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JP5500927B2 - 発光装置の製造方法 - Google Patents
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本発明はLED素子を用いた発光装置の製造方法に関し、特に気密封止構造により高信頼性を実現した発光装置の製造方法に関する。
近年、LED素子を用いた発光装置が普及するに至り、車載用、大型テレビ、ノートPC等への需要が急速に拡大している。これに伴ってLED素子を用いた発光装置に対する長寿命、高信頼性、省エネ等の要望が強くなっており、これを実現するための新しい技術開発が望まれている。
上記要望に対して色々な新しい技術開発が行われているが、例えば特許文献1には熱膨張に対する信頼性を高めるために、LED素子と熱膨張係数が近似している無機材質のサブマウント基板に実装したLED素子の周囲を蛍光粒子を混入した樹脂層で被覆し、その周囲に樹脂製のレンズを接着して封止した発光装置が記載されている。
以下図8により特許文献1に記載された発光装置について説明する。図8において発光装置100はLED110と、LED110をフリップチップ実装したサブマウント基板120と、LED110の周囲に形成された蛍光粒子を含有した樹脂層130と、このサブマウント基板120をさらに固定した支持体140と、この支持体140の上面でLED110及びサブマウント基板120を覆うレンズ150とを備える。そしてサブマウント基板120と支持体140とは共晶層を介して固定されており、またレンズ150は紫外線硬化型の接着層170により支持体140に固着されている。
また支持体140にはこれを貫通するスルーホール電極141が設けられており、支持体140の上面でスルーホール電極141にワイヤー160にてワイヤーボンディングされることにより、サブマウント基板120は支持体140の裏面に設けられた出力電極142と電気的に接続されている。また、レンズ150はLED110の光を外部に効率良く取り出すために、曲面を形成している。
上記構成において、発光装置100は例えばLED110として青色LEDを使用し、樹脂層130としてYAG蛍光体を混入した波長変換樹脂層を使用した場合には、擬似白色発光装置として使用することができる。
また、特許文献2には薄型パッケージを目的として、ガラス基板上に実装された有機EL素子に、平板ガラスにサンドブラスト法やエッチング法によって凹部加工を行ったガラス蓋を紫外線硬化型の接着剤で固着して封止した有機ELパネルが記載されている。
さらに特許文献3には、発光装置ではないが圧電振動子の気密封止方法として小型圧電振動子を実装したセラミック容器に、ガラス蓋を金属溶着する技術が記載されており、従来はメタライズ層を形成した容器と蓋とを加圧密着状態で全体を加熱して溶着封止していたものを、引用文献3においては容器と蓋とを間隙を保って保持し、容器と蓋とを上下別々のヒーターで加熱してそれぞれのメタライズ層を溶融させた状態で両者を密着させて、溶着封止を行うものである。
特開2007−243076号公報(図1参照) 特開2001−297878号公報(図2、図3参照) 特許第2613099号公報(第2図参照)
上記するように特許文献1に示す発光装置は、LED素子と熱膨張率が近似している無機材質のサブマウント基板にLED素子をフリップチップ実装し、その周囲に樹脂層を設けているため、放熱性や熱ひずみ等の温度特性に優れ、またレンズを用いて気密封止することによって長寿命、高信頼性を図っていることは事実だが、まだ十分とはいえないものである。
まず、気密封止を行うレンズが樹脂製であり、この樹脂レンズを紫外線硬化型の接着剤を用いて固着しているが、このように樹脂製のレンズや接着剤を用いた封止構造は気密性が弱く、長時間の間には気密性が損なわれてしまい、期待する長寿命、高信頼性を維持することは困難である。また、LED素子を実装したサブマウント基板を第2の基板である支持体に接着してからレンズによる封止を行っているので、構造が大きくなり、小型、薄型化の期待に添えないものである。
