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JP5486476B2 - シリコン膜の製造方法 - Google Patents
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JP5486476B2 - シリコン膜の製造方法 - Google Patents

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本発明は、基板上にシリコン膜を気相成長方法させてシリコン膜を製造する方法に関する。
特許文献1に、シリコン膜の製造方法の一例が開示されている。特許文献1の技術では、気相成長室内に配置されている載置台上に基板を載置し、気相成長室の上方から基板に向けて原料ガスを供給する。原料ガスは塩化シランガスであり、キャリアガスに混合して供給される。基板は、加熱された状態で回転している。原料ガスが基板の表面に接すると、原料ガスに含まれているシリコン原子が基板と結合し、基板上にシリコン膜が成膜される。基板上にシリコン膜が成膜された後は、原料ガスに含まれているシリコン原子がシリコン膜を構成しているシリコン原子と結合し、シリコン膜の厚みが増していく。すなわち、シリコン膜が結晶成長する。シリコン膜の結晶成長に利用されなかった原料ガスは、基板の表面に沿って基板の端部側に移動し、気相成長装置の外部に排出される。
特開2000−306850号公報
他の条件が同じであれば、基板温度を高くするほど、基板上に結晶成長するシリコン膜の成長速度が速くなる。その一方において、原料ガスに含まれている塩化シランガスの一部は、基板の表面に達する前に気相中で分解され、塩化水素ガスを生成する。シリコン膜が結晶成長する際に生じる副生成物も塩化水素ガスである。そのため、気相中で分解する塩化シランガス量が増加すると、シリコン膜の成長速度が鈍る。塩化シランガスは、基板周囲の高温空間内で分解する。基板温度を高くするほど、高温空間の範囲は広がり、塩化シランガスの分解が促進する。基板の温度をむやみに高くしても、シリコン膜の成長速度を速くすることができない。
そこで、従来は、基板温度を1000℃〜1100℃の範囲としていた。その温度範囲であれば、塩化シランガスの熱分解を抑制することと、他の条件が同じであれば基板温度が高温であるほど結晶成長速度が高速化するという両現象をバランスよく活用することができ、実際に得られる結晶成長速度が最大化される。その方式で得られる結晶成長速度のためには、塩化シランガスの供給量が基板1cm当たり200μmol/分程度であれば十分である。それ以上のガス量は無用であるばかりか、熱分解で生じる塩化水素ガス量が増加することから不利とされてきた。
本発明は、従来よりも高品質なシリコン膜を従来よりも高速で結晶成長させることができる気相成長技術を提供するために開発された。
本明細書で開示するシリコン膜の製造方法では、基板の回転速度を従来よりも高速化する。すると、塩化シランガスの熱分解が抑制され、基板温度を従来よりも高温にすることができるという現象を利用する。
本明細書で開示するシリコン膜の製造方法では、1250℃〜1350℃に加熱されているとともに1500rpm〜3500rpmで回転している基板に向けて、基板の表面に直交する方向から原料ガスを供給する原料ガスの供給工程を備えている。その方法によると、原料ガスに含まれている塩化シランガスの供給量を、基板1cm当たり200μmol/分以上とすることができ、その供給量に見合った結晶成長速度が得られる。なお、本明細書では、1200℃〜1400℃に加熱されているとともに1500rpm〜3500rpmで回転している基板に向けて、基板の表面に直交する方向から原料ガスを供給する原料ガスの供給工程を備えているシリコン膜の製造方法も開示する。
基板の回転速度が速くなると、原料ガスの流れが乱れ易くなり、結晶成長するシリコン膜の品質の低下が懸念される。しかしながら、実際には、基板回転数を1500rpm以上にしても、3500rpm以下でさえあれば、結晶成長するシリコン膜の品質が低下しないことが見出された。
