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JP5544733B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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JP5544733B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体及び画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は複写機やレーザープリンター及びファクシミリ等の画像形成装置、プロセスカートリッジ及びそれらに用いられる電子写真感光体に関する。具体的には画質安定性や耐久性に優れた電子写真感光体、それを用いた画像形成装置用プロセスカートリッジ、画像形成装置に関する。
近年、電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)には有機感光体が広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染の影響が少ない材料を選択できること、製造コストが安いことなどの理由により、無機感光体に対して有利な点が多い。しかしながら、有機感光体は無機感光体に比べると物理的・化学的強度が弱く、長期に亘る使用により摩耗や傷が発生しやすく、耐久性や画質安定性に大きな課題が残されている。
電子写真方式の画像形成装置とは一般に、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電器と、帯電器によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成器と、潜像形成器によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像器と、付着したトナーを被転写物に転写を行なう転写手段と転写されずに感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング器等を一体に備えたものである。
有機感光体は、上記のような帯電、現像、転写及びクリーニング等の各工程を繰り返すことによって感光体表面が化学的あるいは物理的に劣化し、摩耗が促進されたり、傷が形成されたりする。これによって早期に画質が劣化してしまうため、有機感光体の耐摩耗性は最も重要な課題の一つとされていた。それに対し、有機感光体の耐摩耗性を高める目的で保護層を設ける技術が数多く開示されている。
例えば、感光体最表面に保護層を設けると共に、保護層中に無機微粒子を分散させることで機械的耐久性を向上させる技術が多く開示されている。一例として特許文献1などには、導電性支持体上に少なくとも感光層、フィラーを含有する保護層を順次形成してなる電子写真感光体が提案されている。
また、別の手段として、感光体表面の硬度を上げることで改善する技術も多く開示されている。例えば、特許文献2及び特許文献3においては、帯電器として磁気ブラシ型を適用した場合に、感光体上に不随意に磁性粒子の転写が生じ、その粒子が転写部やクリーニング部で感光体に強く押しつけられることにより傷が付くことを防ぐために感光体保護層の硬度を上げることが提案されている。また、特許文献4ではブレード型クリーニング方式を適用した場合の感光体表面摩耗を抑制するために感光体の硬度を上げることが提案されている。
上記のような感光体の表面硬度を高めるための具体的な手段として、熱硬化型樹脂、UV硬化型樹脂などの架橋性材料を感光体保護層の構成成分とすることが提案されている。例えば、保護層のバインダー成分として熱硬化性樹脂を適用することにより、保護層の耐摩耗性、耐傷性を向上させる手法が、特許文献5ないし7で提案されている。
また、特許文献8〜10などでは電荷輸送能付与基を結合させたシロキサン樹脂を保護層に含有させ、耐摩耗性、耐傷性を向上させる技術が開示されている。
さらに特許文献11では、耐摩耗性、耐傷性を向上させるために、電荷輸送層を炭素−炭素の二重結合を有するモノマー、炭素―炭素二重結合を有する電荷輸送物質及びバインダー樹脂を用いて作製する手法が報告されている。
また、特許文献12には電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより電荷輸送層を形成する方法が記載されている。さらに、特許文献22には電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化し、さらにフィラーを分散させた保護層を形成する方法が記載されている。
上記のような手段を用いることによって感光体の耐摩耗性は飛躍的に向上されている。特に、特許文献12や特許文献22に記載の硬化型樹脂を保護層に用いた感光体は耐摩耗性や耐傷性に優れる。
しかしながら、これらの技術によって耐摩耗性や耐傷性が著しく高められたにもかかわらず、感光体としての寿命は期待されたほど向上していないのが実情である。それは、保護層を設けることによって明部電位が上昇したり、画像流れ等の画質劣化が引き起こされたりするためである。特に、明部電位の上昇は画像濃度の低下を招くことになり、それを抑制するために暗部電位を高くすると、電界強度が高くなることによって地肌汚れ等の画像欠陥が発生する。また、明部電位の上昇はネガゴーストを悪化させることにもつながると考えられる。ネガゴーストは、転写バイアスの極性が感光体帯電極性と逆極性の場合、転写バイアスによって感光体帯電極性と逆の極性にまで帯電されると、光除電ではこの電位をキャンセルすることができず、1回前の静電潜像の履歴が残ってしまうことで発生し、明部電位が上昇すると、静電潜像の履歴が強く表れるため、ネガゴーストが悪化すると考えられる。
そのため、画質の高安定化を図るためには、明部電位の上昇を抑えることが重要であるが、それに付随する問題も多い。以下に詳細を記述する。
明部電位上昇の要因は、電荷発生層と電荷輸送層の界面や電荷輸送層と保護層の界面、あるいは電荷輸送層や保護層のバルク中における電荷トラップによるところが大きい。
それらの電荷トラップ要因の中でも、電荷発生層と電荷輸送層の界面や電荷輸送層と保護層の界面の影響は特に大きい。したがって、明部電位を低減させる一手段としては、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質にイオン化ポテンシャルがより小さい材料を用い、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入障壁を低減させることが挙げられる。これらの公知技術の一例としては、特許文献13等が開示されており、明部電位の低減に対しては有効な方法である。
特に、金属フタロシアニン顔料、特にチタニルフタロシアニンはイオン化ポテンシャルが低いので、これを電荷発生物質に用いた感光体において明部電位の低減化を図るには、金属フタロシアニンと同等、あるいはそれ以下のイオン化ポテンシャルを有する電荷輸送物質を電荷輸送層に含有させる必要がある。
一方、明部電位を低減させる別の手段としては、電荷輸送層から保護層への電荷注入障壁を低減させることが有効であることが開示されている。例えば、特許文献14に記載のように、感光層に含有される電荷輸送物質よりも保護層に含有される電荷輸送物質の方に低いイオン化ポテンシャルを持たせることによって、感光層/保護層界面における電荷の注入性を向上させることが有効である。さらに、特許文献15に記載のように、電荷発生物質と電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの値を最適な関係とし、かつ保護層の電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを電荷輸送層の電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル以下にすることで残留電位上昇を抑えることができる。このように、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質よりも保護層に含有される電荷輸送物質の方が低いイオン化ポテンシャルを持たせることによって明部電位を低減可能であることが知られている。
また、電荷輸送層から保護層への電荷注入障壁を低減させることによってゴーストの発生を抑制できる効果を得ることができる。例えば、特許文献16には、感光層と保護層のイオン化ポテンシャル差を小さくすることによってゴーストの発生を抑制できることが記されている。また、特許文献17には、感光層の電荷輸送物質と保護層の電荷輸送物質の酸化電位差を小さくすることで、明部電位上昇を抑えられるとの記載がある。
したがって、従来公知技術に基づいて、感光体の明部電位の低減やゴーストの抑制によって高画質化を達成するためには、電荷輸送層には電荷発生物質と同等かそれ以下のイオン化ポテンシャルを有する電荷輸送物質を含有させ、さらに保護層には電荷輸送層に含有される電荷輸送物質と同等以下のイオン化ポテンシャルを有する電荷輸送物質を含有させることによって達成できることになる。
しかしながら、電荷発生物質にイオン化ポテンシャルが小さいフタロシアニン系顔料を用いた場合は、感光体の最も表面に形成される層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルは必然的に低くなるため、繰り返し使用によって画像流れが発生する新たな問題が生じる。感光体の表面は、前記のとおり帯電や現像、クリーニング等のプロセスの繰り返しによって劣化しやすい。特に、帯電によって発生するオゾン等の酸化性ガスに曝されると、感光体表面に含有される電荷輸送物質は変質し、低抵抗化すると考えられている。イオン化ポテンシャルがより小さい電荷輸送物質は、その影響が大きくなるため、感光体の繰り返し使用によって画像流れが発生してしまうことになる。
特許文献18では、感光層と硬化性樹脂層のイオン化ポテンシャル差と感光体の時間応答性を規定した技術が開示されている。この特許文献には、高温高湿下、低温低湿下であっても良好なドット画像を形成可能であるとの記載がある。また、実施例の電荷発生物質としてY型チタニルフタロシアニンが例示されている。しかしながら、実施例で使用されている電荷輸送層のイオン化ポテンシャルは電荷発生層のイオン化ポテンシャルに比べかなり大きい。すなわち、画像流れに対しては抑制効果が得られるが、明部電位の低減化は難しく、その犠牲の上に成り立っていると考えられる。比較例ではチタニルフタロシアニンよりも小さなイオン化ポテンシャルを有する電荷輸送層が例示されているが、保護層のイオン化ポテンシャルに比べて非常に小さいため、帯電性が大幅に悪化することは明白である。
また、前記の特許文献15においても、保護層の電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを電荷輸送層の電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル以下にすることで残留電位上昇を抑制する効果は高いと考えられるが、感光体表面に位置する保護層にイオン化ポテンシャルの小さい電荷輸送物質を含有させると、前記の通り画像流れが発生する問題が生じると考えられる。しかし、特許文献15の実施例には、静電特性を評価するEPAの結果しか記載されておらず、画像については確認されていない。残留電位上昇を抑制できたとしても、酸化性ガスの雰囲気下で画像流れが発生するならば感光体としての機能が発揮できないことになり、根本的な解決に至っていない。