また、特許文献2に記載された有機ELパネルは、有機EL素子の表示を透視するための透明なガラス基板上に実装された有機EL素子に、平板ガラスにサンドブラスト法やエッチング法によって凹部加工を行ったガラス蓋を紫外線硬化型の接着剤で固着して封止しており、薄型パッケージ構成にはなっている。
上記特許文献2のような有機EL素子の場合は、有機EL素子が耐熱性が低いため接着温度の低い紫外線硬化型の接着剤で封止しているが、このように樹脂製の接着剤を用いた封止構造は気密性が弱く、より高い気密性が要求されるLED素子の封止の場合には、ガラス蓋と無機材質基板の固着に共晶接合等の金属間接合を行う必要がある。
さらに特許文献3のようなセラミック容器に、ガラス蓋を金属溶着する技術に関しては、従来よりセラミック容器側と、ガラス蓋側とから加熱を行いセラミック容器と、ガラス蓋とを加熱することで両者のメタライズ層を溶融させる方式が採用されていた。また引用文献3の2ページ右欄の32行目から34行目には「なお、実施例はプレートヒータを上・下側の双方に設けているが、一方のみに設けても良い」旨の記載があるが、上下のセラミック容器とガラス蓋とを間隔を開けて別々に加熱するという実施形態からみて、単なるなお書きに過ぎないことは明らかである。
しかし、このガラス蓋と無機材質基板のような熱膨張係数の異なる異種材料の固着に、共晶接合等の金属間接合を行う接合方法はまだ技術的に確立されておらず、色々な接合方法が検討されている状態である。すなわち、ガラス蓋とセラミックのような無機材質基板とをAuSn―Auによる共晶接合にて接合した場合、加熱して接合した後、冷却の段階で両者の熱膨張率の違いによって収縮差が生じ、接合体が反ってしまう結果となる。この反りによって引っ張り力の弱いガラス蓋に亀裂が生じたり、またガラス蓋の接合部が部分的に欠けてしまうことがあり、封止における信頼性が問題となることがわかった。
本発明の目的は、上記問題点を解決し、ガラス蓋と無機材質基板の固着を共晶接合等の金属間接合で行う発光装置の製造方法において、溶着封止後の冷却時における両者の熱膨張率の違いによって生じる接合体の反りを小さくし、ガラス蓋の亀裂や部分的な欠けを防止することによって、封止における信頼性を高めた発光装置の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明の製造方法は、セラミック基板上に発光素子を実装し、前記セラミック基板上の発光素子実装周囲に平板ガラスにサンドブラストやウエットエチングによって凹部を形成した断面コ字形状の透明蓋であるガラス蓋を被せて、金属溶着により接合する発光装置の製造方法において、前記セラミック基板とガラス蓋との金属溶着、前記セラミック基板とガラス蓋とを金属溶着するための溶着下地層として、前記セラミック基板にはAu層を、またガラス蓋にはAuSn層を形成し、前記セラミック基板側に加熱手段を設け、ガラス蓋側に冷却手段を設け、前記セラミック基板とガラス蓋とAuーAuSn共晶接合が進行している状態において、ガラス蓋における接合面の反対側の面が前記冷却手段によって冷却されていることにより、前記セラミック基板とガラス蓋とに温度差を設けて金属溶着を行うことを特徴とする。
前記無機材質基板とガラス蓋との接合は無機材質基板側にのみ加熱手段を設け、ガラス蓋側には冷却手段を設けても良い。
前記発光素子がLED素子であると良い。
熱伝導率の低い材質によって構成され、開口凹部形状で底面側より突き上げ機構を有する収納治具と、前記収納治具の開口凹部を覆う熱伝導率の高い材質によって構成された加熱蓋と、前記加熱蓋を加熱するための加熱手段により構成される加熱装置を使用し、前記収納治具の開口凹部内に発光素子を実装したセラミック基板とガラス蓋とをガラス蓋を下にして積層配置する工程と、前記収納治具の開口凹部内を加熱蓋で覆う工程と、前記突き上げ機構によりセラミック基板とガラス蓋とを加熱蓋に押し当てる工程と、前記加熱蓋を加熱手段により加熱する工程と、前記セラミック基板とガラス蓋とAuーAuSn共晶接合が進行している状態において、ガラス蓋における接合面の反対側の面を冷却手段によって冷却し、ガラス蓋の温度上昇を抑える工程とを有することを特徴とする。
