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JP5492082B2 - 難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 - Google Patents
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JP5492082B2 - 難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ハロゲン系難燃剤の助けを借りずして、優れた難燃性を示す難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物に関する。この樹脂組成物は、優れた難燃性を有し、かつ、良好な機械特性、電気特性(耐トラッキング性)及び成形加工性を有し、外観に優れ、ブリードアウトが抑制された、難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂成形体を提供することが出来る。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(以下、「PBT」と略記することがある。)は、その優れた特性から電気及び電子機器部品並びに自動車部品等に広く用いられている。従来からPBTは、要求特性に応じて様々な処方により高機能化と高性能化を実現してきた。
しかし、近年では部品の軽量小型化の為に、樹脂成形体の薄肉化が進められている。これに伴い、成形時の流動性に優れ、且つ薄肉で機械的強度の大きい樹脂成形体を提供できるPBTが求められている。
更に電気・電子機器分野では、火災に対する安全を確保するため高度な難燃性が、また電気的負荷による発火に対する安全性確保の為、電気的特性の一つである耐トラッキング性が要求されている。
熱可塑性樹脂に難燃性を付与する方法としては、有機ハロゲン系難燃剤が広く用いられている。しかしこの難燃剤は、それが含まれている樹脂成形体等を廃棄する際に、焼却等の処分を行うとダイオキシンを発生する恐れがあり、周辺環境を汚染するという問題がある。従って、ハロゲンを含まない非ハロゲン系難燃剤を用いた、熱可塑性樹脂の難燃化が、種々検討されている。
具体的には例えば、難燃剤としてポリリン酸エステル類を用いる方法が提案されており、難燃化の対象としてポリエステル樹脂も挙げられている(例えば特許文献1参照)。然しながらこの様な難燃剤を用いても、PBTの難燃性及び燃焼時のドリップ性改善効果は不十分であり、難燃性の試験法であるUL−94においてV−0を達成していなかった。
また高温環境下において、この難燃剤に由来すると考えられるブリードアウト(ブルーミング)による外観及び電気的特性の低下(体積抵抗値の低下等。)が問題となっていた。
さて、この様なドリップ性の改善については、ポリエステル樹脂にポリフェニレンエーテル樹脂を配合した樹脂をリン酸エステルにより難燃化する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。然しながらポリエステル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂は相溶性が著しく低いために靱性の高い樹脂組成物と成りがたいという問題があった。
また非ハロゲン系難燃剤として、特定のホスフィン酸塩又はジホスフィン酸塩とメラミンなどの有機窒素化合物との併用が提案されている(例えば特許文献3、4参照)。しかしながら、良好な難燃性を発現させるためには、一般的に添加量を多くせざるを得ず、成形性および機械的特性の低下が問題となっていた。
一般的に、PBTに難燃剤を配合すると、得られる樹脂組成物の靭性(引張伸度で代表される)が低下する。この改良方法として、難燃助剤を配合して、難燃剤の配合量を削減したり、また、エラストマーなどの柔軟性樹脂を配合する方法が提案されている。
例えば難燃助剤としてフッ素系樹脂を配合する方法が提案されている(例えば特許文献5参照)。しかし、フッ素樹脂の配合は、例えば1mm以下の薄肉成型においては流動性の低下が大きく、成形性に問題があり、また薄肉成形品の反り量が大きくなるという問題があった。
一方、エラストマーなどの柔軟性樹脂を配合する方法においては、オレフィン系やスチレン系エラストマーの配合により、難燃性が著しく低下するという問題があった。またポリエステル系エラストマー(ポリエステルブロック共重合体)を配合する方法(例えば特許文献6参照。)も提案されており、この方法ではオレフィン系エラストマーを添加した際に問題となる難燃性の低下は少ないものの、PBTとの相溶性が十分でないために、靭性の改良効果は限定的であった。またポリエステル系エラストマーとPBTとの樹脂組成物は、ポリエステルエラストマーの分散不良のために、引張伸度が不安定であり、靭性改良とならないという問題があった。
特開昭59−202240号公報 特開平10−147699号公報 特開昭55−5979号公報 特開平11−60924号公報 特開2006−117721号公報 特開平9−53007号公報
上記の状況に鑑み、本発明は、非ハロゲン系難燃剤を使用して高度に難燃化されており、且つ、電気抵抗性及び成形性に優れたポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、ガラス転移温度が特定の範囲にあるポリブチレンテレフタレート系樹脂に、ホスフィン酸金属塩、好ましくはホスフィン酸金属塩とアミノ基含有トリアジン類の塩を配合することにより、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
具体的には、以下の手段により達成された。
[1](A)動的粘弾性法で測定したガラス転移温度が0℃〜75℃であるポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、(B)ホスフィン酸金属塩5〜70重量部を配合してなることを特徴とする難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[2]ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、カルボン酸成分及びアルコール成分のそれぞれ70モル%以上がテレフタル酸及び1,4−ブタンジオールに由来するものであり、且つ共重合成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコール、ダイマー酸及びイソフタル酸の何れかに由来する成分を含有しているものであることを特徴とする[1]記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[3]ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、下記の(1)〜(4)よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする[1]または[2]に記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