このように、明部電位の低減化や繰り返し使用による明部電位上昇の抑制に関しては、従来公知の技術によって達成可能であるが、電荷発生物質に高感度を有する金属フタロシアニン系顔料を用いた場合、これらは一般にイオン化ポテンシャルが小さいため、明部電位上昇を抑制するには電荷輸送層や保護層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを更に低減させる必要が生じることから、明部電位上昇は抑制できたとしても画像流れ等の新たな問題が引き起こされる。そのため、特に感度特性の面で優位性のある金属フタロシアニン系顔料を用いた感光体において明部電位の低減化と画質の高安定化を両立することが困難であり、保護層を設けたにもかかわらず、感光体の高耐久化が実現されていないのが実情であった。
一方、感光層や架橋型保護層に添加剤を含有させることで画質安定化を図る方法が知られている。画質の高安定化には、感光層に酸化防止剤を含有させることが有効である。しかしながら、このような酸化防止能のみを有する添加剤を用いた場合には、その特性発現は酸化防止剤の添加量に依存するため、十分な効果を得るためには相当量の添加が必要になることがある。しかしながら、酸化防止剤が電荷輸送性を有していない場合、添加量に比例して電荷輸送性の低下が生じやすくなり、結果的に明部電位が上昇することがある。
特に、電荷発生層、電荷輸送層、保護層のイオン化ポテンシャル差が大きく、注入障壁が大きい場合、明部電位が上昇しやすい。
また、特許文献23〜27には、ジスチリル化合物と酸化防止剤を組み合わせて電子写真特性を安定化させる方法が記載されている。しかしながら、評価結果は電気的特性のみに留まり、画像を出力していない。イオン化ポテンシャルの小さいジスチリル化合物が最表面にある場合、NOx曝露後に激しい画像流れが発生する場合がある。画像流れがあるか否かは電気的特性のみでは判断不能であることが多いため、特許文献23〜27に記載の方法では十分に画質安定化できていない可能性がある。
特許文献19〜21には感光層や架橋型保護層に電荷輸送機能を有する酸化防止剤を含有させることで画質の高安定化を図る方法が記載されている。このような添加剤は酸化防止剤でありながら、電荷輸送性を有するため、非常に有効に用いられる。すなわち、特許文献19〜21に記載の架橋型保護層と電荷輸送機能を有する酸化防止剤とを組み合わせることで、感光体の長寿命化に大きく寄与する。
しかしながら、文献19〜21に記載の架橋型保護層と電荷輸送機能を有する酸化防止剤の組み合わせでは短時間での急激な明部電位上昇という別の問題が生じることがある。具体的には、100枚連続で出力した場合に、1枚目から100枚目の間に急激に明部電位が上昇する現象である。明部電位の上昇量は感光体の使用経時で上昇する傾向にある。電位上昇量は数十Vに達するため、1枚目と100枚目の画像濃度が異なることになる。画像濃度を保つため、本体内でプロセスコンロールを行っている。しかしながら、プロセスコントロールのタイミングより早く電位が上昇するため、画像濃度を一定に保つことが困難である。このように、急激な明部電位上昇は機械的な強度に優れた架橋型保護層で顕著に表れることがある。
特許文献28および29には、電荷輸送層を複数積層し、最表面側の電荷輸送層に酸化防止剤が多く含有される構成となっている電子写真感光体の記載がある。この構成はNOxガスの影響を受け易い表面に酸化防止剤があるため、長期的な画質安定化に有効であるが、特許文献12や特許文献22に記載の架橋型保護層と組み合わせると急激な明部電位上昇が起こりうる。特許文献30には3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化した架橋型保護層と、2層の電荷輸送層の組み合わせがある。これは架橋型保護層に電荷輸送物質を拡散しやすくする構成となっている。しかしながらこの構成では、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルが小さいものを用いた際に、架橋型保護層に拡散した電荷輸送物質がNOxなどの酸化性ガス曝露によって画像流れを引き起こすことがある。
上記のように、特許文献12や特許文献22に記載の架橋型保護層を設けることで、耐摩耗性は飛躍的に向上するが、明部電位が大きくなるという問題が生じる。明部電位上昇を抑えるためには、電荷発生層、電荷輸送層、架橋型保護層のイオン化ポテンシャルを最適な関係にする必要がある。このような構成にすることで感光体の長寿命化は可能となるが、さならる長寿命化のためには感光層に酸化防止剤や電荷輸送性を有する酸化防止剤を含有させることが必要となる。電荷輸送性を有する酸化防止剤は長期的な画質安定化やNOxガス曝露には有効であるが、急激な明部電位上昇という副作用もあることがある。
このように感光体が機械的に長寿命化すると、電子写真プロセスが膨大な回数で繰り返されることとなり、感光体にかかる負荷が大きくなる。そのために酸化防止剤が使われることが多いが、副作用も発生しうる。すなわち超長寿命の感光体を作製する技術は未だ確立されていない。
これまで述べてきたように、明部電位の上昇を抑え、優れた耐摩耗性、画質の高安定化を長期間にわたって持続する電子写真感光体の設計は極めて難しく、いずれかの特性に特化した電子写真感光体を設計せざるを得ないのが現状である。
そこで、本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みて成されたものであり、耐摩耗性に優れ、明部電位上昇を抑制し、連続で画像を出力した際の急激な明部電位上昇を抑制し、画質安定性を高めた長寿命の感光体を提供することを課題とする。
上記課題は以下の(1)〜(24)によって解決される。
(1)導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、第1の電荷輸送層、第2の電荷輸送層及び電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された、架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、
該第1の電荷輸送層はトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物を含有し、
該第2の電荷輸送層はトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、第1の電荷輸送層に含有される化合物と同一の、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物を含有し、
第1の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくともの1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC1、
第2の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC2、としたとき、
下記式(1)が成り立つ
0 ≦ C2 < C1 ・・・式(1)
ことを特徴とする電子写真感光体。
(2)更に前記C1について下記式(2)が成り立つ
0.005 < C1 < 0.15 ・・・式(2)
ことを特徴とする(1)記載の電子写真感光体。
(3)前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基及び/又は前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。
(4)前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基数が3以上であり、官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下である
ことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5)前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送性構造が、トリアリールアミン構造である
ことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、
下記一般式(1)又は(2)で示される化合物の少なくとも一種である
ことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0005544733
(式中、R40は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR41(R41は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表わす。)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR4243(R42及びR43は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)を表わし、Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar4、Ar5は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
(7)前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(4−1)で表されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0005544733
(式中、R92、R93は芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、R92、R93は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。j、kは0〜3の整数を表わす。ただしjとkが同時に0となることはない。R94、R95は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Ar51、Ar52は置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(8)前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(5−1)で表されることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0005544733
(式中、R96、R97は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。ただし、R96、R97のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R96、R97は互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。Ar53、Ar54は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。p、qはそれぞれ0〜3の整数を表わす。ただし、p、qが同時に0となることはない。rは1〜3の整数を表わす。)
(9)前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(5−2)で表されることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0005544733
(式中、R98、R99は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。ただし、 98 、R 99 のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R98、R99は互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。Ar55、Ar56は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。s、tはそれぞれ0〜3の整数を表わす。ただし、s、tが同時に0となることはない。uは1〜3の整数を表わす。)