基板の回転速度が速くなると、加熱されている基板により原料ガスが加熱されて高温となる気相範囲が狭くなる。すなわち、基板の回転速度が速くなると、塩化シランガスが高温範囲(熱分解する温度以上に加熱される範囲)を通過して基板表面に到達する時間が短くなり、塩化シランガスの熱分解が抑制される。塩化シランガスの熱分解を抑制できれば、基板温度を上昇させることが可能となる。
本方法では、これらの技術要素を組みあわせ、基板1cm当たり200μmol/分以上の塩化シランガスを供給することが必要となるほどに高速な結晶成長速度を得ることに成功したものである。
上記の方法では、シリコンの融点よりも高い融点の基板を利用することが好ましい。シリコンの融点は1412℃である。そのため、融点が1412℃よりも高い基板を使用すれば、基板を1400℃まで加熱したときに、基板が溶融することを確実に防止することができる。そのような材料の例として、III族窒化物半導体(GaN,AlN、AlGaN等),サファイア(Al),炭化シリコン(SiC)等が挙げられる。
本明細書で開示する技術によると、従来よりも高品質なシリコン膜を従来よりも高速で結晶成長させることができる。
実施例の気相成長方法で使用する気相成長装置の断面図を示す。 図1の部分拡大断面図を用いて、シリコン膜が結晶成長している状態を示す。 図1の部分拡大断面図を用いて、シリコン堆積比が20%を超えた状態を示す。 基板の回転速度を一定にしたときの、基板の温度とシリコン堆積率との関係を示す。 基板の温度を一定にしたときの、基板の回転速度とシリコン堆積率との関係を示す。
本明細書で開示される技術的特徴の幾つかを以下に整理して記す。
(特徴1)基板1cmあたり200〜300μmol/分の原料ガスを気相成長室に供給する。
(特徴2)基板の回転速度を2000〜3000rpmに維持した状態で、原料ガスを基板に供給する。
(特徴3)基板の温度を1250〜1350℃に維持した状態で、原料ガスを基板に供給する。
図1に示すように、気相成長装置1は、気相成長室4と、載置台10と、ヒータ8を備えている。気相成長室4の上部に、原料供給口2が設けられている。原料供給口2は、載置台10の表面に直交する方向に設けられている。気相成長室4の下部に、排気口12が設けられている。原料ガス18は塩化シランガスであり、原料ガス槽(図示省略)から原料供給口2を通じて気相成長室4内に導入される。原料ガス18とともにキャリアガス(図示省略)も気相成長室4内に導入される。排気ガス16は、気相成長室4内から排気口12を通じて気相成長装置1の外に排出される。載置台10は、モータ(図示省略)によって、矢印14に示すように回転することができる。載置台10の表面には、基板6を載置することができる。載置台10の内部に、ヒータ8が設けられている。ヒータ8によって、基板6を所定の温度まで加熱することができる。破線17で囲った部分は、気相温度が900℃を超えている高温空間17の範囲を示している。高温空間17については後述する。
次に、基板の表面にシリコン膜を気相成長させる方法について説明する。本実施例では、窒化アルミニウム(AlN)基板6上にシリコン膜を成長させる方法について説明する。まず、載置台10の表面に窒化アルミニウム基板6を載置した後、載置台10を2500rpmの速度で回転させながら、窒化アルミニウム基板6を1270℃まで加熱する。その後、窒化アルミニウム基板6の温度を1270℃に維持したまま、原料ガス18を、キャリアガスとともに原料供給口2から気相成長室4に導入する。詳細は後述するが、窒化アルミニウム基板6の温度は、1200〜1400℃の範囲内に維持されていればよく、好ましくは、1250〜1350℃の範囲内に維持されていればよい。また、窒化アルミニウム基板6の回転速度は、1500rpm〜3500rpmに維持されていればよく、好ましくは、2000〜3000rpmに維持されていればよい。なお、従来の技術では、基板の表面にシリコン膜を結晶成長させる場合、基板を1000〜1100℃の範囲に加熱した状態で気相成長を行う。本実施例では、従来よりも基板の温度を高く維持した状態で気相成長を行う。