(1)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分が2〜30重量%である。
(2)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びダイマー酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つダイマー酸に由来する成分が酸に由来する成分の0.5〜30モル%である。
(3)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びイソフタル酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つイソフタル酸に由来する成分が酸に由来する成分の1〜30モル%である。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかと上記以外で共重合成分が3重量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂との混合物で、混合物に占めるポリブチレンテレフタレート樹脂の比率が90重量%以下である。
[4]ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、下記の(1)〜(4)よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする[1]または[2]に記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
(1)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及び数平均分子量が500〜5000のポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分が3〜25重量%である。
(2)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びダイマー酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つダイマー酸に由来する成分が酸に由来する成分の3〜15モル%である。
(3)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びイソフタル酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つイソフタル酸に由来する成分が酸に由来する成分の3〜15モル%である。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかと上記以外で共重合成分が3重量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂との混合物で、混合物に占めるポリブチレンテレフタレート樹脂の比率が85重量%以下である。
[5]ポリブチレンテレフタレート系樹脂のガラス転移温度が0〜65℃であることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[6](B)ホスフィン酸金属塩の、アニオン部分が式(2)又は(3)で表され、カチオン部分がカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンからなる群より選ばれるものであることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
Figure 0005492082
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、R1同士は同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R3同士は同一でも異なっていてもよく、nは0〜2の整数を表す。)
[7](B)ホスフィン酸金属塩が、DSC測定法で測定した全ての融解ピークが180℃以上であることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[8](B)ホスフィン酸塩金属の配合量が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して10〜60重量部であることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[9]さらに、(C)アミノ基含有トリアジン類の塩を、ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、40重量部以下の割合で含む、[1]乃至[8]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[10]さらに、(C)アミノ基含有トリアジン類の塩を、ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、30〜50重量部の割合で含む、[1]乃至[8]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[11](B)ホスフィン酸金属塩に対する(C)アミノ基含有トリアジン類の塩の配合量の比((C)/(B))が0.1〜2であることを特徴とする[9]または[10]に記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[12]さらに、(D)無機充填剤を、ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、150重量部以下の割合で含む、[1]乃至[11]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[13][1]乃至[12]のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明により提供される難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、非ハロゲン系難燃剤を使用して高度に難燃化されており、且つ、電気抵抗性及び成形性に優れたものである。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。本明細書において、アルキル基等の「基」は、特に述べない限り、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂
本発明において(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂とは、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを主原料とするポリエステル樹脂であり、そのガラス転移温度(以下、Tgと略記することがある。)が、0〜75℃の範囲のものをいう。
