この発明の煙感知器は、煙が流入する流入口を周側面部に有する筐体を備えている。筐体は、この発明の煙感知器の最外部に位置する部材であり、この発明の煙感知器の全体形状を決定し、この煙感知器の外観を呈する。なお、前記筐体は、その内部に後述の櫛歯列及びセンサ等を収容する部材である。
筐体は、煙が流入する流入口を有する部材であれば、適宜の部材を採用することができる。筐体の形状としては、両端を閉塞する円筒形状、両端を閉塞する楕円筒形状及び両端を閉塞する多角筒形状等を挙げることができる。筐体における周側面の全周から煙が流入し易い形状としては、円筒形状が好ましい。また、筐体の大きさとしては、この発明の煙感知器が煙を感知する機能を維持可能な大きさであれば良い。なお、使用者にとっては、煙感知器が大型であると煙感知器の設置場所の内装が損なわれていると感じることがある。よって、この発明の煙感知器は、煙を感知し、かつ警報を発する機能を維持しつつ、設置場所、例えば寝室及び廊下等の内装を損なわない程度に小型であることが好ましい。
この筐体は一つの部材で前記所定の形状及び大きさに形成することもでき、また、複数の部材でそれらの組み立て体として所定の形状及び大きさに形成することもできる。
更に、筐体を形成する材料としては、この発明の煙感知器を設置する環境において正常に作動可能である限り特に制限は無く、例えばプラスチック、木材、セラミックス及び金属等を挙げることができる。
流入口は、筐体における周側面に設けられる。好ましい流入口は、筐体の周側面にその全周に亘って設けられる。もっとも、筐体の周側面の一部に流入口を設けることもできる。なお、流入口は筐体内に流入した煙が流出しない場合又は流出し難い場合は、筐体内に一旦流入した煙が後述のセンサ等に感知され続けることとなり、この発明の煙感知器が設置される環境の状況を正確に感知できないことがある。したがって、筐体内に流入した煙が流出し易いように、少なくとも筐体の周側面に流入口を複数箇所設けることが好ましく、筐体の周側面の全周に亘って設けることが更に好ましい。このとき、流入口は、煙が流出する流出口としても機能する。
この筐体の周側面に流入口を設けることにより、煙感知器全体の規模を小型化にし、また煙感知器全体の形状を単純にすることができる。例えば、特許文献1に記載された火災感知器の外観形状とこの発明に係る煙感知器の外観形状とを比較すると、特許文献1に記載の火災感知器は、特許文献1における図7に示されるように、略円盤状の主部とその主部の外周縁から突出する側壁とを連続一体に形成してなるボディと、前記主部の略中央に下方に突出する保護カバーとを備えて成ることにより、天井にこの火災感知器を取り付けた場合に下方に向って大円の円筒体と小円の円筒体とを重ねたような凸状の全体形状を有する。特許文献1に記載された火災感知器がこのような円筒体二段重ねの全体形状を有するのは、ボディの内部ではなくて保護カバーの内部にセンサを設けているからである。
特許文献1に記載の火災感知器に比べてこの発明に係る煙感知器は、筐体の周側面に流入口を設けているので、特許文献1に記載の火災感知器におけるような円筒体二段重ねの全体形状とはならず、例えば円筒体、楕円筒体、角筒体等の単純な立体形状とすることができ、しかも取付面である例えば天井面からの高さを小さくすることができる。つまりは、この発明に係る煙感知器は、小型の全体形状とすることができる。
また、特許文献1に記載の火災感知器では、天井に沿って低速で移動する煙を感知するのが困難である。なぜならば、センサが天井面から突出している保護カバー内に設けられているので、天井面に沿って流通する煙が到達し難く、更に保護カバー内に煙が流入しようとしても、防虫カバーのメッシュ部により煙の流通が規制されるからである。これに対して、この発明の煙感知器における筐体のように、筐体の周側面に流入口が設けられていると、その流入口は天井に近接しているので、天井を緩慢に移動する煙を容易にその流入口から筐体の内部へと導入することができる。
火災の初期においては煙が天井を伝って移動する。したがって、天井に近接して、しかも天井に沿って移動する煙を逸早く検知することができることは、火災発生を逸早く検知し、しかも人々に火災発生を知らせることになるのであるから、この発明に係る煙感知器は、火災の早期発見に寄与することができる。
