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JP5496466B2 - 天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物及び該組成物の製造方法 - Google Patents
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JP5496466B2 - 天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物及び該組成物の製造方法 - Google Patents

天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物及び該組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、芋焼酎蒸留残液から分取した天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物及び該組成物の製造方法に関するものである。
一般に利尿は浮腫や水腫を改善することを目的としており、利尿薬のほとんどのものは腎臓の尿細管におけるナトリウムイオンの再吸収を妨げて、つまりナトリウムイオンを体の外へ出す作用を発揮し、このとき一緒に水も外へ出ていき利尿が起こる。
ここで、一般的な利尿薬について説明する。
現在使用されている利尿薬の中で、利尿作用の発現が速く強力なのは、フロセミドなどのループ利尿薬と呼ばれるものである。
ループ利尿薬は、ヘンレのループの部分で作用する薬で、ふつうは水素イオンを尿細管のなかに出して、その代わりに尿細管の中のナトリウムを体の中に取り込んでいる。
このナトリウムの再吸収をループ利尿薬が抑えるために、ナトリウムの排泄が増え利尿効果が現れる。
利尿薬の種類としては、この他にザイアザイド系利尿薬、炭酸脱水酵素阻害薬、カリウム保持性利尿薬、更には浸透圧利尿薬などがある。
サイアザイド系(チアジド系)利尿薬は、遠位尿細管でループ利尿薬と同じように水素イオンと交換にナトリウムを取り込むところを抑えて利尿効果を現す。
炭酸脱水酵素阻害薬は、ナトリウムの交換に必要な水素イオンをつくる酵素である炭酸脱水酵素の働きを近位尿細管で阻害する。その結果、交換に用いられる水素イオンが減り、そのためナトリウムの再吸収が抑えられ、利尿効果が出現することになる。
また、眼の前房水の産生にもこの酵素が関わっており、それが阻害されると前房水の産生が抑えられることから、緑内障の治療にも用いられる。
遠位尿細管では、この尿細管のなかのナトリウムの再吸収はカリウムとの交換で行われる。ここでも利尿薬によるナトリウムの再吸収が抑えられて、その分ナトリウムが排泄されることになり、利尿効果が現れる。このような利尿薬をカリウム保持性利尿薬という。
そのなかでスピロノラクトンは、ナトリウムの再吸収を促進するアルドステロン(副腎皮質で産生される強力なステロイドホルモン。腎遠位尿細管に作用してナトリウムを再吸収し、代わりにカリウムを排泄させる)の受容体に付き、アルドステロンが付くのを邪魔して、再吸収されるナトリウムの量は濾過された分の8〜9‰と少ないので利尿効果はそれほど大きくない。
しかし、カリウム保持性利尿薬は、後述するようにループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬で副作用としてみられる低カリウム血症を起こさない。更に、ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬とカリウム保持性利尿薬とを併用すると、これらの利尿薬でみられる低カリウム血症を防ぐことができる。
特殊な利尿薬に浸透圧利尿薬がある。これは、濾過された後再吸収されないような物質で、そのため尿細管のなかの浸透圧が高くなり、ナトリウムの再吸収が抑制されるものである。マンニトールなどがそれで、利尿薬としてほとんど用いられないが、脳圧亢進の治療などに使用されている。
ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬では、副作用として低カリウム血症が見られることを述べたが、これらの利尿薬を使用した場合、ナトリウムの再吸収が強く抑制されるため、生体がそれぞれを挽回しようとして代償的に遠位尿細管でナトリウムを再吸収しようとする。そのときにナトリウムと交換するものとして、カリウムが外にでていくことになり、そのため血液中のカリウムが使われ、低カリウム血症となる。
