以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図2は本発明に係る走行制御装置を備えた軌道走行車両の一例として軌陸作業車1を示している。この軌陸作業車1は、運転キャブ11を有するトラック車両をベースに構成された走行体10と、この走行体10上に設けられた垂直昇降装置20と、この垂直昇降装置20に支持された作業者搭乗用の作業台30とを有して構成されている。
走行体10は、前後左右に道路走行用車輪であるタイヤ車輪12を備えるとともに、内部にエンジン(図示せず)を備えており、このエンジンによりタイヤ車輪12を駆動して道路上を走行することができるようになっている。また、走行体10は、前後左右(各タイヤ車輪12の後側)に鉄輪支持部材13を介して軌道走行用車輪である鉄輪15を備えるとともに、内部に走行モータ(油圧モータ)16,16を備えており(図1を参照)、この走行モータ16,16により左右の鉄輪15,15を駆動して軌道上を走行することができるようになっている。
なお、鉄輪支持部材13は、走行体10に上下方向に揺動自在に支持され、走行体10の内部に設けられた鉄輪張出シリンダ(油圧シリンダ)の伸縮作動により上下に揺動されて鉄輪15をタイヤ車輪12より下方に張り出したり上方に格納したりできるようになっている。このように鉄輪15を張り出したり格納したりするため(軌陸作業車1を軌道上へ載せ換え移動するため)、走行体10は、中央下部に転車台17を備えるとともに、内部に転車台張出シリンダ(油圧シリンダ)を備えており、この転車台張出シリンダの伸縮作動により転車台17を下方に張り出して軌陸作業車1を持ち上げた状態(タイヤ車輪12が地面から浮いた状態)とすることができるようになっている。
垂直昇降装置20は、運転キャブ11後方の走行体10上に架装フレーム18を介して車幅方向に一対に設けられ、2本のリンクバーを交差させてその交点を回動自在に連結したシザースリンク機構(図示せず)と、このシザースリンク機構と架装フレーム18に跨って設けられた昇降シリンダ(油圧シリンダ)25(図1を参照)とを有して構成され、昇降シリンダ25の伸縮作動によりシザースリンク機構の上端部に取り付けられた作業台30を昇降移動させることができるようになっている。
作業台30には、図1および図3(a)にも示すように、軌道走行時における走行体10の走行モードの切り替えを行う走行モード切替スイッチ41と、軌道走行時の走行体10の走行速度の設定を行う走行速度設定ダイヤル42と、軌道走行時の走行体10の発進停止および前進後進の切り換えを行う進行停止操作レバー43と、作業台30の昇降操作を行う昇降操作レバー45とが備えられた操作ボックス40が設けられており、作業台30に搭乗した作業者は進行停止操作レバー43等や昇降操作レバー45を操作することにより、作業台30に居ながらにして軌道上での走行体10の走行操作と作業台30の昇降操作とを行うことができるようになっている。
走行モード切替スイッチ41は、下方へ押圧操作することができるようになっており、押圧操作状態から手を放したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で操作前の位置に復帰する構成となっている。走行モード切替スイッチ41の操作状態(押圧操作されたか否か)は操作ボックス40内に設けられたモード切替操作検出器41aによって検出することができ、モード切替操作検出器41aが検出した走行モード切替スイッチ41の操作状態の情報はコントローラ50(作業台30もしくは走行体10に備えられる)に入力されるようになっている。ここで、走行モード切替スイッチ41の押圧操作は、後述する「通常走行モード」と「低速走行モード」の切替指令に相当し、その押圧操作がなされる毎にコントローラ50において各走行モードが交互に切り替わり設定される。
走行速度設定ダイヤル42は、中立位置(図3(a)に示すように、走行速度設定ダイヤル42に記されたマークM1と操作ボックス40に記されたマークM2とが一致する位置)を基準に右回り(時計回り)あるいは左回り(反時計回り)に捻り操作することができるようになっている。この走行速度設定ダイヤル42の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)は操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる速度設定操作検出器42aによって検出することができ、速度設定操作検出器42aが検出した走行速度設定ダイヤル42の操作状態の情報はコントローラ50に入力されるようになっている。
ここで、走行速度設定ダイヤル42を中立位置に位置させる操作は、走行体10の走行速度を零(0km/h)に設定し、後述する走行ポンプ55の斜板Sを傾転角零の状態(走行ポンプ55から作動油が吐出されない状態)にさせる指令に相当する。
