JP5488217B2 - 地震被害予測方法 - Google Patents
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Description
このような地震被害予測方法によれば、地震による建物の被害について信頼性の高い予測を行うことが可能である。
このような地震被害予測方法によれば、より信頼性を高めることが可能である。
このような地震被害予測方法によれば、信頼性の高い予測を行うことが可能である。
このような地震被害予測方法によれば、より安全余裕を見込んだ予測を行うことが可能である。
このような地震被害予測方法によれば、被災度を予測することができる。
このような地震被害予測方法によれば、地震の際の復旧の優先順位の初動対応を適切に決定することができる。
図1はシステム構成を示す図である。図1に示すシステムは、CPUやメモリを有するコンピュータ10、記憶装置11、入力装置12、出力装置13を備えて構成される。本実施形態においては、コンピュータ10がパーソナルコンピュータであることとするが、これに限定されるものではない。記憶装置11は、例えば、ハードディスク、メモリなどである。記憶装置11には、各種プログラム、例えば、コンピュータ10に地震被害予測を実行させるためのプログラムなどが記憶されている。また、記憶装置11には、過去の地震に関するデータや、建物に関するデータなどが記憶されている。なお、記憶装置11は、コンピュータ10に内蔵させることとしてもよいし、コンピュータ10に外付けさせることとしてもよい。また、記憶装置11は、コンピュータ10とネットワーク(例えば、LAN(local area network)など)を介して接続されている他のコンピュータに備えさせることとしてもよい。入力装置12は、コンピュータ10に各種の条件やデータを入力するためのものであり、例えば、キーボードやマウスなどである。出力装置13は、コンピュータ10の演算結果を出力(表示)するためのものであり、例えばディスプレイなどである。
図2は、本実施形態における地震被害予測方法についての概念を示すフロー図である。図2を参照しつつ、本実施形態の地震被害予測方法の概略について説明する。
本実施形態では、多自由度系の建物を1自由度系モデルに縮約し(言い換えると、建物を1層に置き換えた簡易モデルを用いて)、建物の応答変形角Sを等価線形化法に基づき評価する。等価線形化法では、弾塑性系の応答変形角を弾性系の応答変形角を用いて予測するため、地震動特性や建物特性に応じたモデル不確定性が生じる。このため、後述するように、モデル不確定性を考慮して等価1自由度系の応答変位δeを評価し(S11)、そして、等価1自由度系の応答変位δeを用いて応答変形角Sを評価する(S12)。
建物の限界値を、材料強度や強度評価式の変動などに伴う不確定性を考慮して評価する一手法として、過去の地震被害データに基づき作成された被害率曲線を用いる手法がある。しかし、被害率曲線は、建物群を対象に作成されているため耐力の異なる複数の建物が含まれており、且つ、地震動強さと建物群の被害率の関係しか得られないため、被害率曲線のみでは建物の限界変形角Rを評価することはできない。このため、本実施形態では、既往文献の被害率曲線を用いて建物群の被害率を求める(S21)とともに、建物群モデルを対象としたモンテカルロシュミレーションを行って(S22)、応答層間変形角の確率分布を求める(S23)。そして、応答層間変形角の確率分布と、被害率とを組み合わせて、地震被害結果を模擬できるように信頼性理論に基づき建物の限界変形角Rを評価する(S24)。
建物の応答変形角Sと限界変形角Rを比較することによって、建物の被害を評価する(S30)。なお、本実施形態では、限界変形角Rを被害の大きさに応じて4つ設定して、応答変形角Sと4つの限界変形角Rとの比較を行うことにより、被災度(小破,中破、大破,倒壊)を評価するようにしている。
以下、フローの各項目の詳細について説明する。
<等価1自由度系の応答変位δeの評価方法>
前述したように、本実施形態では、多自由度系(多層)の建物を1自由度系(1層)に縮約して、地震時における1自由度弾塑性系の応答変位を、最大点剛性による等価線形化法を用いて評価する。等価線形化法では、弾塑性系の応答変位を弾性系の応答変位を用いて予測するため、地震動特性や建物特性に応じて予測誤差に伴うモデル不確定性が生じる。このため、モデル不確定性を考慮して等価1自由度系の応答変位δeを評価する。
(1)式において、等価減衰定数heの平均値E[he],等価線形応答変位の修正係数aならびに減衰補正係数の修正係数rは以下の手法で評価する。
