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JP5540191B2 - 咬合器 - Google Patents
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本発明は、歯科実習用模型や患者説明用模型に装着される咬合器(簡易型咬合器)に関するものである。
一般的な歯科用咬合器は、解剖学において可能な限り生体に近似した顎運動を再現させるための「全調節性咬合器」を頂点とし「半調節性咬合器」「平均値咬合器」と段階的にその機能を簡略化させ、最も模式的に上下顎の開閉を再現させる「平線咬合器(蝶番咬合器)」にまで至る。
これらの咬合器は機器としてみた場合やはり高精密高精度から低精密低精度へと比例するが、どの種類の咬合器にあっても必須の機能として、中心咬合位(咬頭嵌合位)において上下各歯列模型の噛みこみ状態を的確に再現できていなくてはならない。
臨床における上下各歯列模型の噛みこみ状態の再現については、その都度、合わせこんだ上で石膏などを用いて咬合器と接合しているため、一連の歯科技工作業が完了するまで模型と咬合器を分離することはできないが、的確な咬合状態を維持できる。
一方、歯科実習用模型や患者説明用模型に関してはその使用目的から、「平線咬合器(蝶番咬合器)」などの簡易型咬合器を用いて、かつ、反復して模型と咬合器を付け外しできなくてはならないためネジを利用して接合している。図6には、従来の簡易型咬合器の一例として、下顎模型7の後端部と上顎模型8の後端部がそれぞれネジ9により、調節機構を有しない咬合器に取り付けられた状態が示されている。
しかしながら単純に模型と咬合器を接合する場合、つまり上下各歯列模型の噛みこみ状態を調節する機能がないと、模型および咬合器に著しく高精密高精度な加工仕上げが要求され本来の簡易型咬合器としての仕様から逸脱してしまうことになってしまう。
顎の咬合動作を再現可能な咬合器として、例えば下記の特許文献1には、上フレームと下フレームの後端が、それぞれ上ヒンジと下ヒンジを介して左右一対の弾性フレームに連結された構造を有するものが開示されているが、この咬合器の場合、前後方向の調節をするためのネジ、左右方向の調節をするためのネジ、上下方向の調節をするためのネジがそれぞれ別々に存在しており、位置合わせが非常に煩雑で、時間がかかる。
又、図6に示される従来の咬合器における噛みこみ状態の不具合を簡便に調節するために、2面(異なる2つの面)にそれぞれ自由度を付与し、ネジにより固定位置の調節が可能な機構を有した咬合器も提案されてきており(図7参照)、このような構造の咬合器では、下顎模型7がL字型部材10を介してネジ9により咬合器に取り付けられ、下顎模型側のネジと咬合器側のネジによってL字型部材の固定位置が調節でき、これによって噛みこみ状態の調節が可能となっている。しかし、このような構造の咬合器の場合、2面を独立した方法で調節を行なうとそれぞれの調節工程での累積の誤差が生じてしまい、的確な噛みこみ状態に調節できなかったり、合わせこむのに時間がかかるという問題点があった。
特開2004−423号公報
本発明はこれら問題点を解決すべく、咬合器として具備すべき咬合調節機構を有した簡便な簡易型咬合器を提供することを課題とするものである。
本発明者は種々検討を行なった結果、下顎模型の後面を取り付けて使用する下側フレームの左右の後端側部分の、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置にそれぞれ軸穴を設ける一方、上顎模型の後面を取り付けて使用する上側フレームの左右の後端側部分にも、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置にそれぞれ軸穴を設け、このようにして設けた左右の軸穴に、当該軸穴の内径よりも大きなボルト頭部を有し、かつ、当該内径よりも小さな軸径を有したボルトを挿通し、当該ボルトの端側に取り付けた固定ナットによって一方のフレームに対して他方のフレームが揺動可能な状態で固定される構造とし、更に、前記ボルトが挿通した下側フレームの軸穴と上側フレームの軸穴の間の位置に、当該軸穴の内径よりも大きな外径を有し、かつ、内側面が凸状又は凹状に湾曲した座金(ワッシャー)を配置し、当該座金よりも内側に位置する方のフレームにおける座金との接触部分(接触面)に、当該座金の内側面に対応した湾曲面を形成することによって、一方のフレームに対する他方のフレームの位置が上下方向と前後方向に調節できるだけでなく、左右に傾く方向にも調節でき、これによって、上顎模型と下顎模型の噛みこみ状態の調節が容易に行なえることを見い出して、本発明を完成した。