また、走行速度設定ダイヤル42の中立位置から右回り方向への捻り操作は、進行停止操作レバー43から出力される進行方向への走行体10の走行速度(以下、プラス走行速度と称する)を設定し、そのプラス走行速度に応じて後述する走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を変化させる指令に相当し(この傾転角の制御については後に詳述する)、中立位置から右回り方向への捻り操作量が大きいときほどコントローラ50においてプラス走行速度が大きい値に設定される。このとき、コントローラ50において設定されるプラス走行速度は、走行速度設定ダイヤル42の中立位置から右回り方向への操作量が同じ場合でも、走行モード切替スイッチ41により設定された走行モードによって異なり、「低速走行モード」よりも「通常走行モード」の方が大きい値に設定されるようになっている。例えば、図3(b)に示すように、走行速度設定ダイヤル42を中立位置から右回り方向へ90度捻り操作を行った場合に、「通常走行モード」ではコントローラ50においてプラス走行速度が5km/hに設定され、「低速走行モード」ではコントローラ50においてプラス走行速度が2.5km/hに設定されるようになっている。
また、走行速度設定ダイヤル42の中立位置から左回り方向への捻り操作は、走行モード切替スイッチ41によりコントローラ50において「低速走行モード」が設定されている場合のみ有効となり、進行停止操作レバー43から出力される進行方向と反対方向への走行体10の走行速度(以下、マイナス走行速度と称する)を設定し、そのマイナス走行速度に応じて後述する走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を変化させる指令に相当し(この傾転角の制御については後に詳述する)、中立位置から左回り方向への捻り操作量が大きいときほどコントローラ50においてマイナス走行速度が大きい値に設定される。例えば、図3(b)に示すように、走行速度設定ダイヤル42を中立位置から左回り方向へ捻り操作を最大限行った場合に、マイナス走行速度が−2km/h程度まで設定できるようになっている。なお、「通常走行モード」の場合でも、走行速度設定ダイヤル42の中立位置から左回り方向への捻り操作は機械的に可能であるが、この場合には、中立位置に位置する場合と同様に、走行ポンプ55から作動油が吐出されない状態(傾転角零の状態)にさせる指令に相当する。
進行停止操作レバー43は、非操作状態において中立位置(図3(a)に示すように垂直姿勢の位置)に位置し、この中立位置を基準に前方あるいは後方に傾動操作することができるようになっている。そして、この進行停止操作レバー43は、傾動操作状態から手を放したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。進行停止操作レバー43の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)は操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる進行停止操作検出器43aによって検出することができ、進行停止操作検出器43aが検出した進行停止操作レバー43の操作状態の情報はコントローラ50に入力されるようになっている。
ここで、進行停止操作レバー43の中立位置よりも前方への傾動操作は、走行体10の進行方向を前進に設定し、その進行方向(前進)に対して走行速度設定ダイヤル42により設定された走行速度に応じた後述する走行ポンプ55の斜板Sの傾転角の制御を開始させる指令に相当する。また、進行停止操作レバー43の中立位置よりも後方への傾動操作は、走行体10の進行方向を後進に設定し、その進行方向(後進)に対して走行速度設定ダイヤル42により設定された走行速度に応じた走行ポンプ55の斜板Sの傾転角の制御を開始させる指令に相当する。また、進行停止操作レバー43を中立位置に復帰させる操作は走行体10の停止指令に相当する。
昇降操作レバー45は、非操作状態において中立位置(図3(a)に示すように垂直姿勢の位置)に位置し、この中立位置を基準に前方あるいは後方へ傾動操作することができるようになっている。そして、この昇降操作レバー45は、傾動操作状態から手を放したときには、内蔵されたスプリングの力によって自動で中立位置に復帰する構成となっている。昇降操作レバー45の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)は操作ボックス40内に設けられたポテンショメータ等からなる昇降操作検出器45aによって検出することができ、昇降操作検出器45aが検出した昇降操作レバー45の操作状態の情報はコントローラ50に入力されるようになっている。ここで、昇降操作レバー45の中立位置よりも前方への傾動操作は作業台30の下降指令に相当し、その傾動操作量が大きいときほどコントローラ50において作業台30の下降時における作動速度が大きい値に設定される。また、昇降操作レバー45の中立位置よりも後方への傾動操作は作業台30の上昇指令に相当し、その傾動操作量が大きいときほどコントローラ50において作業台30の上昇時における作動速度が大きい値に設定される。また、昇降操作レバー43を中立位置に復帰させる操作は作業台30の停止指令に相当する。