通常はテレフタル酸成分及び1,4−ブタンジオール成分が、それぞれカルボン酸成分及びアルコール成分の70モル%以上を占めるものを用いる。ポリブチレンテレフタレート系樹脂のTgは、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオールに、他のジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシカルボン酸等を共重合することにより調整できる。本発明に用いるポリブチレンテレフタレート系樹脂のTgは、0〜65℃であることが好ましく、中でも0〜60℃であることが好ましい。
ガラス転移温度が低すぎると、本発明の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体に、所望の機械的強度及び耐熱性、難燃性を確保することが困難となる。逆にTgが高すぎると、靭性の確保が困難となる。なお、本発明においてガラス転移温度(Tg)は、UBM社製、動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000により、周波数110Hzの動的粘弾性測定から得られる損失弾性率(E'')のピーク温度として定義する。
テレフタル酸に併用する、テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよく、更には、低級アルキルグリコールのエステルとして反応に供してもよい。
1,4−ブタンジオールに併用する、1,4−ブタンジオール以外のジオール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等が挙げられる。更に、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能化合物や、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能化合物などを共重合させてもよい。
本発明では、ポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、通常は、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒を用いて、温度30℃で測定した固有粘度が0.5以上、好ましくは0.6以上であり、且つ3以下、好ましくは2以下のものを用いる。固有粘度が小さすぎると、樹脂組成物の機械的強度が低すぎてしまい、逆に固有粘度が大きすぎても樹脂組成物の成形性が低下する。また本発明に用いるポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、固有粘度を異にする2種類以上のものを併用して、所望の固有粘度となるように調整してもよい。
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、中でも、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオールに由来する成分が、各々、カルボン酸成分及びアルコール成分の70モル%以上を占め、且つ、ポリアルキレングリコール、イソフタル酸及びダイマー酸からなる群より選ばれた少なくとも一つに由来する成分を主たる共重合成分としてなるものが好ましい。
この、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオール以外の成分としては、その含有量がポリブチレンテレフタレート系樹脂において3重量%以下であれば、上述した以外の、他のものを共重合成分として有していてもよい。中でも好ましいものは、下記の共重合樹脂、(A−1)〜(A−3)である。
(A−1)ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合樹脂
ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合樹脂(以下、ポリエステルエーテル樹脂と、いうことがある。)は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と、1,4−ブタンジオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールを主成分とするジオールを共重合してなる、ポリエステルエーテル樹脂であり、ポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分の割合は、2〜30重量%である。
この成分の割合が2重量%未満であると所望の靭性を発現させることが困難であり、30重量%を越えると、成形性が低下し、且つ樹脂成形体の強度や耐熱性が不十分となる。ポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分の割合は、中でも3〜25重量%、特に5〜20重量%であることが好ましい。脂であってもよい。
本発明に用いる、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は適宜選択して決定すればよいが、中でも300〜6000であることが好ましく、更には500〜5000、特に500〜3000であることが好ましい。
この数平均分子量が小さすぎると靭性の改良効果が十分に発現せず、逆に大きすぎると強度、耐熱性が不十分となりやすい。またこの共重合ポリエステルを、後述する他のPBTとの混合物として用いる場合には、数平均分子量の大きすぎるポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いたものは、混合に際して相溶性が低く、得られる樹脂組成物の靭性の改良効果が発現されない。
尚、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、これに過剰の無水酢酸を反応させて、残余の無水酢酸を水で分解して酸とし、この酸をアルカリ滴定で定量することによって求めることができる。
本発明に用いるポリエステルエーテル樹脂の溶液粘度〔η〕は、テトラクロルエタンとフェノールとの重量比1/1の混合溶媒を用いて、30℃での測定で、0.7〜2であることが好ましく、中でも0.8〜1.6であることが好ましい。
ポリエステルエーテル樹脂の溶液粘度が低すぎたり、高すぎると、これを用いた樹脂組成物の成形性や、樹脂成形体の靭性が低下する。またポリエステルエーテル樹脂の融点は、200〜225℃であり、中でも205〜222℃であることが好ましい。
(A−2)ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂
ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールを主とするグリコールと、テレフタル酸、ダイマー酸とを共重合した、共重合ポリエステルである。