(10)前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(6)で表されることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0005544733
(式中、R101、R102は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、同一でも異なっていてもよい。但し、R101、R102のいずれか1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R101、R102は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。Ar57は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。)
(11)前記第1の電荷輸送層及び第2の電荷輸送層に含有されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質がジスチリル化合物である ことを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(12)前記トリアリールアミン構造を有するジスチリル化合物が下記構造を示す一般式(3)で示されるジスチリルベンゼン誘導体である
ことを特徴とする(11)に記載の電子写真感光体。
Figure 0005544733
〔上式中、R1〜R30は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたアリール基、無置換のアリール基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
(13)前記一般式(3)で示されるジスチリルベンゼン誘導体のR3、R8、R19及びR24のうち少なくとも1つがメチル基である
ことを特徴とする(12)に記載の電子写真感光体。
(14)前記前記第1の電荷輸送層及び/又は第2の電荷輸送層がヒンダードフェノール誘導体及びヒンダードアミン誘導体から選択される少なくとも1種類の酸化防止剤を含有することを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(15)前記酸化防止剤が、同一分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造とを有する化合物であることを特徴とする(14)に記載の電子写真感光体。
(16)前記電荷発生層に電荷発生物質として、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、及びクロロガリウムフタロシアニンの中から選ばれるいずれか1又は2以上を含むことを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(17)前記チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°のピークと9.4°のピークとの間に回折ピークを有しなく、26.3°に回折ピークを有しないチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする(16)に記載の電子写真感光体。
(18)前記第1の電荷輸送層の膜厚T1と前記第2の電荷輸送層の膜厚T2が、下記式(3)の関係を満たす
ことを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載の電子写真感光体。
T1 > T2×2 ・・・式(3)
(19)前記第1の電荷輸送層の膜厚T1と前記第2の電荷輸送層の膜厚T2と前記架橋型電荷輸送層の膜厚T3が、下記式(4)の関係を満たす
ことを特徴とする(1)〜(18)のいずれかに記載の電子写真感光体。
T1+T2 > T3×2 ・・・式(4)
(20)前記架橋型電荷輸送層がフィラーを含有することを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(21)請求項1記載の電子写真感光体の製造方法であって、
導電性支持体上に電荷発生層を形成する工程、
該電荷発生層の上に、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物とを含有する塗工液を塗布して第1の電荷輸送層を形成する工程、
該第1の電荷輸送層の上にトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、第1の電荷輸送層に含有される化合物と同一の、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物とを含有する塗工液を塗布して第2の電荷輸送層を形成する工程、
該第2の電荷輸送層の上に電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とをふくむ塗工液を塗布し硬化して架橋型電荷輸送層を形成する工程とを含み、
第1の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくともの1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC1とし、第2の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC2としたとき、下記式(1)が成り立つ
0 ≦ C2 < C1 ・・・式(1)
ようにしたことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(22)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が(1)〜(20)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(23)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素が複数配列され、該電子写真感光体が(1)〜(20)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(24)電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となったカートリッジを搭載し、かつ該カートリッジが装置本体に対し着脱自在であることを特徴とする(22)又は(23)に記載の画像形成装置。
(25)電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が(1)〜(20)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
本発明の電子写真感光体は、表面に架橋型電荷輸送層を設けていることにより耐摩耗性及び耐傷性に優れ、繰り返し使用しても明部電位の上昇が少なく安定しており、かつ繰り返し使用後に連続出力しても明部電位の上昇は小さい。そのため、長期繰り返し使用しても高画質を安定に出力可能な電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供できる。
本発明の感光体によれば、電荷発生層上に第1の電荷輸送層、第2の電荷輸送層、架橋型電荷輸送層を設け、第1の電荷輸送層塗工液中の少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の濃度を、第2の電荷輸送層塗工液中の少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の濃度より大きくすることで耐摩耗性に優れ、明部電位上昇を抑制し、連続で画像を出力した際の急激な明部電位上昇を抑制することができ、画質安定性を高めた長寿命の電子写真感光体を実現できた。
本発明における電子写真感光体の構成例を示す断面図である。 本発明における画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明におけるプロセスカートリッジの一例を示す図である。 実施例で用いた電荷発生物質のX線回折スペクトル図であり、縦軸は一秒当りのカウント数(cps:counts per second)を表し、横軸は角度(2θ)を表す。
本発明において、急激な明部電位上昇抑制と、NOxガス曝露による画像濃度上昇抑制を両立できた理由を述べる。NOxガス曝露による画像濃度上昇は、電荷輸送層に少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物を含有させることで抑制が可能である。このアリールアミン化合物は、架橋型電荷輸送層塗工後の乾燥工程で与えられた熱が原因で架橋型電荷輸送層に拡散する。架橋型電荷輸送層にこのアリールアミン化合物が含有すると、理由は定かではないが、連続で画像を出力した際に急激な明部電位上昇が起こることがある。明部電位上昇は繰り返し使用で悪化する傾向にある。
すなわち、連続画像出力による急激な明部電位上昇を抑制するには、架橋型電荷輸送層中のこのアリールアミン化合物含有量が小さいことが望ましい。そこで、第2の電荷輸送層塗工液中のこのアリールアミン含有量を第1の電荷輸送層塗工液中のアリールアミン含有量よりも小さくした。これにより、架橋型電荷輸送層塗工後の乾燥工程でこのアリールアミン化合物の拡散量が小さくなり、連続画像出力による急激な明部電位上昇を抑制できたと考えられる。架橋型電荷輸送層と第1の電荷輸送層、第2の電荷輸送層を組み合わせ、第2の電荷輸送層中の電荷輸送物質を積極的に架橋型電荷輸送層に拡散させた特開2008−70676号公報とは異なる構成である。
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置について実施形態により詳細に説明する。
<<電子写真感光体の構成>>
本実施形態の感光体は、図1に示されるように導電性支持体31上に、少なくとも電荷発生層32、第1の電荷輸送層33、第2の電荷輸送層34、架橋型電荷輸送層35をこの順に有することを特徴とする積層型である。
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。
また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱架橋性樹脂または光架橋性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
<<感光層について>>
次に電荷発生層と電荷輸送層について説明する。
<電荷発生層について>
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また下記一般式(7)で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。なお、これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
これらの電荷発生物質の中でも、金属フタロシアニン系顔料、下記式で表されるアゾ顔料が有効に使用できる。
金属フタロシアニン系顔料としては、下記一般式(7)で示される金属フタロシアニンが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
Figure 0005544733
(式中M(中心金属)は、金属の元素を表す。ここであげられるM(中心金属)は、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。中心金属は、これらの元素に限定されるものではない。)
