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JP5480087B2 - 圧着端子、接続構造体及びコネクタ - Google Patents
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JP5480087B2 - 圧着端子、接続構造体及びコネクタ - Google Patents

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例えば、自動車用ワイヤーハーネス間の接続を担うコネクタ等に装着されるような圧着端子や、圧着端子を用いた接続構造体、さらには接続構造体を装着したコネクタに関する。
近年、自動車は高性能化及び高級化指向に伴い様々な電装機器が装備されており、その電気回路は益々複雑化し、各電装機器への安定した電力供給が必要不可欠となっている。
上述の電装機器が装備された自動車は、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスを配索しており、ワイヤーハーネス同士をコネクタで接続して電気回路を構成している。さらに、これらのコネクタは、被覆電線に圧着して接続した圧着端子が内部に装着されており、凹凸対応して接続される雌型コネクタと雄型コネクタとを嵌合させる構成である。
ところが、これらのコネクタ内部に装着した圧着端子が被覆電線を圧着して接続した圧着部から水分が侵入すると、被覆電線の先端より露出している電線導体の表面が腐食し、この腐食により導電性が低下する問題があった。
この種の問題は、被覆電線の被覆体の先端側被覆部分を圧着するインシュレーションバレルと、被覆体より先端側で露出する電線導体の露出部分を圧着するワイヤバレルとの各バレルの圧着面間に隙間があり、電線導体が露出しているために腐食が生じると考えられる。
そこで、電線導体の先端から被覆体の先端側被覆部分までを、ワイヤバレルとインシュレーションバレルとを一体化した圧着端子で一体的に囲繞することにより、水分の侵入を防止できる十分なシール性が得られるとされるアルミニウム電線の端子取付方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、昨今の複雑化された電気回路では、より安定した導電性を確保する必要があり、前記圧着端子では導電性を十分に確保できるものではなかった。
また、自動車が排出する二酸化炭素排出量の低減が求められている現在では、ガソリン自動車に比べてワイヤーハーネスが多用される電気自動車やハイブリット自動車の需要が高くなってきている。
このような状況の中、ガソリン自動車を含めて車両の軽量化は燃費向上に大きな影響を与えるため、ワイヤーハーネスやバッテリーケーブル等に、銅(あるいは銅合金)製だけでなく軽量材質のアルミニウム(あるいはアルミニウム合金)製の電線を使用して軽量化を図っている。
また、アルミニウムやアルミニウム合金で構成するアルミニウム製の電線が、銅や銅合金で構成する圧着端子に圧着接続された場合、両者の接触部分に例えば結露や海水等の水分が介在すると、この水分が異種金属間で電解液となって電気化学的反応を生じる。
この結果、端子材料の錫めっき、金めっき、銅合金等の貴な金属種により、卑なアルミニウムやアルミニウム合金が腐食される現象、すなわち異種金属間腐食(以下において電食という)が生じるという問題がある。
この電食が生じると、圧着端子の圧着部では圧着したアルミニウム製の電線が腐食して溶解及び消失し、やがては電気抵抗が上昇して十分な導電機能を果たせなくなるおそれがある。したがって、アルミニウム製の電線を用いる場合は、水分の浸入を確実に防止する電食防止技術の必要性が求められている。
前記特許文献1では、電食防止技術の一例に止水性の向上を図ることを目的として、圧着時にエポキシ塗料を塗布することについても記載されている。
ところが、圧着時にエポキシ塗料を塗布することは、その塗布工程に時間を要してしまうため、量産に向けては好ましくない。また、圧着時に、エポキシ塗料の塗布位置及び塗布量を精度良く定めて塗布することも非常に難しく、信頼性の高い電食防止技術の実現を困難にする一因となっている。
このように、圧着時にエポキシ塗料を塗布する方法は技術的な問題点が多く満足できるものではなかった。
特開昭56−13685号公報
そこでこの発明は、バレル片で圧着する電線導体に対して異種金属で構成しても導電性を確保しながら電食の発生を防止することのできる圧着端子、接続構造体およびコネクタを提供することを目的とする。
この発明は、電線導体の外周を絶縁性の被覆体で被覆した被覆電線における前記被覆体の先端より所定長さ露出させた前記電線導体の露出部分を囲繞して圧着する圧着部を有し、該圧着部が前記被覆電線をのせる圧着底面と、該圧着底面の幅方向の両側から延出したバレル片とを有する圧着端子であって、前記圧着部が、前記電線導体と異なる導電性の異種金属で構成されるとともに、前記圧着底面と前記バレル片が、前記被覆電線の前記被覆体の先端部から前記電線導体の露出部分の先端よりも先端側に突出する位置までを連続して一体的に囲繞できる長さに形成され、前記圧着部の内側の囲繞面における前記電線導体の露出部分の先端部に対応する位置から先端側の部分に、絶縁材料からなり前記囲繞面に絶縁性を得られる厚さの絶縁コーティング部を帯状に備えたることを特徴とする。
前記圧着部は、圧着部底面と、その幅方向両側に備えたバレル片とで構成するオープンバレル形式の圧着部、あるいはクローズバレル形式の圧着部とすることができる。
前記囲繞面は、圧着部に備えたバレル片の内面側、さらにはバレル片を幅方向両側に備えた圧着部底面の内面側とすることができる。
前記異種金属は、電線導体の材質と異なる導電性の異種金属であり、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等で構成する電線導体に対して、銅や銅合金で構成するバレル片とすることができる
前記絶縁コーティング部は、電線導体と圧着部との間に絶縁材を介在させることにより水分の存在に関わらず異種金属間の非導通を維持して電食の発生を防止する手段である。
この発明により、電線導体を圧着するバレル片を、電線導体と異なる異種金属で構成した際、該異種金属で構成された圧着部を有する圧着端子であっても導電性を確保しながら電食の発生を防止することができる。
すなわち、圧着部の囲繞面における電線導体の露出部分の先端部に対応する位置から先端側の部分に、絶縁コーティング部を備えているため、圧着部における圧着だけで、囲繞面の絶縁コーティング部が電線導体を囲繞して圧着する。このため、囲繞面に備えられた絶縁コーティング部により圧着部での確実な電食防止を確保することができる。
また、バレル片により電線導体を一体的に囲繞しているため外部からの水分の浸入を防止でき、確実に電食を防止できる。
前記絶縁コーティング部は、電気絶縁性に適した不導性材料(絶縁材)で囲繞面をコーティングしたコーティング部や、絶縁材をシール状に構成し、バレル片と電線導体との間に介在させるシート体とすることができる。