全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として0.5〜30モル%である。ダイマー酸の割合が多すぎると、これを用いた樹脂組成物の長期耐熱性が著しく低下する。逆に少なすぎても、靭性が著しく低下する。よって全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として、中でも1〜20モル%であることが好ましく、特に3〜15モル%であることが好ましい。
本発明に用いるダイマー酸としては、通常は、炭素数18の不飽和脂肪酸、具体的には例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸等を、モンモリロナイトなどの粘土触媒等により二量化反応させたて得られたものが挙げられる。
この二量化反応の反応生成物は、炭素数36のダイマー酸を主とし、他に炭素数54のトリマー酸、炭素数18のモノマー酸等を含む混合物である。この混合物を、真空蒸留、分子蒸留及び水素添加反応等により精製してダイマー酸とする。
ダイマー酸は単一化合物ではなく、一般に鎖状、芳香族環、脂環式単環及び脂環式多環構造を有する化合物の混合物である。例えば、ダイマー酸の原料としてリノール酸の成分が多いものを用いた場合には、得られるダイマー酸において、鎖状構造を有する化合物が減少し、環状構造を有する化合物が増加したものが得られる。
本発明に用いる共重合ポリエステルの製造に用いるダイマー酸としては、下記一般式(1)で表される鎖状ダイマー酸を10重量%以上含むものを用いることが好ましい。
Figure 0005492082
(式中、RmおよびRpは、それぞれ独立して、アルキル基を示し、RnおよびRqは、それぞれ独立して、アルキレン基を示し、Rm、Rn、Rp及びRqの炭素数の和は28〜46である。)
鎖状ダイマー酸が10重量%以上のものを用いると、得られる共重合ポリエステル樹脂自体の引張伸度が良好となるため、これを用いた本発明の樹脂組成物の引張伸度も良好となるので好ましい。
ダイマー酸に含まれるモノマー酸の割合は、1重量%以下であることが好ましい。モノマー酸は共重合に際して生成する樹脂の高分子化を阻害するが、1重量%であれば共重合に際して縮重合が十分に進行するので、高分子量の共重合体が得られ、本発明の樹脂組成物の靱性が向上する。
ダイマー酸の好ましい具体例としては、ユニケマ社製のPRIPOL 1008、PRIPOL 1009、更にはPRIPOL 1008のエステル形成性誘導体としてユニケマ社製のPRIPLAST 3008、PRIPOL 1009のエステル形成性誘導体としてPRIPLAST 1899が挙げられる。
尚、ダイマー酸を用いる共重合ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限されるものではなく、従来公知の任意の方法、例えば特開2001−064576号公報に開示された方法に従って行うことが出来る。
(A−3)イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂
イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールを主とするグリコールと、テレフタル酸及びイソフタル酸を主とするジカルボン酸を共重合した、共重合ポリエステルである。
全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として1〜30モル%である。イソフタル酸成分の割合が多すぎると、これを用いた樹脂組成物の耐熱性が低下し、また射出成形性も低下する。逆に少なすぎても、靭性の改良効果が不十分となる。
よって全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として、中でも1〜20モル%であることが好ましく、特に3〜15モル%であることが好ましい。
(A−4)共重合ポリエステルと他のPBTとの混合物
この混合物は、上述の(A−1)〜(A−3)のいずれかの共重合ポリエステルと、他のPBT、好ましくは共重合成分が3重量%以下のPBTとを、100/0〜10/90の重量比率で混合したものである。
中でも混合比率は100/0〜15/85であることが好ましく、特に100/0〜30/70であることが好ましい。共重合ポリエステルと他のPBTとは、溶融混練に際して一般的に用いられる2軸押出機等で容易に分散可能であるが、双方の溶融粘度を合わせることが好ましい。
(B)ホスフィン酸金属塩
本発明においては、難燃剤としてホスフィン酸塩金属を用いる。本発明に用いるホスフィン酸金属塩とは、アニオン部分が式(2)又は(3)で表され、カチオン部分の金属イオンがカルシウム、マグネシウム、アルミニウム又は亜鉛の何れかであることが好ましい。
Figure 0005492082
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、R1同士は同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R3同士は同一でも異なっていてもよく、nは0〜2の整数を表す。)
ホスフィン酸金属塩としての具体例は、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
本発明においては、これら化合物は単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。これらの中でも、特に難燃性、電気特性の観点から、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。また靱性の観点からは、DSC測定(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetry、測定条件:30℃から300℃への昇温条件を20℃/分。)において全ての融解ピーク温度(Tm)が180℃以上に現れるものが好ましく、180〜200℃に現れるものがより好ましい。
本発明に用いるホスフィン酸塩の粒径は、樹脂組成物から得られる樹脂成形体の外観や機械的強度に影響するので、レーザー回折法による測定で、95重量%以上の粒子が粒径100μm以下であることが好ましい。中でも95重量%以上の粒子の粒径が50μm以下としたもの、具体的には例えば、粉砕により得られた粉末等が好ましい。
しかし一般に、小粒径にするほど調整費用が嵩む反面、もたらされる効果は暫減するので、粒径としては20〜40μmの範囲にその90重量%以上が入るものが好ましい。
本発明に用いる(B)ホスフィン酸金属塩は、(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、5〜70重量部配合する。5重量部未満では目的とする難燃性が十分でなく、70重量部を超えると機械的特性の低下や、成形性の低下、離型不良やモールドデポジットが発生しやすくなる。難燃性と機械的特性の両面から、好ましい配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し10〜60重量部である。