以上のように本発明の製造方法は、ガラス蓋と無機材質基板の固着を共晶接合等の金属間接合で行う発光素子を用いた発光装置において、金属間接合を行う加熱を熱伝導率の高い無機材質基板側からのみ行い、ガラス蓋の加熱膨張を小さくすることによって冷却の段階での両者の熱膨張率の違いによる接合体の反りを小さくし、封止における信頼性を高めた発光装置の製造方法を提供できる。
本発明の第1実施形態における発光装置の断面図である。 図1に示す発光装置の製造工程を示す工程図である。 図1示す発光装置に用いられるガラス蓋の加工工程を示す工程図である。 図1示す発光装置に用いられるガラス蓋の加工工程を示す工程図である。 図1に示す発光装置の製造工程を示す工程図であり、各要素の断面を示している。 図1に示す発光装置を封止する封止装置の断面図である。 本発明における無機材質基板とガラス蓋との特性及び組み合わせを示す特性表である。 本発明の第2実施形態における封止装置の断面図である。 従来技術における発光装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態の発光装置の製造方法について図面により説明する。図1〜図6は本発明の第1実施形態における発光装置の製造方法を示すものであり、図1は発光装置の断面図、図2は図1に示す発光装置の製造工程を示す工程図、図3a、図3bは図1に示す発光装置に用いられるガラス蓋の加工工程を示す工程図、図4は図1に示す発光装置の加工工程を示す工程図、図5は図1に示す発光装置を封止する封止装置の断面図、図6は本発明における無機材質基板とガラス蓋との特性及び組み合わせを示す特性表である。
図1は発光装置10の断面図であり、無機材質基板2の上面側には配線パターン2a、裏面には出力電極2bが形成されており、上面側の配線パターン2aと裏面の出力電極2bとはスルーホール2cによって接続されている。そし無機材質基板2の配線パターン2aにはLED1がフリップチップ実装(以後FC実装と略記する)されており、このLED1の周囲は蛍光粒子を混入した樹脂層よりなる波長変換層3が被覆されている。さらに無機材質基板2の上面側におけるLED素子1の実装領域の周囲に形成された接着層4により、ガラス蓋5を溶着封止することにより発光装置10が完成する。
なお、本実施形態における無機材質基板2とガラス蓋5とを接合する接着層4は、無機材質基板2に形成した溶着下地層4a(Au)と、ガラス蓋5に形成した溶着下地層4b(AuSn)とを、300℃の加圧条件下においてAu―Snの共晶接合を行うことによって形成され、この共晶接合によって無機材質基板2とガラス蓋5とが溶着封止される。
次に図2により、発光装置10の製造工程を説明する。まず基板工程においては無機材質基板2としてはAIN(窒化アルミ)、Al2O3(酸化アルミ)、Si(シリコン)等の無機材質基板を使用し、この無機材質基板2にはLED素子1をFC実装するためのAuSn電極、ガラス蓋5を接着するための溶着下地層4aとしてAu層を形成しておく。また、LED素子工程としては、LED素子1にFC実装するためのAuバンプ1aを形成しておく。FC実装工程においては無機材質基板2の配線パターン2aとLED素子1のAuバンプ1aとを位置決めし、300℃の加圧条件下において、Au―Snの共晶接合によってFC実装をおこなう。波長変換層被覆工程においては、蛍光体成形工程において作成した、蛍光体粒子混入のシリコン樹脂成形による蛍光体キャップをLED素子1に被せるか、または蛍光体粒子混入のシリコン樹脂をディスペンサーやスキージーによりLED素子1に直接被覆を行うことによって波長変換層3を形成する。
ガラス蓋製造工程においては平板ガラスにTi、Pt、Auの下地処理を行った後、AuSnの溶着下地層4bを形成する溶着下地層形成工程、溶着下地層4bの上に加工用マスクを形成する加工用マスク形成工程、加工用マスクを用いて平板ガラスにサンドブラスト加工等によって凹部を形成するガラス蓋加工工程、加工用マスクを除去するマスク除去工程とを有する。
ガラス蓋接合工程においては無機材質基板2に形成した溶着下地層4a(Au)と、ガラス蓋5に形成した溶着下地層4b(AuSn)により、300℃の加圧条件下においてAu―Snの共晶接合によって無機材質基板2とガラス蓋5とを溶着する。なおこのガラス蓋接合工程を真空中、または不活性ガス中で行うことにより、封止されたケース内部を真空または不活性ガス雰囲気にして、LED素子1及び有機材質であるシリコン樹脂によって形成された波長変換層3の劣化を防止することができる。