本発明における金属フタロシアニン系の電荷発生物質は、一例として一般式(7)で示されるような基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものでもかまわない。また、基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。これらの様々な金属フタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するチタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等は感光体特性上特に好ましい。また、これらの金属フタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばチタニルフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、Y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つ金属フタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有する金属フタロシアニン系顔料を用いた感光体の特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))。このことから、金属フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要である。
これらの金属フタロシアニン系顔料の中でも、チタニルフタロシアニン顔料は有効に用いられ、中でもCuKαの特性X線(1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は特に高い感度を有しており、本発明においては画像形成の高速化が可能となるため特に有効に用いられる。さらに、その中でも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、電荷発生効率が大きく、静電特性も良好で、地汚れが発生しにくい等、本発明の電荷発生物質として極めて有効に使用できる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生物質においては、粒子サイズをより細かくすることにより、その効果がより高くなる場合があり有効である。特に、フタロシアニン系顔料においては、平均粒子サイズは0.25μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。以下にその作製方法を示す。感光層に含有される電荷発生物質の粒子サイズをコントロールするための方法は、電荷発生物質を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除く方法である。ここでいう平均粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median径)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、電荷発生物質粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
次に電荷発生物質を分散した後に、粗大粒子を取り除く方法について述べる。即ち、出来る限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過する方法である。分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
この方法では、目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)、残存する微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が5μm以下のフィルター、より好ましくは3μm以下のフィルターにて濾過する操作を行い、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下)電荷発生物質のみを含む分散液を作製することができ、これを用いることにより、感度や帯電性等の静電特性が改善され、その効果が持続し、本発明の効果を高めることができる。
この際、濾過される分散液の粒子サイズが大きすぎたり、粒度分布が広すぎたりする場合には、濾過によるロスが大きくなったり、濾過の目詰まりを生じて濾過が不可能になったりする場合がある。このため、濾過前の分散液においては、平均粒子サイズが0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に到達するまで分散を行った方が望ましい。平均粒子サイズが0.3μm以上である場合には濾過によるロスが大きくなり、標準偏差が0.2μm以上である場合には濾過時間が非常に長くなったりする不具合点を生じる場合がある。
上記電荷発生物質は、高感度な特性を示す電荷発生物質の特徴である分子間水素結合力が極めて強い。このため、分散された顔料粒子の粒子間での相互作用も非常に強い。この結果、分散機などにより分散された電荷発生物質粒子が、希釈などにより再凝集する可能性が非常に大きく、上述のように分散終了後、特定サイズ以下のフィルターで濾過を行うことにより、このような凝集物を取り除くことができる。この際、分散液がチキソトロピーな状態にあるため、使用するフィルターの有効孔径よりも小さいなサイズの粒子まで除去される。または、構造粘性を示す液をフィルター処理によりニュートン性に近い状態に変えることもできる。このようにして、電荷発生物質の粗大粒子を取り除いてやることにより、本発明の効果をさらに向上させることができる。
アゾ顔料の中でも下記式(11)で表されるアゾ顔料は有効に使用される。特に、アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異なるものである非対称アゾ顔料は、キャリア発生効率が大きく、本発明の電荷発生物質として有効に使用できる。
Figure 0005544733
式中、Cp1,Cp2はカップラー残基を表す。R201,R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp1,Cp2は下記式(12)で表され、
Figure 0005544733
式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R204,R205,R206,R207,R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部が好ましく、より好ましくは10〜300重量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
また、用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散して、塗工液を得ることができる。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。場合によっては、電荷発生層に後述の電荷輸送物質を添加することも可能である。バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
電荷発生層は上記塗工液を用いて導電性支持体上あるいは下引き層等の上に塗工し、乾燥することにより形成される。塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μm程度であり、0.1〜2μmが好ましい。また塗工後の乾燥はオーブン等を用いて加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
<電荷輸送層について>
電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。本発明においては、電荷発生層上に積層した第1の電荷輸送層と、第2の電荷輸送層とを電荷輸送層と称する。
さらに第1の電荷輸送層塗工液はトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物を含有し、第2の電荷輸送層塗工液はトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、第1の電荷輸送層に含有される化合物と同一のアリールアミン化合物を含有し、第1の電荷輸送層塗工液の固形分重量に対する少なくともの1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC1、第2の電荷輸送層塗工液の固形分重量に対する少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC2、としたとき、下記式(1)が成り立つ
0 ≦ C2 < C1 ・・・式(1)
さらに好ましくは
0.005 < C1 < 0.15 ・・・式(2)
である。
C1が大きすぎると、(1)の関係が成立しても、乾燥条件によっては架橋型電荷輸送層への少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が増加し、急激な明部電位上昇が起こることがある。
C2の濃度としては0.001<C2<0.1 が好ましく、さらに好ましくは0.01<C2<0.05 である。
続いて、電荷輸送層中の少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物(以下、アリールアミン化合物)の濃度測定方法について述べる。
電荷輸送層において、アリールアミン化合物の濃度分布を計測する方法としては、アリールアミン化合物を染色して、電子顕微鏡を用いて観察する方法、ESCAを用いて表面分析する方法、感光体の表面を少量ずつ削り、削り粉から定量分析する方法、FT−IRのATR法を用いて、アリールアミン化合物とバインダー樹脂のピーク強度比から定量する方法等が挙げられる。
以下、ATR法を用いる方法について説明する。まず、感光体の保護層及び電荷輸送層を斜めに切断し、その切断面をμ−ATR法により等間隔で分析を行うことができる。得られたIRスペクトルの電荷輸送物質のピーク強度とアリールアミン化合物のピーク強度とバインダー樹脂のピーク強度の比から、アリールアミン化合物の濃度を定量することができ、アリールアミン化合物の濃度分布が得られる。また、支持体上に第1の電荷輸送層および第2の電荷輸送層を作製し、乾燥した後に膜を剥がし、それらの表面又は裏面をATR法により分析することができる。これにより、界面におけるアリールアミン化合物の濃度を定量することができる。なお、分析時の赤外線の潜り込み深さは、Si結晶を用いた場合、1μm程度である。分析には他の結晶も用いることができるが、本発明においては、界面におけるアリールアミン化合物の濃度比は、赤外線の潜り込み深さが1μm程度である場合に測定された値として用いる。
本法で測定した第1、第2の電荷輸送層中のアリールアミン化合物の濃度C1,C2は、第1、第2の電荷輸送層塗工液中のアリールアミン化合物の濃度と同等であった。
本発明の第1の電荷輸送層および第2の電荷輸送層塗工液にはトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が含有されるが、必要に応じて電子輸送物質、正孔輸送物質を含有してもよい。各々の例を以下に示す。なお、電荷輸送物質とは電子輸送物質および正孔輸送物質を意味する。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2、4、7−トリニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2、4、5、7−テトラニトロキサントン、2、4、8−トリニトロチオキサントン、2、6、8−トリニトロ−4H−インデノ〔1、2−b〕チオフェン−4−オン、1、3、7−トリニトロジベンゾチオフェン−5、5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ジスチリル誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。