前記絶縁コーティング部を用いれば、異種金属間に絶縁材を介在させて絶縁しているため水分の存在に関わらず異種金属間での絶縁作用により、つまり異種金属が電気的に接続しないため電食の発生を防止できる。このため、電線導体の先端側は開放していても電食防止機能が得られる。この結果、電線導体の先端側を密封する必要がなくなり、電線導体の先端面側の円形開口部分に対する圧着を省略して圧着工数の削減を図ることができる。
また、この発明の態様として、前記圧着部の前記圧着底面における前記電線導体の先端よりも先端側に対応する位置に、水抜き孔を備えた構成することができる。
この発明により、例えば圧着端子のボックス部と圧着部との間に水が浸入した場合であっても、浸入した水分は水抜き孔より外部に排出される。このため、水分の悪影響を受けない異種金属間の圧着構成となり、安定した電食防止構造を実現できる。
また、この発明の態様として、前記圧着端子における前記バレルの端部位置に、前記圧着部を圧着して前記被覆電線を囲繞したときに前記バレルの端部間を止水する止水用のシール部を備えた構成することができる。また、前記圧着端子における後端位置に、前記圧着部を圧着して前記被覆電線を囲繞したときに前記被覆体に接する止水用のシール部を備えた構成とすることもできる。
前記止水用のシール部は、樹脂またはゴムで構成することができ、さらに、その材料自身に接着性を有する樹脂またはゴムのシートを金属基材上へ直接付けたもの、あるいは、樹脂またはゴムのシートを金属基材上に接着剤を介して接着したもの、あるいは硬化していない流動性を有した状態の樹脂またはゴムを金属基材上に塗布し、硬化させたものとすることができる。なお、その硬化作用は、熱、紫外線、2液、嫌気、湿気等の方式によるとすることができる。
この発明により、電線導体の先端から被覆体の先端側被覆部分までを連続して一体的に囲繞した圧着部の内方への水分の浸入を確実に防止できる。詳しくは、一体的に囲繞する圧着部の後端側端部を幅方向の止水用のシール部で止水可能なため、圧着部と被覆体との境界面や、圧着部における圧着部底面とバレル片との境界面からの水分の浸入を確実に防止することができる。
前記止水用のシール部を、前記バレル片の少なくとも一方の平面対向側に形成すれば、圧着状態の前記圧着部において、一方のバレル片の囲繞面側の幅方向端部と他方のバレル片の囲繞面側の幅方向端部とを両側より対向させ、該バレル片の対向部分を長手方向に亘って平面対向させて圧着させる圧着を行うだけで、
止水することができる。また、平面部であるためシート状の止水部材等を安定して容易に介在させることができる。また、圧着面間を左右より加圧した際に、均一に加圧されるため安定して止水することができる。
前述のような平面対向させる圧着では、両側のバレル片を幅方向中央部に向けて平面対向させて加圧させ、平面同士で面接触させるようにして簡単に圧着させることができる。このとき、周方向で平面同士が突き合わせられた状態で平面対向するため、その平面対向する平面圧着部の付け根を強く圧着する程、圧着部はバレル片の端部側に引っ張られて径方向の絞込み度合いを強くできる。すなわち、圧着強さを強くすることが可能になる。
一方のバレル片の端部が他方のバレル片の端部の端部外側に被さり、端部同士が重なり合う長手方向の重ね合わせ部分を形成するような圧着を行う場合でも、圧着を行うだけで止水することができる。
つまり、圧着状態のバレル片同士が合わさる長手方向の合わせ部分である重ね合わせ部分からの水分の浸入を抑制することができる。したがって、電線導体の先端から被覆体の先端までを連続して一体的に囲繞した圧着部の内方への水分の浸入をさらに確実に防止できる。
また、前記重ね合わせ部分を形成する前記バレル片の端部付近における各対向部分の少なくとも一方に前記止水手段を形成することができる。
前記重ね合わせ部分を形成するバレル片の端部付近における各対向部分とは、一方のバレル片の外側表面に対する他方のバレル片の内側表面となる。つまり、圧着状態のバレル片同士が合わさる長手方向の合わせ部分である重ね合わせ部分からの水分の浸入をより確実に防止することができる。
前記止水用のシール部を前記両バレルの前記幅方向端面のうち少なくとも一方の幅方向端面に形成すれば、両バレル片の幅方向端面同士が突き合わさるように圧着するだけで、止水することができる。
つまり、圧着状態のバレル片の幅方向の端面同士が長手方向で突き合わさる部分からの水分の浸入を抑制することができる。したがって、電線導体の先端から被覆体の先端までを連続して一体的に囲繞した圧着部の内方に水分が浸入することをさらに確実に防止できる。
また、この発明は、上述の圧着端子における圧着部分によって、前記被覆電線と前記圧着端子とを接続した接続構造体であることを特徴とする。
この発明により、圧着端子の圧着部における圧着だけで確実な止水性を確保することのできる接続構造体を構成することができる。したがって、安定した導電性を確保することができる。
この発明の態様として、前記電線導体の先端が、前記圧着部における長手方向中間位置となるように配置して接続することができる。
前記長手方向中間位置とは、圧着部の長手方向の全領域を含む位置である。
この発明により、電線導体の先端から被覆体の先端までを圧着部で連続して一体的に囲繞し、圧着部の内方への水分の浸入を、より確実に防止できる。
また、この発明の態様として、前記被覆電線における前記電線導体を、アルミニウム電線導体で構成することができる。
前記アルミニウム電線導体は、アルミニウム製素線あるいはアルミニウム合金製素線で構成する電線導体とすることができる。
この発明により、例えば、圧着端子を錫メッキ等を施した銅合金で構成した場合であっても、圧着端子を構成する銅合金に比べて卑な金属であるアルミニウム電線導体が腐食される電食の発生を防止することができる。したがって、圧着端子と電線導体を構成する金属種によらず、安定した導電性を確保した接続状態を構成することができる。
また、この発明は、上述の接続構造体における圧着端子をコネクタハウジング内に配置したコネクタであることを特徴とする。
この発明により、圧着端子と電線導体を構成する金属種によらず、安定した導電性を確保した嵌合状態を構成することができる。
この発明によれば、バレル片で圧着する電線導体に対して異種金属で構成しても導電性を確保しながら電食の発生を防止することのできる圧着端子、接続構造体およびコネクタを提供することができる。
実施例1の圧着端子と電線導体を示す斜視図。 実施例1の圧着端子が電線導体を圧着した状態を示す斜視図。 実施例1のプレスにて打ち抜き形成される連鎖端子についての説明図。 実施例1の圧着端子の圧着した内部状態を一部断面して示す説明図。 実施例1の圧着端子の他の電食防止構造を示す斜視図。 実施例1の雄型コネクタと雌型コネクタの接続対応状態を示す斜視図。 実施例2の圧着端子と電線導体を示す斜視図。 実施例2の圧着端子の圧着前と圧着後の状態を一部断面して示す説明図。 実施例2のプレスにて打ち抜き形成される連鎖端子についての説明図。 実施例2の圧着端子が電線導体を圧着した状態を示す斜視図。 実施例3の圧着端子の圧着前と圧着後の状態を示す斜視図。 実施例3の圧着端子の圧着前と圧着後の状態を一部断面して示す説明図。
