以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態》
図1は、実施形態に係る過給装置を採用したエンジン1の概略構成を示す。このエンジン1は、車両に搭載されたディーゼルエンジンであって、複数の気筒11a(1つのみ図示)が設けられたシリンダブロック11と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯溜されたオイルパン13とを有している。このエンジン1の各気筒11a内には、ピストン14が往復動可能にそれぞれ嵌挿されていて、このピストン14の頂面には深皿形燃焼室14aを区画するキャビティが形成されている。このピストン14は、コンロッド14bを介してクランクシャフト15と連結されている。シリンダブロック11には、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサSW1が配設されている。
前記シリンダヘッド12には、各気筒11a毎に吸気ポート16及び排気ポート17が形成されているとともに、これら吸気ポート16及び排気ポート17の燃焼室14a側の開口を開閉する吸気弁21及び排気弁22がそれぞれ配設されている。これら吸排気弁21,22をそれぞれ駆動する動弁系において、排気弁側には、当該排気弁22の作動状態を通常モードと特殊モードとに切り替える油圧作動式の可変機構(図示省略。以下、VVM(Variable Valve Motion)と称する)が設けられている。このVVMは、その詳細な図示は省略するが、カム山を1つ有する第1カムとカム山を2つ有する第2カムとの、カムプロファイルの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的に排気弁に伝達するロストモーション機構を含んで構成されており、第1カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22の作動状態が、排気行程中において一度だけ開弁される通常モードとなるのに対し、第2カムの作動状態を排気弁22に伝達しているときには、排気弁22の作動状態が、排気行程中において開弁すると共に、吸気行程中においても開弁するような、いわゆる排気の二度開きを行う特殊モードとなる。特殊モードは、内部EGRに係る制御の際に利用され得る。尚、こうした通常モードと特殊モードとの切り替えを可能にする上で、排気弁を電磁アクチュエータによって駆動する電磁駆動式の動弁系を採用してもよい。
また、前記シリンダヘッド12には、燃料を噴射するインジェクタ18と、エンジン1の冷間時に吸入空気を暖めて燃料の着火性を高めるためのグロープラグ19とが設けられている。前記インジェクタ18は、その燃料噴射口が燃焼室14aの天井面から該燃焼室14aに臨むように配設されていて、圧縮行程上死点付近で燃焼室14aに燃料を直接噴射供給するようになっている。
前記エンジン1の一側面には、各気筒11aの吸気ポート16に連通するように吸気通路30が接続されている。一方、前記エンジン1の他側面には、各気筒11aの燃焼室14aからの既燃ガス(排気ガス)を排出する排気通路40が接続されている。これら吸気通路30及び排気通路40には、吸入空気の過給を行う大型ターボ過給機61と小型ターボ過給機62とが配設されている。
吸気通路30の上流端部には、吸入空気を濾過するエアクリーナ31が配設されている。一方、吸気通路30における下流端近傍には、サージタンク33が配設されている。このサージタンク33よりも下流側の吸気通路30は、各気筒11a毎に分岐する独立通路とされ、これら各独立通路の下流端が各気筒11aの吸気ポート16にそれぞれ接続されている。また、サージタンク33には、燃焼室14aに供給される空気の圧力を検出する過給圧センサSW2が配設されている。
吸気通路30におけるエアクリーナ31とサージタンク33との間には、上流側から順に、吸入空気の温度を検出する吸気温度センサSW3と、詳しくは後述する大型及び小型ターボ過給機61,62のコンプレッサ61a,62aと、該コンプレッサ61a,62aにより圧縮された空気の温度を検出する過給空気温度センサSW4と、該コンプレッサ61a,62aにより圧縮された空気を冷却するインタークーラ35と、前記各気筒11aの燃焼室14aへの吸入空気量を調節するスロットル弁36とが配設されている。このスロットル弁36は、基本的には全開状態とされるが、エンジン1の停止時には、ショックが生じないように全閉状態とされる。