筐体における周側面の全周に亘って流入口を設けるには、例えば一端を開口する有底円筒体を2個設け、かつ開口部同士の間隔が流入口の大きさとなるように保持しつつ有底円筒体同士を相互に固定する。そうすると、2個の有底円筒体の端縁部により形成された流入口を有する、この発明の煙感知器における筐体を得ることができる。もっとも、例えば筐体における周側面の一部に流入口を設ける場合には、上述のように別体的な部材を用いることなく、両端を閉塞する円筒体の周側面上端部に流入口を設けるようにしても良い。
また、筐体における周側面の全周に亘って流入口を設ける別の手法として、取付面例えば天井面に取り付ける取付基板と煙感知器本体とからなり、前記取付基板の下部と煙感知器本体の周側上端部とに僅かに間隙を生じるように離隔するとともに、前記煙感知器本体と取付基板とを一体に組み立てて成る筐体としてもよい。この筐体にあっては、取付基板と煙感知器本体の上端部との間隙が、周側面を一巡するように開口する流入口となる。
通常、屋内で火災が発生すると、火災発生初期においては、熱源から発生する煙が天井に向って立ち上がり、天井に到達した煙は天井面に沿って低速で緩慢に移動していく。また、煙が流通している場合にも、天井面に近接する位置においては、煙が低速で緩慢に流通することがある。火災発生の初期段階及び煙流通段階において、高速で流通する煙だけでなく、低速で流通する煙をも感知することができれば、火災の感知精度が向上する。この発明の煙感知器の筐体における流入口の位置は、煙が筐体内に流入可能である限り特に制限されないが、筐体の周側面において、この発明の煙感知器が設置される設置面に近接した部位に流入口を設けると、設置面に沿って流通する煙が流入口から流入し易くなるので、好ましい。
ここで、煙を感知するセンサとしては、光学式のセンサ、例えば発光素子と受光素子とを有するセンサを挙げることができる。光学式のセンサの一例を挙げると、センサ内に煙が流入していないときには発光素子から発せられた光は受光素子に到達せず、かつセンサ内に煙が流入したときには発光素子から発せられた光が煙を形成する粒子で反射して受光素子に到達し、受光素子が受光すると煙が流入していることを示す検出信号を出力するセンサを挙げることができる。なお、センサの電源には、直流又は交流電源を用いることができ、例えば電池又は家庭用電源等を挙げることができる。また、煙の流入を判別する手段としては、公知の集積回路等を用いることができる。
なお、この発明の煙感知器は、煙を感知したセンサから出力される信号に基づいて警報手段により警報を発することができる。なお、この発明の煙感知器は、煙の存在を感知した場合に、この煙感知器が設置されている空間内に、又はその他の場所に存在する人たちに煙の存在又は火災の発生を警報することができる。前記警報手段としては、使用者が起床時及び就寝時に認識可能な警報を発することができる限り、適宜の手段を採用することができる。警報手段には、音声又は音響により警報を行う聴覚的警報手段、及び/又は、LED、高輝度LED若しくはフラッシュランプ等を用いた視覚的警報手段等を採用することができる。
この発明の煙感知器は、櫛歯列を備えている。
前記櫛歯列により、この発明の煙感知器における筐体内に異物が侵入するのを防止することができる。前記異物としては、煙が発生していない状態で、前記筐体内部のセンサが配置される領域に当該異物が侵入してセンサが誤作動を起こし得る物体であれば良く、例えば虫及び塵埃等を挙げることができる。
前記櫛歯列は、筐体内部に複数個列設される櫛歯の集合であり、前記櫛歯列の形状、大きさ及び材料については、この発明の目的を達成することができる限り、特に制限はない。櫛歯の形状としては、ピン状又は棒状であれば良く、例えば円柱状、楕円柱状及び/又は角柱状等を挙げることができる。櫛歯の大きさとしては、筐体の流入口の大きさに応じて設定すれば良い。また、櫛歯の材料としては、煙により変質し難い材料が好ましく、例えばプラスチック、木材、セラミックス及び金属等を挙げることができる。なお、筐体と櫛歯又は櫛歯列とを一体化しても良く、例えば一体成形等で形成することができる。また、この発明の煙感知器は、櫛歯が列設して成る櫛歯列を、複数並列することもでき、例えば最外部に櫛歯相互の間隔が大きい櫛歯列を設け、その内側に前記櫛歯相互の間隔が小さい櫛歯列を設けることができる。
