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JP5540330B2 - ポリアミド速度変調一体型薬物送達システム - Google Patents
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JP5540330B2 - ポリアミド速度変調一体型薬物送達システム - Google Patents

ポリアミド速度変調一体型薬物送達システム Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、薬物放出の速度および順序を最適化するための一体型形式におけるポリアミドの合成および適用に関する。
発明の背景
ナイロンと称されることが多い脂肪族ポリアミドは、重要な一群の合成重縮合ポリマーを構成する。これらは、本質的に半結晶性でありかつ熱可塑性である直線状分子である。それらの優れた物理的特性および機械的特性、すなわち比較的高い融点および耐熱性、耐摩耗性、化学的不活性、高係数、易処理性、親水性、高収率、ならびに製造後の高水準の純度から、重要かつ汎用的な工業材料である[1−8]。
上記のポリアミドの特性は、ポリアミド結晶の直鎖内および直鎖間において、カルボンアミド官能基としても知られるアミド(−NH−)官能基とカルボニル(−CO−)官能基との間の分子内水素結合構造および分子間水素結合構造を形成する能力に主に由来する[9−12]。ポリアミド鎖内のカルボニル官能基とアミド官能基との間の水素結合相互作用を図1に図示する。水素結合は、アルカンセグメントが効果的に融解する前および融解した後でも、分子鎖を整然と並んだ固相に保つことができる[10]。水素結合構造の長さおよび強度はポリアミドの種類および合成方法に依存し、各々の特性がわずかに異なる[3,6−11]。ポリアミドは、アルカンセグメントによって分離されたアミド群からなり(図1)、窒素原子を分離する炭素原子の数が個々のナイロンの種類を規定する[3,8,9]。Cuiおよび共働者(2004年)は、ポリアミドを6つの分類、すなわち偶−偶、奇−奇、奇−偶、偶−奇、偶数、および奇数に細分化することに成功した[9]。
本分析においては、分子鎖の間に完全に形成された飽和水素結合による明確な構造的配列によって、偶−偶ポリアミドが選択された。この部類は、鎖が折り畳まれたシートを形成し、これらのシート内において隣接する鎖のアミド群同士の間に形成された水素結合によって、良好な繊維形成特性がもたらされる。室温では、伸張された配座を有する並行層が通常は生じる(シート間水素結合なし)。これらのシートは、α相と呼ばれる進行性の(progressive)剪断を有してまたはβ相と呼ばれるジグザグ状の剪断を有して互いに積層することができ、異なる三斜晶系の単位セルをもたらす[7,11,12]。ポリアミド6,6、12,10、4,8、4,10、4,12、6,10、6,12、6,18および8,12などの偶−偶ポリアミドが広く研究され、工業化されている[1−21]。これまでのところ、研究は物理化学的挙動の特徴付けに集中しており、用途の大部分に大きく寄与する性能には(物理機械的特徴と比較すると)あまり重点が置かれてこなかった[7,11−20]。これまでのところ、純粋なポリアミドおよびそれらと他のポリマー材料との混合物に対して行なわれてきた機械的な判定は、引っ張り試験、力学機械的分析および延性の形態であった[7,13,16,17]。
我々が知る限りでは、テクスチャープロファイル分析(textural profile analysis)(TPA)と改質界面重合手法とを用いてモノマーの濃度および溶媒の体積比の影響をポリアミドの物理化学的特性および物理機械的特性に関連させてポリアミドバリアントを合成し、速度変調一体型マトリックス薬物送達システムを開発する研究は報告されていない。速度変調薬物送達技術は、現代の医薬品および薬剤において浮上しつつある困難な最先端分野の1つである[37]。このような研究における困難な領域の1つは、配合中に採
用されるポリマーの種類を変更するといった単純なプロセスまたは材料変更を用いた新規の一体型ポリマーシステムの製造にあり、柔軟性はあるが速度が変調された薬物放出性能を予測可能な態様で提供することができ、より有効な治療成果を実現し、かつ過少摂取および過量摂取の危険性を無くす。
発明の目的
本発明の目的は、ポリアミド速度変調一体型薬物送達システムを提供することである。
発明の概要
本発明によれば、少なくとも1つの活性化合物と生物分解性および生体適合性のポリアミドポリマーとを含む、ポリアミド速度変調一体型薬物送達システムが提供され、ポリマーは、使用の際に、ポリマーの生物分解特性に依存する所定の時間枠内で、ポリマーの生体適合特性に依存して、目標の有機体に活性化合物を送達するために選択された生物分解特性および生体適合特性を有する。
また、活性化合物は、ヒトまたは動物に適用するための医薬品、代替的には動物および/または植物の疫病を制御するのに使用するための殺生物剤組成物である。
さらに、ポリマーは、ポリマー材料を塩析または架橋することによって変性されて所望の生物分解特性を実現し、その結果、活性化合物の放出を制御する。
また、活性化合物が医薬品、好ましくは錠剤である場合、ポリマーおよび活性化合物は、経口投与に好適な剤型に形成される。
また、活性化合物が医薬品である場合、ポリマーおよび活性化合物は、ヒトまたは動物の体内に注入するのに好適な剤型に形成される。
代替的に、活性化合物が動物および/または植物の疫病を制御するための殺生物剤組成物である場合、ポリマーおよび活性化合物は、噴霧、代替的には散布、好ましくは流動可能な粉末によって適用するのに好適な剤型に形成される。
さらに、ポリマーおよび活性化合物はマトリックスを構成し、マトリックスは、使用の際、所定の速度で生物分解して、所定の期間にわたって活性化合物を放出する。金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウム、代替的には有機溶媒、好ましくはシクロヘキサンがマトリックスに添加され、マトリックスの動作可能な外部境界からマトリックスの動作可能な内部境界に向かって予測可能な時間依存態様でポリマー緩和作用を生じさせることによって、使用の際、水性媒体に露出されたときにマトリックスに付加的な整合性をもたらし、したがってマトリックスの外方拡散速度に影響を与え、したがって活性化合物の外方拡散を制限する。