走行体10の内部には、図1に示すように、電動モータや小型のエンジン等からなる動力源によって駆動される油圧ポンプPと、この油圧ポンプPと同じ動力源によって一定回転数で駆動され、走行モータ16,16に作動油を供給する走行ポンプ(油圧ポンプ)55と、この走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を制御する斜板制御アクチュエータ(油圧アクチュエータ)56とが設けられており、油圧ポンプPから吐出された作動油は走行制御バルブ51経由で斜板制御アクチュエータ56に供給されるようになっている。
走行ポンプ55は、内部の斜板Sの傾転角を変化させることで作動油の吐出方向および吐出油量が変化する可変容量型の油圧ポンプであり、走行ポンプ55から吐出された作動油が走行モータ16,16に供給される。斜板制御アクチュエータ56は、油圧ポンプPから走行制御バルブ51経由で供給される作動油により駆動され、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を変化させる。ここで、走行体10の軌道走行用車輪である左右の鉄輪15,15は、走行ポンプ55から吐出された作動油の吐出状態(吐出方向および吐出油量)に応じて駆動される走行モータ16,16により駆動される。コントローラ50は、走行モード切替スイッチ41により設定された走行モード、走行速度設定ダイヤル42の操作状態、および進行停止操作レバー43の操作状態に応じた方向および量で走行制御バルブ51のスプール(図示せず)を電磁駆動する。そのため、作業台30上の作業者は、これらの操作によって走行体10の発進停止および進行方向(前進後退)の切り換えと走行速度の設定を行うことができる。
また、油圧ポンプPから吐出された作動油は昇降制御バルブ52経由で昇降シリンダ25に供給されるようになっており、コントローラ50は昇降操作レバー45の操作状態に応じた方向および移動量で昇降制御バルブ52のスプール(図示せず)を電磁駆動するので、作業台30上の作業者は、昇降操作レバー45の操作によって作業台30の昇降移動を行うことができる。
走行体10には、水平面に対する走行体10の前後方向の傾斜角を検出する車体傾斜角検出器61(例えば、傾斜角による液面変化を静電容量変化として捉えるセンサ)が設けられており(図1を参照)、この車体傾斜角検出器61により検出された走行体10の前後方向の傾斜角情報はコントローラ50に入力されるようになっている。
コントローラ50は、モード切替操作検出器41aから走行モード切替スイッチ41が押圧操作された旨の情報が入力されると、入力前の走行モードから他方の走行モードに、すなわち「通常走行モード」→「低速走行モード」もしくは「低速走行モード」→「通常走行モード」に切り替えて走行モードを設定する。このとき、コントローラ50は、設定されている走行モードを作業者に表示するため、その走行モードに対応する通常走行モード表示LED44aおよび低速走行モード表示LED44b(図3(a)に示されるように、操作ボックス40に備えられる)の一方を点灯させる。
そして、コントローラ50は、速度設定操作検出器42aから走行速度設定ダイヤル42が中立位置から右回り方向へ捻り操作された旨の情報が入力されると、走行モード切替スイッチ41により設定された走行モード、および走行速度設定ダイヤル42の中立位置から右回り方向への操作量に応じた走行体10のプラス走行速度(進行停止操作レバー43により設定される進行方向への走行速度)を設定する。また、コントローラ50は、「低速走行モード」が設定されている状態において、速度設定操作検出器42aから走行速度設定ダイヤル42が中立位置から左回り方向へ捻り操作された旨の情報が入力されると、走行速度設定ダイヤル42の中立位置から左回り方向への操作量に応じた走行体10のマイナス走行速度(進行停止操作レバー43により設定される進行方向と反対方向への走行速度)を設定する。
そして、コントローラ50は、「通常走行モード」が設定されている状態において、進行停止操作検出器43aから進行停止操作レバー43が傾動操作された旨の情報が入力されると、進行停止操作レバー43の操作方向(中立位置を基準とした操作方向)に応じた走行体10の進行方向(前進後進)を設定するとともに、走行速度設定ダイヤル42により設定された走行速度(プラス走行速度)を最大速度とした進行停止操作レバー43の操作量(中立位置を基準とした操作量)に応じた走行速度を指令速度として設定する。そして、コントローラ50は、走行ポンプ55から吐出される作動油がその指令速度に応じた油量となるように、走行制御バルブ51を電磁駆動して斜板制御アクチュエータ56により走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を制御し、走行ポンプ55から吐出された作動油により走行モータ16,16を駆動して軌道走行用車輪である鉄輪15,15を回転駆動させる。なお、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角(吐出油量)と走行体10の走行速度との関係はコントローラ50において予め記憶されている。