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1は雌型圧着端子10と被覆電線200との圧着前の対応状態の斜視図を示している。図2は雌型圧着端子10が被覆電線200を圧着した後の状態の斜視図を示している。図3は、雌型圧着端子10を構成する連鎖端子110についての説明図を示している。詳しくは、図3(a)は雌型圧着端子10を構成する連鎖端子110を打抜形成する際の銅合金条100の平面図を示し、図3(b)は雌型圧着端子10を構成する連鎖端子110を打抜形成する銅合金条100の底面図を示している。
図4は雌型圧着端子10についての説明図を示している。詳しくは、図4(a)は雌型圧着端子10の幅方向中央における縦断面図を示し、図4(b)は被覆電線200が接続される側となる雌型圧着端子10の背面図を示し、図4(c)は圧着接続構造体1の幅方向中央における縦断面図を示し、図4(d)は図4(c)のA−A線矢視拡大断面図を示し、図4(e)は圧着接続構造体1における圧着部30の先端開口部側の要部拡大斜視図を示している。
まず、雌型圧着端子10について説明する。この雌型圧着端子10は、長手方向Xの先端側である前方から後方に向かって、図示省略する雄型コネクタに備えられている挿入タブの挿入を許容するボックス部20と、ボックス部20の後方で、所定長さのトランジション部20aを介して配置された圧着部30とを一体に構成している。なお、長手方向Xとは、被覆電線200の長手方向と一致する方向である。
雌型圧着端子10に圧着接続する被覆電線200は、アルミニウム素線を束ねたアルミニウム芯線201を、絶縁被覆部202で被覆して構成している。
雌型圧着端子10は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条100(図3参照)を打ち抜いた後、折曲加工を施して立体構成したオープンバレル型端子である。なお、ボックス部20に挿入する挿入タブを備えた雄型圧着端子の圧着部も同様の構成で構成している。
ボックス部20は、中空四角柱体で構成され、内部に、図4(a)に示すように、長手方向Xの後方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型コネクタの挿入タブ(図示省略)に接触するディンプル21aを有する弾性接触片21を備えている。
さらに、中空四角柱体であるボックス部20の天井部22(22a,22b)は、側面部分23(23a,23b)の延長部分を重なるように折り曲げて構成している。
さらにまた、内面側の天井部22bには、図4(a),(b)に示すように長手方向に平行して突出する断面半円形の摺動ガイド突起22cを有している。これにより、雄型コネクタの挿入タブとの接触抵抗を少なくして円滑に挿入ガイドするようにしている。
圧着部30の圧着前の形状は、図4(b)に示すように、圧着底面31の幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出し、側面視略長方形のバレル片32(32a,32b)を備え、後方視略Uの字型に形成している。
このバレル片32の長手方向長さXb(図1)は、絶縁被覆部202の長手方向X前方側の先端である被覆先端202aから、長手方向Xの前方で露出する電線露出部201aの長手方向Xの露出長さXwより長く形成している。これにより、バレル片32で電線露出部201aを被覆するようにしている。
さらに、圧着部30がアルミニウム芯線201の束を断面円形に囲繞して圧着する際、その圧着部30の内面となる囲繞面30Aを、電線露出部201aを囲繞して圧着する電線圧着範囲30aと、絶縁被覆部202を囲繞して圧着する被覆部圧着範囲30bとに設定している。
そして、電線圧着範囲30aと被覆部圧着範囲30bとは、それぞれ圧着するアルミニウム芯線201及び絶縁被覆部202の外径に応じたUの字型の形状で形成しているため、絶縁被覆部202を圧着する被覆部圧着範囲30bのバレル片32は、アルミニウム芯線201を圧着する電線圧着範囲30aのバレル片32より長く形成している。
また、圧着部30の電線圧着範囲30aには、長手方向Xの前端部に所定幅長さを有して幅方向Yに帯状の絶縁コーティング部37を備えている。この絶縁コーティング部37は絶縁材を、圧着部30の囲繞面30Aに絶縁性が得られる一定厚さでコーティングして構成することができる。
つまり、圧着後はアルミニウム芯線201の先端部を所定幅長さで囲繞した絶縁コーティング部37がアルミニウム芯線201と雌型圧着端子10との対向部分に介在し、この介在した絶縁コーティング部37により異種金属間を絶縁して電気的に導通しないように絶縁させることができる。
具体的には、アルミニウム芯線201の先端部と雌型圧着端子10が直に接触している箇所に、電食の発生原因となる水分が付着しないように絶縁コーティング部37を設けたものである。これにより、異種金属間は距離をもって隔てられるので、その部分に水分が水滴として付着しても、付着した水滴は「アルミニウム芯線201、水滴、絶縁コーティング部37」として付着するか、あるいは「雌型圧着端子10、水滴、絶縁コーティング部37」となって付着する。
このため、他方に水分が接触しないのでアルミニウム芯線201と雌型圧着端子10とは絶縁コーティング部37によって電気的な導通が仕切られ、不導通状態となって異種金属201,10間は電気的につながらない。これにより、電食の根本的な発生原因を解消して電食を確実に防止することができる。
なお、それ以外の圧着接続部分は圧着しているので水分は入り込まない。また、所定幅長さの絶縁コーティング部37を施している位置より後方では、該絶縁コーティング部37が介在していないので後方での異種金属201,10間は直に接触して導通し、本来の電気的な通信を可能にしている。
このため、アルミニウム芯線201の先端部では水分の存在に関わらず異種金属間での電食の発生を誘起する原因を解消することができる。つまり、絶縁作用により電食の発生を防止する電食防止機能が得られる。
さらに、電食防止機能を確保するため圧着部30で圧着の施工性及び後述する銅合金条100への付設の容易性の観点より、圧着部30の前方側の絶縁コーティング部37を付設する該絶縁コーティング部37の厚みは、電食を防止するための絶縁性を確保できる範囲で適宜選定すればよい。
絶縁に際しては、樹脂絶縁材や絶縁塗料等で構成することができる。例えば、一定厚さの絶縁層が得られるゴム物性を備えた絶縁材料が好ましく、その中でも、耐アルカリ、耐熱の観点より、検討を重ねた結果、シリコンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピルゴム、ニトリルゴム等が適する。
このように、絶縁コーティング部37を備えることによって、アルミニウム芯線201の先端側は開放していても電食防止機能が得られる。
このため、図4(e)に示すように、アルミニウム芯線201の先端側は密封する必要がなくなり、ボックス部20と圧着部30との継ぎ目部分であるトランジション部20aに連続するアルミニウム芯線201の先端面側の円形開口部分に対し、そのアルミニウム芯線201の先端側の円形開口部分の密封を必要とするような圧着工程を省略することができる。つまり、トランジション部20aに連続するバレル片32の先端を潰さなくてよい。
この雌型圧着端子10は、図3に示すように圧着部30の前端側の囲繞面30Aに、絶縁コーティング部37を付設した所定幅の銅合金条100を端子形状に打ち抜いて形成した連鎖端子110に、折り曲げ加工を施して構成することができる。