(C)アミノ基含有トリアジン類の塩
本発明の樹脂組成物には、更に、窒素系難燃剤であるアミノ基含有トリアジン類(アミノ基を有するトリアジン類)の塩を配合することが好ましい。このアミノ基含有トリアジン類の塩を配合することによって、比較的少量のフォスフィン酸金属塩の配合で所望の難燃効果を発現させることが出来る。
アミノ基含有トリアジン類としては、通常、アミノ基含有1,3,5−トリアジン類が用いられ、具体的には例えば、メラミン、置換メラミン(2−メチルメラミン、グアニルメラミンなど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂など)、シアヌル酸アミド類(アンメリン、アンメリドなど)、グアナミン又はその誘導体(グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、フタログアナミン、CTU−グアナミンなど)などが挙げられる。
これと塩を形成する酸としては、無機酸及び有機酸のいずれでもよい。無機酸としては具体的には例えば、硝酸、塩素酸(塩素酸、次亜塩素酸など)、リン酸(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸など)、硫酸(硫酸や亜硫酸などの非縮合硫酸、ペルオクソ二硫酸やピロ硫酸などの縮合硫酸など)、ホウ酸、クロム酸、アンチモン酸、モリブデン酸、タングステン酸などが挙げられる。中でもリン酸や硫酸類が好ましい。
有機酸としては、具体的には例えば、有機スルホン酸(メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、トルエンスルホン酸やベンゼンスルホン酸などの芳香族スルホン酸など)、環状尿素類(尿酸、バルビツル酸、シアヌル酸、アセチレン尿素など)などが挙げられる。
これらのうち、メタンスルホン酸などの炭素数1〜4のアルカンスルホン酸や、トルエンスルホン酸などの炭素数1〜3のアルキル基を有していてもよいアリールスルホン酸、及びシアヌル酸が好ましい。
アミノ基含有トリアジン類の塩としては、具体的には例えば、シアヌル酸メラミン・メラム・メレム複塩、リン酸メラミン類(ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩など)、硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫酸ジメラミン、ピロ硫酸ジメラムなど)、スルホン酸メラミン類(メタンスルホン酸メラミン、メタンスルホン酸メラム、メタンスルホン酸メレム、メタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩、トルエンスルホン酸メラミン、トルエンスルホン酸メラム、トルエンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩など)などが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
このような窒素系難燃剤のなかでも、シアヌル酸またはイソシアヌル酸と、トリアジン系化合物との付加物を用いることが好ましい。この付加物の組成は通常、1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)である。
より具体的にはシアヌル酸メラミン、シアヌル酸ベンゾグアミン、シアヌル酸アセトグアナミン等が挙げられ、中でもシアヌル酸メラミンが好ましい。これらの塩は例えばアミノ基含有トリアジン類と、シアヌル酸またはイソシアヌル酸の混合物を水スラリーとし、混合して双方の塩を微粒子状に形成させ、次いでスラリーを濾過、乾燥し、粉末状で得られる。
尚、これらアミノ基含有トリアジン類の塩は完全に純粋である必要は無く、未反応のトリアジン類やシアヌル酸、イソシアヌル酸が残存していてもよい。また、樹脂に配合される前の塩の平均粒径は、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂成形体の難燃性、機械的強度や耐湿熱特性、滞留安定性、表面性等の点から、レーザー回折法による測定で、95重量%以上の粒子が粒径100μm以下、特に80μm以下であることが好ましい。
また上述した塩の分散性が不充分な場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤や、公知の表面処理剤などを併用してもよい。
本発明における(C)アミノ基含有トリアジン類の塩の量は、成分(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、0〜40重量部であり、好ましくは5〜30重量部である。成分(C)アミノ基含有トリアジン類の塩の配合量が40重量部を越えると、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂成形体の機械的物性が低下しやすい。
尚、(B)ホスフィン酸金属塩と、(C)アミノ基含有トリアジン類の塩の配合比率は、通常は重量比で(C)/(B)=0〜3であるが、配合比率が3より大きいとで得られる樹脂組成物の難燃性の確保が困難になる。よって中でも0.1〜2、更には0.3〜1.5であることが好ましい。
更に本発明においては、(B)ホスフィン酸塩や(C)アミノ基含有トリアジン類の塩の分散性の改良のために、これらを予め分散剤で処理した後に、他の成分と混合して樹脂組成物を製造したり、また、樹脂組成物の製造時に分散剤を配合してもよい。この様な分散剤としては、特開2004−269885号公報等に開示されているモノマーやポリマー等の液状分散剤が挙げられる。
具体的には例えば、モノマーとしては、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類や、TDI、MDI等のイソシアネート類が挙げられる。ポリマーとしては、ポリエチレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール、ビスフェノールAジグリシジルエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、又はクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル等のエポキシ樹脂が挙げられる。
また分散性を改善するために、難燃剤を顆粒状にしてから配合することも好ましい。具体的には例えば、特開2004−99893号公報に開示されているような、バインダーにより顆粒状化されたホスフィン酸金属塩含有難燃剤が好ましく使用される。
