装置6Yによってクリーニングされた感光体3Yの表面は、図示しない除電ランプによって除電処理が施されてから、帯電装置4Yによって負極性に一様に帯電せしめられる。
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット20が配設されている。この転写ユニット20は、複数のローラによって張架している無端状の中間転写ベルト21を、感光体3Y,M,C,Kに当接させてY,M,C,K用の1次転写ニップを形成しながら、駆動ローラ22の回転駆動によって中間転写ベルト21を図中反時計回り方向に150[mm/sec]のプロセス線速で無端移動させる。
中間転写ベルト21のループ内では、駆動ローラ22、テンションローラ23、Y,M,C,K用の1次転写ローラ24Y,M,C,K、塗布バックアップローラ25、及びクリーニングバックアップローラ26が配設されている。これらのローラは何れも、ループ内でベルトを自らの表面に掛け回して張架する張架ローラである。
張力付与部材としてのテンションローラ23は、水平方向に移動可能に構成され、バネによってベルトループ外に向けて付勢されることで、中間転写ベルト21に対して一定の張力を付与している。
4つの1次転写ローラ24Y,M,C,Kは、バネによって感光体3Y,M,C,Kに向けて付勢されて、感光体3Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト21を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト21のおもて面と、感光体3Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップを形成している。これら1次転写ローラ24Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって+1800[V]の1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト21に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
図中反時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト21のおもて面には、Y,M,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト21のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト21の図中右側方には、2次転写ローラ27が配設されており、これは中間転写ベルト21における駆動ローラ22に対する掛け回し領域にベルトおもて面側から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト21のおもて面と、2次転写ローラ27とが当接する2次転写ニップが形成されている。
2次転写ローラ27には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の駆動ローラ22は接地されている。これにより、2次転写ニップ内に2次転写電界が形成されている。
2次転写ニップの図中下方には、レジストローラ対45が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト21上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト21上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
2次転写ローラ27は、ステンレス等の金属製芯金の表面に、導電性材料によって10E6〜10E10[Ω]の抵抗値に調整されたウレタン等からなる弾性層を被覆したローラである。2次転写ローラ27の抵抗値が前述の範囲を超えると電流が流れ難くなるため、必要な転写性を得るために高電圧を印加しなければならなくなり、電源コストの増大を招く。また、高電圧を印加するため転写ニップ前後の空隙にて放電が起こる為、ハーフトーン画像上に放電による白ポチ抜けが発生する。逆に、抵抗値が前述の範囲を下回ると、同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性が両立できなくなる。これは次に説明する理由による。即ち、2次転写ローラ27の抵抗値が低く過ぎることから、比較的低電圧で単色画像部を転写するのに十分な電流が流れる。この一方で、複数色画像部を転写するには単色画像部に最適な電圧よりも高い電圧値が必要となるため、複数色画像部を転写できる電圧に設定すると単色画像では転写電流過剰となり転写効率の低減を招くからである。
