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JP5494566B2 - 鋼材の欠陥検出方法 - Google Patents
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JP5494566B2 - 鋼材の欠陥検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材表面及び/または表層の欠陥を検出する方法に関する。
鋼材が鋼板の場合を例にとると、鋼板の表面や表層には、例えば、ロールによる押し込み疵、溶融亜鉛浴のドロスが亜鉛めっき層に噛みこんで形成されるドロス疵、鋳造中にアルゴンガスが鋳片内に補足されて形成される鋼板内部に点在するブローホール欠陥、あるいは亜鉛めっき層厚みの不均一さに起因する表面疵等、種々の欠陥が発生することがある。
鋼板におけるこれらの欠陥のうち、他の正常部位と比較して光学的に色が異なって見える欠陥は、作業者による目視検査によって検出されていた。作業者による目視検査を行う場合は生産ラインのスピードを減速しなければならないことから生産性が低下する。また、目視検査の精度は作業者により異なり、品質にばらつきが生じ得る。近年、高い品質管理レベルが要請されるにつれ、目視で検出が困難な微小な欠陥の検出が要求されてきている。
特許文献1には、鋼板表面をCCDカメラによって撮影して得られた鋼板表面の画像データに基づいて欠陥検出を自動で行う欠陥検出装置が開示されているが、微細な欠陥を検知することは困難である。
特許文献2により、発明者らは、鋼材表面を加熱し、その鋼材を加熱中あるいは加熱後の冷却中にその鋼材表面の温度分布を赤外線サーモグラフィカメラにより取得し、得られた温度分布データのラプラシアンを算出することによって欠陥を検出する方法を提案した。特許文献2において、画素間隔hで(x、y)平面上で得られた熱画像温度分布データを用いて、座標(x、y)における温度T(x,y)のラプラシアンΔxyTは下記の式(1)で表される。
ΔxyT={T(x+1,y)+T(x-1,y)+T(x,y+1)+T(x,y-1)−4×T(x,y)}/h2 (1)
図6に示されるように、式(1)の右辺は、赤外線サーモグラフィカメラにより取得された熱画像データに基づくその画素での表面温度T(x,y)と、その画素の上下左右にそれぞれ位置する各画素の温度、すなわち、T(x+1,y)、T(x,y+1)、T(x-1,y),T(x,y-1)を用いて算出することができる。ここで、hはその画素のサイズ(隣接する画素間の間隔)である。上述の例においては、ラプラシアンは各1画素に関して計算されている。温度分布データのラプラシアンを算出することによって欠陥を検出できる理由は、ラプラシアンΔxyTは、式(2)に示すように熱移動量の収支に大きく関連しているからであると考えられている。
ΔxyT=(1/α)・(∂T/∂t)−∂2T/∂z2 (2)
鋼材の表面及び/または表層の欠陥がない部位(以下、「健常部」という。)のラプラシアンの値は理想的には「0」となる。しかし、現実には若干の温度分布が存在することから「0」にはならない。そこで、ラプラシアンの値が0を中心とした値の範囲(例えば、−1〜+1)に入る場合に、当該部位を健常部と判断し、ラプラシアンの値が当該範囲を超えた場合に当該部位は欠陥を有する部位(以下、「欠陥部」という。)と判断している。
特開2004−219177号公報 国際公開WO2010―033113A1号
現代数理科学事典、大阪書籍発行、1991年、第950頁
しかしながら、特許文献2において提案した表面温度データのラプラシアンを算出して欠陥を認識する方法には以下のような問題がある。
第1の問題は、加熱による温度ムラを表面欠陥として誤認識することである。鋼材を加熱するにあたり、均等に加熱することは困難であり、加熱過程で温度ムラを生じ、当該加熱による温度ムラを表面欠陥として誤認識する。
