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JP5496982B2 - ギヤカップリングおよびその製造方法 - Google Patents
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本発明は、2つの回転軸の軸方向および半径方向の相対変位を許容して、回転軸同士の滑らかな動力伝達を行うギヤカップリングおよびその製造方法に関する。
ギヤカップリングは、2つの回転軸にそれぞれ連結されるハブに設けられた外歯車と、スリーブに設けられた内歯車との噛み合いによって、回転軸の軸方向および半径方向の相対変位を許容して、正しく動力を伝達することを可能にしている。このとき、外歯車と内歯車は、それぞれ相対変位によって生じる傾斜角をもって噛み合い、相対変位が変化すると傾斜角も変化する。
このように外歯車と内歯車が種々の傾斜角の下で噛み合うためには、両歯車あるいはどちらか片方の歯車の歯面に円弧状の膨らみを与える必要がある。この歯面に膨らみを与えることをクラウニングといい、一般には図19に示すように外歯車に対して与える。クラウニングは、非特許文献1に記載のようにギヤカップリングの性能を左右する最も重要な設計因子であり、許容する傾斜角や伝達動力を考慮して決定する必要がある。従来、用いる歯車をインボリュート歯車とすることを前提に、いくつかのクラウニング法が提案されている。
例えば、特許文献1には、2つの回転軸に連結される外歯車のピッチ円近傍の歯面を、歯幅中央においては歯丈方向、最大許容傾斜角においては歯幅端近くで接触する歯面とし、指数関数曲線に沿って外歯車にクラウニングを与えることが記載されている。また、特許文献2には、複数の円弧からなる外歯車のピッチ円上の歯すじ曲線を構成する歯幅中央の円弧R1と、この歯幅中央の円弧R1に連続する円弧R2との変曲点を歯幅中央寄りにして、円弧R1が歯幅に対して占める割合を減少させた外歯車とするクラウニングが記載されている。
しかしながら、ギヤカップリングにおける歯面のクラウニングは、その付加量が極めて大きいこともあって、その加工はホブ盤等による創成加工で行う場合がほとんどである。このため、非特許文献2にも記載のように、加工したクラウニング歯面が歯車の歯幅中央に関して非対称となり、ギヤカップリングにおける振動騒音の原因となるという問題を抱えている。
特開平10−231849号公報 特開2001−132765号公報
中島克洋,歯車形軸継手の歯面接触状態と負荷分布,日本機械学会論文集(C編),社団法人日本機械学会,昭和63年6月,第54巻,第502号,ページp.1302−1307 箱崎義英、島地重幸,ギヤカップリング・ピニオンのホブ切り偏差,日本機械学会論文集(C編),社団法人日本機械学会,2003年5月,第69巻,第681号,ページp.1381−1387
そこで、本発明においては、大きな相対変位を許容しつつ、大きな伝達動力と小さな振動騒音を実現する安価なギヤカップリングおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のギヤカップリングは、2つの外歯車と、2つの外歯車に噛み合う内歯車とから構成されるギヤカップリングにおいて、外歯車および内歯車の基準断面歯形が、外歯車および内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形であることを特徴とする。従来ギヤカップリングに用いる外歯車および内歯車の基準断面歯形は、外歯車および内歯車の歯数と同じ歯数のインボリュート歯形とするのが常識であり、通常の歯車の場合、異なる歯数のインボリュート歯形を採用することは理論的にあり得ない。本発明のギヤカップリングでは、外歯車および内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形を採用する。
これにより、従来設定した相対変位(傾斜角)でしか良くならなかった歯当たりが、本発明のギヤカップリングではあらゆる傾斜角において実現することが可能となる。なお、外歯車および内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形とは、誤差以上の形状の相違が得られる歯数のインボリュート歯車の歯形をいう。
ここで、外歯車および内歯車の歯数を無限大とした場合には、外歯車および内歯車の基準断面歯形は台形となる。従来ギヤカップリングに用いる歯車の歯形は、インボリュート歯形とするのが常識とされているが、本発明のギヤカップリングでは、通常の歯車では決して噛み合うことのない台形歯形を採用している。