等価線形化法は調和外力に対する定常状態において厳密に成立するため、非定常状態である地震に対して等価線形化法を適用するときは、等価剛性および等価減衰を適切に設定する必要がある。このため、等価剛性keは1自由度弾塑性系の最大応答変位δaを用いて設定する。
(出典 柴田明徳:最新耐震構造解析,森北出版,1981)
等価減衰は、定常共振状態を想定した履歴要素の等価減衰定数heqを用いて設定する。
また、平均減衰定数hsは、1自由度弾塑性系への地震入力エネルギーが等価剛性keを有する等価なダッシュポットの減衰エネルギーに変換されたとして評価する。
(出典 柴田明徳:最新耐震構造解析,森北出版,1981)
等価固有円振動数ωeは(2)式の等価剛性keを用いて計算する。
ただし、履歴要素の等価減衰定数の低減係数dは地震動特性や建物特性に応じて変動するので、dの平均値E[d]を用いて等価減衰定数heの平均値E[he]を評価する。
1自由度弾塑性系の応答変位を等価1自由度系の応答変位を用いて予測するので、1自由度弾塑性系の応答変位との間に予測誤差に伴うモデル不確定性が生じる。このため、両者の比率で定義される等価線形応答変位の修正係数aを、確率変数としてモデル化する。
周期T,減衰定数hの変位応答スペクトルは、減衰定数5%の変位応答スペクトルSD(T,0.05)に減衰補正係数F(h)を乗じて求める。しかし、減衰補正係数F(h)を乗じて予測された変位応答スペクトルは、地震応答解析から計算された変位応答スペクトルと完全に一致しないので、予測誤差に伴うモデル不確定性が生じる。このため、1自由度弾性系の変位応答スペクトルSD(T,h)を地震応答解析より計算し、減衰補正係数F(h)に対する比率を減衰補正係数の修正係数rとし、rを確率変数としてモデル化する。
なお、減衰補正係数F(h)は次式で設定する。
(出典 日本建築学会:建築物荷重指針・同解説,1993)
例えば、h=0.05のとき、F(h)=1になる。
建物の応答変形角Sは、(1)式の等価1自由度系の応答変位δeを用いて評価する。
(12)式において、H1は1次の等価高さであり、建物を逆三角形1次モードの均等質量せん断系でモデル化すると、H1は次式から求められる。
(12)式と(1)式より、建物の応答変形角Sは、
となり、両辺の自然対数をとると応答変形角Sの自然対数lnSは次式となる。
応答変形角Sの対数平均値λsは、(15)式を用いて、
となり、応答変形角Sの対数標準偏差ζsは次式となる。
同様に、減衰補正係数の修正係数rの対数平均値λrと対数標準偏差ζrも計算される。
このように、本実施形態では、建物を1自由度系に縮約して、等価線形化法を用いて等価1自由度系の応答変位δeを評価している。また、本実施形態では、等価線形化法による応答変位δeの評価の際に、不確定性(ばらつき)を考慮している。具体的には、モデル化された等価線形応答変位の修正係数および減衰補正係数の修正係数を用いて応答変位δeの評価を行っている。そして、応答変位δeに基づいて応答変形角Sを評価している。
建物の限界変形角Rは、過去の地震被害データから求められた建物群の被害率に、建物群モデルを対象としたモンテカルロシュミレーションを新たに組み合わせて、地震被害結果を模擬できるように信頼性理論に基づき設定する。まず、地震被害データから作成された被害率曲線を用いて、地震動強さと建物群の被害率の関係を求める。次に、建物群モデルを作成してモンテカルロシュミレーションを行い、地震動強さと応答層間変形角の分布の関係を計算し、限界層間変形角の分布を仮定して損傷確率Pを解析的に求める。なお、層間変形角とは、層間変位を階高さで基準化したものである。そして、地震動強さが同一値のとき、被害率曲線から求められた建物群の被害率rと解析的に求められた損傷確率Pを等値することにより、限界層間変形角の分布の中央値と対数標準偏差を評価する。
応答層間変形角Qと限界層間変形角R´の分布をともに対数正規分布でモデル化すると、限界状態関数Zに対応する信頼性指標βは次式より求められる。
このとき、建物群モデルを対象とした損傷確率Pは次式より求められる。
一方、建物群の被害率rは、過去の地震被害データ用いて作成された被害率曲線により計算する。
上式を整理すると、限界層間変形角R´の対数平均値λRと対数標準偏差ζRが次式から求められる。
このように、本実施形態では、過去の地震被害データから求められた建物群の被害率に、建物群モデルを対象としたモンテカルロシュミレーションを組み合わせて、限界変形角Rの評価を行うようにしている。
前述したような応答変形角S及び限界変形角Rの評価によって、応答変形角Sと限界変形角Rの分布がともに対数正規分布でモデル化される。応答変形角Sの平均値E[S]と限界変形角Rの平均値E[Rj]は次式より計算される。