第2の問題は、溶融亜鉛メッキを施す際に生じるいわゆるドロス疵を正しく認識できないという問題である。
本発明は、鋼材を加熱する際に生じる温度ムラの影響を受けずに鋼材表面の欠陥を検出し、かつ、溶融亜鉛メッキを施す際に生じるいわゆるドロス疵を正しく認識する鋼材の欠陥検出方法及びシステムを提供することにある。
発明者らは、鋼材表面温度データのラプラシアンに基づいて鋼材の欠陥を検出する方法において、鋼材を加熱する際に生じる温度ムラの影響を低減する補正方法を見出した。
さらに、発明者らは、欠陥領域の面積、当該領域の離心率、当該領域の補正後のラプラシアンから、当該領域はドロス疵であるか否かを判定する方法を見出した。
発明の要旨は以下のとおりである。
(1)鋼材の表面および表層の両方における欠陥を検出するにあたり、
無欠陥鋼材の表面を5〜10℃刻みの異なる温度に加熱するステップと
前記5〜10℃刻みの異なる温度に加熱された前記無欠陥鋼材表面温度分布を赤外線サーモグラフィカメラにより無欠陥鋼材表面温度データとして取得するステップと、
各無欠陥鋼材表面温度データの平均値を算出するステップと、
各無欠陥鋼材表面温度データについてラプラシアンデータを算出するステップと、
各無欠陥鋼材表面温度データと前記ラプラシアンデータを紐付けるステップと、
各無欠陥鋼材表面温度データにおいて前記平均値と表面温度差が±2.5℃以内である温度に紐付けられたラプラシアン標準偏差を算出するステップと、
得られた表面温度の平均値とラプラシアン標準偏差の一次回帰直線を求めるステップと、
被検査鋼材の表面を加熱して前記被検査鋼材表面温度分布を赤外線サーモグラフィカメラにより被検査鋼材表面温度データとして取得するステップと、
前記被検査鋼材表面温度データについてラプラシアンデータを算出するステップと、
前記被検査鋼材表面温度データと前記ラプラシアンを紐付けるステップと、
被検査鋼材の表面温度に対応する無欠陥鋼材のラプラシアン標準偏差を前記回帰直線から算出して、当該表面温度に対応するラプラシアンを当該ラプラシアン標準偏差で除する補正を行うステップと、
前記補正後のラプラシアンデータを用いて欠陥部位を検出することを特徴とする鋼材の欠陥検出方法。
(2)欠陥と認識された部位のうち、面積を0.25mm2以下、離心率を0.5以下、面積をA(mm2)、補正後のラプラシアンの最大値をLmaxとしたときに『Lmax≧1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係が成り立つ部位をドロス疵と判定することを特徴とする(1)に記載の鋼材の欠陥検出方法。
本発明の方法により、加熱により生じる鋼材の温度ムラの影響をうけることなく、鋼材の欠陥を検出することができるという顕著な効果を奏する。また、高い確率でドロス疵を検出するという顕著な効果を奏する。
欠陥を有する領域と離心率との関係についての考えかたを示す図である。 鋼板表面温度とラプラシアン標準偏差との関係を示す図である。 鋼板表面温度とラプラシアン標準偏差の関係から算出した回帰直線を示す図である。 補正されたラプラシアンを用いた場合の検出結果であり、(a)は補正を加えたラプラシアンの画像、(b)は(a)の画像データを二値化処理し検出領域に対して本発明の方法で極小ドロス疵と判定された領域を残した画像である。 補正なしのラプラシアンを用いた場合の検出結果であり、(a)は補正を加えていないラプラシアン画像、(b)は(a)の画像データを二値化処理した画像である。 熱画像温度分布データからラプラシアンを算出する考え方を示す図である。 ドロス疵の検出領域における補正後のラプラシアンの最大値Lmaxと検出面積の平方根√Aとの関係を示した図である。 鋼材の欠陥検出を行っている状況を示す斜視図である。
x、yの2次元平面において、例えば温度Tについて
2T=∂2T/∂x2+∂2T/∂y2 (3)