また、ポリアミドポリマーは合成ポリアミド、好ましくは合成脂肪族ポリアミドであり、ポリマーの物理化学的特性および物理機械的特性は、使用の際、関連した活性組成物の放出の順序および速度を制御するように向上され、合成脂肪族ポリアミドはその6,10バリアントである。
また、ポリマーの物理化学的特性および物理機械的特性は、好ましくはその分子量、結晶度、空隙率、融解温度、溶解度、マトリックス弾性、マトリックス硬度、および変形エ
ネルギのうちの1つ以上を最適化することにより、開始モノマー組成の化学量論量を変更することによって、および/または溶媒相変性剤の添加によって、および/またはポリマー合成と送達システム製造との条件によって向上される。
さらに、発明の別の局面によれば、合成ポリアミドまたはポリアミド関連ポリマーを含み、薬学的活性剤が配置される、速度変調一体型薬物送達システムも提供される。
好ましくは、合成ポリアミドは合成脂肪族ポリアミドである。
さらに、合成脂肪族ポリアミド6,10バリアントまたはポリアミド関連ポリマーを含み、薬学的活性剤が配置される、速度変調一体型薬物送達システムが提供される。
好ましくは、ポリマーは、生物分解性および生体適合性を有する合成脂肪族ポリアミド6,10バリアントのうちの1つである。
ポリマーは、使用の際に薬剤組成物の放出を順序および放出速度に関して最適化するために、変性界面重合手法によって向上され得る。
合成脂肪族ポリアミド6,10バリアントまたはポリアミド関連ポリマーは、好ましくは、開始モノマー組成の化学量論量を変更した結果と、溶媒相変性剤の添加と、ポリマー合成および送達システム製造の条件とによって最適化された物理化学的および物理機械的特性、たとえば分子量、結晶度、空隙率、融解温度、溶解度、マトリックス弾性、マトリックス硬度、および変形エネルギを有するものである。
発明のさらに別の局面によれば、金属水酸化物または有機溶媒などの溶媒相変性剤がポリマーに添加されて溶媒のpHおよび空隙率を変更し、速度変調一体型薬物送達システムのマトリックスの整合性を向上させ、ポリマーの拡散率にも影響を与える。
好ましくは、金属水酸化物は水酸化ナトリウムであり、有機溶媒はシクロヘキサンである。
本発明は、使用の際に、上述のポリアミド速度変調一体型薬物送達システムを用いて活性化合物を所定の時間枠内で送達するための送達システムにも適用される。
発明の実施形態および図面の簡単な説明
発明の実施形態を下記の例および添付の図面を参照して以下に説明する。
ポリアミド(PA6,10)結晶の直鎖内における分子内水素結合の性質についての構造図案である。 PA6,10の合成に関する全体的な反応を示す図である。 未水和および水和の両方について(a)マトリックス硬度、(b)マトリックス変形エネルギおよび(c)マトリックス弾性(未水和の場合のみ)(すべてのケースでN=10)を判定するための、PA6,10バリアントの典型的な力−距離プロファイルおよび力−時間プロファイルである。 異なるPA6,10バリアントの微小力学的水和速度定数およびマトリックス弾性値の図である。 レスポンス(a)kHw、(b)kH3、(c)kH7.4、(d)kEw、(e)kE3、(f)kE7.4および(g)MR(kHwからkE7.4は表4で説明され、MRはマトリックス弾性を表わす)に関する実験値および当てはめ値を比較する図である。 レスポンスの典型的な(a)主効果および(b)相互作用効果のプロットである。 7個のレスポンス(a)kHw、(b)kH3、(c)kH7.4、(d)kEw、(e)kE3、(f)kE7.4および(g)MR(kHwからkE7.4は表4で説明され、MRはマトリックス弾性を表わす)に関する3次元表面プロットである。 最適化された因子水準のマトリックス弾性に対する効果である:(a)HMDおよびヘキサンの効果と(b)SCおよび脱イオン水の効果とを示す3次元表面プロットである。 機械的特性の相違に寄与する因子として形態的な多様性を示す、マトリックス弾性が(a)最も低い、(b)最も高い、および(c)最適化された、選択されたPA6,10バリアントのSEM顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 高い初期破裂効果を示す標準的なポリアミド6,10からの薬物放出プロファイルである。 実験計画テンプレートに従ったPBS7.4における14個のPA6,10一体型マトリックス配合に関する薬物放出プロファイルである。 初期破裂効果が無い調整された0次および擬0次薬物放出を示す最適化されたPA6,10一体型マトリックス配合の改善された溶解プロファイル、ならびに24時間未満の薬物放出を示すプロファイルである。
発明の実施形態の詳細な説明
変性合成手法の力学と、偶−偶ポリアミドの物理化学的特性および物理機械的特性との間の関係を考察するために、ポリヘキサメチレンセバカミドとしても知られるポリアミド6,10(PA6,10)がモデルとして使用された。ジアミンと酸二ハロゲン化物(acid dihalide)との間の変性界面重合反応を採用して、2つの混和しない溶媒の界面においてポリマー膜を形成し、PA6,10バリアントを合成した。界面重合プロセスの変更は、モノマーの反応化学量論量、溶媒の体積比を変動させることと溶媒相変性剤の添加とによって実現された。合成手法および変性の選択は、脂肪族ポリアミドの合成において定められた効率および簡潔性に基づくものであった。これによってプロセス操作がより容易となり、製造コストが低下し、かつ変性手順によって物理機械的により強固なポリアミド構造を生成することが可能となる[7,10−14,20]。