電荷輸送層に含まれるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質の中でも本発明においてはジスチリル化合物が有効に用いられる。ジスチリル化合物とは、スチリル基を2つ有する材料を示す。これらの材料はπ共役が大きく、高移動度であることから電荷の移動が起こりやすい。その結果、同等のイオン化ポテンシャルを有する電荷輸送物質に比べ、明部電位の上昇を抑制する効果があると考えられる。
さらにジスチリル化合物の中でも一般式(3)で表されるジスチリルベンゼン誘導体が特に好ましい。一般式(3)で表されるジスチリルベンゼン誘導体は、電荷輸送機能の高いトリアリールアミン構造を複数有する上、構造式中央の芳香環基を介したπ共役が大きい特徴を有する。また、分子骨格が大きくトリアリールアミン構造が互いに離れているため、分子間で電荷移動が起こりやすい。
なお、本発明に用いるジスチリルベンゼン誘導体は特許第2552695号公報などの公知の方法で合成可能である。
第1の電荷輸送層及び第2の電荷輸送層に含有されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質は、同一のものが好ましい。異なる構造の場合、両者のイオン化ポテンシャル差によっては明部電位上昇などの副作用が生じる恐れがある。
以下に上記ジスチリル化合物の一例を挙げる。ただし、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0005544733
以下に、本発明において有効な一般式(3)で表されるジスチリルベンゼン誘導体の一例を挙げる。ただし、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
上記ジスチリルベンゼン誘導体の中でも、上記一般式(3)においてR3、R8、R19及びR24の少なくとも1つがメチル基であるものは、明部電位低減に特に有効であった。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部が好ましく、より好ましくは40〜150重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は第1の電荷輸送層の膜厚をT1、第2の電荷輸送層の膜厚をT2としたとき、下記式の関係となっていることが望ましい。
T1 > T2×2
T2がこの範囲を超えると、電荷輸送層全体の少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物量が小さくなり、NOxガス曝露後の画像濃度変動に不利となることがある。
T1+T2は解像度・応答性の点から、30μm以下とすることが好ましく、25μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
本発明で用いられる少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物について記す。本発明で用いられる少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物は好ましくは上記一般式(4−1)、上記一般式(5−1)、上記一般式(5−2)および(6)で表される。以下、各々について説明する。
電荷輸送層に上記一般式(4−1)で表される化合物、上記一般式(5−1)で表される化合物、上記一般式(5−2)で表される化合物、上記一般式(6)で表される化合物を用いると、感光体を繰り返し使用する際の画質安定化に有効である。その理由は、現時点では明らかになっていないが、化学構造内に含まれるアルキルアミノ基が塩基性の強い基であるので、画質安定性低下の原因物質と考えられている酸化性ガスやイオン性物質に対しての中和効果が推測される。また、芳香族炭化水素環基置換アミノ基は、電荷輸送能が優れる官能基であることが知られており[高橋ら、電子写真学会誌、25巻、3号、16頁、1986年]、本発明に用いられるジアミン化合物はこの基を含むことから電荷輸送能の高い化合物であることがわかる。更には、他の電荷輸送物質と併用することにより高感度、並びに繰り返し安定性等がさらに増すことも見出されている。
下記一般式(4−1)で表される化合物としては、下記一般式(4−2)〜(4−4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005544733
(式中、R92、R93は芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、R92、R93は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。j、kは0〜3の整数を表わす。ただしjとkが同時に0となることはない。R94、R95は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Ar51、Ar52は置換もしくは無置換の2価の芳香環基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0005544733
(式中、R92、R93は芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、R92、R93は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。j、kは0〜3の整数を表わす。ただしjとkが同時に0となることはない。R94は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。
また、Ar51、Ar52、及びAr53は置換もしくは無置換の2価の芳香環基を表し、同一であっても異なっていてもよく、Ar54及びAr55は置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、Ar54、Ar53、もしくはAr54、Ar53は共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
Figure 0005544733
(式中、R92、R93は芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、R92、R93は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。j、kは0〜3の整数を表わす。ただしjとkが同時に0となることはない。R94は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。
また、Ar51、Ar52、及びAr53は置換もしくは無置換の2価の芳香環基を表し、同一であっても異なっていてもよく、Ar54及びAr55は置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、Ar54、Ar53、もしくはAr54、Ar53は共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
Figure 0005544733
(式中、R92、R93は芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、R92、R93は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。jは1〜3の整数を表わす。R94は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。
また、Ar51、及びAr53は置換もしくは無置換の2価の芳香環基を表し、同一であっても異なっていてもよく、Ar54及びAr55は置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、Ar54、Ar53、もしくはAr54、Ar53は共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
上記一般式(4−1)〜(4−4)において、R92、R93の芳香環基置換アルキル基は、炭素数が1〜4のアルキル基に芳香環基が置換したものであり、芳香環基置換もしくは無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基などを挙げることができる。
また、R92、R93、Ar51〜Ar55の芳香環基としてはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、及びピレンなど芳香族炭化水素環から得られる芳香族炭化水素基、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環から得られる芳香族複素環基が挙げられる。
また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、及び芳香環基などが挙げられる。更に、R92、R93が互いに結合し窒素原子を含む複素環基の具体例としてはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピロリニル基等が挙げられる。その他、共同で窒素原子を含む複素環基としては、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、インドール、キノリンの芳香族複素環基などを挙げることができる。
以下に、前記一般式(4−1)〜(4−4)で表わされる化合物の具体的構造例を下記に示す。ただし、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
一般式(5−1)及び下記一般式(5−2)で表される化合物について述べる。
Figure 0005544733
(式中、R96、R97は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。ただし、R96、R97のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R96、R97は互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。Ar53、Ar54は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。p、qはそれぞれ0〜3の整数を表わす。ただし、p、qが同時に0となることはない。rは1〜3の整数を表わす。)
Figure 0005544733
(式中、R98、R99は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。ただし、R96、R97のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R98、R99は互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。Ar55、Ar56は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。s、tはそれぞれ0〜3の整数を表わす。ただし、s、tが同時に0となることはない。uは1〜3の整数を表わす。)