従来、ギヤカップリングの外歯車は、ホブ盤による創成加工によってクラウニングが与えられてきた。しかし、この場合の外歯車は、歯面が歯幅中央に関して非対称となり、振動発生の原因となっている。そこで、本発明では、基準断面歯形を外歯車および内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形とする外歯車および内歯車の歯面を、成形加工法により形成することにより、歯幅中央に関して対称なクラウニング歯面を形成する。
また、本発明のギヤカップリングでは、外歯車には成形加工法によりクラウニング歯面を形成するので、従来のホブ盤による創成加工と異なり、歯車材に対する工具の切り込みが歯幅中央に関して対称となり、歯幅中央に関して対称なクラウニング歯面が形成される。
(1)外歯車および内歯車の基準断面歯形が、外歯車および内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形であることにより、相対変位の大小に拘わらず、理想的な歯当たりを実現することが可能となり、大きな相対変位を許容しつつ、大きな伝達動力と小さな振動騒音を実現することができる。
(2)特に、外歯車および内歯車の基準断面歯形を、歯数が無限大の場合の歯形である台形とすることにより、歯車の加工に用いる工具形状も台形となる。このため、工具の製作が容易となり、加工精度および加工能率の向上に繋がる。特に、ギヤカップリングの伝達動力を増加させる目的で、外歯車および内歯車に焼き入れ処理を施す場合は、歯車を研削によって仕上げる必要があるが、本発明のギヤカップリングでは、基準断面歯形を台形としているため、砥石の形状も台形となる。このため、砥石の整形が容易となり、歯車の加工精度および加工能率が向上し、ギヤカップリングの性能向上およびコスト低減に繋がる。
(3)基準断面歯形を外歯車および内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車とし、成形加工法で加工した外歯車のクラウニング歯面は、基準断面歯形をインボリュート歯形とした場合と比較して、歯幅端断面における歯形圧力角の変化が小さく、歯の接触を歯丈方向に広げる効果がある。このため、異常摩耗や焼き付きが生じにくく、面圧強度やスコーリング強度(耐焼き付き性能)が向上し、伝達動力が増加する。また、成形加工法によって加工したクラウニング歯面は、創成運動を与えていないため、歯車の歯元に切り下げ(アンダーカット)が発生せず、歯の曲げ強度が増加し、伝達動力の増大に繋がる。
(4)本発明のギヤカップリングでは、外歯車に歯幅中央に関して対称なクラウニング歯面が形成されているので、ギヤカップリングの外周上における対角位置の2箇所で均等な接触が生じるようになり、振動騒音の低減に繋がる。
本発明の実施の形態におけるギヤカップリングの断面図である。 図1のギヤカップリングの回転軸の変位状態を示す断面図である。 図1のギヤカップリングの外歯車および内歯車の基準断面歯形を示す図である。 基準断面歯形が台形であるギヤカップリングの外歯車および内歯車の基準断面歯形を示す図である。 本実施形態における対称なクラウニング歯面を持つ外歯車と内歯車との噛み合い状態を示す説明図である。 従来の非対称なクラウニング歯面を持つ外歯車と内歯車との噛み合い状態を示す説明図である。 (a)はハブとスリーブの傾斜角δと回転角θを示す斜視図、(b)は最小隙間の位置を示す説明図である。 従来の非対称なクラウニング歯面(モジュール3.5,N0=40)をもつ外歯車と内歯車において、回転角による最小隙間の変化を示す図である。 実施例による対称なクラウニング歯面(モジュール3.5,N0=40)を有する外歯車と内歯車において、回転角による最小隙間の変化を示す図である。 実施例によるモジュール3.5,N0=40,N=200,傾斜角δ=1°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 実施例によるモジュール3.5,N0=40,N=200,傾斜角δ=5°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 実施例によるモジュール3.5,N0=40,N=200,傾斜角δ=8°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 モジュール3.5,N0=40において基準断面歯形を歯数N=130のインボリュート形状とした実施例による傾斜角δ=8°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 モジュール3.5,N0=40において基準断面歯形を歯数N=500のインボリュート形状とした実施例による傾斜角δ=8°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 