JP5543927B2 - V首剣先部を有する衿付きニットウェアの編成方法および編地 - Google Patents
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Description
本発明は、ニットウェアのV首剣先部において、分岐部となる編目が引き離されることを防ぎ、その分岐部を強化する編成方法と、その編成方法により形成された編地に関するものである。
衿付きのニットウェアとしては丸首のセットインセーターなどがあり、前身頃を左前身頃と右前身頃に分岐させて左右の衿ぐりを形成し、後身頃も合わせて編成を行った上で肩の接合を行ってセーターとしての形状を整えた状態とした後、衿部のみ後から接合させる編成方法が開示されている。(文献1参照)また、同様に衿付きのニットウェアとしてはV首の剣先部を有するベストやセーターなどがある。(図3参照)
V首の剣先部を有するベストでは、文献1と同様に前後の身頃部を先行して編成し、その後に衿部(3)を編成するものである。衿部(3)を周回して編成を行い、身頃部とは異なる編糸で編成が可能で、編目の方向も先行して編まれた編目とは異なる向きに、例えば略垂直などにすることが可能となり、商品価値が向上する。しかしながら、丸首に対してV首剣先部は鋭角であり、V首剣先部の分岐部両側の編目を繋げる為に分岐中心線(a−a’)付近で目重ねを行う必要がある。図4で示す様に分岐中心線(a−a’)を挟んで隣接する2つの編目はそれぞれ別々の編目が重ねられることで分岐中心線(a−a’)から外側に引かれ、隣接する編目が引き離されてしまう。更に着用時には、分岐部に過度の張力が掛かることがあり、糸伸びや糸切れが発生することもある。
本発明の課題は、V首剣先部の分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目が外側に引き離されるのを防ぐと共に、この分岐部の強度を向上させる編成方法、およびこの編成方法で編成された編地を提供することである。
本発明は、少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用い、V首剣先部を有する衿付きニットウェアの編成方法であって、V首剣先部における分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目については、キャリッジ進行方向を一方から他方に切換え、それぞれキャリッジ進行方向に対して、前記隣接する2つの編目のうちキャリッジ進行方向手前側の編目をミス編成、奥側の編目をニット編成する工程と、前記隣接する2つの編目の少なくとも1目を含んでその編目と隣接する位置を入れ替え交差させる工程と、を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記編目の位置を入れ替える工程において、位置の入れ替えが完了する前に少なくとも一方の編目に新たな編目を形成することを特徴とする。
さらにまた、本発明は、前記編目の位置を入れ替え交差させる工程に続いて、前記隣接する2つの編目の少なくとも1目を含んで新たな編目を形成することを特徴とする。
本発明の衿付きニットウェアは、V首剣先部における分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目については、キャリッジ進行方向を一方から他方に切換え、それぞれキャリッジ進行方向に対して前記隣接する2つの編目のうちキャリッジ進行方向手前側の編目をミス編成、奥側の編目をニット編成し、さらに前記隣接する2つの編目の少なくとも1目を含んでその編目と隣接する位置を入れ替え交差することで、前記隣接する2つの編目間に複数の編糸を有する交差部を形成することを特徴とする。
本発明の衿付きニットウェアの編成方法によれば、分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目については、キャリッジ進行方向を一方から他方に切換え、それぞれキャリッジ進行方向に対して前記隣接する2つの編目のうちキャリッジ進行方向手前側の編目をミス編成、奥側の編目をニット編成し、隣接する2つの編目間に複数の編糸を形成し、更に隣接する2つの少なくとも1目を含んでその編目と隣接する位置を入れ替え交差させることで、分岐中心線を挟んで隣接する編目間に別の複数の編糸を備えて、V首剣先部における分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目が引き離されるのを防ぎ分岐部を強化することが可能となる。
また、本発明の衿付きニットウェアの編成方法は、前記編目の位置を入れ替える工程において、位置の入れ替えが完了する前に少なくとも一方の編目に新たな編目を形成することで糸長が追加されて編糸の余裕ができて目移し時の条件が良くなり、確実に編目の位置を入れ替えることができる。
