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JP5483571B2 - 分析方法 - Google Patents
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JP5483571B2 - 分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、昇温脱離分析法などの熱分析法で固体材料中の成分を分析する分析方法に関する。
固体の試料に存在する成分のなかで、ガス(気体)成分や、高い温度でガスとして脱離する成分を分析する方法として昇温脱離分析法がある。昇温脱離分析法では、昇温脱離分析装置を用い、例えば、真空中で試料を加熱し、この加熱により試料より脱離する気体を質量分析計で検出する。
昇温脱離分析法は、例えば、半導体材料の表面や内部の汚染ガス成分や、吸着した成分を測定する分析法として活用されている。また、ただし、近年は、鉄鋼材料における水素などのガス成分の侵入量の分析にも用いられている。鉄鋼材料においては、水素などの存在が、機械的特性を損なう場合が多く、水素の侵入量の分析が重要となっている。
昇温脱離分析法は、通常、真空中(例えば4×10-7Pa程度)において、一定の速度で固体試料の温度を上昇させ、温度ごとに試料から脱離して真空中に放出されるガス成分を四重極質量分析計などの質量分析計で検出する。質量分析では、加熱により脱離(発生)したガスを電子衝撃などのイオン法でイオン化し、このイオンの強度を検出する。イオン強度の検出では、イオンを質量/電荷比ごとに分取(分光)して検出器に導き、イオンの量を電流値として測定する。また、イオン強度の検出では、イオン1個1個を電圧パルスとして検出し、これを増幅して計数する。
従って、質量分析によって得られる信号は、ガス成分に由来し、特定の質量/電荷比を有するイオンの電流、または計数されたパルスである。ここで、分析対象の物質(イオン)の電荷の値は1であることがほとんどであるので、質量/電荷比は、質量数としてもよい。また、昇温脱離分析法では、試料を昇温する過程で発生するガス成分を質量分析しており、質量分析により得られるイオンの強度が加熱の温度とともに変化するスペクトル(昇温脱離スペクトル)として得られる。この昇温脱離スペクトルは、一般に、横軸に温度、縦軸に検出されるイオンの信号強度をとったグラフで示される。
この昇温脱離スペクトルの解析により、検出した成分がガスとして試料より脱離するためのエネルギーについて知見を得ることができ、この脱離エネルギーより、検出した成分の試料中での存在状態を推察することができる。この推察では、昇温脱離スペクトルの横軸である温度が、非常に重要となる。温度は、試料の近傍に置かれた熱電対などの温度計を用いて計測されるが、温度計の計測値から実際の温度を得るには、計測値と実際の温度との差を明らかにして較正する必要がある。
N. Hirashita,et al. ,"Study on temperature calibration of a silicon substrate in a temperature programmed desorption analysis", J.Vac.Sci.Technol.A, vol.19, no.4, pp.1255-1260, 2001.
昇温脱離分析法における上述した温度の較正方法としては、一般に次に示す2つの方法がある。
第1の温度較正方法は、試料の近傍に置かれた熱電対Aの他に、試料に接触する熱電対Bを設け、熱電対Bによる計測値が試料の実際の温度であるとし、熱電対Aによる計測値との差により温度を較正する方法である。この方法では、シリコンなどの熱的に安定な組成を持つ擬似標準試料の測定で、熱電対Aと熱電対Bとを同時に用いて温度を計測して上述した較正を行い、実際の試料の測定では、熱電対Bを用いずに、熱電対Aによる計測値を較正して試料の温度とする。
しかしながら、上述した温度較正方法では、擬似標準試料と試料との間で、厚みなどの大きさや、媒質の組成の違いによる熱伝導度が異なる場合、試料の測定における熱電対Aの計測値からは、試料の実際の温度が得られない。実際の昇温脱離分析による測定では、標擬似準試料と実際の試料との間で、寸法や熱伝導度が異なることは、度々発生する。このため、上述したことが問題となる。