微分子的な観点から、PA6,10バリアントの物理化学的および物理機械的挙動が解明された。これによって、新たに合成されたポリマーの構造内で生じる全体的な転移について詳細かつよりわかりやすい表示が得られるためである。3つの物理機械的パラメータ、すなわちマトリックス弾性(耐変形性)、マトリックス硬度(マトリックス剛性の測定値)およびマトリックス変形エネルギ(マトリックスの断裂中に損失されるエネルギ)が解析された。特徴付けプロセスの一部として、物理機械的パラメータのうちの2つ(すなわちマトリックス硬度および変形エネルギ)に対する、水和媒体のpH変化の微妙な効果も考察された。
本解析は、解明、特徴付けおよび最適化プロセスに極めて有用な、統計的に強固な実験計画手法によって導かれた[31−35]。合成されたPA6,10バリアント分子構造に対してフーリエ変換赤外線分光法(FTIR)を行ない、化学的骨格の整合性を確認し、結晶型(すなわちα型およびβ型)の存在も査定した[11,12]。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、PA6,10バリアントマトリックスの表面形態に関連しているため、物理機械的挙動の発現に対する変更された合成変数の効果と、薬物の放出を制御する能力とを相関させるのに使用され得る情報を得た[13,16]。さらに、PA6,10バリアントをポリマー材料として採用した一体型マトリックスシステムのインビトロでの薬物放出力学が考察された。上記の物理機械的特性と、生体適合性および無毒性を示す医療用縫合糸としての合成脂肪族ポリアミドの広範な臨床的使用[39,40,41]と
により、速度変調一体型薬物送達システムの計画および開発において使用するのに魅力的となる。
1.材料および方法
1.1.材料
ヘキサメチレンジアミン(Mw116.2)、セバシン酸ジクロリド(Mw239.1)、無水nヘキサン、無水塩化カリウム、アミトリプチリン塩酸塩、および無水水酸化ナトリウムの丸薬をSigma Chemical Company(St. Louis, USA)から購入した。使用した他のすべての試薬は分析用であり、購入した状態で使用した。
1.2.Plackett-Burman実験計画テンプレートの構築
4因子3水準のPlackett-Burman計画テンプレートを構築し、モノマーおよび溶媒の組合せをスクリーニングして、PA6,10バリアントを合成した。当該計画は、研究中のレスポンスに影響し得る、かつ一次モデルに従う重要な因子をスクリーニングしかつ評価するために予備解析時に利用されることから、使用目的に適切であった[16−18]。独立配合変数および計画テンプレートの因子水準をそれぞれ表1および表2に示す。選択された従属変数(またはレスポンス)は、物理機械的パラメータすなわち(i)未水和のマトリックス弾性(%)、(ii)未水和のおよび水和したマトリックス硬度(N/mm2)、および(iii)未水和のおよび水和した変形エネルギ(ジュール)であった。
スクリーニングテンプレートは、2つの中心点を含む14の実験工程を要する統計ソフトウェア(Minitab(登録商標)ソフトウェア、バージョン14、Minitab, USA)を用いてコンパイルされた(表2)。5個の項目を包含する線形モデルは以下のとおりであった(式1)。
レスポンス=b0+b1[HMD]+b2[SC]+b3[HXN]+b4[DW]…(式1)
ここで、測定されたレスポンス(物理機械的パラメータ)は各因子水準の組合せと関連付けられ、b0〜b4は回帰係数であり、ヘキサメチレンジアミン[HMD]、セバシン酸ジクロリド[SC]、ヘキサン[HXN]、および脱イオン化水[DW]は独立配合変数であった。独立変数の下限および上限は、最小量の化学試薬を用いた最適な重合に耐える能力に基づいて設定された。
1.3.Plackett-Burman計画テンプレートに基づくPA6,10バリアントの合成
HMD、SC、HXNおよびDWの組合せを用いて、Plackett-Burman計画テンプレート(表2)に従って14個のPA6,10バリアントが合成された。PA6,10バリアントの合成には、変性界面重合プロセスが採用された[14]。全体的な化学反応を図2に示す。この変性は、ポリアミド6,10バリアントの物理化学的特性および物理機械的特性に対する、体積比、化学量論的変動、水酸化ナトリウムおよびシクロヘキサンといった溶媒相変性剤の添加の効果を考察することに焦点を当てた。
各バリアントについて、2つの溶液が調製された。第1の溶液はDWに溶解した特定量のHMDを含み、第2の溶液はHXNに溶解したSCを含むものであった。各溶液の濃度は、表2に概略的に示した組合せに基づくものであった。第1の溶液は第2の溶液に徐々に添加されて2つの混和しない相を形成し、結果として界面にポリマー膜が形成された。当該ポリマー膜は、界面においてガラス棒を素早く回転させることによって塊として収集された。ポリマーの塊を収集した後、DW(6×50mL)で十分に洗浄し、フィルタペーパー(直径110mm、孔径20μm)上で軽く転がして余分な溶媒があれば除去し、96時間30℃にて一定の重量まで乾燥させた。
1.4.テクスチャープロファイル分析によるPA6,10バリアントの物理機械的特性の判定
テクスチャープロファイルを採用し、マトリックス弾性、マトリックス硬度および変形エネルギについてPA6,10バリアントの物理機械的特性を解明した。未水和の試料および水和した試料の両方について分析を行ない、差動マトリックス水和の力学に関連付けられたテクスチャー転移を評価した。円柱状スチールプローブ(直径50mm:マトリッ
クス弾性用)および先端が平らなスチールプローブ(直径2mm:マトリックス硬度および変形エネルギ用)を嵌合した較正済みテクスチャーアナライザ(TA XTplus, Stable Micro Systems, England)が採用された。Texture Exponent Software(バージョン3.2)によって毎秒200ポイントの速度でデータが取得された。分析に採用されたパラメータ設定を表3に概略的に示す。すべての解析は室温(±21℃)にて行なわれた。寸法約15mm×15mmの正方形の圧粉体として出現する150mgのPA6,10バリアントの試料を、pH3および7.4の100mLのDWおよび緩衝溶液に水和させた。水和媒体に2、4、6、および8時間露出させた後で試料を取出し、マトリックス硬度(N/mm2)および変形エネルギ(J)の変動について分析した。マトリックス弾性(%)は、未水和試料についてのみ算出された。