前記排気通路40の上流側の部分は、各気筒11a毎に分岐して排気ポート17の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。
この排気通路40における排気マニホールドよりも下流側には、上流側から順に、小型及び大型ターボ過給機62,61のタービン62b,61bと、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化装置41と、サイレンサ42とが配設されている。
この排気浄化装置41は、酸化触媒41aと、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、フィルタという)41bとを有しており、上流側から、この順に並んでいる。酸化触媒41a及びフィルタ41bは1つのケース内に収容されている。前記酸化触媒41aは、白金又は白金にパラジウムを加えたもの等を担持した酸化触媒を有していて、排気ガス中のCO及びHCが酸化されてCO2及びH2Oが生成する反応を促すものである。この酸化触媒41aが触媒を構成する。また、前記フィルタ41bは、エンジン1の排気ガス中に含まれる煤等の微粒子を捕集するものである。尚、フィルタ41bに酸化触媒をコーティングしてもよい。また、酸化触媒41aとフィルタ41bの間には、酸化触媒41aを通過した排気ガスの温度を検出する排気温度センサSW5が配設されている。
また、前記吸気通路30における前記サージタンク33とスロットル弁36との間の部分(つまり小型ターボ過給機62の小型コンプレッサ62aよりも下流側部分)と、前記排気通路40における前記排気マニホールドと小型ターボ過給機62の小型タービン62bとの間の部分(つまり小型ターボ過給機62の小型タービン62bよりも上流側部分)とは、排気ガスの一部を吸気通路30に還流するための排気ガス還流通路50によって接続されている。この排気ガス還流通路50は、EGRクーラ52が配設された主通路51と、主通路51から分岐してEGRクーラ52をバイパスした後、再び主通路51に合流するクーラバイパス通路53とを有している。EGRクーラ52は、流通する排気ガスをエンジン冷却水によって冷却するものである。主通路51には、主通路51を流通する排気ガスの流量を調整するための排気ガス還流弁51aが配設されている。一方、クーラバイパス通路53には、クーラバイパス通路53を流通する排気ガスの流量を調整するためのクーラバイパス弁53aが配設されている。
さらに、エンジン1には、クランクシャフト15の回転角を検出する2つのクランク角センサSW6,SW7が設けられている。一方のクランク角センサSW6から出力される検出信号に基づいてエンジン回転数(回転速度)が検出されると共に、両クランク角センサSW6,SW7から出力される位相のずれた検出信号に基づいてクランク角位置が検出されるようになっている。また、エンジン1には、車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサSW8と、車両のブレーキペダル(図示省略)の操作を検出するブレーキペダルセンサSW9と、車両のクラッチペダル(図示省略)の操作を検出するクラッチペダルセンサSW10と、車両のシフトレバー(図示省略)の操作を検出するシフトレバーセンサSW11と、車両の速度を検出する車速センサSW12とが設けられている。
ここで、大型ターボ過給機61及び小型ターボ過給機62の構成について詳しく説明する。
大型ターボ過給機61は、吸気通路30に配設された大型コンプレッサ61aと、排気通路40に配設された大型タービン61bとを有している。大型コンプレッサ61aは、吸気通路30におけるエアクリーナ31とインタークーラ35との間(詳しくは、吸気温度センサSW3と過給空気温度センサSW4との間)に配設されている。一方、大型タービン61bは、排気通路40における排気マニホールドと酸化触媒41aとの間に配設されている。この大型ターボ過給機61が第1ターボ過給機を、大型コンプレッサ61aが第1コンプレッサを、大型タービン61bが第1タービンを構成する。
