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JP5522674B2 - 導電性高分子製造用モノマー組成物、導電性高分子、それを固体電解質として用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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JP5522674B2 - 導電性高分子製造用モノマー組成物、導電性高分子、それを固体電解質として用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

導電性高分子製造用モノマー組成物、導電性高分子、それを固体電解質として用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、チオフェンまたはその誘導体をモノマーとする導電性高分子製造用モノマー組成物、そのモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を酸化重合して製造した導電性高分子、その導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
導電性高分子は、その高い導電性により、例えば、アルミニウム固体電解コンデンサ、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサなどの固体電解コンデンサの固体電解質として用いられている。
この用途における導電性高分子としては、チオフェンまたはその誘導体を酸化重合(化学酸化重合)することによって得られたものが、導電性および耐熱性のバランスがとれていて有用性が高いという理由から、多用されている(特許文献1〜2)。
上記チオフェンまたはその誘導体などの化学酸化重合を行う際のドーパントとしては、有機スルホン酸が適し、酸化剤としては、遷移金属が適していて、その中でも特に第二鉄が適しているといわれていて、一般に有機スルホン酸の第二鉄塩がチオフェンまたはその誘導体の化学酸化重合にあたっての酸化剤兼ドーパントとして用いられている。
そして、この導電性高分子を固体電解質として用いる固体電解コンデンサの製造にあたっては、例えば、コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬し、引き上げた後、該コンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬し、引き上げて重合を行うか、コンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬し、引き上げた後、該コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬し、引き上げて重合を行うか、あるいは酸化剤兼ドーパント溶液とモノマー溶液を混合して調製した溶液にコンデンサ素子を浸漬し、引き上げて重合することが行われている。
その際、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度が高い方が、得られる固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)が低く(小さく)なり、静電容量が高く(大きく)なるなど、コンデンサ特性が向上する傾向があるが、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度が、ある濃度を超えると、かえってコンデンサ特性が悪くなる。
これは、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度が高くなるのに伴なって粘度が高くなり、かつ反応速度が速くなるため、コンデンサ素子の細部に酸化剤兼ドーパント溶液が行き渡らないうちに高分子化が進んでしまって、静電容量が出にくくなり、また、反応速度が速いが故に、副反応が起こり、導電性高分子の合成がうまくいかず、結果としてESRが大きくなっているものと考えられる。この傾向は、固体電解コンデンサの種類によって異なるが、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの場合は、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度が55質量%以上になると現われるようになる。
そこで、酸化剤兼ドーパント溶液にイミダゾールを添加することにより反応速度を遅くすることができるという可能性が示されている(特許文献3)。
しかし、この場合は、添加したイミダゾールが導電性高分子中に残留し、特性に悪影響を及ぼすことが考えられる。
また、それとは別に、酸化剤兼ドーパントとなるトルエンスルホン酸を、該トルエンスルホン酸と錯塩を形成する低沸点溶剤のテトラヒドロフランとトルエンスルホン酸と錯塩を形成しない高沸点溶剤のブタノールとの混合溶剤に溶解させて反応速度を遅くさせることができる可能性が示されている(特許文献4)。
しかし、それを固体電解コンデンサの製造にあたって応用した場合、充分な成果が得られなかった。
特開2003−160647号公報 特開2004−265927号公報 欧州特許出願公開第0615256号明細書 米国特許第6001281号明細書
本発明は、上記のような事情に鑑み、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度が高くなっても、その高濃度化に伴なう弊害を抑制し、固体電解質として用いたときに、ESRが低く、かつ静電容量が大きい固体電解コンデンサを提供できる導電性高分子を製造するのに適したモノマー組成物を提供し、また、その導電性高分子を用いて、上記のようにESRが低く、かつ静電容量が大きい固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、導電性高分子の製造にあたってモノマーとなるチオフェンまたはその誘導体にスルホキシド基を有する化合物を特定比率で添加することによって、上記目的を達成し、それに基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、チオフェンまたはその誘導体をモノマーとする導電性高分子製造用モノマー組成物であって、スルホキシド基を有する化合物を、上記チオフェンまたはその誘導体に対して質量基準で1.5〜20%添加したことを特徴とする導電性高分子製造用モノマー組成物に関する。
また、本発明は、上記導電性高分子製造用モノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を酸化重合して製造したことを特徴とする導電性高分子に関する。
さらに、本発明は、上記導電性高分子製造用モノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を酸化重合して製造した導電性高分子を固体電解質として用いたことを特徴とする固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