また、コントローラ50は、「低速走行モード」が設定されている状態において、進行停止操作検出器43aから進行停止操作レバー43が傾動操作された旨の情報が入力されると、進行停止操作レバー43の操作方向(中立位置を基準とした操作方向)に応じた走行体10の進行方向(前進後進)を設定するとともに、進行停止操作レバー43の操作量にかかわらず走行速度設定ダイヤル42により設定された走行速度(プラス走行速度もしくはマイナス走行速度)を指令速度として設定する。そして、コントローラ50は、走行ポンプ55から吐出される作動油がその指令速度に応じた油量となるように、走行制御バルブ51を電磁駆動して斜板制御アクチュエータ56により走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を制御し、走行ポンプ55から吐出された作動油により走行モータ16,16を駆動して軌道走行用車輪である鉄輪15,15を回転駆動させる。なお、上述したように、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角(吐出油量)と走行体10の走行速度との関係はコントローラ50において予め記憶されている。
そして、コントローラ50は、進行停止操作検出器43aから進行停止操作レバー43が中立位置に復帰された旨の情報が入力されると、走行速度設定ダイヤル42により走行速度が零(0km/h)に設定された場合と同様に、走行ポンプ55から吐出される作動油が零となるように、走行制御バルブ51を電磁駆動して斜板制御アクチュエータ56により走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を制御するとともに、鉄輪15,15の近傍に設けられたブレーキ装置(図示せず)を駆動させて鉄輪15,15の制動を行い、走行体10を停止させる。
ここで、コントローラ50は、進行停止操作レバー43が中立位置に位置した状態で所定時間(例えば、数秒)経過したときに走行体10が停止状態であると認識する。そして、コントローラ50は、走行体10が停止状態になったときに、「低速走行モード」が設定された状態であっても「通常走行モード」に切り替えて設定するようにしても良い。このようにすれば、進行停止操作レバー43により走行体10の走行を開始させる操作を行ったときに、「低速走行モード」であり、かつ走行速度設定ダイヤル42が中立位置から左回り方向へ捻り操作された状態(マイナス走行速度を設定している状態)であるために、車両が操作方向とは逆の方向に進行することを防ぐことができる。
また、コントローラ50は、走行体10の停止状態において、進行停止操作レバー43を傾動操作したときに、その操作方向に応じて設定される走行体10の進行方向が、車体傾斜角検出器61により検出された走行体10の前後方向の傾斜角に基づいて上り方向であるか否かを判定するようになっている。そして、コントローラ50は、走行体10の進行方向が上り方向であると判定し、かつ、走行速度設定ダイヤル42により「低速走行モード」が設定され、走行速度設定ダイヤル42が中立位置から左回り方向へ捻り操作された状態(マイナス走行速度を設定している状態)であるときには、走行体10が走行を開始しないように走行規制を行うようになっている。このため、進行停止操作レバー43により走行体10の走行を上り方向に開始させる操作を行ったにもかかわらず、走行速度設定ダイヤル42によりマイナス走行速度が設定された状態であるために、走行体10が操作方向とは逆の下り方向に進行することを防ぐことができる。また、このとき、コントローラ50は、走行が規制されていることを作業者に表示するため、操作ボックス40に備えられた走行規制表示LED46を点灯させる。
また、コントローラ50は、昇降操作検出器45aにより検出された昇降操作レバー45の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)の情報が入力されると、その検出された昇降操作レバー45の操作方向に応じた作業台30の移動方向(上昇下降)を設定し、また昇降操作レバー45の操作量に応じた目標昇降速度を設定し、その移動方向および目標昇降速度に応じた方向および量で昇降制御バルブ53のスプールを駆動して昇降シリンダ25の作動速度を制御する。