また、本発明の衿付きニットウェアの編成方法は、前記編目の位置を入れ替える工程を行った後で、前記隣接する2つの編目の少なくとも一目に対して新たな編目を形成することで、更に複数の編糸が追加され強度を増すことができる。
以下、ベスト1のV首剣先部2を用い、分岐中心線(a−a’)を挟んで隣接する2つの編目を含む編目列(図4のL3〜L5)に本発明の編成方法を適応した実施例を説明する。この実施例では、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する前後一対の針床を有し、前後の針床間で編目の目移しが可能な2枚ベッドの横編機を用いて説明する。以降、この横編機に備わる前針床をFB、後針床をBBと示す。また、図示はしないが、この横編機は、ベッド上を往復走行して給糸口を移動させたり、内部に備えるカムで編針を進退動させるキャリッジを有している。
図1は編成工程図、図2は本発明を適応した後のV首剣先部2の一部をループ図で示す。V首剣先部であるので、図4に示すように両外側より、分岐中心線(a−a’)を挟んで隣接する2つの編目に向けて斜め向きの編目が形成されるが、説明の便宜上、真っ直ぐウェール方向に繋がっていく編目にて説明を行う。
図3は衿付きニットウェアであるベスト1を示している。図1の中で示す小文字アルファベットは前針床FBの編針a〜lを示し、大文字アルファベットは後針床BBの編針A〜Lを示す。なお、図1では、説明の便宜上、編針の数を実際の編成に使用する数よりも少なくしており、図2、図3においても、ベスト1のV首剣先部近傍のコース方向編目列の一部分を示している。また、図1〜図4の中で示すL1などの表記が同じであれば、同一の編目列(コース方向)を示している。
図1では、図面左のS+数字は工程を示し、図中の黒丸は新たな編目を示し、二重丸は重なった編目を、白丸は係止する旧編目、矢印は編目の移動(目移し)を示す。また図面右の矢印は編成時の給糸口の移動方向を示している。さらに、この編成工程図においては、前針床FBの編針e,gに係止する編目を隣り合う2つの編目として説明しており、図2、図3に示す分岐中心線(a−a’)がその間を通っていることになる。
S1は図4のL3の編目列を示しているが、そこに至る編成は省略している。前針床FBの編針a,cの編目を後針床BBの空針を用いて2P右方向に移動して編針c,eに編目を係止し、同じく前針床FBの編針i,kの編目を後針床BBの空針を用いて2P左方向に移動して、編針i,gに編目を係止している。なお、編針e,gには編目が2目重なり、編針aと編針kにも図示していない編針より編目が移動した状態を示している。
S2では、紙面左方向に向けて給糸口を移動して、FBの編針k,i,eに編糸を給糸してニット編成を行う。編針eでニット編成し形成した編目を10とする。S3では、キャリッジ進行方向の向きを変え、右方向に給糸口を移動して、FBの編針gに編糸を給糸してニット編成し編目11を形成する。更に、S4では、左方向に向けて給糸口を移動して、FBの編針c,aに編糸を給糸してニット編成を行う。ここで、S2〜S4の3つの工程でFBの編針a,c,e,g,i,kの各編針には1目のみの編成であるものの、隣接する2つの編目である編針e,g間には3本の編糸16(図2のL4を参照)が渡り、強度を増している。ここでS2,S3においては、前記隣接する2つの編目のうちのキャリッジ進行方向に対し奥側の編目をニット編成し、手前側をミス編成している。なお、本実施例では説明の便宜上、隣接する編目間を繋いでいるのが、編目間を渡る部分であっても、編目を構成している部分であっても、編糸と表現している。
S5では、右方向に向けて給糸口を移動し、後針床BBの編針B,D,F,H,J,Lに編糸を給糸してニット編成を行う。S6では、左方向に向けて給糸口を移動して、FBの編針k,gに編糸を給糸してニット編成を行う。S7では、FBの編針e,gに係止する編目を後針床BBの編針E,Gに目移しする。この時、S6でニット編成したFBの編針gに係止する編目12に繋がる編糸が、後針床BBの編針Eに移動した編目10の外側(前後針床間からみて)に位置することになる。
S8では、後針床BBを左方向に針2本分ラッキングして、BBの編針Gに目移しした編目を、FBの編針eに目移しする。S9では、後針床BBを振り戻し、右方向に給糸口を移動し、BBの編針Eに編糸を給糸してニット編成し、編目13を形成する。この時、折り返す編成を考慮して、給糸口をFBの編針iを超えた位置まで進めておく。この編成を行うことで、FBの編針gに係止する編目13に繋がる編糸17が、編針iを起点に編目12に新たに編目15を形成して、編糸18を渡している。