モジュール1.5,N0=40において基準断面歯形を歯数N=700のインボリュート形状とした実施例による傾斜角δ=5°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 モジュール2.5,N0=40において基準断面歯形を歯数N=400のインボリュート形状とした実施例による傾斜角δ=5°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 モジュール4.5,N0=40において基準断面歯形を歯数N=150のインボリュート形状とした実施例による傾斜角δ=5°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。 実施例と従来例のギヤカップリング(モジュール3.5,N0=40)におけるそれぞれの傾斜角θによる噛み合い歯数を示す図である。 ギヤカップリングにおける内歯車とクラウニングを与えた外歯車の歯同士の接触状態を示す断面図である。
図1は本発明の実施の形態におけるギヤカップリングの断面図、図2は図1のギヤカップリングの回転軸の変位状態を示す断面図、図3は図1のギヤカップリングの外歯車および内歯車の基準断面歯形形状を示す図である。
図1において、本発明の実施の形態におけるギヤカップリング1は、回転軸1a,1bにそれぞれ連結されるハブ2a,2bと、ハブ2a,2bがそれぞれ収容されるスリーブ3a,3bとを備える。ハブ2a,2bには、それぞれ一様なR曲面のクラウニングが施された外歯車4a,4bが形成されている。一方、スリーブ3a,3bには、それぞれハブ2a,2bの外歯車4a,4bに噛み合う内歯車5a,5bが形成されている。
なお、本実施形態におけるギヤカップリング1は、鉄道車両の原動機(電動機)の回転軸(原動軸)と、台車の車軸に組み込まれた歯車装置の回転軸(駆動軸)とを揺動自在に接続するものであり、図2に示すように回転軸1a,1bの軸方向および半径方向の相対変位を許容して、回転軸1a,1b同士の動力伝達を行うものである。ギヤカップリング1の回転軸1a,1bのいずれか一方は、原動機の回転軸に連結され、他の一方は、台車の車軸に組み込まれた歯車装置に連結される。
ここで、ハブ2a,2bの外歯車4a,4bおよびスリーブ3a,3bの内歯車5a,5bの基準断面歯形は、外歯車4a,4bおよび内歯車5a,5bの歯数(以下、「製品諸元歯数N0」と称す。)よりも多い歯数(以下、「歯形歯数N」と称す。)のインボリュート歯車の歯形(図3参照。)を採用する。なお、歯形歯数Nは、誤差以上の形状が得られる歯数、例えば、製品諸元歯数N0よりも25%以上多い歯数、すなわち、外歯車4a,4bおよび内歯車5a,5bの製品諸元歯数N0が40の場合、この歯数よりも25%以上多い歯数N=50以上のインボリュート歯車の歯形を採用する。
図3に示すように、ハブ2a,2bの外歯車4a,4bおよびスリーブ3a,3bの内歯車5a,5bの基準断面歯形は、それぞれ製品諸元歯数よりも多い歯数のインボリュート形状に形成されている。各歯はそれぞれの歯厚の中心線Cに対して左右対称となっている。なお、内歯車5a,5bおよび外歯車4a,4bの歯形の形成は、成形加工法による。また、ハブ2a,2bの外歯車4a,4bの歯先と歯元角部における片当たりを避けるため、外歯車4a,4bに適切な歯形修整を与える場合もある。
このような本実施形態におけるギヤカップリング1では、歯幅中央に対して対称なクラウニング歯面をもつ外歯車4a,4bと内歯車5a,5bは、図5に示すように傾斜角によって外周上の2箇所P,Qで幾何学的な接触を行う。このギヤカップリング1は、基準断面歯形が製品諸元歯数よりも多い歯数のインボリュート形状であるため、クラウニングによる歯幅端歯形の圧力角の変化が小さく、歯丈方向の歯当たりが確保され易いことから、異常摩耗や焼き付きが生じにくく、面圧強度やスコーリング強度(耐焼き付き性能)が向上し、伝達動力が増加する。
一方、従来のギヤカップリングのように外歯車の歯面が非対称の場合は、図6に示すように外周上の1箇所(接触点S1)でしか接触しない。また、この場合、伝達トルクが作用すると、外歯車と内歯車の間に芯ずれが発生し、外歯車の歯先と内歯車の歯底とが接触し(図6の接触点S2)、結果として、両歯車は約90度離れた外周上の2箇所(接触点S1,S2)で接触する。このような接触は、伝達トルクが一定のとき、支点間距離を減少させ、結果として、歯面が対称の場合に比べて接触荷重が大きくなり、回転するギヤカップリングの面圧強度およびスコーリング強度の低下と振動騒音増加の原因となる。
