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JP5540319B2 - 生分解性高吸水性高分子の合成方法 - Google Patents
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JP5540319B2 - 生分解性高吸水性高分子の合成方法 - Google Patents

生分解性高吸水性高分子の合成方法 Download PDF

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Description

本発明は、生分解性を持つ高吸水性高分子の合成方法および該合成方法により得られる生分解性高吸水性高分子に関するものである。
高吸水性高分子はその高い吸水性と保水性から衛生用品をはじめ、農業・園芸、流通資材、土木・建築、医療、トイレタリーまで幅広い活用がされている。歴史的にはまだ企業化が始められてから僅か25年程度であるが、衛生材料を中心として大きな市場が形成されており、その国内市場規模50万トン、750億円といわれている。
高吸水性高分子の合成には、一般的に原油から精製されるポリアクリル酸ナトリウム架橋体などアクリル酸系樹脂などを原料として用いられることが多い。しかしながらアクリル酸系は難分解性であるので、紙おむつなどに使用した場合、廃棄後これらが環境中に分散すれば環境問題を引き起こすことが懸念されている。そこで近年、生分解性を有する高吸水性高分子の開発が行われてきている。
生分解性を有し、かつ吸水力に優れた材料として、セルロース誘導体を利用することが試みられており、特にカルボン酸塩を構造中に含むカルボキシメチルセルロースを用いて検討されてきた。例えばカルボキシメチルセルロースを化学的に架橋する方法(特許文献1〜4)、放射線架橋を用いて自己架橋する方法(特許文献5)が知られている。
しかし、上記技術では、いずれもセルロース誘導体を出発物質として使用し、製造コストの点で問題が残る。また架橋部とカルボキシメチルセルロース間の結合はエーテル結合であり、化学的に安定なため、生分解性の点でも問題がある。
一方、セルロースそのものを、エーテル結合ではなく高い生分解性を示すエステル結合で架橋する方法として、コハク酸無水物を用いる方法が開示されているが(非特許文献1)、得られる吸水性材料中に含まれるカルボン酸ナトリウム塩の含有量が少ないため、吸水速度が遅いものしか得られないという問題がある。
特開2006−188697号公報 特開平7−82301号公報 特開平9−850807号公報 特開2004−137382号公報 特開2001−2703号公報
Yoshimura et al, J. Appl. Polym. Sci. 99, 3251-3256 (2006)
そこで本発明で解決すべき課題は、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体の代替材料として、天然に大量に存在するセルロース、キチン、キトサン等を原料として、生分解性が高く、かつ吸水力や吸水速度も既存のアクリル酸系樹脂を用いたものに匹敵しうる環境に優しい高吸水性高分子の合成方法、および該合成方法により得られる生分解性高吸水性高分子を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の生分解性高吸水性高分子では、セルロース、キチン、キトサンおよび多糖類の群から選ばれる1以上の天然由来高分子を、ポリカルボン酸無水物を用いてエステル架橋反応させる工程を含むことを最も主要な特徴とする。
本発明の合成方法によれば、天然高分子であるセルロース、キチン、キトサン等を出発原料とするので、環境への負担が少ない。さらに、高い生分解性を有するので、廃棄による環境負担も少ない。加えて、本発明の合成方法では、安価なポリカルボン酸無水物を用いてエステル架橋反応させることができるので、コスト面でも有利である。
その一方、本発明の合成方法で得られる生分解性高吸水性高分子の吸水性能や保水性能は、既存の石油を原料としたアクリル酸系樹脂のものと同等、もしくはそれ以上の性能を示すことから、環境調和型の代替材料としての利用価値が高い。
本発明の合成方法の例を示す製造フロー図である。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の製品概要である。(a)は既存市販品であり、(b)は本発明品である。 図2の生分解性高吸水性高分子を吸水させた30秒後の製品概要である。(a)は既存市販品であり、(b)は本発明品である。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数依存性)。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(溶媒の比較)。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(セルロース重合度の比較)。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の保水率の経時変化を示すチャートである。