即ち、上記課題を解決可能な本発明の咬合器は、下顎模型の後面を取り付けるのに適した形状を有する下側フレームにおける左右の後端側部分の、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置と、上顎模型の後面を取り付けるのに適した形状を有する上側フレームにおける左右の後端側部分の、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置に、それぞれ軸穴が設けられており、前記軸穴には、当該軸穴の内径よりも大きなボルト頭部を有し、かつ、当該内径よりも小さな軸径を有したボルトが挿通されており、前記ボルトのネジ先端側には固定ナットが取り付けられていることにより、前記下側フレームと前記上側フレームとが連結されており、一方のフレームが、他方のフレームに対して揺動可能な状態で固定可能であること、及び、前記ボルトが挿通された下側フレームの軸穴と上側フレームの軸穴との間には、当該軸穴の内径よりも大きな外径を有し、かつ、凸状又は凹状に湾曲した内側面を有する座金が配置されており、当該座金よりも内側に位置する方のフレームにおける前記座金との接触部分には、当該座金の内側面と密接して接し得る曲率を有した湾曲面が形成されており、これによって、一方のフレームに対する他方のフレームの位置が上下方向と前後方向だけでなく、左右に傾く方向にも調節可能になっていることを特徴とする。
又、本発明は、上記の構造を有した咬合器において、前記上側フレームと前記下側フレームの位置を調節するために設けられた左右の前記ボルトの一方が右ネジで、他方が左ネジであることを特徴とするものでもある。
又、本発明は、上記の構造を有した咬合器において、前記ボルトと前記下側フレームとがコイルバネを介して接続されており、当該コイルバネによって前記上側フレームが前記下側フレーム側へバネ付勢された状態で固定される構造を有することを特徴とするものでもある。
又、本発明は、上記の構造を有した咬合器において、前記下側フレームの軸穴下側部分に磁石が埋設されており、当該磁石の磁力によって前記ボルトが前記下側フレーム側に引き寄せられて磁着される構造を有することを特徴とするものでもある。
本発明の咬合器の下側フレームに下顎模型を取り付け、上側フレームに上顎模型を取り付けて使用する場合、左右の位置にあるボルト(固定位置調節ボルト)をそれぞれ緩めると、上顎模型と下顎模型の位置関係が、上下方向と前後方向だけでなく、左右に傾く方向にも位置調節でき、両顎模型の位置関係を最適位置に調節した状態でボルトを締め付けることにより、上顎模型と下顎模型の噛みこみ状態の調節が容易に行なえる。
本発明の咬合器に上下顎模型を取り付けた際の状態を示す図である。 本発明の咬合器の好ましい一例における外観を示す斜視図である。 (a)は、本発明の咬合器の好ましい一例における内部構造を示す模式図で、座金4と共に上側フレーム2を上方に移動させて固定した際の状態が示されており、(b)は、座金4と共に上側フレーム2を下方に移動させて固定した際の状態を示す模式図で、(c)は、上側フレーム2を左側に傾斜させて固定した際の状態を示す模式図で、(d)は、上側フレーム2を右側に傾斜させて固定した際の状態を示す模式図である。 固定位置調節ボルト3の首下部分にコイルバネ11が取り付けられており、当該コイルバネによって上側フレーム2が下方へ引っ張られた状態で軸固定される構造を有した本発明の咬合器の断面構造を示す図である。 下側フレーム1の軸穴5の下側部分に磁石12が埋設されており、当該磁石に金属製の固定位置調節ボルト3が磁着することにより、上側フレーム2が軸固定される構造を有した本発明の咬合器の断面構造を示す図である。 調節機構を有しない従来の咬合器に顎模型を取り付けた際に生じる噛み込み状態の不具合を示す図である。 2面に自由度が付与された機構を有する従来の咬合器に顎模型を取り付けた際の状態を示す図である。
以下、本発明の咬合器の好ましい具体例を図面に示して、本発明を詳細に説明するが、本発明は、図面に例示したものに限定されるものではない。
図1に示されるように、本発明の咬合器は、下側フレーム1に下顎模型7の後面側が取り付けられ、上側フレーム2に上顎模型8の後面側が取り付けられて使用されるものであって、上顎模型8と下顎模型7とを取り外した際の外観が図2に示されている。尚、図2の下側フレーム1と上側フレーム2の前面側にそれぞれ2個ずつ設けられている穴は、顎模型を取り付けるための取り付け穴であり、下側フレーム1と上側フレーム2の材質については特に限定されるものではない。