(34)式において、係数gは目標とする非超過値に対応しており、90%非超過値のときはg=1.28となる。
このように、被災度の判定を行際に、応答変形角Sの90%非超過値S90を用いると(表2)、平均値E[S]を用いる場合(表1)よりも、より安全余裕を見込んだ予測を行うことができる。
≪解析条件≫
RC造建物を対象として、履歴要素の等価減衰定数の低減係数,等価線形応答変位の修正係数、及び減衰補正係数の修正係数の評価を行った。
この評価において、1自由度弾塑性系の復元力特性として原点指向型と剛性低下トリリニア型の2種類とし、建物条件は表3に示すように設定した。
図4は、表5の各地震動における減衰定数5%での速度応答スペクトルを示す図である。なお、図の横軸は周期(sec)であり、縦軸は速度応答である。
建築年に応じてRC造建物の復元力特性を設定し、履歴要素の等価減衰定数heqを求めた。なお、前述したように復元力特性は原点指向型と剛性低下トリリニア型の2種類とした。建設年と復元力特性との関係を表6に示す。
また、図5A及び図5Bは復元力特性の説明図である。図5Aは原点指向型の場合の復元力特性を示しており、図5Bは剛性低下トリリニア型の復元力特性を示している。なお、図5A、図5Bにおいて横軸は変位量であり、縦軸はせん断力である。
1自由度弾塑性系の地震応答解析を行い、平均減衰定数hsを計算した。また、履歴要素の等価減衰定数の低減係数dを0.1〜1.0まで変化させて、等価減衰定数heを計算した。
図7A、図7Bは、塑性率μaと平均減衰定数hsの関係を示す図である。なお、図7Aは、原点指向型の場合の図であり、図7Bは剛性低下トリリニア型の場合の図である。
図中には、履歴要素の等価減衰定数の低減係数dを0.1〜1.0まで変化させたときの等価減衰定数heも示している。平均減衰定数hsと等価減衰定数heを比較するとd=1.0では概ねhe>hsの傾向があった。このため、履歴要素の等価減衰定数heqをそのまま用いると地震時の履歴減衰を過大に評価することがわかる。
履歴要素の等価減衰定数の低減係数dの計算結果を表7に示す。
また、図8Aおよび図8Bは履歴要素の等価減衰定数の低減係数dの分布形状を示す図である。なお、図8Aは原点指向型の場合の図であり、図8Bは剛性低下トリリニア型の場合の図である。
等価線形応答変位の修正係数aの計算結果を表8に示す。
また、図9Aおよび図9Bは等価線形応答変位の修正係数aの分布形状を示す図である。なお、図9Aは原点指向型の場合の図であり、図9Bは剛性低下トリリニア型の場合の図である。
減衰補正係数の修正係数rの計算結果を表9に示す。
また、図10は減衰補正係数の修正係数rの分布形状を示す図である。また、図中には、分布形状を対数正規分布でモデル化したものを示している。このように、減衰補正係数の修正係数の分布は、対数正規分布を用いてモデル化できる。
図11Aおよび図11Bは、地震応答解析から計算された1自由度弾塑性系の塑性率μaと、等価1自由度系の塑性率μe(平均値ならびに90%非超過値)の関係の説明図である。なお、図11Aは原点指向型の場合の図であり、図11Bは剛性低下トリリニア型の場合の図である。
塑性率塑性率μeが平均値の場合はμa>μeとなり危険側の予測値となる場合もあるが、90%非超過値の場合では塑性率の比較的大きい領域を除くとほぼμe>μaとなっている。従って、予測誤差に伴うモデル不確定性を考慮した90%非超過値を用いることで、平均値を用いる場合よりも、1自由度弾塑性系の応答変位をより安全側に予測できるといえる。
次に建物の限界変形角Rの評価例について説明する。この評価例において、建物の限界変形角Rは、1995年の兵庫県南部地震に対する地震被害結果を模擬できるように設定した。なお、前述したように、建物の限界変形角Rは限界層間変形角R´を用いて評価した。
まず、RC造建物を対象にし、建築年は1970年以前と1982年以降の2種類、建物階数は3階,7階,10階(1982年以降のみ)の3種類の計5種類を設定してRC造建物群モデルを作成した。そして、モンテカルロシミュレーションによる地震応答解析により、応答層間変形角Qの対数平均値λQと対数標準偏差ζQを計算した。
図12は、被害率と限界層間変形角R´との関係を被災度(小破、中破、大破、倒壊)ごとに示した図である。図において、横軸は限界層間変形角であり、縦軸は被害率である。建物の限界変形角Rを限界層間変形角R´を用いて評価すると、被災度ごとの限界変形角Rは同図のようになる。
次に、前述した応答変形角Sの評価結果と、限界変形角Rの評価結果に基づいて、地震被害を予測した評価例について説明する。
・建物階数:1〜15階
・建築年:1970年以前,1971年〜1981年,1982年以降の3種類
・構造形式:RC造建物