このバインダーとして好ましいものは、具体的には例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックスなどのワックスや、ポリエチレングリコール等が挙げられる。バインダーの融点は50〜200℃であることが好ましく、またバインダーの量は難燃剤量100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、更に難燃助剤や滴下防止剤と言われる、公知の添加剤を配合してもよい。難燃助剤としては硼酸金属塩が好ましく、具体的には例えば四硼酸ナトリウム、メタ硼酸カリウム等のアルカリ金属塩や、硼酸カルシウム、オルト硼酸マグネシウム、オルト硼酸バリウム、硼酸亜鉛等のアルカリ土類金属塩が挙げられ、中でも硼酸亜鉛が好ましい。
滴下防止剤としてはフッ素樹脂が好ましく、具体的には例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物のいては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の難燃剤を含んでいてもよい。但し、ハロゲン系難燃剤は、全組成物中、2質量%以下であることが好ましい。
(D)無機充填剤
また本発明の樹脂組成物には、機械的強度、耐熱性、寸法安定性(耐変形、そり)、電気的性質等の性能に優れた樹脂成形体を得るために、繊維状、粉粒状、板状等の、各種の(D)無機充填剤を配合することができる。(D)無機充填剤の配合量は、成分(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、0〜150重量部、中でも好ましくは0〜100重量部であり、更には10〜50重量部、特に20〜40重量部である。150重量部を超えて配合すると、樹脂組成物の靭性を確保することが困難となる。
繊維状充填剤としては、具体的には例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維、カーボン繊維である。
粉粒状充填剤としては、具体的には例えば、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、硅藻土、ウォラストナイト等の硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
板状充填剤としては、具体的には例えば、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
繊維状充填剤、特にガラス繊維と粉粒状および/または板状充填剤の併用は、特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。
これらの充填剤の使用にあたっては、必要ならば収束剤や表面処理剤を使用することができる。具体的には例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物が用いられる。充填剤は、予めこれらの化合物によって処理しておいてもよく、または樹脂組成物の製造時に同時に、または個別に添加してもよい。
本発明の樹脂組成物には、その目的に応じ所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂に用いられている、公知の種々の添加剤を配合してもよい。具体的には例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤及び結晶化促進剤、結晶核剤、耐加水分解性改良剤(エポキシ化合物、カルボジイミド化合物など)等を配合してもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、その目的に応じ前述した成分の他に、さらに他の熱可塑性樹脂を補助的に併用することも可能である。この様な熱可塑性樹脂としては、高温において安定な樹脂が用いられ、具体的には例えば、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイドエチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。更に耐衝撃改良剤であるエラストマー類を配合してもよいが、もちろん、上述の添加剤や熱可塑性樹脂の配合は、本発明の樹脂組成物の所望の効果を損なわない範囲でならなければならない。
本発明の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造は、従来の樹脂組成物の製造に一般的に用いられる設備と方法により行える。具体的には例えば、1)各成分を混合した後、1軸又は2軸の押出機により混練、押出ししてペレットとする方法、2)樹脂組成物を形成する原料で組成の異なる複数種のペレットを先ず調製し、そのペレットを所定量混合して目的の組成を有する樹脂組成物とする方法、3)原料の一部を予め溶融混練し、そこへ他の(残余の)原料を添加し、混練する方法等が挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において使用した原材料を示す。尚、実施例1〜5、8、12および13は、参考例である。
(A)樹脂:
(A−1)ポリエステルエーテル共重合体:ポリテトラメチレンエーテルグリコールユニット(数平均分子量=約1016)含量20重量%を共重合したポリブチレンテレフタレート樹脂。Tg=22℃ 固有粘度=1.3
(A−2)ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂:(ベルポリエステル社製 PO2120(商品名)、テレフタル酸に代えてダイマー酸10モル%を共重合したポリブチレンテレフタレート樹脂。Tg=12℃ 固有粘度=0.96
(A−3)イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂:カルボン酸成分として、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物(モル比は、テレフタル酸90モル%、イソフタル酸10モル%)を用いて共重合したポリブチレンテレフタレート系樹脂。Tg=61℃ 固有粘度=1.0
(A−4)ホモPBT:製造元 三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸と1.4ブタンジオールを重合したポリブチレンテレフタレート単独重合体。Tg=79℃ 固有粘度=1.25
(A−5)ポリエステルエラストマー:三菱化学社製 プリマロイ(商品名):ポリテトラメチレンエーテルグリコールユニット(数平均分子量=約1016)含量62重量%のポリエステルエラストマー。Tg=-25℃ 固有粘度=0.98
(B)ホスフィン酸塩:
(B−1)ホスフィン酸金属塩:1、2−ジエチルホスフィン酸アルミニウム塩 特開平11−060924号公報の実施例に準じて調整した。尚、(B−1)、(B−2)いずれのホスフィン酸塩も、粒径30〜40μmの範囲にその90重量%以上があった。
(B−1)ジエチルホスフィン酸アルミニウム塩:クラリアント社製 OP1240(商品名)、Tm184℃、232℃
(B−2)ジエチルホスフィン酸アルミニウム塩:クラリアント社製、OP1230(商品名)、Tm177℃、225℃
(C)アミノ基含有トリアジン類の塩:
