以下、火災を感知して警報音を鳴動するとともに電波を媒体とし且つ火災感知メッセージを含む無線信号を送信する火災警報器を無線局とした無線通信システム(火災警報システム)に本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。
図1は本実施形態のシステム構成図であり、複数台(図示は2台のみ)の火災警報器TRで火災警報システムが構成されている。なお、以下の説明では、火災警報器TRを個別に示す場合は火災警報器TR1,TR2,…,TRnと表記し、総括して示す場合は火災警報器TRと表記する。
火災警報器TRは、アンテナ3から電波を媒体とした無線信号を送信するとともに他の火災警報器TRが送信した無線信号をアンテナ3で受信する無線送受信部2と、音(ブザー音や音声メッセージなど)による火災警報(以下、「警報音」と呼ぶ。)を報知(スピーカから鳴動)する警報部5と、マイコンや書換可能な不揮発性の半導体メモリなどからなるメモリ部1aを主構成要素とし火災感知部4で火災を感知したときに警報部5に警報音を鳴動させるとともに他の火災警報器TRに対して火災警報を報知させるための火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる制御部1と、一定周期のクロック信号を発振する発振器6と、後述するように警報音の鳴動を停止するための操作入力などを受け付ける操作入力受付部7と、乾電池等の電池を電源として各部に動作電源を供給する電池電源部8とを具備している。操作入力受付部7は1乃至複数のスイッチ(例えば、押釦スイッチ)を有しており、スイッチが操作されることで各スイッチに対応した操作入力を受け付けるとともに当該操作入力に対応した操作信号を制御部1に出力する。なお、各火災警報器TRi(i=1,2,…,n)には固有の識別符号が割り当てられてメモリ部1aに格納されており、当該識別符号によって無線信号の宛先並びに送信元の火災警報器TRiが特定できる。
無線送受信部2は、電波法施行規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して電波を媒体とする無線信号を送受信するものである。また火災感知部4は、例えば、火災に伴って発生する煙や熱、炎などを検出することで火災を感知するものである。但し、無線送受信部2並びに火災感知部4の詳細な構成については、従来周知であるから詳細な説明は省略する。
制御部1は、図示しないメモリ(ROMあるいはEEPROMなど)に格納されたプログラムをマイコンで実行することによって後述する各種の機能を実現している。火災感知部4で火災の発生が感知されると、制御部1は警報部5が備えるブザーを駆動して警報音を鳴動させたり、あるいは予めメモリ(あるいはメモリ部1a)に格納されている警報用の音声メッセージ(例えば、「火事です」など)をスピーカに鳴動させることで火災警報を報知するとともに、他の火災警報器TRにおいても火災警報を報知させるため、火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる。また、他の火災警報器TRから送信された無線信号を無線送受信部2で受信することにより火災警報メッセージを受け取ったときも、制御部1が警報部5を制御して警報音を鳴動させる。つまり、制御部1では火災感知部4が火災を感知したときに警報部5から警報音を鳴動させて火災警報を報知するとともに火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる機能を有している。
発振器6は、音叉型水晶振動子を用いて制御部1を構成するマイコンの動作用クロック(クロック信号)を発振するものである。ただし、このような発振器6の回路構成は従来周知であるから詳細な説明は省略する。
ここで、電波法施行規則の無線設備規則第49条の17「小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備」では、無線信号を連続して送信してもよい期間(送信期間)が3秒以下、送信期間と送信期間の間に設けられた、無線信号を送信してはいけない期間(休止期間)が2秒以上とすることが規定されている(同条第5号参照)。このために本実施形態における制御部1では、上記無線設備規則に適合する送信期間に無線信号を送信させるとともに休止期間に送信を停止し且つ受信可能な状態としている。
