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JP5506664B2 - 細胞培養における第viii因子ポリペプチドタイターの改善 - Google Patents
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細胞培養における第viii因子ポリペプチドタイターの改善 Download PDF

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Description

本発明は、C2-ドメインリガンド、特にO-ホスホ-L-セリン(OPLS)の使用を含む、第VIII因子ポリペプチドの生産方法に関する。
古典的な血友病又は血友病Aは、遺伝性の出血性疾患である。それは、血液凝固第VIII因子のX染色体連鎖欠損に起因し、10000人当たり1〜2人の罹患率で、ほぼ専ら男性が罹患している。X染色体の欠損は、自身は血友病ではない女性保因者により遺伝する。血友病Aの臨床症状は、出血傾向が増加することである。第VIII因子濃縮物を用いた治療法が導入される前は、重度の血友病を患っているヒトの平均寿命は20年未満であった。血漿からの第VIII因子の濃縮物の使用により、血友病患者にとっての状況はかなり改善されて、平均寿命が長くなり、殆どの患者に、程度の差はあれ通常の寿命まで生存する可能性をもたらした。しかしながら、血漿由来の濃縮物とその使用に関してはある種の問題があり、その最も深刻なものはウイルスの感染である。これまで、AIDS、B型肝炎、及び非A型非B型肝炎を生じるウイルスが、人々を深刻に攻撃している。それ以来、血漿誘導性第VIII因子に対する非常に高い安全性基準を確立する様々なウイルス不活化法及び新規な高度に精製された第VIII因子濃縮物が開発されている。
第VIII因子(FVIII)は、哺乳動物細胞中で非常に低レベルで発現されることが知られている。また、第VIII因子は無血清又は無タンパク質培地中で不安定なタンパク質であることが知られている。第VIII因子の安定性及びタイターを改善するために、様々な物質の添加が使用されている。
国際公開第9743436号には、金属依存性インヒビター及び/又はキモトリプシンのインヒビターの添加が開示されている。
国際公開第88/08035号及び国際公開第87/04187号には、第VIII因子培養培地にリン脂質を添加することが開示されている。また、フォン・ヴィルブランド因子(vWF)の同時発現も記載されている。
米国特許出願公開第2005/0227913A1号には、C2-ドメイン(2303-2332)に結合することによる第VIII因子の凝集のインヒビターとしてのOPLSが開示されている。凝集が少ない第VIII因子は免疫原生が少ないことが主張されている。
K. Hansen, M. Kjalke, P.B. Rasmussen, L. Kongerslev,及びM. Ezban, Cytotechnol. 24 (3), 227-234, 1997には、培地中での第VIII因子の分解を防止するためにバシトラシンA及びホスファチジルセリンを使用することが開示されている。
国際公開第90/02175A1号には、ポリペプチドの分解を防止するためにプロテアーゼインヒビターの存在下で真核細胞を培養することによる、組換えポリペプチドの生産方法が開示されている。
欧州特許出願公開第1707634A1号には、相当量の第VIII因子が細胞表面に結合し、高イオン強度のバッファーで洗浄することにより除去することができることが開示されている。
よって、第VIII因子ポリペプチドの全体収率を改善し、及び/又は生産コストを低減させる改善された生産方法が必要とされている。
本発明の第1の態様は第VIII因子ポリペプチドを生産する方法に関し、該方法は、a)第VIII因子ポリペプチドが発現する条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞を培養し、該培養条件が、C2-ドメインリガンドを含有する細胞培養培地を含み、b)哺乳動物細胞から発現した第VIII因子ポリペプチドを適切な手段により単離する工程を含む。
本発明の第2の態様は第VIII因子ポリペプチドを生産する方法に関し、該方法は、a)第VIII因子ポリペプチドが発現する条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞を培養し、該培養条件が細胞培養培地を含み、b)哺乳動物細胞から発現した第VIII因子ポリペプチドを適切な手段により単離し、該適切な手段が、該細胞へのC2-リガンドの添加を含む工程を含む。
第VIII因子の遺伝子配列(cDNA)(配列番号:1)を示す。 第VIII因子の遺伝子配列(cDNA)(配列番号:1)を示す。 FVIII生産性及びFVIIIタンパク質比活性に対するO-ホスホ-L-セリンの効果を示す。 FVIII生産性及びFVIIIタンパク質比活性に対するO-ホスホ-L-セリンの効果を示す。 第VIII因子生成細胞の培地中における第VIII因子に対するO-ホスホ-L-セリン及び/又は植物性タンパク質分解物の効果を示す。条件A−Dのアイデンティティーを表4に示す。 第VIII因子生成細胞の培地中における第VIII因子に対するO-ホスホ-L-セリン及び/又は植物性タンパク質分解物の効果を示す。条件A−Dのアイデンティティーを表4に示す。 第VIII因子生成細胞の培地中における第VIII因子に対するO-ホスホ-L-セリン及び/又は植物性タンパク質分解物の効果を示す。条件A−Dのアイデンティティーを表4に示す。
上述したように、本発明の第1の態様は、第VIII因子ポリペプチドを生産する方法に関し、該方法は、a)第VIII因子ポリペプチドが発現する条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞を培養し、該培養条件は、C2-ドメインリガンドを含有する細胞培養培地を含み、b)哺乳動物細胞から発現した第VIII因子ポリペプチドを適切な手段により単離する工程を含む。
本発明の第2の態様は第VIII因子ポリペプチドを生産する方法に関し、該方法は、a)第VIII因子ポリペプチドが発現する条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞を培養し、該培養条件は細胞培養培地を含み、b)哺乳動物細胞から発現した第VIII因子ポリペプチドを適切な手段により単離し、該適切な手段が、該細胞へのC2-リガンドの添加を含む工程を含む。
双方の態様において、C2-ドメインリガンドが、細胞培養培地中における第VIII因子ポリペプチドのタイターレベルの増加を促進させるという重要な役割を担っている。
如何なる特定の理論にも縛られるものではないが、細胞培養培地中における第VIII因子ポリペプチドの増加は、C2-ドメインリガンド(特に、O-ホスホ-L-セリン(OPLS))単独、又は大豆トリプシンインヒビター(SBTI)及び/又は植物性タンパク質加水分解物との組合せにより生じせしめられ、(i)細胞により分泌される第VIII因子ポリペプチド量が増加し、及び/又は(ii)細胞結合第VIIIポリペプチドと競合して細胞と結合させない、及び/又は(iii)第VIII因子ポリペプチドの分解が最小となり、上清中に存在する機能的第VIII因子ポリペプチドの量が増加すると、考えられる。
本発明を次にさらに詳述する。
C2-ドメインリガンドは、第VIII因子ポリペプチドのC2-ドメインに結合可能な又は結合しているリガンドである(以下参照)。好ましくは、C2-ドメインリガンドは、細胞膜から第VIII因子ポリペプチドを遊離させる(競合して結合させない)ことができる。
現在の最も好ましい実施態様では、C2-ドメインリガンドはO-ホスホ-L-セリン(OPLS)、すなわち式(HO)P(O)OCHCH(NH)COHの分子である。
適切な別のC2-ドメインリガンドは、式(XO)(HO)P(O)OCHCH(NH)COHを有するものであると考えられ、ここで、Xは、置換されていてもよいC1−6-アルキル、置換されていてもよいC2−6-アルケニル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクリル、及び置換されていてもよいベンジルから選択される。一実施態様では、Xは、置換されていてもよいC1−6-アルキル、置換されていてもよいベンジル、及び置換されていてもよいC2−6-アルケニルから選択される。