前記櫛歯列は、筐体の流入口に臨むように位置することが好ましい。櫛歯列の設ける位置は、この発明の目的を達成することができる限り特に制限されないが、筐体の流入口に臨むように櫛歯列を設けることにより、異物を筐体内に侵入させないので、煙を感知するセンサが配置される領域だけでなく、筐体内における煙の流路に異物が侵入及び堆積する状態を防止することができる。
更に、前記櫛歯列を形成する櫛歯において、任意の櫛歯と隣接する櫛歯との間隔は、侵入を防止したい異物の大きさに応じて変更可能であるが、好ましくは1mm以下、更に好ましくは0.5mm以下であると良い。櫛歯と隣接する櫛歯との間隔が1mm以下であると、種々の虫及び埃等が筐体内に侵入できなくなる。
この発明の煙感知器の好ましい態様として、前記櫛歯列を備えると共に、前記筐体の内部であり、かつ前記流入口に臨むように位置する堰堤部と、前記堰堤部の内側端部から延在する流通面と、前記流通面の一部に設けられ、かつ前記流通面を流通した煙が流入し、かつ前記センサを有する筒体部とを備えている煙感知器を挙げることができる。
前記堰堤部は、前記筐体の内部に設けられ、しかも流入口に臨んで形成される堤状部材である。この堰堤部の存在により、前記流入口から筐体内に流入した煙は、該堰堤部を乗り越えるようにして、更にセンサの配置される筐体内部に流通していく。
堰堤部は、流入口から流入した煙の流通を維持しつつ、堰堤部を通過した煙の流れを乱すと考えられる。堰堤部の好ましい態様としては、堰堤部の頂部における煙の流路の大きさ、つまり、前記頂部から内部天井までの寸法が、筐体における流入口の大きさ、つまり流入口における軸線方向に沿った下端縁から上端縁までの寸法よりも、小さく設計されている態様を、挙げることができる。堰堤部の頂部における煙の流路の大きさが小さいと、流入口から流入した煙が堰堤部の頂部を流通する際に煙が圧縮され、また、堰堤部の頂部における煙の流速が大きくなり、次いで煙が堰堤部を乗り越えると圧縮状態及び高速状態が解除されるので、煙が噴流となって煙の流通状態が乱されつつ流通面上を筐体内部方向に進行する。すなわち、堰堤部の頂部における煙の流路の大きさが小さいと、堰堤部がオリフィス様の作用を奏すると推測される。
この発明の煙感知器を水平に設置した場合に、堰堤部は、流入口に面する外側法面と頂部である平坦面と煙の圧縮状態を解除する内側法面とを備えて成ることが、好ましい。堰堤部が外側法面と平坦面と内側法面とから成ることにより、筐体内に煙が流入し易く、かつオリフィス様の作用を好適に発揮することができる。堰堤部の頂部において煙が流通する流路の大きさとしては、特に制限はない。流路の大きさと言う場合、それは流路の寸法によって大小を表現することができ、その寸法は、頂部から内部天井までの、煙感知器が有する中心軸線の方向に沿った長さとして、理解される。なお、この発明の煙感知器における櫛歯列は、外側法面、頂部又は内側法面のいずれに設けても良く、また外側法面、頂部又は内側法面の全てに櫛歯列を設けても良い。好ましくは、櫛歯の軸線方向の長さ、換言すると高さ寸法が小さくて済むように、頂部に多数の櫛歯を列設すると良い。堰堤部に櫛歯を設ける手法としては、例えば櫛歯と堰堤部とを一体成形して、形成することができ、また、堰堤部の表面に、多数の櫛歯を基板上に立設してなる櫛歯列板を、接着しても良く、また、堰堤部の表面に多数の櫛歯を植設しても良い。更に、堰堤部の頂部に対向する内部天井から堰堤部の頂部に向って櫛歯列が突設していても良い。
櫛歯列を形成する複数の櫛の列は、例えば複数の櫛歯列を俯瞰した場合に、多数の櫛が一つの仮想線上に配列された状態となる列であっても、多数の櫛が一つの仮想線上をジグザグに配列された状態となる列であっても良い。
堰堤部の形状としては、堤状であり、かつ煙の流通を乱すような形状であれば良く、例えば筐体が円筒体であり、周側面の全周に亘って流入口が設けられている場合には、流入口に沿って筐体の内部に環状の堰堤部を設けることができる。
堰堤部の大きさは、堰堤部の頂部において煙が流通可能であれば良い。なお、この発明の煙感知器における煙を感知する光学部材、例えば後述のセンサ等に、流入口から侵入する外乱光が投射されると、誤作動を起こす可能性があるので、この発明の煙感知器は、堰堤部を設けることにより流入口から入射する光の大部分を遮光している。