テクスチャーパラメータを計算するために作成された典型的な力−距離プロファイルおよび力−時間プロファイルを図3に示す。図3aはマトリックス硬度(N/mm2)を計算するための典型的な力−距離プロファイルを示し、最初の力(アンカー1)と得られた最大力(アンカー2)との間の勾配によって与えられる。図3bはマトリックス変形エネルギ(J)を算出するのに用いられる力−距離プロファイルの曲線下領域(AUC)を図示する。図3cは、アンカー2および3のAUC(AUC2,3)とアンカー1および2のAUC(AUC1,2)との比の百分率によって表わされるマトリックス弾性(%)を算出するのに用いられる典型的な力−時間プロファイルを示す。
1.4.1.物理機械的水和速度定数の判定
PA6,10バリアントの堅さに対する媒体の水和およびpHの全体的な効果を解明するために、水和時間(2、4、6および8時間)によるマトリックス硬度および変形エネルギの変化を評価した。各時間点においてテクスチャープロファイリングから得られた固有値が二次多項式に当てはめられ、そこから物理機械的水和速度定数が算出された。この手法により、PA6,10バリアントの物理機械的整合性に対する水和プロセスの簡潔な効果が得られた。全曲線当てはめに関して相関係数(R2)値が得られ、0.90〜1の範囲であることがわかった。表4は、本解析に亘って使用された物理機械的水和速度定数に関する記号表示および単位を列挙する。各PA6,10バリアントについて計算された値を図4に示す。
1.5.PA6,10バリアント百分率収率の判定
各バリアントの収率を、各化学反応の化学量論量に関して%w/wとして算出した。百分率収率を算出するのに採用された関係式は以下のとおりであった(式2)。
1.6.PA6,10バリアントの形態的および定量的特徴付け
モノマーの化学量論的変動に起因するPA6,10バリアントの表面形態を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて明らかにし、各PA6,10バリアントの幾何学的皮相表面、空隙率、および最終的に拡散率に対するこれらの変化の潜在的な効果を特定した。試料(15mm×15mm)を金−パラジウムでスパッタコーティングし(ポリアミドの吸収性を最小化し)、20keVの電圧および1000倍の倍率にてJSM-840 Scanning Electron Microscope(JEOL 840、東京、日本)によって観察した。さまざまな倍率にていくつかの顕微鏡写真が得られた。
1.7.フーリエ変換赤外線分光器(FTIR)による官能基振動周波数の判定
Omnic Version3FTIRソフトウェアを搭載したNicolet Impact 400Dフーリエ赤外線分光器(Nicolet Instruments Corporation, Madison, USA)上に赤外線スペクトルが記録された。粉末化した試料を使用し、Beckman(登録商標)油圧装置(Beckman Instruments, Inc., Fullerton, USA)上に透過性の臭化カリウムディスクを用意した。各試料を通す前に、背景スペクトルが収集された。試料は、4000〜400cm-1の範囲の波数にて分析された。すべての走査は3重に行なわれた。
1.8.データの統計的分析
生成されたデータに対して、一方向分散分析および三次元表面分析(Minitab(登録商標)ソフトウェア, V14, Minitab, USA)を行なって、反応条件における変動の影響を統計的に分析し、選択された実験計画の精度を計算し、かつ望ましい薬物放出力学をもたらすであろう最も優れた物理機械的特性に関してPA6,10バリアントを最適化した。モ
ノマーおよび溶媒の因子水準は独立配合変数を表わし、物理機械的パラメータは従属変数(すなわちレスポンスパラメータ)を表わした。
1.9.PA6,10バリアントの速度変調薬物放出能力の評価
1.9.1.より高性能のBox-Behnken計画テンプレートの構築
配合の最適化のために、3因子3水準のBox-Behnken計画が作成された(Minitab(登録商標)統計ソフトウェア, Version 14, Minitab Inc., State College, PA, USA)。2つの中心点を有する14の実験工程(表9)が作成された。独立配合変数の因子水準をそれぞれ表9および表10に列挙する。選択された従属変数(またはレスポンス)はマトリックス弾性(MR)および8時間での平均溶解時間(MDT8)であった。これは、スクリーニング計画に基づくものであり、本解析の合成手法において採用された変性法、すなわちモノマーの化学量論量および体積比における変動と溶媒相変性剤の添加とを組合せたものであった。
独立配合変数とレスポンスとの関係を相関させる非線形多項式を作成して、レスポンスを当てはめた(式3)。
ここで、当てはめられたレスポンス(すなわちMRおよびMDT8)は各因子水準の組合せと関連付けられ、b0…b9は線形係数であり、[SC]、[NaOH]および[C−HXN]は独立配合変数である。
1.9.2.より高性能のBox-Behnken計画テンプレートに従ったPA6,10バリアントの合成
当該計画テンプレートは、DWに溶解した特定量のHMDおよびNaOH(すなわち有極相)を含み、第2の溶液は、HXNおよびC−HXNの混合物(すなわち無極相)に均等に分散した特定量のSCを含むものであった。すべての合成ポリアミド6,10バリアントについて、HMD=1.75g、HXN=40mL、DW=10mLが使用された。合成中にNaOHおよびC−HXNなどの溶媒相変性剤を同時に添加することによって溶媒のpHおよび極性が変わり、PA6,10マトリックスの整合性および拡散率が最終的
に向上し、次いで一体型薬物送達システムからの薬物放出速度が制御された。標準的なPA6,10配合も比較目的のために配合された(表11)。