本文脈において、「C1−6-アルキル」なる用語は、直鎖状、環状又は分枝状で1〜6の炭素原子を有する炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルを意味することを意図している。
同様に、「C2−6-アルケニル」なる用語は、直鎖状、環状又は分枝状で2〜6の炭素原子と少なくとも不飽和結合を有する炭化水素基を意味することを意図している。アルケニル基の具体例は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルである。アルケニルの好ましい具体例は、ビニル、アリル、ブテニル、特にアリルである。
本文脈において、すなわち「アルキル」及び「アルケニル」という用語に関連して、「置換されていてもよい」なる用語は、当該基が、1又は数回、好ましくは1−3回、ヒドロキシ(不飽和炭素原子に結合している場合、互変異性ケト型で存在し得る)、C1−6-アルコキシ(すなわちC1−6-アルキル-オキシ)、C2−6-アルケニルオキシ、カルボキシ、オキソ(ケト又はアルデヒド官能性を形成)、C1−6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、アミノ、モノ-及びジ(C1−6-アルキル)アミノ;カルバモイル、モノ-及びジ(C1−6-アルキル)アミノカルボニル、アミノ-C1−6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-及びジ(C1−6-アルキル)アミノ-C1−6-アルキル-アミノカルボニル、C1−6-アルキルカルボニルアミノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6-アルキル-スルホニル-アミノ、C1−6-アルキル-スルホニル、C1−6-アルキル-スルフィニル、C1−6-アルキルチオ、ハロゲンから選択される基で置換されていてもよいことを意味するものであり、ここでいずれのアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルも、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルについて特に以下に記載されるように、置換されてもよい。
「ハロゲン」なる用語には、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードが含まれる。
本文脈において、「アリール」なる用語は、完全又は部分的な芳香族炭素環又は環系、例えばフェニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラシル(anthracyl)、フェナントラシル、ピレニル、ベンゾピレニル、フルオレニル、及びキサンセニル(xanthenyl)と意味するものであり、その中でもフェニルが好ましい例である。
「ヘテロアリール」なる用語は、一又は複数の炭素原子が、ヘテロ原子、例えば窒素(=N-又は-NH-)、硫黄、及び/又は酸素原子で置き換えられた、完全に又は部分的に芳香族性の炭素環又は環系を意味するものである。このようなヘテロアリール基の例は、ベンズイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、フリル、チエニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、インドリル、特にベンズイミダゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、フリル、チエニル、キノリル、テトラゾリル、及びイソキノリルである。
「ヘテロシクリル」なる用語は、一又は複数の炭素原子が、ヘテロ原子、例えば窒素(=N-又は-NH-)、硫黄、及び/又は酸素原子で置き換えられた、非芳香族炭素環又は環系を意味するものである。このようなヘテロシクリル基(環によって命名)の例は、テトラヒドロフラン、イミダゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジアゼパン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、オキサジナン(モルホリン)、及びチアジナンである。
本文脈において、すなわち「アリール」、「ベンジル」、「ヘテロアリール」、「ヘテロシクリル」等(例えば、「アリールオキシ」、「ヘテロアリールカルボニル」等)という用語に関連して、「置換されていてもよい」なる用語は、当該基が、1又は数回、好ましくは1−5回、特に1−3回、ヒドロキシ、C1−6-アルキル、C1−6-アルコキシ、オキソ(互変異性エノール型に存在し得る)、カルボキシ、C1−6-アルキルカルボニル、ホルミル、アミノ、モノ-及びジ(C1−6-アルキル)アミノ;カルバモイル、モノ-及びジ(C1−6-アルキル)アミノカルボニル、アミノ-C1−6-アルキル-アミノカルボニル、C1−6-アルキルカルボニルアミノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6-アルキル-スルホニル-アミノ、アリール-スルホニル-アミノ、ヘテロアリール-スルホニル-アミノ、C1−6-アルキル-スルホニル、C1−6-アルキル-スルフィニル、C1−6-アルキルスルホニルオキシ、スルファニル、アミノ、アミノ-スルホニル、モノ-及びジ(C1−6-アルキル)アミノ-スルホニル又はハロゲンから選択される基で置換されていてもよいことを意味するものであり、ここで置換基を表すいずれのアルキル、アルコキシ等も、ヒドロキシ、C1−6-アルコキシ、C2−6-アルケニルオキシ、アミノ、モノ-及びジ(C1−6-アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−6-アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1−6-アルキルチオ、C1−6-アルキル-スルホニル-アミノ、又はグアニジノで置換されていてもよい。
最も関心ある実施態様(本発明の第1及び第2の態様の双方に関連)では、C2-ドメインリガンド(例えばOPLS)は、0.1−100mM、例えば5−30mM、特に10−20mMの濃度で、細胞培養培地中に存在する。
また関心ある実施態様(本発明の第1及び第2の態様の双方に関連)では、C2-ドメインリガンドは、1−200mM、例えば50−150mM、特に70−130mMの濃度で、工程b)の細胞に添加される。
生産工程の詳細を、以下にさらに詳しく検討する。
大豆トリプシン阻害(SBTI)は、有利には、工程a)において、細胞培養培地のC2-ドメインリガンドと組合せられてもよいと言われている。よって、現在の好ましい実施態様においては、細胞培養培地は、大豆トリプシンインヒビターをさらに含有する。
大豆トリプシンインヒビターは、ダイズ(Glycine max)から単離される。大豆からの大豆トリプシンインヒビターは、2つのジスルフィド架橋により交差結合した単鎖ポリペプチドに181のアミノ酸残基を有するモノマータンパク質である。アミノ酸配列から決定される分子量は20.1kDaである。大豆トリプシンインヒビターは、1:1の化学量論複合体を形成することにより、その標的プロテアーゼを阻害する。
最も典型的な実施態様において、細胞培養培地での大豆トリプシンインヒビターの濃度は、0.01−100mg/mL、例えば0.1−10mg/mL、特異0.3−3mg/mLである。
植物性タンパク質加水分解物(時折は、「植物由来消化物」等と称される)は、有利には、工程a)において、細胞培養培地にでC2-ドメインリガンド(さらに、場合によっては大豆トリプシンインヒビター)と組合せられてもよい。よって、現在の好ましい実施態様において、細胞培養培地は、植物性タンパク質加水分解物をさらに含有する。
植物性タンパク質加水分解物は、種々の供給源、例えば商業的供給源から得ることができる。典型的な種類の加水分解物は、大豆タンパク質加水分解物、小麦タンパク質加水分解物、エンドウマメタンパク質加水分解物、コメタンパク質加水分解物等である。参照としてここに導入される国際公開第01/23527A1号には、大豆タンパク質加水分解物の調製及び一般的用途が開示されている。