堰堤部の材料としては、煙により変質し難い材料が好ましく、例えばプラスチック、木材、セラミックス及び金属等を挙げることができる。筐体と堰堤部とを一体化しても良く、例えば一体成形等で形成することができる。また、堰堤部は、煙の流通を遮断しない範囲で複数個設けることができ、例えば上述した環状の堰堤部を同心円状に2層以上設けても良い。堰堤部を複数個設けると、筐体内に侵入しようとする外乱光の遮光効率が向上する。
前記流通面は、前記堰堤部における内側法面の端部から延在する面である。なお、流通面は、前記堰堤部を越えて前記筐体内に流入した煙が流通する面でもある。
流通面の形状としては、筐体内に流入した煙が堰堤部を越えた後に滞りなく流通可能であれば良い。流通面は、例えば単に平滑な平面であっても良く、煙の流通を妨げない程度に凹凸を有する凹凸面であっても良い。なお、流通面の好ましい態様としては、平面の一部に堰堤部から後述の筒体部まで延在する溝を設ける態様を挙げることができ、煙が溝に沿って流通可能なように煙の流路を形成することにより、効率的に煙を感知することができる。流通面の材料としては、煙により変質し難い材料が好ましく、例えばプラスチック、木材、セラミックス及び金属等を挙げることができる。堰堤部と流通面とを一体化しても良く、例えば一体成形等で形成することができる。
ここで、この発明の煙感知器における煙を感知するセンサとしては、光学式のセンサ、例えば発光素子と受光素子とを有するセンサを挙げることができる。光学式のセンサの一例を挙げると、センサ内に煙が流入していないときには発光素子から発せられた光は受光素子に到達せず、かつセンサ内に煙が流入したときには発光素子から発せられた光が煙を形成する粒子で反射して受光素子に到達し、受光素子が受光すると煙が流入していることを示す検出信号を出力するセンサを挙げることができる。なお、センサの電源には、直流又は交流電源を用いることができ、例えば電池又は家庭用電源等を挙げることができる。また、煙の流入を判別する手段としては、公知の集積回路等を用いることができる。
前記筒体部は、前記流通面の一部に設けられ、かつ前記流通面を流通した煙が流入し、かつ発光素子から発せられる光を受光素子が受けることのできる部位である。筒体部は、流通面に陥設される筒体であり、かつ筐体内に侵入する外乱光が入射しない程度の深さを有し、かつ発光素子及び受光素子が正常に作動可能であれば良い。この発明の煙感知器の内部に流入した煙は、堰堤部を乗り越えた後は流速が低下し、流通面を流通していくに従って流速が更に低下し、筐体における筒体部が設けられる部位まで到達すると、煙の粒子自身の自重で沈下して筒体部内に落下すると推測される。
筒体部の形状は、流通面の一部に陥設される筒体、すなわち流通面が上方に面しているときに下方に突設される筒体であり、かつ煙が流入し易く、かつ発光素子及び受光素子に外乱光が入光しない限り特に制限されず、例えば半径方向の断面形状が円形、楕円形及び多角形等である態様を採用することができる。筒体部の形状としては、流通面から陥設される限り、特に制限は無く、例えばその断面形状が円、楕円及び多角形等である態様を挙げることができる。筒体部の大きさは、煙が筒体部内に流入し易い大きさが好ましく、可能であれば小型化することにより、この発明の煙感知器の小型化に寄与することができる。筒体部の材料としては、煙により変質し難い材料が好ましく、例えばプラスチック、木材、セラミックス及び金属等を挙げることができる。流通面と筒体部とを一体化しても良く、例えば一体成形等で形成することができる。
以下に、この発明の煙感知器の作用を説明する。
先ず、この発明の煙感知器を設置する。このとき、この発明の煙感知器を設置する環境には煙が発生していないこととする。また、この発明の煙感知器が煙を感知する手段としては、上述した光学式のセンサを採用することとする。この発明の煙感知器を設置する場所としては、煙が流通し易い場所、例えば天井面及び壁面等を挙げることができる。設置場所として、好ましくは、この発明の煙感知器の安定性等を考慮して、がたつき無く設置可能な平面を挙げることができる。なお、ここで示す煙感知器は、櫛歯、堰堤部、流通面及び筒体部を備えた態様であり、堰堤部の頂部に櫛歯が列設されている。こうすることにより、頂部における煙の流路の大きさは流入口よりも小さくなるので、頂部上に配列される櫛歯はその軸線方向の長さが小さくて済み、従来のように網目状の金属薄片を煙感知器の周側面に装着する必要が無く、結果としてこの発明の煙感知器の小型化に寄与することができる。