これら一般式(5−1)及び(5−2)において、R96〜R99で表される芳香族炭化水素基の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、及びピレンなどの芳香族炭化水素環基を挙げることができ、R96〜R99で表される置換もしくは無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデシル基、ベンジル基などを挙げることができる。また、Ar53〜Ar56で表される芳香環基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、及びピレンなど芳香族炭化水素環の2価の芳香族炭化水素基、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の2価の芳香族複素環基が挙げられる。また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、及び芳香環基などが挙げられる。
以下に、前記一般式(5―1)又は(5−2)で表わされる化合物の好ましい例を挙げる。ただし、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
尚、前記一般式(5−1)及び(5−2)で表わされる化合物には、特公昭58−57739号公報、特許第2529299号公報等に記載された化合物も含まれるが、該一般式(5−1)で表わされる化合物は、対応するホスホン酸エステル化合物又はトリフェニルホスホニウム塩化合物と、対応するアルデヒド化合物との反応による、所謂変性ウイッチヒ(Wittig)反応又はウイッチヒ(Wittig)反応により製造でき、さらに該一般式(5−2)で表わされる化合物は、該一般式(5−1)で表わされる化合物を還元することにより製造することができる。
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
電荷輸送層に用いる少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物は、下記一般式(6)で表される。
Figure 0005544733
(式中、R101、R102は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、同一でも異なっていてもよい。但し、R101、R102のいずれか1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R101、R102は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。Ar57は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。)
上記一般式(6)で表わされるジアミン化合物は、特公昭62−13382号公報、米国特許第4223144号、第3271383号、第3291788号で染料中間体もしくは高分子化合物の前駆体として記載されている。
上記一般式(6)で表わされるジアミン化合物は、文献(E.ElceandA.S.Hay,Polymer,Vol.37 No.9,1745(1996))に記載の方法によって容易に製造することができる。すなわち、下記一般式(8)で表わされるジハロゲン化物と、下記一般式(9)で表わされる第二級アミン化合物とを塩基性化合物の存在下、室温から100℃程度の温度において反応させることにより得ることができる。
BH2C−Ar57CH2B (8)
(式中、Ar57は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。Bはハロゲン原子を表わす。)
Figure 0005544733
(式中、R101、R102は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、同一でも異なっていてもよい。ただし、R101、R102のうち、少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。
上記塩基性化合物の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、及びナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキシドなどを挙げることができる。また反応溶媒としてはジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリルなどを挙げることができる。
上記一般式(6)及び(9)の説明にある、R101、R102で表される置換もしくは無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデカニル基、ベンジル基などを挙げることができる。また、上記一般式(6)及び(9)の説明にある、R101、R102、Ar57で表される芳香環基としては、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の基が挙げられる。また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどの複素環の基などが挙げられる。
以下に、上記一般式(6)で表わされる化合物の好ましい例を挙げる。ただし、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
注)化合物No.35〜37において、R101、R102の欄に示した基は
−NR101102基である。
<その他添加剤について>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、画質の安定性を向上させる目的で、架橋型電荷輸送層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。本発明においては、電荷輸送層中に添加することが効果的であった。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
<フェノール系化合物>
2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2、6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2、2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2、2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1、1、3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′、5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3、3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
<パラフェニレンジアミン類>
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N、N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N、N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N、N′−ジメチル−N、N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
<ハイドロキノン類>
2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2、6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
<有機硫黄化合物類>
ジラウリル−3、3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3、3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3、3′−チオジプロピオネートなど。
<有機燐化合物類>
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2、4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して、好ましくは0.01〜10重量部である。
本発明に用いられる酸化防止剤の中でもヒンダードフェノール誘導体及びヒンダードアミン誘導体が有効であり、特に同一分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造とを有する化合物が有効であった。
<<架橋型電荷輸送層>>
次に、本発明の架橋型電荷輸送層の構成材料について説明する。
架橋型電荷輸送層には、耐摩耗性を維持しつつ電荷を輸送させる必要があるため、電荷輸送機能を有しないラジカル重合性モノマーと電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物とを硬化させて用いる。硬化とは、一般に複数の官能基を有する低分子化合物の分子間反応や高分子化合物が、熱、光、電子線等のエネルギーを与えることによって分子間で結合(例えば、共有結合)し、三次元網目構造を形成する反応である。
硬化性樹脂としては、熱によって重合する熱硬化性樹脂、紫外線や可視光線等の光によって重合する光硬化性樹脂、電子性によって重合する電子線硬化性樹脂等があり、必要に応じて硬化剤や触媒、重合開始剤等と組み合わせて用いられる。
上記硬化性樹脂を硬化させるには、反応性化合物(例えば、モノマーやオリゴマー等)中に重合反応を起こす官能基を有していることが必要である。それらの官能基の一例として、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基が挙げられる。また、硬化反応において、反応性モノマーの1分子に有する官能基数は、より多い方が3次元網目構造はより強固になり、3官能以上で特に有効である。これにより、硬化密度が高まり、高硬度で高弾性、かつ均一で平滑性も向上し、感光体の高耐久化や高画質化に有効となる。
本発明においては、前記のように導電性支持体上に電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーと電荷輸送性構造を有する反応性化合物とを硬化反応させ、3次元的に発達した網目構造を形成する。この場合、硬化剤や触媒、重合開始剤等を予め混合することで、硬化度をさらに高めることが可能であり、本発明においては特に有効である。これにより、架橋型電荷輸送層の耐摩耗性が一段と向上し、さらに未反応官能基も残存しにくくなるため、耐摩耗性の向上や静電特性劣化の抑制に有効である。また、反応が均一であるためにクラックや歪みが生じにくくなり、クリーニング性が改善できる等、感光体の高耐久化、高画質化に対して高い効果を得ることができる。
前記電荷輸送性を有しないラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1、1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基
1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・式(10)
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR78基(R78は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1、3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1、1−置換エチレン官能基