また電池電源部8の電池寿命をできるだけ長くするため、制御部1ではマイコンに内蔵するタイマ(タイマ手段)で所定の間欠受信間隔(但し、間欠受信間隔は前記送信期間よりも長い時間とする)を繰り返しカウントするとともに間欠受信間隔のカウントが完了する毎に無線送受信部2を起動して所望の電波(他の火災警報器TRが送信した無線信号)が受信できるか否かをチェックし、当該電波が捉えられなければ直ちに無線送受信部2を停止して待機状態に移行させることで平均消費電力を大幅に低減している。なお、電波の受信チェックは、無線送受信部2から出力される、受信信号強度の大小に比例した直流電圧信号である受信信号強度表示信号(Receiving Signal Strength Indication:RSSI信号)に基づいて制御部1が行っており、詳細については従来周知であるから省略する。
さらに各火災警報器TRnの制御部1は、火災感知部4の故障の有無及び電池電源部8の電池切れの有無を一定周期(例えば、1時間毎に)で監視し、故障若しくは電池切れが生じていると判断すれば、直ちに警報部5から異常(故障若しくは電池切れ)の発生を知らせるための警告音(ブザー音や音声メッセージなど)を警報部5のスピーカから鳴動させる。なお、特定の火災警報器TR1(以下、親局と呼ぶ。)を除く他の火災警報器TR2,TR3,…(以下、子局と呼ぶ。)の制御部1は、それぞれの監視結果(故障の有無及び電池切れの有無)をメモリ部1aに記憶し、当該監視結果を、後述する確認メッセージとともに無線信号によって定期的(例えば、24時間毎)に親局TR1へ送信させている。
また親局TR1の制御部1は、火災感知部4が火災を感知して警報部5から警報音を鳴動させるとともに各子局TRj(j=2,…,n)に火災警報メッセージを送信した後、若しくは何れかの子局TRjから火災警報メッセージを受信した後においては、無線送信部2に一定周期で同期ビーコンを送信させる。この同期ビーコンは、複数の火災警報器TR同士でTDMA(時分割多元接続)方式の無線通信(以下、「同期通信」と呼ぶ。)を行うために必要なタイムスロットを規定する信号であって、その1周期(サイクル)が複数のタイムスロットに分割され、全ての子局TRjにそれぞれ互いに異なるタイムスロットが1つずつ割り当てられる。そして、親局TR1から子局TRjへのメッセージは同期ビーコンに含めて送信され、子局TRjから親局TR1へのメッセージを含む無線信号は、各子局TRjに割り当てられているタイムスロットに格納されて送信される。故に、複数台の火災警報器TR(親局TR1並びに子局TRj)から送信される無線信号の衝突を確実に回避することができる。なお、各火災警報器TRに対するタイムスロットの割当は固定であってもよいが、親局TR1から送信する同期ビーコンによってタイムスロットの割当情報を各子局TRjに通知しても構わない。
図2は火災警報器TRが送受信する無線信号のフレームフォーマットを示しており、同期ビット(プリアンブル:PA)、フレーム同期パターン(ユニークワード:UW)、宛先アドレスDA、送信元アドレスSA、メッセージM、CRC符号で1フレームが構成されている。ここで、宛先アドレスDAとして各火災警報器TRの識別符号を設定すれば当該識別符号の火災警報器TRのみが無線信号を受信してメッセージを取得することになるが、宛先アドレスDAとして何れの火災警報器TRにも割り当てられていない特殊なビット列(例えば、すべてのビットを1としたビット列)を設定することで無線信号を同報(マルチキャスト)して全ての火災警報器TRにメッセージを取得させることができる。例えば、火災警報メッセージを含む無線信号が親局TR1から全ての子局TRjに同報される。
次に、図3のタイムチャートを参照して、火災感知の前後における本実施形態の送受信動作を説明する。