最も典型的な実施態様において、細胞培養培地中の植物性タンパク質加水分解物の濃度は、0.1−100mg/mL、例えば1−10mg/mL、特に2−7mg/mLである。
第VIII因子ポリペプチド
本発明は、哺乳動物細胞における、第VIII因子ポリペプチドの生産に関する。成熟第VIII因子分子は、3つのホモログAドメイン、2つのホモログCドメイン、及び一つのBドメインに分類可能な、2332のアミノ酸からなり、A1-A2-B-A3-C1-C2の順序で配列している。血漿への分泌過程で、単鎖第VIII因子が、B-A3の境界、及びB-ドメイン内の異なる部位で切断されるので、第VIII因子は一連の金属イオン結合ヘテロダイマーに細胞内でプロセシングされる。このプロセシングにより、A1、A2及びB-ドメインの種々の部分からなる重鎖となり、90kDa〜200kDaの範囲の分子量を有する。重鎖は金属イオンを介して、A3、C1及びC2ドメインからなる軽鎖に結合している(Saenkoら. 2002)。血漿において、このヘテロダイマー第VIII因子は、高親和性でフォン・ヴィルブランド因子に結合しており、成熟前の異化からそれを保護している。vWFに結合した不活性な第VIII因子の半減期は、血漿中で約12時間である。
血液凝固プロセス中、第VIII因子は、タンパク質分解的切断を介して、重鎖内のアミノ酸Arg372及びArg740及び軽鎖内のArg1689で、トロンビン及びFXaにより活性化され、フォン・ヴィルブランド因子が放出され、活性化した第VIII因子ヘテロトリマーが生じ、リン脂質表面で、Ca2+が存在する場合、FIXa及びFXとテナーゼ錯体を形成するであろう。ヘテロトリマーは、50kDaのフラグメントであるA1ドメイン、43kDaのフラグメントであるA2ドメイン、及び73kDaのフラグメントである軽鎖(A3-C1-C2)からなる。よって、第VIII因子の活性化形態(第VIIIa因子)は、二価の金属イオン結合を介して、トロンビン-切断A3-C1-C2軽鎖に結合したA1-サブユニット、及びA1及びA3ドメインに比較的ゆるく結合した有利のA2サブユニットからなる。
B-ドメイン(B-ドメイン欠失第VIII因子、又はBDD-FVIII)から誘導された小リンカーに結合した、第VIII因子の重鎖(HC)と軽鎖(LC)からなる第VIII因子分子は、全長(天然)第VIII因子の生物活性を保持している。
本発明の方法の実施において、治療的に有用、例えば出血の防止又は処置に効果的な任意の第VIII因子ポリペプチドは関連していてもよい。限定されるものではないが、これには、野生型ヒト第VIII因子、ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子及びB-ドメイン欠失ヒト第VIII因子が含まれる。
ここで使用される場合、「第VIII因子ポリペプチド」には、限定されるものではないが、第VIII因子、並びに第VIII因子関連ポリペプチドが含まれる。
「第VIII因子」なる用語は、限定されるものではないが、Tooleら, Nature 1984, 312: 342-347に記載されているようなアミノ酸配列を有するポリペプチド(野生型ヒト第VIII因子)、並びに他の種から誘導される野生型第VIII因子、例えばウシ、ブタ、イヌ、マウス、及びサケの第VIII因子を含むことを意図している。それは、一個人から他者に存在し得る又は生じ得る、第VIII因子の天然対立遺伝子変異をさらに含む。また、グリコシル化又は他の翻訳後修飾の程度及び位置は、選択される宿主細胞及び宿主細胞環境の種類に依存して変化し得る。また、「第VIII因子」なる用語は、それらの未切断(チモーゲン)形態にある第VIII因子ポリペプチド、並びに第VIIIa因子と命名される、タンパク質分解的にプロセシングされて、それぞれの生物活性形態を生じるものを含むことを意図している。
「第VIII因子-関連ポリペプチド」には、限定されるものではないが、ヒトVII因子に対して化学的に修飾された(すなわち、第VIII因子誘導体)、及び/又はヒト第VIII因子に対して一又は複数のアミノ酸配列変化を有する(すなわち、第VIII因子変異体)、及び/又はヒト第VIII因子に対して切断されたアミノ酸配列を有する(すなわち第VIII因子フラグメント)、第VIII因子ポリペプチドが含まれる。このような第VIII因子-関連ポリペプチドは、安定性、リン脂質結合性、変化した比活性等を含む、ヒト第VIII因子とは異なる特性を示す可能性がある。「第VIII因子-関連ポリペプチド」なる用語は、それらの未切断(チモーゲン)形態にあるこのようなポリペプチド、並びに「第VIIIa因子-関連ポリペプチド」又は「活性化第VIII因子-関連ポリペプチド」と命名される、タンパク質分解的にプロセシングされて、それぞれの生物活性形態を生じるものを含むことを意図している。
ここで使用される場合、「第VIII因子-関連ポリペプチド」には、限定されるものではないが、野生型ヒト第VIII因子に対して、実質的に同じ又は改善された生物活性を示すポリペプチド、並びに第VIII因子生物活性が野生型ヒト第VIII因子の活性に対して、実質的に変化又は低減しているポリペプチドが含まれる。これらのポリペプチドには、限定されるものではないが、化学的に修飾された第VIII因子又は第VIIIa因子、及びポリペプチドの生物活性を修飾又は混乱させる、特定のアミノ酸配列変化が導入された第VIII因子変異体が含まれる。
さらに、わずかに修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、例えばN末端アミノ酸欠失又は付加を含む、修飾されたN末端を有するポリペプチド、及び/又はヒト第VIII因子に対して化学的に修飾されたポリペプチドがさらに含まれる。
野生型第VIII因子と実質的に同じ又はさらに良好な生物活性を示す、又は野生型第VIII因子に対して実質的に変化又は低下した生物活性を示すかどうかにかかわらず、第VIII因子変異体を含む第VIII因子-関連ポリペプチドには、限定されるものではないが、一又は複数のアミノ酸の挿入、欠失、又は置換により、野生型第VIII因子の配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
変異体を含む第VIII因子-関連ポリペプチドには、本明細書に記載されているような、第VIII因子活性アッセイでテストした場合に、同じ細胞種で生成する野生型第VIII因子に特定の活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、及び少なくとも約130%を示すものが含まれる。
野生型第VIII因子に対して実質的に同じ又は改善された生物活性を有する変異体を含む第VIII因子-関連ポリペプチドには、本明細書(材料及び方法)に記載されているような、一又は複数の特定の第VIII因子活性アッセイでテストした場合に、同じ細胞種で生成する野生型第VIII因子に特定の生物活性の少なくとも約25%、例えば少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は少なくとも約90%を示すものが含まれる。
野生型第VIII因子に対して実質的に低減した生物活性を有する変異体を含む第VIII因子-関連ポリペプチドには、本明細書(材料及び方法)に記載されているような、一又は複数の特定の第VIII因子活性アッセイでテストした場合に、同じ細胞種で生成する野生型第VIII因子に特定の生物活性の少なくとも約25%、例えば少なくとも約10%、又は少なくとも約5%を示すものである。
第VIII因子ポリペプチドの非限定的例には、例えばFulcherら; Proc. Acad. Nat. Sci. USA 1982; 79:1648-1652、及びRotblatら; Biochemistry 1985; 24:4294-4300に記載されているような、血漿誘導性ヒト第VIII因子、及び例えばFassら; Blood 1982; 59: 594-600及びKnutsonら; Blood 1982; 59: 615-624に記載されているような血漿誘導性ブタFVIIIが含まれる。第VII因子配列変異体の非限定的例は、例えばLollarら; Blood 2000; 95(2): 564-568 (ハイブリッドブタ/ヒトFVIIIポリペプチド)、及びLollarら; Blood 2001; 97(1): 169-174に記載されている。