ところで、人体は体重の約70%が水からできている。体重60kgの人でその42kgは水であり、体の水の内訳は、血漿が5%、組織の間の水分が15%、細胞の中にある水分が50%、あわせて70%になる。
これらの水が体にたまってしまうことがある。水分が組織の間にたまった状態をむくんでいると言うが、これが浮腫で、胸水や腹水のように、水分が組織の間でなく、肋膜膣や腹膣などの体の空間にたまるのを水腫という。
利尿というのは尿の量が増えることであるが、水をたくさん飲んでも尿量が増える。これは水利尿といわれ、中毒の治療などのように体内の悪いものを出してしまいたいときには意味があるが、浮腫や水腫の治療にとっては、役に立たないばかりか、かえって有害なこともある。その際、浮腫や水腫を改善する薬が利尿薬である。
利尿薬の作用機序を考える前に、尿ができるまでを図5を参照して簡単に説明する。
腎臓に入ってきた動脈はしだいに細くなり、最後の部分は糸巻きのようにぐるぐるまいている。この部分を糸球体という。その後、糸球体から静脈となり腎臓から出ていく。
糸球体は、外から袋で覆われているが、この袋がボーマン嚢と呼ばれている。糸球体とボーマン嚢をあわせて腎小体といい、その大きさは直径約0.1〜0.2mm位である。
ボーマン嚢からは、細い尿細管という管がずっと伸びており、多くの尿細管が集まって集合管という太い管になり、最後には腎臓出口である腎孟に開いている。
尿触管は長い管で、部位によって呼び方が異なり、ボーマン嚢から出たところは近尿位細管、その後大きく曲がるところはヘンレのループ(係蹄)、ついで遠位尿細管、最後に集まるところは集合管と呼ばれている。
糸球体と尿細胞とあわせてネフロンと呼んでいる。1個の腎臓には約100万個のネフロンがあるといわれている。
糸球体にきた血液は、そこで糸球体から濾過され、ボーマン嚢に入るが、その量は大体1分間に125ml程度である。これがすべて尿になったらたった10分間1l以上の尿ができることになり、とても大変なことになる。
そこで、濾過された血漿の大部分が尿細管からふたたび吸収され、血管内に戻ってくる。これが再吸収である。したがって、濾過された血漿のうち最終的に尿になるのは1分間に約1ml程度である。
水の再吸収は、図6に示すように、尿細管のなか(尿細管膣)にあるナトリウムが、まず最初にもう一度体の中に取り込まれ、それに引き続いて水も一緒に取り込まれることで行われる。このように水を再吸収するためには、ナトリウムの再吸収が最も大切である。
利尿薬も作用機序が異なったものがいくつかある。糸球体の濾過量が増えることで利尿量が増えることは、日常的にも経験することである。
例えば、たくさん水を飲んだときに尿量が増えるのは、このようなメカニズムによるものである。
その他に強心薬によって心臓の働きが改善された場合や、カフェインが入ったものを飲んだために腎臓の血管が拡張した場合なども、糸球体からの濾過量が増え、利尿がみられる。
しかし、これらの利尿は本来の利尿とは少し異なっている。本来の利尿は、浮腫や水腫を改善することを目的としており、利尿薬のほとんどのものは腎臓の尿細管におけるナトリウムの再吸収を妨げて、つまりナトリウムを体の外に出すことによって、利尿効果を現す。
ナトリウムが体の外に出て行くと、一緒に水も外に出て行き、利尿がおこる。極端な言い方をすれば、このようにナトリウムと水は一緒に動く傾向があるので、ナトリウムの再吸収を妨害することが、水の再吸収の妨害にもなる。
これが利尿薬の本質的な作用メカニズムであるが、腎臓のどの部位でナトリウムの再吸収が抑えられるかは利尿薬によって異なる。図7は、上述した各利尿薬別のナトリウムの再吸収に関する説明図である。
現在使用されている利尿薬の中で作用の発現が早く強力なのは、ループ利尿薬と呼ばれるもので上述したように腎臓のへンレのループの部分で作用するものである。
しかし、これらの利尿薬はナトリウムイオンの再吸収が強く抑制されるため、生体がそれを挽回しようと代償的に腎臓の遠位尿細管でナトリウムイオンを再吸収しようとする。
その時にナトリウムイオンを交換するものとして、カリウムイオンが外に出ていくことになり、そのため血液中のカリウムイオンが減り、筋力低下などのいわゆる低カリウム血症となる。そこで、カリウムイオンの喪失を抑制するためのカリウム保持性利尿薬の開発が期待されている
