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JP5514522B2 - クロマノン化合物の製造方法およびその中間体 - Google Patents
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JP5514522B2 - クロマノン化合物の製造方法およびその中間体 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なセロトニン再取り込み阻害剤の合成中間体として有用なクロマノン化合物の製造方法およびその中間体に関する。
うつ病はあらゆる年令の人に影響を与える慢性病である。現在、使用されている各種の抗うつ薬のうち最も成功を収めているのは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective serotonin reuptake inhibitor、以下SSRIと略すこともある)である。SSRIは、ドーパミン及びノルアドレナリン再取り込み阻害作用よりも高いセロトニン再取り込み阻害作用を有する。SSRIとして市販された最初の薬剤はジメリジン(zimelidine)であった。その後上市された又は開発下にある他のSSRIとしては、例えば、フルオキセチン(fluoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、シタロプラム(citalopram)、セルトラリン(sertraline)およびパロキセチン(paroxetine)が挙げられる。
このようなSSRIはうつ病の治療薬として広く用いられているものの、まだいくつかの問題点を有することが指摘されている。全うつ病患者の約1/3を占める難治性の患者に対しては、SSRIでも十分な治療効果を上げられないことや、十分な抗うつ作用が発現するまでに3〜8週間もの長い期間を必要とすることが、代表的な問題として挙げられる。このようにSSRIの抗うつ作用の発現が緩慢である一方、その副作用は直ちに起こり得る。すなわち、患者が薬剤の治療効果を得ることなく副作用のみを経験する易損性期(vulnerable period)を招くという問題が生じる。このため、この期間中も同じ薬剤の服用を続けるように患者を説得することが治療医師にとってしばしば重い負担になる。更に、自殺を図る恐れのある患者にとっては、抗うつ作用の発現が緩慢であるため、十分なうつ症状の改善を経験する前に自発性(initiative)を回復することから、自殺の危険性やたびたびの入院の必要性などが生じる。従って、抗うつ作用が素早く発現するような抗うつ薬の開発が望まれている。
SSRIが抗うつ作用を発現するまでに数週間もの長い期間を必要とする理由は、以下のように考えられている。
SSRIはセロトニン代謝回転の急性セロトニン再取り込みを阻害する。この阻害作用がセロトニンニューロンの神経終末において起こることにより、セロトニンによる神経伝達が強化され抗うつ作用が発現する。しかしながら、同阻害作用は縫線核に存在するセロトニンニューロン細胞体や樹状突起においても起こるため、縫線核ではセロトニン1A自己受容体を介するセロトニンニューロンの自己発火抑制(negative feedback反応)を強化してしまう。この結果、SSRI投与後の初期においては、セロトニンニューロンにおける神経伝達は全体として期待されるほど強化されないことになる。一方、数週間SSRIの服用を続けるうちに、縫線核のセロトニンニューロン細胞体や樹状突起上にあるセロトニン1A自己受容体は脱感作され、negative feedback反応が消失する。この結果、セロトニンニューロンの活動性の亢進と神経終末でのセロトニン取り込み阻害が協調して奏効し、セロトニン神経伝達が強化され、十分な抗うつ作用が発現する。
従って、セロトニン1A受容体アンタゴニストの併用によりセロトニン1A自己受容体を遮断してセロトニンのnegative feedback反応を止めるか、あるいはセロトニン1A受容体アゴニストの併用によりセロトニン1A自己受容体を積極的に刺激し脱感作までの期間を短縮することで、SSRIの作用発現までの期間の短縮や、抗うつ作用の増強が可能となる。実際、セロトニン1A受容体に対して高い親和性を有するピンドロール(pindolol)をSSRIと併用すると、うつ病患者におけるセロトニン再取り込み阻害薬の作用を増強すること、また作用発現までの期間を短縮することが報告されている(Arch, Gen. Psychiatry, (1994),51,248−251)。
患者が薬剤を服用する際、その薬剤の数や種類はより少ないことが望ましい。従って、上記知見に基づき、セロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン1A受容体への親和性を併せ持つ化合物は、他の薬剤と併用することなく単剤で、抗うつ作用が強く、作用発現までの期間が短縮された新しい抗うつ薬となり得ると考えられ、このような化合物の薬剤としての開発が望まれている。
また三環系抗うつ薬(Tricyclic antidepressants、TCA)やSSRIなどの抗うつ薬の多くは薬の代謝に関与する酵素であってヒトチトクロームP450分子種の一つであるCYP2D6への阻害作用が強いことが知られている。一方、うつ病や不安症状の治療においてTCAやSSRIと併用され得る精神系疾患治療剤の多くがCYP2D6によって代謝されることも知られている。従って、これらの薬剤の併用においては、一方の薬剤によるCYP2D6の阻害作用に基づき他方の薬剤の代謝が阻害されることによって、後者の薬剤の血中濃度が上昇し、その結果重篤な副作用が発現する可能性がある。従って、抗うつ薬のCYP2D6の阻害作用がより弱い程、CYP2D6によって代謝される併用の精神系疾患治療剤との薬物相互作用がより小さくなることから、このような抗うつ薬は安全性が高い薬剤となり得ることが期待され、その開発が望まれている。
更にCYP2D6は遺伝的多型による酵素活性の個体間変動が大きいことが知られている。CYP2D6によって代謝される割合の高い薬剤は、生体内薬物濃度に大きな個人差を生じ、通常代謝者(Extensive Metabolizer、EM)の場合と比較して代謝欠損者(Poor Metabolizer、PM)の場合、血中薬物濃度が大きく上昇する危険性が高い。またこのような薬剤は、CYP2D6を阻害する薬剤またはCYP2D6により代謝を受ける薬剤との薬物相互作用がより強く現れる危険性もある。従って、薬剤の代謝におけるCYP2D6の寄与率がより低いほど、CYP2D6の遺伝多型による薬物動態的影響がより小さくなることから、このような薬剤は安全性が高くなり得ることが期待され、その開発も望まれている。
本発明に係るクロマノン化合物の中間体化合物から合成されるセロトニン再取り込み阻害剤を具体的に開示あるいは示唆する文献は見当たらない。しかし、部分的に化学構造が共通する化合物を開示する文献例はある(特許文献1〜4参照)。
本発明に係るクロマノン化合物の中間体化合物から合成されるクロマノン化合物を具体的に開示する文献は見当たらない。しかし、部分的に化学構造が共通する化合物を開示する文献例はある(特許文献5、特許文献6および非特許文献1参照)。
本発明に係るクロマノン化合物の中間体[後記式(1)で表される化合物]を具体的に開示する文献は見当たらない。しかし、クロマノン化合物とは化学構造が全く異なる2−アミノ−1−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパノール誘導体の原料として3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸エチルを開示する文献例がある(特許文献7参照)。また、クロマノン化合物とは化学構造が全く異なる2−アシルアミノプロパノール誘導体の原料として3−[4−(2−メトキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸を開示する文献例がある(特許文献8〜10参照)。
米国特許第6787560号明細書 国際公開第88/02365号パンフレット 国際公開第97/23216号パンフレット 国際公開第2005/108389号パンフレット 特開昭58−135877号公報 仏国特許出願公開第2672601号明細書 国際公開第98/013333号パンフレット 国際公開第2008/150486号パンフレット 国際公開第2009/045503号パンフレット 国際公開第2009/117150号パンフレット
Indian Journal of Chemistry, Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry (1979), 17B(2), 155-7頁
本発明が解決しようとする課題は、うつ病などの治療薬として期待される新規なセロトニン再取り込み阻害剤の合成において、中間体として有用なクロマノン化合物の工業的規模での製造を可能とする新規な中間体化合物を提供すること、および該化合物を用いるクロマノン化合物の新規な製造方法を提供することにある。
本発明者らは新規なセロトニン再取り込み阻害剤を創製するために鋭意検討した結果、下記式(3)で表される化合物またはそれらの薬学上許容される塩が、高いヒトセロトニン再取り込み阻害作用とヒト5−HT1A受容体に対する結合親和性を併せ持つのみならず、該化合物または該塩は、CYP2D6阻害が弱く、また代謝におけるCYP2D6の寄与が小さいことを見出した。
Figure 0005514522
[式中、R3は、水素原子またはメチル基を表し、R4は、メチレン基に対してp位またはm位に結合した基であって、p位に結合した塩素原子、p位に結合した臭素原子、p位に結合したメチル基、m位に結合した塩素原子またはm位に結合した臭素原子を表す。]
上記式(3)で表される化合物は、前記の新しい抗うつ薬となり得ることが期待され、下記式(2)で表される新規なクロマノン化合物から製造することができる。
Figure 0005514522
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、うつ病や不安(不安障害)の治療薬として期待される上記式(3)で表される化合物の工業的規模での製造を可能とすべく、上記式(2)で表される新規なクロマノン化合物[上記式(3)で表される化合物の合成中間体]の新規製造方法およびその新規中間体を提供することにある。
本発明は、以下の〔1〕〜〔11〕で表される、クロマノン化合物(2)の新規中間体を提供する。
〔1〕 式(1)で表される化合物:
Figure 0005514522
[式中、破線は単結合または二重結合を表し、
(i)破線が二重結合であるとき、
1は水素原子、メチル基、エチル基または置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基を表し、
2はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表し;
(ii)破線が単結合であるとき、
1は水素原子を表し、
2はメチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;