第VIII因子のcDNAのクローニング(Wood, W.Iら. (1984) Nature 312, 330-336; Vehar, G.Aら. (1984) Nature 312, 337-342)により、1992年〜2003年、監督機関に承認されている、いくつかの組換え第VIII因子生成物の開発に至らしめる、第VIII因子の組み換え的発現が可能になる。第VIII因子(cDNA)をコードする配列を図1に示す。アミノ酸Arg-740とGlu-1649の間に存在する第VIII因子ポリペプチド鎖の中心Bドメインが、完全な生物活性にとって必要であるとは思われないという事実から、B-ドメイン欠失第VIII因子の開発に至った。また、Kjalke M, Heding A,Talbo G, Persson E, Thomsen J及びEzban M (1995), 「Amino acid residues 721-729 are required for full Factor VIII activity」. Eur. J. Biochem: 234: 773-779を参照。
工程a)−細胞の形質移入と培養
細胞
第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞は、典型的には、第VIII因子ポリペプチドを内因的に発現する哺乳動物細胞、及び第VIII因子ポリペプチドの遺伝子で形質移入された哺乳動物細胞からなる群から選択される。
後者の現在関心ある一実施態様において、哺乳動物細胞は、第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸分子を含有する発現ベクター、及びそれに作用可能に結合する発現制御領域で形質移入されている。
細胞におけるタンパク質の発現は、タンパク質生成の分野で当業者によく知られている。本発明の実施において、細胞は、哺乳動物細胞、好ましくは、限定されるものではないが、CHO(例えば、ATCC CCL 61)、COS-1(ATCC CRL 1650)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、及びHEK293(ATCC CRL 1573; Grahamら, J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞系を含む、認定された哺乳動物細胞系である。好ましいBHK細胞系は、 tk ts13BHK細胞系(Waechter及びBaserga, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106-1110, 1982)であり、以後BHK570細胞と称する。BHK570細胞系は、ATCC受入番号CRL 10314にて、American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Dr., Rockville, MD. 20852から入手可能である。また、tk ts13BHK細胞系は、受入番号CRL 1632にて、ATCCから入手可能である。好ましいCHO細胞系は、受入番号CCl61にて、ATCCから入手可能なCHO K1細胞系、並びに細胞系CHO-DXB11及びCHO-DG44である。
他の適切な細胞系には、限定されるものではないが、Rat Hep I(ラット肝細胞腫;ATCC CRL 1600)、Rat Hep II(ラット肝細胞腫;ATCC CRL 1548)、TCMK(ATCC CCL 139)、ヒト肺(ATCC HB 8065)、NCTC1469(ATCC CCL 9.1);DUKX細胞(CHO細胞系)(Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)(DUKX細胞はDXB11細胞とも称される)、及びDG44(CHO細胞系)(Cell, 33: 405, 1983, 及びSomatic Cell and Molecular Genetics 12: 555, 1986)が含まれる。さらに、3T3細胞、Namalwa細胞、骨髄腫、及び骨髄腫と他の細胞との融合体も有用である。いくつかの実施態様において、細胞は、変異又は組換え細胞、例えばそれらが誘導される細胞腫よりも、タンパク質の翻訳後修飾を触媒する酵素(例えば、グリコシル化酵素、特にグリコシルトランスフェラーゼ及び/又はグルコシダーゼ、又はプロセシング酵素、特にペプチダーゼ)の定性的及び定量的に異なるスペクトルを発現する細胞であってよい。DUKX細胞(CHO細胞系)が特に好ましい。
現在好ましい細胞は、HEK293、COS、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)及び骨髄腫細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
細胞培養
いくつかの実施態様において、本発明の実施に使用される細胞は、浮遊培養で増殖可能である。ここで使用される場合、懸濁液-コンピテント細胞は、大きくて堅い凝集体を形成することなく、懸濁液中で増殖可能なもの、すなわち、凝集体毎に数個の細胞のみがゆるく会合して増殖する、又は単分散している細胞である。懸濁液-コンピテント細胞には、限定されるものではないが、適合化又は操作なしに懸濁液で増殖する細胞(例えば、造血細胞又はリンパ球系細胞)、及び懸濁液増殖への、付着依存性細胞(例えば、上皮又は線維芽細胞)の漸次的適合化により懸濁液-コンピテントにされた細胞が含まれる。
本発明の実施に使用される細胞は、接着細胞(また、足場依存性細胞又は付着依存性細胞とも称される)であってよい。ここで使用される場合、接着細胞は、繁殖及び増殖にとって、適切な表面へ、それら自身を接着又は固定することが必要なものである。本発明の一実施態様において、使用される細胞は接着細胞である。これらの実施態様において、増殖段階及び生成段階の双方には、マイクロキャリアの使用が含まれる。使用される接着細胞は、増殖段階中に担体上(マイクロキャリアが使用される場合は、担体の内部構造)に移動し、生成用バイオリアクターに移された際には、新規の担体に移動可能なものであるべきである。接着細胞が、それら自身での新規の担体への移動に不十分であるならば、タンパク質分解酵素又はEDTAを用い、細胞含有マイクロキャリアと接触させることにより、担体から解放させてもよい。使用される培地(特に、動物由来成分がない場合)は、接着細胞を支持するのに適した成分をさらに含有しているべきであり;接着細胞の培養に適した培地は、市販供給者、例えばSigmaから入手可能である。
また細胞は、懸濁液-適合性又は懸濁液-コンピテント細胞であってもよい。このような細胞が使用される場合、細胞の増殖は懸濁液中でなされ、よってマイクロキャリアは、生成培養容器自体において、最終的な増殖段階、及び生成段階でのみ使用される。懸濁液-適合細胞のケースでは、使用されるマイクロキャリアは、典型的にはマクロ多孔質キャリアであり、ここで細胞は、担体の内部構造内の物理的取込手段により付着している。しかしながら、このような懸濁液-適合細胞のケースでは、細胞の増殖及び生成の双方が、懸濁液でなされてもよい。このような実施態様において、哺乳動物細胞は、典型的にはCHO、BHK、HEK293、骨髄腫細胞等から選択される。
細胞培養培地
上述した要素、すなわちC2-ドメインリガンド(本発明の第1の態様に関連し、本発明にとって必要なもの)、任意の大豆トリプシンインヒビター、及び任意の植物性タンパク質加水分解物の他に、細胞培養培地は、細胞の増殖及び第VIII因子ポリペプチドの生成に必要であり、当業者によく知られている多くの他の成分を含有する。