2次転写ローラ27の抵抗値については、次のようにして測定することが可能である。即ち、導電性の金属製板に2次転写ローラ27を設置し、芯金両端部に片側4.9[N](両側で合計9.8N)の荷重を掛けた状態で、芯金と金属製板との間に1000Vの電圧を印加した時に流れる電流値から算出する。
2次転写ローラ27には、図示しない駆動ギヤによって駆動力が与えられており、その周速は中間転写ベルト21の線速に対して、略同一となるよう調整されている。
2次転写ローラ27に印加される2次転写バイアスは、2次転写ローラ27とベルトとの間に流れる2次転写電流が+30[μA]になるように調整される。即ち、本プリンタでは、2次転写電流が+30[μA]に定電流制御される。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト21のおもて面には、2次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト21に当接するベルトクリーニング装置31によってクリーニングされる。具体的には、ベルトクリーニング装置31は、ウレタンゴムからなるクリーニングブレードを中間転写ベルト21のおもて面に押し当てて、おもて面上の転写残トナーをそのクリーニングブレードによって掻き取り除去する。ベルトループ内のクリーニングバックアップローラ26は、ベルトクリーニング装置31との間に中間転写ベルト21を挟み込むように配設されている。
ベルトクリーニング装置31の図中左側方には、塗布ブラシローラ29が配設されており、中間転写ベルト21のおもて面に摺擦している。また、この塗布ブラシローラ29の上方には、固形潤滑剤30が配設されており、バネによって塗布ブラシローラ29に1〜4[N]の圧力で圧接せしめられている。塗布ブラシローラ29は、回転駆動に伴って固形潤滑剤30から潤滑剤を掻き取って潤滑剤粉末としながら、ベルトクリーニング装置31によるクリーニング処理が施された直前のベルトおもて面にその潤滑剤粉末を塗布する。これにより、転写残トナーとベルト表面との滑りを良くしたり、クリーニングブレードとベルト表面との滑りを良くしたりして、クリーニング性や転写性を向上させている。
固形潤滑剤30としては、直鎖状の炭化水素構造を持つ脂肪酸金属塩を例示することができる。また、脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸から選択される少なくとも1種以上の脂肪酸を含有し、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウムから選択される少なくとも1種以上の金属を含有する脂肪酸金属塩を例示することができる。とりわけ、その中でもステアリン酸亜鉛は、工業的規模で生産されかつ多方面での使用実績があることから、コストと品質安定性とおよび信頼性から、最も好ましい材料である。但し、一般に工業的に使われている高級脂肪酸金属塩は、その名称の化合物単体組成ではなく、多かれ少なかれ類似の他の脂肪酸金属塩、金属酸化物、及び遊離脂肪酸を含んでいる。
固形潤滑剤30のベルト幅方向の長さについては、画像幅よりも大きくする必要がある。本実施形態では、304mm以上にしている。また、塗布ブラシローラ29の回転軸線方向の長さについては、固形潤滑剤30を均一に削り取らせる狙いから、固形潤滑剤30の幅よりも大きくしている。
塗布ブラシローラ29の図中左側方には、押圧ローラ28が中間転写ベルト21に対しておもて面側からループ内に食い込むように当接している。これにより、塗布ブラシローラ29との摺擦によって発生するベルトの振動を抑えている。おもて面側からループ内に食い込ませる構成に代えて、裏面側からループ外に食い込ませる構成を採用してもよい。また、ベルトに押圧する部材としては、押圧ローラ28代えて、ベルトに追従する動きをとらない(ベルトに摺擦する)加圧パッドなどを用いてもよい。
中間転写ベルト21は、注型法や遠心成形法などによって無端状に成形されたものであり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等からなる材料による単層構造又は多層構造のベルトである。前記材料には、カーボンブラック等の導電性材料が分散せしめられていることで、ベルト全体の体積抵抗率が108〜1012[Ωcm]に、且つ表面抵抗率が109〜1013[Ωcm]にそれぞれ調整されている。中間転写ベルト21の体積抵抗率が前述の範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなって電源コストの増大を招くので好ましくない。また、転写工程、記録紙剥離工程などにおけるベルト帯電電位が高くなり、且つ自己放電が困難になって除電手段を設ける必要が生じるため、コストアップを招いてしまう。また、体積抵抗率および表面抵抗率が前述の範囲を下回ると、帯電電位の減衰が速くなるため、自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。従って、中間転写ベルト21の体積抵抗率および表面抵抗率については、前述の記範囲内に調整することが好ましい。