本発明の導電性高分子製造用モノマー組成物(以下、簡略化して、「モノマー組成物」という)は、スルホキシド基を有する化合物を添加しているので、その酸化重合時に、モノマーのチオフェンまたはその誘導体に添加しておいたスルホキシド基を有する化合物が酸化剤の反応速度を低下させる。その結果、酸化剤兼ドーパントを高濃度化しても、その高濃度化に伴なう反応速度の増加を抑制できるので、その高濃度化した酸化剤兼ドーパントで酸化重合されたチオフェンまたはその誘導体の重合体をポリマー骨格とする導電性高分子は、固体電解コンデンサの固体電解質として用いたときに、ESRが低く、かつ静電容量が大きい固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明において、上記モノマー組成物の基材となるモノマーとしては、チオフェンまたはその誘導体を用いるが、これは、前記したように、チオフェンまたはその誘導体を重合して得られる導電性高分子が導電性および耐熱性のバランスがとれていて、他のモノマーに比べて、コンデンサの特性の優れた固体電解コンデンサが得られやすいという理由に基づいている。
そして、そのチオフェンまたはその誘導体におけるチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンや、上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数としては1〜16が好ましく、特に1〜4が好ましい。
上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンについて詳しく説明すると、上記3,4−エチレンジオキシチオフェンやアルキル化3,4−エチレンジオキシチオフェンは、下記の一般式(1)で表される化合物に該当する。
Figure 0005522674
(式中、Rは水素またはアルキル基である)
そして、上記一般式(1)中のRが水素の化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであり、これをIUPAC名称で表示すると、「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2,3−Dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、この化合物は、IUPAC名称で表示されるよりも、一般名称の「3,4−エチレンジオキシチオフェン」で表示されることが多いので、本書では、この「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を「3,4−エチレンジオキシチオフェン」と表示している。そして、上記一般式(1)中のRがアルキル基の場合、該アルキル基としては、炭素数が1〜4のもの、つまり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、それらを具体的に例示すると、一般式(1)中のRがメチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−メチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Methyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「メチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)中のRがエチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−エチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Ethyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「エチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)中のRがプロピル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−プロピル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Propyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「プロピル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、一般式(1)中のRがブチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−ブチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Butyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「ブチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。また、「2−アルキル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を、以下、簡略化して「アルキル化エチレンジオキシチオフェン」で表わす。そして、これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンの中でも、メチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンが好ましく、特にエチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
そして、3,4−エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン)とアルキル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2−アルキル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン)とは、混合して用いることが好ましく、その混合比は、モル比で0.1:1〜1:0.1、特に0.2:1〜1:0.2、とりわけ0.3:1〜1:0.3が好ましい。
そして、スルホキシド基を有する化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジブチルスルホキシドなどを用いることができ、それらの中でも、特にジメチルスルホキシドが好ましい。
このスルホキシド基を有する化合物は、酸化剤兼ドーパントを構成する有機スルホン酸第二鉄の反応速度を低下させる作用があり、有機スルホン酸第二鉄の高濃度化に伴なう反応速度の増加を抑制できるので、反応速度の増加に伴なう弊害(固体電解コンデンサにしたときのESRの増加や静電容量の低下など)を招くことなく、酸化剤兼ドーパント溶液を高濃度化でき、それによって、固体電解コンデンサのESRの低減や静電容量の増加を達成でき、コンデンサ特性を向上させることができる。
そして、このスルホキシド基を有する化合物は、一般に高沸点なので(例えば、ジメチルスルホキシドは沸点が189℃)、通常の乾燥では、除去されることなく、導電性高分子中に残る可能性があるが、たとえ残存したとしても、後記の実施例に示すように、ESRの増加や静電容量の低下を引き起こすことがない。
そして、上記モノマー組成物を構成するにあたって、このスルホキシド基を有する化合物のモノマーのチオフェンまたはその誘導体に対する添加量は、質量基準で1.5〜20%(すなわち、チオフェンまたはその誘導体100質量部に対してスルホキシド基を有する化合物が1.5〜20質量部)であり、スルホキシド基を有する化合物の添加量が上記より少ない場合は、反応速度を低下させる作用が充分に発揮されず、また、スルホキシド基を有する化合物の添加量が上記より多い場合は、反応速度の低下が大きくなりすぎ、生産性が低下する上に、得られる導電性高分子の導電性が低下するおそれがある。そして、このスルホキシド基を有する化合物のチオフェンまたはその誘導体に対する添加量は、上記範囲内で、質量基準で2%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、また、18%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