図4〜図7は、上記のように構成された軌陸作業車1を各走行モードで走行させる場合の走行操作および走行制御の例を示している。図4は、平坦な軌道上において軌陸作業車1(走行体10)を「通常走行モード」で走行させる場合の例である。まず、走行モード切替スイッチ41により「通常走行モード」を設定し、走行速度設定ダイヤル42を中立位置から右回り方向へ捻り操作してプラス走行速度Se(進行停止操作レバー43により設定される進行方向への走行速度)を設定する(図4に示すA時点)。そして、進行停止操作レバー43を傾動操作して走行体10の進行方向(前進後進)およびその操作量に応じた指令速度Si(<プラス走行速度Se)を設定すると(B時点)、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αがその指令速度Siに応じた傾転角αiとなるように、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが制御される。このように傾転角(吐出油量)が制御された走行ポンプ55から吐出された作動油により走行モータ16,16が駆動されて鉄輪15,15が回転駆動される。ここで、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角α(走行ポンプ55の吐出油量)と走行体10の走行速度との関係は予め設定(記憶)されているため、走行体10は指令速度Siで走行することができる。
そして、進行停止操作レバー43を操作方向(進行方向)にさらに傾動操作して操作量を最大にすると(図4に示すC時点)、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αが走行速度設定ダイヤル42により設定されたプラス走行速度Seに応じた傾転角αeとなるように、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが制御され、走行体10の走行速度Sは指令速度Siからプラス走行速度Seに加速される。
このように「通常走行モード」で走行している走行体10が上り傾斜もしくは下り傾斜の軌道上に至ると、走行体10は自重により傾斜下方に移動させる方向の力を受けるため、走行モータ16,16の負荷が変化して、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αを変化させる力が生じる。そのため、走行体10の走行速度が、上り傾斜の場合には減速され、下り傾斜の場合には加速されて、指令速度Si(進行停止操作レバー43の操作量が最大で走行している場合には、プラス走行速度Se)から変化する。そこで、「通常走行モード」では、このような場合に、進行停止操作レバー43の操作量を調節する、または走行速度設定ダイヤル42の中立位置から右回り方向の範囲(プラス走行速度設定域)内での操作量を調節することにより、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により斜板Sの傾転角αを変化前の傾転角αi(もしくは傾転角αe)に戻すように斜板Sを制御して、走行体10の走行速度が指令速度Si(あるいはプラス走行速度Se)となるように走行速度を調節することができる。
そして、進行停止操作レバー43を中立位置に復帰させると(図4に示すD時点)、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αが零(走行ポンプ55から作動油が吐出されない状態)となるように、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが制御されるとともに、鉄輪15,15の近傍に設けられたブレーキ装置(図示せず)を駆動させて鉄輪15,15の制動を行い、走行体10を停止させる。
図5は、平坦な軌道上において軌陸作業車1(走行体10)を「低速走行モード」で走行させる場合の例である。まず、走行モード切替スイッチ41により「低速走行モード」を設定し、走行速度設定ダイヤル42を中立位置から右回り方向へ捻り操作してプラス走行速度Se′(進行停止操作レバー43により設定される進行方向への走行速度)を設定する(図5に示すA′時点)。そして、進行停止操作レバー43を傾動操作して走行体10の進行方向(前進後進)およびその操作量にかかわらず走行速度設定ダイヤル42により設定されたプラス走行速度Se′を指令速度として設定すると(B′時点)、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αがそのプラス走行速度Se′に応じた傾転角αe′となるように、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが制御される。このように傾転角(吐出油量)が制御された走行ポンプ55から吐出された作動油により走行モータ16,16が駆動されて鉄輪15,15が回転駆動される。ここで、上述したように、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角α(走行ポンプ55の吐出油量)と走行体10の走行速度との関係は予め設定(記憶)されているため、走行体10は走行速度設定ダイヤル42により設定されたプラス走行速度Se′で走行することができる。