なお、体積抵抗率および表面抵抗率については、次のようにして測定することが可能である。即ち、高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、ベルトの表裏に100V(表面抵抗率の測定では500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いる。
必要に応じて中間転写ベルト21の表面に離型促進層をコートしても良い。離型促進層の材料としては,ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
上述した2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、定着装置50に送られる。定着装置50は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ50aと、これに向けて加圧される加圧ローラ50bとの当接によって定着ニップを形成している。そして、この定着ニップに挟み込んだ記録紙Pに対して、加熱及び加圧によるトナー像の定着処理を施す。
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、図示しない排紙ローラ対を経由して機外へと排出される。
トナーとしては、重合法によって製造された重合トナーを用いている。この重合トナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲内にあるとともに、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものである。形状係数SF−1は、トナー粒子の丸さの度合いを示す指標値である。図2に示すように、トナー粒子を2次元平面に投影してできる投影像の最大長MXLNGの二乗を投影像の面積AREAで除して、100π/4を乗じた値について、無作為に抽出した100個のトナー粒子で平均をとったものである。形状係数SF−1の値が100の場合、トナーに含まれる殆どのトナー粒子の形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほどトナー粒子の形状が不定形になる。また、形状係数SF−2は、トナー粒子の凹凸の度合いを示す指標値である。図3に示すように、トナー粒子を2次元平面に投影してできる投影像の周長PERIの二乗を投影像の面積AREAで除して、100π/4を乗じた値について、無作為に抽出した100個のトナー粒子で平均をとったものである。SF−2の値が100の場合には、トナーに含まれる殆どのトナー粒子が凹凸を有さないものとなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー粒子の凹凸が顕著になる。
形状係数については、次のようにして測定することが可能である。即ち、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナー粒子の拡大写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算する。トナーの形状が球形に近くなると、トナー粒子同士や、トナーと感光体との接触が点接触に近くなるために、トナーの流動性が高くなり且つトナーと感光体との吸着力が殆どなくなって転写率が高くなる。形状係数SF−1、SF−2の何れかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
なお、トナー粒径は、体積平均粒径で4〜10[μm]の範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には、現像時に地汚れの原因となったり、流動性の悪化や凝集性の高まりによって中抜けが発生し易くなったりする。逆に、これよりも大粒径の場合には、トナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができなくなる。実施形態においては、トナーとして、体積平均粒径が6.5[μm]であるものを用いている。
先に示した図1において、中間転写ベルト21の真下には、トナー像検知センサ55が配設されている。このトナー像検知センサは、中間転写ベルト21の周方向における全領域のうち、テンションローラ23に対する掛け回し領域に所定の間隙を介して対向するように配設されている。