「細胞培養培地」(又は単に「培地」)なる用語は、典型的には次のカテゴリー:(1)培地の浸透圧の一因である塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム;(2)通常は炭水化物の形態であるエネルギー源、例えばグルコース;(3)全ての必須アミノ酸、及び通常は20のアミノ酸の基本セット;(4)低濃度で要求されるビタミン類及び/又は他の有機化合物;及び(5)微量元素の一又は複数から選択される少なくとも一の成分を提供する、哺乳動物細胞を増殖させるのに使用される栄養液を称し、ここで微量元素は、通常はミリモル範囲の非常に低濃度で典型的には必要とされる無機化合物と定義される。栄養液には、場合によっては次のカテゴリー:(a)ホルモン類、及び他の増殖因子、例えばインスリン、トランスフェリン、及び上皮増殖因子;及び(b)タンパク質及び組織の加水分解物の任意のものの一又は複数の成分が補給されていてもよい。好ましくは、細胞培養培地は、動物由来の任意の成分を含有しない。
本発明は、動物由来成分を欠く培地において、哺乳動物細胞を培養することを含む。ここで使用される場合、「動物由来」成分は、無傷動物において生成される任意の成分(例えば、血清から単離及び精製されたタンパク質)、又は無傷動物において生成された成分を使用して生成される成分(例えば、動物から単離及び精製された酵素を使用し、植物源物質を加水分解することにより作製されるアミノ酸)である。それに対し、動物性タンパク質の配列を有する(すなわち、動物由来のゲノムを有する)が、無傷動物において生成、さらに単離及び精製された成分を欠く培地において、細胞培養(例えば、組換え酵母、又は細菌細胞、又は認定された連続哺乳動物細胞株)にてインビトロで生成されるタンパク質は、「動物由来」成分(例えば、酵母又は細菌細胞で生成されるインスリン、又は認定された哺乳動物細胞系、例えばCHO、BHK又はHEK細胞で生成されるインスリン、又はNamalwa細胞で生成されるインターフェロン)ではない。例えば、動物由来の配列を有する(すなわち、動物由来のゲノムを有する)が、動物由来成分(例えば、酵母又は細菌細胞において生成されるインスリン)を欠く培地において、組換え細胞にて生成されるタンパク質は、「動物由来成分」ではない。従って、動物由来成分を欠く細胞培養培地は、組換え的に生成される動物性タンパク質を含有していてもよいものであるが;このような培地は、例えば動物血清又はタンパク質、もしくは動物血清から精製される他の生成物を含有しない。このような培地は、例えば植物由来の一又は複数の成分を含有していてもよい。細胞増殖を支持し、本発明の条件下で保持される、任意の細胞培養培地、特に動物由来成分を欠くものが使用されてよい。典型的には、培地は、水、浸透圧調節剤、バッファー、エネルギー源、アミノ酸、無機又は組換え鉄源、一又は複数の合成又は組換え増殖因子、ビタミン類、及び補助因子を含有する。一実施態様において、培地は動物由来成分を欠き、タンパク質を欠く(「タンパク質-フリー」)。動物由来の成分及び/又はタンパク質を欠く培地は、商業的供給者、例えばSigma、JRH Biosciences、Gibco、Hyclone、及びGeminiから入手可能である。
一実施態様において、細胞培養培地は、本質的に無血清である。他の実施態様において、培地は動物由来成分を欠く培地である。さらなる実施態様において、培地は、タンパク質を欠く(「タンパク質フリー」)並びに動物誘導成分を欠く。
一実施態様において、培地は、EXCELLTM (SAFC Biosciences)、PF-CHO、PF-CHO-LS、SFM4CHO、又はCDM4CHO(全てHycloneから)等、動物由来成分を欠く、商業的に入手可能なタンパク質フリーのCHO培地であり、細胞系はCHO細胞である。
いくつかの実施態様において、本発明の実施に使用される細胞は、動物由来成分を欠く培地、例えば血清を欠く培地における懸濁液増殖に適合している。このような適合手順は、例えばScharfenbergら, Animal Cell Technology Developments towards the 21st Century, E. C. Beuveryら. (編), Kluwer Academic Publishers, pp. 619-623, 1995 (BHK及びCHO細胞); Cruz, Biotechnol. Tech. 11:117-120, 1997 (昆虫細胞); Keen, Cytotechnol. 17:203-211, 1995 (骨髄腫細胞); Bergら, Biotechniques 14:972-978, 1993 (ヒト腎臓293細胞)に記載されている。特に好ましい実施態様において、宿主細胞は、ヒト第VIII因子を発現するように設計され、血清又は動物由来成分の不在下での増殖に適合した、BHK21又はCHO細胞である。
細胞培養手順
本発明の方法は、典型的には攪拌培養容器中で実施され、ドロー-フィル(draw-fill)プロセスタイプが典型的に使用される。このプロセスにおいて、細胞は播種後に増殖し、所定密度に達すると、培養体の約70%を収集し、残った培養体に、最初の容量まで、新たな細胞培養培地を補給する。これを、典型的には約2-10回繰り返す。
また、マイクロキャリアプロセスタイプを使用してもよい。マイクロキャリアベースのプロセスにおいては、細胞は担体(マクロ多孔質キャリア)の内部構造に移動するか、又は担体表面(固体状キャリア)にそれら自体が結合する、又はその双方である。マイクロキャリアベースのプロセスにおいて、哺乳動物細胞、マイクロキャリア及び細胞培養培地は、最初に、培養容器に供給される。次の日、培養容量が出発時からの容器の最終的作業容量になっていないならば、付加的な細胞培養培地を供給してもよい。次の期間、生成物含有培養上清の定期的収集及び新たな液体培地の交換を、最終的に、培養が終了するまで実施する。生成物含有上清を収集する際に、培養体のかき混ぜ、例えば攪拌を停止し、細胞含有担体を沈殿させ、その後、生成物含有細胞培養上清の一部を取り出す。手順の全体的な結果を改善させるために、好ましくは、生成物含有上清の収集前に、冷却工程が適用され、例えば国際公開第03/029442号が参照される。いくつかの実施態様において、細胞培養培地は、担体を沈殿させる前に、約18℃〜約32℃、又は約20℃〜約30℃、又は約22℃〜約28℃の温度まで冷却される。
細胞培養手順の他の適用可能な変形例は、国際公開第02/29084号(Novo Nordisk A/S)に記載されている。
生成段階に達する前に、さらなる下流プロセシングのための、生成物含有培養上清の定期的収集を実施し、当該問題における特定の細胞に適した任意のスキーム又は常套手段に従い、細胞を増殖させる。増殖段階は、単一工程又は多工程手段であってよい。単一工程の増殖手順において、細胞は保管庫から取り出され、培養容器(場合によってはマイクロキャリアを含有)に直接播種され、ここで生成が生じるであろう。多工程の増殖手順において、細胞は保管庫から取り出され、最終培養容器(場合によってはマイクロキャリアを含有)に達するまで、徐々にサイズを増していった複数の培養容器を通って増殖させ、ここで生成が生じるであろう。増殖工程中、細胞は、増殖に最適な条件下で増殖させられる。培養条件、例えば温度、pH、溶解した酸素圧、溶解したCO濃度等は、特定の細胞にとって最適であると知られているものであり、当業者又はこの分野の専門家にとっては明らかであろう(例えばAnimal Cell Culture: A Practical Approach 2nd Ed., Rickwood, D.及びHames, B.D.,編, Oxford University Press, New York (1992))を参照)。
一アプローチにおいて、細胞培養プロセスは、ひとつの培養容器で行われる:細胞は培養容器(場合によってはマイクロキャリアを含有)に直接播種され、ここで生成が生じ;細胞は適切な細胞密度に達するまで増殖し、生成段階が開始される。
他のアプローチにおいて、細胞培養プロセスは、少なくとも2つの別々の培養容器で行われる:一又は複数の播種用培養容器(類)(第1の増殖工程(類))、続いて生成培養容器(最後の増殖工程に続き、生成段階)。第1の増殖工程において、所望のポリペプチドを発現する細胞を、細胞培養培地を含有する播種用培養容器に播種し、細胞が最小交差播種(minimum cross-seeding)密度に達するまで増殖させる。続いて、増殖した播種培養体を、細胞培養培地及び(場合によっては)マイクロキャリアを含有する生成用培養容器に移す。マイクロキャリアを使用するプロセスの場合、細胞は、細胞が固体状担体の表面、又はマクロ多孔質キャリアの外部又は内部表面に移動する条件下で、この培養容器にて培養され、細胞により、担体が完全にコロニー化するまで、この最後の増殖工程で増殖させ続ける。この最後の増殖工程中、マイクロキャリアを培養容器の底に沈殿させることで、培地交換を実施し、その後、タンク容量から所定パーセンテージを取り除き、相当するパーセンテージのタンク容量の新鮮な培地を容器に添加する。ついで、マイクロキャリアを培地に再懸濁させ、培地除去及び交換のこのプロセスを、所定間隔、他24時間後毎に繰り返す。交換される培地の量は細胞密度に依存し、典型的にはタンク容量の10-95%、好ましくは25%-80%であってよい。
