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JP5540947B2 - スパッタリングターゲット - Google Patents
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本発明は、磁気記録媒体の記録層等の製造に用いられるスパッタリングターゲットに関する。
磁気記録媒体の記録層等を製造するためのスパッタリング法として、近年、ターゲットに磁界を印加するマグネトロンスパッタリング法が主流となってきている。マグネトロンスパッタリング法は、ターゲットの裏側に磁石を配置した状態で電圧を印加し、ターゲットの表面に漏洩する磁束領域にプラズマを収束させることにより、集中的にスパッタして高速での成膜を可能にする方法である(特許文献1参照)。
マグネトロンスパッタリング装置におけるスパッタ条件は、装置の大型化および高性能化に伴って厳しくなっている。このため、短時間の操業でも粗大なパーティクルが多数発生するようになり、パーティクルによるターゲットの短寿命化が問題となっている。
これに対して、ターゲットのスパッタ面の非エロージョン領域(スパッタされない部分)に堆積したスパッタ生成物が剥離してパーティクルとなることを防ぐために、エロージョン領域(スパッタされる部分)に比較して非エロージョン領域の表面粗さを大きくすることによりスパッタ生成物を非エロージョン領域に密着させて剥がれないようにすることが提案されている(特許文献2参照)。
特開昭62−60867号公報 特開平6−306597号公報
ターゲットのスパッタ面においては、エロージョン領域が環状に形成され、その周囲を非エロージョン領域が囲む構成となる。このため、非エロージョン領域を粗面化してスパッタ生成物を密着させたとしても、エロージョン領域近傍においては、非エロージョン領域に付着したスパッタ生成物が再スパッタされてパーティクルが発生し、スパッタ膜を汚染する原因となるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、マグネトロンスパッタリング装置において、スパッタリングターゲットのパーティクルの発生を抑えることを目的とする。
本発明は、ZnOからなり、マグネトロンスパッタに用いられるZnO系の酸化物ターゲットであって、表面(スパッタ面)が、表面粗さがRa4.0μm以下であってスパッタされるエロージョン領域と、スパッタされない非エロージョン領域とに設定され、この非エロージョン領域が、前記エロージョン領域から離間するとともにその表面粗さがRa5.0μm〜8.0μmである第1非エロージョン領域と、この第1非エロージョン領域と前記エロージョン領域との間の領域であってその表面粗さがRa1.0μm〜4.0μmであり、前記エロージョン領域の周囲に5〜15mmの幅で設けられている第2非エロージョン領域とに設定されている。
このスパッタリングターゲットによれば、第1非エロージョン領域を粗面化しているので、この第1非エロージョン領域に付着したスパッタ生成物は強固に固着され、その剥離を防止でき、スパッタ生成物によるパーティクルの発生を効果的に抑制できる。
この場合、第1非エロージョン領域の表面粗さは、スパッタリングターゲットとスパッタ生成物との十分な密着性を確保するために下限をRa5.0μmと設定され、異常放電を発生させないために上限をRa8.0μmと設定される。
また、この第1非エロージョン領域とエロージョン領域との間の第2非エロージョン領域を平滑面に設定しているので、この第2非エロージョン領域にスパッタ生成物が付着しても厚くなりにくいとともに、5〜15mmと狭い領域に設定されていることにより、付着したスパッタ生成物が剥離しにくい。すなわち、この第2非エロージョン領域の幅を5mm以上が設定されるのは、付着したスパッタ生成物がエロージョン空間の影響を受け再スパッタされるのを防ぐためである。また、この幅が15mm以下と設定されるのは、第2非エロージョン領域に付着するスパッタ生成物が過剰に大きくなって剥離するのを防止するためである。