この発明の煙感知器が設置された場所に煙が流通すると、流入口を介して筐体内に煙が流入する。
筐体内に流入した煙は、堰堤部を乗り越えるようにして更に筐体の内部に流通する。このとき、例えば虫及び煙に舞い上げられた埃等は、頂部に列設される櫛歯により、筐体内に侵入不能となっている。煙が堰堤部を乗り越えることにより、煙の流通方向が乱れると推測される。また、堰堤部は、煙を感知するセンサ、例えば発光素子及び受光素子が外部からの外乱光により誤作動を起こすことの無いように、筐体内に侵入しようとする外乱光の大部分を遮光している。
続いて、堰堤部を越えて更に筐体内部方向に流通する煙は、流通面上を流通することとなる。堰堤部を乗り越えた後の煙は、流通面を流通していく途中で徐々にその流速が低下していくと考えられる。
次に、流通面を流通した煙が筒体部に流入する。この発明の煙感知器が天井面に設置された場合には、筒体部は下方に突設されているので、煙が流通面から筒体部内に流下し易い。なお、流通面を流通して流速が低下した煙は、筒体部内に流下し易いと推測される。よって、筒体部内に煙が流入し、センサが煙を感知することができる。
ここで、この発明の煙感知器の実施態様を、図面を用いて説明する。
図1に示すのは、この発明の一実施例である煙感知器1Aである。
煙感知器1Aは、筐体2と、堰堤部3と、流通面4と、筒体部5Aと、櫛歯列19とを備えている。
筐体2は、全体形状として両端を閉塞する円筒形状を成す。筐体2は、取付部6及び収容部7を有する。取付部6は、両端を閉塞する円筒形状を成し、取付部6における平面部分の一方が設置面8、例えば天井等に取り付けられる。尚、この取付部は板状をなすので取付基板とも称される。取付部6は、この煙感知器1Aを取り付ける被取付面である設置面8に固定されるのが好ましく、種々の固定手段により固定可能である。収容部7は、一端を閉塞する有底円筒体であり、その内部に後述の作動部9を収容している。取付部6と収容部7とは、結合手段(図示せず)により、収容部7の開口部側が取付部6に臨むように結合されている。取付部6と収容部7との間隙が、煙が筐体2内に流入可能な流入口10である。よって、煙感知器1Aでは、流入口10が筐体2の周側面部の全周に亘って形成されることになる。また、取付部6において設置面8に面していない面、すなわち、筐体2の内部領域を形成することになる面は、内部天井面11と称することとする。
堰堤部3は、流入口10から筐体2の内部でかつ内部天井面11に向って傾斜する外側法面12と、堰堤部3の最頂部である頂部13と、頂部13から筐体2の内部でかつ収容部7の底面に向って傾斜する内側法面14とを有する。外側法面12が流入口10から頂部13まで垂直に立ち上っていないのは、流入口10から筐体2内部に向って流通する煙を効率良く、また抵抗無く筐体2の内部に誘導することができるからである。頂部13は、堰堤部3が内部天井面11に最接近する部位である。内側法面14は、頂部13を乗り越えた煙が筐体2内部方向に円滑に流通することができるように傾斜している。もっとも、この発明の目的を達成することができる限り、外側法面12及び内側法面14は、傾斜させること無く、図1における鉛直方向に設けられても良い。
櫛歯列19は、頂部13に多数の櫛歯を一列に列設されて成り、煙の流路となる間隙、すなわち頂部13と内部天井面11の流入口10近傍との間から筐体2内部に虫及び埃等の異物を侵入不能にしている。なお、頂部13における煙の流路の大きさは流入口10よりも小さいので、頂部13に設ける櫛歯列19を形成する各櫛歯の軸線方向の長さが小さくて済み、従来のように網目状の金属薄片を煙感知器の周側面に装着する必要が無く、結果として煙感知器1Aの小型化に寄与することができる。
流通面4は、内側法面14の下部と一体に形成されており、平滑な水平面である。なお、図1に示す煙感知器1Aは、流通面4の高さが流入口10の下端部よりも低位置、すなわち設置面から離れた位置となるように設計されている。これは、流入口10と、内部天井面11と、堰堤部3と、流通面4と、筒体部5Aとで形成される筐体2の内部領域、特に、内側法面14よりも中心側に、流入口10から侵入する外乱光を侵入し難くすることができるからである。もっとも、筒体部5Aに配置されたセンサ15が誤作動を起こさない程度に外乱光を遮光可能であれば、流通面4の高さに制限はない。