注:このポリアミド6,10の選択された標準(基準)の化学量論的関係は1:1である(すなわち1モルのHMDが1モルのSCと反応した)。また、溶媒の体積比は1:1(すなわち40mLの脱イオン化水に対して40mLのヘキサン)である。
1.9.3.新たに合成されたPA6,10バリアントを用いた一体型マトリックスシステムの調製
14個のPA6,10バリアントを一体型システムに配合した。各マトリックスは、それぞれのPA6,10バリアント300mgとアミトリプチリン塩酸塩50mgとの組合
せをモデル薬剤として含むものであった。実験室規模の混合装置(CG 100, Kenwood Ltd,
UK)を用いて粉末を20分間混合し、再現性を確保するために開口径1mmの試験用篩(Endecott's Ltd, London, UK)によってスクリーニングした。最終的な混合物は、Beckman(登録商標)油圧装置(Beckman Instruments, Inc., Fullerton, U.S.A.)を用いて、(どの例においても)60秒間1トンの圧力にて、各々が平均直径13mmおよび平均厚さ4mmを有する平らな表面の球状圧粉体に圧縮された。
1.9.4.マトリックス弾性の判定
各一体型マトリックス配合のマトリックス弾性は、36mmの円柱状スチールプローブを嵌合した較正済みテクスチャーアナライザ(TA.XTplus, Stable Micro Systems, Surrey, England)を用いて定量化された。マトリックス弾性は、一体型マトリックスシステムの物理機械的特性、マトリックスの整合性および薬物放出力学に対する潜在的な影響を有することから、研究に選択された。
1.9.5.インビトロでの薬物放出解析
変性済みUSP25回転パドル法を用いて、較正済み16ステーション溶解装置(Caleva Dissolution Apparatus, model 7ST)において500mLのリン酸塩緩衝サリン(PBS)(pH7.4;37℃)によって50rpmにて攪拌し、インビトロでの薬物放出解析を行なった。この溶解装置は、水和した配合物が浮遊することを防ぐステンレススチールリングメッシュ装置を含むものであった(PillayおよびFassihi, 1998年)。24時間の期間にわたって特定の時間間隔にて5mLの試料を取出し、240nm(アミトリプチリン塩酸塩)にて紫外線分光法(Specord 40, Analytik Jena, AG)によって分析した。沈下条件を維持するため、体積が等しく薬剤を含まないPBSが溶解媒体において置換された。溶解データに対して、タイムポイントアプローチ(time-point approach)として知られるモデル独立分析を行なった[25,29]。簡潔に言えば、各配合物について8時間に設定された平均溶解時間(MDT8)が3つの読取値の平均として算出された。平均溶解時間の適用によって、薬物放出性能のより正確な分析といくつかの溶解データセットのより精密な比較とが得られた[25,29]。この点に関して式4が採用された。
2.結果および論考
2.1.PA6,10バリアントの合成および収率
PA6,10バリアントは、不規則な端縁を有する白色で結晶質の高密度な球体状の固体として出現した。各バリアントの収率は百分率w/wとして算出され、40%w/w〜90%w/wの範囲であることがわかった(表5)。これは、モノマーの組合せのモル比に主に依存する反応の化学量論量だけでなく、合成において採用される溶媒システムの体積比および極性もPA6,10バリアントの特性に有意な影響を有することを示すものであった。
2.2.PA6,10バリアントの物理機械的特性の解明
14個の実験配合物のマトリックス硬度および変形エネルギについて算出された水和速度定数、ならびに未水和のマトリックス弾性を図4に示す。
2.2.1.マトリックス弾性
これは、PA6,10マトリックスの弾力的粘着性の測定値であり、分析中にテクスチャープローブによって与えられる外部からの圧縮応力が引き起こす変形後にバリアントマトリックスが元の寸法に回復する能力として規定される。一般に、1:1に維持された溶媒の体積比に加え、SCの濃度の低下と対応するHMDの増加とによって、マトリックス弾性が上昇した(15.1%)。また、溶媒体積比を1:1に維持したまま溶媒の量を減少させると(すなわち10mL)、より低水準のHMDおよびSCによってマトリックス弾性が上昇した。しかし、溶媒の体積比HXN:DWが4:1である状態とその逆の状態とにおいて、HMDおよびSCがそれぞれ最高水準(1.75g)および最低水準(0.25g)に維持されると、最高値(すなわち20.4%)と比較して相対的に高いマトリックス弾性値(すなわち、それぞれ14.9%および16.1%)が生じるという2つの例外的なケースが注目された。
2.2.2.マトリックス硬度および変形エネルギについての物理機械的な水和速度定数
マトリックス硬度は、外部応力が与えられたときにPA6,10マトリックスの変形を達成するのに必要とされる力として規定される。変形エネルギは、ジュールで損失され、マトリックス内の接着力および粘着力を抑えるエネルギである。マトリックスの剛性または硬さの測定値であるこれらのパラメータを採用して、合成されたPA6,10バリアントの整合性に対する、さまざまなpH水準の媒体における水和の効果を観察した。得られた物理機械的な水和速度定数は、負の値と正の値とを生じさせた。負の値は、いずれかの
パラメータの大きさが元の固有値から減少したことを示し、正の値には逆が当てはまる。ポリアミドの親水性により、合成されたPA6,10バリアントは水性の水和媒体を吸収し、その結果鎖が広げられ、次いで水和構造内の自由エネルギが変化した。逆に、少数のマトリックスについては、水和媒体の拡散によってマトリックス硬度および変形エネルギの大きさが増大した。これは、pHの変動によって影響を受けたDW分子との相互作用が、さらに鎖を広げさせるまたはもつれさせることにつながったことを示す。