上述した問題は、熱電対Bを試料に接触させて測定を行えば解決できる。しかしながら、熱電対は金属であるため、高温において熱電対の金属と合金を形成する可能性のある金属の試料を測定する場合は、熱電対Bを試料に接触させる方法は適用できない。また、粉体試料を測定する場合など、熱電対Bとの間で良好な熱的接触を得ることが困難な試料の測定では、上述した較正方法は適当でない。
次に、第2の温度較正方法では、特定の温度でガスを生じる物質を温度標準試料として測定を行い、温度を較正する。この方法における特定の温度とは、物理現象や化学現象で規定される物質固有の温度である。例えば、分解温度という化学現象で規定される温度は、物質が分解し始める温度であり、物質固有の値となる。温度標準試料の物理・化学特性に付随する固有の温度と、熱電対による温度測定値との対応関係から、温度測定値(計測温度)を較正する。この温度較正方法では、異なる特定の温度を有する複数の温度標準試料を用いることが多い。
しかしながら、この方法においても、温度標準試料と試料との間で、厚みなどの大きさや、媒質の組成の違いによる熱伝導度が異なる場合、試料の測定における熱電対の計測値から、試料の実際の温度を得ることは困難である。原理的には、各測定において、温度標準試料の形状寸法,および熱伝導度などを、測定対象の試料に一致させればよいが、試料の形態は多種多様であり、一致させることは現実的ではない。
また、異なる特定の温度特性を有する複数の温度標準試料を用いる場合、測定時間は長時間となる。例えば、2つの温度標準試料を用いて較正をする場合、2つの温度標準試料の測定および実際に試料の測定の合計3回の測定となる。昇温脱離分析法では、よく知られているように、試料が配置される測定環境(試料室)は、分析を行うときに高真空状態とするため、多くの時間を要する。1回の測定には、2時間以上を要する場合もある。また、一度測定を行った後、連続して次の測定を行う場合、次の測定を行う段階では、試料室が室温(20℃程度)になっている必要がある。測定では、数百度と高温状態となるため、これを室温にまで低下させるためには、通常1時間程度必要となる。従って、上述したように3回の測定を行う場合、測定時間はおおよそ3×3=9時間となり、多くの時間を要することになる。
また、測定対象の試料の上に温度較正用の物質を載置し、この状態で分析を行うことで温度較正を行う方法が提案されている(非特許文献1参照)。この技術では、温度較正用の物質として、CaC24・H2Oのペレットを温度較正対象の試料に載せている。この方法では,温度較正用の物質より特定の温度で一酸化炭素などの特定のガスが発生することを利用し、温度較正を行えることを期待している。
しかしながら,この方法においても、上記物質と試料との間で、形状・寸法の違いや、媒質の組成の違いによる熱伝導度が異なるため、温度の計測値から試料の実際の温度を得ることは困難である。
さらに、ペレットのような、試料との大きさが近いバルク状物質を試料の上に載せることは、試料の温度測定に用いる熱電対の位置(通常は試料の下部)から、試料上部に載せたペレットからのガスの発生位置(通常はペレットの上部)までの間の距離が遠くなる。このため、温度測定箇所と、ガス発生箇所との間により大きな温度差を生じせしめることになり、正確な温度較正がますます困難になる。また、温度較正用の物質としてバルク状物質を用いることから、厚みなどの大きさを、試料とほぼ一致させることは可能であっても、熱伝導度を、試料とほぼ一致させることは不可能である。
以上に説明したように、昇温脱離分析法などの熱分析法では、正確な温度の較正が容易に行えないという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、熱分析法で、正確な温度の較正が容易に行えるようにすることを目的とする。
本発明に係る分析方法は、試料に含まれると予想される分析対象の物質を熱分析法で分析する分析方法において、分析対象の物質とは異なり、常温〜1000℃の範囲で気体を生じる指標物質を試料に加えた内標準試料を作製する第1ステップと、内標準試料を熱分析法で分析することで、指標物質より生じた指標気体における温度に対する検出強度の変化を示す測定結果を取得する第2ステップと、測定結果より、指標物質から指標気体が発生した計測温度を求める第3ステップと、熱分析法による分析の環境で指標物質より指標気体が発生する基準温度と計測温度とを用い、内標準試料における分析対象の物質の熱分析法の分析で計測される加熱温度を較正する第4ステップとを少なくとも備える。