ここで、各火災警報器TRが動作を開始する(タイマが間欠受信間隔のカウントを開始する)タイミングは通常一致しないので、制御部1が無線送受信部2を起動して電波を受信するタイミング(図3における下向きの矢印参照)も不揃いとなる。これに対して本実施形態では、各火災警報器TRの無線送受信部2で同期信号が受信されると、制御部1がタイマによる間欠受信間隔Txのカウントを中止させるとともに同期信号の終了時点(t=t0)から一定の待機時間Twが経過した時点でタイマによる間欠受信間隔Txのカウントを再開させる。したがって、同期信号を受信した後は、各火災警報器TRにおいてタイマが間欠受信間隔Txのカウントを完了するタイミングが揃うことになる。なお、同期信号は、後述するように特定の火災警報器である親局TR1から送信する。
例えば、子局TR2において火災感知部4が火災を感知すると、子局TR2の制御部1は警報部5より警報音を鳴動させるとともにタイマによる間欠受信間隔Txのカウント完了前に無線送受信部2を起動する。そして、子局TR2の制御部1は当該カウント完了時点を含む送信期間内に火災警報メッセージを含む無線信号を他の全ての火災警報器TR(親局TR1及び他の子局TR3,…)に宛てて送信する。この際、送信元の子局TR2の制御部1は、送信期間内で送信可能なフレーム数だけ無線信号を連続して送信し、送信期間後の休止期間(受信期間)には無線送受信部2を受信状態に切り換える。なお、各火災警報器TRにおいて間欠受信間隔Txのカウントが完了するタイミングが揃っているので、1回の送信期間で火災警報メッセージを含む無線信号を受信することができる。
ここで、小電力無線を利用すれば、無線通信距離としては通常の住宅ひとつのエリア内であれば十分カバーできるので、火災元の子局TR2が、他の火災警報器TR(親局TR1及び他の子局TR3,…)に対しメッセージを送信することは通常は十分可能である。また、後述するように親局TR1は各子局TR2〜TR4の生死を定期的に確認しており、親局TR1と各子局TR2〜TR4との間では通信パスの正常性が確認されている。しかしながら、子局TR2〜TR4間の通信パスは確認されていないため、例えば障害物などの影響によって、ある子局にはメッセージが届いていない可能性もある。
そこで、火災警報メッセージを受信した親局TR1の制御部1は、送信元の子局TR2を除く他の子局TR3,TR4に対して火災警報メッセージを含む無線信号を、タイマによる間欠受信間隔Txのカウント完了時点を含む送信期間に送信する。他の子局TR3,TR4の制御部1では、子局TR2又は親局TR1から送信された火災警報メッセージを受け取ると直ちに警報部5より警報音を鳴動させるとともに無線送受信部2より火災警報メッセージの受信を確認する応答メッセージ(ACK)を無線信号によって返信する。なお、このように少なくとも1台の火災警報器TRで火災が感知されることで全ての火災警報器TRが火災警報を報知(警報音を鳴動)することを、以下では「火災連動」と呼ぶ。
親局TR1の制御部1は、他の全ての子局TR3,TR4からACKを受け取れば、タイムスロットを規定するための同期ビーコンを一定の周期で無線送受信部2から送信させる。なお、本実施形態では先頭のタイムスロットTS1を子局TR2に、2番目のタイムスロットTS2を子局TR3に、3番目のタイムスロットTS3を子局TR4にそれぞれ割り当てている。
ここで、親局TR1は各子局TR2〜TR4の生死を定期的に確認しており、親局TR1と各子局TR2〜TR4との間では通信パスの正常性が確認されているが、子局TR2〜TR4間の通信パスは確認されていない。子局TRiが多数配置された場合、子局TRi間の通信パスの数は非常に多くなる為、子局TRi間の通信パスの正常性の確認を行うと電池消耗が激しくなる。したがって、上述のように特定の火災警報器TR1を親局とし、その他の火災警報器TRiを子局として親局TR1から各子局TRiに火災警報メッセージやその他のメッセージ(後述する)を通知することで相互に通信パスが確立できない子局が存在する場合でも確実に火災連動させることができる。