と表記したとき、数学の世界では∇2を2変数におけるラプラシアン(ラプラス演算子)と呼ぶ。画像処理の世界では、得られた画像データをデジタル演算処理して(3)式の計算を行ったとき、∇2TそのものをTのラプラシアンと称し、ΔxyTと表現することがある。
(3)式を差分法によって数値解析で解こうとする場合、x方向、y方向のデータ間隔をそれぞれhx、hyとして、温度データT(x,y)においてx、yとして整数の値を付与した場合、最も簡単な差分式を用いれば、
2T=∂2T/∂x2+∂2T/∂y2
≒{T(x+1,y)+T(x-1,y) −2×T(x,y) }/hx 2
+{T(x,y+1)+T(x,y-1)−2×T(x,y)}/hy 2
と記述することができる。hx=hy=hであれば、
2
≒ΔxyT={T(x+1,y)+T(x-1,y)+T(x,y+1)+T(x,y-1)−4×T(x,y)}/h2 (1)
が得られる。
本発明では、上記(3)式の∇2TをTのラプラシアンと称し、より具体的には(1)式のΔxyTをTのラプラシアンと呼ぶときもある。
3次元非定常熱伝導の方程式は
(1/α)・(∂T/∂t)=∂2T/∂x2+∂2T/∂y2+∂2T/∂z2 (4)
と記述することができる。αは温度伝導率と呼ばれる。この式から
2T/∂x2+∂2T/∂y2=(1/α)・(∂T/∂t)−∂2T/∂z2
が導かれ、上記式の左辺を(3)式で置き換え、さらに∇2T=ΔxyTと表現すれば(2)式を導き出すことができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、熱画像データによって表現された表面温度についてラプラシアンに対する鋼材加熱の際に生じる温度ムラの影響を低減する方法である。
特許文献2によると、材料の表面を加熱し、赤外線サーモグラフィカメラを用いて材料の表面温度を熱画像データとして取得し、表面温度のラプラシアンを算出すると、正常部のラプラシアンはほぼ0になるのに対し、欠陥部位におけるラプラシアンは正常部とは異なる値となることから、欠陥の存在を検出することができる。
ところが、同じ鋼材の同じ欠陥部位について測定条件を異ならせて評価したところ、測定条件が異なると、欠陥部位におけるラプラシアンの値が変動することがわかった。そのため、一定の測定条件において欠陥を検出するための閾値を定めたとしても、測定条件が変わるとその閾値では欠陥が検出できないという事態が発生した。
さらに検討を進めた結果、欠陥部位のラプラシアンの大きさは測定時の鋼材表面の温度によって変化することが判明した。また、測定のために鋼材を加熱・冷却した際、鋼材の無欠陥部であっても加熱・冷却のムラが生じ、無欠陥部のラプラシアンは厳密にはゼロではなく、また空間的に変動し、無欠陥部のラプラシアンの標準偏差を計算すると有限の値になることがわかった。そして、熱画像データを採取する際の鋼材の温度が変化したとき、無欠陥部のラプラシアンの標準偏差と、欠陥部のラプラシアンの大きさとがほぼ比例関係で変化することが判明した。
従って、まず無欠陥部のラプラシアンの標準偏差を鋼材表面温度の関数として定めておけば、欠陥検出時のラプラシアンを当該測定時の鋼材表面温度に対応した無欠陥部のラプラシアンの標準偏差で除して補正することにより、補正後のラプラシアンは規格化され、一定の閾値を用いて欠陥有無の検出を行うことが可能となる。
なお、欠陥部位のラプラシアンの大きさ、無欠陥部位のラプラシアン標準偏差の大きさのいずれも、鋼材表面温度の影響によって直線的に変動するものであって、表面温度以外の影響はあまり受けず、また温度画像データ採取時に鋼材表面が昇温過程にあったか降温過程にあったかによっても影響をあまり受けない。従って、無欠陥部位について鋼材表面温度とラプラシアン標準偏差の関係について一次回帰直線を求めておき、次に被検査材の表面温度から一次回帰直線で回帰したラプラシアン標準偏差によって被検査材のラプラシアンを補正することによって欠陥検出精度を向上することができる。
(ラプラシアンの補正)