原料ガス18は、三塩化シラン(トリクロロシラン:SiHCl)ガスであり、窒化アルミニウム基板6の表面に1cm(以下、基板単位面積と称する)当たり200〜300μmol/分で供給する。原料ガス18とともに水素(H)ガスも供給する。水素ガスはキャリアガスの一例である。なお、キャリアガスは、必要に応じて不活性ガスを含んでいてもよい。また、原料ガス18とともに、不純物のドーパントガスを供給してもよい。原料ガス18とともに不純物のドーパントガスを供給すれば、n型又はp型のシリコン膜を結晶成長させることができる。理由は後述するが、従来の気相成長技術では、原料ガスの供給量は、基板単位面積当たり100〜200μmol/分が限界であった。一般的に、原料ガスの供給量が多いほど、シリコン膜の成長速度も速くなる。本実施例の気相成長では、従来の気相成長技術では採用することができなかった多量の原料ガスを基板に供給することができる。
原料供給口2は、窒化アルミニウム基板6の表面に直交する方向に設けられている。そのため、気相成長室4内に導入された原料ガス18は、窒化アルミニウム基板6の表面に直交する方向から、窒化アルミニウム基板6の表面に移動する。この方法は、原料ガス18を窒化アルミニウム基板6の表面に平行な方向から供給する方法に比べ、原料ガス18が高温空間17を通過する距離を短くすることができる。その結果、原料ガス18の温度が上昇することを抑制することができる。原料ガス18が分解する温度に曝される時間を短くすることができる。また、窒化アルミニウム基板6を高速で回転させるほど、高温空間17の範囲を縮小させることができる。本実施例では、窒化アルミニウム基板6を2500rpmで回転させて高温空間17の範囲を縮小させることにより、従来技術よりも原料ガス18が分解する温度に曝される時間を短くしている。
図2に示すように、原料ガス18が窒化アルミニウム基板6の表面に達すると、シリコン膜20が、窒化アルミニウム基板6上に結晶成長する。結晶成長に利用されなかった原料ガス18は、窒化アルミニウム基板6の表面に沿って窒化アルミニウム基板6の径方向外側に移動する。結晶成長に利用されなかった原料ガス18、及び、結晶成長により発生した副生成物は、排気ガス16として気相成長装置1の外に排出される。排気ガス16は、気相成長装置1の外に排出される途中で、載置台10のうちの窒化アルミニウム基板6が載置されていない部分に接する。排気ガス16中には結晶成長に利用されなかった原料ガス18が含まれているので、載置台10の表面にもシリコンの堆積膜22が形成される。なお、シリコン堆積膜22は、窒化アルミニウム基板6上に形成されるシリコン膜20のような単結晶シリコンではなく、多結晶シリコン、非晶質シリコン又はシリコン化合物であることが多い。
ここで、原料ガス18からシリコン膜20が形成されるまでの反応について説明する。下記式(1)の反応は、原料ガス18(三塩化シラン)の分解反応を示している。式(1)の反応は、原料ガス18の温度が900℃を超えると起こり始め、原料ガス18の温度が上昇するほど活発になる。上記したように、窒化アルミニウム基板6は、予め1270℃に加熱されている。そのため、窒化アルミニウム基板6の周囲に、温度が900℃を超える高温空間17が形成される。式(1)の反応は、窒化アルミニウム基板6の表面上だけでなく、原料ガス18が窒化アルミニウム基板6の表面に接するよりも前に、高温空間17でも起こる。
式(1):SiHCl→SiCl+HCl
窒化アルミニウム基板6の表面では、上記式(1)に続いて下記式(2)の反応が起こる。式(2)の反応は、式(1)で生じたSiClとキャリアガス(Hガス)が反応し、Siと塩化水素ガス(HClガス)が生じることを示している。式(1)で生じたSiClのSi原子は、窒化アルミニウム基板6の表面、又は、シリコン膜20表層部のSi原子に結合する。窒化アルミニウム基板6又はシリコン膜20表層部に結合したSiClのCl原子がHガスによって除去されると、窒化アルミニウム基板6上にSi原子の成長膜が形成され、シリコン膜20の厚みが増していく。
式(2):SiCl+H→Si+2HCl