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(原材料脱脂綿,反応当量倍数の比較)。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(原材料キチン-BTCA(溶媒LiCl/NMP),反応当量倍数の比較)。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(原材料キチン-BTCA(溶媒TBAF/DMSO),反応当量倍数の比較)。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(原材料キチン-DSDA,反応当量倍数の比較)。 本発明で合成される生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートである(原材料キトサン,反応当量倍数の比較)。
図1には、天然由来高分子としてセルロースを出発原料とした場合の本発明を実施するための合成フローを示した。まず、出発原料であるセルロースを、塩化リチウム(LiCl)/N,N,-ジメチルアセトアミド(DMAc)、LiCl/N-メチルピロリドン(NMP)、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)/ジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれかに溶解させ、室温・常圧下においてN,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)を触媒としてポリカルボン酸無水物とエステル架橋反応を行う。ポリカルボン酸無水物としては1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物(BTCA)、もしくは3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)が望ましい。このエステル架橋反応によって、セルロースの水酸基とカルボン酸無水物間でエステル化が進行し、セルロース分子鎖間でエステル性架橋が形成されると同時に、カルボン酸無水物はカルボキシル基に変換される。
前記エステル架橋反応で得られた反応物をメタノール、アセトンなどの有機溶媒に沈殿させ、塩基性水溶液によってpH7になるまで中和を行う。この中和反応により、生成したカルボキシル基は、カルボン酸塩へ変換される。これら操作によって、吸水性の役割を果たすカルボン酸塩と、保水性の役割を果たすエステル性架橋された三次元架橋構造とを持つ生分解性高吸水性高分子が得られる。架橋セルロース、架橋キチンの吸水・保水性能は、ポリカルボン酸架橋密度に依存するため、ポリカルボン酸無水物の仕込濃度、反応溶媒、原料であるセルロースの重合度などを制御することで様々な用途に適した特性を持つ生分解性高吸水性高分子を得ることが可能である。
出発原料としては、セルロースの他に、キチン、キトサン、またはアミロースなどの多糖類、さらにはこれらの混合物を用いても同様の性能を持つ生分解性高吸水性高分子を得ることができる。ただし出発原料としてキトサンや多糖類を用いる場合は、溶媒として酸水溶液と有機溶媒の混合系、例えば10%酢酸水溶液/メタノール/NMPの1:1:1混合溶媒などを用いて行うことができる。なかでも綿のセルロースなど、重合度1500以上のセルロースを用いることで、現行市販品と同等以上の吸水性能を持つ生分解性高吸水性高分子が得られるので好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の合成方法は、実施例記載の様態のみに限られるものではない。下記実施例1〜7の合成条件の概要をまとめて表1に示した。また下記実施例8〜12の概要をまとめて表2に示した。
(A.出発原料:セルロース)
下記実施例1〜10の合成条件の概要をまとめて表1に示した。また下記実施例11〜15の概要をまとめて表2に示した。
〔実施例1〕
NMP100 mLにLiCl5gを溶解した溶媒に、セルロースとしてパルプ(平均重合度:800)0.5g(グルコース換算で3.1mmol)を添加し、完全に溶解するまで攪拌した。その後、塩基性触媒であるDMAP 1.19 g(9.7mmmol)とBTCA 2.3g(11.6mmol)を加え、室温下で攪拌し、架橋反応を行わせた。
セルロースは、架橋点としてグルコース単位あたり3つの水酸基を持つ。一方、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物は、加水分解によって、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸になり、架橋点として1分子あたり2つのカルボキシル基を持つ。したがって反応の当量は、セルロースのグルコース1単位:BTCA=3:2である。以上より、実施例1におけるセルロースのグルコース1単位あたりに対するBTCAの反応当量倍数(以下、単に「ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数」或いは「反応当量倍数」という場合がある。)を求めると 2×11.6mmol/3×3.1 mmol= 2.5倍となる。