上記分析方法において、第1ステップでは、各々異なる複数の指標物質を試料に加えて内標準試料を作製し、第2ステップでは、複数の指標物質より生じた各々の指標気体の測定結果を取得し、第3ステップでは、複数の指標物質より指標気体が発生した各々の計測温度を求め、第4ステップでは、熱分析法による分析の環境で複数の指標物質より指標気体が発生する各々の基準温度と計測温度とを用いて加熱温度を較正するようにしてもよい。
上記分析法において、熱分析法は、例えば昇温脱離分析法でり、測定結果は昇温脱離スペクトルである。
以上説明したように、本発明によれば、常温〜1000℃の範囲で気体を生じる指標物質を試料に加えた内標準試料として熱分析を行うようにしたので、熱分析法で、正確な温度の較正が容易に行えるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における分析方法を説明するためのフローチャートである。 図2は、内標準試料の構成を示す構成図である。 図3は、内標準試料の構成を示す構成図である。 図4は、昇温脱離スペクトルの一例を示す特性図である。 図5は、測定における時間と温度との関係を示す特性図である。 図6は、本発明の実施の形態における分析方法における温度較正を説明するためのフローチャートである。 図7は、昇温脱離分析装置の構成例を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における分析方法を説明するためのフローチャートである。この分析方法は、まず、ステップS101で、分析対象の物質とは異なり、常温〜1000℃の範囲で気体を生じる指標物質(内標準物質)を試料に加えた内標準試料を作製する。例えば、塗布や注入などにより、指標物質を試料に加える(添加する)ようにすればよい。
次に、ステップS102で、内標準試料を昇温脱離分析法などの熱分析法で分析することで、指標物質より生じた指標気体の測定結果を取得する。昇温脱離分析法の場合、昇温脱離スペクトルが測定結果として取得できる。なお、この分析においては、指標気体の分析とともに分析対象の物質の分析(測定)も行う。試料(内標準試料)に分析対象に物質が含まれていれば、指標気体の測定結果(例えば昇温脱離スペクトル)とともに分析対象の物質の測定結果(例えば昇温脱離スペクトル)も得られる。
次に、ステップS103で、得られた指標気体の測定結果より、指標物質から指標気体が発生した計測温度を求める。例えば、昇温脱離分析法では、指標気体の昇温脱離スペクトルより指標気体の発生時点がわかるので、この発生時点において計測された温度(計測温度)を求めればよい。
次に、ステップS104で、熱分析法による分析の環境で指標物質より指標気体が発生する基準温度と計測温度とを用い、内標準試料における分析対象の物質の熱分析法の分析で計測される加熱温度(計測温度)を較正する。指標物質より指標気体が発生する(発生し始める)基準温度は既知であり、既知の基準温度を用いれば計測温度を較正することができる。
次に、内標準試料の作製について説明する。例えば、図2に示すように、平面視矩形の薄い平板形状の試料201に対し、指標物質が加えられた(添加された)領域202を形成する。領域202は、指標物質を、塗布,注入などにより添加した領域である。図2に例示するように、領域202は、試料201の一部表面に形成してもよく、また、試料201の表面の全域に形成してもよい。また、異なる指標物質からなる複数の領域を設けてもよい。
試料201における温度むらは、測定結果である昇温脱離スペクトルの幅に影響するが、試料201の板厚を薄くし、表面の面積を小さくすることによって、温度むらを小さくすることができる。ただし、試料201の大きさを小さくすることは、昇温脱離分析などの熱分析法で得られる信号強度を小さくすることにつながるので、限度がある。ある程度の温度むらを許容する場合、領域202の温度は、試料201全体の温度を代表していることが望ましい。
次に、指標物質について説明する。指標物質は、まず、室温より高い温度において蒸気圧を生じる性質を有していればよい。なお、昇温脱離分析法などの熱分析法では、実質的な加熱温度の上限が1000℃であり、指標物質における蒸気圧が生じる温度の上限は、1000℃とすればよく、指標物質は室温〜1000℃の温度範囲で蒸気圧を生じる性質を有していればよい。