このように、ギヤカップリングの振動騒音を減少させるためには、本実施形態におけるギヤカップリング1のような対称のクラウニングが不可欠である。特に、本実施形態におけるギヤカップリング1では、外歯車および内歯車の歯形が製品諸元歯数よりも多い歯数の対称なインボリュート形状であることで、回転時の芯ずれの発生が防止され、芯ずれ発生による振動を排除することができるので、低騒音のギヤカップリングを実現できる。
なお、歯形歯数についてはN=∞を採用することも可能である。この場合、外歯車および内歯車の基準断面歯形は台形となり、図4に示すように、ハブ12a,12bの外歯車14a,14bおよびスリーブ13a,13bの内歯車15a,15bの基準断面歯形は、それぞれ台形に形成される。各歯はそれぞれの歯厚の中心線Cに対して左右対称となっている。なお、内歯車15a,15bおよび外歯車14a,14bの歯形の形成は、成形加工法による。また、ハブ12a,12bの外歯車14a,14bの歯先と歯元角部における片当たりを避けるため、外歯車14a,14bに適切な歯形修整を与える場合もある。
このような基準断面歯形が台形であるギヤカップリング11においても、歯幅中央に対して対称なクラウニング歯面をもつ外歯車14a,14bと内歯車15a,15bは、図5に示したように傾斜角によって外周上の2箇所P,Qで幾何学的な接触を行う。このギヤカップリング11においても、クラウニングによる歯幅端歯形の圧力角の変化が小さく、歯丈方向の歯当たりが確保され易いことから、異常摩耗や焼き付きが生じにくく、面圧強度やスコーリング強度(耐焼き付き性能)が向上し、伝達動力が増加する。
また、このギヤカップリング11は、歯形が直線的な形状である台形であり、加工性が良いため、低コストで製造することが可能である。さらに、歯形が直線的な形状であるため、測定精度が向上する。また、このギヤカップリング11においても回転時の芯ずれの発生が防止されており、芯ずれ発生による振動を排除することができるので、低騒音のギヤカップリングを実現可能である。
本実施例では、コンピュータ上に座標点で表した工具を三次元的に作成し、工具に実際の成形加工と同じ動きを与えて、被加工物(上記実施形態におけるギヤカップリング1)の歯面形状を計算し、計算した歯面形状に基づきギヤカップリングの噛み合い状態のシミュレーションを行った。シミュレーションにおいては、理論値による歯面形状ではなく、実際に加工される歯面形状を用いているため、実際のギヤカップリングにおける噛み合い状態を正確に解明することを可能としている。
ギヤカップリングの噛み合い状態について説明する。ギヤカップリングの入力軸と出力軸の関係は、最終的には図7(a)に示すような一組のハブとスリーブの傾斜角δとして表される。このとき、無負荷であれば、噛み合う歯数は同図(b)に示すように傾斜角δが最大となる回転角θ=90°と270°付近の2枚だけとなるが、実際には歯のたわみや加工誤差など様々な要因によって、噛み合い歯数は増減することとなる。本実施例においては、歯面に掛かる荷重による撓み量を10μm程度として考えることとし、最小隙間が10μm以下の歯を噛み合い歯数とした。
図8は、従来のホブ盤で歯切りした外歯車と内歯車の噛み合いシミュレーションを行った結果のδ=5°の場合の傾斜角による最小歯面隙間の変化を示している。θ=90°と270°付近で最小隙間が極小値をとるが、歯面が歯幅中央に関して非対称であるため、2箇所の極小値間に約50μmの差eが生じ、芯ずれが発生する可能性がある。この芯ずれは、外歯車の歯先と内歯車の歯底の接触を誘発し(図6の接触点S2)、結果として、両歯車は約90度離れた外周上の2箇所で接触する。このような接触は、伝達トルクが一定のとき、支点間距離を減少させ、結果として、歯面が対称の場合に比べて接触荷重が大きくなり、回転するギヤカップリングの面圧強度およびスコーリング強度の低下と振動騒音増加の原因となる。
図9は、基準断面歯形を製品諸元歯数N0よりも多い歯数の対称なインボリュート形状とし、外歯車に成形加工法により対称なクラウニング歯面を与えた本実施例のギヤカップリングにおける回転角と最小隙間の変化を示している。図9に示すように、本実施例のギヤカップリングでは、2箇所の極小値は同じ値となり、ギヤカップリングの外周上の対角の位置で良好な接触が行われる。基準断面歯形が台形の場合も同じである。
本実施例におけるギヤカップリングの噛み合い状態をシミュレーションした結果を図10〜図12に示す。図10〜図12はハブとスリーブの歯面間隙間を等高線表示した図であって、図10は傾斜角δ=1°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図、図11は傾斜角δ=5°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図、図12は傾斜角δ=8°(最接近位置)の歯面間隙間を示す図である。なお、図10〜図12においてΔhは等高線ピッチを示している。