本プリンタは、環境変動にかかわらず安定した画像濃度を得たり、機内温度変化等による各色トナー像の重ね合わせずれを抑えたりする目的で、プロセスコントロール処理や位置ずれ補正処理を定期的に実施するようになっている。プロセスコントロール処理は、所望の画像濃度が得られるように、各色プロセスユニット2Y,M,C,Kにおける現像ポテンシャル等の作像条件を調整する処理である。具体的には、まず、基準トナー像としての各色の濃度検知用トナー像を中間転写ベルト21に形成し、その画像濃度をトナー像検知センサ55によって検知する。そして、検知結果に基づいて、目標の画像濃度が得られるように作像条件(現像ポテンシャル)を調整する。また、位置ずれ補正処理は、温度変化による走査光の微妙な光路ずれなどに起因して生じた各色トナー像の重ね合わせずれを低減するために、ずれ量に応じて光書込開始タイミング、あるいは光学系反射ミラーの面倒れ角度、を補正する処理である。具体的には、まず、基準トナー像としての各色の位置ずれ検知用トナー像を中間転写ベルト21に検知し、それらの相対位置をトナー像検知センサ55によって検知する。そして、結果に基づいて、各色の位置ずれ量を算出して、その位置ずれ量を相殺し得る値に、光書込開始タイミングあるいは光学系反射ミラーの面倒れ角度を補正する。
図1に示される中間転写ベルト21は、2色以上のトナー像を重ね合わせるカラーモードのときの状態になっている。カラーモードでは、図示のように、各色の感光体3Y,M,C,Kの全てに、中間転写ベルト21をそれぞれ当接させて、Y,M,C,K用の1次転写ニップを形成している。
図4は、Kトナー像だけを形成するモノクロモードにおけるプリンタ内の状態を示す要部構成図である。本プリンタは、4つの感光体3Y,M,C,Kのうち、Y,M,C用の3つに対して中間転写ベルト21を接離させる接離手段を備えている。この接離手段は、中間転写ベルト21の周方向における全領域のうち、押圧ローラ28による押圧位置を通過した直後から、K用の1次転写ニップに進入する直前に至るまでのベルト領域である第1領域の張架姿勢を変化させることで、その第1領域をY,M,C用の感光体3Y,M,Cに接離させる。第1領域の張架姿勢については、Y,M,C用の1次転写ローラ24Y,M,Cを、概ね感光体の法線方向に移動させることによって変化させている。具体的には、第1領域をY,M,C用の感光体3Y,M,Cに接触させるときには、先に示した図1のように、1次転写ローラ24Y,M,Cを、ベルトを介して感光体3Y,M,Cに当接させる位置まで移動させる。これに対し、第1領域をY,M,C用の感光体3Y,M,Cから離間させるときには、図2に示すように、1次転写ローラ24Y,M,Cを、感光体3Y,M,Cから遠ざける方向に大きく移動させる。すると、それまで感光体3Y,M,Cに向けて押圧されていた第1領域が感光体3Y,M,Cから離間する。
このような構成においては、接離手段による接離動作に伴って、テンションローラ23を大きく移動させてしまうおそれがある。具体的には、図5に示すように、中間転写ベルト21がY,M,C用の感光体3Y,M,Cに対して当接した状態から、離間した状態に変化すると、中間転写ベルト21における第1領域の長さが変化する。詳しくは、当接した状態では、第1領域(押圧ローラ28〜感光体3K)の張架姿勢が三角形の2辺を構成するような折れ曲がった形状になるのに対し、離間した状態では、第1領域の張架姿勢が直線状の形状になる。これにより、離間した状態では、当接した状態に比べて第1領域の長さが短くなる。このため、図5に示した構成においては、当接した状態から離間した状態に変化する際に、中間転写ベルト21の張力に大きな緩みが一時的に発生し、テンションローラ23がその緩みを解消するように図中左方向に大きく移動する(点線の位置から実線の位置へ)。その逆に、離間した状態から当接した状態に変化する際には、中間転写ベルト21の張力が一時的に大きく増加し、テンションローラ23がそれに応じて図中右方向に大きく移動する(実線の位置から点線の位置へ)。すると、当接した状態、あるいは離間した状態の何れかにおいて、トナー像検知センサの真上に、テンションローラ23に対する掛け回し領域に対向させることができず、テンションローラ23と駆動ローラ22との間のベルト展張領域を対向させてしまう。ベルト展張領域は波打つために、その状態ではトナー像検知センサの検知精度を大きく悪化させてしまう。
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
実施形態に係るプリンタは、図5に示した従来構成のプリンタとは異なり、接離手段による接離動作に伴うテンションローラ23の移動を発生させないような工夫がなされている。具体的には、本プリンタにおいては、中間転写ベルト21に対して、接離手段による接離動作に伴う張力変化とは逆方向の張力変化を発生させる逆張力発生手段を設け、接離手段による接離動作に伴ってこの逆張力発生手段を動作させるようにしている。