このスパッタリングターゲットにおいて、前記第1非エロージョン領域が、前記スパッタリングターゲットの端縁部から離間するように設けられていることが好ましい。この場合、スパッタリングターゲットの端縁部の表面粗さが小さいので、ここにおけるクラック、欠けの発生や異常放電を抑制できる。
本発明によれば、マグネトロンスパッタリングにおいて、スパッタ生成物によるパーティクルの発生を抑え、高品質の成膜が可能となる。
本発明のスパッタリングターゲットの表面(スパッタ面)を示す図である。 本発明に係るスパッタリングターゲットを備えるマグネトロンスパッタリング装置を示す側面図である。 図1におけるA−A線に沿う断面図である。
以下、本発明に係るスパッタリングターゲットの実施形態について説明する。このスパッタリングターゲット10は、ZnOからなり、マグネトロンスパッタに用いられるZnO系の酸化物ターゲットであって、図1に示すように、表面10aがスパッタ面であり、中央に矩形孔10bが形成された矩形板状材である。
ここで、スパッタリングターゲット10を用いるマグネトロンスパッタリング装置100について説明する。図2に示すように、マグネトロンスパッタリング装置100は、真空チャンバ101内に、真空チャンバ101の下部で処理基板102を載置状態に保持するステージ103と、真空チャンバ101の上部でスパッタリングターゲット10を保持するターゲットホルダ104とを備えている。
処理基板102とスパッタリングターゲット10とは、間隔をおいて各表面が上下に対向している。ターゲットホルダ104の内部には、スパッタリングターゲット10の背面に配置されるマグネット105が備えられている。
ターゲットホルダ104は、真空チャンバ101の壁に絶縁状態で取り付けられ、スパッタリングターゲット10に電圧を印加するための外部電源106に接続されている。真空チャンバ101には、Arガス等の不活性ガスを導入するためのガス導入口101aと、排気および真空引きのためのガス排出口101bとが設けられている。
このマグネトロンスパッタリング装置100では、真空チャンバ101内を真空状態にしておき、外部電源106からスパッタリングターゲット10と処理基板102との間に電圧を印加して、真空チャンバ101内に不活性ガスを導入する。スパッタリングターゲット10背部のマグネット105からの磁界は、二点鎖線で図示するようにスパッタリングターゲット10の表面10a側に漏洩している。
これにより、破線で図示するように放電プラズマがスパッタリングターゲット10の表面10aに高密度に収束する。不活性ガスのイオンがこのプラズマ中で加速されてスパッタリングターゲット10に入射すると、スパッタリングターゲット10の表面10aからスパッタ原子がたたき出されて処理基板102に到達し、処理基板102の表面に薄膜が形成される。
このマグネトロンスパッタリング装置100に用いられるスパッタリングターゲット10の表面10aは、図1に示すように、表面粗さがRa4.0μm以下(たとえば1.0μm以上)であってスパッタされるエロージョン領域20と、スパッタされない非エロージョン領域21とに設定されている。図1のA−A線に沿うスパッタリングターゲット10の断面を図3に示す。
非エロージョン領域21は、エロージョン領域20から離間するとともにその表面粗さがRa5.0μm〜8.0μmである第1非エロージョン領域(粗面領域)21aと、この第1非エロージョン領域21aとエロージョン領域20との間の領域であってその表面粗さがRa1.0μm〜4.0μmであり、エロージョン領域20の周囲に5〜15mmの幅で設けられている第2非エロージョン領域(平滑面領域)21bとに設定されている。
第1非エロージョン領域(粗面領域)21aは、スパッタリングターゲット10の端縁部10cからたとえば1〜2mm離間するように設けられている。換言すると、端縁部10cから1〜2mmの幅で、表面粗さがRa1.0μm〜4.0μmであってスパッタされない平滑端縁領域21cが設けられている。なお、ここでいう端縁部10cとは、図1に示すように、スパッタリングターゲット10の外周縁部、および矩形孔10bの周縁部である。
このスパッタリングターゲット10の表面10aは、たとえば、以下のような処理により、各部分が上述した所望の表面粗さに加工される。すなわち、まず、Ra1.0μm〜4.0μmとなるように表面10aの全面を研磨する。これにより、エロージョン領域20と非エロージョン領域21のうちの平滑面領域21bおよび平滑端縁領域21cとを所望の表面粗さとしておく。