1、1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CY−X2− ・・・・式(11)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR79基(R79は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR8081(R80及びR81は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX1、X2、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマーもしくはオリゴマーの官能基数はより多官能の方が好ましく、3官能以上がより好ましい。3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した場合、3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐キズ性が達成される。しかし、硬化条件や用いる材料によっては硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため、体積収縮による内部応力が発生し、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる場合がある。その場合には1官能あるいは2官能のラジカル重合性モノマーを用いたり、あるいはそれらを混合して用いたりすることで改善できる場合がある。
以下、耐摩耗性の向上に有効な3官能以上の電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマーについて説明する。
3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
電荷輸送性構造を有しない具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ECH変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2、2、5、5、−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられ、その中でもトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ECH変性トリメチロールプロパントリアクリレートが例示されるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。なおエチレンオキシ変性をEO変性、プロピレンオキシ変性をPO変性、エピクロロヒドリン変性をECH変性、アルキレン変性をHPA変性と記載している。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えばエポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型電荷輸送層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型電荷輸送層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
また、架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋型電荷輸送層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋型電荷輸送層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
<電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の説明>
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としては、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
本発明の架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物としては、官能基がいくつのものでも使用可能であるが、1官能のものが静電特性の安定性や膜質の点からより好ましい。2官能の場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化層構造の歪みが大きくなり、層の内部応力が高まる可能性がある。また、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が発生しやすくなる恐れがある。3官能以上のものはその傾向が特に顕著である。
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送性構造としては、電荷輸送機能を付与できるものであれば如何なる材料でも使用可能であるが、中でもトリアリールアミン構造が高い効果を有し有用である。これは、ホッピングサイトを多く有し、π共役が広がっているためであると考えられる。また、トリアリールアミンは、ラジカルカチオン状態時に互いに共役しやすい。これらの理由から、トリアリールアミン構造は電荷輸送機能に優れる。特に、式(1)又は(2)で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0005544733
〔式中、R40は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR41(R41は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表わす。)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR4243(R42及びR43は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)を表わし、Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar4、Ar5は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。〕
以下に、一般式(1)、(2)における置換基の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、R40の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。
40の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
Ar4、Ar5は置換もしくは無置換のアリール基であり、本発明において該アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が含まれる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1、1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9、9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar4、Ar5で表わされるアリール基は、例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基;
好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR82);
(式中、R82は(2)で定義したアルキル基を表わす。)
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基;
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4アルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基;
具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)以下の式で表わされる置換基;
Figure 0005544733
(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい。)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar2、Ar3で表わされるアリーレン基としては、前記Ar4、Ar5で表わされるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していてもよい。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3、3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基、エチレングリコール、プロピレングリコール等から誘導されるアルキレンジオキシ基、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等から誘導されるジまたはポリ(オキシアルキレン)オキシ基等が挙げられ、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基としては、以下の一般式で表わされる置換基が挙げられる。
Figure 0005544733
〔式中、Rfは水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar4、Ar5で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。〕
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(10)で表される構造の化合物が挙げられる。
Figure 0005544733
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Rは水素原子、メチル基を表わし、R、Rは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 0005544733
を表わす。)
上記一般式(10)で表わされる化合物としては、R、Rの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)、特に(10)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性のある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の架橋型電荷輸送層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造をとりうるものと推測される。
本発明に用いる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 0005544733
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また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、この成分は架橋型電荷輸送層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%を超えると電荷輸送構造を有しないラジカル重合性モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