詳しくは、リフロー錫めっき銅合金条100のうち雌型圧着端子10の内側面の所定位置に、絶縁コーティング部37を付設して構成する。
このように、絶縁コーティング部37が形成された銅合金条100から雌型圧着端子10を構成し、この雌型圧着端子10の圧着部30によって被覆電線200を圧着して圧着接続構造体1を構成する(図2)。
詳しくは、被覆電線200の絶縁被覆部202より先端側で露出しているアルミニウム芯線201に対し、その電線露出部201aの先端201bの長手方向Xの位置が圧着部30における絶縁コーティング部37の領域に対応するように被覆電線200を圧着部30に配置する。
そして、電線露出部201aの先端201bから絶縁被覆部202の先端被覆部分までを、圧着部30で圧着して一体的に囲繞する。
このとき、図2に示すように、一方のバレル片32aの幅方向上端部と他方のバレル片32bの幅方向上端部とを両側より対向させ、該バレル片32a,32bの対向部分を長手方向に亘って平面対向させて圧着させる構成としている。
この際、平面対向部分は長手方向に沿う長方形状を有し、図示省略するクリンパ治具により、左バレル片32aの長方平面33と、右バレル片32bの長方平面33とが、電線露出部201aと絶縁被覆部202との真上において、平面接触するような状態で圧着する。
この状態において、図2に示すように、左バレル片32aの長方平面33と、右バレル片32bの長方平面33とが平面対向して密着する。
また、周方向の頂部で平面同士が突き合わされた状態で平面対向するため、その平面対向する長方平面33の付根部分33a(図4(c)参照)を強く圧着する程、圧着部30の周面部分はバレル片32の頂部側に引っ張られる状態となって圧着される。これにより、長方平面33の付根部分33aを強く圧着する程、径方向の絞込み度合いを強くして、圧着強さを強くすることが可能になる。また、左右より長方平面33同士を加圧した際は、平面対向して均一に加圧される。
このように圧着に際しては、圧着部30の囲繞面30Aで被覆電線200を包み込むように圧着するとともに、その頂部では平面同士で面接触させる平面的な圧着を加えるため、圧着方向においても左右から加圧するだけでよく、被覆電線200を左右から円形に包み込んで圧着させる圧着操作と、左右方向から平面的に加圧するだけのシンプルな圧着工程による簡単化した圧着操作が可能になる。
さらに、図4(e)に示すように、絶縁コーティング部37が施されたバレル片32の底面付近には水抜き孔34を形成している。この水抜き孔34は、トランジション部20aに一時的に水分が入ったとしても、その入った水分を底部の水抜き孔34より自然に下方に水抜きして排出することができる大きさに開口している。
これにより、圧着部30のトランジション部20aに水分が浸入しても、ここに浸入した水分は水抜き孔34より外部へと排出されるため、水分が溜まらず、水分の悪影響を受け難くしている。
次に、このように構成された雌型圧着端子10と、被覆電線200とを圧着して構成する圧着接続構造体1について説明する。
まず、絶縁コーティング部37が施された銅合金条100から連鎖端子110を打ち抜き、さらに折り曲げ加工を施して雌型圧着端子10を構成する。
この雌型圧着端子10の圧着部30に被覆電線200を配置して対応させる際、アルミニウム芯線201の先端201bが絶縁コーティング部37上に対応するように、雌型圧着端子10と被覆電線200の長手方向の位置を調整して配置する。
この配置状態で電線露出部201aの先端201bから、絶縁被覆部202の先端側被覆部分までを、圧着部30の囲繞面30Aで包み込むように圧着する。このとき、図2に示すように、一方のバレル片32aの長方平面33と他方のバレル片32bの長方平面33とが幅方向の中央頂部で両側より平面同士で対向して圧着される。
これにより、被覆電線200は雌型圧着端子10により囲繞面30Aで包み込まれた状態に圧着されると同時に、左右より対向する両側のバレル片32a,32bの頂部における両側の長方平面33,33同士が加圧される。したがって、左右方向からの加圧力を受けた被覆電線200は周方向が頂部側に引っ張られる形で絞り込まれ、径方向の絞込み度合いが強くなり、十分な圧着強さが得られる。このようにして強固に圧着された圧着接続構造体1が構成される。
殊に、電食防止技術の問題点を考察してみた場合、雌型圧着端子10とアルミニウム芯線201とを圧着して接続したとき、両者を機械的に圧着して連結すると同時に、両者を電気的に接触させて導通させるという本来の接続目的を達成することができる。
一方、電食防止技術として圧着時に、雌型圧着端子10がアルミニウム芯線201を囲繞して圧着する囲繞対向面間の僅かな対向隙間をなくすように、例えばエポキシ塗料等の止水材を介在させて止水することが考えられる。
ところが、この止水材は隙間をなくすだけでなく止水材が両者を非接触にして導通性をも妨げてしまう。このため、圧着部での異種金属間を接触させる導通性能と、異種金属間を止水材により隔てて隙間をなくす止水性能とは相反する性能であるが、これらを両立させることが必要である。
しかし、これらを両立させるためには圧着部において、雌型圧着端子10とアルミニウム芯線201間を接触させる導通性能と非接触にさせる止水性能とがそれぞれ得られるように形成し、しかも限られた部位に局部的に形成する必要があるため相反する性能を両立させることが難しい。
さらに、露出されたアルミニウム芯線201の外周面と雌型圧着端子10の内周面との対向面間は、アルミニウム芯線201が絶縁被覆部202に比べて小径であるため、アルミニウム芯線201側はバレル片32との対向隙間が大きい。これに対し、被覆側はバレル片32との対向隙間が小さい。
このため、該アルミニウム芯線201の先端部分から被覆電線200の先端側被覆部分までの長手方向における圧着部30では対向隙間が異なり、この対向隙間が最も大きくなるアルミニウム芯線201の先端部分での止水性を十分に高める必要がある。
したがって、アルミニウム芯線201の先端部分は高止水機能が得られる止水材を必要とし、さらに外部からの水分の浸入を防止できるようにアルミニウム芯線201の外周囲を隙間なく囲繞し、しかも開放されているアルミニウム芯線201の先端側に対しても止水する必要がある。
このアルミニウム芯線201の先端側の止水手段として、アルミニウム芯線201の先端側に対応するバレル片32を囲繞させた状態でさらに押し潰すようにしてアルミニウム芯線201の先端側の円形開口空間を閉じて密封し、水分の浸入する余地を排除することが考えられる。
ところが、止水性を確保するためには、バレル片32の先端部を十分に押し潰す工程を必要としていた。
このような観点から圧着接続構造体1の構成に際して、電食防止性を確保するために、圧着部30の前端側の囲繞面30Aに、絶縁コーティング部37を施している。このため、圧着後はアルミニウム芯線201の先端部を所定幅長さで囲繞した絶縁コーティング部37がアルミニウム芯線201と雌型圧着端子10との対向部分に介在し、この介在した絶縁コーティング部37により異種金属間を絶縁して電気的に導通しないように絶縁させることができる。