懸濁プロセス、例えば灌流、バッチ又はドロー-フィルプロセスにおいて、細胞は、担体に固定されることなく、新たに懸濁して増殖する。懸濁細胞-灌流プロセスにおいて、細胞は、動物由来成分を欠く培養培地を含有する播種用培養容器に播種され、細胞が最小交差播種密度に達するまで増殖させる。続いて、増殖した播種培養体を、動物由来成分を欠く培養培地を含有する大規模培養容器に移し、少なくとも所定の細胞密度に達するまで増殖させる。この段階において、細胞は懸濁液中で増殖させ、培養容器内の細胞数を、所定の又は臨界値まで増加させる。新鮮な培地で、培養容器を還流し続けながら、培地交換を実施する。
還流される培地の量は細胞密度に依存し、典型的には、1日(24時間)当たり、タンク容量の10-95%、好ましくは25%-80%であってよい。細胞密度が生成段階の開始に適した値に達すると、タンク内のタンク培地の60-95%、例えば約80%が、典型的には24時間後値に交換される。生成段階に好ましく使用されるのは、80%の培地交換である。
単一のバッチ工程において、細胞は動物由来成分を欠く培養培地を含有する播種用培養容器に播種され、細胞が最小交差播種密度に達するまで増殖させる。続いて、増殖した播種培養体を、動物由来成分を欠く培養培地を含有する大規模培養容器に移す。
バッチプロセス、例えばこれは、タンクに栄養濃縮液を供給することにより延長させることができる。これによりプロセス時間が延長され、最終的に、培養容器内のFVII生成の増加に至る。収集時間は、最も長くすることができるタンク操作と細胞溶解の危険性との間のバランスによって決定しなければならない。
単純なドロー-フィルプロセスは、繰り返しバッチ発酵にかなり似ている。バッチ発酵において、細胞は培養培地で増殖し、培地は操作の終了時に収集される。ドロー-フィルプロセスにおいて、培養容器は、任意の栄養素が使い果たされる前に収集される。容器から全ての内容物を除去する代わりに、タンク容量の一部分のみ(典型的にはタンク容量の80%)を除去する。収集後、同じ容量の新鮮な培地を容器に戻す。ついで、細胞を容器内でもう一度増殖させ、別の80%の収集が定まった日数の後になされる。繰り返しバッチプロセスにおいて、収集後、細胞を容器に残し、次のバッチの接種用として使用してもよい。
ドロー-フィルプロセスは2段階で操作される。プロセスの第1段階は、単一のバッチプロセスと同様に操作される。最初の収集後、培養容器は、単一バッチプロセスとして再度操作されるが;最初の細胞密度が高いため、バッチ長さは最初のバッチより短い。これらの短い「繰り返しバッチ段階」を同じように繰り返す。
フェド-バッチ・ドロー-フィルは、フェド-バッチプロセスにおいて提案されるタイプに類似した濃縮供給液を用いたドロー-フィル発酵である。単一のドロー-フィルプロセスに関し、添加される新鮮な培地は、繰り返しバッチ発酵上の細胞を養うには不十分であるかもしれない。供給液の包含物はこの懸念を取り除く。また供給液により、ドロー-フィルプロセスにおいて、長いバッチ時間、培養容器を操作できるであろう。
培養容器は、広範囲のサイクル時間及び広範囲のドロー-フィル容量内で操作されてよい。範囲及び好ましい値を、以下の表1に示す。
Figure 0005506664
増殖段階が多工程手順であるプロセスにおいて、増殖は、最終培養容器に投入されるのに十分な数の細胞が得られるまで、徐々にサイズを増していく培養容器において生じ得る。例えば、5L、50L、100L又は500Lの一又は複数の播種用培養容器を、連続して使用してもよい。典型的には、播種用培養容器は、5L〜1000Lの容量を有している。典型的には、細胞は、約0.2〜0.4x10細胞/mLの最初の密度で、播種用培養容器に播種され、培養体が約1.0x10細胞/mLの細胞密度に達するまで、増殖させる。典型的には、最小交差播種密度は、0.8〜約1.5x10細胞/mLである。
第VIII因子の生成に適切な設定点のいくつかは、播種培養又はマイクロキャリアにおいて、細胞の最初の増殖には必ずしも適切ではない。例えば、温度、溶解した酸素圧、及び/又はpHは、2つの段階で異なっていてもよい。増殖中の培地交換は、細胞の生存及び増殖が保持されるようになされ、下流プロセシングのための培養上清を収集しない。
場合によっては、培養における温度低下の設定点は、生成段階に入るとき、また生成段階中に使用されてもよい。さらに、生成段階に入る際の、温度、操作pH、及び培地交換頻度は、典型的には生成に最適な値になるように変えられる。
マイクロキャリア
ここで使用される場合、マイクロキャリアは、(細胞にあまり剪断損傷が生じない攪拌速度で)浮遊培養に使用可能な程度に小さい粒子である。それらは固体状、多孔質であり、表面がコーティングされた多孔質の固体状コア部を有する。例えば、限定されるものではないが、マイクロキャリアはセルロース-又はデキストラン-ベースであってよく、それらの表面(多孔質担体の場合は外部又は内部表面)は、正に帯電していてもよい。さらなる詳細は、 国際公開第02/29083号、及び「Microcarrier cell culture, principles and methods. Amersham Pharmacia Biotech. 18-1140-62. Edition AA」において見出すことができる。
有用な固体状マイクロキャリアには、限定されるものではないが、Cytodex 1TM及びCytodex 2TM(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)が含まれる。固体状担体は、接着細胞(足場依存性細胞)に特に適している。有用なマクロ多孔質キャリアには、限定されるものではないが、Cytopore 1TM及びCytopore 2TM(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)が含まれる。
特に好ましいのは、230μmの平均粒子径、30μmの平均孔サイズ、及び1.1meq/gの正の電荷密度を有する、Cytopore 1TMキャリアである。
大規模培養条件
本発明は、大規模生成に特に関連している。「大規模生成」なる用語は、少なくとも100Lの培養容器を含む生成を意味している。しかしながら、好ましい実施態様において、規模は、典型的には少なくとも250L、例えば少なくとも500L、例えば少なくとも1000L、又は5000L又はそれ以上である。「大規模」なる用語は、「工業的規模」及び「生成規模」と交換可能に使用されてよい。
ポリペプチドを大規模生成する方法は、典型的には、少なくとも120時間、例えば1-26週間以上実施される。
少なくとも2つの異なる培養容器例えば一又は複数の播種用培養容器(類)(第1の増殖工程(類))、続く生成用培養容器(最後の増殖工程の後に生成段階が続く)で、細胞培養プロセスが行われるケースにおいて、プロセスは、150Lの細胞培養培地を含有する500Lの培養容器に、典型的には、約50Lの増殖播種培養体(約1.0x10細胞/mLを有する)を移すことを含む。大規模培養は、例えば温度、pH、溶解した酸素圧(DOT)、及び攪拌速度の適切な条件下で維持され、培養容器に培地を添加することにより、容量を徐々に増加させていく。マイクロキャリアプロセスのケースにおいて、培養容器は、1〜10g/Lの範囲の最終マイクロキャリア濃度に相当する量のマイクロキャリアを含有する。移した後、典型的には最初の24時間以内に、細胞は、担体の表面又は担体の内部に移動される。
培養容器