上記モノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を酸化重合する酸化剤兼ドーパントは、有機スルホン酸第二鉄で構成されるものが最も適しているが、その有機スルホン酸第二鉄の有機スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体、ナフタレンスルホン酸またはその誘導体、アントラキノンスルホン酸またはその誘導体などの芳香族系スルホン酸や、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などの高分子スルホン酸が好適に用いられる。
上記ベンゼンスルホン酸またはその誘導体におけるベンゼンスルホン酸誘導体としては、例えば、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、エトキシベンゼンスルホン酸、プロポキシベンゼンスルホン酸、ブトキシベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸などが挙げられ、ナフタレンスルホン酸またはその誘導体におけるナフタレンスルホン酸誘導体としては、例えば、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸などが挙げられ、アントラキノンスルホン酸またはその誘導体におけるアントラキノンスルホン酸誘導体としては、例えば、アントラキノンジスルホン酸、アントラキノントリスルホン酸などが挙げられる。これらの芳香族系スルホン酸の中でも、特に、トルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸などが好ましく、とりわけ、パラトルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸が好ましい。
また、上記有機スルホン酸第二鉄は、その鉄に対する有機スルホン酸のモル比が1:3より有機スルホン酸が少ないものが好ましい。これは鉄に対する有機スルホン酸のモル比を、その化学量論的モル比である1:3より有機スルホン酸を少なくすることによって、その有機スルホン酸第二鉄の反応速度を若干低減できるからであり、鉄に対する有機スルホン酸のモル比が、1:2程度のものまでが好ましく、1:2.2程度、特に1:2.4程度のものまでがより好ましく、1:2.75程度のものまでがさらに好ましい。
この酸化剤兼ドーパントは、使用にあたって、溶液状にされるが、その溶液化のための溶剤としては、ヒドロキシル基を有する有機溶剤が用いられる。このヒドロキシル基を有する有機溶剤としては、例えば、メタノール(メチルアルコール)、エタノール(エチルアルコール)、プロパノール(プロピルアルコール)、ブタノール(ブチルアルコール)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いることができ、それらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数が1〜4のアルコールが好ましい。
導電性高分子製造用の酸化剤兼ドーパント溶液としては、これまで、溶剤としてブタノールを用いたブタノール系溶液では、有機スルホン酸第二鉄の濃度を54質量%にすることが、高濃度化に伴なう弊害を招くことなく高濃度化できる限界であったが、上記のようにチオフェンまたはその誘導体にスルホキシド基を有する化合物を添加しておくことにより、有機スルホン酸第二鉄の濃度を54質量%より高濃度にした酸化剤兼ドーパント溶液を使用しても、高濃度化に伴なう弊害の発生を抑制することができ、また、溶剤としてエタノールを用いたエタノール系溶液では、これまで、有機スルホン酸第二鉄の濃度を60質量%にすることが、有機スルホン酸第二鉄の高濃度化に伴なう弊害を招くことなく高濃度化できる限界であったが、上記のようにチオフェンまたはその誘導体にスルホキシド基を有する化合物を添加しておくことにより、有機スルホン酸第二鉄の濃度を60質量%より高濃度にした酸化剤兼ドーパント溶液を使用しても、高濃度化に伴なう弊害の発生を抑制できるので、チオフェンまたはその誘導体へのスルホキシド基を有する化合物の添加は、高濃度の酸化剤兼ドーパント溶液の使用を可能にし、それによって、特性の良い固体電解コンデンサを作製できるようにする。
また、溶剤としてメタノールを用いたメタノール系の酸化剤兼ドーパント溶液や溶剤としてプロパノールを用いたプロパノール系の酸化剤兼ドーパント溶液においても、それぞれ、上記のようなチオフェンまたはその誘導体へのスルホキシド基を有する化合物の添加により、有機スルホン酸第二鉄の高濃度化に伴なう弊害の発生を抑制することができ、それによって、高濃度の酸化剤兼ドーパント溶液の使用が可能になり、特性が良い固体電解コンデンサが得られるようになる。このようなチオフェンまたはその誘導体へのスルホキシド基を有する化合物の添加は、これまでの限界濃度より高濃度化した酸化剤兼ドーパント溶液を使用したときに、その効果が顕著に発現するが、これまでの限界濃度やそれより若干濃度が低い酸化剤兼ドーパント溶液を使用する場合でも、重合反応を穏やかに進行させるので、これまでのものより特性の良い固体電解コンデンサの作製を可能にするものと考えられる。
本発明のモノマー組成物を用いての導電性高分子の製造は、通常に導電性高分子を製造する場合と、固体電解コンデンサの製造時に導電性高分子を製造する、いわゆる「その場重合」による導電性高分子の製造との両方によって行うことができる。
モノマーとなるチオフェンやその誘導体は、常温で液状であり、スルホキシド基を有する化合物も常温で液状であるので、重合にあたって、モノマー組成物は、そのまま用いることができるし、また、重合反応をよりスムーズに進行させるために、チオフェンまたはその誘導体を、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリルなどの有機溶剤で希釈してモノマー組成物を有機溶剤溶液として用いてもよい。ただし、モノマー組成物を上記のような有機溶剤で希釈してしまうと、酸化剤兼ドーパント溶液を高濃度化した特色が損なわれてしまうので、モノマー組成物を酸化剤兼ドーパント溶液と混合して用いる場合には、モノマー組成物を溶剤で希釈することなく、そのまま用いることが好ましい。
通常に導電性高分子を製造する場合(この通常に導電性高分子を製造する場合とは、固体電解コンデンサの作製時に「その場重合」により導電性高分子を製造するのではないという意味である)、本発明のモノマー組成物と酸化剤兼ドーパントとを混合した混合物を用い(その混合割合は質量基準で、酸化剤兼ドーパント:モノマーのチオフェンまたはその誘導体が5:1〜15:1が好ましい)、例えば、5〜95℃で、1〜72時間酸化重合することによって行われる。
本発明のモノマー組成物は、特に固体電解コンデンサの作製時にモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体をいわゆる「その場重合」で酸化重合して導電性高分子を製造するのに適するように開発したものであることから、これについて以下に詳しく説明する。