小型ターボ過給機62は、吸気通路30に配設された小型コンプレッサ62aと、排気通路40に配設された小型タービン62bとを有している。小型コンプレッサ62aは、吸気通路30における大型コンプレッサ61aの下流側に配設されている。一方、小型タービン62bは、排気通路40における大型タービン61bの上流側に配設されている。この小型ターボ過給機62が第2ターボ過給機を、小型コンプレッサ62aが第2コンプレッサを、小型タービン62bが第2タービンを構成する。小型ターボ過給機62は、相対的に小型のものであり、大型ターボ過給機61は、相対的に大型のものである。すなわち、大型ターボ過給機61の大型タービン61bの方が小型ターボ過給機62の小型タービン62bよりもイナーシャが大きい。
すなわち、吸気通路30においては、上流側から順に大型コンプレッサ61aと小型コンプレッサ62aとが直列に配設され、排気通路40においては、上流側から順に小型タービン62bと大型タービン61bとが直列に配設されている。これら大型及び小型タービン61b,62bが排気ガス流により回転し、これら大型及び小型タービン61b,62bの回転により、該大型及び小型タービン61b,62bとそれぞれ連結された前記大型及び小型コンプレッサ61a,62aがそれぞれ作動する。尚、吸気通路30における大型コンプレッサ61aと小型コンプレッサ62aとの間には、大型コンプレッサ61aで過給された吸気の圧力を検出する中間圧センサSW13が設けられている。
そして、吸気通路30には、小型コンプレッサ62aをバイパスする吸気バイパス通路63が接続されている。この吸気バイパス通路63には、該吸気バイパス通路63へ流れる空気量を調整するための吸気バイパス弁63aが配設されている。この吸気バイパス弁63aは、無通電時には全閉状態(ノーマルクローズ)となるように構成されている。これにより、吸気バイパス弁63aが故障したときに、吸気が吸気バイパス通路63を介して吸気リサーキュレーションと同様に循環することにより小型コンプレッサ62aが過回転することを防止することができる。
一方、排気通路40には、小型タービン62bをバイパスする小型排気バイパス通路64と、大型タービン61bをバイパスする大型排気バイパス通路65とが接続されている。小型排気バイパス通路64には、該小型排気バイパス通路64へ流れる排気量を調整するためのレギュレートバルブ64aが配設され、大型排気バイパス通路65には、該大型排気バイパス通路65へ流れる排気量を調整するためのウエストゲートバルブ65aが配設されている。レギュレートバルブ64a及びウエストゲートバルブ65aは共に、無通電時には全開状態(ノーマルオープン)となるように構成されている。この大型排気バイパス通路65が排気バイパス通路を、ウエストゲートバルブ65aが排気バイパス弁を構成する。
これら大型ターボ過給機61と小型ターボ過給機62は、それらが配設された吸気通路30及び排気通路40の部分も含めて、一体的にユニット化されて、過給機ユニット60を構成している。この過給機ユニット60は、エンジン1に取り付けられている。そして、過給機ユニット60の吸気通路30の出口は、インタークーラ35の上流端と、ゴムホース30aを介して接続されている。つまり、インタークーラ35は、車体に取り付けられており、エンジン1に取り付けられた過給機ユニット60とは異なる振動が生じる。そこで、過給機ユニット60とインタークーラ35との異なる振動が互いに影響し合わないように、それぞれの振動をゴムホース30aで吸収するようにしている。同様の理由から、インタークーラ35の下流端と、吸気通路30のスロットル弁36の上流部分とも、ゴムホース30bを介して接続されている。