このように「低速走行モード」で走行している走行体10が上り傾斜もしくは下り傾斜の軌道上に至ると、上述の「通常走行モード」の場合と同様に、走行体10は自重により傾斜下方に移動させる方向の力を受けるため、走行モータ16,16の負荷が変化して、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αを変化させる力が生じる。そのため、走行体10の走行速度が、上り傾斜の場合には減速され、下り傾斜の場合には加速されて、走行速度設定ダイヤル42により設定されたプラス走行速度Se′から変化する。そこで、「低速走行モード」では、このような場合に、走行速度設定ダイヤル42の中立位置から左回り方向の範囲(マイナス走行速度設定域)も含む範囲内での操作量を調節することにより、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により傾転角αを変化前の傾転角αe′に戻すように斜板Sを制御して、走行体10の走行速度がプラス走行速度Se′となるように走行速度を調節することができる。
図6に示すように、「低速走行モード」で走行している走行体10が上り傾斜の軌道上に至ると(図6に示すC′時点)、走行モータ16,16の負荷が大きくなるため、走行ポンプ55の斜板Sは傾転角αe′を傾転角零の方向に変化させる力を受けて、傾転角αe′が傾転角零の方向に変化し、走行体10の走行速度(プラス走行速度Se′)が減速される。そこで、走行速度設定ダイヤル42を右回り方向へ捻り操作して指令速度を大きくすることにより(D′時点)、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により斜板Sの傾転角αを変化前の傾転角αe′に戻すように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を加速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。その後、走行体10の走行速度がプラス走行速度Se′を上回った場合には、走行速度設定ダイヤル42を左回り方向へ少し戻す操作を行って指令速度を小さくすることにより(E′時点)、斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが傾転角αe′となるように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を減速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。このようにして、走行体10の走行速度を走行速度設定ダイヤル42により最初に設定されたプラス走行速度Se′に保つことができる。
また、図7に示すように、「低速走行モード」で走行している走行体10が下り傾斜の軌道上に至ると(図7に示す時点C′)、走行モータ16,16の負荷が小さくなるため、走行ポンプ55の斜板Sは傾転角αe′を傾転角零の方向と反対の方向に変化させる力を受けて、傾転角αe′がその反対の方向に変化し、走行体10の走行速度(プラス走行速度Se′)が加速される。そこで、走行速度設定ダイヤル42を左回り方向へ捻り操作(例えば、中立位置よりも左回り方向へ捻り操作)して指令速度を小さくする(あるいはプラス走行速度からマイナス走行速度に切り替える)ことにより(D′時点)、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により斜板Sの傾転角αを変化前の傾転角αe′に戻すように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を減速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。その後、走行体10の走行速度がプラス走行速度Se′を下回った場合には、走行速度設定ダイヤル42を右回り方向に少し戻す操作を行って指令速度を大きくすることにより(E′時点)、斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが傾転角αe′となるように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を加速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。このようにして、走行体10の走行速度を走行速度設定ダイヤル42により最初に設定されたプラス走行速度Se′に保つことができる。
そして、進行停止操作レバー43を中立位置に復帰させると(図5に示すF′時点)、上述の「通常走行モード」の場合と同様に、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αが零(走行ポンプ55から作動油が吐出されない状態)となるように、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により斜板Sの傾転角αが制御されるとともに、鉄輪15,15の近傍に設けられたブレーキ装置(図示せず)を駆動させて鉄輪15の制動を行い、走行体10を停止させる。