1はメチル基を表し、
2はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;
1はエチル基またはベンゼンスルホニル基を表し、
2は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;あるいは
1は置換ベンゼンスルホニル基を表し、
2は水素原子、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。];
〔2〕 式(1)で表される化合物:
Figure 0005514522
[式中、破線は単結合または二重結合を表し、
(i)破線が二重結合であるとき、
1は水素原子、エチル基または置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基を表し、
2はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;
あるいは
1はメチル基を表し、
2はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表し;
(ii)破線が単結合であるとき、
1は水素原子を表し、
2はメチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;
1はメチル基を表し、
2はプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;
1はエチル基またはベンゼンスルホニル基を表し、
2は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;あるいは
1は置換ベンゼンスルホニル基を表し、
2は水素原子、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。];
〔3〕 R2が水素原子、tert−ブチル基またはベンジル基である、〔1〕または〔2〕に記載の化合物;
〔4〕 R2が水素原子である、〔3〕に記載の化合物;
〔5〕 R2がtert−ブチル基である、〔3〕に記載の化合物;
〔6〕 R2がベンジル基である、〔3〕に記載の化合物;
〔7〕 R1が水素原子、ベンゼンスルホニル基またはp−トルエンスルホニル基である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の化合物;
〔8〕 R1が水素原子である、〔7〕に記載の化合物;
〔9〕 R1がベンゼンスルホニル基、〔7〕に記載の化合物;
〔10〕 R1がp−トルエンスルホニル基である、〔7〕に記載の化合物;
〔11〕 式(1)で表される化合物が、
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル、
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸エチル、
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸tert−ブチル、
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル、
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル、または
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸、
である、〔1〕または〔2〕に記載の化合物。
また、本発明は、以下の〔12〕〜〔14〕で表される、クロマノン化合物の製造方法に関するものである。
〔12〕 下記(a)、(b)、(c)または(d)で示される方法によって、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の化合物から、式(2):
Figure 0005514522
[式中、R1は水素原子、メチル基、エチル基または置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基である。]
で表される化合物を製造する方法:
(a)式(1)で表される化合物において、破線が単結合であり、R2がtert−ブチル基である化合物を、無水トリフルオロ酢酸(TFAA)と反応させる方法;
(b)式(1)で表される化合物において、破線が単結合であり、R2がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基である化合物を、R2が水素原子である化合物に変換した後、TFAAと反応させる方法;
(c)式(1)で表される化合物において、破線が二重結合であり、R2がtert−ブチル基である化合物を、破線が単結合である化合物に変換した後、TFAAと反応させる方法;
(d)式(1)で表される化合物において、破線が二重結合であり、R2がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基である化合物を、破線が単結合でありR2が水素原子である化合物に変換した後、TFAAと反応させる方法。
〔13〕 TFAAとの反応を酸(例えば、リン酸、硫酸などの無機酸)存在下で行う、〔12〕に記載の製造方法。
〔14〕 破線が二重結合である式(1)の化合物を破線が単結合である式(1)の化合物に変換する方法が接触還元法であり、R2がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはsec−ブチル基である式(1)の化合物をR2が水素原子である式(1)の化合物に変換する方法が加水分解法であり、R2が置換もしくは無置換のベンジル基である式(1)の化合物をR2が水素原子である式(1)の化合物に変換する方法が加水分解法または接触還元法である〔12〕または〔13〕に記載の製造方法。
本発明の中間体およびそれを用いる新規製造方法により、抗うつ薬として有用な新規セロトニン再取り込み阻害剤を工業的規模で製造することができる。
以下に本発明をさらに具体的に説明する。
「置換もしくは無置換のベンジル基」とは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。)、アルキル基(炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。)、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、またはアルコキシ基(炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基を表し、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。)で置換されていてもよいベンジル基を意味する。
「置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基」とは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。)、アルキル基(炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。)、またはアルコキシ基(炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基を表し、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。)で置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を意味する。好ましい該基としては、ベンゼンスルホニル基とp−トルエンスルホニル基が挙げられる。
式(1)(「本発明の化合物」と記載することもある。)で表される化合物において、破線が二重結合を表すとき、幾何異性体を生ずることがある。式(1)で表される化合物は場合により不斉炭素原子を有することがある。これらの立体異性体、その混合物およびラセミ体は本発明の化合物に包含される。
式(1)で表される化合物は、水和物および/または溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物および/または溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。
本発明の式(1)で表される化合物は、公知化合物から、以下に示す製造方法1〜3に示す方法、下記の製造方法に類似の方法、または当業者に周知の合成方法を適宜組み合わせて製造することが出来る。原料化合物(12)において、いくつかのものは新規であるが、後記の実施例に記載の方法、または実施例に類似の方法、または当業者に周知の合成方法を適宜組み合わせて製造することもできる。
また、本明細書において、記載の簡略化のために次の略号を使用する場合がある。
Boc:tert-ブトキシカルボニル基,
Piv:tert-ブチルカルボニル基,
Me:メチル基,
Et:エチル基,
Ph:フェニル基,
Bn:ベンジル基,
Ms:メタンスルホニル基,
Bs:ベンゼンスルホニル基,
Ts:p−トルエンスルホニル基。
〔製造方法1〕
式(1)で表される化合物のうち、式(11):
Figure 0005514522
[式中、R1aは水素原子を表し、R2aはメチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;あるいは、R1aはメチル基またはエチル基を表し、R2aはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。]
で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
Figure 0005514522
[式中、R1aおよびR2aは、前記と同義である。]
化合物(12)は、市販の2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノールであるか、2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノールから公知の方法で合成できる化合物である。アクリル酸エステル(13)は、市販もしくは公知の方法を適宜組み合わせることにより合成可能な化合物である。
原料化合物(12)と化合物(13)を必要に応じ塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で反応させることにより、化合物(11)を得ることができる。反応温度は約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜5日間である。
塩基の具体例としては、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等があげられる。不活性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
〔製造方法2〕
式(11)で表される化合物は、下記の方法によっても製造できる。
Figure 0005514522