窒化アルミニウム基板6の表面では、上記式(2)の反応に加え、一定の割合で下記式(3)の反応も起こる。式(3)の反応は、式(2)の逆反応である。式(3)の反応が活発になると、シリコン膜20の成長速度は遅くなる。式(3)から明らかなように、式(3)の反応は、気相成長室4内のHClガスの濃度が濃くなるほど起こり易くなる。そのため、気相成長室4内で式(1)の反応が過剰に起こると、シリコン膜20の成長速度は遅くなる。
式(3):Si+3HCl→SiHCl+H
窒化アルミニウム基板6の加熱温度を高くするほど、式(2)の反応が起こり易くなり、シリコン膜20の結晶成長が速くなる。しかしながら、窒化アルミニウム基板6の加熱温度を高くするほど、高温空間17の範囲が広がり、式(1)の反応が起こり易くなる。従来の気相成長技術では、原料ガス18を基板単位面積当たり200μmol/分以上で供給すると、式(1)の反応により塩化水素ガスの量が増加し、式(3)に示す逆反応が活発化する。シリコン膜20の結晶成長に消費される原料ガス18の量が減少する。その結果、排気ガス16に含まれる原料ガス18の濃度が濃くなる。排気ガス16中の原料ガス18の濃度が濃くなると、載置台10の表面にシリコンが堆積し、シリコン堆積膜22の厚みt22が厚くなる。窒化アルミニウム基板6の加熱温度、窒化アルミニウム基板6の回転速度を調整することにより、シリコン堆積膜22の厚みt22を調整することは可能であるが、シリコン堆積膜22の発生をゼロにすることはできない。
シリコン膜20の厚みt20に対するシリコン堆積膜22の厚みt22(シリコン堆積率:t22/t20×100)が20%を超えると、図3に示すように、シリコン膜20とシリコン堆積膜22が連結部21によって繋がる。シリコン膜20とシリコン堆積膜22が繋がると、窒化アルミニウム基板6を載置台10から取り外すことが困難になる。すなわち、窒化アルミニウム基板6が載置台10に張り付いてしまう。その結果、載置台10から窒化アルミニウム基板6を取り外すときに、窒化アルミニウム基板6又はシリコン膜20が破損することがある。また、シリコン堆積率が大きくなると、窒化アルミニウム基板6とシリコン堆積膜22の熱膨張係数の違いにより、窒化アルミニウム基板6に歪みが発生することがある。窒化アルミニウム基板6に歪みが発生すると、スリップ転位が発生し、シリコン膜20の表面に窪みが形成されることがある。
従来の気相成長技術では、原料ガス18を基板単位面積当たり200μmol/分以上で供給すると、式(1)の反応により塩化水素ガスの量が増加し、式(3)に示す逆反応が活発化する。載置台10の表面にシリコンが堆積し易くなり、上記した「張り付き」、「スリップ転位」等の不具合が発生する。そのため、従来の気相成長技術では、原料ガス18を基板単位面積当たり200μmol/分以上で供給することはなかった。
上記したように、「張り付き」、「スリップ転位」等の不具合は、シリコン堆積率が20%を超えると発生する。これらの不具合が発生することを防止するためには、シリコン堆積率を20%以下に調整することが必要である。本実施例の気相成長方法では、窒化アルミニウム基板6を1500rpm〜3500rpmで回転させ、高温空間17の範囲を縮小させる。基板を高速で回転することにより、気相中における上記式(1)の反応を抑制し、上記式(3)に示す逆反応を抑制する。それにより、シリコン膜20の結晶成長に利用される原料ガス18量を増大させ、シリコン膜20を高速で結晶成長させる。その結果、シリコン堆積率が20%を超えないレベルまで排気ガス16に含まれる原料ガス18の濃度が低減する。なお、窒化アルミニウム基板6が3500rpmを超えると、高温空間17の範囲は縮小するものの、原料ガス18の流れに乱れが生じる。原料ガス18が窒化アルミニウム基板6に達しないで、載置台10の表面に直接接することがある。それにより、上記した不具合が発生し、シリコン膜20の品質が低下する。なお、実験の結果、シリコン堆積率が15%のときは、「張り付き」及び「スリップ転位」は発生しなかった。シリコン堆積率が20%のときも、「張り付き」及び「スリップ転位」は発生しなかった。シリコン堆積率が25%のときは、「張り付き」は発生しなかったものの「スリップ転位」が発生した。シリコン堆積率が30%のときは、「張り付き」及び「スリップ転位」が発生した。シリコン堆積率が50%まで増加すると、「張り付き」及び顕著な「スリップ転位」が発生した。