このように構成されたターボ過給機付きのエンジン1は、パワートレイン・コントロール・モジュール(以下、PCMという)10によって制御される。PCM10は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマクロプロセッサで構成されている。このPCM10が過給制御手段を構成する。PCM10は、図2に示すように、前記センサSW1〜SW13の検出信号が入力され、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジン1や車両の状態を判定し、これに応じてインジェクタ18、動弁系のVVM、各種の弁のアクチュエータへ制御信号を出力する。また、PCM10は、エンジン1の始動時に、インジェクタ18やスタータモータ(図示省略)へ制御信号を出力すると共に、必要に応じてグロープラグ19へも制御信号を出力する。さらに、PCM10は、タイミングベルト等によりクランクシャフト15に連結されたオルタネータ(図示省略)に内蔵されたレギュレータ回路に制御信号を出力することによって、車両の電気負荷及び車両バッテリの電圧等に対応した発電量の制御を実行する。
本実施形態では、PCM10は、燃費の低減やCO2の排出抑制等を目的として、所定の自動停止条件が成立したときにエンジン1を自動停止させると共に、その後、所定の再始動条件が成立したときにエンジン1を再始動させるように、いわゆるアイドルストップ制御を行う。
具体的には、PCM10は、自動停止条件が成立すると、インジェクタ18による燃料の噴射を停止させる。例えば、ブレーキペダルセンサSW9の検出信号に基づいて判定されるブレーキペダルの踏み込み操作が所定時間継続すると共に、車速センサSW12の検出信号に基づいて判定される車速が予め設定した微低速(例えば、時速2〜5km)以下となって車両が実質、停止していることを、自動停止条件とすることができる。この自動停止の際には、スロットル弁の開閉制御及びオルタネータ制御を併せて行うことにより、エンジン1の再始動に適したピストン位置でエンジン1を停止させるようにする。
その後、再始動条件が成立すると、PCM10は、各気筒11aへの燃料供給を開始して、その燃焼によりエンジン1を短時間で再始動させる(いわゆる、燃焼始動)。本実施形態では、PCM10は、それと共に、スタータモータを駆動させることによって気筒内の圧力を高めている。また、例えば、車両バッテリの残容量が少なくなって充電が必要になったこと、空調装置のコンプレッサの作動が必要になったこと、又はアクセル開度センサSW8若しくはクラッチペダルセンサSW10からの検出信号に基づいて乗員によるアクセル操作若しくはクラッチ操作が検出されたこと等を、再始動条件とすることができる。この内、車両バッテリの残容量が少なくなって充電が必要になったことや、空調装置のコンプレッサの作動が必要になったことは、発進要求を伴わない始動条件ということができ、逆に、アクセル操作若しくはクラッチ操作が検出されたことは、発進要求を伴う始動条件ということができる。
また、PCM10は、エンジンの運転状態において大型及び小型ターボ過給機61,62の動作を制御している。具体的には、PCM10は、吸気バイパス弁63a、レギュレートバルブ64a及びウエストゲートバルブ65aの各開度をエンジン1の運転状態に応じて設定した開度にそれぞれ制御する。
詳しくは、PCM10は、図3に示す、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとするマップにおける低負荷且つ低回転側の領域A(エンジン負荷が所定負荷(エンジン回転数が大きいほど小さくなる)以下の領域)では、吸気バイパス弁63a及びレギュレートバルブ64aを全開以外の開度とし、ウエストゲートバルブ65aを全閉状態とすることによって、大型及び小型ターボ過給機61,62の両方を作動させる。一方、高負荷且つ高回転側の領域B(エンジン負荷が前記所定負荷よりも大きい領域)では、小型ターボ過給機62が排気抵抗になるため、吸気バイパス弁63a及びレギュレートバルブ64aを全開状態とし、ウエストゲートバルブ65aを全閉状態に近い開度にすることによって、小型ターボ過給機62をバイパスさせて大型ターボ過給機61のみを作動させる。尚、ウエストゲートバルブ65a、過回転を防止するために少し開き気味に設定している。