また、固体電解コンデンサも、アルミニウム固体電解コンデンサ、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサなどがあり、そのアルミニウム固体電解コンデンサの中にも、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサと積層型アルミニウム固体電解コンデンサがあるが、本発明のモノマー組成物は特に巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製にあたって適するように開発したものであるから、これについて特に詳しく説明する。
まず、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサのコンデンサ素子としては、アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理して誘体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して作製したものを使用する。
そして、上記コンデンサ素子を用いての巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製は、例えば、次のように行われる。
すなわち、上記コンデンサ素子を本発明のモノマー組成物と酸化剤兼ドーパント溶液との混合物に浸漬し、引き上げた後、室温または加熱下でモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を重合させて、その重合体をポリマー骨格とする導電性高分子からなる固体電解質層を形成した後、水に浸漬し、引き上げた後、乾燥し、その固体電解質層を有するコンデンサ素子を外装材で外装して、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製する。
また、上記のように、コンデンサ素子を本発明のモノマー組成物と酸化剤兼ドーパント溶液との混合物に浸漬するのに代えて、モノマー組成物を前記したメタノールなどの有機溶剤で希釈しておき、そのモノマー組成物溶液にコンデンサ素子を浸漬し、引き上げて乾燥した後、該コンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬し、引き上げた後、室温または加熱下でモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を重合させるか、または、コンデンサ素子を先に酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬し、引き上げた後、該コンデンサ素子をモノマー組成物に浸漬し、引き上げた後、室温または加熱下でモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を重合させ、以後、前記と同様にして、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製する。
上記巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ以外の固体電解コンデンサ、例えば、積層型アルミニウム固体電解コンデンサ、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサなどの作製にあたっては、コンデンサ素子としてアルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、それらの弁金属の酸化皮膜からなる誘体層を有するものを用い、そのコンデンサ素子を、前記巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの場合と同様に、本発明のモノマー組成物と酸化剤兼ドーパント溶液との混合物に浸漬し、引き上げて、室温またが加熱下でモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を重合させるか、あるいは、コンデンサ素子を本発明のモノマー組成物の溶液に浸漬し、引き上げて乾燥した後、該コンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬し、引き上げて、室温または加熱下でモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を重合させるか、もしくは、コンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬し、引き上げた後、該コンデンサ素子を本発明のモノマー組成物中に浸漬し、引き上げた後、室温または加熱下で、モノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を重合させ、これらの工程を繰り返して、チオフェンまたはその誘導体の重合体をポリマー骨格とする導電性高分子からなる固体電解質層を形成した後、カーボンペースト、銀ペーストを付け、乾燥した後、外装することによって、積層型アルミニウム固体電解コンデンサ、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサなどが作製される。
上記のような導電性高分子の製造や固体電解コンデンサの作製時の「その場重合」による導電性高分子の製造にあたって、本発明のモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体と酸化剤兼ドーパントとの使用比率は、チオフェンまたはその誘導体と酸化剤兼ドーパントの有機スルホン酸第二鉄とが質量比で2:1〜8:1が好ましく、「その場重合」は、例えば、10〜300℃、1〜180分で行われる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において添加量や溶液濃度などを示す%は、特にその基準を付記しないかぎり、質量基準による%である。
〔モノマー組成物の調製〕
以下に示す実施例1〜6および比較例1〜3では、モノマー組成物の調製について説明する。ただし、これら実施例1〜6および比較例1〜3のモノマー組成物の評価は、後記の〔固体電解コンデンサの評価(1)〕および〔固体電解コンデンサでの評価(2)〕における固体電解コンデンサの評価によって行う。
実施例1
ガスクロマトグラフィ分析(以下、簡略化して、「GC分析」という)による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド30gを添加した後、6時間撹拌して混合し、アドバンテック東洋社製のガラスフィルターGF75(GF75は品番であり、以下、社名を省略して表示する)で濾過し、濾過を実施例1のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は3%であった。
実施例2
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド50gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を実施例2のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は5%であった。
実施例3
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド100gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を実施例3のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は10%であった。
実施例4