RC造建物を対象としたときの、建築年と建物階数に対応した構造耐震指標Isの平均値を、表11に示す。
(出典 損害保険料率算定会:地震被害想定資料集,1998)
また、降伏せん断力係数Cyは次式から求める。
(出典 日本建築学会:建築物荷重指針・同解説,1993)
前述した各条件を用いて、応答変形角の平均値E[S]と限界変形角の平均値E[Rj]を計算した。そして、表1より建物の被災度を判定した。
図13A〜図13Cは、地表面最大速度と建物の被災度との関係を示す図である。図の横軸は、地面最大速度(m/s)である、縦軸は被災度である。なお、図13Aは1970年以前の建物の場合、図13Bは1971年〜1981年の建物の場合、図13Cは、1982年以降の建物の場合についてそれぞれ示したものである。各図において、1階建て〜15階建ての建物ごとに地面最大速度と被災度の関係を示している。
地表面最大速度と計測震度には以下の関係式が成り立つ。
(出典 防災科学技術研究所:全国を対象とした確率論的地震動予測地図作成手法の検討,2005)
よって、計測震度と被災度との関係を求めることも可能である。
このような評価結果を例えば出力装置13に表示するようにすると、地震の大きさに応じた建物毎の被災度を容易に把握することができる。
なお、広域に分散した多数の建物についてそれぞれ本実施形態を適用して被害(被災度)の予測を行い、その結果を、例えば、被災度ごとに色分けした分布図として出力装置13に出力(表示)するようにしてもよい。こうすることで、地震の際の復旧の優先順位の初動対応を適切に決定することができる。
そして、応答変形角Sと限界変形角Rとの比較によって建物の被災度を評価している。
こうすることにより、不確定性を考慮した予測を行うことができるので、地震の際の建物の被災度を高い信頼性にて予測することが可能である。
13 出力装置、14 記録媒体
Claims (7)
- 地震による建物の被害を予測する地震被害予測方法であって、
前記建物を1自由度系に縮約した場合での地震に対する応答変位を等価線形化法によって算出する応答変位算出ステップであって、確率変数として定められた等価線形応答変位の修正係数および減衰補正係数の修正係数を用いて前記応答変位を算出する応答変位算出ステップと、
前記応答変位から前記建物の応答変形角を算出する応答変形角算出ステップと、
建物群を対象としたシミュレーションに基づいて、地震による応答層間変形角の確率分布を求める応答層間変形角算出ステップと、
過去の地震被害結果から地震の強さと建物の被害率との関係を求める被害率算出ステップと、
前記応答層間変形角の確率分布と前記被害率とに基づいて、前記建物の限界変形角を算出する限界変形角算出ステップと、
前記応答変形角と前記限界変形角とを比較することによって前記建物の被害の発生を予測する被害予測ステップと、
を有することを特徴とする地震被害予測方法。 - 請求項1に記載の地震被害予測方法であって、
前記応答変位を算出する際に、確率変数として定められた履歴要素の等価減衰定数の低減係数をさらに用いることを特徴とする地震被害予測方法。 - 請求項2に記載の地震被害予測方法であって、
前記履歴要素の等価減衰定数の低減係数は、建物の復元力特性に応じて定められていることを特徴とする地震被害予測方法。 - 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の地震被害予測方法であって、
前記応答変形角及び前記限界変形角は、それぞれ対数正規分布として算出され、
前記被害予測ステップでは、前記応答変形角の平均値と、前記限界変形角の平均値とを比較することを特徴とする地震被害予測方法。 - 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の地震被害予測方法であって、
前記応答変形角及び前記限界変形角は、それぞれ対数正規分布として算出され、
前記被害予測ステップでは、前記応答変形角の平均値よりも高い所定値と、前記限界変形角の平均値とを比較することを特徴とする地震被害予測方法。 - 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の地震被害予測方法であって、
前記限界変形角は、被害の大きさに応じて複数定められる
ことを特徴とする地震被害予測方法。 - 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の地震被害予測方法であって、
広域に分布した複数の建物についての被害をそれぞれ予測することを特徴とする地震被害予測方法。
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