架橋反応の後、24時間室温で放置した後200mLのメタノールに中に注ぐことで架橋セルロースを析出させた。析出物に10% 水酸化ナトリウムを滴下し、pH7の中性にしてカルボキシル基をカルボン酸ナトリウム塩へ変換させた。生じた沈殿をろ過、乾燥することによって、白色繊維状である実施例1の生分解性高吸水性材料が得られた。
(合成物評価)
図2(b)では、実施例1で合成された生分解性高吸水性高分子の概要を示した。図3(b)では、図2(b)で示した生分解性高吸水性高分子に吸水させた30秒後の写真を示す。比較のため、図2(a),図3(a)では、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体の既存市販品であるサンダイヤポリマー株式会社製「サンウエット」(登録商標)(注:以下の実施例における既存市販品の評価で同じ。)の写真を示した。このように、実施例1で合成された生分解性高吸水性高分子は、水が存在すれば瞬時に吸水し、透明なハイドロゲルへと変化する。また市販品であるポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、30秒後の吸水量が、乾燥時における自重の120倍であるのに対して、実施例1で合成された生分解性高吸水性高分子は、30秒後の吸水量が、乾燥時における自重の136倍という優れた初期吸水速度を示した。また流動性が低いという利点も併せ持つことが分かった。
〔実施例2〜5〕
BTCAの仕込量を変化させて、得られる生分解性高吸水性高分子について、最大吸水量に関するポリカルボン酸無水物の反応当量倍数依存性を調べた。原材料であるBTCAの配合量をそれぞれ、〔実施例2〕0.46g (2.32mmol)、〔実施例3〕0.92 (4.64 mmol)、〔実施例4〕4.6g (23.2 mmol)、〔実施例5〕6.9g (34.8 mmol)に替えた以外は実施例1と同じ合成条件で、実施例2〜5の生分解性高吸水性高分子を得た。各実施例の反応当量倍数は、〔実施例2〕0.5倍、〔実施例3〕1.0倍、〔実施例4〕5.0倍、〔実施例5〕7.5倍である。
(合成物評価)
図4には、実施例1〜6の生分解性高吸水性高分子と、比較のため既存市販品との吸水速度−吸水量チャートを示した。図4中の各実施例の吸水速度−吸水量曲線付近に示した数値は、各実施例の架橋度を示す。図4中のカッコ内はポリカルボン酸無水物の反応当量倍数を示す。この結果、ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が2.5倍〔実施例1〕のときに、50時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の300倍の最大吸水量という最も高い値を示した。このときの架橋度は0.49であり、セルロースを構成するグルコース1残基あたり、0.5個のBTCAが架橋されることが望ましいことが分かった。
〔実施例6〕
反応溶媒をLiCl/NMPからLiCl/DMAcに替えて得られる生分解性高吸水性高分子の溶媒依存性を調べた。ただしLiCl/DMAc系では、セルロースは室温で溶解しないので、下記手順で調製を行った。
DMAc 100 mLにLiCl 5gを溶解した溶媒に、セルロースとしてパルプ(平均重合度:800)0.5gを添加し、150℃、1時間攪拌することで、セルロースを完全に溶解した。その後、室温にし、塩基性触媒であるDMAP 1.19 g(9.7mmmol)とBTCA 2.3g(11.6mmol)を加え、室温下で攪拌し、架橋反応を行わせた。なお、この系におけるポリカルボン酸無水物の反応当量倍数は2.5倍である。架橋反応後の操作は、実施例1と記載の手順で行い、実施例6の生分解性高吸水性高分子を得た。
(合成物評価)
実施例6で得られた生分解性高吸水性高分子と、比較のため、実施例1で得られた生分解性高吸水性高分子および既存市販品について、市販のポリアクリル酸ナトリウムの高吸水性高分子と比較して、吸水速度-吸水量特性を調べた。その結果を図5に示した。図5中のカッコ内は溶媒の種類を示す。その結果、反応溶媒としてLiCl/DMAcを用いることで、150時間経過後の吸水量が乾燥時における自重の700倍に向上することが分かった。
〔実施例7〕
原料セルロースとして、パルプから脱脂綿(平均重合度:12,000)に替えた以外は実施例1と同じ合成条件で、実施例7の生分解性高吸水性高分子を得た。
(合成物評価)
実施例7で得られた脱脂綿を原料とする生分解性高吸水性高分子について、実施例3のパルプを原料とするポリアクリル酸ナトリウムの高吸水性高分子および既存市販品と比較して、吸水速度-吸水量特性を調べた。その結果を図6に示した。図5中のカッコ内はセルロースの平均重合度を示す。その結果、重合度が高い脱脂綿が良好な結果を示し、150時間経過後の吸水量が乾燥時における自重の720倍に向上することが分かった。また実施例7の生分解性高吸水性高分子と、比較のため既存市販品との保水曲線を図7に示す。実施例7の生分解性高吸水性高分子は、既存市販品であるポリアクリル酸ナトリウム架橋体よりも高い保水性能を示し、25℃、湿度20%環境下での保水率は85%/日であった。