次いで、これらエロージョン領域20、平滑面領域21bおよび平滑端縁領域21cをマスクし、Ra5.0μm〜8.0μmとなるようにブラスト加工を施し、粗面領域21aを所望の表面粗さに粗面化する。このとき、欠けが生じやすい端縁部10cから幅1〜2mmの領域(すなわち平滑端縁領域21c)にはブラスト加工を施さないので、スパッタリングターゲット10の欠けによる異常放電を防止できる。
このスパッタリングターゲット10をマグネトロンスパッタリング装置100に用いてスパッタした場合、スパッタリングターゲット10のエロージョン領域20がスパッタされるとともに、スパッタによりスパッタ生成物が生じてスパッタリングターゲット10の表面10a等に付着する。なお、スパッタ生成物には、スパッタリングターゲット10から発生したパーティクル、処理基板102に到達せず成膜しなかった成分等が含まれる。
粗面領域21aにはスパッタ生成物が厚く付着しやすいが、粗面に対する付着力が強固であることから、ここから剥離して処理基板102を汚染するおそれは小さい。また、エロージョン領域20を囲んで隣接する幅5〜15mmの平滑面領域21bおよび幅1〜2mmの平滑端縁領域21cに対しては、スパッタ生成物は付着しても平滑面であるので厚くなりにくく、また領域が狭いので剥離しにくい。付着したスパッタ生成物の厚さが比較的小さく0.1mm程度であるから、ここに付着したスパッタ生成物がエロージョン領域20のスパッタを妨げたり、再スパッタされてパーティクルを生じたりすることもほとんどない。
以上説明したように、本発明に係るスパッタリングターゲット10によれば、スパッタリングにより付着するスパッタ生成物を脱落させにくく、付着したスパッタ生成物の再スパッタも生じにくいので、成膜性能を低下させることなく長時間にわたるマグネトロンスパッタリングによる成膜が可能となる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
(実施例および比較例)
ここで、本発明に係るスパッタリングターゲットの実施例および比較例について説明する。実施例1〜4および比較例1〜6について、エロージョン領域、第1非エロージョン領域、および第2非エロージョン領域の各表面粗さと、第2非エロージョン領域の幅と、第1非エロージョン領域からスパッタリングターゲットの端縁部までの距離とを、表1に示すようにそれぞれ異ならせた。
まず、実施例1〜4および比較例1〜6におけるスパッタリングターゲットは、いずれも以下のように作製した。すなわち、原料粉末として平均粒径0.5μm、純度99.0%以上を有する市販のZnO粉末を用意した。この原料粉末を純水とともにボールミルにて湿式混合し、混合粉末を得た。得られた混合粉末を乾燥した後ゴム型に充填し、2Ton/cm2の圧力をかけて冷間静水圧プレスすることにより成形体を作製し、この成形体を直径180mm、厚さ20mmを有する円板状成形体に加工した。得られた円板状成形体を大気中1400℃で加熱し、理論密度比95%以上の焼結体を作製した。さらにこの焼結体を研削して、直径125mm、厚さ10mmの寸法を有するスパッタリングターゲットを作製した。
各実施例および比較例におけるスパッタリングターゲットの表面粗さの調整方法は、たとえば以下の通りである。すなわち、アルミナ(Al23)を主成分とする研削剤(粗さはJIS規定で#46)をブラスト粒として、ブラストの噴射圧0.3±0.05MPa、ブラスト時間30〜90秒で、ブラスト加工を行う。噴射圧およびブラスト時間は、使用するブラスト装置によって変動する。
スパッタリングターゲットのブラスト加工しない部分には、塩化ビニル板で作成されたマスクを固定する。マスキングは、粘着テープ、金属マスク、その他によっても可能である。ブラストによって、研削剤のパーティクルがターゲットに付着することがあるが、超音波洗浄によりこれを除去する。
Figure 0005540947