これにより、異種金属の一方に水分が水滴として付着しても、他方に水分が接触しないのでアルミニウム芯線201と雌型圧着端子10とは絶縁コーティング部37によって電気的な導通が仕切られ、不導通状態となって異種金属201,10間は電気的につながらない。これにより、電食の根本的な発生原因を解消して電食を確実に防止することができる。
なお、それ以外の圧着接続部分はバレル片32でアルミニウム芯線201を包み込むように隙間なく強固に圧着しているので十分な止水性が得られ、水分が入り込む余地はない。また、所定幅長さの絶縁コーティング部37を施している位置より後方では、該絶縁コーティング部37が介在していないので後方での異種金属201,10間は直に接触して導通し、本来の電気的な通信を可能にしている。このため、アルミニウム芯線201の先端部では水分の存在に関わらず異種金属間での電食の発生を誘起する原因を解消することができる。この絶縁作用により、電食の発生を防止することができる。
したがって、アルミニウム芯線201の先端側は開放していても電食防止機能が得られるため、図4(e)に示すように、アルミニウム芯線201の先端側は密封する必要がなくなり、アルミニウム芯線201の先端面側を囲繞するバレル片32を押し潰して該アルミニウム芯線201の先端側を密封するような圧着工程を省略することができる。
これにより、アルミニウム芯線201の先端側における止水を必要としなくなり、止水構造を省略することが可能になる。このため、被覆電線200の外周面に対する全体的な圧着後に、さらにバレル片32の端部を押し潰して密封するような局部的な圧着処理を省略できる。したがって、バレル片32を押し潰すことによる変形度合いの影響を受けず、止水性能の影響を受けない信頼性の高い電食防止性を確保することができる。
また、雌型圧着端子10のボックス部20と圧着部30との間に、該圧着部30のバレル片先端側のかしめ代(押し潰し部分)のスペースが不要となるため、前記ボックス部20と圧着部30との間にトランジション部20aを設けない構成とすることも可能になる。この場合は、トランジション部20aによる開放空間が形成されないため外部からアルミニウム芯線201の先端側に対して水分が浸入し難くなる。
また、トランジション部20aに連続するアルミニウム芯線201の先端側に水分が浸入したとしても、その底部に開口されている水抜き孔34より外部に排出できるため、水分に対する過剰な止水性対策を必要とせず、製作が簡単化する。
したがって、このような機能を有する圧着接続構造体1では、アルミニウム芯線201の先端面側が露出しているが、このアルミニウム芯線201の先端部分に対しては絶縁コーティング部37を囲繞させて電食対策を施しているため、アルミニウム芯線201の先端側での表面が腐食するような電食の発生原因を根本的に解消できる。
また、圧着部30の先端側に形成されている絶縁コーティング部37は絶縁機能だけでなく、周方向における異種金属間に介在して同時に止水性も得られるので、圧着部30の前方側から後方側へと水分が浸入することはない。
一方、絶縁コーティング部37より後方側では、該絶縁コーティング部37が形成されていないため、雌型圧着端子10とアルミニウム芯線201との異種金属面間は圧着されて確実に接触し、安定した導電性が得られる。
この結果、圧着部30において雌型圧着端子10とアルミニウム芯線201との間を絶縁して両金属面間を非接触にさせる前方側での電食防止性能と、雌型圧着端子10とアルミニウム芯線201とを接触させる後方側での導通性能との相反する性能を両立させることができる。
殊に、アルミニウム芯線201の先端部分から先端側被覆部分までの長手方向における圧着部30ではバレル片32との対向隙間が異なるが、このような対向隙間に対して施される止水性の様々な調整も不要になる。
なお、前記説明においては、電線導体としてアルミニウム芯線201を用いたが、一般的な銅合金製素線による銅合金芯線を用いてもよい。
さらに、電線圧着範囲30aに該当する囲繞面30Aの内面には、幅方向Yのセレーション(実施例2参照)を複数本平行して形成してもよい。この場合は、アルミニウム芯線201を圧着した際に、セレーションにアルミニウム芯線201が食い込んで圧着性を高めることができる。
また、図5(a)に示すように、別のパターンの雌型圧着端子10として、雌型圧着端子10の囲繞面30Aに絶縁コーティング部37を備えるだけでなく、両側の長方平面33,33の少なくとも一方の長手方向に、帯状に形成された止水用の長手方向シール35を付設して構成することもできる。
この場合は、絶縁コーティング部37による電食防止機能に加えて、圧着部30の幅方向中央頂部で平面対向する長方平面33間での止水性を高めることができる。
さらに、長手方向シール35が介在される位置は平面部であるため均一に介在させやすく、例えばシート状の止水部材であれば、圧着面間を左右より均一に加圧させることができるため高シール性が得られる。
さらに、図5(b)に示すように、別のパターンの雌型圧着端子10として、雌型圧着端子10の囲繞面30Aに絶縁コーティング部37を備えるだけでなく、該囲繞面30Aの長手方向後端側の幅方向に帯状に形成された止水用の後方幅方向シール36を付設して構成することもできる。
この場合は、絶縁コーティング部37による電食防止機能に加えて、先端側被覆部分が後方幅方向シール36で隙間なく密封されて圧着されるので、圧着部30の後方側での止水性をより確実に高めることができる。
さらに、図5(a)に示した長手方向シール35と、図5(b)に示した後方幅方向シール36とをラップするように止水用のシールを付設させてもよい。
さらには、長手方向シール35や後方幅方向シール36の長さ、幅、形状あるいは厚み等は、雌型圧着端子10と被覆電線200の径や素材に応じて適宜設定すればよい。また、長手方向シール35や後方幅方向シール36の素材も、雌型圧着端子10と被覆電線200の径や素材に応じて適宜設定すればよい。
このような雌型圧着端子10を用いた圧着接続構造体1をコネクタハウジング300に装着することによって、確実な導電性と電食防止性とを有するコネクタ3(3a,3b)を構成することができる。
なお、以下の説明では、コネクタ3(3a,3b)の両方がワイヤーハーネスのコネクタである例を示すが、一方をワイヤーハーネスのコネクタ、他方を基板や部品等の補機のコネクタとしてもよい。
詳しくは、図6に示すように、圧着接続構造体1を装着したコネクタ3の斜視図に示すように、圧着端子10で構成した圧着接続構造体1を、雌型のコネクタハウジング300に装着し、雌型コネクタ3aを備えたワイヤーハーネス301aを構成する。
そして、図示省略する雄型の圧着端子で構成した圧着接続構造体1を雄型のコネクタハウジング300に装着し、雄型コネクタ3bを備えたワイヤーハーネス301bを構成する。そして、雌型コネクタ3aと雄型コネクタ3bとを嵌合することによって、ワイヤーハーネス301aとワイヤーハーネス301bとを接続することができる。
このとき、コネクタハウジング300には、圧着端子と被覆電線200とを接続した圧着接続構造体1を装着しているため、確実な導電性を備えたワイヤーハーネス301(301a,301b)の接続を実現することができる。
次に、第2パターンの雌型圧着端子10aについて説明する。