この図2に例示した本発明の咬合器の構造の詳細及び作用効果について、図3を用いて説明する。図3(a)に示されるように本発明の咬合器には、下顎模型の後面を取り付けるのに適した形状を有する下側フレーム1における左右の後端側部分の、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置に軸穴5が設けられており、上顎模型の後面を取り付けるのに適した形状を有する上側フレーム2における左右の後端側部分の、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置にも軸穴5’が設けられている。この軸穴5及び5’には、当該軸穴の内径(軸穴の形状が正円でない場合は最小の内径)よりも大きなボルト頭部を有し、かつ、当該内径よりも小さな軸径(ネジ部の外径)を有したボルト3が挿通されており、このボルト3のネジ先端側には固定ナット6が取り付けられており、このような構造によって、下側フレーム1と上側フレーム2とが連結されると同時に、一方のフレームが、他方のフレームに対して揺動可能に固定される。そして更に、ボルト3が挿通された下側フレーム1の軸穴5と上側フレーム2の軸穴5’との間の位置には、当該軸穴5及び5’の内径よりも大きな外径を有し、かつ、凸状又は凹状に湾曲した内側面を有する座金4(図面に例示したものにおいては、内側面が凹状に湾曲している)が配置されており、当該座金4よりも内側に位置する方のフレーム(図面に例示したものにおいては上側フレーム2)における座金4との接触面には、座金の内側面と密接して接し得る曲率を有した湾曲面(図面に例示したものにおいては凸状の湾曲面)が形成されている。本発明では、座金の内側面が凸状の湾曲面で、これに接するフレームの部分が凹状の湾曲面であっても良い。なお、座金の材質は特に限定されず、プラスチック等の、咬合器に一般に使用される材質を用いることができる。
上記の構造を有した本発明の咬合器の場合、図3(a)のようにして、座金4と共に上側フレーム2を上方に移動させた状態でボルト3を締め付けると、上側フレーム2の取り付け位置を高くすることができ、逆に、図3(b)のようにして、座金4と共に上側フレーム2を下方に移動させた状態でボルト3を締め付けると、上側フレーム2の取り付け位置を低くすることができる。本発明では、外側に位置するフレームの後端側部分に設けられる軸穴の形状を、例えば円が横方向に伸びた形状等にすることにより(図1には、下顎模型を取り付けた際に後方側の斜め上方に伸びて位置する下側フレーム後端部に横長の軸穴が設けられている)、咬合器に取り付けた上顎模型の、下顎模型に対する取り付け位置を上下方向だけでなく、前後方向にも調節することが可能となる。
尚、図3(a)には、ボルト3が、下側フレーム1に設けられた軸穴5の下方側の位置で固定された状態が示されているが、この位置から更に上方に引き上げて、ボルト3の固定位置を更に上方側の位置とすることも可能である。
図3(c)には、図3(b)の状態からボルト3を緩めて、上側フレーム2を左側に傾斜させた状態とし、この状態でボルト3を締め付けて上側フレーム2を固定した際の状態が示されており、図3(d)には、図3(b)の状態からボルト3を緩めて、上側フレーム2を右側に傾斜させた状態とし、この状態でボルト3を締め付けて上側フレーム2を固定した際の状態が示されている。本発明の咬合器では、このようにして、一方のフレームの他方のフレームに対する固定位置を上下方向と前後方向だけでなく、左右に傾く方向にも調節可能であるので、上顎模型と下顎模型を取り付けた際、簡単に噛みこみ状態の調節が行なえる。
本発明では、フレームの左右に設けられるボルト3の一方を右ネジボルトとし、他方を左ネジボルトとすることが好ましく、ネジの方向が逆になったボルトを組み合わせて使用することにより、左右のボルトのネジ締め方向(回転方向)が同じ方向となって、ボルトを締め付ける際に生じる捩れを少なくすることができる。
図4には、固定位置調節ボルト3の首下部分にコイルバネ11が取り付けられており、当該コイルバネにより固定位置調節ボルト3を介して、上側フレーム2が下方側(下側フレーム1側)へ引っ張られた状態で位置固定される構造を有した本発明の咬合器の断面構造の一例が示されており、このような構造の咬合器の場合、バネ付勢によって下側フレーム1に対し上側フレーム2が確実に軸固定されるので好ましい。尚、図4に示したコイルバネ11の上端側は、固定位置調節ボルト3の首下部分に巻き付くようにして取り付けられており、下端側は、下側フレーム1に設けられた突起部に固定されている。