筒体部5Aは、収容部7の略中央部に下方に突設された筒体である。筒体部5Aには、下端開口部を閉塞するようにセンサ15が装着されている。センサ15は、光学式のセンサであり、発光素子15A、受光素子15B並びに発光素子15A及び受光素子15Bが配置された底板15Cを有している。また、筒体部5Aの下端開口部には、発光素子15Aから発せられる光が煙が流入するであろう筒体部5A内を通過して受光素子15Bに到達可能なように、光路用切欠部5Bを設けている。センサ15は、煙の不存在時には発光素子15Aから発せられる光が受光素子15Bに到達せず、かつ煙の存在時には発光素子15Aから発せられる光が煙の粒子で反射して受光素子15Bに到達し、かつ受光素子15Bが光を受光すると煙を感知したこととするように設定されている。筒体部5Aは、下方に突設されているので、その内部に外乱光が侵入し難い。なお、底板15Cは筒体部5A内に外乱光が侵入しないように設けた部材であるが、底板15Cを設けなくとも外乱光の侵入が生じないときは、底板15Cを設ける必要は無い。
図1に示すように、堰堤部3、流通面4及び筒体部5Aは、一つの基板に一体化して形成されている。また、作動部9は、堰堤部3、流通面4、筒体部5A及びセンサ15を有する部位である。なお、作動部9は、図示しないが、センサ15を駆動する電池及びセンサ15が煙を感知した場合に使用者に煙の存在を報知する警報手段等を有している。堰堤部3における外側法面12の外縁部は、収容部7の内周面に係合、嵌合、螺合又は固着されることができる。
以下に、煙感知器1Aの作用を説明する。
先ず、煙感知器1Aを、煙感知器1Aの取付部6が設置面8に固定されるように、設置する。取付部6を設置面8に固定する方法としては、木ネジ等で固定する方法を用いることができる。なお、家屋等で煙感知器1Aを用いる場合には、設置場所の内装保護という見地から、煙感知器1Aを除去した場合に設置面8に取付痕ができる限り生じないことが好ましい。
煙感知器1Aが設置された場所に煙が発生すると、煙は設置面8に沿って流通することが多い。煙が設置面8に沿って流通すると、流入口10を介して筐体2内に煙が流入することができる。
筐体2内に流入した煙は、外側法面12に沿って筐体2の内部方向に誘導される。このとき、例えば虫及び煙に舞い上げられた埃等は、頂部13に列設される櫛歯列19により、筐体2内に侵入不能となっている。更に、煙は、頂部13を越えた後、内側法面14と内部天井面11と流通面4とで形成される筐体2の内部領域に向って流通することとなる。煙が堰堤部3を乗り越えることにより、煙の流通方向が乱れると推測される。堰堤部3を通過した煙の流れが乱れる原因は、堰堤部3による外に、前記櫛歯列19にもある。即ち、櫛歯21を形成する多数の櫛歯同士の間隙を通過する煙の流れは、カルマン渦を形成することがあり、これによって堰堤部を通過する煙の流れが乱れてしまうと考えられる。
また、堰堤部3は、筒体部5Aの下端開口部に装着されるセンサ15が外部からの外乱光により誤作動を起こすことの無いように、筐体2の内部領域に侵入しようとする外乱光の大部分を遮光している。
続いて、堰堤部3を越えて流通する煙は、流通面4を流通することとなる。なお、堰堤部3を乗り越えた後の煙は、流通面4を流通していく途中で徐々にその流速が低下していく。
次に、流通面4を流通した煙が筒体部5Aに流入する。筒体部5Aは下方に開口しているので、流通面4に沿って流通していた煙は筒体部5A内に流下し易い。なお、流通面4を流通して流速が低下した煙は、筒体部5A内に流下し易いと考えられる。筒体部5A内に煙が流入すると、センサ15が煙を感知することができる。
煙感知器1Aは、センサ15が煙を感知することにより、すなわち筒体部5A及び底板15Cで形成される領域内に煙が流入して発光素子15Aから発せられる光が煙の粒子で反射して受光素子15Bに到達することにより、煙感知器1Aが設置されている場所に煙が発生していることを、感知することができる。作動部9には、図示しないが、煙感知器1Aが煙の存在を感知した場合に、使用者に煙の存在を報知することができる警報手段が設けられているので、警報手段が警報を発する。聴覚的警報手段及び/又は視覚的警報手段が警報を発することにより、使用者は煙感知器1Aの設置場所に煙が発生していることを認識することができる。
図2に示すのは、煙感知器1Aの斜視図である。