室温において比較的安定な固体であって蒸気圧をほとんど有せず、室温〜1000℃の温度範囲で、融解して蒸気圧を有するようになる物質の例としては、亜鉛,インジウム,鉛,スズなどの低融点の金属がある。例えば、亜鉛は、420℃で融解すると蒸気圧を生じて一部が気化する。これらの低融点金属を試料に添加する方法としては、注入の一種であるイオン注入を用いればよい。例えば、上述した低融点金属の1価のイオンをイオン種として加速することでイオン注入すればよい。
また、室温〜1000℃の温度範囲で昇華する物質としては、斜方硫黄、ヒ素などがある。
また、指標物質としては、室温〜1000℃の温度範囲で、分解して気体を生じる性質を有する物質であってもよい。このような物質の例としては、金属塩の水和物,炭酸塩,金属カルボニル,シュウ酸塩,および過酸化物などがある。
指標物質から生じる温度の指標となる気体(以下、指標気体と呼ぶ)は、この指標気体の質量数が、測定対象の物質の質量数と異なっている必要がある。また、質量分析において、指標気体が電子衝撃等によって分解されて生じるフラグメント(イオン)の質量数が、測定対象の物質の質量数と異なっている必要がある。
また、塗布により指標物質を試料に加える場合、指標物質を含む塗布液が、溶媒やバインダを含むことになる。このような溶媒やバインダが熱によって気体を生じる場合、生じた気体の質量数および生じた気体が電子衝撃などによって分解されて生じるフラグメントの質量数が、ともに、測定対象の物質とは異なる質量数である必要がある。
例えば、試料が鉄鋼であり、測定対象の物質が水素(質量数2)の場合、指標物質としては、炭酸塩,金属カルボニル,シュウ酸塩,過酸化物などが選択できる。これらの物質が加熱により分解して生成されるガスは、順に、二酸化炭素,一酸化炭素,一酸化炭素,酸素である。二酸化炭素は、主な質量数は44であり、分解して生成する主なフラグメントの質量数は12および16である。また、一酸化炭素は、主な質量数が28であり、分解して生成する主なフラグメントの質量数は12および16)である。また、酸素は、主な質量数が32であり、分解して生成する主なフラグメントの質量数は16である。これらは、水素とは質量数が異なり、水素の測定に影響を及ぼさない。
ところで、質量数が異なる同位元素で構成される2つの指標物質を用いることで、試料における温度分布(温度ムラ)を評価することができる。例えば、図3に示すように、試料201に対し、領域202に加え、領域202に加えられた指標物質とは質量数が異なる同位元素で構成される指標物質が加えられた領域203を形成する。領域203も、領域202と同様に、他の指標物質を塗布,注入などにより添加した領域である。
例えば、指標物質としてニッケルカルボニルを用いればよい。ニッケルカルボニルを構成する酸素には、質量数が16および質量数が18の同位体が存在する。従って、質量数が16の酸素より構成されたニッケルカルボニルで領域202を形成し、質量数が18の酸素より構成されたニッケルカルボニルで領域203を形成する。このように形成した試料201(内標準試料)を熱分析法(例えば昇温脱離分析法)で分析すれば、領域202より指標気体として質量数28の一酸化炭素が発生し、領域203より指標気体として質量数30の一酸化炭素が発生する。
質量数28の一酸化炭素と質量数30の一酸化炭素とは、質量数が異なるので、異なる物質として分析でき、各々測定結果(昇温脱離スペクトル)が得られる。このようにして得られる2つの測定結果(昇温脱離スペクトル)を比較することで、温度分布の有無を評価することができる。例えば、2つの昇温スペクトルを比較した結果、質量数28の一酸化炭素が発生した時点と、質量数30の一酸化炭素が発生した時点とに差がないと判断できれば、領域202と領域203との間には温度分布がないものと評価できる。なお、同位元素が3つ以上ある場合、質量数が異なる同位元素で構成される3つ以上の指標物質を用いるようにしてもよい。
次に、鉄鋼を試料とし、鉄鋼中に含まれている水素を分析する場合を例に説明する。この場合、指標物質として亜鉛(Zn)を用いることができる。測定対象の水素は、質量数が2である。また、指標物質のZnは、安定な同位体の質量数が64であり、また、420℃で融解して蒸気圧を生じる。従って、昇温脱離分析法では、質量数2と質量数64を測定チャンネルに設定して分析を行う。