また、全ての火災警報器TRが警報音を鳴動することにより連動が開始されると、上述のように親局TR1から一定周期で同期ビーコンが送信されてTDMA方式の同期通信に移行する。同期通信において、親局TR1の制御部1は同期ビーコンに含めることで火災警報メッセージを一定周期で全ての子局TRiに繰り返し送信している。そして、各子局TRiの制御部1では、親局TR1から送信される火災警報メッセージを受け取る度に警報部5の状態を確認し、仮に警報部5が停止していたとしたら警報部5に再度警報音を鳴動させる。したがって、全ての火災警報器TRで火災警報が報知され始めてからは特定の火災警報器(親局)TR1が送信する同期ビーコンによって規定される複数のタイムスロットに他の全ての火災警報器(子局)TRiを割り当てて時分割多元接続(TDMA)による無線通信を行うことで衝突を回避することができる。さらに、特定の火災警報器(親局)TR1から他の全ての火災警報器(子局)TRiに対して火災警報メッセージを同期ビーコンに含めて周期的に送信することで確実に火災警報を報知することができる。その結果、無線信号の衝突を回避しつつ複数の火災警報器TRを効果的に連動させることができる。
上述のように本実施形態によれば、火災発生時には全ての火災警報器TRで火災警報が報知されるので、利用者が火災警報を知覚する(警報音を聞く)機会が増えるために安全性を向上することができる。
ところで、本実施形態の火災警報システムは、待機状態、連動鳴動状態、連動停止状態の3つの動作状態を遷移する。待機状態とは、何れの火災警報器TRにおいても火災が検出されていない状態である。また連動鳴動状態とは、全ての火災警報器TRが警報音を鳴動している状態である。さらに連動停止状態とは、後述するように火災を検出している(火元の)火災警報器TRのみが警報音を鳴動し、火元以外の火災警報器TRが警報音を停止している状態である。すなわち、待機状態において少なくとも何れか1台の火災警報器TR(例えば、子局TR2)で火災が検出されると、上述したように火元の子局TR2並びに親局TR1から他の全ての子局TRjに火災警報メッセージが送信されることで親局TR1と子局TRjを含む全ての火災警報器TRで警報音が鳴動されて連動鳴動状態に遷移する。
そして、連動鳴動状態において何れかの火災警報器TRの操作入力受付部7で警報音の鳴動を停止するための操作入力が受け付けられた場合、当該火災警報器TRが親局TR1であれば親局TR1から全ての子局TRjに対して警報音の停止を要求するメッセージ(警報停止メッセージ)を送信する。あるいは、当該火災警報器TRが子局TRjであれば当該子局TRjから警報停止メッセージを受け取った親局TR1が他の子局TRjに対して警報停止メッセージを送信する。そして、火元以外の火災警報器TRで警報停止メッセージを受け取ると警報部5の警報音を停止して連動停止状態に遷移する。ただし、火元の火災警報器TRの操作入力受付部7で警報音停止の操作入力が受け付けられた場合、当該火元の火災警報器TRにおいても警報音を停止する。ここで、親局TR1の制御部1はメモリ部1aに親局TR1並びに各子局TRj毎の火災検出状況を随時更新しながら保持しており、後述するように全ての火災警報器TRで火災が検出されなくなったときに火災連動状態から待機状態に遷移する。
また、連動鳴動状態から連動停止状態に遷移した場合、親局TR1の制御部1では所定の警報音停止時間(例えば、5分間)の限時を開始する。そして、警報音停止時間が経過したのち、親局TR1の制御部1はメモリ部1aに保持している火災検出状況を参照し、全ての火災警報器TRで火災を検出していなければ、同期ビーコンによって復旧通知のメッセージを送信することで火災連動状態から待機状態に遷移する。一方、仮に少なくとも1台の火災警報器TRで火災を検出していれば、同期ビーコンによって火災警報メッセージを送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。なお、連動停止状態において何れかの火災警報器TRが新たに火災を検出した場合にも親局TR1の制御部1が同期ビーコンによって火災警報メッセージを送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。