上記ガラス蓋接合工程が終了後の特性測定工程において完成した発光装置10の電気的特性及び色度測定を行いその結果に従ってランク分けを行う。
上記発光装置の製造方法におけるガラス蓋接合工程において、従来のように無機材質基板2とガラス蓋5の両方に加熱手段を設けて溶融封止を行った場合の問題点を説明する。まず両材質に膨張係数が比較的近似しているものとして、無機材質基板2にAIN(窒化アルミ)を使用し、ガラス蓋5にホウケイ酸ガラスを使用して場合の両者の熱伝導率は無機材質基板2が170(W/m・k)であるのに対し、ガラス蓋5は0.816(W/m・k)と、無機材質基板2の方が200倍も高いことになる。
次に加熱方法の違いについて述べる。
今回の無機材質基板とガラス蓋を用いたLEDのAuSn共晶における接合方法として、まずAuSn層が形成されているガラス蓋側からの加熱による接合を試みた。しかし接合を繰り返す中で、ガラス蓋側からの加熱では良好な接合が出来ないことがわかり、続いて両側加熱を行い、最後に無機材質基板側からの加熱を行い、良好な接合に至たった。以下にそのメカニズムについて検討する。まず熱伝導率の良いものと悪いものの加熱について考えると、熱伝導率の良いもののある一部だけを加熱した場合、加熱された熱は加熱されていない部分にすぐに拡散し、一部だけを加熱しているにもかかわらず、全体の温度差があまり出ず、加熱されてゆく。逆に熱伝導率の悪いものの一部だけを加熱した場合、加熱された熱は加熱されていない部分へなかなか拡散せず、結果、加熱している部分とそれ以外の部分の温度差が大きくなる。
従ってガラス蓋側からの加熱では、ガラス接合面の反対側である表層のみ加熱され、その熱が、接合時間内では接合面まで届いていず、AuSn層を完全に溶かしきれないので、接合がうまく出来なかったと考えられる。又、加熱されている表層とその反対の接合面の温度差が大きくなり、それによる膨張差でガラス蓋が反り、接合面が面接触していない状態になることも、接合がうまくいかないことに拍車を掛けると思われる。続いて、両側加熱だが、両側加熱するとはいえ、ガラス蓋側を加熱するということは、上記反りの問題は同様に起こっていると考えられるので、接合には不向きだといえる。事実、両側加熱して接合すると反りが大きくなり、反った状態で荷重を掛けることにより、接合後、装置から出てきた品物のほとんどはガラスが割れていた。上記の如くガラス蓋と無機材質基板の接合を考える場合、ガラス蓋側からの加熱は接合に不向きであるとの考えから、熱伝導率の良い無機材質基板側から加熱し、良好な接合結果を得ることができた。すなわち、加熱による熱伝導をガラス蓋の接合面近傍迄に抑えることで、ガラス蓋側の反りを最小限にし、結果、接合後の反りも少なくでき、良好な接合状態を得ることが出来た。
次に図2に示すガラス蓋製造の工程図を参照し、図3a、図3bを用いてガラス蓋5の製造工程を説明する。図はガラス蓋製造の各工程における要素の断面を示し、図3aはガラス蓋加工工程、図3bはガラス蓋完成工程以下の各工程を示している。まず図3aにおける工程Aは図2の溶着下地層形成工程に対応し、平板ガラス50にAuSnの溶着下地層4bをパターン化して形成している。工程Bは図2の加工用マスク形成工程に対応しており、溶着下地層4bの上面にガラス蓋5の凹部5aに対応する開口部15aを有するマスク15をパターン化して形成している。次に工程Cは図2のガラス蓋加工工程に対応しており、マスク15を用い、サンド粒子25を高圧で噴射するサンドブラスト加工により凹部5aを形成する。なお、サンド粒子25の噴射によって形成される凹部5aの内部の形状は、コーナーには丸みが形成され、内面全体には凹凸による梨地模様が形成される。工程Dは図2のマスク除去工程に対応しており、凹部加工が終了したガラス蓋より点線で示す如くマスク15を除去し、溶着下地層4bを露出させる。
このときのマスクとしては樹脂レジストやメタルマスクが使用され、サンド粒径、噴射速度、噴射時間を調整することにより凹部5aの形状は任意に形成することができる。また工程Bの凹部加工は実施例に示したサンドブラスト加工方式に限定されず、その他の方法としてはスパッタエッチング方式、イオンエッチング方式、フッ素酸水溶液を用いた湿式エッチング方式等により行うことができる。