図4は、窒化アルミニウム基板6を2500rpmで回転させたときのシリコン堆積率を示す。図4の横軸は窒化アルミニウム基板6の温度を示し、縦軸はシリコン堆積率を示す。気相成長室1への原料ガス18の供給量は単位面積当たり300μmol/分である。図4の曲線32に示すように、基板の回転速度が2500rpmの場合、基板温度が1200〜1400℃の範囲でシリコン堆積率が20%以下を満足する。なお、基板の回転速度を1500〜3500rpmにすれば、基板温度が1200〜1400℃の範囲の全てでシリコン堆積率が20%以下を満足することが確認されている。すなわち、原料ガス18を窒化アルミニウム基板6に供給するときに、基板温度を1200〜1400℃に維持するとともに基板の回転速度を1500〜3500rpmに維持すれば、シリコン堆積率を20%以下に抑制することができる。
なお、基板温度1200℃,基板回転速度1500rpmのときのシリコン堆積率は20%であり、基板温度1200℃,基板回転速度3500rpmのときのシリコン堆積率は20%であった。また、基板温度1400℃,基板回転速度1500rpmのときのシリコン堆積率は20%であり、基板温度1400℃,基板回転速度3500rpmのときのシリコン堆積率は20%であった。プロット30は、従来技術の製造条件(基板温度1100℃,基板回転速度1000rpm)において、気相成長室1への原料ガス18の供給量を単位面積当たり300μmol/分とした結果である。従来技術の製造条件では、シリコン堆積率は50%である。すなわち、基板温度と基板の回転速度を従来条件のままとし、原料ガスを単位面積当たり300μmol/分で供給すると、「張り付き」、「スリップ転位」等の不具合が発生する。
上記したように、基板温度を1200〜1400℃に維持するとともに基板の回転速度を1500〜3500rpmに維持すれば、シリコン堆積率を20%以下に抑制することができる。窒化アルミニウム基板6上で消費される原料ガス18の量が増大し、シリコン膜20を高速で結晶成長させることができる。図5は、窒化アルミニウム基板6を1270℃に加熱したときの、シリコン堆積率を示す。図5の横軸は窒化アルミニウム基板6の回転速度を示し、縦軸はシリコン堆積率を示す。気相成長室への原料ガス18の供給量は単位面積当たり300μmol/分である。図5の曲線36に示すように、基板の回転速度を1500〜3500rpmにすると、シリコン堆積率が20%以下を満足することが確認される。プロット34は、従来技術の製造条件におけるシリコン堆積率を示している。プロット34は、図4のプロット30と同じ結果を示している。
上記したように、本実施例では、1200℃〜1400℃に加熱されているとともに1500rpm〜3500rpmで回転している基板に向けて、基板の表面に直交する方向から原料ガスを供給する。それにより、原料ガスを基板単位面積当たり200μmol/分以上で供給しても、シリコン堆積率を20%以下に抑制することができる。シリコン膜を高速で結晶成長させながら、基板が載置台に張り付いたり、スリップ転位が生じることを抑制することができる。なお、原料ガスの供給量が基板単位面積当たり300μmol/分を超えると、シリコン膜の結晶成長速度が速くなりすぎ、スパイクと呼ばれる異常成長部が形成される等、高品質なシリコン膜が得られなくなることがある。よって、原料ガスの供給量は、基板単位面積当たり200〜300μmol/分であることが好ましい。