本発明で適用可能な培養容器は、従来からのインペラ型により攪拌される、従来からの攪拌型タンク反応器(CSTR)、又は容器の底から空気を導入することにより攪拌されるエアリフト反応器に基づいていてよい。特定の制限内で制御される、典型的なさらなるパラメータは、pH、溶解した酸素圧(DOT)、溶解したCO濃度及び温度である。溶解した酸素圧は、例えば純粋な酸素をスパージすることにより維持されてもよい。溶解したCO濃度は空気をスパージすることにより維持されてよい。温度制御された培地は、典型的には水であり、必要に応じて加熱又は冷却される。水は容器を包囲するジャケット、又は培養体に浸されたパイピングコイルを通過してよい。
「培養容器」なる用語は、「タンク」、「反応器」、「発酵槽」及び「バイオリアクター」と交換可能に使用されてよい。
工程b)−発現したポリペプチドの単離
この工程b)において、第VIII因子ポリペプチドは、適切な手段により、哺乳動物細胞から単離される。典型的な実施態様において、細胞は培地から取り出すことができ、培地は、1.0μm〜0.2μmフィルターを通過させ、収集体を逐次濾過する手段により浄化される。
ついで有利には、培地(細胞培養上清)中の第VIII因子は、カチオン交換クロマトグラフィーによりアップコンセントレーションされてよく、ここで第VIII因子に富むフラクションがプールされる。ついで、第VIII因子ポリペプチドが抗-第VIII因子抗体カラム(例えば、F25抗体カラム、 例えば国際公開第95/13301号、及び/又はNordfangら. 1995 (Thromb. Haemostas. 54:586-590)を参照)に結合させ、第VIII因子ポリペプチド活性が保存される条件下で溶出させることにより精製され得る。さらに、不純物はゲル濾過によるバッファー交換で取り除いてもよい。
本発明の第2の態様に従うが、本発明の第1の態様に関しても有用である、C2-ドメインリガンドは、細胞からの第VIII因子ポリペプチドの単離を容易にするために添加され、すなわち、C2-ドメインリガンド(例えばOPLS)は、細胞に結合した第VIII因子ポリペプチドを解放するために添加される。
本発明の特定の特徴は、哺乳動物細胞を不活性化又は破壊することなく、細胞から第VIII因子ポリペプチドを単離可能であるということである。よって、特定の実施態様において、発現した第VIII因子ポリペプチドは、細胞の生存能力を実質的に減じることなく、細胞培養培地から収集される。さらに、同じバッチの細胞を使用して、生成を継続可能であるならば、有利である。
第VIII因子ポリペプチドを含有する培地が細胞から単離されると、所望のタンパク質を精製するために、限定されるものではないが、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動手法(例えば、調製用等電点電気泳動法)、示差溶解度(例えば、硫酸アンモニウム沈殿法)、又は抽出等を含む、一又は複数のプロセシング工程にかけてもよい。一般的に、Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982; 及びProtein Purification, J.-C. Janson及びLars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照。
第VIII因子ポリペプチドの精製は、特に抗-第VIII因子抗体カラムにおいてのアフィニティクロマトグラフィー、及びタンパク質分解的切断による活性化に関与している。
以下の実施例は本発明の非限定的例証を意図している。
材料及び方法
細胞系:形質移入に使用される細胞系、dhfr-CHO細胞 DUKX-B11細胞(Urlaub, G. & Chasin, L. A. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77, 4216-4220)を、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドが補給された無血清の培地を使用し、浮遊培養での増殖に適合させた。
発現ベクター:アデノウイルス-SV40プロモータ、及びジ-ヒドロフォラートレダクターゼ選択マーカーによる選択を使用し、第VIII因子形質移入を実施する。発現した第VIII因子分子は、B-ドメインから誘導された小リンカーと結合した第VIII因子の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)からなる。これにより、第VIII因子のより高度な発現、及び第VIII因子の生物活性が保持されるために、B-ドメインが除去される。
形質移入:β-ラクタマーゼ遺伝子を、プラスミド#815 F8-500B-pTSV7からの制限酵素を用いて消化することにより除去し、得られた第VIII因子遺伝子を含有するフラグメントをゲル精製し、FuGENE 6(Roche)を使用して、CHO DUKX-B11細胞の形質移入に使用した。リボヌクレオシド及びデオキシヌクレオシド、及び10%の透析されたFBSが補給されたα-MEM培地(Gibco)における6-ウェルプレートにて、形質移入を実施した。形質移入の2日後、リボヌクレオシド及びデオキシヌクレオシドは含有しないが、10%の透析されたFBSは含有する、α-MEM培地(Gibco)におけるTC80フラスコに、細胞を移した。15日間生存している形質移入体を選択した後、MTXを用いた段階的増幅を開始した。このプロセス中に実施される、いくつかのサブクローニングを用い、1000nM MTXまで、細胞を増幅した。
SF適合及び細胞培養:SF培地におけるFBSの濃度を段階的に低下させることによって、細胞を無血清の培地での増殖に適合させた。
無血清の培地の補給実験中の細胞培養:培地の補給実験のために、以下に記載するように、無血清の培地において、35℃で、空気抜きキャップを有する50mLのシェーカーチューブにおいて、高細胞密度の灌流モデルに細胞を培養した。37℃で、大きなシェーカーフラスコにて、細胞を培養した。細胞生存能力を細胞収集体で測定し、これは常に>95%であった。収集された細胞を新鮮な培地に再懸濁した。2.5mLの収集され、再懸濁された細胞を、供給物を含有する2.5mLの新鮮な培地に添加し、1x10細胞/mLの濃度を有する、5mLの全容量にした。ついで、シェイカーチューブを35℃、250rpmでシャーカーに配した。24時間後、細胞密度、生存能力、CoA、ELISA、及びウエスタンブロットによる第VIII因子タンパク質に完全性についで、サンプルをアッセイした。
細胞生存能力:細胞培養体の生存能力を、例えばMammalian Cell Culture; essential techniques, 1997 (Wiley) Editors: A. Doyle及びJ. Bryan Griffiths (例えば、プロトコル13及び14を参照)に記載されているようにして測定してよい。
CoAアッセイ(第VIII因子活性アッセイ):カルシウム及びリン脂質の存在下、第X因子を、第IXa因子により、第Xa因子に活性化させる。この生成は、この反応において補助因子とみなされ得る、第VIII因子によりかなり刺激される。最適量のCa2+及びリン脂質、及び過度の第IXa及びX因子を使用することにより、第X因子の活性化速度が、第VIII因子にのみ依存するようになる。第Xa因子は、発色基質S-2765を加水分解し、よって発色基、pNAを遊離させる。ついで、405nmでの色調を光度的に読み取る。生成した第Xa因子、よって色調の強度は、サンプル中の第VIII因子活性に比例する。形成されたトロンビンによるS-2765の加水分解は、基質と共に、合成トロンビンインヒビター、I-2581を添加することにより防止される(Chromogenix Coatest SP Factor VIII, diaPharma)。
フラグメント活性についての他のテスト:第VIII因子活性を検出するためのさらに適切なアッセイを、例えばKirkwood TBL, Rizza CR, Snape TJ, Rhymes IL, Austen DEG. Identification of sources of interlaboratory variation in factor VIII assay. B J Haematol 1981; 37; 559-68.;又はKesselsら, British Journal of Haematology, Vol. 76 (Suppl.1) pp. 16 (1990))に記載されているような、インビトロテストとして実施することができる。また、第VIII因子の生物活性を、例えばNilssonら, 1959.(Nilsson IM, Blombaeck M, Thilen A, von Francken I., Carriers of haemophilia A - A laboratory study, Acta Med Scan 1959; 165:357)に記載されたようにして、第VIII因子欠失血漿の凝固時間を補正する、調製物の能力を測定することにより定量してもよい。このアッセイにおいて、生物活性は、正常なプールされた血漿に存在するFVIIIの量に対応する、単位/ml血漿(1単位)として表す。