例えば、図4のタイムチャートに示すように、親局TR1を火元とする火災連動状態(連動鳴動状態)において、火元でない子局TR4の操作入力受付部7で警報音停止の操作入力が受け付けられることで当該子局TR4から警報停止メッセージが送信されると、警報停止メッセージを受け取った親局TR1の制御部1は同期ビーコンによって警報停止メッセージM2を送信しつつ警報音停止時間の限時を行う。ただし、火元である親局TR1では警報部5による警報音の鳴動は継続される。警報音停止時間が経過したのち、親局TR1の制御部1は自らの火災感知部4による火災検出状況並びに子局TRjにおける火災検出状況を確認する。そして、少なくとも何れか1台の火災警報器TRが火災を検出しているとき、親局TR1の制御部1は再度火災警報メッセージを同期ビーコンにより各子局TRjに送信することで連動停止状態から連動鳴動状態へ遷移させる。
一方、図5のタイムチャートに示すように、警報音停止時間内に火災が鎮火して火災感知部4が火災を検出しなくなっていれば、親局TR1の制御部1は警報音停止時間が経過したのちに同期ビーコンによって各子局TRjに復旧通知メッセージを送信する。そして、全ての子局TRjから返信されるACKを受け取った時点で、親局TR1の制御部1は連動停止状態から待機状態に遷移し、同期ビーコンの送信を停止することでTDMA方式による無線通信から間欠送信・間欠受信による無線通信に戻る。
また、図6のタイムチャートに示すように、子局TR4を火元とする連動鳴動状態において、火元の火災が鎮火して子局TR4の火災感知部4が火災を検出しなくなれば、子局TR4から親局TR1に宛てて復旧通知メッセージが送信される。当該復旧通知メッセージを受け取った親局TR1の制御部1はメモリ部1aに保持している火災検出状況を参照し、全ての火災警報器TRで火災を検出していなければ同期ビーコンによって復旧通知メッセージM3を各子局TRjに送信する。そして、全ての子局TRjから返信されるACKを親局TR1の制御部1が受け取れば、連動停止状態から待機状態に遷移し、同期ビーコンの送信を停止することでTDMA方式による無線通信から間欠送信・間欠受信による無線通信に戻る。
一方、図7のタイムチャートに示すように、新たに別の火災警報器(例えば、子局TR3)で火災が検出された場合、初めの火元である子局TR4から復旧通知メッセージを受け取った親局TR1の制御部1は、メモリ部1aに保持している火災検出状況を参照する。このとき、親局TR1の制御部1は、子局TR3が火災検出中であることから復旧通知メッセージを送信せず、引き続き火災警報メッセージを送信することで火災連動状態を維持する。
ここで、本実施形態では同期信号を受信することによって各火災警報器TRの制御部1が無線送受信部2を起動するタイミングが揃っている。しかも、火災を感知した火災警報器TRの制御部1が前記起動タイミングに合わせて無線信号を送信するので、一の火災警報器TRから送信される無線信号を他の全ての火災警報器TRがほぼ同時に受信することができる。その結果、間欠受信を行うことで消費電力を低減して電池の寿命を延ばしつつ何れかの火災警報器TRが送信した無線信号を他の火災警報器TRが受信できるまでの遅延時間を短くすることができる。
また、複数の無線局(火災警報器TR)のうちの特定の無線局(親局TR1)の制御部1が、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが一定回数完了する毎に無線送受信部2から同期信号を送信すれば、同期信号を送信するための専用の送信機(送信局)などが不要でシステム構成が簡略化できるという利点がある。
ところで、特許文献1記載の従来例では、親局TR1の制御部1が定期的(例えば、24時間毎)に無線送受信部2を起動し、他の子局TRjが正常に動作しているか否かの確認(定期監視)を行うために定期監視メッセージを含む無線信号を送信させている。子局TRjの制御部1は、親局TR1から定期監視メッセージを受け取ったときに、メモリ部1aに記憶している監視結果を通知するための通知メッセージを含む無線信号を親局TR1に返信している。親局TR1の制御部1は、通知メッセージを含む無線信号を送信した後、無線送受信部2を受信状態に切り換えて各子局TRjから送信される無線信号を受信し、定期監視メッセージを含む無線信号を送信してから所定時間内に通知メッセージを含む無線信号を送信してこない子局TRjがあったり、あるいは、何れかの子局TRjが送信してきた通知メッセージが故障有り若しくは電池切れ有りの監視結果を通知するものである場合に、警報部5が備えるブザーを駆動して報知音を鳴動させるなどして子局TRjに異常(通信不可や故障有り、電池切れなど)が発生したことを知らせている。