図2に示すように、櫛歯列19が、筐体2の周側面全周に亘って設けられる流入口10に臨むように、位置しているので、筐体2内、特に内側法面14より内部には虫及び埃等の異物が侵入できないようになっている。
続いて、図1及び2に示したこの発明の煙感知器の実施態様よりも、更に具体的な実施態様を図3〜5に示す。なお、図3〜5に示す部材と図1に示す部材とが共通の場合は、同一の番号を付すこととし、説明も省略することがある。
図3に示すように、煙感知器1Bの筐体2は、有底円筒体の取付部6と略有底円筒体の収容部7とを有する。取付部6と収容部7とは、一定の間隔を有するように相互に結合されており、前記間隔が煙の流入可能な流入口10を成す。煙感知器1Bは、電池(図示せず)により駆動するようにしている。収容部7の周側面部には、電池カバー16が装着されている。図示しないが、電池カバー16の背後であって筐体2の内部には、電池を収容可能な電池装着部が設けられていて、この電池カバー16を取り外すと前記電池装着部が電池装着可能に露出する。収容部7における底面部17には、視覚的警報手段18が突設されている。視覚的警報手段18は、底面部17から突出する部位が先端に向って水平断面が小さくなるような八角台形状をなす発光部を有する透明部材とその透明部材の一端に設けられた発光手段例えばLED又は高輝度LEDとを有してなり、筐体2内の前記発光手段例えば高輝度LED(図示せず)から発せられる光が底面部17から突出する発光部から四方に向って放光可能に形成されている。流入口10の内側には、堰堤部3における頂部13及び内側法面14が示されている。また、堰堤部3の頂部13には、煙感知器1Aと同様に、一定の間隔を有するように櫛歯列19が環状列設されている。櫛歯列19の長さは、その上端部が取付部6の下端面に当接するように設定されている。なお、櫛歯列19は、従来のように金属薄片に孔を設けた態様でなく、相互に一定の間隔を有して立設された柱状部材であるので、虫及び埃等は侵入させず、煙の流通を妨げることはない。
図4に示すのは、図3に示した煙感知器1Bを底面部17から観察した場合の、外観図である。図4に示すように、煙感知器1Bは、底面部17を横断する複数の溝部20が設けられている。複数の溝部20は、互いに平行でかつ一定の間隔を有している。また、溝部20の一部には、種々の幅をもって切欠部21が設けられている。切欠部21は底面部17を貫通しているので、筐体2の内部及び外部が切欠部21により連通している。筐体2の内部及び外部が切欠部21により連通しているので、収容部7に内蔵された聴覚的警報手段22例えばスピーカの一部が前記切欠部21を通して観察されることができ、またこの切欠部21によって聴覚的警報手段22の発する警報が筐体2内に篭もることなくこの煙感知器1Bを設置する空間に鳴り響かせることができる。底面部23の視覚的警報手段18近傍には、押ボタン23が設けられている。押ボタン23は、収容部7の周側面及び底面部17に一致するような形状を成し、筐体2の軸方向に可動である。押ボタン23は、例えば、視覚的警報手段18及び聴覚的警報手段22が警報を発した場合に警報を止める機能、視覚的警報手段18及び聴覚的警報手段22が正常に作動するか確認する機能及び電池の消耗を確認する機能等を備えている。
図5に示すのは、図3に示した煙感知器1Bの断面図である。煙感知器1Bは、筐体2、堰堤部3、流通面4、筒体部5A及び櫛歯列19を備えている。
筐体2は、略円筒体形状を成し、取付部6及び収容部7を有している。取付部6は、取付部6を設置面に固定する固定部材24と、筐体2内に流入した煙を漏出し難く又は漏出不能にする蓋体25とを有している。固定部材24は、一端を開口する略有底円筒体を成し、中央部には挿通口26が設けられている。蓋体25は、有底円筒体であり、挿通口26を挿通する頸部27と、頸部27の一端から外側に張り出すようにして設けられるフランジ28とを有する。なお、蓋体25の底面及びフランジ28が内部天井面11を形成することになる。頸部27は、挿通口26に嵌入されており、着脱自在である。もっとも、頸部27は、挿通口26に固着、溶着若しくは接着されていても良く、又は挿通口26と一体化していても良い。
筒体部5Aの一部、堰堤部3及び流通面4は、煙誘導部材29として一体化されている。