(C−1)ポリリン酸メラミン:チバスペシャリティーケミカル社製、melapure(商品名)200/20
(C−2)シアヌル酸メラミン:三菱化学社製、MX44
(D)無機充填剤:
旭ファイバーグラス社製ガラス繊維、チョップドストランド、03JA−FT592
(E)酸化防止剤:
(E−1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:チバスペシャリティーケミカル社製、イルガノックス(商品名)1010
(E−2)リン系酸化防止剤:ADEKA社製、PEP−36
(F)離型剤:日本精蝋社製 パラフィンワックス、FT100
(G)滴下防止剤:住友3M社製、フッ素樹脂、テフロン(登録商標)TF1750
なお、実施例及び比較例において、ポリアルキレンテレフタレート樹脂の物性の測定及び各樹脂組成物の評価は下記の方法により行った。
[性能評価法]
(1)引っ張り試験
引張試験:ISO引張試験片(ISO3167)によりISO527に準拠し測定した。
ウエルド引張試験:ウェルド物性評価時に使用する引張試験片は、上記のISO引張試験片サイズと同じでかつ試験片の両側長手方向からの2点ゲートで射出成形を実施、試験片中央部にウェルドラインが形成される試験片を用いて評価した。ウェルド物性は、引張伸度の保持率を求め、当該数値が高いもの程ウェルド特性(ウエルド密着性)に優れていると判定した。
(2)難燃性試験
UL試験片(厚み1/32インチ)について、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter's Laboratories Inc.)のUL−94規格垂直燃焼試験により実施した。難燃性レベルは該規格に従い、V−0>V−1>V−2>HBの順で評価し、V−2以上の難燃性が要求され、好ましくはV−0である。
(3)比較トラッキング指数試験(略称:CTI試験)
試験片(厚み3mmの平板)について、国際規格 IEC60112に定める試験法によりCTIを決定した。CTIは固体電気絶縁材料の表面に電界が加わった状態で湿潤汚染されたとき、100Vから600Vの間の25V刻みの電圧におけるトラッキングに対する対抗性を示すものであり、数値が高いほど良好で、好ましくは600V以上である。
(4)難燃剤ブリードアウト試験
10cm角、厚み3mmの平板を試料とし、150℃に温調された熱風乾燥機内で、72時間の熱処理を行った後、試験片の表面を目視観察により、難燃剤の染み出しが認められなかったら○、認められたら×と分類した。
(5)反り量の評価
後述する射出成形機を用い、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、直径100mm、厚さ1.6mmの円盤状樹脂成形体を作成し、この際、樹脂ゲートは厚さ方向の側面の一点のみとした。この円盤状樹脂成形体を平坦面に置き、その下端の一点を平坦面に接するようにした際、平坦面から浮き上がっている下端の平坦面からの浮き上がり距離の最大値を測定し、この距離を反り量とした。
(6)離型性の評価
シリンダー温度270℃、金型温度80℃で、成形サイクルについては、ガラス繊維の未配合組成物については40秒、ガラス繊維配合組成物については30秒で、10cm角、厚み3mmの平板を成形する際に、エジェクターピンが板に食い込んでいないものを○、エジェクターピンが板に食い込んでいるものを×とした。
[実施例1〜11および比較例1〜8]
表1に示す通り、ガラス繊維以外の成分を一括してスーパーミキサー(新栄機械社製SK−350型)で混合し、L/D=42の2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT)のホッパーに投入し、(C)ガラス繊維をサイドフィードして、吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpm、バレル温度260℃の条件下押出してポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物のペレットを得た。表1では、各種原材料を重量比で示している。
その樹脂組成物ペレットについて、射出成型機(住友重機械社製、型式SH-100)を使用して、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で上記(2)〜(6)の試験片(縦横それぞれ10cm、厚さ3mmの3種類の平板試験片、及び厚さ1/32インチのUL−94規格の試験片)を製造した。また、(1)の試験片としては、射出成形機(住友重機械(株)製 型式S−75 MIII)を用い、265℃にて、ISO引張試験片(ISO3167)を成形した。評価結果を表1に示す。尚、実施例5おける(A−1)樹脂と(A−4)樹脂を配合したポリブチレンテレフタレート系樹脂の、動的粘弾性法で測定したガラス転移温度は、58℃であり、実施例10における(A−1)樹脂と(A−4)樹脂を配合したポリブチレンテレフタレート系樹脂の、動的粘弾性法で測定したガラス転移温度は、56℃であり、実施例11における(A−1)樹脂と(A−4)樹脂を配合したポリブチレンテレフタレート系樹脂の、動的粘弾性法で測定したガラス転移温度は、56℃であり、実施例13における(A−1)樹脂と(A−4)樹脂を配合したポリブチレンテレフタレート系樹脂の、動的粘弾性法で測定したガラス転移温度は、70.5℃である。
Figure 0005492082
Figure 0005492082
上記表より明らかなとおり、比較例の樹脂組成物はいずれも引張伸度が低く、柔軟性を有するポリエステルエラストマーを配合しても、伸度の改善が不充分であることが判る。
一方で、本発明の樹脂組成物は、伸度の改善が十分であるだけでなく、CTIに優れ、更にブリードアウトも認められず、離型性も良好な、優れた物であることが判る。
これから本発明の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、及びこれを成形して得られる樹脂成形体は、優れた靭性、CTIを有し、ブリードアウトの発生も抑制され、更に使用中に難燃剤による電気特性への影響も低下し、生産性にも優れているので、経済的であり、特に電気電子部品、例えばコネクター、ターミナルなどの広範囲の部品への適用が期待できる。そしてさらには、自動車部品や建材部品などにも適用が考えられる。
本発明の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、非ハロゲン系難燃剤を使用していないにも関わらず、難燃性に優れ、且つ、電気抵抗性及び成形性に優れている。そのため、該組成物を用いることにより、表面外観に優れ、靭性、耐トラッキング性にも優れた成形品を提供することが可能になる。
特に、本発明は、以下の観点から、産業上の有用性が期待される。
1)優れた難燃性を有しているが、用いる難燃剤が非ハロゲン系難燃剤であるので、使用後の廃棄物を焼却してもダイオキシン等を発生させず、環境汚染問題を起こさない。