〔実施例8〜10〕
原料セルロースとして、パルプから脱脂綿(平均重合度:12,000)に替えた以外は実施例6と同じ合成条件で、実施例8の生分解性高吸水性高分子を得た。また原材料であるBTCAの配合量をそれぞれ〔実施例9〕0.92g (4.64 mmol)、〔実施例10〕4.6 g(23.2 mmol)に替えた以外は実施例8と同じ合成条件で、実施例9,10の生分解性高吸水性高分子を得た。各実施例の反応当量倍数は、〔実施例8〕2.5倍、〔実施例9〕1.0倍、〔実施例10〕5.0倍である。
(合成物評価)
実施例8〜10で得られた脱脂綿を原料とし、LiCl/ DMAc系を溶媒とした生分解性高吸水性高分子について、吸水速度−吸水量特性を調べた。表3には、実施例8〜10の生分解性高吸水性高分子について、吸水時間ごとの吸水量の反応当量倍数依存性を示した。また図8には、実施例8〜10の生分解性高吸水性高分子の吸水速度−吸水量チャートを示した。図8中のカッコ内はポリカルボン酸無水物の反応当量倍数を示す。この結果、ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が1.0倍〔実施例9〕のときに、48時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の1045倍,ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が5.0倍〔実施例10〕のときに、48時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の953倍という高い値を示した。このように、BTCAの割合が増えると、吸水率が一度下がって〔実施例8〕、その後吸水率が上がる挙動を示す原因は必ずしも定かではないが、BTCA濃度が増加すると、最初に架橋反応が優先して進行し、その後グラフト(枝分かれ)構造が生じているためではないかと推測される。
〔実施例11〜15〕
反応溶媒をNMP100 mLにLiCl5gを溶解した溶媒から、DMSO 85 mLにTBAF 15gを溶解した溶媒に替えた以外は実施例1と同じ合成条件で、実施例11の生分解性高吸水性高分子を得た。また原材料であるBTCAの配合量をそれぞれ、〔実施例12〕0.46g (2.32mmol)、〔実施例13〕0.92 (4.64 mmol)、〔実施例14〕4.6g (23.2 mmol)、〔実施例15〕6.9g (34.8 mmol)に替えた以外は実施例11と同じ合成条件で、実施例12〜15の生分解性高吸水性高分子を得た。各実施例の反応当量倍数は、〔実施例11〕2.5倍、〔実施例12〕0.5倍、〔実施例13〕1.0倍、〔実施例14〕5.0倍、〔実施例15〕7.5倍である。
(合成物評価)
表4には、実施例11〜15の生分解性高吸水性高分子について、吸水時間ごとの吸水量の反応当量倍数依存性を示した。この結果、ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が1.0倍〔実施例13〕のときに、48時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の925倍の最大吸水量という最も高い値を示した。
以上のセルロースを出発原料とする実施例から、最適な条件としてLiCl/DMAcを溶媒として、綿のセルロースのような重合度の高いセルロースを使用して合成した場合に、得られる生分解性高吸水性高分子の吸水量が、よりいっそう向上することが分かった。
(B.出発原料:キチン)
下記実施例16〜25の合成条件の概要をまとめて表5に示した。また下記実施例26〜29の合成条件の概要をまとめて表6に示した。
〔実施例16〕
NMP100 mLにLiCl5gを溶解した溶媒に、キチン(α‐キチン(Sigma社製)アセチル化度:84%(脱アセチル化度16%)分子量分布:5×105〜2×106)0.63g(N-アセチルグルコサミン換算で3.1mmol)を添加し、完全に溶解するまで攪拌した。その後、塩基性触媒である0.79g(6.4mmol)とBTCA 0.60g(3.1mmol)を加え、室温下で攪拌し、架橋反応を行わせた。架橋反応後の操作は、実施例1に記載の手順で行い、実施例16の生分解性高吸水性高分子を得た。
キチンは、架橋点としてN−アセチルグルコサミン残基あたり、2つの水酸基を持つ。一方、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物は、加水分解によって、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸になり、架橋点として1分子あたり2つのカルボキシル基を持つ。したがって反応の当量は、キチンのN−アセチルグルコサミン残基1単位:BTCA=1:1である。以上より、実施例14におけるキチンN−アセチルグルコサミン残基1単位あたりに対するBTCAの反応当量倍数を求めると、3.1mmol/3.1 mmol= 1.0倍となる。
〔実施例17〜21〕