図6は、実施形態に係るプリンタの各色プロセスユニットと転写ユニットの一部とを拡大して示す拡大構成図である。同図においては、接離手段により、中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cから離間させた状態を示している。図中の点線は、中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cに当接させていたときの中間転写ベルト21の上記第1領域における張架姿勢を示している。また、図中の一点鎖線は、接離手段によって中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cから離間させ、且つ逆張力発生手段を作動させない場合における上記第1領域の張架姿勢を示している。既に述べたように、点線の状態から一点鎖線の状態に変化させる際には、中間転写ベルト21の張力を緩めてしまい、その緩みに追従させてテンションローラ23を図中の左方向に移動させてしまうおそれがある。そこで、逆張力発生手段は、接離手段の動作に同期して作動して、中間転写ベルト21の周方向における全領域のうち、塗布バックアップローラ(図1の25)との接触位置を通過した直後から、K用の1次転写ニップに進入する直前に至るまでの第2領域の張架姿勢を変化させて逆張力を発生させる。具体的には、図示のように、接離手段が中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cから離間させる際には、図中矢印で示すように、押圧ローラ28をよりループ内に食い込ませる方向に移動させる。これにより、中間転写ベルト21の第2領域を一点鎖線の状態よりも更にループ内側に食い込ませて、中間転写ベルト21の張力を高める。すると、接離手段によるベルト離間動作に伴うベルト張力の緩みを、逆張力発生手段の動作によるベルト張力の増加で軽減して、張力変化によるテンションローラ23の移動量を低減することができる。
また、接離手段が中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cに接触させる際には、離間させるときとは逆に、押圧ローラ28をよりループ外に向けて移動させる。これにより、中間転写ベルト21の第2領域を一点鎖線の状態よりも更にループ内側に食い込ませて、中間転写ベルト21の張力を高める。これにより、接離手段によるベルト接触動作に伴うベルト張力の増加を、逆張力発生手段の動作によるベルト張力の緩みで軽減して、張力変化によるテンションローラ23の移動量を低減する。
以上のようにして、本プリンタでは、トナー像検知センサ55をテンションローラ23とともに移動させることなく、中間転写ベルト21の波打ちに起因するトナー像検知センサ55の検知精度の悪化を抑えることができる。
なお、本プリンタでは、接離手段の動作による中間転写ベルト21(第1領域)の張架姿勢の変化量と、逆張力発生手段の動作による中間転写ベルト21(第2領域)の張架姿勢の変化量とを、それぞれ次のような値に設定している。即ち、接離手段の動作による張架姿勢の変化に起因する中間転写ベルト21の張力変化を、逆張力発生手段の動作による逆方向の張力変化でちょうど相殺し得る値である。よって、接離手段による接離動作にかかわらず、テンションローラ23をほぼ定位置に存在させることができる。
図7は、中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cに接触させている状態のときにおける接離手段及び逆張力発生手段の状態を示す構成図である。また、図8は、中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cから離間させている状態のときにおける接離手段及び逆張力発生手段の状態を示す構成図である。接離手段は、Y転写ローラ保持体31Y、M転写ローラ保持体31M、C転写ローラ保持体31C、アーム33、偏心カム34、図示しないカムモータなどを具備している。3つの転写ローラ保持体(31Y,M,C)はそれぞれ、1次転写ローラ(24Y,M,C)を回転自在に保持した状態で、回動軸(32Y,M,C)を中心に揺動することが可能になっている。そして、それぞれ、下側端部をアーム33に設けられた係合溝に係合させている。
アーム33は、水平方向にスライド移動可能に構成され、バネ37によって図中右方向に向けて付勢されている。アーム33の図中右側端部には、偏心カム34が突き当たっており、偏心カム34の回転に応じてアーム33が水平方向にスライド移動する。そして、このスライド移動に伴って3つの1次転写ローラ(24Y,M,C)がそれぞれ揺動して、中間転写ベルト21を感光体(3Y,M,C)に接離させる。図7の状態では、1次転写ローラ(24Y,M,C)を、ベルトを介して感光体(3Y,M,C)に押し当てる位置で、アーム33の位置が固定されている。この位置調整は、偏心カム34の回転停止位置の調整によって行われる。中間転写ベルト21をベルトから離間させる際には、偏心カム24を約180°回転させて、図8に示すように、アーム33を図中右方向に大きくスライド移動させる。すると、1次転写ローラ(24Y,M,C)が反時計回り方向に所定の角度だけ回転して、中間転写ベルト21が感光体(3Y,M,C)から離間する。