[式中、R1aおよびR2aは、前記と同義であり、LG1は脱離基(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子や、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基などの置換スルホニルオキシ基が挙げられる。)を表す。]
化合物(14)は市販もしくは公知の方法を適宜組み合わせることにより合成可能な化合物である。
化合物(12)と化合物(14)を必要に応じ塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で反応させることにより、化合物(11)を得ることができる。反応温度は約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜5日間である。
塩基との具体例としては、製造方法1に記載のものと同様のものが挙げられる。不活性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
〔製造方法3〕
式(1)で表される化合物のうち、式(15):
Figure 0005514522
[式中、R1aは水素原子、メチル基またはエチル基を表し、R2bはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。]
で表される化合物は、例えば下記の方法によって製造できる。
Figure 0005514522
[式中、R1aおよびR2bは、前記と同義である。]
プロピオル酸エステル(16)は、市販もしくは公知の方法を適宜組み合わせることにより合成可能な化合物である。
2bが置換もしくは無置換のベンジル基であるプロピオル酸エステル(16)は、p−トルエンスルホン酸触媒を用いたベンジルアルコールのエステル化(例えば、特公昭46−3569号公報、特開昭54−73790号公報を参照)、DCC-DMAP(ジシクロヘキシルカルボジイミド−4‐ジメチルアミノピリジン)を用いたベンジルアルコールの縮合(Tetrahedron Letters (1989), Vol.30, No.34, 4525-6.、国際公開第2007/85136パンフレット、Synthetic Communications (1990), 20(15), 2259-65.参照)、炭酸カリウムやDBU(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン)などの塩基存在下でのベンジルハロゲン化物によるアルキル化(米国特許第5128448号明細書、特開平01−242550号公報を参照)などの公知の方法により、合成することが出来る。
化合物(12)と化合物(16)を必要に応じ塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で反応させることにより、化合物(15)を得ることができる。反応温度は約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜2日間である。
塩基と不活性溶媒の具体例としては、それぞれ製造方法1に記載のものと同様のものが挙げられる。
本発明の式(1)で表される化合物から式(2)で表される化合物の製造は、以下に示す製造方法4〜6に示す方法で行うことができる。
〔製造方法4〕
Figure 0005514522
[式中、R1は、前記と同義である。]
化合物(17)を必要に応じ酸の存在下、適当な不活性溶媒中で無水トリフルオロ酢酸と反応させることにより化合物(2)を得ることができる。反応温度は約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜7日間である。
酸の具体例としては、例えば無機酸(リン酸、硫酸など)等があげられる。不活性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
1が置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基である化合物(17)は、R1が水素原子である化合物(17)から、常法や、後記実施例10、参考例1などに記載の方法、あるいはこれらに準じる方法で製造することができる。
〔製造方法5〕
Figure 0005514522
[式中、R1bは水素原子、メチル基、エチル基を表し、R2cはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。
化合物(11)を必要に応じ酸または塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で加水分解することにより、化合物(18)を得ることができる。
反応温度は約0℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜2日間である。酸の具体例としては、例えば塩酸、硫酸等の無機酸、塩基としては、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。不活性溶媒の具体例としては、例えば、アセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、水もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
2cが置換もしくは無置換のベンジル基である場合、化合物(11)を触媒存在下、適当な不活性溶媒中で接触還元を行うことにより、化合物(18)を得ることができる。
反応温度は約0℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜2日間反応である。
触媒の具体例としては、例えばパラジウム/炭素、水酸化パラジウム等があげられる。不活性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸、水もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
化合物(18)から化合物(19)を製造する方法は、製造方法4に記載の方法と同様である。
〔製造方法6〕
Figure 0005514522
[式中、R1およびR2bは、前記と同義であり、R2dは、メチル基、エチル基、プロピル基イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基またはtert−ブチル基である。]
2bがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基またはtert−ブチル基である場合、化合物(20)を触媒存在下、適当な不活性溶媒中で接触還元を行うことにより、化合物(22)を得ることができる。
2bが置換もしくは無置換のベンジル基である場合、化合物(20)を触媒存在下、適当な不活性溶媒中で接触還元を行うことにより、化合物(21)を得ることができる。
反応温度は約0℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜2日間反応である。
触媒の具体例としては、例えばパラジウム/炭素、水酸化パラジウム等があげられる。不活性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸、水もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
化合物(22)から化合物(21)を製造する方法は、製造方法5に記載の方法と同様である。
化合物(21)から化合物(2)を製造する方法は、製造方法4に記載の方法と同様である。
1が置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基である化合物(20)は、R1が水素原子である化合物(20)から、常法や、後記実施例10、参考例1などに記載の方法、あるいはこれらに準じる方法で製造することができる。
式(1)で表される本発明化合物は、例えば、式(3)で表される抗うつ活性を持つ化合物の合成における有用な中間体として活用できる。
式(3)で表される化合物またはその塩は、例えば下記の方法によって製造できる。
Figure 0005514522
[式中、R3、R4およびLG1は、前記と同義である。]
化合物(3)またはその塩は、化合物(4)またはその塩を必要に応じ塩基の存在下、また、必要に応じ相間移動触媒の存在下、適当な不活性溶媒中で化合物(5)と反応させることにより得ることができる。反応温度は、約−20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜48時間である。
塩基の具体例としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
相間移動触媒の具体例としては、例えば硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。
不活性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。より好ましい溶媒としてはアセトニトリルが挙げられる。
脱離基LG1の具体例としては置換のスルホニルオキシ基が好ましく、p−トルエンスルホニルオキシ基およびベンゼンスルホニル基がさらに好ましい。
なお、R1が水素原子、メチル基またはエチル基である式(2)で表される本発明化合物のOR1基の脱離基LG1への変換は、例えば文献記載の常法(PROTECTIVE GROUP IN ORGANIC SYNTHESIS Second Edition,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts,JOHN WILEY & SONS,INC.,1990)によって行われる。例えば、R1がメチル基である式(2)の化合物を、ピバロイルクロライドおよびヨウ化ナトリウムと反応させて、R1が水素原子である式(2)の化合物に変換後、常法または後記実施例10や参考例1に記載の方法、あるいはこれらに準じる方法などで製造することができる。
以下に本発明を、参考例、実施例及び試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
化合物の同定には水素核磁気共鳴吸収スペクトル(1H−NMRスペクトル)等を用いた。いくつかの化合物については1H−NMRスペクトルスペクトルデータや融点を示した。また液体クロマトグラフィー分析により純度等の確認も行った。カラムにはSUMIPAX ODS C−212(5μm,6mmφ×15cm)を用い、測定波長を220 nm、移動層流速を1.0 ml/minに設定し、分析した。移動層としては0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル(A液)と0.05%トリフルオロ酢酸−水(B液)の混合溶媒を用いた。条件1ではA液とB液の混合比(A液:B液)を、測定開始時(0分)は10:90とし、測定開始40分後で90:10となるようにA液の比率を1分間に2.0%ずつ上昇させ、測定時間50分とした。A液とB液の混合比が本条件である場合に化合物が検出された保持時間(条件1)もいくつかの化合物について示した。