欠陥部のラプラシアンの絶対値が健常部のラプラシアンの絶対値と比べて大きいというのが基本的考え方である。しかし、鋼材温度が常温に近い場合はラプラシアンの絶対値が小さく、鋼材温度が高い場合はラプラシアンの絶対値が大きくなる。この点は、欠陥部のラプラシアンピークの高さも無欠陥部のラプラシアンのばらつきの大きさも同じになる。上述のとおりである。このことから、特許文献2に記載の方法では、欠陥部と健常部を判断するラプラシアンの値の閾値を鋼材温度によって変化させないと、欠陥部を健常部と判断する未検出、健常部を欠陥部と判断する過検出を頻発することになる。
発明者らは、鋼材表面上の各点で計測された表面温度に対応する正常部位のラプラシアンの標準偏差を測定しておき、他の表面温度データから求めたラプラシアンを先に測定した標準偏差に対する比を用いて規格化することで、鋼材温度ムラの影響が有ったとしても一つの閾値で欠陥を検出できることを見出した。
健常部のみを有する鋼材を予め、例えば図2に示すように、60℃、70℃、80℃、90℃と10℃刻みで加熱した時に得られる表面温度データ毎に、まず表面温度データの平均温度を求め、表面温度データと当該平均温度との温度差が±2.5℃以内の表面温度データについてのラプラシアンとその標準偏差を求め、鋼材の表面温度とそのラプラシアンの標準偏差との関係についての一次回帰式を作成する。表面温度差が±2.5℃以内である部位のラプラシアンの標準偏差を算出する理由は、温度差が±2.5℃以内であれば基本的に同じ温度とみなせるからである。
次に、被検査材の表面を加熱した上で表面温度データT(x,y)を計測し、温度データのラプラシアンΔxyT(x,y)を計算する。
得られた一次回帰式を用いて該当ラプラシアンを与えた表面温度T(x,y)におけるラプラシアンの標準偏差Ldfr(T(x,y))を算出し、被検査材の温度データのラプラシアンΔxyT(x,y)をラプラシアンの標準偏差Ldfr(T(x,y))で除することによってラプラシアンの補正を行い、補正後のラプラシアンLmod(x,y)を用いて欠陥検出を行う。補正後のラプラシアンLmod(x,y)は規格化され、一定の閾値を用いて欠陥有無の検出を行うことが可能となる。以下、具体的に説明する。
鋼材の表面および表層の両方における欠陥を検出するにあたり以下のような手順を施す。
第1に無欠陥鋼材の表面を5〜10℃刻みの異なる温度に加熱する。
第2に前記5〜10℃刻みの異なる温度に加熱された前記無欠陥鋼材表面温度分布を赤外線サーモグラフィカメラにより無欠陥鋼材表面温度データとして取得する。
第3に各無欠陥鋼材表面温度データの平均値を算出する。
第4に各無欠陥鋼材表面温度データT(x,y)についてラプラシアンデータを算出する。温度データのラプラシアンの算出アルゴリズムについては、前記(3)式を近似する数値計算手法であればいずれの方法を用いても良い。最も一般的には、前記(1)式のΔxyTを用いることができる。
第5に各(x、y)座標における無欠陥鋼材表面温度データT(x,y)と前記ラプラシアンデータΔxyT(x,y)を紐付ける。
第6に各無欠陥鋼材表面温度データにおいて前記平均値と表面温度差が±2.5℃以内である温度に紐付けられたラプラシアンについて標準偏差(以下、「ラプラシアン標準偏差」という。)を算出し、その温度におけるラプラシアン標準偏差とする。
第7に5〜10℃刻みの異なる温度で得られた表面温度の平均値とラプラシアン標準偏差Ldfr(T)の一次回帰直線を求める。
第8に被検査鋼材の表面を加熱し、被検査鋼材表面温度分布を赤外線サーモグラフィカメラにより測定し、被検査鋼材表面温度データT(x,y)として取得する。
第9に前記被検査鋼材表面温度データT(x,y)についてラプラシアンデータΔxyT(x,y)を算出する。ラプラシアン算出アルゴリズムについては、上記無欠陥鋼材表面温度からラプラシアンを算出するアルゴリズムと同じ方法を採用することができる。
第10に被検査鋼材表面温度データT(x,y)とラプラシアンΔxyT(x,y)を紐付ける。