しかしながら、上記従来例では特定の無線局(親局TR1)のみが定期監視メッセージを含む無線信号を定期的に送信しているため、当該1台の無線局(親局TR1)は、他の無線局(子局TRj)に比べて電力消費が増えてしまい、電池の寿命が短くなってしまうという問題がある。
そこで本実施形態では、特定の無線局(親局TR1)を除く他の全ての無線局(子局TRj)の送信制御手段(制御部1)が、自己の存在を確認させるための確認メッセージを含む無線信号を、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する時点と重なる送信期間に送信手段(無線送受信部2及びアンテナ3)から送信させている。そして、特定の無線局(親局TR1)の定期監視手段(制御部1)が、確認メッセージを含む無線信号の受信の有無に基づいて、他の無線局(子局TRj)の生死を判断している。但し、各子局TRjの制御部1は、メモリ部1aに記憶している監視結果(故障の有無及び電池切れの有無)を確認メッセージとともに親局TR1に送信している。
而して、本実施形態では特定の無線局(親局TR1)を除く他の全ての無線局(子局TRj)が定期的に自己の存在を確認させるための確認メッセージを無線信号を親局TR1に送信し、確認メッセージを含む無線信号が定期的に受信できるか否かに基づいて、親局TR1の定期監視手段(制御部1)が各子局TRjの生死確認を行っている。このため、特定の無線局(親局TR1)の電池寿命が他の無線局(子局TRj)の電池寿命よりも短くなることが抑制できる。しかも、各子局TRjでは確認メッセージを含む無線信号をタイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する時点と重なる送信期間に送信しているため、1回の送信で親局TR1に確実に受信させることができる。
ここで、子局TRjが2台以上存在する場合においては、それぞれの子局TRjから確認メッセージを含む無線信号が送信される送信期間が互いに重ならないようにして衝突を回避する必要がある。そのため、他の無線局(子局TRj)の送信制御手段(制御部1)は、図8に示すようにタイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する時点毎に、所定の順番(例えば、子局TR2→子局TR3→子局TR4の順番)で確認メッセージを含む無線信号を送信手段(無線送受信部2及びアンテナ3)から送信させている。
なお、確認メッセージを送信する順番については、例えば、システムの運用開始前に親局TR1と子局TRjとが互いの識別符号を登録する作業 (登録作業)において親局TR1から各子局TRiに通知すればよい。
前記登録作業は、親局TR1と子局TRjのそれぞれで登録作業の操作入力が操作入力受付部7で受け付けられることによって開始される。以下、図9のシーケンス図を参照しながら登録作業について説明する。
子局TRiの制御部1は、登録作業の操作入力が操作入力受付部7で受け付けられると、登録モードに移行して登録要求メッセージを含む無線信号を無線送受信部2から送信(マルチキャスト)させる。親局TR1の制御部1は、登録作業の操作入力が操作入力受付部7で受け付けられると無線送受信部2を受信状態とする。そして、親局TR1の制御部1は、子局TRiから送信された無線信号を無線送受信部2で受信すると、当該無線信号の送信元アドレス(子局TRiの識別符号)をメモリ部1aに記憶するとともに、登録命令並びに確認メッセージを送信する順番を含む無線信号を無線送受信部2から当該子局TRj宛てに送信させる。