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル
2−(4−ヒドロキシルフェニル)エタノール(500mg,3.62mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液またはN−メチルピロリドン(5mL)溶液にアクリル酸tert−ブチル(510mg,3.98mmol)、塩基[トリエチルアミン(403mg,3.98mmol)、N−メチルモルホリン(403mg,3.98mmol)または炭酸カリウム(550mg,3.98mmol)]を加え、室温で5時間撹拌後、50℃で9時間加熱撹拌した。反応液をHPLC分析し、目的物が8%から17%生成していることを確認した。
保持時間(条件1):27.85分
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル
2−(4−ヒドロキシルフェニル)エタノール(500mg,3.62mmol)のアセトン(10mL)溶液またはN−メチルピロリドン(10mL)溶液にブロモプロピオン酸tert−ブチル(908mg,4.34mmol)、塩基[カリウムtert−ブトキシド(609mg,5.43mmol)または炭酸カリウム(750mg,5.43mmol)]を加え30℃で8時間撹拌した。反応液をHPLC分析し、目的物が6%から18%生成していることを確認した。
保持時間(条件1):27.85分
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸tert−ブチル
2−(4−ヒドロキシルフェニル)エタノール(10.0g,72.4mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液にプロピオル酸tert−ブチル(9.1g,72.4mmol)、N−メチルモルホリン(0.73g,7.24mmol)を加え室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、トルエン(100mL)、水(50mL)を加えて分液し、有機層を水(50mL)で洗浄し、溶媒を減圧濃縮することで、標記化合物(19.6g,定量的)を無色油状物として得た。
E体(Trans体)
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ:1.48(9H,s),2.84-2.88(2H,m),3.83-3.88(2H,m),5.44(1H,d,J=12.4 Hz),7.00-7.07(2H,m),7.20-7.26(2H,m),7.67(1H,d,J=12.4 Hz)
Z体(Cis体)
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ:1.51(9H,s),2.84-2.88(2H,m),3.83-3.88(2H,m),5.07(1H,d,J=7.2 Hz),7.00-7.07(2H,m),7.20-7.26(2H,m),6.78(1H,d,J=6.8 Hz)
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル
実施例3で得た3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸tert−ブチル(19.0g,71.9mmol)を酢酸エチル(190mL)中で10%パラジウム炭素(50%wet)(3.8g)を用いて室温で5時間常圧水素添加反応を行った。触媒をセライトでろ去し、ろ液を減圧濃縮することで、標記化合物(18.7mg,97%)を無色油状物として得た。
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ:1.47(9H,s),2.71(2H,t,J=6.5Hz),2.82(2H,t,J=6.5Hz),3.84(2H,t,J=6.5 Hz),4.21(2H,t,J=6.5 Hz),6.87(2H,t,J=8.6 Hz),7.15(2H,t,J=8.7 Hz)
保持時間(条件1):27.85分
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル
実施例3で得た3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸tert−ブチル(290mg,1.10mmol)を酢酸(50mg,0.83mmol)、メタノール(10mL)中で10%パラジウム炭素(58mg)を用いて室温で3時間常圧水素添加反応を行った。触媒をセライトでろ去し、ろ液を減圧濃縮後、標記化合物(450mg,定量的)を無色油状物として得た。
保持時間(条件1):27.85分
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸エチル
2−(4−ヒドロキシルフェニル)エタノール(200mg,1.45mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液にプロピオル酸エチル(156mg,1.59mmol)、N−メチルモルホリン(7mg,0.07mmol)を加え30℃で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:アセトン=40:1→10:1)で精製することで、標記化合物(280mg,82%)を無色油状物として得た。
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ:1.28(3H,t,J=7.2Hz),2.86(2H,t,J=6.6Hz),3.86(2H,t,J=6.6Hz),4.19(2H,q,J=7.2 Hz),5.53(1H,d,J=12.0 Hz),7.00-7.04(2H,m),7.22-7.25(2H,m),7.78(1H,d,J=12.0Hz)
Figure 0005514522
6−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−クロメン−4−オン
無水トリフルオロ酢酸(3.15g,15.0mmol)のアセトニトリル(20mL)に氷冷下、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル(1.0g,3.75mmol)を滴下し、室温で7日間撹拌した(1日後の原料残存率は35.9%(LC分析値)であった。)。反応液を減圧濃縮し、濃縮残渣にトルエン(10mL)、水(5mL)を加え分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)、水(5mL)で洗浄し、溶媒を減圧濃縮し、標記化合物と標記化合物のトリフルオロアセチルエステルとの混合物を濃縮残渣として得た。濃縮残渣にメタノール(10mL)、炭酸カリウム(0.52g,3.75mmol)を加え室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、濃縮残渣に酢酸エチル(10mL)、水(10mL)を加え分液し、有機層を減圧濃縮することで、標記化合物(0.51g,70.1%)を褐色油状物として得た。
保持時間(条件1):14.81分
Figure 0005514522
6−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−クロメン−4−オン
無水トリフルオロ酢酸(17.6g,84.0mmol)のアセトニトリル(100mL)に氷冷下、リン酸(1.03g,10.5mmol)、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル(5.0g,20.1mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、濃縮残渣にトルエン(100mL)、水(50mL)を分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)、水(50mL)で洗浄し、溶媒を減圧濃縮し、標記化合物と標記化合物のトリフルオロアセチルエステルとの混合物を濃縮残渣として得た。濃縮残渣にメタノール(55mL)、炭酸カリウム(2.61g,18.9mmol)を加え室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、濃縮残渣に酢酸エチル(60mL)、水(60mL)を加え分液し、有機層を減圧濃縮することで、標記化合物(2.95g,76%)を褐色油状物として得た。
保持時間(条件1):14.81分
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル
2−(4−ヒドロキシルフェニル)エタノール(181mg,1.31mmol)のアセトニトリル(2mL)溶液にプロピオル酸ベンジル(200mg,1.25mmol)、N−メチルモルホリン(12.6mg,0.125mmol)を加え室温で6時間撹拌した。反応液にトルエン(5mL)、水(5mL)を加えて分液し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液(5mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮することで、標記化合物(366mg,98.1%)を無色油状物として得た。
保持時間(条件1):Z体(Cis体)28.48分、E体(Trans体)31.01分
Figure 0005514522
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル(939mg、3.15mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液に、トリメチルアミン塩酸塩(82.6mg,0.32mmol)およびトリエチルアミン(873mL,6.30mmol)を加え、氷浴で冷却して内温5℃以下でベンゼンスルホニルクロライド(667mg, 3.78mmol)を少しずつ加え、反応混合物を内温5℃以下で4時間攪拌した。内温10℃以下で5%重曹水(7.5mL)を加え、室温に昇温してからトルエン(7.5mL)を加えて分液し、水層をトルエン(7.5mL)で再抽出した。全有機層を1%硫酸水素カリウム水溶液(3.8mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することで標記化合物(1.64g,定量的)を無色油状物として得た。
保持時間(条件1):Z体(Cis体)37.16分、E体(Trans体)39.30分
Figure 0005514522
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル(718mg,1.64mmol)の酢酸エチル(7.2mL)溶液中、10%パラジウム炭素(144mg)を用いて室温で3時間常圧水素添加反応を行った。触媒をろ去し、ろ液を減圧濃縮することで濃縮残渣(720mg)を得た。トルエン(7.2mL)を加えて室温で1時間攪拌し、析出物をろ取し、トルエン(3mL)で洗浄し、減圧乾燥することで、標記化合物(444mg,78.7%)を無色粉末として得た。
保持時間(条件1):27.73分
Figure 0005514522