第11に被検査鋼材の表面温度T(x,y)に対応する無欠陥鋼材のラプラシアン標準偏差Ldfr(T(x,y))を前記回帰直線から算出して、当該表面温度に対応するラプラシアンΔxyT(x,y)を当該ラプラシアン標準偏差Ldfr(T(x,y))で除して、
mod(x,y)=ΔxyT(x,y)/Ldfr(T(x,y)) (5)
のように補正を行う。
第12に補正後のラプラシアンデータLmod(x,y)を用いて欠陥部位を検出する。前述のとおり、欠陥検出時のラプラシアンを当該測定時の鋼材表面温度に対応した無欠陥部のラプラシアンの標準偏差で除して補正することにより、補正後のラプラシアンLmod(x,y)は規格化され、一定の閾値を用いて欠陥有無の検出を行うことが可能となる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、補正されたラプラシアンを用いて欠陥部位と判断された部位が極小ドロス疵であるか否かを判定する方法である。
極小ドロス疵は非常に小さな異物が表面ではなく表層内に存在する。そのため、鋼材を加熱してサーモグラフィカメラで表面温度を測定したとき、極小ドロス疵発生部位における表面温度の変化としては非常に小さく表れるため、特許文献2に記載の方法では精度良く極小ドロスの有無を検出することが難しかった。それに対し、本発明の上記第1の実施態様を適用して鋼材表面温度のラプラシアンの変動を低減した場合には、以下に示すアルゴリズムにより高い精度で極小ドロス疵の有無を検出できることがわかった。
鋼材表面温度のラプラシアンから検出された欠陥部について,それが極小ドロス疵であるかどうかを判定する方法について図1を用いて説明する。
図1において、1は本発明の上記第1の実施態様に基づいて欠陥を有する部位と認定された画素から構成される領域である。2は領域1と同じ2次モーメントを有する楕円である。5,6は当該楕円の焦点である。4は焦点間距離であり、3は楕円の長径である。
領域1と同じ2次モーメントを有する楕円2の焦点間距離4、楕円の長径3については、以下のように求めることができる。欠陥の領域1を構成する画素の数がnであり、(xi、yi)(i=1、3、・・・n)をその画素の座標とする。このとき、欠陥の領域1の2次モーメントMは次式で定義される。
~=(Σi=1 ni)/n、 y~=(Σi=1 ni)/n
11=(Σi=1 n(xi−x~)2)/n、 M22=(Σi=1 n(yi−y~)2)/n
12=M21=(Σi=1 n(xi−x~)(yi−y~))/n
2次モーメントがこの行列Mと等しくなる楕円の長径と焦点間距離は以下のようにして求めることができる。行列Mの固有値を求め、その値をλ1、λ2(λ1≧λ2)とすると、楕円の長径aと短径bは次式で求めることができる。
a=(2√2/π1/41 3/8λ2 -1/8、 b=(2√2/π1/41 -1/8λ2 3/8
このとき、焦点間距離Lは次式で求められる。
L=2√(a2−b2)
領域1の離心率とは、領域1と同じ2次モーメントをもつ楕円の焦点間距離4を長径3で除した値である。離心率は領域1の円形度を表す指標であり、0と1の間の値を取り得る。離心率が0の場合は円を表し、1の場合は線分を表す。
欠陥と認識された部位のうち、面積が0.25mm2以下、離心率が0.5以下、面積をA(mm2)、補正後のラプラシアンの最大値をLmaxとしたときに『Lmax≧1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係が成り立つ部位をドロス疵と判定する。ここで、極小ドロス疵は小さくて丸いという特徴から、面積と離心率の上限をそれぞれ0.25mm2、0.5と設定した。また、ドロス疵発生箇所において、『Lmax<1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係のものを発見しなかったので、『Lmax≧1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係のものをドロス疵と判定とした。