本実施例のギヤカップリングの製品諸元歯数N0は40枚、モジュールは3.5であり、基準断面歯形を歯数N=200のインボリュート形状としたものである。また、歯幅は24mm、歯丈2.25×m(m:モジュール)である。なお、図10〜図12において左右方向はハブの歯幅方向を示し、上下方向はハブの歯丈方向であって、下側がハブの歯元側、上側がハブの歯先側を示している。
図10〜図12から分かるように、傾斜角がδ=1〜8°と変化しても、歯丈方向における歯の噛み合い位置は変化していない。すなわち、基準断面歯形を製品諸元歯数N0よりも多い歯数のインボリュート形状とすることによって、傾斜角に関係なく歯元から歯先に至るまで、常に良好な歯当たりが得られている。
次に、本実施例のギヤカップリングの歯形形状歯数の選定例について説明する。図13から図17はそれぞれギヤカップリングの噛み合い状態をシミュレーションした結果を示している。図13はモジュール3.5,N0=40において基準断面歯形を歯数N=130のインボリュート形状としたもの、図14はモジュール3.5,N0=40において基準断面歯形を歯数N=500のインボリュート形状としたものである。図13および図14に示す例では、歯丈方向における歯の噛み合い位置は変化している。また、歯数Nが増加することによって、接触位置がハブの歯元からハブの歯先に変化する。よって、最適な歯数Nは、中央位置にて噛み合いを行える歯数をシミュレーションによって導出する。
また、図15はモジュール1.5において基準断面歯形を歯数N=700のインボリュート形状としたもの、図16はモジュール2.5において基準断面歯形を歯数N=400のインボリュート形状としたもの、図17はモジュール4.5において基準断面歯形を歯数N=150としたものである。図15〜図17では最適な歯当たりが得られていることが分かる。歯幅、クラウニング量や傾斜角などの設計条件によって最適な歯当たりが得られる歯数は変化するので、これらの設計条件による最適歯数はシミュレーションによって導出する。
図18は実施例と従来例のギヤカップリングにおけるそれぞれの傾斜角δによる噛み合い歯数を示した図である。図18に示すように、実施例のギヤカップリングにおける噛み合い歯数(歯面間隙間が10μm以下となる歯数)は、従来形状と比較して2割程度の増加が認められ、噛み合い歯数が増加することによって、軽量コンパクト化が可能となることが分かった。
以上のことから、本実施例のギヤカップリングのように、外歯車および内歯車の基準断面歯形として、外歯車および内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形を採用することによって、従来のものより動力伝達能力の向上が見込めることが確認できた。このギヤカップリングでは、傾斜角の変化にかかわらず、噛み合いの接触点の歯形方向の移動量が少なく、片当たりしにくくなるとともに、すべりが少なくなる。その結果、異常摩耗や焼き付きが生じにくく、面圧強度やスコーリング強度(耐焼き付き性能)が向上し、伝達動力が増加する。さらには振動騒音の低下にも繋がる。
本発明は、高トルクの動力をコンパクトに伝える用途の中でも特に、大きな傾斜角度を必要とする分野、例えば、鉄道車両の原動機と台車の車軸に組み込まれた歯車装置等の回転軸同士の動力伝達用のギヤカップリングおよびその製造方法として有用である。
1,11 ギヤカップリング
2a,2b,12a,12b ハブ
3a,3b,13a,13b スリーブ
4a,4b,14a,14b 外歯車
5a,5b,15a,15b 内歯車

Claims (3)

  1. 2つの外歯車と、前記2つの外歯車に噛み合う内歯車とから構成されるギヤカップリングにおいて、
    前記外歯車および前記内歯車の基準断面歯形が、前記外歯車および前記内歯車のモジュールと同じモジュールで前記外歯車および前記内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形であることを特徴とするギヤカップリング。
  2. 前記外歯車および前記内歯車の基準断面歯形が、前記外歯車および前記内歯車の歯数よりも25%以上多い歯数のインボリュート歯車の歯形である請求項1記載のギヤカップリング。
  3. 2つの外歯車と、前記2つの外歯車に噛み合う内歯車とから構成されるギヤカップリングの製造方法であって、
    基準断面歯形を前記外歯車および前記内歯車のモジュールと同じモジュールで前記外歯車および前記内歯車の歯数よりも多い歯数のインボリュート歯車の歯形とする前記外歯車および前記内歯車の歯面を、成形加工法により形成することを特徴とするギヤカップリングの製造方法。
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