6−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−クロメン−4−オン
無水トリフルオロ酢酸(480mg,2.28mmol)のアセトニトリル(1mL)に氷冷下、リン酸(65.8mg,0.571mmol)、3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸(200mg,0,571mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液にトルエン(5mL)、水(2.5mL)を加えて分液し、水層をトルエン(5mL)で再抽出した。全有機層を5%炭酸カリウム水溶液(5mL)、水(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮し、標記化合物(191mg,定量的)を無色粉末として得た。
保持時間(条件1):29.27分
[参考例1]
Figure 0005514522
2−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)エチル 4−メチルベンゼンスルホネート
6−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−クロメン−4−オン(10.0g、52mmol)のアセトニトリル(150 mL)溶液に、トリメチルアミン塩酸塩(497mg,5.20mmol)およびトリエチルアミン(14.4 mL, 104 mmol)を加え、氷浴で冷却して内温15℃以下でp-トルエンスルホニルクロライド(11.9 g, 62.4 mmol)を少しずつ加え、反応混合物を内温5℃以下で1.5時間攪拌した。内温10℃以下で5%重曹水(75 mL)を加え、室温に昇温してからトルエン(75 mL)を加えて分液し、水層をトルエン(75 mL)で再抽出した。全有機層を1%硫酸水素カリウム水溶液(38 mL×2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することで濃縮残渣(16.61 g)を得た。トルエン(50 mL)を加えて50℃で1.5時間攪拌し、引き続き30分間で室温(20〜25℃)まで冷却した。水冷し内温20〜25℃で1時間攪拌後、析出物をろ取し、トルエン(10 mL×2)で洗浄し、減圧乾燥することで、標記化合物(10.65 g)を淡黄色粉末として得た。
融点:121−122℃
[参考例2]
Figure 0005514522
6−(2−{4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン−1−イル}エチル)−2,3−ジヒドロ−4H−クロメン−4−オン
1)4-ブロモ-3-フルオロトルエン(25.0 g, 132 mmol)、5,5−ジメチル−1,3−ジブロモヒダントイン(18.9 g, 66.1 mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(1.09 g, 6.64 mmol)のクロロベンゼン(400 mL)溶液を内温80-90℃で1時間攪拌した。反応混合物を氷浴で冷却後、水(200 mL)とチオ硫酸ナトリウム(33 g, 132 mmol)を加えて攪拌した。分液し、有機層を水(200 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、全体が100 mL程度の体積になるまで濃縮した。そこへトリフェニルホスフィン(34.69 g, 132 mmol)とクロロベンゼン(30 mL)を加えて3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、析出物をろ取し、ろ上物をトルエンで洗浄後、減圧乾燥することで、(4−ブロモ−3−フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウム ブロマイド(47.0 g)を得た。
2)(4−ブロモ−3−フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウム ブロマイド(15.0 g, 28.3 mmol)、1−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリドン(3.76 g, 18.9 mmol)および炭酸カリウム(5.21 g, 37,7 mmol)の2-プロパノール(28 mL)溶液を3時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、塩をろ別後、ろ液にトルエン(300 mL)を加えて、水(100 mL)、飽和食塩水(100 mL)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣にn-ヘキサン(107 mL)を加えて1時間加熱還流後、室温まで冷却して1時間攪拌後、氷浴で冷却しながら1時間攪拌した。析出したトリフェニルホスフィンオキシドをろ別し、n-ヘキサンで洗浄後、ろ液を減圧濃縮することで、tert-ブチル 4−[(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)メチリデン]ピペリジン−1−カルボキシレート(8.08 g)を黄色固体として得た。
3)tert-ブチル 4−[(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)メチリデン]ピペリジン−1−カルボキシレート(8.08 g)を酢酸エチル(57 mL)中で5%白金炭素(800 mg)を用いて時間常圧水素添加反応を行った。セライトろ過により触媒をろ別し、ろ液を濃縮することで、tert-ブチル 4−(4−ブロモ−3−フルオロベンジル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8.61 g)を淡黄色固体として得た。
4)tert-ブチル 4−(4−ブロモ−3−フルオロベンジル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8.61 g, 18.9 mmol相当)、2-メトキシエタノール(2.98 mL, 37.7 mmol)のN-メチル-2-ピペリドン(38 mL)溶液に室温でカリウム t-ブトキシド(4.23 g, 37.7 mmol)を加え、反応混合物を内温90℃で2.5時間攪拌後、カリウム t-ブトキシド(1.06 g, 9.43 mmol)を加えて30分間90℃で攪拌し、さらにカリウム t-ブトキシド(1.06 g, 9.43 mmol)を加えて30分間90℃で攪拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(80 mL)を加え、トルエン(80 mL×3)で抽出した。全有機層を水(40 mL×2)、飽和食塩水(40 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣にn-ヘキサン(162 mL)を加え、60℃に加温して溶解を確認後、ゆっくり室温まで冷却し、室温で1夜間攪拌後、氷浴で冷却して1時間攪拌し、析出物をろ取し、ろ上物をn-ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥することで、tert−ブチル 4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン−1−カルボキシレート(6.34 g)を淡褐色粉末として得た。
5)tert−ブチル 4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン−1−カルボキシレート(6.00 g, 14.0 mmol)のメタノール(24 mL)溶液に室温で10%塩酸-メタノール溶液(24 mL)を加え、反応混合物を50℃で5時間攪拌した。室温まで冷却後、溶媒を減圧留去し、濃縮残渣にアセトニトリル(6 mL)を加えて減圧濃縮を4回繰り返した。濃縮残渣にアセトニトリル(38 mL)を加えて80℃の油浴で加温し、固形物の溶解を確認後、1時間で室温まで冷却し、水浴で冷却して20℃で1時間、氷浴で1時間攪拌後、析出物をろ取し、ろ上物を冷アセトニトリル(30 mL)で洗浄し、減圧乾燥することで、4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン塩酸塩(4.56 g, 89%)を白色粉末として得た。
6)4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン塩酸塩(52.0 g, 143 mmol)を5%炭酸カリウム水溶液(350 mL)に加え、トルエン(700 mL×3)で抽出した。全有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することで、4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン(48.1 g)を得た。次に、4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン(2.00g, 6.1mmol)、2−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)エチル 4−メチルベンゼンスルホネート(2.01g, 5.8mmol)および炭酸カリウム(1.66g, 12mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を70〜80℃で7時間攪拌した。室温に冷却後、水(100mL)を加えて、クロロホルムで抽出し、クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1→クロロホルム:メタノール=20:1)で精製することで、標記化合物(3.07g, 定量的)を得た。
1H-NMR (300 MHz,CDCl3) δ: 1.24-1.39 (2H, m), 1.40-1.73 (3H, m), 1.93 (2H, t, J = 10.6 Hz), 2.40-2.61 (2H, m), 2.48 (2H, d, J = 7.2 Hz), 2.66-2.87 (2H, m), 2.79 (2H, t, J= 6.4 Hz), 2.95 (2H, d, J = 11.7 Hz), 3.49 (3H, s), 3.81 (2H, t, J= 4.9 Hz), 4.17 (2H, t, J = 4.9 Hz), 4.51 (2H, t, J = 6.4 Hz), 6.64 (1H, dd, J = 8.1, 1.8 Hz), 6.71 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.89 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.32 (1H, dd, J = 8.4, 2.2 Hz), 7.41 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.70 (1H, d, J = 2.2 Hz).