(オフライン実験)
フレーム・レートを30Hzとして動画撮影し、指標の信頼性を高める為、検出領域の面積と離心率、および検出領域におけるラプラシアンの最大値は9フレーム分の平均値を採用した。熱画像撮影後の試験鋼材はプレス試験を行い、5個のドロス疵が確認された。
ラプラシアン処理画像の2値化画像データから5個のドロス疵に対応する検出領域の面積と離心率を求めたのが表1である。
補正後のラプラシアンの2値化画像データから検出された欠陥領域を面積が0.25mm2以下、かつ、離心率が0.5以下という条件で絞り込んだ領域について、検出領域における補正後のラプラシアンの最大値Lmaxと検出面積の平方根√Aとの関係を示したものが図7である。ドロス疵は○印,それ以外のものは×印でプロットしている。グラフ中の破線は『Lmax=1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係を示す。検出面積の平方根が大きいほどラプラシアン最大値が大きくなる分布が読み取れる。この分布の中でドロス疵は『Lmax≧1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係が成り立っている。
(オンライン検証)
健常部のみを有する鋼材を1℃刻みで加熱しながら赤外線サーモグラフィカメラを用いて鋼材表面の熱画像データを採取した。赤外線サーモグラフィカメラの画素数104×416、画素サイズ0.17mm、赤外線サーモグラフィカメラと鋼材との距離17cmとし、赤外線サーモグラフィカメラを鋼材表面に対して垂直に配置している。鋼材表面温度10℃毎に温度が±2.5℃の範囲内にある箇所の各加熱温度毎の鋼材表面温度T(x,y)のラプラシアンΔxyT(x,y)を、前記(1)式によって算出した。さらにラプラシアンΔxyT(x,y)の標準偏差をとり、これをプロットしたのが図3である。これから求められる一次回帰式は、
dfr(T)=0.00108T−0.01201 …(6)
で与えられる。
次に、図8に示すように、鋼材11を走行させながら、鋼材11の下面側に配置した加熱器具12によって鋼材11を加熱した。鋼材11の上面側に測温器具13を配置し、温度制御部14によって加熱器具12の加熱状態を制御し、鋼材11の加熱後温度を一定に保持するように制御している。鋼材11の加熱部位よりも下流側において、鋼材11の上面側の温度を測定するための赤外線サーモグラフィカメラ15を配置している。赤外線サーモグラフィカメラ15の撮像データを検出装置16の入力部17に入力し、画像処理部18で画像処理し、出力部19において検出結果を出力する。
鋼材11を走行させつつ赤外線サーモグラフィカメラ15によって鋼材の表面温度の熱画像データを採取した。赤外線サーモグラフィカメラとしては上記健常部のみを有する鋼材の測定に用いたものと同じものを用いている。ここでは、赤外線サーモグラフィカメラ15による撮像位置において鋼材温度が90℃程度を維持するように加熱器具12のパワーを調整し、赤外線サーモグラフィカメラにより熱画像データを取得し、T(x,y)とした。次に、T(x,y)のラプラシアンΔxyT(x,y)を、前記(1)式によって算出した。さらに式(6)用いて、該当部位温度T(x,y)に対応するラプラシアンの標準偏差Ldfr(T(x,y))を算出して該当部位のラプラシアンを(5)式のように補正する。
mod(x,y)=ΔxyT(x,y)/Ldfr(T(x,y)) …(5)
まず、補正後のラプラシアンLmod(x,y)が3.8以上の箇所を欠陥と認識した。次に、欠陥と認識された部位のうち、面積を0.25mm2以下、離心率を0.5以下、面積をA(mm2)、補正後のラプラシアンの最大値をLmaxとしたときに『Lmax≧1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係が成り立つ部位をドロス疵と判定した。