図7は第2パターンの雌型圧着端子10aの斜視図を示し、図8は第2パターンの雌型圧着端子10aについての説明図を示している。詳しくは、図8(a)は雌型圧着端子10aの側面図を示し、図8(b)は雌型圧着端子10aの幅方向中央における縦断面図を示し、図8(c)は雌型圧着端子10aの背面図を示している。また、図8(d)は圧着接続構造体1aの幅方向中央における縦断面図を示し、図8(e)は図8(d)のA−A線矢視断面図を示している。
図9は第2パターンの雌型圧着端子10aを構成する連鎖端子110についての説明図を示している。詳しくは、図9(a)は雌型圧着端子10aの内表面が表側となるように配置した際の連鎖端子110を形成する銅合金条100の平面図を示し、図9(b)は雌型圧着端子10aの外表面が裏側となるように配置した際の連鎖端子110を形成する銅合金条100の平面図を示している。
図10は圧着接続構造体1aにおける圧着部30による被覆電線200の圧着について説明する斜視図であり、図11(a)は圧着前の状態を示す斜視図、図11(b)は圧着して構成された圧着接続構造体1aの斜視図を示している。
この雌型圧着端子10aは、実施例1で述べた雌型圧着端子10と同様な構成を有している。したがって、実施例1の雌型圧着端子10と異なる点についてのみ説明し、同じ構成の部分は同一の符合を付して、その説明を省略する。
まず、囲繞面30Aのうち、電線圧着範囲30aの内面には、アルミニウム芯線201を圧着した状態において、アルミニウム芯線201が食い込む幅方向Yの溝であるセレーション73を、長手方向Xに平行に4本形成している。
なお、セレーション73は、圧着底面31と、圧着底面31の幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出するバレル片32の上部までを連続する溝形状で形成している。
また、囲繞面30Aには、長手方向Xの後端部において幅方向Yに帯状に形成した幅方向シール71と、左バレル片32aの内面と右バレル片32bの外面における幅方向Yの端部に長手方向Xの帯状の長手方向シール72(72a,72b)とを備えている。
この場合も、囲繞面30Aには絶縁コーティング部37が被覆されているため、圧着後は囲繞した絶縁コーティング部37がアルミニウム芯線201と雌型圧着端子10との異種金属間に介在し、両者間を絶縁させる絶縁機能が得られる。この絶縁作用により実施例1と同様に電食を防止する電食防止機能が得られる。
このように、絶縁コーティング部37を備えることによって、アルミニウム芯線201の先端側は開放していても電食防止機能が得られる。このため、図10に示すように、アルミニウム芯線201の先端側は密封する必要がなくなり、ボックス部20と圧着部30との継ぎ目部分であるトランジション部20aに連続するアルミニウム芯線201の先端面側の円形開口部分に対し、そのアルミニウム芯線201の先端側の円形開口部分の密封を必要とするような圧着工程を省略することができる。つまり、トランジション部20aに連続するバレル片32の先端を潰さなくてよい。
また、後方幅方向シール71は、絶縁被覆部202の外周面と密着して止水性を確保するものであり、該後方幅方向シール71はゴム物性を備えた材料が好ましく、その中でも、耐アルカリ、耐熱の観点より、検討を重ねた結果、シリコンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピルゴム、ニトリルゴム等が適する。
さらに、後方幅方向シール71は、硬度が低く、弾性を備えた材料が好ましい。また、圧着部30で圧着の施工性、及び後述する銅合金条100への付設の容易性の観点より、後方幅方向シール71の厚みは、圧着部30による圧着前の状態において、雌型圧着端子10aを構成する銅合金条100(図9)の板厚程度であることが望ましく、板厚の1/3以上3倍以内がよい。
なお、各図中においては、便宜上、雌型圧着端子10aの厚みを厚く、幅方向シール71や長手方向シール72を、厚みを持たせずに図示している。
また、長手方向シール72(72a,72b)は、後述するように、バレル片32同士が接触する重ね合わせ部Dの部分に形成されるため、後方幅方向シール71と同材料で構成している。
このような構成の雌型圧着端子10aは、図9に示すように表裏面のそれぞれに、幅方向シール71と長手方向シール72(図7,8)とを構成する止水シール70(70a,70b)を付設し、さらに表面100aには絶縁コーティング部37を付設した所定幅の銅合金条100を端子形状に打ち抜いて形成した連鎖端子110に、折り曲げ加工を施して構成される。
詳しくは、リフロー錫めっき銅合金条100のうち雌型圧着端子10aの内側面を構成する表面100aには、幅方向シール71と内面側長手方向シール72aとに対応する箇所に止水シール70aを付設し、雌型圧着端子10aの外側面を構成する裏面100bには、外面側長手方向シール72bの該当箇所に止水シール70bを塗布している。
このように、絶縁コーティング部37と止水シール70とが形成された銅合金条100から連鎖端子110を打ち抜いて、折り曲げ加工を施して雌型圧着端子10aを構成し、圧着部30に被覆電線200を圧着して圧着接続構造体1aを構成する(図7,8)。詳しくは、被覆電線200の絶縁被覆部202より先端側で露出するアルミニウム芯線201の電線露出部201aを、電線露出部201aの先端201bの長手方向Xの位置が圧着部30における絶縁コーティング部37より後方となるように、被覆電線200を圧着部30に配置する。
そして、電線露出部201aの先端201bから、絶縁被覆部202の被覆先端202aより後方までを、図10に示すように、一旦、圧着部30で圧着して一体的に囲繞する。
このとき、図示省略する第1クリンパ治具により、左バレル片32aの幅方向Yの端部を、右バレル片32bの幅方向Yの端部の上に重ねて重ね合わせ部Dを形成するように、バレル片32をアルミニウム芯線201の電線露出部201aと絶縁被覆部202とに巻きまわして圧着する。
さらに、バレル片32の前方側の端部が絶縁コーティング部37を介して圧着底面31に密着するととともに、電線圧着範囲30aが電線露出部201aに密着し、被覆部圧着範囲30bが被覆先端202aを跨いで絶縁被覆部202の外周に後方幅方向シール71を介して密着するように、第2クリンパ治具(図示省略)を用い、バレル片32の圧着を強めて、圧着部30による雌型圧着端子10aと被覆電線200との接続を行い、圧着接続構造体1aを構成する。
この場合は、絶縁コーティング部37による絶縁性と、後方幅方向シール71、内面側長手方向シール72a、外面側長手方向シール72bによる止水性とを併用して電食防止機能を高めて構成している。すなわち、圧着後はアルミニウム芯線201の先端部を所定幅長さで囲繞した絶縁コーティング部37がアルミニウム芯線201と雌型圧着端子10との対向部分に介在し、この介在した絶縁コーティング部37により異種金属間を絶縁して電気的に導通しないように絶縁させることができる。
具体的には、アルミニウム芯線201の先端部と雌型圧着端子10が直に接触している箇所に、電食の発生原因となる水分が付着しないように絶縁コーティング部37を設けたものである。これにより、異種金属間は距離をもって隔てられるので、その部分に水分が水滴として付着しても、付着した水滴は「アルミニウム芯線201、水滴、絶縁コーティング部37」として付着するか、あるいは「雌型圧着端子10、水滴、絶縁コーティング部37」となって付着する。