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド150gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を実施例4のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は15%であった。
実施例5
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド20gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を実施例5のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は2%であった。
実施例6
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド180gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を実施例6のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は18%であった。
比較例1
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド10gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を比較例1のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は1%であった。
比較例2
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しジメチルスルホキシド250gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を比較例2のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するジメチルスルホキシドの添加量は25%であった。
比較例3
GC分析による純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェン(テイカ社製)1kgに対しスルホラン50gを添加した後、6時間撹拌して混合し、ガラスフィルターGF75で濾過し、濾液を比較例3のモノマー組成物とした。このモノマー組成物における3,4−エチレンジオキシチオフェンに対するスルホランの添加量は5%であった。
〔固体電解コンデンサでの評価(1)〕
以下に示す実施例7〜11では、上記実施例1〜5のモノマー組成物を用いて設定静電容量が50μF以上で、設定ESRが12mΩ以下の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、それらとジメチルスルホキシドを添加していない3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いて作製した比較例4の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドの添加量が少ない比較例1のモノマー組成物を用いて作製した比較例5の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドの添加量が多すぎる比較例2のモノマー組成物を用いて作製した比較例6の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサおよびジメチルスルホキシドに代えてスルホキシド基を有しないスルホランを添加した比較例3のモノマー組成物を用いて作製した比較例7の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサとのコンデンサ特性を比較するとともに、それらの作製にあたって用いたモノマー組成物の特性を評価する。
実施例7
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、設定静電容量が50μF以上で、設定ESRが12mΩ以下の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ作製用のコンデンサ素子を作製した。
これとは別に、濃度が40%のパラトルエンスルホン酸第二鉄ブタノール溶液(テイカ社製)を蒸留により濃縮し、濃度を58%に調整して、酸化剤兼ドーパント溶液とした。
そして、前記実施例1のモノマー組成物20mlにメタノール80mlを添加して含モノマー組成物溶液にし、この含モノマー組成物溶液に、上記のコンデンサ素子を浸漬し、引き上げた後、50℃で10分間放置して乾燥した。その後、該コンデンサ素子を上記濃度が58%の酸化剤兼ドーパント溶液500mlに浸漬し、引き上げた後、60℃で2時間、180℃で1時間加熱することによって、上記含モノマー組成物溶液中の3,4−エチレンジオキシチオフェンを上記酸化剤兼ドーパントの酸化剤で酸化重合してポリエチレンジオキシチオフェンをポリマー骨格とする導電性高分子からなる固体電解質層を形成し、それらを外装材で外装して、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
上記のようにして作製した巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、HEWLETT PACKARD社製のLSRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、ESRを100kHzで測定し、静電容量を120Hzで測定した。その結果を後記の表1に示す。
実施例8
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例2のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
実施例9
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例3のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
実施例10
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例4のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
実施例11
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例5のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
比較例4
実施例1のモノマー組成物に代えて、ジメチルスルホキシドを添加していない純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェンをそのまま用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
比較例5
実施例1のモノマー組成物に代えて、比較例1のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
比較例6
実施例1のモノマー組成物に代えて、比較例2のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
比較例7