特許文献1には、芋焼酎製造において副生する芋焼酎蒸留残液から固形分を除去して、デキハトリンを添加溶解して噴霧乾燥することで得られる医薬等に利用し得る焼酎粕乾燥物が提案されている。しかし、この特許文献1を含めこの分野の先行技術には、ナトリウムの選択的な利尿活性及びカリウム保持性に着目した技術は見当たらない。
特開2005−213157号公報
本発明者らは、芋焼酎蒸留残液の有効利用の一環としていくつかの薬理活性の評価を行っており、近年糸状菌の作り出す生理活性物質の多くが、米や大麦などの穀物粒を培養基材として用いる、いわゆる、製麹法によって生産されることを知った。
焼酎の製造においては、芋、米、大麦等を使った麹が使われており、長時間の発酵により麹から、あるいは、焼酎の原料の穀類から効率よく抽出され、それらには蒸留という工程を経て焼酎蒸留残渣中には麹菌、酵母等の生産する生理活性物質が含まれている可能性は高い。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、従来廃棄されていた芋焼酎蒸留残液を基に天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物を得んとするものである。
本発明に係る天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物は、芋を原料とする焼酎製造において副生する芋焼酎蒸留残液を酢酸エチルで抽出後に、脂溶性の酢酸エチル層を回収し、蒸発乾固して得た乾固物から、クロマトグラフィーにより分取した芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分である、ナトリウムイオンを選択的に利尿する活性を有する天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物であって、前記画分は、280nmにて、クロマトピークA(リテンションタイム3.24min)、B(リテンションタイム9.03min)、C(リテンションタイム26.14min)、D(リテンションタイム27.80min)の特徴を持つことを最も主要な構成とする。
請求項1記載の発明によれば、従来廃棄されていた芋焼酎蒸留残液を基に、天然のカリウム保持性利尿活性用の新規な組成物を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏することに加え、テストステロン阻害活性を備えることから抗アンドロゲン薬などとして期待できる新規な組成物を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、原料が天然物であり、古来からの醸造工程を経て得られるので極めて安全性が高く、カリウム保持性利尿薬などの医薬品として好適に使用できる組成物を提供することができる。
請求項4記載の発明によれば、原料が天然物であり、古来からの醸造工程を経て、更に、クロマトグラフィーにより分取した芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分である、ナトリウムイオンを選択的に利尿する活性を有する天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物であって、前記画分は、280nmにて、クロマトピークA(リテンションタイム3.24min)、B(リテンションタイム9.03min)、C(リテンションタイム26.14min)、D(リテンションタイム27.80min)の特徴を持ち、極めて安全性が高く、利尿活性目的の食品として好適に使用できる組成物を提供することができる。
請求項5記載の発明によれば、上述した各効果を奏する組成物を簡略に製造し得る製造方法を提供することができる。
本発明は、芋焼酎蒸留残液を基に、天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物を得ることを目的とするものである。