マトリックス硬度に関しては、pHが上昇すると、溶媒体積比が4:1(HXN:DW)の状態でHMDおよびSCの水準がそれぞれ減少および上昇することにより、正の水和定数値が生じた。これは、これらの組合せが水和においてもマトリックスの解きほぐしを妨げ、したがってさらに弾性を有し得ることを示すものであった。負の値については、特に高い水準において1:4または1:1(HXN:DW)の体積比によって逆鎖転移が観測された。より低水準のHMDがマトリックスの剛性に好都合であることを除けば、マトリックス変形エネルギについても同様の傾向が観測された。さらに、(最低水準に維持された)1:1および4:1(HXN:DW)の体積比によって、最大の鎖のもつれが生じた。マトリックス強度の減少を示す負の値については、反対の傾向が観測された。
観測された傾向から、PA6,10マトリックスの物理化学的および物理機械的な整合性を判定する際に重要な役割を果たすモノマーだけでなく、溶媒相変性剤もまたマトリックス強度に貢献し、より高水準のHXNがポリマーの折畳み(強度)を増大させ、DWについては逆が当てはまると推論することができる。これはHXNの親水性に起因するものであり、PA6,10バリアント合成中に変性法としてNaOHを同時に添加することによって生じるC−HXNの添加およびpHの上昇によってさらに裏付けられる。また、各緩衝溶液のイオン組成の相違は、PA6,10バリアントの拡散率と、一体型薬物送達システムの水和レスポンスおよび薬物放出力学に影響を与える緩衝媒体のマトリックスへの浸透速度とに影響を及ぼす。
2.2.3.物理機械的パラメータにおいて観測された傾向に対する説明案
各PA6,10バリアントの物理化学的特性および物理機械的特性に関して観測された相違は非常に複雑である。分子力学、溶媒体積比、溶質の接触、および合成手法の変性法に関連する一部の説明は以下のとおりである。
・HMDおよびSC(溶質)の濃度によって決定され、各PA6,10バリアントの合成に関与するモノマーの組合せのモル比における相違(化学反応の化学量論量)。
・各PA6,10バリアントを合成する際に採用された体積、極性、pH、粘着度、ならびに溶質および溶媒の密度によって影響される、溶媒(HXNおよびDW)を介した反応界面へのモノマー(HMDおよびSC)の拡散速度および距離。
・反応界面において応力−歪み転移および移動度のパターン(動的または静的)を生じさせる、(異なるモル組合せについて変動する)溶質−溶質、溶媒−溶媒および溶質−溶媒の表面特性。
・溶質と溶媒との間に形成され、溶質の濡れ性、モル濃度および溶媒体積比の水準によって影響され、有極性および無極性のイオンおよび共有結合ミセル分子端部の配向および分子相互作用力に影響を及ぼす接触角度の大きさ。
・溶質および溶媒の固有の物理化学的特性に加え、反応システムのエントロピに影響を及ぼし、また分配係数にも影響し、かつ重合が生じる有機相への溶質の分配の速度および度合いに直接影響する濃度(モル比)および体積の相違[14]。
2.3.データの統計的分析
2.3.1.分散分析
統計モデルの有意性および信頼性を推定するために、分散分析(一方向)を適用した。この分析に許容された信頼水準は95%であり、0.05未満のp値が有意と考えられた
。計画の複雑さから、0.90以上のR2値が許容可能と考えられた。また、各レスポンスパラメータのすべての線形回帰関数についての不適合度のp値は0.05を上回った。これは、モデルが正確で、安定し、かつ信頼性があったことを示唆している。Durbin-Watson統計値dは、モデルに系列相関が無いことを示す指標であり、すべてのレスポンスについて1.296〜2.400の範囲であった。これは、レスポンスを予測する際に線形回帰関数が正確であることを示すものであった。それぞれのレスポンスについてモデルの有効性を査定するのに用いられた統計パラメータを表6に示す。
すべての因子は統計的に有意であり(p<0.05)、これは、独立配合変数(すなわち、異なる水準のモノマーおよび溶媒)がPA6,10バリアントの物理機械的パラメータに対して大きな影響を有することを示す。換言すると、この結果は、マトリックスの整合性すなわち水和プロセス中の鎖の折り畳みもしくは広がりの度合いを判定する際に、異なる因子水準(すなわち、モノマーの組合せの化学反応化学量論量またはモル濃度比、および溶媒の体積比)が重要な役割を果たすことを示唆するものであった。
2.3.2.実験レスポンス値と当てはめられたレスポンス値との比較
診断手順を採用して、モデルの信頼性を評価するためにレスポンスパラメータの値を当てはめた。各レスポンスについて分散分析に基づく当てはめ値と実験値との間の高い相関度が明白であり、統計計画の正確さをさらに明らかにした。これは、すべてのレスポンスについて図5に例示される。
2.3.3.レスポンスに対する主効果および相互作用効果
主効果のプロットを採用してレスポンスに対する独立配合変数の影響を視覚的に表わし、異なる因子水準での効果の相対的な強度を比較した(図6a)。各因子の中間限界値(
HMD1g、SC1g、DW25mL、HXN25mL)は、すべてのレスポンスの平均値における変化(増加または減少)について中心点を生じさせることが観測された。図6aは、中間限界までのレスポンスに対する独立配合変数(SC、HMD、HXNおよびDW)の相乗効果を示し、中間限界から因子水準が上昇すると、測定されるレスポンスは低下し、HXNについては逆が観測された。相互作用プロットを用いて、物理機械的なレスポンスに対する因子の数学的な相互作用効果を視覚化する。図6bは、測定されるレスポンスの大きさの低下または上昇に繋がり得る独立変数間の相互作用の存在を示す。換言すると、レスポンスに対する異なる因子水準の効果は、個々のモノマーまたは溶媒だけでなく、相乗的な相互作用または相反する相互作用にも依存すると言える。
2.4.PA6,10バリアントの物理機械的特性の制約付き最適化