[参考例3]
6−(2−{4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン−1−イル}エチル)−2,3−ジヒドロ−4H−クロメン−4−オン 塩酸塩
Figure 0005514522
参考例2で得た化合物(3.07g , 5.8 mmol)の2−プロパノール(20mL)溶液に室温で濃塩酸水溶液(36%, 760μL, 8.5 mmol)を加え、溶液を室温で15.5時間攪拌した。析出物をろ取し、ろ上物を2−プロパノール(2mL×2)で洗浄し、減圧乾燥することで、標記化合物(2.26g, 72%)を白色粉末として得た。
融点:156-157℃
[参考例4]
[2−ブロモ−5−({1−[2−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)エチル]ピペリジン−4−イル}メチル)フェノキシ]アセティック アシッド 塩酸塩
1)4−[4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンジル]ピペリジン塩酸塩(5.00 g, 13.8 mmol)のジクロロメタン(100 mL)溶液を氷冷し、三臭化ホウ素(1.0 M-ジクロロメタン溶液, 55 mL, 55 mmol)を35分間で滴下し、反応混合物をゆっくり昇温させながら1日間攪拌した。反応溶液を氷冷し、メタノール(20 mL)を20分間で滴下後、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮残渣を精製することなく10%炭酸カリウム水溶液(100 mL)および1,4−ジオキサン(100 mL)を加え、混合溶液に室温でジ−tert−ブチルジカーボネート(3.00g、13.8 mmol)の1,4−ジオキサン(20 mL)溶液を30分間で滴下した。反応混合物を室温で21時間攪拌後、1,4−ジオキサンを減圧留去し、濃縮残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮残渣にn-ヘキサン-酢酸エチル(2 : 1)混合溶液(20 mL)を加えて生じた析出物をろ取し、n-ヘキサン-酢酸エチル(2 : 1)混合溶液(5 mL×2)で洗浄し減圧乾燥することでtert−ブチル 4−(4−ブロモ−3−ヒドロキシベンジル)ピペリジン−1−カルボキシレート(4.25g、83%)を得た。
2)tert−ブチル 4−(4−ブロモ−3−ヒドロキシベンジル)ピペリジン−1−カルボキシレート(3.50g, 9.49mmol)と炭酸カリウム(2.62g, 19mmol)のアセトニトリル(70mL)懸濁溶液に室温でブロモ酢酸 t−ブチルエステル(1.35mL, 9.96mmol)を加え、反応混合物を室温で15時間攪拌した。水(200mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することでtert−ブチル 4−[4−ブロモ−3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)ベンジル]ピペリジン−1−カルボキシレート(4.24g, 92%)を白色粉末として得た。
3)tert−ブチル 4−[4−ブロモ−3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエトキシ)ベンジル]ピペリジン−1−カルボキシレート(4.20g, 8.96mmol)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液に水冷しながら室温で4N−塩酸−1,4−ジオキサン溶液(40mL)を加え、反応混合物を20分間室温で攪拌した。溶液を炭酸水素ナトリウム(20g)の水(200mL)溶液に少しずつ注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することでtert−ブチル [2−ブロモ−5−(ピペリジン−4−イルメチル)フェノキシ]アセテート(2.34g, 70%)を白色固体として得た。
4)tert−ブチル [2−ブロモ−5−(ピペリジン−4−イルメチル)フェノキシ]アセテート(2.30g, 6.0mmol)、2−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)エチル 4−メチルベンゼンスルホネート(1.97g, 5.7mmol)および炭酸カリウム(1.57g, 11mmol)のアセトニトリル(25mL)溶液を55〜60℃で19.5時間攪拌した。室温に冷却後、水(100mL)を加えて、クロロホルムで抽出し、クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1→クロロホルム:メタノール=20:1)で精製することで、tert−ブチル [2−ブロモ−5−({1−[2−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)エチル]ピペリジン−4−イル}メチル)フェノキシ]アセテート(3.51g, 定量的)を得た。
5)tert−ブチル [2−ブロモ−5−({1−[2−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)エチル]ピペリジン−4−イル}メチル)フェノキシ]アセテート(3.50g, 6.8mmol)に4N−塩酸−1,4−ジオキサン溶液(35mL)を加え、反応混合物を50℃で1.5時間攪拌した。室温に冷却後、溶媒を減圧留去し、濃縮残渣にアセトン(35mL)を加えて生じた沈殿をろ取し、アセトン(5mL×2)で洗浄することで標記化合物の粗生成物(2.34g)を得た。粗生成物をアセトン(50mL)に加えて1時間加熱還流後、1.5時間で室温まで冷却し、20℃で1時間攪拌後、沈殿をろ取し、アセトン(5mL×2)で洗浄することで標記化合物(2.20g, 60%)を白色粉末として得た。
融点:163−166℃
[参考例5]
Figure 0005514522
プロピオル酸ベンジル
炭酸カリウム(18.59 g, 134.48 mmol)にジメチルホルムアミド(80.00 g)を加えて懸濁液とし、さらにプロピオル酸(9.42 g, 134.48 mmol)のジメチルホルムアミド(5.00 g)溶液を氷冷下にて加えた。10分撹拌後、ベンジルブロミド(20.00 g, 116.94 mmol)のジメチルホルムアミド(5.00 g)溶液を加え、30℃で加熱攪拌を行った。4時間後、氷冷下で水を加え、再び30℃に昇温し、酢酸エチル(100 g)で抽出を行った。有機層を分離後、5% 食塩水、続いて8% 食塩水で洗浄し、濃縮することで黄色油状物として標記化合物(18.73g, 116.94 mmol)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ:7.42-7.35 (5H, m), 5.24 (2H, s), 2.91 (1H, s).
Figure 0005514522
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル
2−(4−ヒドロキシルフェニル)エタノール(19.39 g, 140.33 mmol)に酢酸エチル(112.38 g)を加え、さらにN−メチルモルホリン(1.18 g, 11.69 mmol)および水(4.78 g)を加えた。プロピオル酸ベンジル(18.73g, 116.94 mmol)の酢酸エチル(100.00 g)溶液を加え、30℃で過熱攪拌を行った。2時間後、8%食塩水(187.30 g)を加え、攪拌後水層を分離した。有機層を濃縮後、トルエン(74.92 g)を加え、水洗(187.30 g)を3回行った。有機層を濃縮することで、淡黄色液体として標記化合物(34.89 g, 116.94 mmol)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ:7.83 (1H, d, J = 12.2 Hz), 7.44-7.33 (5H, m), 7.25 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.03 (2H, d, J = 8.6 Hz), 5.59 (1H, d, J = 12.2 Hz), 3.89-3.85 (2H, m), 2.87 (2H, t, J = 6.5 Hz).
Figure 0005514522
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル
3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル(34.89 g, 116.94 mmol)にトルエン(296.53 g)、トリエチルアミン (17.75 g, 175.41 mmol)、N-メチルイミダゾール(0.96 g, 11.69 mmol)、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(1.36 g, 11.69 mmol)を加え、5℃に冷却した。ベンゼンスルホニルクロライド(24.78 g, 140.33 mmol)のトルエン(17.44 g)溶液を滴下し、15℃で攪拌を行った。3時間後、水(348.86 g)を加え、40℃で4時間加熱攪拌を行った。水層を分離後、25℃に冷却し、1.0%硫酸水素カリウム水溶液(348.86 g)、及び水(348.86 g)で洗浄し、濃縮することで、無色油状物として標記化合物(51.28 g, 116.94 mmol)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ:7.82 (2H, dd, J = 1.2, 8.1 Hz), 7.79 (1H, d, J = 12.2 Hz), 7.62 (1H, tt, J = 1.2, 7.5 Hz), 7.50 (2H, dd, J = 7.5, 8.1 Hz), 7.39-7.32 (5H, m), 7.12 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.95 (2H, d, J = 8.6 Hz), 5.58 (1H, d, J = 12.2 Hz), 5.20 (2H, s), 4.24 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.96 (2H, t, J = 6.8 Hz).