S10では、S9で形成した後針床BBの編針Eに係止している編目13を、後針床BBを右方向に針2本分ラッキングしてFBの編針gに目移しする。編目12と編目13により、分岐中心線(a−a’)を跨いで隣接する編目の編糸が交差した状態で位置を入れ替えている。編目12の2本と編目13の2本の4本の編糸で隣接する編目を繋いでおり、編糸16で強化を行った上に続けて強化を重ねている。より強固なものになり、分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目が引き離されるのを防いでいる。S9で形成された編目13により、糸長が増えることで交差が容易にできる。後針床BBにて編目13を形成するのは、前後針床間に渡る編糸を更に長くする為であるが、編糸長は少なくなるが前針床FBにて編目13を形成しても良く、更には編目11に対して編目を形成して交差を行っても良い。
S11では、左方向に給糸口を移動し、前記隣接する2つの編目のうちの1目であるFBの編針eを含むFBの編針i,e,c,aに編糸を給糸してニット編成を行う。この場合も、編針i,e間に2本の編糸が渡る。本実施例では、FBの編針i,e間に編糸が渡るようにしたが、これに限らず、FBの編針g,e,c,aに編糸を給糸してニット編成しても良い。編糸が少なくなって強度は若干落ちるが、編糸がなくなるので、見栄えは少し良くなる。
S11の後、編目が解れないようにコース方向に編目列を編成し、伏目などの解れ止め処理を行うが、従来の編成方法で対応する為説明は省略する。
図2は、V首剣先部のループ編目のイメージ図であり、図1で示した編成工程図に対応している。
図2は、V首剣先部のループ編目のイメージ図であり、図1で示した編成工程図に対応している。
図2では、L4の編目列に前記隣接する2つの編目である編目10と編目11間に3本の編糸16があり、L5の編目列で編目12と編目13との交差による編糸が4本ある。更にはその交差させる工程に続いて、新たな編目14と編目15を形成することで、編目14に繋がる編目10とは編糸17で、編目15に繋がる編目14とは編糸18で2本の編糸が加わっており、前記隣接する2つの編目を強固に結び付けている。
なお、S2〜S4の編成では、隣り合う2つの編目である編針e,gの編目について進行方向との関係を崩さなければ、逆方向での編成を行っても良く、他の編針での編成を変更しても良い。また、S7〜S10では、隣り合う2つの編目である編針e,gの編目の交差で位置を入れ替えているが、交差時の編目の重なりを逆にしても良く、強度は落ちるものの交差を行う編目を編針e,gの編目のいずれかを含んでいれば良い。
さらにまた、S9で編目を形成したタイミングをずらし、S8の前に行っても良い。いずれにしても、交差を行う編目に更に編目を形成することで編みやすくするとともに編糸を配して、引張りに対する強度を上げる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、4枚ベッド横編機で実施しても良い。
1 ベスト
2 V首剣先部
10,11,12,13,14,15 編目
L1,L2,L3,L4,L5 編目列
2 V首剣先部
10,11,12,13,14,15 編目
L1,L2,L3,L4,L5 編目列
Claims (4)
- 少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用い、V首剣先部を有する衿付きニットウェアの編成方法であって、
V首剣先部における分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目については、キャリッジ進行方向を一方から他方に切換え、それぞれキャリッジ進行方向に対して
前記隣接する2つの編目のうちキャリッジ進行方向手前側の編目をミス編成、奥側の編目をニット編成する工程と、
前の工程で編成した前記隣接する2つの編目の少なくとも1目に対してその編目と隣接する編目の位置を入れ替え交差させる工程と、
を含むことを特徴とする衿付きニットウェアの編成方法。 - 前記編目の位置を入れ替え交差させる工程において、位置の入れ替えが完了する前に前記隣接する2つの編目の少なくとも一方の編目に続けて新たな編目を形成することを特徴とする請求項1に記載の衿付きニットウェアの編成方法。
- 前記編目の位置を入れ替え交差させる工程に続いて、前記隣接する2つの編目の少なくとも1目に対して新たな編目を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の衿付きニットウェアの編成方法。
- V首剣先部における分岐中心線を挟んで隣接する2つの編目については、キャリッジ進行方向を一方から他方に切換え、それぞれキャリッジ進行方向に対して前記隣接する2つの編目のうちキャリッジ進行方向手前側の編目をミス編成、奥側の編目をニット編成し、さらに前記隣接する2つの編目の少なくとも1目に対してその編目と隣接する編目の位置を入れ替え交差することで、前記隣接する2つの編目間に複数の編糸を有する交差部を形成することを特徴とする衿付きニットウェア。
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