次に図3bの工程Xは図2のマスク除去工程以後のガラス蓋完成工程であり、工程Y、工程Zは必要に応じて用いる分離、単個化工程である。工程Xではガラス蓋5の凹部5aの周囲に溶着下地層4bとしてのAuSn層が形成されている。次に工程Yにおいて、ダイヤモンドブレードやレーザースクライバ等の切断手段39を用いて切断することにより、工程Zに示す如く個々のガラス蓋5に分離される。なお、次のガラス蓋接合工程には必要に応じて工程Xの集合体のガラス蓋で供給する場合や、工程Zの単個のガラス蓋で供給する場合がある。
次に発光装置10の製造方法を説明する。 図4は発光装置10の製造工程を示すもので、各要素の断面を示している。すなわち基板工程Aは図2の基板製造工程に対応しており、無機材質基板2に配線パターン2a、スルーホ−ル2c、出力電極2bと、ガラス蓋5に接合するための溶着下地層4aとしてAu層が形成されている。エレメント実装工程Bは図2のFC実装工程と波長変換層被覆工程に対応しており、無機材質基板2の配線パターン2aにLED1がAuバンプ1aによってFC実装され、LED1の周囲に波長変換層3として、シリコン樹脂成形によって作成した蛍光体キャップを被せて被覆することにより、発光部10aが構成される。
ガラス蓋接合工程Cは図2のガラス蓋接合工程に対応しており、無機材質基板2と図3bに示したガラス蓋5とを重ね合わせ、無機材質基板2の下側のみにヒーター基板38を設けて、加熱することにより金属溶着を行う。すなわち、図3bで作成されたガラス蓋5の接合面に形成されたAuSnの溶着下地層4bと、無機材質基板2に形成されたAuの溶着下地層4aとによるAu―Snの共晶接合を行うことにより、工程Dに示す如く接着層4が形成されて発光装置10の気密封止が行われる。
上記ガラス蓋接合工程において、無機材質基板2の下側のみにヒーター基板38を設けて、加熱した場合の各部の加熱状況を検討すると、ヒーター基板38に接していて熱伝導率高い無機材質基板2は急速に,かつ一様に共晶加熱温度である300℃に加熱される。この加熱によって無機材質基板2に形成した溶着下地層4a(Au)と、ガラス蓋5に形成した溶着下地層4b(AuSn)が共晶温度である280℃に加熱され、さらにガラス蓋5の溶着下地層4bの形成面近傍が280℃の共晶温度に加熱されにより、Au―Snの共晶接合によって無機材質基板2とガラス蓋5とを金属溶着する。しかしガラス蓋5の溶着下地層4bの形成面より離れた部分はガラス蓋の熱伝導率が低いため無機材質基板2側からの熱が伝わり難く温度上昇が少なくなる。
このように、ガラス蓋接合工程において無機材質基板2とガラス蓋5に温度差を設けて加熱することにより、ガラス蓋側の熱膨張が小さくなることで、熱収縮差が小さくなり、ガラス蓋の割れやクラックの発生を押さえることができるものと推察される。また割れやクラック発生を抑えるメカニズムは、ガラス側の熱膨張が小さくなることで反りが低減され、接合面が面接触し、ガラス側の接合代全面での接合が可能になったことが、理由としてあげられる。事実従来の両側加熱方式に比べて本発明の片側加熱方式はガラス蓋の割れやクラックが発生による問題を解決することができた。さらにこの割れやクラック発生現象はガラス蓋5が平板の場合より平板に凹部加工を行った場合の方が割れやクラックの発生が起きやすいことがわかった。これは、ガラス蓋に厚みの差があることによって収縮変形が大きいことが原因と考えられるので、このような凹部加工を行ったガラス蓋を用いる場合にはさらに本発明の効果は大きい。
上記ガラス蓋接合工程における溶着下地層の形成について説明する。無機材質基板2とガラス蓋5を金属溶着するために形成される溶着下地層としては、溶着下地層4aのAu層と、溶着下地層4bのAuSn層とは無機材質基板2とガラス蓋5に対して、各々どちらを形成しても共晶結合は行われることになる。しかし本願発明において、より良好な接合条件を得ることを考慮すると以下のようになる。すなわち、無機材質基板2側から加熱してガラス蓋5側の溶着下地層4bを溶融させる必要があるため、ガラス蓋側の溶着下地層4bを溶融性の良いAuSn層とすることによって無機材質基板2側からガラス蓋側への熱伝導が確実に行われたことを確認することができる。