Figure 0005514522
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル(51.28 g, 116.94 mmol)にテトラヒドロフラン(333.29 g)、10%パラジウム炭素(50 wet% w/w)(15.38 g)を加え、水素雰囲気下、室温で激しく攪拌を行った。反応溶液を濾過して10%パラジウム炭素を除去後、濃縮を行った。残渣にトルエン(615.31 g)、テトラヒドロフラン(66.66 g)を加え、70℃で加熱攪拌を行った。30分後から徐々に冷却し、0℃で1時間保温後、濾過することで白色固体として標記化合物(31.5 g, 89.90 mmol)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ:7.82 (2H, dd, J = 1.2, 8.1 Hz), 7.63 (1H, tt, J = 1.2, 7.5 Hz), 7.50 (2H, dd, J = 7.5, 8.1 Hz), 7.06 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.80 (2H, d, J = 8.6 Hz), 4.23 (2H, t, J = 6.2 Hz), 4.20 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.91 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.84 (2H, t, J = 6.2 Hz).
Figure 0005514522
6−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−クロメン−4−オン
3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸(30.00 g, 85.62 mmol)をトルエン(300.00g)に溶解し、室温で無水トリフルオロ酢酸(26.97g)を室温にて加えた。30分撹拌後、リン酸(0.84 g, 8.56mmol)を加えさらに3時間撹拌した。水(150.00 g)を加えた後、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水、続いて水で洗浄した。有機層を濃縮し、濃縮残渣をイソプロパノール(216 g)および、水(54 g)の混合液に45℃で溶解した。25℃まで冷却した後、水(600 g)を加え、さらに5℃まで冷却した。析出した固体をろ取・乾燥することで標記化合物(27.78 g, 97.6%)を得た。
1H-NMR (400MHz,CDCl3) δ:7.83 (2H, dd, J = 1.2 Hz, 7.4 Hz), 7.64 (1H, tt, J = 1.2 Hz, 7.4 Hz), 7.61 (1H, d, J = 2.3 Hz), 7.53 (2H, t, J = 7.4Hz), 7.27 (1H, dd, J = 2.3 Hz, 8.5 Hz), 6.90 (1H, d, J = 8.5 Hz), 4.53 (2H, t, J = 6.5 Hz), 4.22 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.93 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.80 (2H, t, J = 6.5 Hz).
試験例1:ヒトセロトニン再取り込み阻害作用を評価するための[3H]citalopram binding ([3H]シタロプラム結合)を用いたスクリーニング試験
1−1 使用細胞および膜標品の調製
実験にはヒトセロトニントランスポーター(h-SERT)を発現させたCHO細胞(h-SERT/CHO)を用いた。細胞は5% CO2インキュベーター中で、10% FCS、500μg/ml Geneticinおよび100U/ml penicillin(ペニシリン)-100μg/ml streptmycin(ストレプトマイシン)を含むF12(すべてSigma Aldrich製)にて培養し、SERT buffer(SERT バッファー)(120 mM NaClおよび5 mM KClを含む50mM Tris-HCl (pH=7.4))にて剥離・採取した細胞をテフロン(登録商標)製ホモジナイザーでホモジナイズした後、遠心操作(50,000xg、30min、4℃)を行なった。沈渣は適量のSERT bufferに再懸濁し、使用まで-80℃で保存した。膜標品中のタンパク質量は、標準物質にウシ血清アルブミン(Sigma Aldrich製)を用いて、Dye Reagent Concentrate(BIO-RAD製)により定量した。
1−2 受容体結合実験
[3H]citalopram結合の測定はOwensらの方法[Owens M. J. et al., J. Pharm. Exp. Ther., 283, 1305-1322(1997)]に準じて行った。すなわち、SERT bufferで希釈した[3H]citalopram(最終濃度約2nM)50μl、h-SERT/CHO膜標品(蛋白量として40μg/well)149μl、およびジメチルスルホキシドに溶解した被験薬溶液1μlを加え全量を200μlとした。この液を室温で60分間反応させた後、0.05%ポリエチレンイミン水溶液でコーティングしたガラス繊維濾紙を用い速やかに低圧吸引ろ過した。ガラス繊維濾紙をSERT buffer 250μlで2回洗浄した後、ACS-II(Amersham製)4ml入りのガラスバイアルに移し、濾紙上に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターを用いて測定した。[3H]citalopramの非特異的結合は1μM clomipramine(クロミプラミン)存在下での結合量とした。
IC50値をHill解析[Hill A. V., J. Physiol., 40, 190-200 (1910)参照]により算出し、h-SERT結合阻害定数(Ki)の算出は、式:
h-SERT結合阻害定数(Ki)=IC50/(1+S/Kd)
[Sは添加した[3H]citalopram濃度を示す。また、Kd値は[3H]citalopramの結合解離定数であり、別途同じ細胞膜を用いて実施した飽和結合実験より算出された値(2.16 nM)を用いた。]
によって算出した。h-SERT結合阻害定数Ki値の数値が小さいほど、ヒトセロトニン再取り込み阻害作用が高いことを意味する。
試験例2:ヒトセロトニン1A受容体に対する親和性を評価するための[3H]8-OH-DPAT binding試験
2−1 使用細胞および膜標品の調製
実験にはヒトセロトニン1A受容体(h-5-HT1A)を発現させたCHO細胞(h-5-HT1A/CHO)を用いた。細胞は5% CO2インキュベーター中で、10% FCS、500μg/ml Geneticinおよび100U/ml penicillin-100μg/ml streptmycinを含むF12(すべてSigma Aldrich製)にて培養し、膜標品はYabuuchiらの方法 [Yabuuchi K. et al., Biogenic Amines, 18, 319-328 (2004)]に従って調製した。すなわち、50mM Tris-HCl (pH=7.4)にて剥離・採取した細胞を、テフロン(登録商標)製ホモジナイザーでホモジナイズした後、遠心操作(48,000xg、20min、4℃)を行なった。沈渣は適量の50mM Tris-HCl (pH=7.4)に再懸濁し、使用まで-80℃で保存した。膜標品中のタンパク質量は、標準物質にウシ血清アルブミン(Sigma Aldrich製)を用いて、Dye Reagent Concentrate(BIO-RAD製)により定量した。
2−2 受容体結合実験
実験はYabuuchiらの方法[Yabuuchi K. et al., Biogenic Amines, 18, 319-328 (2004)]に準じて実施した。50mM Tris-HCl (pH=7.4)、4mM CaCl2 を含む緩衝液中に、[3H]8-OH-DPAT (最終濃度 0.5 nM) を50μl、被検薬溶液を1μl、h-5-HT1A/CHO膜標品 (蛋白質量として25μg /well)149μl を加え、全量200μlの反応液を用いて測定した。反応液を室温で30分間反応させた後、ガラス繊維濾紙上に速やかに低圧吸引濾過した。ガラス繊維濾紙を、50mM Tris-HCl (pH=7.4)250μl で2回洗浄した後、ACS-II (Amersham 社製)4ml 入りのカウンティングバイヤルに添加し、濾紙上に残存した受容体結合放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。非特異的結合は10μM 8-OH-DPAT存在下での結合量とした。
IC50値をHill解析[Hill A. V., J. Physiol., 40, 190-200 (1910)参照]により算出し、h-5-HT1A結合阻害定数(Ki)の算出は、式:
h-5-HT1A結合阻害定数(Ki)=IC50/(1+S/Kd)
[Sは添加した[3H]8-OH-DPAT濃度を示す。また、Kd値は[3H]8-OH-DPATの結合解離定数であり、別途同じ細胞膜を用いて実施した飽和結合実験より算出された値(1.28 nM)を用いた。]
によって算出した。h-5-HT1A結合阻害定数Ki値の数値が小さいほど、ヒトセロトニン1A受容体に対する親和性が高いことを意味する。