従属配合変数を独立配合変数に関連させる線形回帰式を解明するのに加え、全体的なマトリックスの整合性および強度に対して有意な影響を有することから、マトリックス弾性についてPA6,10バリアントを最適化した。マトリックス硬度および変形エネルギの大きさは、マトリックス剛性の水準の測定値であり、PA6,10マトリックスの弾性性質にも相対的に依存する[25]。本解析では、一般化された減少勾配線形最適化アルゴリズムを用いて、最適な実験パラメータが計算された。制約(独立変数)は、マトリックス弾性(%)が実際に取得可能な20%という値より大きいかまたはその付近である最適化されたPA6,10バリアントを得るため、表1の限界値に基づくものであった。所望のマトリックス弾性を実現した最適化された水準の因子(HMD、SC、HXN、DW)を表7に示す。実験値(23.02%)および予測値(17.65%)は、20%という所望の値に比較的近かった。
2.4.1.マトリックス弾性に対する因子の有意な効果を説明するための表面プロット
最適化された実験結果を三次元表面プロット形式で表わすと、図8aは、HXNおよびHMDの水準が上昇するとマトリックス弾性が上昇したことを示す。逆に、図8bは、SCおよびDWの濃度が低下するにつれて、より高いマトリックス弾性値が得られたことを示す。
この数学的な解釈に対する化学的な説明案は、HMDおよびHXNの水準が上昇するとPA6,10マトリックスの潜在能力が有意に高まり、HXNの親水性、HMDの吸湿性
によってより強くより高密度のネットワーク(結晶層状構造)が形成され、かつSCの親水性質によってさらに向上されるということである。大量のHXNは、ポリマーの骨格の剛性を低下させ得るセバシン酸および塩酸への加水分解からSCのイオン基(Cl)を保護する。SCを最低水準に維持すると、有極相との接触が安定化される。HMDおよびSCの相補的な効果によって最適な水準のポリマーの水和が維持され、分子のパッキングが向上する。DWがマトリックス弾性を低下させる能力を有する限り、鎖間の水素結合相互作用を維持することで最適な水準のマトリックス可撓性を保つのに最低水準が必要とされる。これによって変形中のポリマー鎖の剪断滑りが抑制され、したがってPA6,10バリアントの弾力性が上昇する[10]。
2.5.FTIR分光光度分析
14個のPA6,10バリアントに対してFTIR解析を行ない、構造的骨格の整合性を査定し、突出した官能基を識別した。大部分の官能基吸収帯は、予期された化学組成と一致する(すなわち、すべて特徴的なメチレンおよびアミド吸収帯を示した)(表8)。14個のPA6,10バリアントのポリマー骨格の物理機械的特性における変動の整合の成功は、FTIR解析によって得られた突出した官能基の振動周波数値における微妙な相違によっても実証される。
振動周波数において観測された微妙な相違は、合成されたPA6,10バリアントが示す物理化学的特性および物理機械的特性と相互作用する化学量論量および溶媒体積比における変化に起因し得る。これは、ポリアミドの直鎖内の分子間水素結合構造の強度および長さにおける上記変化の変動する効果にも起因し得る(図1)。これは、鎖に沿ったメチレン(−CH2−)基およびアミド(−NH−)基のシグマ(σ)単一錯体(飽和結合)の周囲の電子雲に影響を及ぼし、次いでカルボニル官能基(C=O)のパイ(π)電子(不飽和結合)の移動度に影響を及ぼす。これらの構造的な変更は振動周波数、吸収帯およびピークの強さに影響し、合成されたPA6,10バリアントの物理化学的特性および物理機械的特性において変化を生じさせ得る(表8)。さらに、上記因子の効果は、特徴的な指紋領域(1300〜909cm-1)のパターンにおけるわずかな相違にも反映される。合成されたマトリックスについて、750〜500cm-1の配座感光領域内の吸収帯が観測された[11]。これは、配座結晶型、すなわち室温における偶−偶ポリアミドについて説明したα相および/またはβ相の存在を示唆し、PA6,10バリアントの結晶格子に影響を及ぼし得るものであり、一体型薬物送達システムとして配合されたとき、ポリマーの物理機械的挙動および薬物放出力学に直接または間接に影響する。
2.6.PA6,10バリアントの表面形態
3つの試料を選択し、それぞれのPA6,10バリアントの表面形態に対する因子水準の変動の影響を考察した。試料の選択は、形態構造における変動(図9)を示すために、予め最適化された最も低い弾性(すなわち7.1%、試料3)、最も高い弾性(すなわち20.4%、試料14)および数学的に最適化されたシステムに基づくものであった。
分析によると、PA6,10バリアントの合成において採用された因子水準の組合せにおける相違が選択されたマトリックスの表面形態に影響することと、この物理的な変形は物理機械的特性を定める際に重要な役割を果たすこととが示された。表面形態は、(i)空隙率が高いウェブ状の状態(低い弾性を示す)(図9a)から、(ii)より集合して見える、より高密度にパッキングされた状態(高い弾性を示す)(図9b)、(iii)均衡したマトリックス弾性を有する最適化されたシステムの滑らかで連続的な堅い表面(図9c)に変わった。PA6,10バリアントの表面は、表面形状および空隙率が異なっていた。空隙率の有意な変化はマトリックスの拡散率に直接影響を及ぼし、次いでPA6,10の薬物放出制御能力に対して大きく好都合な効果を有し得る。
これに関する説明案は、PA6,10バリアント構造全体のパッキング効率に対するポリアミド直鎖表面形状の効果であり、ポリアミドの組合された層状結晶構造に対して直接的な影響(水素結合シートの鎖折畳みと剪断滑りとの関数)を生じさせる。顕微鏡写真で明らかにされた際立った相違は、表面形態としたがってPA6,10バリアントの物理機械的挙動とに対する化学反応の化学量論量のピンポイント効果を示した。
2.7.フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)
14個のPA6,10バリアントの特定の通過帯域のアミド(N−H、3306.44〜3401cm-1)、メチレンセグメント(C−H配列、2850〜2900cm-1)、CH2ワグ(wag)(1442〜1466.15cm-1)およびロック(rock)(700〜750cm-1)動作、カルボニル基(C=O、1690〜1740cm-1)、C−N−C鋏振動(480〜510cm-1)は、基準とした化学構造と相関するものであった。また、PA6,10バリアント分析について得られた振動周波数値の範囲は、Plackett-Burman計画(表8)によって合成されたバリアントについて生じた範囲に密接に関連するものであった。これは、合成中に適用された変性法にかかわらず、すべてのバリアントの基本骨格構造の堅さを明らかにし、PA6,10バリアントの純度およびマトリックスの整合性を改善した。