本発明の組成物は、芋を原料とする焼酎製造において副生する芋焼酎蒸留残液を酢酸エチルで抽出し、脂溶性の酢酸エチル層を回収し、蒸発乾固して乾固物を得て、クロマトグラフィーにより分取した芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分である、ナトリウムイオンを選択的に利尿する活性を有する天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物であって、前記画分は、280nmにて、クロマトピークA(リテンションタイム3.24min)、B(リテンションタイム9.03min)、C(リテンションタイム26.14min)、D(リテンションタイム27.80min)の特徴を持ち、天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物として構成したことにより上記目的を実現した。
以下に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
本実施例は、芋焼酎の蒸留法である常圧蒸留法によって得られた芋焼酎蒸留残液を定量の酢酸エチルで抽出して得られる脂溶性画分を含む天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物とその製造法に関するものである。
(製造例)
本実施例における組成物の具体的な製造例を以下に説明する。
本実施例において、芋焼酎蒸留残液を得るに際して、芋焼酎の製造に用いる米麹は通常の芋焼酎製造において行われている製麹条件で製造すればよく、用いる麹菌株としては一般に芋焼酎製造で使用する白麹菌(Aspergillus mut.Kawathii)が好ましい。
また芋焼酎の製造に用いる酵母は、一般に焼酎製造の際に使用する各種焼酎醸造用酵母を使用することができる。
芋焼酎蒸留残液は、通常の芋焼酎製造に用いられる常圧蒸留残液を使用する。固液分離をしていない芋焼酎蒸留残液6l(リットル)に対して酢酸エチル2.25lを加え、250rpmの往復振とう抽出を室温にて3時間行う。
抽出溶媒は酢酸エチルを使用するので水層に移行される物質は廃棄し、脂溶性の酢酸エチル層のみを回収し、ロータリーエバポレーターにて室温で蒸発乾固し、芋焼酎蒸留残液1mlに199.8mgの脂溶性芋焼酎蒸留残渣であり、本実施例の組成物である乾固物を得た。
(高速液体クロマトグラフィーによる分画)
上述した脂溶性芋焼酎蒸留残渣を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分画した。
分析条件は、
カラム:CAPCELLPAK C18 UG 120 S3 4.6mmφ×100mm
移動相:(A) HO(B) MeCN,流量:1.0ml/min,温度:40℃,
ディテイクター:フォトダイオードアレイ検出器
分析時間:0.0min→Bconc 15%,15.0min→Bconc85%,
20.0min→8conc85%,20.5min→Bconc100%,
25.0min→Bconc100%,25.5min→Bconc15%,
32.0min→Bconc15%
この条件によって得られる特徴的な2次元クロマトパターンを図1に示した。
図1には、焼酎原料や使用種麹菌を代え、製造した典型的な焼酎白麹菌(Aspergillus Iuchuensis mut.Kawachii)を使用した球唐焼酎(減圧蒸留米焼酎)のクロマトパターンと、焼酎用黄麹菌(Aspergillus oryzae)を使用した球磨焼酎(減圧蒸留米焼酎)のクロマトパターンに加え、焼酎白麹菌(Aspergillus Iuchuensis mut.Kawachii)を使用した麦焼酎のクロマトパターンを併せて示した。
図1から明らかなように、焼酎白麹菌を使用した球磨焼酎、焼酎黄麹菌を使用した球磨焼酎及び麦焼酎からは選択性の強いカリウム保持性利尿効果は認められず、本実施例の焼酎白麹菌を使用した芋焼酎(常圧蒸留)蒸留残渣脂溶性画分の280nmにて特異的なクロマトピークA,B,C,Dを特徴として持つものにしか本活性は認められない。
また、芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分のこれら特異的なクロマトピークの紫外吸収スペクトラムを図2に示した。
すなわち、本実施例では芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分A(リテンションタイム3.24min)、B(リテンションタイム9.03min)、C(リテンションタイム26.14min)、D(リテンションタイム27.80min)を特徴とする。
(腎臓機能に及ぼす影響についての実験)
次に、芋焼酎蒸留残液の腎臓機能に及ぼす影響をラットを用いて評価するために以下の実験を行った。