次に、本発明の第2実施形態について図8〜11を用いて説明する。第2実施形態に係る走行制御装置では、「低速走行モード」時のコントローラ50による走行制御の内容が上述の実施形態と異なり、それ以外の構成については上述の実施形態と同一構成である。そのため、上述の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは上述の実施形態と異なる「低速走行モード」時の走行制御について説明する。
本実施形態に係るコントローラ50は、走行モード切替スイッチ41により「低速走行モード」が設定された状態において、進行停止操作検出器43aから進行停止操作レバー43が傾動操作された旨の情報が入力されると、進行停止操作レバー43の操作方向(中立位置を基準とした操作方向)に応じた走行体10の進行方向(前進後進)を設定する。また、コントローラ50は、走行速度設定ダイヤル42において設定可能な最大のマイナス走行速度から走行速度設定ダイヤル42により設定された走行速度(プラス走行速度もしくはマイナス走行速度)までの範囲内で、進行停止操作レバー43の操作量(中立位置を基準とした操作量)に応じた走行速度を指令速度として設定する。例えば、図3(b)に示すように、走行速度設定ダイヤル42においてマイナス走行速度を−2km/hまで設定可能であり、走行速度設定ダイヤル42を中立位置から右回り方向へ捻り操作して走行速度を+3km/hに設定された場合に、コントローラ50は、−2km/h〜+3km/hの範囲内で進行停止操作レバー43の操作量に応じた指令速度を設定する(図8を参照)。
そして、コントローラ50は、走行ポンプ55から吐出される作動油が当該指令速度に応じた油量となるように、走行制御バルブ51を電磁駆動して斜板制御アクチュエータ56により走行ポンプ55の斜板Sの傾転角を制御し、走行ポンプ55から吐出された作動油により走行モータ16,16を駆動して軌道走行用車輪である鉄輪15,15を回転駆動させる。なお、上述したように、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角(吐出油量)と走行体10の走行速度との関係はコントローラ50において予め記憶されている。
図9は、平坦な軌道上において軌陸作業車1(走行体10)を「低速走行モード」で走行させる場合の例である。まず、走行モード切替スイッチ41により「低速走行モード」を設定し、走行速度設定ダイヤル42を中立位置から右回り方向へ捻り操作してプラス走行速度Se′(進行停止操作レバー43により設定される進行方向への走行速度)を設定する(図9に示すA″時点)。そして、進行停止操作レバー43を操作量最大に傾動操作して走行体10の進行方向(前進後進)および走行速度設定ダイヤル42により設定されたプラス走行速度Se′を指令速度として設定すると(B″時点)、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αがそのプラス走行速度Se′に応じた傾転角αe′となるように、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが制御される。このように傾転角(吐出油量)が制御された走行ポンプ55から吐出された作動油により走行モータ16,16が駆動されて鉄輪15,15が回転駆動される。ここで、上述したように、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角α(走行ポンプ55の吐出油量)と走行体10の走行速度との関係は予め設定(記憶)されているため、走行体10は走行速度設定ダイヤル42により設定されたプラス走行速度Se′で走行することができる。
このように「低速走行モード」で走行している走行体10が上り傾斜もしくは下り傾斜の軌道上に至ると、上述したように走行体10の走行速度が、上り傾斜の場合には減速され、下り傾斜の場合には加速されて、走行速度設定ダイヤル42により設定されたプラス走行速度Se′から変化する。そこで、本実施形態の「低速走行モード」では、上り傾斜で減速される場合には走行速度設定ダイヤル42を右回り方向にさらに捻り操作して指令速度を大きくすることにより、下り傾斜で加速される場合には進行停止操作レバー43の操作量を調整することにより、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により傾転角αを変化前の傾転角αe′に戻すように斜板Sを制御して、走行体10の走行速度がプラス走行速度Se′となるように走行速度を調節することができる。