2.8.インビトロでの薬物放出解析
変動する重合度と関連付けられ得る14個のPA6,10一体型配合について、多様な放出パターンが観測された。生成された溶解プロファイルから、式4を用いた各溶解プロファイルのMDT8値が算出された。MDT8値が低い配合は定常的な薬物放出を示し、MDT8値が高い配合については逆が当てはまることが観測された。14個のPA6,10一体型配合すべてのMDT8値は、2.1〜11.7の範囲であった。
最適化された一体型マトリックスと比較すると、選択された標準的なPA6,10について薬物の均一な破裂放出(20.11%)が観測された(図10)。t24hoursでの薬物放出は99%であった。変性界面重合によって合成された最適化された配合と比較すると、より低い水準の機械的強度および制御された薬物放出特性の証拠である(図12)。
2.9.PA6,10一体型マトリックスシステムの制約付き最適化
制約付き最適化技術を採用し、第1の定常/中間放出力学から理想的なゼロ次放出力学までの範囲の薬物放出プロファイルの異なる速度および順序を実現することについて、PA6,10一体型マトリックスシステムを最適化した。得られた実験結果を設定された制約に当てはめ、レスポンスサーフェスオプティマイザ(Response Surface Optimizer)(Minitab V14, USA)を用いて最適な配合を予測した。所望の放出プロファイルに関してマトリックス弾性およびMDT8を同時に最大化または最小化するであろう水準の独立配合変数を得るために制約が設定された。マトリックス弾性およびMDT8は異なる水準を目標とし(表11)、満足度関数は、モデルの正確さおよび効率を示すものと同等であった。設定された制約に基づき、所望の数値の有意なレスポンスパラメータを実現した最適な因子水準を表13に列挙する。
実験値と予測値との間の密接な関係が観測された(R2>0.90)。この成果は、最適化手順の安定性および有効性を示すものであった。次いで、モデルが予測された最適な因子水準から合成された、最適化されたPA6,10バリアントを用いて、一体型マトリックスシステムが調製された。最適化された配合の代表的な溶解プロファイルを図12に示す。
3.結論
Plackett-Burman計画を採用して、変性界面重合プロセスによる14個の脂肪族PA6,10バリアントを合成した。当該計画によって、合成中に採用された因子水準の変動によるPA6,10バリアントの物理化学的特性および物理機械的特性における変動が明らかとなった。これらは、PA6,10バリアントのマトリックス弾性、マトリックス硬度および変形エネルギについて測定された。この発見は、物理機械的な観点から生じる配座プロセスに何らかの説明を与える際に有用な手段として機能した。分散分析およびレスポンス表面プロットは、測定された物理機械的パラメータに対して因子水準が有意な影響を有する(p<0.05)ことを示した。解明プロセスの一部として、与えられた情報に基づき、PA6,10バリアントが物理機械的特性について最適化された。マトリックスの
整合性および薬物放出力学に有意な影響を有することから、マトリックス弾性が最適化に選択された。また、実験値および当てはめ値は密接に相関しており、これは、統計計画が正確かつ信頼性の高いツールであることを示した。さらに、SEMは物理機械的特性について観測された多様性を実証し、すべてのバリアントについて化学構造骨格が変化しない状態で、PA6,10バリアントの表面形態特徴が微粒子形態、鎖折り畳みおよび結晶パッキングの関数であることを明らかにした。
さらに、この解析は、既存のOne Variant At a Time(OVAT)技術に対する実験計画法(Design of Experiments)(DOE)の有用性、信頼性および効率も検証する。これにより、説明された変性界面重合手法を用いて合成されたPA6,10バリアントにおいて潜在的に生じ得る物理機械的転移状態について、何らかの説明を与えることが可能となった。さらに、新規のポリマー速度変調一体型マトリックス薬物送達システムの開発においてPA6,10バリアントを採用できることは、アミトリプチリンをモデル薬物として用いると好適であるとわかった。より統計的に強固なBox-Behnken計画によって、定常的な放出から理想的なゼロ次放出までの範囲の多様化された速度変調薬物放出を示す一体型マトリックスシステムに配合された最適化されたPA6,10バリアントが生じた。この作業の成果によって、PA6,10バリアントの特性と、それらが薬物放出を制御しかつポリマー材料として利用されて、改良された一体型形式の速度変調薬物送達を実現できることをより良く理解するための洞察が得られる。
4.参考文献
[参考文献]

Claims (3)

  1. 使用の際に、活性化合物を所定の時間枠内で目標の有機体に送達するためのポリアミド速度変調一体型薬物送達システムであって、
    前記活性化合物とポリアミド−6,10との混合物からなる一体型マトリックスを含み、
    前記一体型マトリックスは、経口投与用の錠剤に成形されている、ポリアミド速度変調一体型薬物送達システム。
  2. 使用の際における前記活性化合物の放出をさらに変調するために、前記ポリアミド−6,10は、塩析されているか、または、架橋されている、請求項1に記載のポリアミド速度変調一体型薬物送達システム。
  3. 前記システムの整合性を向上させるための溶媒相変性剤をさらに含み、
    前記溶媒相変性剤は、水酸化ナトリウムおよびシクロヘキサンからなる群から選択される、請求項1または2に記載のポリアミド速度変調一体型薬物送達システム。
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