このガラス蓋接合工程Cの条件としてはガラス蓋接合工程Cを真空中または不活性ガス雰囲気中で行うことで、気密封止による信頼性がさらに増すことは前述の通りである。
次に図5により発光装置10を封止する封止装置の構成について説明する。図5は図1に示す発光装置10を封止する封止装置の断面図であり、封止装置60は発光装置10を構成する無機材質基板2とガラス蓋5を収納するための収納凹部61aとピン貫通孔61bを有する治具本体61と、収納凹部61aを着脱可能に覆う加熱蓋62と、加熱蓋62を加熱するための加熱手段63と、治具本体61のピン貫通孔61bに移動可能に挿入された複数の荷重ピン64と、荷重ピン64を昇降させるための昇降手段65とにより構成される。なお本実施形態においては加熱手段63としてはハロゲンランプを使用し、また治具本体61及び荷重ピン64の材質としてはSUS303を使用し、さらに加熱蓋62としては熱伝導の良いSiC板を使用した。
次に上記封止装置60による発光装置10の封止工程を説明する。まず封止装置60の収納凹部61aに発光装置10のガラス蓋5を下側、無機材質基板2を上側にし、かつ溶着下地層4a、4bを合わせた状態で投入する。次に治具本体61の収納凹部61aに加熱蓋62をかぶせる。この状態から昇降手段65を動作させて加重ピン64を上昇させることにより、ガラス蓋5と無機材質基板2を加熱蓋62に向けて上昇させ、やがて突き当てることにより所定の荷重を加えた状態で停止させる。この状態で封止工程の準備が完了する。
次に封止装置60を真空状態にする。そして加熱手段63であるハロゲンランプを動作させることにより加熱蓋62を加熱する。黒色で熱伝導の良いSiC板の加熱蓋62はハロゲンランプの放射熱を良く吸収し、均一にかつ素早く温度上昇が行われる。すると加熱蓋62に突き当てられている無機材質基板2は熱伝導率が高いので、加熱蓋62の温度上昇に合わせて均一に加熱される。この無機材質基板2が300℃の溶融温度に達すると、この無機材質基板2に圧接されているガラス蓋5側の溶着下地層4bのAuSn層が溶融して共晶接合がおこなわれる。しかしガラス蓋5は熱伝導率が低いため溶着下地層4bの形成部分の近傍は共晶温度である280℃に加熱されるが、ガラス蓋全体としては温度上昇が抑えられることにより熱膨張も少なくなる。この結果、封止工程後の冷却時の熱収縮差が小さくなり、ガラス蓋の割れやクラックの発生を押さえることができる。
次に無機材質基板2とガラス蓋5との組み合わせについて説明する。図6は無機材質基板2とガラス蓋5との特性及び組み合わせを示す特性表であり、無機材質基板2の3種類を表1に、またガラス蓋5の3種類を表2に示し、表1及び表2の間に設けた矢印は組み合わせを示している。すなわち表1には無機材質基板2の基板材料としてAIN(窒化アルミ)、Si(シリコン)、Al2O3(酸化アルミ)の3種類について熱伝導率、線膨張係数を示しており、また表2にはガラス蓋5のガラス材料としてホウケイ酸ガラス(1)、ホウケイ酸ガラス(2)、ホウケイ酸クラウンガラスの3種類について線膨張係数を示している。
表1及び表2について線膨張係数に着目すると、無機材質基板2の基板材料ではAINが44[×10−7/℃]、Siが30[×10−7/℃]、Al2O3が74[×10−7/℃]でるのに対し、ガラス蓋5のガラス材料であるホウケイ酸ガラス(1)が47[×10−7/℃]、ホウケイ酸ガラス(2)が33[×10−7/℃]、ホウケイ酸クラウンガラスが74[×10−7/℃]であることがわかる。これらの各3種類の材料の関係を見ると、矢印で示す如く無機材質基板2の基板材料であるAINが線膨張係数44[×10−7/℃]に対して、ガラス蓋のガラス材料であるホウケイ酸ガラス(1)が47[×10−7/℃]で近似した値を示しており、また基板材料Siの線膨張係数が30[×10−7/℃]であるのに対し、ガラス材料のホウケイ酸ガラス(2)が33[×10−7/℃]と近似しており、同様に基板材料Al2O3の線膨張係数が74[×10−7/℃]でるのに対しガラス材料のホウケイ酸クラウンガラスの線膨張係数が74[×10−7/℃]と近似している。