この条件で昇温脱離分析法を行うと、図4に示すような2つの昇温脱離スペクトルが得られる。図4の(a)は、質量数2のチャンネルで得られる昇温脱離スペクトルであり、水素の昇温脱離スペクトルである。また、図4の(b)は、質量数64のチャンネルで得られる昇温脱離スペクトルであり、Znの昇温脱離スペクトルである。
また、図4において、Rは、昇温脱離分析の加熱を開始した時の計測温度であり、この時点では、試料の温度は室温(常温)である。計測温度Rでは、試料および試料を加熱するための熱電対を含む試料近傍は、室温に熱平衡状態となり、各々室温に等しい温度とすることができる。なお常温とは、例えば、日本工業規格にあるように、20℃±15℃の範囲の温度である。
また、図4において、Mは、Znの昇温脱離スペクトルの信号強度が、バックグラウンド強度と有意な差を持って増加したものと認められる計測温度であり、これは、Znが融解して蒸気圧が生じ始めた温度とすることができる。前述したように、Znの蒸気圧が生じ始める温度は、420℃であるので、計測温度Mは、試料の温度が420℃(指標温度)の状態であるものとすることができる。
以上のように、昇温脱離スペクトルより得られる計測温度Rが計測されたときの実際の試料温度、および計測温度Mが計測されたときの実際の試料温度と、熱電対の測定による計測温度Rおよび計測温度Mとを比較することで、熱電対による測定温度が較正できる。
例えば、上述した昇温脱離分析において、試料の加熱は、一定の昇温温度条件で行ったものとする場合、計測温度Rから計測温度Mまでの試料温度の変化は、(計測温度Rが計測された時点,室温)および(計測温度Mが計測された時点t1,指標温度)を通る直線で示される時間の一次関数となる。
ここで、計測温度Mが計測された時点t1でZnの蒸気が発生したものとすることができるので、試料における実際の温度の時間変化は、図5の(b)に示すように、(時刻0,室温TR)と(時刻t1,指標温度TM)とを通る直線で示されるものとなる。これに対し、試料近傍に配置されている熱電対で測定された時点t1の温度がT1の場合、熱電対で測定された温度(計測温度)の時間変化は、図5の(a)に示すように、(時刻0,室温TR)と(時刻t1,計測温度T1)を通る直線で示されるものとなる。
以上のように分析結果が得られれば、図6のフローチャートで示すように較正を行うことができる。まず、ステップS601で、指標気体が発生した時刻t1、分析開始時の室温TR、および指標気体が発生する指標温度TMから、以下の式(1)に示すように試料の温度Tが時間の関数として示される方程式が得られる。
Figure 0005483571
次に、ステップS602で、指標気体が発生した時刻t1、時刻t1において計測された計測温度T1、 および分析開始時の室温TRから、以下の式(2)に示すように熱電対で計測される計測温度T’が時間の関数として示される方程式が得られる。
Figure 0005483571
以上のように各々の方程式が得られれば、ステップS603で、以下の式(3)に示すようにT’を補正してTを得る較正のための方程式が得られる。
Figure 0005483571
最後に、得られた較正のための方程式である式(3)を用いることで、図4の(a)に示す昇温脱離スペクトルの横軸(温度軸)を較正することができる。
なお、一般には、上述した直線近似で十分である。しかしながら、分析における温度の昇温条件が一定でなく、時間に対する温度の変化がわずかに直線から外れるような曲線となる場合もある。このような場合、Znとは質量数が異なり、TMと異なる指標温度(TD)となる他の指標物質を、Znとともに試料に添加して内標準試料を作製し、この内標準試料で昇温脱離スペクトルの測定(昇温脱離分析)を行えばよい。この場合、分析開始時点における室温TR、計測温度MにおけるZnによる指標温度TM、時点Dにおける他の指標物質による指標温度TDの3点を通る曲線の方程式を求め、求めた曲線の方程式を用いて較正を行えば、より高い精度が実現できる。
次に、昇温脱離分析を行う昇温脱離分析装置について説明する。昇温脱離分析は、例えば、図7に示す昇温脱離分析装置を用いて行うことができる。この装置において、真空チャンバ701の中に置かれた試料702は、赤外線ランプ703に直結された熱伝導ロッド704の上に載置される。熱伝導ロッド704の試料載置部は、真空チャンバ701の内部に配置されている。また、真空チャンバ701は、図示しない真空排気機構に接続している。なお、試料702は、前述したように、指標物質が加えられた内標準試料である。