逆張力発生手段は、アーム33、偏心カム34、押圧ローラ保持体35、バネ37、カムモータ等から構成されている。これらのうち、アーム33、偏心カム34、バネ37、及びカムモータは、上述したように、接離手段の構成要素でもある。押圧ローラ保持体35は、押圧ローラ28を回転自在に保持した状態で、回動軸36を中心に揺動することが可能になっている。そして、その下側端部をアーム33の係合溝に係合させている。アーム33がスライド移動すると、それに伴って押圧ローラ28が回動軸36を中心に揺動して、中間転写ベルト21に対する押し下げ力を強めたり弱めたりする。その揺動は、3つの1次転写ローラ(24Y,M,C)の揺動と連動する。この連動は、連動機構としてのアーム33が、スライド移動に伴って3つの転写ローラ保持体(31Y,M,C)を揺動させるとともに、押圧ローラ28を揺動させることによって実現されている。このように、連動機構としてのアーム33を設けたことで、接離手段及び逆張力発生手段の同時駆動制御という煩わしい制御処理を行うことなく、両手段の動作を同期させることができる。また、接離手段と逆張力発生手段とで駆動源としてのカムモータを共用しているので、共用しない場合に比べて低コスト化を実現している。
接離手段は、中間転写ベルト21のループ内に配設されたループ内部材であるY,M,C用の1次転写ローラ24Y,M,Cを所定の位置とこれよりもループ外側にずれた位置との間で移動させるのに伴って、中間転写ベルト21の上記第1領域の張架姿勢を変化させている。かかる構成では、ループ内部材として、接離手段のための専用のものを設けることなく、既存の1次転写ローラ24Y,M,Cを利用して、低コスト化を図ることができる。
また、逆張力発生手段は、中間転写ベルト21のループ外に配設されたループ外部材を所定の位置とこれよりもループ内側にずれた位置との間で移動させるのに伴って、中間転写ベルト21の上記第2領域の張架姿勢を変化させている。かかる構成では、ループ外部材として、押圧ローラ28を利用して、これによって逆張力を発生させるとともに、塗布ブラシローラ29の塗布動作によるベルト振動の発生を抑えることができる。また、ループ外部材として、従動回転可能なループ外ローラである押圧ローラ28を用いることで、ループ外部材とベルトとの摺擦をなくして中間転写ベルト21の長寿命化を図ることができる。
先に示した図1において、中間転写ベルト21のおもて面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段としての塗布ブラシローラ29は、押圧ローラ28との接触位置に進入する前のベルト箇所に対して塗布処理を行う位置に配設されている。かかる構成では、塗布ブラシローラ29によってベルトのおもて面に塗布した潤滑剤を、押圧ローラ28によって均して、潤滑剤の均一化を図ることができる。
図9は、実施形態に係るプリンタの変形例を示す要部構成図である。また、図10は、中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cから離間させた状態の同変形例を示す要部構成図である。変形例に係るプリンタにおいては、特定の像担持体としてのY,M,C用の感光体3Y,M,Cにおける中間転写ベルト21との接触部、即ちY,M,C用の1次転写ニップを同じ仮想直線上に位置させるように、それら感光体3Y,M,Cを一直線上に配設している。この構成は、実施形態に係るプリンタと同じであるが、K用の感光体3Kの位置が実施形態とは異なっている。具体的には、K用の感光体3Kは、K用の1次転写ニップを前記仮想直線よりもベルトループ内側にずれたところに位置させるように配設されている。このように、K用の感光体3Kをずらして配設すると、図9及び図10と、図1及び図2との比較から解るように、K用の感光体3Kも他の感光体と同様に一直線上に配設する場合に比べて、より少ないベルト動作で中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cに接離させることができる。これにより、転写ユニット20の小サイズ化と低コスト化とを実現することができる。
これまで、ベルト部材として中間転写ベルトを用いるプリンタの例について説明したが、ベルト部材として、自らの表面に保持した記録紙を搬送しながら、その記録紙を各色1次転写ニップに通す紙搬送ベルトを用いる画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
また、逆張力発生手段によって張架姿勢を変化せしめるベルト領域である上記第2領域の一部と、接離手段によって張架姿勢を変化せしめるベルト領域である上記第1領域とを重複させた例について説明したが、両領域を全く重複させなくてもよい。