BTCAの仕込量を変化させて、得られる生分解性高吸水性高分子について、最大吸水量に関するポリカルボン酸無水物の反応当量倍数依存性を調べた。原材料であるBTCAの配合量をそれぞれ、〔実施例17〕0.06g(0.31mmol)、〔実施例18〕0.30.g(1.55mmol)、〔実施例19〕1.5g (7.75 mmol)、〔実施例20〕3.0g (15.5 mmol)、〔実施例21〕6.0g(31.0mmol)に替えた以外は実施例1と同じ合成条件で、実施例17〜21の生分解性高吸水性高分子を得た。各実施例の反応当量倍数は、〔実施例17〕0.1倍、〔実施例18〕0.5倍、〔実施例19〕2.5倍、〔実施例20〕5.0倍、〔実施例21〕10.0倍である。
(合成物評価)
表7には、実施例16〜21の生分解性高吸水性高分子について反応当量倍数と架橋度を示し、また図9には吸水速度−吸水量チャートを示した。図9中の各実施例の吸水速度−吸水量曲線付近に示した数値は、各実施例のポリカルボン酸無水物の反応当量倍数を示す。なお、キチンそのものの吸水率は120時間経過後で5.4g/g-polymerである。この結果、ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が10倍〔実施例21〕のときに、48時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の40倍の最大吸水量という最も高い値を示した。
〔実施例22〜25〕
反応溶媒をNMP100 mLにLiCl5gを溶解した溶媒から、DMSO 85 mLにTBAF 15gを溶解した溶媒に替えた以外は実施例16と同じ合成条件で、実施例22の生分解性高吸水性高分子を得た。また原材料であるBTCAの配合量をそれぞれ、〔実施例23〕1.5g (7.75 mmol)、〔実施例24〕3.0g (15.5 mmol) 、〔実施例25〕6.0g(31.0mmol)に替えた以外は実施例22と同じ合成条件で、実施例23〜25の生分解性高吸水性高分子を得た。各実施例の反応当量倍数は、〔実施例22〕1.0倍、〔実施例23〕2.5倍、〔実施例24〕5.0倍、〔実施例25〕10倍である。
(合成物評価)
表8には、実施例22〜25の生分解性高吸水性高分子について反応当量倍数と架橋度を示し、また図10には吸水速度−吸水量チャートを示した。図9中の各実施例の吸水速度−吸水量曲線付近に示した数値は、各実施例のポリカルボン酸無水物の反応当量倍数を示す。この結果、ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が10倍〔実施例25〕のときに、48時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の80倍の最大吸水量という最も高い値を示した。
〔実施例26〜29〕
ポリカルボン酸無水物をBTCAからDSDA 1.11g(3.1mmol)に替えた以外は実施例16と同じ合成条件で、実施例26の生分解性高吸水性高分子を得た。またDSDAの配合量をそれぞれ、〔実施例27〕2.78g (7.75 mmol)、〔実施例28〕5.55g (15.5 mmol) 、〔実施例29〕11.1g(31.0mmol)に替えた以外は実施例26と同じ合成条件で、実施例27〜29の生分解性高吸水性高分子を得た。各実施例の反応当量倍数は、〔実施例26〕1.0倍、〔実施例27〕2.5倍、〔実施例28〕5.0倍、〔実施例29〕10倍である。
(合成物評価)
表9には、実施例26〜29の生分解性高吸水性高分子について反応当量倍数と架橋度を示し、また図11には吸水速度−吸水量チャートを示した。図11中の各実施例の吸水速度−吸水量曲線付近に示した数値は、各実施例のポリカルボン酸無水物の反応当量倍数を示す。この結果、ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が10倍〔実施例29〕のときに、48時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の230倍の最大吸水量という最も高い値を示した。
(C.出発原料:キトサン)
下記実施例30〜34の合成条件の概要をまとめて表10に示した。
〔実施例30〕
キトサン(和光純薬社製、キトサン50)0.50g(グルコサミン換算で3.1mmol)を10%(v/v)酢酸水溶液33.3mL中、室温下で溶解し、NMP、メタノールをそれぞれ33.3mL添加した。これにBTCA 6.0g(31mmol)を加え、室温で攪拌して、架橋反応を行わせた。なお、本合成条件では、溶媒の酢酸が触媒の役割も果たして架橋反応が進行するためDMAPなどの触媒を加える必要がない。架橋反応の後、24時間室温で放置した後200mLのアセトン中に注ぐことで架橋キトサンを析出させた。その後の操作は、実施例1に記載の手順で行い、実施例30の生分解性高吸水性高分子を得た。