実施例1のモノマー組成物に代えて、比較例3のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例7と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表1に示す。
表1に上記実施例7〜11および比較例4〜7の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの静電容量およびESRを示す。
Figure 0005522674
表1に示すように、実施例7〜11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が50.3〜52.1μF以上であって、設定静電容量の50μF以上を満たし、ESRが11mΩ台であって、設定ESRの12mΩ以下を満たしていたが、比較例4〜7の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が50μFに達せず、設定静電容量の50μF以上を満たさず、ESRが12mΩより大きく、設定ESRの12mΩ以下を満たさなかった。
すなわち、モノマーの3,4−エチレンジオキシチオフェンにジメチルスルホキシドを所定量添加した実施例1〜5のモノマー組成物を用いて作製した実施例7〜11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が50μF以上と大きく、ESRが11mΩ台で小さかったが、ジメチルスルホキシドを添加していない3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いて作製した比較例4の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサや、ジメチルスルホキシドの添加量が少ない比較例1のモノマー組成物を用いて作製した比較例5の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドの添加量が多すぎる比較例2のモノマー組成物を用いて作製した比較例5の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドに代えてスルホキシド基を有しないスルホランを添加した比較例3のモノマー組成物を用いて作製した比較例7の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が40μF台と小さく、ESRが12mΩを超えていて大きく、実施例7〜11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサに比べて、コンデンサ特性が劣っていた。
そして、この結果から、実施例7〜11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製にあたって用いた実施例1〜5のモノマー組成物は、比較例4の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製にあたって用いた3,4−エチレンジオキシチオフェンそのもの(つまり、ジメチルスルホキシドを添加していない3,4−エチレンジオキシチオフェン)に対してはもとより、比較例5〜7の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製にあたって用いた比較例1〜3のモノマー組成物に比べて、導電性高分子製造用のモノマー組成物として優れていることがわかるし、また、実施例1〜5のモノマー組成物を用いて製造した導電性高分子が、特性が優れていることがわかる。
〔固体電解コンデンサの評価(2)〕
以下に示す実施例12〜16では実施例1〜4および実施例6のモノマー組成物を用いて設定静電容量が100μF以上で、設定ESRが8mΩ以下の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、それらをジメチルスルホキシドを添加していない3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いて作製した比較例8の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドの添加量が少ない比較例1のモノマー組成物を用いて作製した比較例9の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドの添加量が多すぎる比較例2のモノマー組成物を用いて作製した比較例10の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドに代えてスルホキシド基を有しないスルホランを添加した比較例3のモノマー組成物を用いて作製した比較例11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサとのコンデンサ特性を比較するとともに、それらの作製にあたって用いたモノマー組成物の特性を評価する。
実施例12
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行って誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回し、設定静電容量が100μF以上で、設定ESRが8mΩ以下の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ作製用のコンデンサ素子を作製した。
これとは別に、濃度が40%のパラトルエンスルホン酸第二鉄エタノール溶液(テイカ社製)を蒸留により濃縮し、濃度を64%に調整し、この濃度が64%の酸化剤兼ドーパント溶液100mlと実施例1のモノマー組成物20mlとを混合して、モノマー組成物と酸化剤兼ドーパント溶液との混合液を得た。
このモノマー組成物と酸化剤兼ドーパント溶液との混合液に上記コンデンサ素子を浸漬し、引き上げた後、60℃で2時間、180℃で1時間加熱することによって、モノマー組成物中の3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合させてポリエチレンジオキシチオフェンをポリマー骨格とする導電性高分子からなる固体電解質層を形成した。これを外装材で外装して、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
上記のようにして作製した巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、ESRを100kHzで測定し、静電容量を120Hzで測定を行った。その結果を後記の表2に示す。
実施例13
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例2のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
実施例14
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例3のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
実施例15
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例4のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
実施例16
実施例1のモノマー組成物に代えて、実施例6のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
比較例8