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、逆張力発生手段を接離手段に連動させる連動機構としてのアーム33を設けているので、接離手段及び逆張力発生手段の同時駆動制御という煩わしい制御処理を行うことなく、両手段の動作を同期させることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、接離手段の動作による張架姿勢の変化に起因する中間転写ベルト21の張力変化を、逆張力発生手段による逆方向の張力変化で相殺し得る値に、接離手段の動作による上記第1領域の張架姿勢の変化量と、逆張力発生手段の動作による上記第2領域の張架姿勢の変化量とを設定している。かかる構成では、接離手段による接離動作にかかわらず、テンションローラ23をほぼ定位置に存在させることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、ベルトを接離させる特定の像担持体として、黒色とは異なるY,M,Cトナー像を担持する感光体3Y,M,C、に対して接離手段によって上記第1領域を接離させるようにしている。そして、Kトナーを担持する感光体3Kを接離手段の動作にかかわらず、中間転写ベルト21に当接させるようにしている。かかる構成では、モノクロモードにおいて、画像形成に寄与しない感光体をベルトから離間させて、不要な電力消費を抑えたり、感光体やベルトの摩耗を抑えたりすることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナー像検知センサ55を、テンションローラ23に対する掛け回し領域に対向させる位置に配設しているので、ベルトの波打ちによる検知精度の悪化を抑えることができる。
また、変形例に係るプリンタにおいては、特定の像担持体として、Y,M,C用の感光体3Y,M,Cに対して接離手段によって上記第1領域を接離させるようにしている。そして、感光体3Y,M,CによるY,M,C用の1次転写ニップを同じ仮想直線上に位置させるように、それら感光体3Y,M,Cを一直線上に配設する一方で、接離手段の動作にかかわらずベルトに接触させるK用の感光体3KによるK用の1次転写ニップを同仮想直線よりもベルトループ内側にずれたところに位置させている。かかる構成では、既に説明したように、K用の感光体3Kも他の感光体と同様に一直線上に配設する場合に比べて、より少ないベルト動作で中間転写ベルト21をY,M,C用の感光体3Y,M,Cに接離させることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、接離手段と逆張力発生手段とで同一のカムモータを共用しているので、共用しない場合に比べて低コスト化を実現することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、接離手段として、中間転写ベルト21のループ内に配設されたループ内部材を所定の位置とこれよりもループ外側にずれた位置との間で移動させるのに伴って上記第1領域の張架姿勢を変化させるものを用いている。かかる構成では、ループ内部材として、接離手段のための専用のものを設けることなく、既存の1次転写ローラ24Y,M,Cを利用して、低コスト化を図ることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、逆張力発生手段として、中間転写ベルト21のループ外に配設されたループ外部材を所定の位置とこれよりもループ内側にずれた位置との間で移動させるのに伴って上記第2領域の張架姿勢を変化させるものを用いている。かかる構成では、ループ外部材として押圧ローラを利用することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、ループ外部材として、従動回転自在なループ外ローラである押圧ローラを用いているので、ループ外部材とベルトとの摺擦をなくして中間転写ベルト21の長寿命化を図ることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、中間転写ベルト21のおもて面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段たる塗布ブラシローラ29を、押圧ローラ28との接触位置に進入する前のベルト箇所に対して塗布処理を行う位置に配設している。かかる構成では、塗布ブラシローラ29によってベルトのおもて面に塗布した潤滑剤を、押圧ローラ28によって均して、潤滑剤の均一化を図ることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、押圧ローラ28を塗布ブラシローラ29の近傍に配設しているので、塗布ブラシローラ29との摺擦によるベルト振動の発生を押圧ローラ28によって抑えることができる。