子局TRjの制御部1は、親局TR1から送信された無線信号を無線送受信部2で受信すると、登録命令メッセージを含む無線信号の送信元アドレス(親局TR1の識別符号)及び確認メッセージを送信する順番をそれぞれメモリ部1aに記憶し、ACKを含む無線信号を無線送受信部2から親局TR1宛てに返信させた後に登録モードを終了する。親局TR1の制御部1は、子局TRjから送信されたACKを含む無線信号を無線送受信部2で受信すれば登録モードを終了する。
また、本実施形態の火災警報システムは、親局TR1と各子局TRjとの間で無線通信が可能か否かを確認する試験モードを有している。この試験モードは、親局TR1と子局TRjのそれぞれで試験開始の操作入力が操作入力受付部7で受け付けられることによって開始される。試験モードでは、親局TR1と各子局TRjとの間で個別に試験用のメッセージが授受されることで無線通信の可否が試験される。よって、親局TR1から子局TRjに送信される試験用のメッセージとともに確認メッセージを送信する順番を通知してもよい。
ところで、子局TRjに電池切れや無線送受信部2の故障などの不具合が生じた場合、当該不具合が生じた子局TRjからは確認メッセージが送信されないが、正常な子局TRjから送信された無線信号が突発的に生じたノイズに邪魔されて親局TR1に受信されない場合との区別ができない。
そこで、定期監視手段たる親局TR1の制御部1は、他の全ての無線局(子局TRj)のうちの少なくとも何れか1つから確認メッセージを受け取らない期間が所定の上限期間(例えば、24時間)を超えた場合、各子局TRjに対して応答メッセージの返信を要求する無線信号を送信手段(無線送受信部2及びアンテナ3)から送信(マルチキャスト)させる。すなわち、確認メッセージを受け取ることができなかった子局TRjに電池切れや無線送受信部2の故障などの不具合が生じている場合、当該子局TRjは、親局TR1から送信される前記無線信号に対する応答メッセージを送信することができない。一方、突発的に生じたノイズ等の影響で確認メッセージを受け取ることができなかった子局TRjについては、その制御部1が親局TR1から送信される前記無線信号に対する応答メッセージを親局TR1に返信できる可能性が高い。故に、親局TR1の制御部1では、応答メッセージの受信の有無によって各子局TRjの生死をより確実に知ることができる。
ところで間欠受信間隔の計時は、制御部1を構成するマイコンが動作用クロック(発振器6が発振するクロック信号。以下同じ。)をカウントすることで行われている。この発振器6に用いられている音叉型水晶振動子の振動周波数(=発振器6の発振周波数)は、一般に32.768kHzであるから、例えば、間欠受信間隔が10秒の場合、制御部1では動作用クロックを327680(=32.768kHz×10s)カウントする毎に間欠受信を行う。しかしながら、音叉型水晶振動子の周波数安定度(周波数偏差)はおよそ数十ppmであり、しかも、個体差がある。故に、周波数偏差の大きい音叉型水晶振動子が発振器6に用いられている場合、長期間の使用によって間欠受信間隔の時間ずれが徐々に増加し、親局TR1と子局TRjとの間で同期信号による間欠受信間隔の同期が取れなくなる(同期外れが生じる)虞がある。
そこで本実施形態では、各子局TRjから定期的に送信される確認メッセージを含む無線信号を親局TR1の無線送受信部2で受信したときに、当該無線信号の受信タイミングとタイマでカウントする間欠受信間隔との時間ずれを、時間ずれ検出手段たる親局TR1の制御部1で検出し、時間ずれの検出値が所定のしきい値以上であった場合、親局TR1の制御部1が無線送受信部2から同期信号を送信させている。そして、各子局TRjにおいては、同期信号を受信することで時間ずれが補正されるため、同期外れを未然に防ぐことができる。
ここで、図2のフレームフォーマットに示すように、確認メッセージを含む無線信号にはプリアンブルとユニークワード(UW)が含まれている。故に、時間ずれ検出手段たる制御部1では、前記無線信号のプリアンブルを受信した時点t0からユニークワードの受信完了時点t1までの時間(検出時間)を計測することで時間ずれを検出することができる。例えば、確認メッセージを含む無線信号の時間幅をT(秒)とし、当該無線信号の中間値(=T/2)を時間ずれ検出の基準点とすれば、時間ずれΔTはΔT=検出時間−T/2として計算することができる(図10参照)。