図2で説明したように、無機材質基板2とガラス蓋5とをAu−Sn共晶接合を行う場合には300℃の高温となるため、無機材質基板2とガラス蓋5との線膨張係数が異なると線膨張係数の差によって割れや欠けのトラブルが発生するので、この無機材質基板2とガラス蓋5との線膨張係数はできるだけ近似した材料を選定する必要がある。この意味において表1,表2に示す如く矢印によって示されている材料の組み合わせが望ましいことがわかる。また表2に示すガラス材料で、市場で入手可能な材料としてホウケイ酸ガラス(1)としては「VIDREX」(株式会社ビートレックスの商品名)があり、またホウケイ酸ガラス(2)としては「パイレックス(登録商標)」(コーニング社の商品名)がこの特性を有するものである。
次に図7により本発明の第2実施形態における発光装置10の製造方法を説明する。図7は本発明の第2実施形態における発光装置10を封止する封止装置70の断面図であり、図5に示す封止装置60と基本的構成は同じであり、同一要素には同一番号を付し重複する説明を省略する。
封止装置70が封止装置60と異なるところは昇降手段65に冷却装置71を設けたことである。そして封止動作は図5に示す封止装置60と同じであるが、異なるところは昇降手段65によって荷重ピン64を上昇させて無機材質基板2とガラス蓋5を加熱蓋62に突き当てた状態で冷却装置71を動作させ、荷重ピン64を介してガラス蓋5における接合面の反対側を冷却している。この結果加熱蓋62の加熱によって無機材質基板2とガラス蓋5との共晶接合が行われている状態においてガラス蓋5の反対側が冷却されることによりガラス蓋5の温度上昇が抑えられる。
このことによって、ガラス蓋全体の冷却時の熱収縮差が小さくなり、ガラス蓋の割れやクラックの発生を押さえる効果が大きくなる。
以上、実施形態では青色LEDとYAG蛍光体の組み合わせに付いて記載したがこれに限定されるものではなく、近紫外LEDと各色蛍光体の組み合わせ等にも適用可能であり、また本発明における無機材質基板とガラス蓋の組み合わせに対する封止技術は、LED以外の素子の封止にも有効である。
1 LED
1a Auバンプ
2 無機材質基板
2a 配線パターン
2b 出力電極
2c スルーホール
3 波長変換層
4 接着層
4a、4b 溶着下地層
5 ガラス蓋
5a 凹部
10 発光装置
10a 発光部
15 マスク
15a 開口部
25 サンド粒子
38 ヒーター基板
50 平板ガラス
60,70 封止装置
61 治具本体
61a 収納凹部
61b ピン貫通孔
62 加熱蓋
63 加熱手段
64 荷重ピン
65 昇降手段
71 冷却装置

Claims (2)

  1. セラミック基板上に発光素子を実装し、前記セラミック基板上の発光素子実装周囲に平板ガラスにサンドブラストやウエットエチングによって凹部を形成した断面コ字形状の透明蓋であるガラス蓋を被せて、金属溶着により接合する発光装置の製造方法において、前記セラミック基板とガラス蓋との金属溶着、前記セラミック基板とガラス蓋とを金属溶着するための溶着下地層として、前記セラミック基板にはAu層を、またガラス蓋にはAuSn層を形成し、前記セラミック基板側に加熱手段を設け、ガラス蓋側に冷却手段を設け、前記セラミック基板とガラス蓋とAuーAuSn共晶接合が進行している状態において、ガラス蓋における接合面の反対側の面が前記冷却手段によって冷却されていることにより、前記セラミック基板とガラス蓋とに温度差を設けて金属溶着を行うことを特徴とする発光装置の製造方法。
  2. 熱伝導率の低い材質によって構成され、開口凹部形状で底面側より突き上げ機構を有する収納治具と、前記収納治具の開口凹部を覆う熱伝導率の高い材質によって構成された加熱蓋と、前記加熱蓋を加熱するための加熱手段により構成される加熱装置を使用し、前記収納治具の開口凹部内に発光素子を実装したセラミック基板とガラス蓋とをガラス蓋を下にして積層配置する工程と、前記収納治具の開口凹部内を加熱蓋で覆う工程と、前記突き上げ機構によりセラミック基板とガラス蓋とを加熱蓋に押し当てる工程と、前記加熱蓋を加熱手段により加熱する工程と、前記セラミック基板とガラス蓋とAuーAuSn共晶接合が進行している状態において、ガラス蓋における接合面の反対側の面を冷却手段によって冷却し、ガラス蓋の温度上昇を抑える工程とを有することを特徴とする発光装置の製造方法。
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