又、図5には、下側フレーム1の軸穴5の下側部分に磁石12が埋設されており、当該磁石12に固定位置調節ボルト3が磁着されることによって、上側フレーム2が軸固定される構造を有した本発明の咬合器の断面構造の一例が示されており、この図の咬合器の場合、磁石に吸着可能な材質(例えば金属)よりなる固定位置調節ボルト3の首下部分が、下側フレーム1の軸穴5の下側部分に埋設された磁石12の上面側と当接した状態で磁着され、中心咬合位を保つようにして固定される。固定位置調節ボルト3が磁石に吸着しない材質(例えばプラスチック)よりなるものである場合には、ボルトの首下部分を金属製の円筒状部材内に挿通し、この金属製円筒状部材が磁石と磁着される構造とする。
尚、図5に例示されるような磁石12を設けた咬合器の場合、下側フレーム1の軸穴5の上方側部分が開放された構造としても良く、この場合には、磁着された状態の上側フレーム2を磁力に逆らって上方に引き上げ、軸穴5から固定位置調節ボルト3を引き抜くことにより、下側フレーム1と上側フレーム2とを分離することが可能となる。
図3(a)に示される内部構造を有し、図2に示される外観の本発明の咬合器(プラスチック製)を作製し、この咬合器の上側フレームと下側フレームにそれぞれ、市販の上顎模型と下顎模型を取り付け、図1の外観として使用したところ、下顎模型に対する上顎模型の位置が、上下方向にも、前後方向にも、さらには左右に傾く方向にも調節でき、噛みこみ状態の調節を短時間で、しかも簡単に行うことができた。
本発明の咬合器は、歯科実習用模型や患者説明用模型を取り付けて使用する簡易型咬合器として非常に有用である。
1 下側フレーム
2 上側フレーム
3 ボルト
4 座金(ワッシャー)
5、5’ 軸穴
6 ナット
7 下顎模型
8 上顎模型
9 ネジ
10 L字型部材(L字型金具)
11 コイルバネ
12 磁石

Claims (4)

  1. 上顎模型と下顎模型を取り付けて使用される咬合器であって、前記下顎模型の後面を取り付けるのに適した形状を有する下側フレームにおける左右の後端側部分の、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置と、前記上顎模型の後面を取り付けるのに適した形状を有する上側フレームにおける左右の後端側部分の、人体の顎運動と同様の動きをするのに適した顎関節位置に、それぞれ軸穴が設けられており、前記軸穴には、当該軸穴の内径よりも大きなボルト頭部を有し、かつ、当該内径よりも小さな軸径を有したボルトが挿通されており、前記ボルトのネジ先端側には固定ナットが取り付けられていることにより、前記下側フレームと前記上側フレームとが連結されており、一方のフレームが、他方のフレームに対して揺動可能な状態で固定可能であること、及び、前記ボルトが挿通された下側フレームの軸穴と上側フレームの軸穴との間には、当該軸穴の内径よりも大きな外径を有し、かつ、凸状又は凹状に湾曲した内側面を有する座金が配置されており、当該座金よりも内側に位置する方のフレームにおける前記座金との接触部分には、当該座金の内側面と密接して接し得る曲率を有した湾曲面が形成されており、これによって、一方のフレームに対する他方のフレームの位置が上下方向と前後方向だけでなく、左右に傾く方向にも調節可能になっていることを特徴とする咬合器。
  2. 前記上側フレームと前記下側フレームの固定位置を調節するための前記ボルトのネジの方向が左右で異なり、一方のボルトが右ネジであり、他方のボルトが左ネジであることを特徴とする請求項1に記載の咬合器。
  3. 前記ボルトと前記下側フレームとがコイルバネを介して接続されており、当該コイルバネによって前記上側フレームが前記下側フレーム側へバネ付勢された状態で固定される構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の咬合器。
  4. 前記下側フレームの軸穴下側部分に磁石が埋設されており、当該磁石の磁力によって前記ボルトが前記下側フレーム側に引き寄せられて磁着される構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の咬合器。
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