芋焼酎蒸留残液及び球磨焼酎蒸留残液、麦焼酎蒸留残液について、酢酸エチルにより抽出乾固し得られた脂溶性蒸留残渣を界面活性剤ツィン80の2%液に溶解し、ラットに各々経口投与した。
4週齢Wistar系雌ラット(MDS Pharma Services)を1群6匹として、対照には水をポジティブコントロールとしてサイアザイド系利尿剤のヒドロフルメチアジド(シグマ製)、ネガティブコントロールとしてピナシジル(リリー製)を用いた。
ヒドロフルメチアジドはラット10mg/kgをピナシジルは1mg/kg二脂溶性蒸留残渣を100mg/kg投与した。6時間後の尿量を測定するとともに尿中のナトリウムイオン、カリウムイオンを測定した結果を表1に示した。
Figure 0005496466
これらの結果が示すように、芋焼酎蒸留残渣が対照の水と比較して1.72倍増加し、ナトリウムイオン排泄量との対水比では2.20倍もの差が確認された。
一方でカリウムイオン排泄量は、対水比で1.29倍にとどまりナトリウムイオンを選択的に排泄する傾向が認められた。
麦焼酎、米焼酎に関しては尿量の増減においては1.1倍、1.4倍にとどまり、ナトリウムイオンの選択排泄比は麦焼酎で93%、米焼酎で120%、カリウムイオンに関しては麦焼酎で105%、米焼酎で136%であった。
このように、芋焼酎蒸留残渣にのみ天然物としては高い利尿作用と極めて強いナトリウムイオン排泄選択性が認められた。これは利尿薬としてメリットが大きく、遠位尿細管及び集合管に関与する機能と考えられる。
次に、利尿薬と腎臓の関係について詳述する。
腎臓は後腹膜臓器で左右一対からなり、腎臓へは腎動脈とそれに伴行する神経が入り、腎静脈と尿管が出る要素となる。
腎動脈に流入する血液は、葉間動腺、弓状動脈、小葉間動脈と順次分岐し、更に輸入細動脈となって原尿濾過装置である糸球体内に入る。
一部濾過された残りの血液は輸出細動脈となり、糸球体を出た後尿細管周囲を灌流する直血管となって弓状静脈に戻り、葉間静脈を経由して腎静脈へと送られ腎外に去る。
腎臓での尿産生採取王機能(要素)は、ネフロンと呼ばれ、人の腎1個当たり約100万のネフロンから構成される。
このネフロンは図3に示すように、糸球体から始まって、近位尿細管(これを起始部のS1、中間部のS2、終末部のS3に分ける)、ヘレンの係蹄細い部分、同太い部分、自己の糸球体と結合する密集斑に戻り、以後遠位尿細管、集合(尿細)管と連なる。
糸球体での濾過は、血夜中の血球や高分子の蛋白などを通さない特殊な沈過をつくるので、これを限外濾過と称する。
この糸球体濾過は、上述の尿細管でさまざまな異なる修飾(再吸収や分泌)を受けて終末尿となり、腎孟を通って尿管から膀胱へと運ばれる。
成人(体重70kg)の腎臓には、1分当たり1200ml、1日当たり1700l以上も血液が供給される(腎血流量)。これは心拍出量の20〜30%に相当し、血球成分(ヘマトクリット値)を45%とすると、これを引いた腎血漿流量(RPF:renal plasma flow)は660ml/分となる。
腎血漿流量(RPF)の約18〜20%が限外濾過を受け、糸球体濾過量(GFR:glomerular filtration rate)は約125ml/分となる。すなわち、毎分125ml/分の原尿ができる。
糸球体で濾過される大量の溶液(限外濾過)の60〜70%は、近位尿細管で再吸収される。ここでの溶液の再吸収の特徴は、等張牲再吸収である。すなわち、NaClの輸送に見合った分の水も吸収される結果等張となる。また、糸球体濾過量(GFR)や血漿Na濃度が変動しても常にGFR濃度が60〜70%という一定の比率を再吸収する性質を有している。
図3に示すように、ヘレンの係蹄は、近位尿細管に続く部分で、密集斑に至る間をいい、下行脚と上行脚に分かれ、下行脚はすべて形態的に細かく、上行脚は細い部分と太い部分に二分される。
細いヘレンの係蹄下行脚は、水の透過性が全ネフロン中で最も高く、この部位でのNaやClの透過牲(輸送)はほとんどない。同じ細いヘレンの係蹄でも上行脚になると水の透過牲はない。
太い上行脚では、水の透過性がほとんどない上に、溶質の輸送、特にNaとClの再吸収が盛んであるため、尿は次第に希釈されることから、希釈尿細管ともいう。
この部位での溶質輸送機序は、管膣側膜にNa、Kと2Clの共輸送担体(BSC:bumetetanide−sensitv channel)があり、基底側壁に存在するNa、K−ATPaseによりNaを細胞外に能動的に輸送する。