上記したように、基板を高温に加熱すればシリコン膜の成長速度が速くなることは、従来から知られていた。しかしながら、基板を高温に加熱すると、気相中で式(1)の分解反応が過剰に起こり、式(3)の逆反応が活発化する。そのため、従来技術では基板の加熱温度の上限を1100℃程度に抑えていた。そのため、シリコン膜の成長速度を速くすることができず、原料ガスの供給量は、基板単位面積当たり100〜200μmol/分に抑えられていた。一方で、シリコン膜を結晶成長させる場合に、基板の張り付き、スリップ転位等が生じることは経験的に知られていた。これらの現象が発生すると、シリコン膜の品質が低下する。しかしながら、シリコン堆積率が20%を超えない程に高速でシリコン膜を結晶成長させることで、これらの不具合を抑制する検討は行われていなかった。そのため、従来は、基板の加熱温度、基板の回転速度を適当な範囲に調整し、高品質なシリコン膜を高速で結晶成長させる検討が不充分であった。本実施例で開示した気相成長方法により、従来よりも高品質なシリコン膜を高速で結晶成長させることができる。本実施例の気相成長方法を用いれば、基板上に100〜200μmの厚いシリコン膜を高品質に製造することができる。
以下に、基板を加熱する温度、及び、基板の回転速度について、より好ましい数値範囲を説明する。図4に示すように、基板温度1350℃付近までは、基板温度が高くなるに従ってシリコン堆積率は減少している。基板温度が1350℃を超えると、シリコン堆積率は急速に増加し始める。シリコン堆積率を確実に20%以下に抑制するためには、基板温度を1350℃以下に維持することが好ましい。また、シリコン堆積率は、基板温度1250℃以上では、基板温度が高くなっても緩やかに減少する。しかしながら、基板温度1250℃までは、基板温度1250℃以上に比べ、基板温度が高くなるに従って比較的急速に減少している。よって、シリコン堆積率を確実に20%以下に抑制するためには、基板温度を1250℃以上に維持することが好ましい。すなわち、基板を加熱する温度は、1250〜1350℃であることが好ましい。
また、図5に示すように、基板の回転速度が2000〜2500rpmまでの間は、シリコン堆積率はほぼ最小値を示している。基板の回転速度が2000rpmよりも遅くなるとシリコン堆積率が増加し始めている。また、基板の回転速度が2500rpmより速くなるとシリコン堆積率が増加し始めている。そのため、シリコン堆積率を確実に20%以下に抑制するためには、基板の回転速度が2000〜2500rpmであることが好ましい。
上記実施例では、窒化アルミニウム基板上にシリコン膜を結晶成長させる例について説明した。窒化アルミニウム基板に代えて、サファイア(Al)、炭化シリコン(SiC)、スピネル、他のIII族窒化物半導体(GaN,AlGaN等)の材料の基板を用いてもよい。これらの基板の融点は、シリコンの融点よりも高い。そのため、基板を加熱する温度をシリコンの融点近くに設定しても、基板に変形等が生じにくい。なお、窒化アルミニウムと炭化シリコンは、熱膨張係数がシリコンの熱膨張係数に近い。よって、これらの基板の中では、窒化アルミニウム基板と炭化シリコン基板が特に好ましい。また、基板の材料はシリコンでもよい。すなわち、シリコン基板の表面に、シリコン膜を結晶成長させてもよい。
上記実施例では、原料ガスとして三塩化シランガスを使用する例について説明した。三塩化シランガスに代えて、二塩化シラン(ジクロロシラン:SiH2Cl)、四塩化ケイ素ガス(テトラクロロシラン:SiCl)等を使用することもできる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
6:基板
18:原料ガス
20:シリコン膜

Claims (2)

  1. 基板上にシリコン膜を気相成長方法させるシリコン膜の製造方法であって、
    1250℃〜1350℃に加熱されているとともに1500rpm〜3500rpmで回転している基板に向けて、基板の表面に直交する方向から原料ガスを供給する原料ガスの供給工程を備えており、
    その原料ガスに含まれている塩化シランガスの供給量が、基板1cm当たり200μmol/分以上であることを特徴とするシリコン膜の製造方法。
  2. シリコンの融点よりも高い融点の基板を利用することを特徴とする請求項1に記載のシリコン膜の製造方法。
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