さらに、PCM10は、冷間始動時やアイドル運転が長期に継続した場合など、酸化触媒41aが未活性状態のときには、スロットル弁36、吸気バイパス弁63a、レギュレートバルブ64a及びウエストゲートバルブ65aを制御することによって、吸気リサーキュレーションを行う。この吸気リサーキュレーションは、図3に示すマップにおける、領域A中でも、負荷及び回転数が非常に低い軽負荷領域Cにおいて行われる。この領域Cは、アイドル運転領域、特に、冷間始動時におけるファストアイドル(fast idle)領域に相当する。具体的には、PCM10は、排気温度センサSW5の検出信号に基づいて酸化触媒41aの温度を推定し、酸化触媒41aが未活性状態か否かを判定する。それと共に、PCM10は、アクセル開度センサSW8とクランク角センサSW6の検出信号に基づいてエンジン運転状態が軽負荷領域Cに入っているか否かを判定する。そして、PCM10は、酸化触媒41aが未活性状態で且つエンジン運転状態が軽負荷領域Cに入っているときには、吸気バイパス弁63a及びウエストゲートバルブ65aを全開状態とし、レギュレートバルブ64aを全閉状態とし、さらに、スロットル弁36を所定の開度まで絞る。排気通路40においては、レギュレートバルブ64aが全閉状態にされているため、排気が小型タービン62bに流入し、小型コンプレッサ62aを作動させる。吸気通路30においては、小型コンプレッサ62aの作動により吸気が過給されるが、スロットル弁36が絞られているのに対して、吸気バイパス弁63aが全開状態となっているため、吸気通路30における小型コンプレッサ62aの下流側の圧力が吸気バイパス通路63内の圧力よりも高くなる。そのため、小型コンプレッサ62aにより過給された吸気が吸気バイパス通路63を逆流して、小型コンプレッサ62aの上流側へ流入する。この吸気は、再び、小型コンプレッサ62aにより過給される。こうして、小型コンプレッサ62aによって吸気リサーキュレーションが行われ、やがて、吸気の温度が上昇する。このとき、排気通路40においては、ウエストゲートバルブ65aが開かれているため、小型タービン62bの背圧が低下する。これにより、小型タービン62bの効率が高まる。その結果、小型コンプレッサ62aの回転力を増大させ、吸気リサーキュレーションによる吸気昇温能力を向上させる。それに加えて、ウエストゲートバルブ65aが開かれているため、排気は大型タービン61bをバイパスして、酸化触媒41aへ流入する。つまり、排気熱が大型タービン61bで放熱されることなく、酸化触媒41aまで運搬されることになる。その結果、酸化触媒41aの温度が早期に上昇する。
尚、吸気リサーキュレーションの間は、排気ガス還流弁51aを閉じて、排気ガスの還流を行わないようにしている。これにより、不活性ガスが吸気側に乾留されて排気熱の上昇を妨げることを防止することができる。
以下に、PCM10による、スロットル弁36、吸気バイパス弁63a、レギュレートバルブ64a及びウエストゲートバルブ65aの詳しい制御動作を、図4のフローチャート及び図5のタイミングチャートに基づいて説明する。
まず、ステップST1において、酸化触媒41aが未活性状態か否かを判定すると共に、エンジン1の運転状態が軽負荷領域Cに入っているか否かを判定する。具体的には、PCM10は、排気温度センサSW5からの検出信号に基づいて、酸化触媒41a下流の排気ガスの温度が所定値(例えば、220℃)以下か否かを判定する。この所定値は、酸化触媒41aが未活性状態であると推定される排気ガスの温度である。つまり、酸化触媒41aの直下流の排気ガス温度は、酸化触媒41aの温度と相関があり、この排気ガス温度から酸化触媒41aの温度を推定することができる。PCM10は、酸化触媒41a下流の排気ガスの温度が所定値以下であるときには、酸化触媒41aが未活性状態であると判定する一方、酸化触媒41a下流の排気ガスの温度が所定値よりも大きいときには、酸化触媒41aが活性状態にあると判定する。それに加えて、PCM10は、エンジン1の運転状態が軽負荷領域Cに入っているか否かを判定する。PCM10は、アクセル開度センサSW8の検出信号からエンジン負荷を求めると共に、クランク角センサSW6の検出信号からエンジン回転数を求める。そして、PCM10は、エンジン負荷が所定の負荷以下(例えば、アクセルペダルの踏み込みが無い場合)であって且つエンジン回転数が所定の回転数以下であるときには、エンジン1の運転状態が軽負荷領域Cにあると判定する一方、エンジン負荷が所定の負荷よりも大きいか又はエンジン回転数が所定の回転数よりも速いときには、エンジン1の運転状態が軽負荷領域C以外にあると判定する。この軽負荷領域Cにあると判定するための所定の負荷及び回転数は、例えば、ファストアイドル運転を含む、アイドル運転状態における負荷及び回転数の範囲に設定されている。