細胞内に入ったKは、管膣側壁のKチャンネルを通って再び管膣に出る(Kリサイクリング)ので、見かけ上は1Naと2Clが再吸収される。Clは電位〈組胞外正〉に従って受動的に動く。
ヘレンの太い係蹄で再吸収されるNaClは糸球体濾過量の15〜20%で、尿の浸透圧は100m0sm/l前後に希釈される。
薬理学的には最も強力な利尿薬であるフロセミドやエタクリン酸、ブメタニドなどはこの部位で管膣側から作用する。
遠位尿細管の部位においては、糸球体濾過量の5〜8%が再吸収される。最も特徴的な輸送Kの分泌をする点である。
遠位尿細管でのKの輸送は、体内のKが不足する場合は再吸収するが、過剰な場合は分泌をし、両方向性の輸送がみられるという特異性がある。
遠位尿細管には、アルドステロンの受容体ともいえる結合蛋白か細胞質に存在し、このホルモンによりNaの再吸収が促進される。
集合(尿細)管では、Na、Clの再吸収、K、Hの分泌機能がある。アルドステロンによりこの部位でのNa再吸収は刺激され、近位尿細管にも相当する量の再吸収が認められる。
集合管にとって重要なもう一つのホルモンは、下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン(別名バソプレシン:AVP:arginine vasopresin,その腎作用から抗利尿ホルモンADH:antidiuretic hormonとも呼ぶ)である。
この抗利尿ホルモンにより、水の透過牲が亢進して尿細管から細胞内、更に流血中へと水が選択的に取り込まれ、したがって管膣内尿は濃縮される。逆に、抗利尿ホルモンがない場合は溶質のみが吸収され続けて尿は希釈される。
本実施例の酢酸エチル抽出乾固物は、遠位尿細管後半部と集合管に作用する薬物活性を示した。すなわち、ナトリウムの大量の排泄に伴う尿量の増加が認められカリウム保持性利尿薬としての可能性を示唆するものである。
現在臨床で使用されている利尿薬の多くは、Naの他にKの排泄の促進により、生体内のKの喪失を招く。したがって、この系の利尿薬はこのK喪失を抑制するための薬物であるので、単独で使用されることはまれである。
代表例は、アミロリド、トリアムテレンで、両者共作用機序は同一と考えられる。すなわち、作用部位は図4に示すように、遠位細管と皮質集合尿細管で、ここの管膣側膜からのNaの細胞内流入を抑制するものである。
このNaの受動輸送経路は、アミロリドチャンネルとも呼ばれ、Naの細胞内輪送が阻止されるとNaの排泄は促進されると同時に、この部位での管膣内負の電位差発生が抑制されるためにKやHの管膣内への分泌が低下し、結果的にはKの尿中排泄量が低下する。
したがって、体内のKは喪失を免れて、生体内Kは保持される。本実施例の組成物である酢酸エチル抽出乾固物は、これに類似の活性、作用機作を示すものである。
現在臨床で使用されている利尿薬の多くはナトリウムイオンの他にカリウムイオンの排泄の促進により、生体内のカリウムイオンの喪失を招く。それによって、血清中のカリウム濃度が正常値を下回り、筋力低下や多尿などの症状がみられる。
上述した本実施例の組成物を使用する利尿薬は、このカリウムイオン喪失を抑制するための活性を発現するという点で特異的である。
また、上述した本実施例の組成物は、アミロリドやトリアムテレンなどの市販薬と比べて原料が天然物であり、古来からの醸造工程を経て得られるので極めて安全性が高く、顆粒状、粒状、カプセル状或いは濃縮液状のいずれかの種態として形成したカリウム保持性利尿薬などの医薬品として、また顆粒状、粒状、カプセル状或いは濃縮液状のいずれかの種態として形成した健康食品としても好適である。
(テストステロン阻害活性)
本実施例の酢酸エチル抽出乾固物について生理活性評価を実施した。本来ならばモノピークとしてとらえられた物質の分子量(MW)を測定して活性評価をする場合が多いが、本抽出物中のどこに活性があるか不明なため各ピークの混合物として評価を実施した。
よって分子量はこのような天然物の例で良く使われるMu=300として換算し、薬剤濃度としては50μmで調整しLead Profiling Screenを実施した。
評価系は65項目で50%を超える有意な活性は認められなかった。しかし、テストステロン(Testosterone)の阻害活性が41%認められた。
テストステロンは、男性ホルモンで睾丸のライディッヒ(Leydig)細胞において産生されるが、副腎皮質網状層においても少量産生される。