2)成型品を高温度に曝しても、樹脂成形体表面に難燃剤等のブリードアウトの発生が少なく、樹脂成形体表面外観の悪化や、電気抵抗の低下等の問題がない。
3)靭性及び耐トラッキング性に優れており、広範囲の電気・電子分野に使用可能である。
4)汎用PBTと遜色のない離型性を有しているので、短い成形サイクルでの成形が可能であり、成形時の生産性に優れたものとすることができる。

Claims (11)

  1. (A)動的粘弾性法で測定したガラス転移温度が0℃〜75℃であるポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、
    (B)ホスフィン酸金属塩5〜70重量部を配合してなり、さらに、
    (C)アミノ基含有トリアジン類の塩を40重量部以下の割合で含み、
    (B)ホスフィン酸金属塩に対する(C)アミノ基含有トリアジン類の塩の配合量の比((C)/(B))が0.1〜2であることを特徴とする難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  2. ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、カルボン酸成分及びアルコール成分のそれぞれ70モル%以上がテレフタル酸及び1,4−ブタンジオールに由来するものであり、且つ共重合成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコール、ダイマー酸及びイソフタル酸の何れかに由来する成分を含有しているものであることを特徴とする請求項1記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  3. ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、下記の(1)〜(4)よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
    (1)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分が2〜30重量%である。
    (2)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びダイマー酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つダイマー酸に由来する成分が酸に由来する成分の0.5〜30モル%である。
    (3)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びイソフタル酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つイソフタル酸に由来する成分が酸に由来する成分の1〜30モル%である。
    (4)上記(1)〜(3)のいずれかと上記以外で共重合成分が3重量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂との混合物で、混合物に占めるポリブチレンテレフタレート樹脂の比率が90重量%以下である。
  4. ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)が、下記の(1)〜(4)よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
    (1)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及び数平均分子量が500〜5000のポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つポリテトラメチレンエーテルグリコールに由来する成分が3〜25重量%である。
    (2)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びダイマー酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つダイマー酸に由来する成分が酸に由来する成分の3〜15モル%である。
    (3)テレフタル酸、1,4−ブタンジオール及びイソフタル酸に由来する成分から主として成っており、他の成分は3重量%以下であり、且つイソフタル酸に由来する成分が酸に由来する成分の3〜15モル%である。
    (4)上記(1)〜(3)のいずれかと上記以外で共重合成分が3重量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂との混合物で、混合物に占めるポリブチレンテレフタレート樹脂の比率が85重量%以下である。
  5. ポリブチレンテレフタレート系樹脂のガラス転移温度が0〜65℃であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  6. (B)ホスフィン酸金属塩の、アニオン部分が式(2)又は(3)で表され、カチオン部分がカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンからなる群より選ばれるものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
    Figure 0005492082
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、R1同士は同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R3同士は同一でも異なっていてもよく、nは0〜2の整数を表す。)
  7. (B)ホスフィン酸金属塩が、DSC測定法で測定した全ての融解ピークが180℃以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  8. (B)ホスフィン酸金の配合量が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して10〜60重量部であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  9. (C)アミノ基含有トリアジン類の含有量が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、5〜30重量部である、請求項1乃至8のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  10. さらに、(D)無機充填剤を、ポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、150重量部以下の割合で含む、請求項1乃至のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる成形品。
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