図4には溶融亜鉛めっき鋼材の極小ドロス疵検出を行った例を示す。図4(a)は熱画像データをラプラシアン処理し、補正を加えたLmod(x,y)の画像、図4(b)は補正を加えたラプラシアン処理画像データを二値化処理し、検出領域に対して本発明の方法で極小ドロス疵と判定された領域を残した画像である。図4(b)に示すように、極小ドロス疵11が検出された。図4において、横軸の「390、400」、縦軸の「410、420」はそれぞれプレス試験で確認したドロス疵の位置と対応付けるための鋼板上の座標を意味する。また、画像の濃度についての縦軸数値は補正ラプラシアンを意味する。図5において座標表示は同様であり、画像の濃度については補正を加えていないラプラシアンを意味する。
当該試験片についてプレスを行ったところ、1箇所星目が現れ、その箇所にドロスの存在を確認できた。また、星目が現れた部位は、図4(b)によって極小ドロス疵と判定された箇所であった。
図5には図4と同一の熱画像データを用いて、ラプラシアンの補正を加えずに欠陥検出を行ったときの画像を示している。図5(a)は補正を加えていないラプラシアンΔxyT(x,y)の画像、図5(b)は補正を加えていないラプラシアン画像データを二値化処理した画像である。何も検出していないことが分かる。二値化処理を行うときの閾値は0.33と設定した。この値は90℃に加熱した無欠陥鋼材の熱画像データをラプラシアン処理し、ラプラシアンの分布の最大値を閾値に採用した。
1:領域
2:領域と同一の2次モーメントを有する楕円
3:楕円2の長径
4:楕円2の焦点距離
5:楕円2の焦点
6:楕円2の焦点
11:鋼材
12:加熱器具
13:測温器具
14:温度制御部
15:赤外線サーモグラフィカメラ
16:検出装置
17:入力部
18:画像処理部
19:出力部

Claims (2)

  1. 鋼材の表面および表層の両方における欠陥を検出するにあたり、
    被検査鋼材と同一の鋼材であって欠陥の無いもの(以下、「無欠陥鋼材」という。)の表面を5〜10℃刻みの異なる温度に加熱するステップと
    前記5〜10℃刻みの異なる温度に加熱された前記無欠陥鋼材表面温度分布を赤外線サーモグラフィカメラにより無欠陥鋼材表面温度データとして取得するステップと、
    各無欠陥鋼材表面温度データの平均値を算出するステップと、
    各無欠陥鋼材表面温度データについてラプラシアンデータを算出するステップと、
    各無欠陥鋼材表面温度データと前記ラプラシアンデータを紐付けるステップと、
    各無欠陥鋼材表面温度データにおいて前記平均値と表面温度差が±2.5℃以内である温度に紐付けられたラプラシアンについて標準偏差(以下、「ラプラシアン標準偏差」という。)を算出するステップと、
    得られた表面温度の平均値とラプラシアン標準偏差の一次回帰直線を求めるステップと、
    被検査鋼材の表面を加熱して前記被検査鋼材表面温度分布を赤外線サーモグラフィカメラにより被検査鋼材表面温度データとして取得するステップと、
    前記被検査鋼材表面温度データについてラプラシアンデータを算出するステップと、
    前記被検査鋼材表面温度データと前記ラプラシアンを紐付けるステップと、
    被検査鋼材の表面温度に対応する無欠陥鋼材のラプラシアン標準偏差を前記回帰直線から算出して、当該表面温度に対応するラプラシアンを当該ラプラシアン標準偏差で除する補正を行うステップと、
    前記補正後のラプラシアンデータを用いて欠陥部位を検出することを特徴とする鋼材の欠陥検出方法。
  2. 欠陥と認識された部位のうち、面積を0.25mm2以下、離心率を0.5以下、面積をA(mm2)、補正後のラプラシアンの最大値をLmaxとしたときに『Lmax≧1.15×(12.020√A+1.4694)』なる関係が成り立つ部位をドロス疵と判定することを特徴とする請求項1に記載の鋼材の欠陥検出方法。
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