キトサンは、架橋点としてグルコサミン残基あたり、2つの水酸基を持つ。一方、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物は、加水分解によって、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸になり、架橋点として1分子あたり2つのカルボキシル基を持つ。したがって反応の当量は、キトサンのグルコサミン残基1単位:BTCA=1:1である。以上より、実施例30におけるキトサンのグルコサミン残基1単位あたりに対するBTCAの反応当量倍数を求めると、31mmol/3.1 mmol= 10倍となる。
〔実施例31〜34〕
BTCAの仕込量を変化させて、得られる生分解性高吸水性高分子について、最大吸水量に関するポリカルボン酸無水物の反応当量倍数依存性を調べた。原材料であるBTCAの配合量をそれぞれ、〔実施例31〕1.2g(6.2mmol)、〔実施例32〕3.0g(15.5mmol)、〔実施例33〕150g (775 mmol)、〔実施例34〕300g (1550 mmol) に替えた以外は実施例30と同じ合成条件で、実施例31〜34の生分解性高吸水性高分子を得た。各実施例の反応当量倍数は、〔実施例31〕2.0倍、〔実施例32〕5.0倍、〔実施例33〕25.0倍、〔実施例34〕50.0倍である。
(合成物評価)
表11には、実施例30〜34の生分解性高吸水性高分子について反応当量倍数と架橋度を示し、また図12には吸水速度−吸水量チャートを示した。図12中の各実施例の吸水速度−吸水量曲線付近に示した数値は、各実施例のポリカルボン酸無水物の反応当量倍数を示す。この結果、ポリカルボン酸無水物の反応当量倍数が50倍〔実施例34〕のときに、48時間経過後吸水量が、乾燥時における自重の450倍の最大吸水量という最も高い値を示した。
しかしながら、実施例31、実施例32、実施例30で得られた生分解性高吸水性高分子では、粒子径が細かく、JIS法の吸水試験(JIS K7223)で使用するティーバッグのナイロンメッシュシート(ポアサイズ225メッシュ)を抜けてしまうことがわかった。
(D.出発原料:アミロース)
〔実施例35〕
アミロース(林原社製アミロースEX-I)50g(グルコース換算で3.1mmol)を10%(v/v)酢酸水溶液33.3mL中、90℃で溶解し、その後室温まで冷却し、NMP、メタノールをそれぞれ33.3mL添加した。これにBTCA 9.2g(46.4 mmol)を加え、室温で攪拌して、架橋反応を行わせた。なお、本合成条件では、溶媒の酢酸が触媒の役割も果たして架橋反応が進行するためDMAPなどの触媒を加える必要がない。架橋反応の後、24時間室温で放置した後200mLのアセトン中に注ぐことで架橋キトサンを析出させた。その後の操作は、実施例1に記載の手順で行い、実施例35の生分解性高吸水性高分子を得た。
アミロースは、架橋点としてグルコース残基あたり、3つの水酸基を持つ。一方、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物は、加水分解によって、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸になり、架橋点として1分子あたり2つのカルボキシル基を持つ。したがって反応の当量は、アミロースのグルコース残基1単位:BTCA=3:2である。以上より、実施例32におけるアミロースのグルコース残基1単位あたりに対するBTCAの反応当量倍数を求めると 2×46.4mmol/3×3.1 mmol=10倍となる。
(合成物評価)
実施例35の生分解性高吸水性高分子の架橋度は0.37であり、吸水時間ごとの吸水量は、乾燥時における自重に対して360倍(24時間後)、387倍(48時間後)であった。
高吸水性高分子は、衛生用品、農業・園芸、流通資材、土木・建築、医療、トイレタリーまで幅広い用途で利用されており、本発明の生分解性高吸水性高分子の合成方法は、高い生分解性を付与しつつ、既存の高吸水性高分子に匹敵もしくは凌駕する吸水性能を持つ生分解性高吸水性高分子を合成できる、製造コストの抑えられた合成方法であるので、産業上の利用価値は高い。

Claims (5)

  1. セルロース、キチンもしくはこれらの混合物である天然由来高分子を、ポリカルボン酸無水物を用いて、塩化リチウムを含むN,N,-ジメチルアセトアミドの溶媒中でエステル架橋反応させる工程を含む生分解性高吸水性高分子の合成方法。
  2. キトサン、多糖類もしくはこれらの混合物である天然由来高分子を、ポリカルボン酸無水物を用いて、メタノールとN-メチルピロリドンもしくはN,N,-ジメチルアセトアミドとメタノールとを含む酢酸水溶液中でエステル架橋反応させる工程を含む生分解性高吸水性高分子の合成方法。
  3. 前記多糖類がアミロースである、請求項2記載の合成方法。
  4. 前記ポリカルボン酸無水物が1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物もしくは3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物である、請求項1〜3いずれかの項記載の合成方法。
  5. 請求項1〜4いずれかの項記載の合成方法で得られる生分解性高吸水性高分子。
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