この装置では、熱電対モニタ706によって、試料702の直近に配置された熱電対705による温度測定値が示される。赤外線ランプ703による加熱温度は、熱電対705により測定される温度測定値が、設定されている値に一致するように温度コントローラ707によって制御される。この制御を、前述したようにして得られた較正の結果を用いれば、より正確な温度制御ができるようになる。また、温度コントローラ707の設定は、計算機713によって行うことができる。
真空排気されている真空チャンバ701の中では、加熱された試料702から脱離して放出されるガス成分の一部が、イオン化室708において電子衝撃などのイオン法でイオン化される。このようにしてイオン化したガス成分が、質量分析計709によって質量/電荷比(単に質量数と呼ぶ)ごとに分取され、検出器710に導かれ、イオン化したガス成分の量が電流値として測定される。なお、検出器710は、イオン化したガス成分1個1個を電圧パルスとして検出し、これを増幅して計数するものであってもよい。
少なくとも、測定対象の気体の質量数および指標気体の質量数の2つの質量数が、測定チャンネルに設定して測定を行うことが可能な構成となっていればよい。本装置によれば、着目するガス成分に由来する特定の質量数を有するイオンの電流(または計数されたパルス)が信号として得られ、横軸が温度で縦軸が信号強度のグラフ711が、計算機713の表示部712に表示される。グラフ711が、昇温スペクトルを示すものとなる。昇温脱離スペクトルのデータは、計算機713の内部の記録装置(不図示)の中に、記憶可能である。また、昇温脱離スペクトルのデータは、必要に応じ、磁気や半導体メモリを用いた記憶媒体(不図示)に記憶することもできる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形が実施可能であることは明白である。例えば、質量数が異なるなど異なる複数の指標物質を用いる場合、複数の指標物質より生じた各々の指標気体の測定結果を取得し、複数の指標物質より指標気体が発生した各々の計測温度を求め、熱分析法による分析の環境で複数の指標物質より指標気体が発生する各々の基準温度と計測温度とを用いて加熱温度を較正するようにすればよい。
また例えば、上述では昇温脱離分析法を例にしたが、これに限るものではない。本発明は、測定対象の物質の温度を一定のプログラムに従って変化させながら、当該物質(あるいは反応生成物)の物理特性を温度(あるいは時間)の関数として測定する他の熱分析法にも適用可能であることはいうまでもない。
201…試料、202…領域。

Claims (3)

  1. 試料に含まれると予想される分析対象の物質を熱分析法で分析する分析方法において、
    前記分析対象の物質とは異なり、常温〜1000℃の範囲で気体を生じる指標物質を前記試料に加えた内標準試料を作製する第1ステップと、
    前記内標準試料を熱分析法で分析することで、前記指標物質より生じた指標気体における温度に対する検出強度の変化を示す測定結果を取得する第2ステップと、
    前記測定結果より、前記指標物質から前記指標気体が発生した計測温度を求める第3ステップと、
    前記熱分析法による分析の環境で前記指標物質より前記指標気体が発生する基準温度と前記計測温度とを用い、前記内標準試料における分析対象の物質の熱分析法の分析で計測される加熱温度を較正する第4ステップと
    を少なくとも備えることを特徴とする分析方法。
  2. 請求項1記載の分析方法において、
    前記第1ステップでは、各々異なる複数の指標物質を前記試料に加えて内標準試料を作製し、
    前記第2ステップでは、複数の前記指標物質より生じた各々の指標気体の測定結果を取得し、
    前記第3ステップでは、複数の前記指標物質より前記指標気体が発生した各々の計測温度を求め、
    前記第4ステップでは、前記熱分析法による分析の環境で複数の前記指標物質より前記指標気体が発生する各々の基準温度と前記計測温度とを用いて前記加熱温度を較正する
    ことを特徴とする分析方法。
  3. 請求項1または2記載の分析法において、
    前記熱分析法は、昇温脱離分析法であり、前記測定結果は昇温脱離スペクトルであることを特徴とする分析方法。
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