参考例2の化合物について上記の試験例1および2の試験を行ったところ、参考例2の化合物のh-SERT結合阻害定数(Ki)とh-5-HT1A結合阻害定数(Ki)は、それぞれ0.79nMと4.2nMであった。これらの試験結果から、参考例2の化合物が、ヒトセロトニン再取り込み阻害作用とヒト5−HT1A受容体に対する結合親和性を併せ持つだけでなく、ヒトセロトニン再取り込み阻害作用が高いことが明らかとなった。
試験例3:CYP2D6阻害スクリーニング試験
3−1 材料
ブフラロール(Bufuralol Hydrochloride)はToronto Research Chemicals Inc.より、Pooled of Human Liver MicrosomesはXenotech, LLCより購入した。
3−2−1 0.5 Mリン酸カリウムBuffer(pH 7.4)の調製
0.5 Mリン酸一カリウム溶液150 mLと0.5 Mリン酸二カリウム溶液700 mLを混合してpH 7.4に調整した。
3−2−2 165 mM 塩化マグネシウム溶液の調製
塩化マグネシウム六水和物(MgCl2・6H2O)を 3.35 g/100 mLになるよう純水に溶解した。
3−2−3 ヒト肝ミクロソーム溶液の調製
Pooled of Human Liver Microsomes(20mg/ml)150μL、0.5 Mリン酸カリウムBuffer 12mL、165 mM 塩化マグネシウム溶液 1.2mLおよび純水34.65 mLを混合して調製した。
3−2−4 13 mM β-NADPH溶液の調製
β-NADPH を11.75 mg/mLになるよう純水に溶解し調製した。
3−2−5 基質溶液の調製
ブフラロールを1.0mMとなるようDMSOで溶解した後、純水で20倍に希釈した。
3−3 実験方法
1. 被検薬物の10mM DMSO溶液をDMSOで5倍ずつ4段階希釈し、10、2、0.4、0.08mMのDMSO溶液を調製した。
2. 1.の被検薬物溶液およびDMSOをヒト肝ミクロソーム溶液で160倍に希釈し、80μLずつマイクロプレートに分注した。
3. 2.に基質溶液10μLおよびβ-NADPH溶液10μLを添加し、37℃で10minインキュベートした。
4. メタノール300μLを添加し、反応を停止させた。
5. 反応混合物をフィルターろ過し、LC-MSMSにて分析を行った。
3−4 定量および計算
LC-MSMSにて1’−ヒドロキシブフラロールの生成量を定量し、これを各ウェルにおけるCYP2D6の活性値とした。被検薬物としてDMSOを用いたウェルの活性と比較し、各サンプル添加群の残存活性を求め、被検薬物濃度よりCYP2D6阻害のIC50値を求めた。IC50値は残存活性50%をはさむ2点を結ぶ直線より算出した。CYP2D6阻害のIC50値の数値が大きいほど、CYP2D6阻害が弱いことを意味する。
試験例4:ヒト肝ミクロソーム代謝におけるCYP2D6寄与率スクリーニング試験
終濃度として3mMのNADPH(オリエンタル酵母工業製)、1mg/mLのヒト肝ミクロソーム(XENOTECH, LLC製)および1μMの被験物質を含む0.2mL の50mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)を37℃の水浴上で加温することにより代謝反応を行った。15分または30分反応した後、反応液の3倍容のメタノールを添加して攪拌することにより反応を停止させた。この反応液を遠心分離して蛋白を沈殿させた後、上清を採取しLC-MS/MS分析に供した。結果の解析は以下の通り実施した。
被験物質の定量を行い、その残存量の経時変化を対数プロットしその傾きより代謝速度を算出した。
反応溶液に終濃度4μMのキニジンを添加しなかった場合の代謝速度に対する添加した場合の代謝速度の割合をCYP2D6以外の酵素の寄与率とし、その残りをCYP2D6の寄与率とした。すなわち、式:
寄与率(%)={1−(代謝速度[キニジン添加有]/代謝速度[キニジン添加なし])}×100
によって算出した。CYP2D6の寄与率の数値が小さいほど、CYP2D6の寄与が小さいことを意味する。
参考例2の化合物について、試験例3および4の試験を行ったところ、参考例2の化合物のCYP2D6阻害(IC50)とCYP2D6寄与率は、それぞれ22.9μMと0%であった。これらの試験結果から、参考例2の化合物については、CYP2D6阻害が弱く、また代謝におけるCYP2D6の寄与が小さいことが明らかとなった。
式(3)で表される化合物及びそれらの薬学上許容される塩は、新規化合物であり、セロトニン1A受容体に対する親和性を併せ持ち、ヒトセロトニン再取り込み阻害活性が向上し、ヒトチトクロームP450分子種の一つであるCYP2D6に対する阻害作用が弱く、もしくはヒトにおける薬物代謝においてCYP2D6の寄与が小さな、新しいセロトニン再取り込み阻害剤であることから、例えばうつ病や不安(不安障害)などの疾患に対し、治療効果に優れ安全性の高い新規な治療薬または予防薬として使用しうる。したがって、式(1)で表される化合物は、式(3)で表される新規治療薬の中間体として有用な化合物である。

Claims (6)

  1. 式(1)で表される化合物:
    Figure 0005514522
    [式中、破線は単結合または二重結合を表し、
    (i)破線が二重結合であるとき、
    1は水素原子、エチル基または置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基を表し、
    2はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;あるいは
    1はメチル基を表し、
    2はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表し;
    (ii)破線が単結合であるとき、
    1は水素原子を表し、
    2はメチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;
    1はメチル基を表し、
    2はプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;
    1はエチル基またはベンゼンスルホニル基を表し、
    2は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表すか;あるいは
    1は置換ベンゼンスルホニル基を表し、
    2は水素原子、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。]。
  2. 2が水素原子、tert−ブチル基またはベンジル基である、請求項1に記載の化合物。
  3. 1が水素原子、ベンゼンスルホニル基またはp−トルエンスルホニル基である、請求項1に記載の化合物。
  4. 式(1)で表される化合物が、
    3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸tert−ブチル、
    3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸エチル、
    3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸tert−ブチル、
    3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル、
    3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]アクリル酸ベンジル、
    または
    3−[4−(2−ベンゼンスルホニルオキシエチル)フェノキシ]プロピオン酸、
    である、請求項1に記載の化合物。
  5. 下記(a)、(b)、(c)または(d)で示される方法によって、請求項1に記載の化合物から、式(2):
    Figure 0005514522
    [式中、R1は水素原子、メチル基、エチル基または置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基である。]
    で表される化合物を製造する方法:
    (a)式(1)で表される化合物において、破線が単結合であり、R2がtert−ブチル基である化合物を、無水トリフルオロ酢酸と反応させる方法;
    (b)式(1)で表される化合物において、破線が単結合であり、R2がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基である化合物を、R2が水素原子である化合物に変換した後、無水トリフルオロ酢酸と反応させる方法;
    (c)式(1)で表される化合物において、破線が二重結合であり、R2がtert−ブチル基である化合物を、破線が単結合である化合物に変換した後、無水トリフルオロ酢酸と反応させる方法;
    (d)式(1)で表される化合物において、破線が二重結合であり、R2がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基または置換もしくは無置換のベンジル基である化合物を、破線が単結合でありR2が水素原子である化合物に変換した後、無水トリフルオロ酢酸と反応させる方法。
  6. 無水トリフルオロ酢酸との反応を酸存在下で行う、請求項5に記載の製造方法。
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