煙誘導部材29は、略有底円筒体であり、周側面部30並びに底面となる堰堤部3及び流通面4を有している。また、煙誘導部材29は、その中央部に貫通孔31が設けられている。貫通孔31の下端部から筒体部5Aが突設されており、更に、筒体部5Aの下端開口部に封蓋部32が装着されることにより当該下端開口部が閉塞されるようになっている。
図5に示した煙感知器1Bにおいては、流通面4が第1流通面4A、傾斜面4B及び第2流通面4Cから成る。流通面4の途中で傾斜面4Bを設けることにより、筒体部5Aの開口部である貫通孔31に到達する外乱光の光量を低減することができるので好ましい。底面部17の内面には、電池33を軸線方向に沿って支持可能な電池支持部34が付設されているので、傾斜面4Bの下方には電池33を収容することができる。また、底面部17の内面には、聴覚的警報手段22を着脱自在に装着可能な警報手段取付部35が設けられている。警報手段取付部35の位置は、図4における切欠部21の位置に応じて決定される。筒体部5Aの下端部でかつ周側面には、制御部36が装着されている。制御部36は、センサ(図示せず)を有し、電池33から駆動電力を供給され、センサの駆動を制御し、センサから出力される信号に基づいて煙の存在を判別し、警報発動信号を警報手段に出力可能である。制御部36には、複数の機能を付加することのできる部材、例えば集積回路等を用いることができる。
以下に、煙感知器1Bの作用を説明する。
先ず、煙感知器1Bを、取付部6の固定部材24が設置面に固定されるように、設置する。固定部材6を設置面に固定する方法としては、接着又は木ネジ等で固定する方法を用いることができる。なお、家屋等で煙感知器1Bを用いる場合には、設置場所の内装保護という見地から、煙感知器1Bを除去したときに設置面に取付痕ができる限り生じないことが好ましい。
煙感知器1Bが設置された場所に煙が発生すると、煙は設置面に沿って流通することが多い。煙が設置面に沿って流通すると、流入口10を介して筐体2内に煙が流入することができる。
筐体2内に流入した煙は、煙誘導部材29に沿って流通することとなる。詳しく言うと、煙は、外側法面12の傾斜に沿って筐体2の内部方向に誘導される。更に、煙は、頂部13を越えた後、内側法面14と内部天井面11と流通面4とで形成される筐体2の内部領域に向って流通する。このとき、頂部13に設けられる櫛歯列19は、虫及び埃等の異物は侵入不能にしつつ煙の流通を妨げることが無いので、煙は円滑に筐体2内に流入していく。煙が堰堤部3を乗り越えることにより、流通する煙にオリフィス様の作用が働くので、煙の流通方向が乱れると考えられる。また、堰堤部3は、制御部36に配置されるセンサが外部からの外乱光により誤作動を起こすことの無いように、煙誘導部材24と内部天井面11とで形成される筐体の内部領域に侵入しようとする外乱光の大部分を遮光している。
続いて、堰堤部3を越えて流通する煙は、第1流通面4A、傾斜面4B及び第2流通面4Cを流通することとなる。なお、堰堤部3を乗り越えた後の煙は、流通面4を流通するに従って、その流速が徐々に低下していくと考えられる。また、煙感知器1Bは、傾斜面4Bを設けているので、堰堤部3を乗り越えて侵入する外乱光を更に低減することができる。
次に、流通面4を流通した煙が筒体部5A内に流入する。筒体部5Aは下方に突設されているので、流通面4に沿って流通していた煙は筒体部5A内に流下し易い。なお、流通面4を流通して流速が低下した煙は、筒体部5A内に流下し易い。よって、筒体部5A内に煙が流入することにより、センサが煙を感知することができるようになる。
センサが煙を感知することにより、センサと電気的に接続される制御部36にセンサから信号が出力される。制御部36にセンサからの信号が出力されると、聴覚的警報手段22及び視覚的警報手段18に警報を発する信号を出力する。聴覚的警報手段22及び視覚的警報手段18に警報を発する信号が出力されると、それぞれの警報手段が警報を発する。したがって、使用者は煙感知器1Bの設置場所に煙が発生していることを認識することができる。また、煙感知器1Bは、櫛歯列19を設けることにより、従来の防虫網を製造する際に必要な金属薄片、及び金属薄片に孔を設けるエッチング又はレーザー処理等の工程が不要となるので、製造工程及び製造所要時間等を短縮可能になり、好ましい。
この発明の煙感知器は、図面に示した実施態様に限定されることは無く、この発明の目的を達成することができる限り、様々に設計変更が可能である。