そして、酸化触媒41aが未活性状態であって且つエンジン1の運転状態が軽負荷領域Cであると判定されたときには、ステップST2へ進む一方、酸化触媒41aが未活性状態でないか又はエンジン1の運転状態が軽負荷領域C以外であると判定されたときにはステップST1を繰り返す。
PCM10は、ステップST2において、吸気リサーキュレーションを実行するためのバイパス実行フラグをONにする(図5(A)のT1参照)。バイパス実行フラグがONに変更されると、PCM10は、吸気バイパス弁63aをON状態、即ち、全開状態にする。このとき、PCM10は、排気ガスの還流を停止すべく、排気ガス還流弁51aを全閉状態にする。
次に、PCM10は、ステップST3において、過給空気温度センサSW4の出力信号に基づいて、過給後の吸気温度が所定の上限温度以上か否かを判定する。この上限温度は、本実施形態では、エンジン1、吸気通路30及び排気通路40の構成部品の耐熱温度に基づいて設定されている。さらに具体的には、ゴムホース30aの耐熱温度に基づいて設定される。このゴムホース30aは、大型及び小型コンプレッサ61a,62aの直下流に位置するため、吸気系の中では最も高温の吸気に晒される部品である。そのため、吸気温度がゴムホース30aの耐熱温度を超えないように、上限温度をゴムホース30aの耐熱温度に基づいて設定している。上限温度は、ゴムホース30aの耐熱温度に余裕を持たせた、それよりも低い値に設定されている。尚、上限温度は、構成部品の耐熱温度以外の温度に基づいて設定されてもよい。例えば、所望の吸気の充填効率を実現するための吸気温度の上限値を上限温度として設定してもよい。そして、PCM10は、過給後の吸気温度が上限温度以上のときには、上限温度判定フラグをONにする一方、過給後の吸気温度が上限温度未満のときには、上限温度判定フラグをOFFにする。吸気リサーキュレーションを開始した直後は吸気温度が低いため、図5(B)のT1に示すように、通常、上限温度判定フラグはOFFになる。
PCM10は、上限温度判定フラグがOFFのときには、ステップST4において、スロットル弁36を所定の絞り値まで絞る(図5(C)のT1参照)。この所定の絞り値は、少なくともエンジン1のアイドル運転を維持できる値である。この所定の絞り値は、固定値ではなく、環境条件又はエンジン運転状態に基づいて適宜に調整される値であってもよい。尚、図5では、スロットル弁36を一気に所定の絞り値まで絞っているが、徐々に所定の絞り値まで絞るようにしてもよい。すると、吸気通路30における小型コンプレッサ62aの下流側の圧力が吸気バイパス通路63内の圧力よりも高くなる。その結果、過給された吸気が吸気バイパス通路63を逆流し、再び、小型コンプレッサ62aに過給されるようになり、吸気リサーキュレーションが開始される。吸気リサーキュレーションが開始されると、図5(D)のT1に示すように、吸気温度が次第に上昇する。その後、PCM10は、ステップST6において、酸化触媒41aが活性化したか否かを判定する。この酸化触媒41aの活性化の判定は、ステップST1における酸化触媒41aの未活性状態の判定と同様にして行う。そして、酸化触媒41aが活性化していない場合には、PCM10は、ステップST3へ戻り、ステップST3以降のフローを繰り返す。つまり、吸気リサーキュレーションが継続される。
吸気リサーキュレーションが継続されると、吸気温度が上昇して前記上限温度以上となる場合がある(図5(D)のT2参照)。その場合には、ステップST3において、上限温度判定フラグがONとなる(図5(B)のT2参照)。上限温度判定フラグがONになると、PCM10は、ステップST5において、スロットル弁36を徐々に開ける方向へ調整する(図5(C)のT2参照)。その後、PCM10は、ステップST6へ進み、前述の如く、酸化触媒41aが活性化したか否かを判定する。酸化触媒41aが活性化していない場合には、吸気リサーキュレーションはさらに継続される。