そして、これら実施例1〜4および比較例1〜6の各スパッタリングターゲットを、DCスパッタ装置よるスパッタ時間1時間電力密度10Wh/cm2、スパッタ時間1時間、積算電力量10WHr/cm2のスパッタリングに用いる評価試験を行った。各スパッタリングターゲットは、ボンディング後に、予めX線での透過像でボンディング欠陥、クラック、ヒビのないことを確認しておく。スパッタリング時の異常放電の発生回数、ターゲットのクラックの発生の有無、スパッタリングによって付着した膜の剥離の有無を表2に示す。
Figure 0005540947
なお、クラックの発生の有無の確認は、ターゲットを超音波洗浄後に目視で行った。また、異常放電の回数は、上記スパッタ中の積算アーキング回数をカウントした。
実施例1〜3のスパッタリングターゲットは、異常放電、クラック、付着膜の剥離がいずれもなく、成膜性能を低下させることなく長時間にわたるマグネトロンスパッタリングによる成膜が可能であることが確認できた。
実施例4は、第1非エロージョン領域がスパッタリングターゲットの端縁部から離間せずに設けられている。すなわち、スパッタリングターゲットの端縁部の表面粗さが大きい。外観からクラックは見られなかったが、端縁部まで表面粗さが大きい影響で、2回の異常放電が生じた。
第1非エロージョン領域の表面粗さが大きすぎる比較例1のスパッタリングターゲットは、スパッタリングの際に処理時間が経過すると異常放電が9回発生した。また、再スパッタが生じたため、パーティクルが発生し、スパッタ膜を汚染する原因となるおそれがある。
第2非エロージョン領域の幅が大きすぎる比較例2のスパッタリングターゲットは、第2非エロージョン領域に付着した膜が剥離したため、この剥離物がパーティクルとなって処理基板を汚染するおそれがある。
第2非エロージョン領域の表面粗さが大きすぎる比較例3のスパッタリングターゲットは、第2非エロージョン領域において異常放電が61回発生した。
第1非エロージョン領域の表面粗さが小さすぎる比較例4のスパッタリングターゲットは、第1非エロージョン領域に付着した膜がスパッタリングによって剥離したため、この剥離物がパーティクルとなって処理基板を汚染するおそれがある。
第1非エロージョン領域の表面粗さが大きすぎる比較例5のスパッタリングターゲットは、異常放電が22回発生した。また、ターゲット表面に崩れが発生した。
エロージョン領域の表面粗さが大きすぎる比較例6のスパッタリングターゲットは、エロージョン領域において異常放電が107回発生した。
以上のように、本発明に係る実施例のスパッタリングターゲットによれば、異常放電、クラック、付着膜の剥離がほとんどなく、成膜性能を低下させることなく長時間にわたるマグネトロンスパッタリングによる成膜が可能であることが確認できた。
10 スパッタリングターゲット
10a 表面
10b 矩形孔
10c 端縁部
20 エロージョン領域
21 非エロージョン領域
21a 第1非エロージョン領域(粗面領域)
21b 第2非エロージョン領域(平滑面領域)
21c 平滑端縁領域
100 マグネトロンスパッタリング装置
101 真空チャンバ
101a ガス導入口
101b ガス排出口
102 処理基板
103 ステージ
104 ターゲットホルダ
105 マグネット
106 外部電源

Claims (2)

  1. ZnOからなり、マグネトロンスパッタに用いられるZnO系の酸化物ターゲットであって、
    表面が、表面粗さがRa4.0μm以下であってスパッタされるエロージョン領域と、スパッタされない非エロージョン領域とに設定され、
    この非エロージョン領域が、前記エロージョン領域から離間するとともにその表面粗さがRa5.0μm〜8.0μmである第1非エロージョン領域と、この第1非エロージョン領域と前記エロージョン領域との間の領域であってその表面粗さがRa4.0μm以下であり、前記エロージョン領域の周囲に5〜15mmの幅で設けられている第2非エロージョン領域とに設定されていることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 前記第1非エロージョン領域が、前記スパッタリングターゲットの端縁部から離間するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
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