このため、他方に水分が接触しないのでアルミニウム芯線201と雌型圧着端子10とは絶縁コーティング部37によって電気的な導通が仕切られ、不導通状態となって異種金属201,10間は電気的につながらない。これにより、電食の根本的な発生原因を解消して電食を確実に防止することができる。
なお、それ以外の圧着接続部分は圧着しているので水分は入り込まない。また、所定幅長さの絶縁コーティング部37を環状に施している前端側の位置より後方では、該絶縁コーティング部37が介在していないので後方での異種金属201,10間は直に接触して導通し、本来の電気的な通信を可能にしている。このため、アルミニウム芯線201の先端部では水分の存在に関わらず異種金属201,10間での電食の発生を誘起する原因を解消することができる。つまり、絶縁作用により電食の発生を確実に防止することができる。
したがって、アルミニウム芯線201の先端側は開放していても電食防止機能が得られるため、図10に示すように、アルミニウム芯線201の先端側は密封する必要がなくなり、アルミニウム芯線201の先端面側のトランジション部20aに連続する開口部分の密封を必要とするような圧着工程を省略することができる。この結果、圧着接続構造体1aの製作工数を削減して低コスト化が図れる。
これにより、トランジション部20aにおける止水を必要としなくなり、止水構造を省略することが可能になる。このため、圧着後にトランジション部20aは開口したままでよく、圧着後にトランジション部20aの開口部分に対し、さらにバレル片32の端部を押し潰して密封するような工程を省略できる。このため、バレル片32を押し潰すことによる変形度合いの影響を受けず、止水性能の影響を受けない信頼性の高い電食防止性を確保することができる。
また、圧着接続構造体1aの取り付けられる向きによってはトランジション部20aに入った水が、その底部に溜まらないように水抜き孔34が備えられているため水を自然に外部に排出することができる。
また、図8(e)に示すように、左バレル片32aの幅方向Yの端部が右バレル片32bの幅方向Yの端部の上に重なるようにして重ね合わせ部Dを形成するため、左バレル片32aの幅方向Yの端部内面に形成された内面側長手方向シール72aと、右バレル片32bの幅方向Yの端部外面に形成された外面側長手方向シール72bとが密着する。したがって、圧着部30における長手方向の重ね合わせ部Dの止水性を確保することができる。
さらに、図8(d),(e)に示すように、被覆部圧着範囲30bが後方幅方向シール71を介して絶縁被覆部202の外周に密着するため、後方幅方向シール71により圧着部30の後端側の止水性を確保することができる。
したがって、このような機能を有する圧着接続構造体1aを用いると、圧着部30での前端側に対しては絶縁コーティング部37を施す。つまり、止水手段を不要にできる絶縁手段を確保することにより圧着工数の削減を図った電食防止構造が得られる。これにより、圧着接続構造体1aの製作が容易になる。また、圧着部30での後端側に対してはシール71,72a,72を施せば、止水性をさらに高めて、より電食防止効果が高まる。
さらに、圧着部30の前端側は異種金属間の対向隙間が大きいが、その対向隙間の大きさに影響を受けない絶縁コーティング部37の介在による電食防止機能が得られる。また、圧着部30の後端側は異種金属間の対向隙間が小さく、後方幅方向シール71で効率よく止水できるので安定した電食防止機能が得られる。このように圧着部30の前後端側での異種金属間の対向隙間にふさわしい電食防止が施される。
殊に、バレル片32で圧着する際に、アルミニウム芯線201と絶縁被覆部202との径方向に大きさが異なる被覆電線200の段差形状に見合った圧着を可能とするため、材質にも形状にも対応して電食防止が得られるように構成したものである。また、圧着部30の長手方向Xの中間部にあっては異種金属間での安定した接触を確保でき、また電食のおそれもないため導電性が低下することを防止できる。
ところで、アルミニウム芯線201は、雌型圧着端子10aを構成する銅合金条100に比べて卑な金属であるアルミニウムで構成しており、雌型圧着端子10aとアルミニウム芯線201との接触部分に水分が付着することで生じる電食の発生を防止することができる。
したがって、雌型圧着端子10aとアルミニウム芯線201において安定した導電性を確保した接続状態を備えた圧着接続構造体1aを構成することができる。そして、このように雌型圧着端子10aを用いて構成された圧着接続構造体1aの場合も、上述の雌型圧着端子10を用いた圧着接続構造体1と同様の電食防止効果を得ることができる。
なお、前記説明においては、電線導体としてアルミニウム芯線201を用いたが、一般的な銅合金製素線による銅合金芯線を用いてもよい。
また、重ね合わせ部Dを構成する左バレル片32aと右バレル片32bのそれぞれの幅方向端部に内面側長手方向シール72a,外面側長手方向シール72bを形成したが、内面側長手方向シール72a及び外面側長手方向シール72bのうち少なくとも一方を備えればよい。
続いて、第3パターンの雌型圧着端子10bについて説明する。第3パターンの雌型圧着端子10bは、実施例1で述べた雌型圧着端子10及び実施例2で述べた雌型圧着端子10aと同様な構成を有している。したがって、これらと異なる点についてのみ説明し、同じ構成の部分は同一の符合を付して、その説明を省略する。
この第3パターンの雌型圧着端子10bは、図11(a)に示すように圧着部30のバレル片32が、電線露出部201aの外周及び絶縁被覆部202の外周と略同じ長さに形成されている。そして、上述の雌型圧着端子10における後方幅方向シール111に加えて、バレル片32の幅方向Yの側方端面38に側方端面シール112を備えている。なお、側方端面シール112は、後方幅方向シール111と同材料で構成している。
なお、図11(a)は第3パターンの雌型圧着端子10bの斜視図を示し、図11(b)は圧着部30で電線露出部201aをかしめて構成した圧着接続構造体1bの斜視図を示している。図12は第3パターンの雌型圧着端子10bについての説明図を示している。図12(a)は雌型圧着端子10bの側面図を示し、図12(b)は雌型圧着端子10bの幅方向中央における縦断面図を示し、図12(c)は雌型圧着端子10bの背面図を示している。また、図12(d)は圧着接続構造体1bの幅方向中央における縦断面図を示し、図12(e)は図12(d)のA−A線矢視断面図を示している。
このような構成の雌型圧着端子10bは、図9における説明と同様に、表面に絶縁コーティング部37と止水シール70を付設した所定幅の銅合金条100を端子形状に打ち抜いて連鎖端子110を形成するとともに、折り曲げ加工を施し、さらに切断処理を行って構成される。
このように、絶縁コーティング部37と止水シール70とが形成された銅合金条100から連鎖端子110を打ち抜いて、折り曲げ加工を施して雌型圧着端子10bを構成し、圧着部30において、電線露出部201aの先端201bの長手方向Xの位置が、圧着部30における絶縁コーティング部37より後方となるように、被覆電線200を圧着部30に配置し、圧着部30で被覆電線200を圧着して圧着接続構造体1bを構成する。