実施例1のモノマー組成物に代えて、ジメチルスルホキシド添加していない純度が99.9%の3,4−エチレンジオキシチオフェンをそのまま用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
比較例9
実施例1のモノマー組成物に代えて、比較例1のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
比較例10
実施例1のモノマー組成物に代えて、比較例2のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
比較例11
実施例1のモノマー組成物に代えて、比較例3のモノマー組成物を用いた以外は、すべて実施例12と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製し、その巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、実施例12と同様にESRおよび静電容量を測定した。その結果を後記の表2に示す。
上記実施例12〜16および比較例8〜11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの静電容量およびESRを次の表2に示す。
Figure 0005522674
表2に示すように、実施例12〜16の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が100.8〜104.7μF以上であって、設定静電容量の100μF以上を満たし、ESRが7mΩ台であって、設定ESRの8mΩ以下を満たしていたが、比較例8〜11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が100μF以上に達せず、設定静電容量の100μF以上を満たさず、ESRが8mΩより大きく、設定ESRの8mΩ以下を満たしていなかった。
すなわち、モノマーの3,4−エチレンジオキシチオフェンにジメチルスルホキシドを所定量添加した実施例1〜4および実施例6のモノマー組成物を用いて作製した実施例12〜16の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が100μFを超えていて大きく、ESRが7mΩ台と小さかったが、ジメチルスルホキシドを添加していない3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いて作製した比較例8の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサや、ジメチルスルホキシドの添加量が少ない比較例1のモノマー組成物を用いて作製した比較例9の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドの添加量が多すぎる比較例2のモノマー組成物を用いて作製した比較例10の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、ジメチルスルホキシドに代えてスルホキシド基を有しないスルホランを添加した比較例3のモノマー組成物を用いて作製した比較例11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が100μFに達せず、ESRも8mΩを超えていて、実施例12〜16の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサに比べて、コンデンサ特性が劣っていた。
そして、この結果から、実施例12〜16の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製にあたって用いた実施例1〜4および実施例6のモノマー組成物は、比較例8の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製にあたって用いた3,4−エチレンジオキシチオフェンそのもの(つまり、ジメチルスルホキシドを添加していない3,4−エチレンジオキシチオフェン)に対してはもとより、比較例9〜11の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製にあたって用いた比較例1〜3のモノマー組成物に比べて、導電性高分子製造用のモノマー組成物として優れていることがわかるし、また、実施例1〜4および実施例6のモノマー組成物を用いて製造した導電性高分子が、特性が優れていることがわかる。

Claims (9)

  1. チオフェンまたはその誘導体をモノマーとする導電性高分子製造用モノマー組成物であって、ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドまたはジブチルスルホキシドを上記チオフェンまたはその誘導体に対して質量基準で1.5〜20%添加したことを特徴とする導電性高分子製造用モノマー組成物。
  2. 請求項1記載のモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を、有機スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとして酸化重合して得られたことを特徴とする導電性高分子。
  3. 有機スルホン酸第二鉄が、パラトルエンスルホン酸第二鉄およびメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項記載の導電性高分子。
  4. 請求項1記載のモノマー組成物中のチオフェンまたはその誘導体を、有機スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとして酸化重合して得られた導電性高分子を固体電解質とすることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  5. 有機スルホン酸第二鉄が、パラトルエンスルホン酸第二鉄およびメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄よりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項記載の固体電解コンデンサ。
  6. 請求項1記載のモノマー組成物のチオフェンまたはその誘導体を、有機スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとして酸化重合して得られた導電性高分子を固体電解質として用いることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 固体電解コンデンサが巻回型アルミニウム固体電解コンデンサであり、有機スルホン酸第二鉄がヒドロキシル基を有する有機溶剤で液状にされていて、その固形分濃度が55質量%以上である請求項記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. ヒドロキシル基を有する有機溶剤が、炭素数1〜4のアルコールである請求項記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 有機スルホン酸第二鉄が、パラトルエンスルホン酸第二鉄およびメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上である請求項のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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