スロットル弁36を開ける方向へ調整することによって、吸気リサーキュレーションにおける吸気の循環量が軽減すると、図5(D)のT2〜T3に示すように、吸気温度は次第に低下する。やがて、吸気温度は、上限温度未満になる(図5(D)のT3参照)。吸気温度が上限温度未満となると、PCM10は、ステップST3において、上限温度判定フラグをOFFにする(図5(B)のT3参照)。上限温度判定フラグがOFFになると、PCM10は、スロットル弁36を前記所定の絞り値まで徐々に絞っていく(図5(C)のT3参照)。スロットル弁36が絞られると、吸気温度は再び上昇し始める。それ以降は、ステップST3,ST4,ST6のフローか、又は、ステップST3,ST5,ST6のフローを繰り返す。こうして、吸気温度が上限温度以上になると、スロットル弁36を開く方向へ調整する一方、吸気温度が上限温度未満になると、スロットル弁36を所定の絞り値まで絞りながら、吸気リサーキュレーションを継続していく。尚、スロットル弁36の開動作及び閉動作は、急激に行うのではなく、徐々に行う。これにより、制御が発散してしますことを防止している。
この吸気リサーキュレーションは、酸化触媒41aが活性化するまで続けられる。PCM10が、ステップST6において酸化触媒41aが活性化したと判定すると、ステップST7へ進み、バイパス実行フラグをOFFにする(図5(A)のT4参照)。バイパス実行フラグがOFFになると、PCM10は、吸気バイパス弁63aを全閉状態にすると共に、スロットル弁36を全開状態にする(図5(C)のT4参照)。図5では、スロットル弁36を徐々に全開状態にしているが、一気に全開状態としてもよい。こうして、吸気リサーキュレーションが完了する。
本実施形態によれば、吸気リサーキュレーション中に、排気通路40において、ウエストゲートバルブ65aを開くことによって、小型タービン62bの背圧を低下させることができる。これにより、小型タービン62bの仕事量が増加し、小型コンプレッサ62aの回転力を増大させることができる。その結果、吸気リサーキュレーションによる吸気昇温能力を向上させることができる。
それに加えて、ウエストゲートバルブ65aを開くことによって、排気を大型タービン61bをバイパスさせて、酸化触媒41aへ流入させることができる。その結果、排気熱が大型タービン61bで放熱されることを防止することができる。つまり、排気が酸化触媒41aに到達するまでの間の排気放熱を軽減することができる。これにより、酸化触媒41aの温度を早期に上昇させることができる。
また、吸気リサーキュレーション中に、吸気温度を監視し、吸気温度が所定の上限温度以上となったときにスロットル弁36を開く方向に調整することによって、吸気リサーキュレーションにおける吸気の循環量を低減して、吸気温度の上昇幅を抑制することができる。つまり、吸気温度が上昇しすぎたときには、吸気温度の上昇を抑制することができる。この上限温度を適宜設定することによって、吸気温度が上昇しすぎて吸気の充填効率が低下することを防止したり、吸気温度がゴムホース30a等の吸気系の構成部品の耐熱温度以上となることを防止したりすることができる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
例えば、以上の説明ではディーゼルエンジンについて説明したが、本実施形態をディーゼルエンジンだけでなく、ガソリンエンジンに適用してもよい。
前記実施形態では、酸化触媒41aの活性状態を、酸化触媒41aの直下流の排気温度に基づいて判定しているが、これに限られるものではない。例えば、冷間始動時には酸化触媒41aの温度が低いため、エンジン1の冷却水温度に基づいて冷間始動時か否か、ひいては、酸化触媒41aが活性状態にあるか否かを判定してもよい。また、エンジン1の停止直前の酸化触媒41aの直下の排気温度とエンジン1の停止後の経過時間に基づいて、酸化触媒41aの活性状態を判定してもよい。つまり、酸化触媒41aの活性状態を概ね推定できる方法であれば、任意の方法を採用することができる。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。