睾丸における合成は下垂体前葉から分泌される黄体化ホルモン(LH)により刺激される。血中では約98%が性ホルモン結合グロブリン及びアルブミンと結合している。血中濃度は、成人男子0.25〜1.1μg/dl、女子0.01〜1.06μg/dlである。
生理薬理作用としては、
(1)性機能作用
a.胎児期における男性への分化を促進する
b.思春期における男性副性器の成熟刺激による第二次性徴を発現し促進する
c.性欲を亢進する
d.睾丸における精子形成を促進する
(2)性腺刺激ホルモンの分泌を負のフィードバッグ機構により抑制する
(3)タンパク同化作用
タンパクの合成催進作用をもち、窒素平衡を正の方向へ傾ける。節肉等の発達を侭進する
(4)造血促進作用
腎臓におけるエリスロポエチン(erythropoietin)の産生促進を介して骨髄における赤血球の生成を刺激する
本試料での活性は阻害活性であるので抗アンドロゲン薬(cyproterone acetate)となる可能性がある。
テストステロンレセプター拮抗薬は、思春期早発症に用いられる。副作用には、女性ホルモン作用及び性腺刺激ホルモン分泌抑制作用による女性化乳房、生殖機能抑制や体重増加、抑うつ、頭痛及び消化器症状がある。
本発明の組成物は、カリウム保持性利尿薬、抗アンドロゲン薬、更には利尿活性を目的とする顆粒状、粒状、カプセル状或いは濃縮液状のいずれかの種態として形成した健康食品などとして広範に利用可能である。
本発明の実施例に係る脂溶性芋焼酎蒸留残渣を分画して得られる2次元クロマトパターンを示す図である。 本発明の実施例に係る芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分の特異的なクロマトピークの紫外吸収スペクトラムを示す図である。 本実施例における尿細管での電解質輸送系と各種利尿薬の作用部位を示す説明図である。 本実施例におけるカリウム保持性利尿薬の作用機序を示す説明図である。 腎臓の構造を示す概略説明図である。 腎臓での水の再度の吸収を示す概略説明図である。 腎臓での各利尿薬別のナトリウムの再吸収に関する概略説明図である。

Claims (5)

  1. 芋を原料とする焼酎製造において副生する芋焼酎蒸留残液を酢酸エチルで抽出後に、脂溶性の酢酸エチル層を回収し、蒸発乾固して得た乾固物から、クロマトグラフィーにより分取した芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分である、ナトリウムイオンを選択的に利尿する活性を有する天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物であって、
    前記画分は、280nmにて、クロマトピークA(リテンションタイム3.24min)、B(リテンションタイム9.03min)、C(リテンションタイム26.14min)、D(リテンションタイム27.80min)の特徴を持つものである、天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物。
  2. テストステロン阻害活性を備えることを特徴とする請求項1記載の天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物。
  3. 医薬品として使用する請求項1又は2に記載の天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物。
  4. 食品として使用する請求項1又は2に記載の天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物。
  5. 芋焼酎製造に用いられる常圧蒸留残液に酢酸エチルを加え、往復振とう抽出を室温にて行い、脂溶性の酢酸エチル層を回収し、室温で蒸発乾固して脂溶性芋焼酎蒸留残渣である乾固物を得て、クロマトグラフィーにより280nmにて、クロマトピークA(リテンションタイム3.24min)、B(リテンションタイム9.03min)、C(リテンションタイム26.14min)、D(リテンションタイム27.80min)の特徴を持つ芋焼酎蒸留残渣脂溶性画分を分取することを特徴とする、請求項1記載の天然のカリウム保持性利尿活性用の組成物の製造方法。
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