ELASA:ストリップ・ウェルを、ヒト第VIII因子に対するヒツジポリクローナル抗体で、予めコーティングしておく。存在する第VIII因子抗原はコーティング抗体に結合する。未結合の物質を洗い流した後、抗体を検出するペルオキシダーゼ標識されたヒツジ検出抗体を適用し、捕捉された第VIII因子に結合させる。再度、ウェルを洗浄し、TMB(ペルオキシダーゼ基質テトラメチルベンジジン)の溶液を適用し、固定された時間反応させる。酸との反応がクエンチしたときに、黄色に変化する青色の色調に発色する。形成した色調を、450nmで、マイクロプレートリーダーにおいて分光光度的に測定する。450nmでの吸光度は、ウェルに捕捉される第VIII因子抗原の量に直接比例する(VisuLize, FVIII antigen kit, Affinity biologicals)。精製されたB-ドメイン検出第VIII因子を使用し、アッセイを較正する。
F25 ELISA:ELISA:ストリップ・ウェルを、ヒト第VIII因子に対するヒツジポリクローナル抗体で、予めコーティングしておく。存在する第VIII因子抗原はコーティング抗体に結合する。未結合の物質を洗い流した後、第VIII因子重鎖のC末端を認識する、希釈されたF25マウスモノクローナル抗-第VIII因子抗体を適用し、捕捉された第VIII因子に結合させる。再度、ウェルを洗浄し、希釈され、ペルオキシダーゼ標識されたヤギ抗-マウスIgG(DAKO)を適用し、捕捉されたF25抗体に結合させる。再度、ウェルを洗浄し、TMB(ペルオキシダーゼ基質テトラメチルベンジジン)の溶液を適用し、固定された時間反応させる。酸との反応がクエンチしたときに、黄色に変化する青色の色調に発色する。形成した色調を、450nmで、マイクロプレートリーダーにおいて分光光度的に測定する。450nmでの吸光度は、ウェルに捕捉される第VIII因子抗原の量に直接比例する。F25抗体で親和精製された重鎖第VIII因子のスタンダードを内部で使用し、アッセイを較正する。(F25抗体: 例えば、国際公開第95/13301号及び/又はNordfangら. 1995 (Thromb. Haemostas. 54:586-590)を参照)。
実施例1:OPLSを用いた、第VIII因子生成細胞の無血清の細胞培養培地の補給
以下の材料及び方法に詳述された実験に従い、無血清の細胞培養培地に、表示された濃度のOPLSを補給した。結果を、表3及び図2A及び2Bに示す。
Figure 0005506664
結果:
OPLSの添加により、第VIII因子生成細胞の特異的生成度が増加(図2A参照)し、OPLSの添加により、第VIII因子の比活性が増加する(図2B参照)。
実施例2:O-ホスホ-L-セリン及び/又は植物加水分解物を用いた、第VIII因子生成細胞の無血清の細胞培養培地の補給
BDD第VIII因子生成細胞(1C5-SF細胞系)を、フィルターキャップ(Filter tubes 50 bioreactor, TPP)を有する50mLのチューブにおいて培養した。5mLのCDM4CHO培地中の2.5x10細胞に、表4に示すように、20mMの濃度までO-ホスホ-L-セリン、及び/又は5mg/mlの濃度まで植物加水分解物を補給した。4つの5mLの培養体において、各条件でテストした。培養体を振揺インキュベータ(37℃、8%のCO、及び250rpm)においてインキュベートした。播種4日後、1.2mLの各培養体を、5分、2000xgで遠心分離し、細胞ペレットを破棄した。20mMの最終濃度まで、pH7.2のイミダゾール、及び0.02%の最終濃度までトゥイーン80を添加することにより、上清を安定化させ、0.2mLのアリコートに、−80℃で凍結させた。
各培養体の全第VIII因子抗原含有量を、サンドイッチELISAにより測定した。安定化され、凍結した培地のアリコートを解凍し、材料及び方法に記載したようにしてアッセイした。無傷重鎖C末端を有する第VIII因子に選択的に結合するF25抗体により認識される第VIII因子の含有量を測定した。安定化され、凍結した培地のアリコートを解凍し、材料及び方法に記載したようなF25 ELISAでアッセイした。
活性テストについて、安定化され、凍結した培地のアリコートを解凍し、材料及び方法に記載したようなCoAアッセイでアッセイした。
各培養の培地における第VIII因子の量を、活性から算出される特異的活性、及び全第VIII因子抗原含有量を用いて評価した。無傷重鎖C末端を有する第VIII因子の割合を、F25 ELISAで検出された第VIII因子抗原の量と、全第VIII因子抗原量との関係から評価した。
2つの供給物を用いて得られた結果を、図3A-Cに示す。これらのデータには、第VIII因子生成細胞の培養物に、O-ホスホ-L-セリン又は植物加水分解物を添加することによる、有益な影響が示されている。双方の供給物とも、細胞培養体からの組換え第VIII因子の収率及び量を改善し、双方の添加剤とも、培地において、無傷重鎖C末端を有する第VIII因子の割合を増加させた。さらに、無傷の重鎖C末端を有する第VIII因子の割合における付加的な有益な影響が、O-ホスホ-L-セリン及び植物加水分解物を組合せて使用した場合にみられた。
Figure 0005506664

Claims (10)

  1. 第VIII因子ポリペプチドを生産する方法であって、該方法が、a)第VIII因子ポリペプチドが発現する条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞を培養し、培養条件にはO-ホスホ-L-セリン(OPLS)を含有する細胞培養培地が含まれ、b)適切な手段により、哺乳動物細胞から発現した第VIII因子ポリペプチドを単離する工程を含み、該OPLSが5−30mMの濃度で、細胞培養培地に存在している、方法。
  2. OPLSが、10−20mMの濃度で、細胞培養培地に存在している、請求項に記載の方法。
  3. OPLSが、1−200mMの濃度で、工程b)の細胞に添加される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 細胞培養培地が、大豆トリプシンインヒビターをさらに含有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 細胞培養培地が、植物性タンパク質加水分解物をさらに含有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 哺乳動物細胞が、第VIII因子ポリペプチドを内因的に発現する哺乳動物細胞、及び第VIII因子ポリペプチドの遺伝子で形質移入された哺乳動物細胞からなる群から選択される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 哺乳動物細胞が、第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸分子を含有する発現ベクター、及びそれに作用可能に結合する発現制御領域で形質移入されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 細胞培養培地が本質的に無血清である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 発現した第VIII因子ポリペプチドが、細胞の生存能力を実質的に減じることなく、細胞培養培地から収集される、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 同じ細胞のバッチを使用して、生産が継続される、請求項に記載の方法。
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