図10に示すように、「低速走行モード」で走行している走行体10が上り傾斜の軌道上に至ると(図10に示すC″時点)、走行モータ16,16の負荷が大きくなるため、走行ポンプ55の斜板Sは傾転角αe′を傾転角零の方向に変化させる力を受けて、傾転角αe′が傾転角零の方向に変化し、走行体10の走行速度(プラス走行速度Se′)が減速される。そこで、走行速度設定ダイヤル42を右回り方向へ捻り操作して指令速度を大きくすることにより(D″時点)、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により斜板Sの傾転角αを変化前の傾転角αe′に戻すように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を加速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。その後、走行体10の走行速度がプラス走行速度Se′を上回った場合には、走行速度設定ダイヤル42を左回り方向へ少し戻す操作を行って、もしくは進行停止操作レバー43を中立位置方向に少し戻す操作を行って指令速度を小さくすることにより(E″時点)、斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが傾転角αe′となるように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を減速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。このようにして、走行体10の走行速度を走行速度設定ダイヤル42により最初に設定されたプラス走行速度Se′に保つことができる。
また、図11に示すように、「低速走行モード」で走行している走行体10が下り傾斜の軌道上に至ると(図11に示す時点C″)、走行モータ16,16の負荷が小さくなるため、走行ポンプ55の斜板Sは傾転角αe′を傾転角零の方向と反対の方向に変化させる力を受けて、傾転角αe′がその反対の方向に変化し、走行体10の走行速度(プラス走行速度Se′)が加速される。そこで、走行速度設定ダイヤル42を左回り方向への捻り操作(例えば、中立位置よりも左回り方向への捻り操作)を行って、もしくは進行停止操作レバー43を中立位置方向に戻す操作(例えば、マイナス走行速度設定領域内へ戻す操作)を行って指令速度を小さくする(あるいはプラス走行速度からマイナス走行速度に切り替える)ことにより(D″時点)、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により斜板Sの傾転角αを変化前の傾転角αe′に戻すように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を減速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。その後、走行体10の走行速度がプラス走行速度Se′を下回った場合には、走行速度設定ダイヤル42を右回り方向に少し戻す操作を行って、もしくは進行停止操作レバー43を操作量が大きくなる方向に少し傾倒させる操作を行って指令速度を大きくすることにより(E″時点)、斜板制御アクチュエータ56により傾転角αが傾転角αe′となるように斜板Sが制御され、走行体10の走行速度を加速させてプラス走行速度Se′となるように調節することができる。このようにして、走行体10の走行速度を走行速度設定ダイヤル42により最初に設定されたプラス走行速度Se′に保つことができる。
そして、進行停止操作レバー43を中立位置に復帰させると(図9に示すF″時点)、上述の実施形態と同様に、走行ポンプ55の斜板Sの傾転角αが零(走行ポンプ55から作動油が吐出されない状態)となるように、走行制御バルブ51を駆動させて斜板制御アクチュエータ56により斜板Sの傾転角αが制御されるとともに、鉄輪15,15の近傍に設けられたブレーキ装置(図示せず)を駆動させて鉄輪15の制動を行い、走行体10を停止させる。
これまで本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、走行体10の走行速度の設定を行う操作手段はダイヤル(走行速度設定ダイヤル42)であったが、これは他の手段、例えばレバー等であってもよい。また、上述の実施形態では、走行モードの切り替えを行う操作手段は押圧操作を行うたびに走行モードを切り替える押しボタン式のスイッチ(走行モード切替スイッチ41)であったが、これは他の手段、例えばトグルスイッチおよびオルタネートスイッチ等であってもよい。また、上述の実施形態では、警報作動を行う際、走行体の走行規制および表示LED(警報ランプ)を用いた警報報知の両方を行うようになっているが、走行規制および警報報知のうちいずれか一方を行うようにしてもよい。また、警報報知は表示LEDによるものではなく、警報ブザー等によるものでもよい。また、上述の実施形態では、走行ポンプ55から吐出される作動油は左右の走行モータ16,16に並列に供給される構成であるが、走行ポンプ55から吐出される作動油が左右の走行モータ16,16に直列に供給される構成でもよく、また、走行ポンプ55と走行モータ16,16とを繋ぐ油路に直列・並列切換バルブを設け、このバルブにより直列供給と並列供給とを切り換えられるように構成してもよい。また、上述の実施形態では、本発明が適用される対象の軌道走行車両は、道路走行も可能に構成された軌陸作業車であったが、これは一例であり、軌道走行のみを行う軌道走行専用車両であってもよい。