このとき、図示省略するクリンパ治具により、左バレル片32aの側方端面38と、右バレル片32bの側方端面38(図11(a))とが、電線露出部201aと絶縁被覆部202との真上において、突き合わさるような状態で圧着する。
この状態において、バレル片32の前方側の端部が絶縁コーティング部37を介して圧着底面31に密着するため、絶縁コーティング部37により圧着部30の先端側での電食防止性を確保することができる。
また、図12(e)に示すように、左バレル片32aの側方端面38と右バレル片32bの側方端面38とが突き合わさって密着するため、圧着部30における長手方向の止水性を側方端面シール112によって確保することができる。
さらに、図12(d),(e)に示すように、被覆部圧着範囲30bが後方幅方向シール111を介して絶縁被覆部202の外周に密着するため、後方幅方向シール111により圧着部30の後端側の止水性を確保することができる。
したがって、このように雌型圧着端子10bを用いて構成された圧着接続構造体1bでは、上述の雌型圧着端子10,10aを用いた圧着接続構造体1,1aと同様の電食防止効果を得ることができる。
なお、左バレル片32aと右バレル片32bの両側方端面38に、側方端面シール112を形成したが、いずれか一方にのみ形成してもよい。
また、別のパターンの雌型圧着端子10bとして、後方幅方向シール111に加えて、圧着部30の外側表面において、絶縁コーティング部37と後方幅方向シール111との長手方向Xの間を、長手方向Xにラップするように止水シールを付設させてもよい。
さらには、幅方向シール、長手方向シール、あるいは、圧着部30の外側表面に付設する止水シールの長さ、幅、形状あるいは厚み等は、雌型圧着端子10bと被覆電線200の径や素材に応じて適宜設定すればよい。
また、後方幅方向シール111、側方端面シール112、あるいは、圧着部30の外側表面に付設する止水シールの素材も、雌型圧着端子10bと被覆電線200の径や素材に応じて適宜設定すればよい。
そして、実施例3で述べた雌型圧着端子10bを用いた圧着接続構造体1bは、実施例1で構成された圧着接続構造体1と、実施例2で述べた雌型圧着端子10aを用いた圧着接続構造体1aと同様な電食防止機能を有して使用される。
つまり、これらの圧着接続構造体1,1a(1b)を、図6で示したようにコネクタハウジング300に装着することによって、確実な導電性を有するコネクタ3(3a,3b)を構成することができる。
上述のように、バレル片で圧着する際に、アルミニウム芯線と絶縁被覆部との径方向に大きさが異なる被覆電線の段差形状に見合った圧着を可能とするため、材質にも形状にも対応して電食防止が得られるように構成している。このため、圧着工数の削減を図った電食防止構造が得られ、圧着接続構造体の製作が容易になる。また、絶縁コーティング部だけでなくバレル片の後端側などにもシールを施せば、止水性をさらに高めて、より電食防止効果が高まる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の電線導体及びアルミニウム電線導体は、アルミニウム芯線201に対応し、
以下同様に、
被覆体は、絶縁被覆部202に対応し、
被覆体の先端は、被覆先端202aに対応し、
所定長さは、露出長さXwに対応し、
電線導体の露出部は、電線露出部201aに対応し、
圧着端子は、雌型圧着端子10,10a,10bに対応し
コーティング部は、絶縁コーティング部37に対応し、
止水用のシール部は、幅方向シール71,長手方向シール35,72,内面側長手方向シール72a,外面側長手方向シール72b,後方幅方向シール36,111,及び側方端面シール112に対応し、
重ね合わせ部分は、重ね合わせ部Dに対応し、
幅方向端面は、側方端面38に対応し、
接続構造体は、圧着接続構造体1,1a,1bに対応し、
コネクタは、コネクタ3,雌型コネクタ3a及び雄型コネクタ3bに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述の実施例では絶縁コーティング部37の底部付近に水抜き孔34を設けたが、これに限らず、圧着接続構造体1,1a,1bの用途や設置環境を考慮して水抜き孔34を設けずに構成してもよい。
さらに、異種金属間の電解液となる一例に水分を例にとって示したが、海水、油等の電解液となる液体に対しても同様に対応するものである。
1,1a,1b…圧着接続構造体
3…コネクタ
3a…雌型コネクタ
3b…雄型コネクタ
10,10a,10b…雌型圧着端子
30…圧着部
30A…囲繞面
31…圧着底面
32…バレル片
34…水抜き孔
35,72,72a,72b…長手方向シール
36,71,111…幅方向シール
37…絶縁コーティング部
38…側方端面
112…側方端面シール
201…アルミニウム芯線
201a…電線露出部
202…絶縁被覆部
300…コネクタハウジング
D…重ね合わせ部
Xw…露出長さ
X…長手方向
Y…幅方向

Claims (8)

  1. 電線導体の外周を絶縁性の被覆体で被覆した被覆電線における前記被覆体の先端より所定長さ露出させた前記電線導体の露出部分を囲繞して圧着する圧着部を有し、該圧着部が前記被覆電線をのせる圧着底面と、該圧着底面の幅方向の両側から延出したバレル片とを有する圧着端子であって、
    前記圧着部が、前記電線導体と異なる導電性の異種金属で構成されるとともに、
    前記圧着底面と前記バレル片が、前記被覆電線の前記被覆体の先端部から前記電線導体の露出部分の先端よりも先端側に突出する位置までを連続して一体的に囲繞できる長さに形成され、
    前記圧着部の内側の囲繞面における前記電線導体の露出部分の先端部に対応する位置から先端側の部分に、絶縁材料からなり前記囲繞面に絶縁性を得られる厚さの絶縁コーティング部を帯状に備えた
    圧着端子。
  2. 前記圧着部の前記圧着底面における前記電線導体の先端よりも先端側に対応する位置に、水抜き孔を備えた
    請求項2に記載の圧着端子。
  3. 前記圧着端子における前記バレルの端部位置に、前記圧着部を圧着して前記被覆電線を囲繞したときに前記バレルの端部間を止水する止水用のシール部を備えた
    請求項1または請求項2に記載の圧着端子。
  4. 前記圧着端子における後端位置に、前記圧着部を圧着して前記被覆電線を囲繞したときに前記被覆体に接する止水用のシール部を備えた
    請求項1から請求項3のうちいずれか項に記載の圧着端子。
  5. 請求項1から請求項4うちいずれか項に記載の圧着端子における圧着部分によって、前記被覆電線と前記圧着端子とを接続した
    接続構造体。
  6. 前記電線導体の先端が、前記圧着部における長手方向中間位置となるように配置して接続した
    請求項に記載の接続構造体。
  7. 前記被覆電線における前記電線導体を、アルミニウム電線導体で構成した
    請求項または請求項6に記載の接続構造体。
  8. 請求項5から請求項7うちいずれか項に記載の接続構造体における圧着端子をコネクタハウジング内に配置した
    コネクタ。
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