以上に説明したように、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものが特に有効であるが、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーに機能性を付与した機能性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを用いることも可能であり、材料によっては非常に有効な場合がある。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーに機能性を付与した機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
<開始剤の説明>
また、本発明の架橋型電荷輸送層は、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(好ましくは3官能以上)及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(好ましくは1官能)を、熱、光、電離性放射線の少なくとも何れかを用いて同時に硬化させた架橋型電荷輸送層であるが、熱エネルギーや光エネルギーを用いて架橋型電荷輸送層を形成する場合には、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋型電荷輸送層中に重合開始剤を使用してもよい。電離性放射線を用いた架橋を行う場合は、通常重合開始剤を用いることなく架橋反応を得ることが可能であるが、電離性放射線照射後に残存する未硬化成分を硬化させるために、後処理として熱エネルギー及び/又は光エネルギーを付与することも可能であり、その場合でも下記に示す重合開始剤を添加すると効果的である。
熱重合開始剤としては、2、5−ジメチルヘキサン−2、5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2、5−ジメチル−2、5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4、4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1、4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2、3、4、5、6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2、6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2、4、6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2、4−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9、10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4、4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
<フィラー添加の説明>
本発明の架橋型電荷輸送層は、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を同時に硬化させた架橋型電荷輸送層であるが、これ以外に耐摩耗性の向上を目的としてフィラー微粒子を含有させることができる。
本発明のフィラー微粒子含有架橋型電荷輸送層は、架橋密度が高く、架橋していないフィラー含有バインダー樹脂層に比べて、樹脂部の耐摩耗性が高く、上記不均一な摩耗が抑制される。これに加えて、樹脂中に分散されたフィラー微粒子は、硬化樹脂架橋マトリックスに捉えられ、該架橋マトリックスのフィラー保持力が大きいため、フィラーの脱落も防止される。したがって、非常に耐摩耗性が高まると考えられる。
このフィラー微粒子としては、以下のようなものが使用できる。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、カーボン微粒子などが挙げられる。カーボン微粒子とは、炭素が主成分の構造を有する粒子のことであり、非晶質、ダイヤモンド、グラファイト、無定型炭素、フラーレン、ツェッペリン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の構造を有する粒子である。これらの構造の中で水素を含有するダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン構造を有する粒子は、機械的及び化学的耐久性が良好である。水素を含有するダイヤモンド状カーボン若しくは非晶質カーボン膜とは、SP3 軌道を有するダイヤモンド構造、SP2 軌道を有するグラファイト構造、非晶質カーボン構造などの類似構造が混在した粒子のことである。ダイヤモンド状カーボンもしくは非晶質カーボン微粒子は、炭素だけで構成されるのではなく、水素、酸素、窒素、フッ素、硼素、リン、塩素、臭素、沃素等の他の元素が含有されていてもかまわない。
無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンが有効に使用できる。また、コロイダルシリカやコロイダルアルミナなどの微粒子も有効に使用できる。
また、フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが架橋型電荷輸送層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.9μm以上の場合には、分散液中においてフィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
架橋型電荷輸送層中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、表面層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度である。また更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al23、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像流れ防止の点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像流れの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30重量%が適しており、5〜20重量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
<その他添加剤の説明>
更に、本発明の架橋型電荷輸送層塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分1重量部に対し20重量部以下、好ましくは10重量部以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量部以下が適当である。
<膜作製方法について>
本発明の架橋型電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー(好ましくは3官能以上)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(好ましくは1官能)とを含有する塗工液を、前述の第2の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。塗布に用いられる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。ここで用いられる溶剤としては、通常用いられるものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。
架橋型電荷輸送層形成の際に用いる塗工方法としては、一般に用いられている塗工方法であれば特に限定されない。塗工液の粘性、所望とする架橋型電荷輸送層の膜厚などによって適宜塗工方法を選択するとよい。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与えることにより、架橋型電荷輸送層を硬化させる。このとき用いられる外部エネルギーとしては、熱エネルギー、光エネルギー、電離性放射線を用いたエネルギーを用いることが可能であるが、電離性放射線を用いた場合には、そのエネルギー浸入深さ、エネルギー強度のために、電子写真感光体の構成材料の劣化に伴う電子写真特性の低下が懸念されることから、好ましくは熱エネルギー、光エネルギーを用いて硬化するとよい。また、光エネルギーを用いた硬化は製造時に使用する溶剤量低減や架橋に必要なエネルギーの低減、さらには架橋膜の強度増加が期待できるため、より好ましくは光エネルギーを用いるとよく、効果的に架橋させるために前記いずれか2つの手段を併用してもよい。
熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。100℃未満の場合、反応速度が遅いために生産性が低下するとともに、未反応の材料が膜中に残留する原因となる。一方、170℃より高い温度で処理した場合、架橋による膜の収縮が大きくなり、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがある。また、感光層中の揮発性成分が外部に霧散するなどした場合には、所望の電気特性を得られなくなるなどのことがあるため好ましくない。架橋による収縮が大きい樹脂を使用する際には、100℃未満の低温で予備架橋した後に100℃以上の高温で架橋を完結させる方法も有効である。
光エネルギーとしては、主に超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアークメタルハライドランプ等の光源を利用してもよく、好ましくは使用する電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(好ましくは1官能)、さらには併用する光重合開始剤の吸収特性を考慮して選定することがよい。使用光源の発光照度としては、一般に365nmの波長を基準として50〜2000mW/cmの照度で露光されるのがよい。また、最大発光波長近傍における照度測定が可能である場合は、上記照度域で露光することがさらに好ましい。照度が小さい場合には硬化に要する時間が多くなるため、生産性の観点から好ましくない。一方、照度が大きい場合には硬化収縮が起こりやすく、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがある。
電離性放射線とは、物質に電離作用を及ぼすことができる放射線であり、アルファ線や電子線に代表される直接電離性放射線や、X線や中性子線に代表される間接電離性照射線が挙げられる。本発明において用いることのできる電離性放射線は一般に用いられるものであれば特に限定されないが、人体への影響を鑑みた場合、好ましくは電子線がよい。電子線照射装置としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いた装置を使用するとよい。電子線の照射量は用いる材料、架橋型電荷輸送層の厚みに応じて適宜決定するとよいが、通常100〜1000keV、好ましくは100〜3000keVのエネルギーを持つ電子を0.1〜30Mrad程度照射すると好ましい。照射量が0.1Mrad未満の場合、電子線が架橋型電荷輸送層内部まで到達することができず、層深部の硬化不良が生じる恐れがあり好ましくない。又、照射量が30Mradを超えると、電子線が前述の電荷輸送層や電荷発生層に到達し、各層の構成材料に影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。
UV照射時または電離性放射線照射時には光源からの生じる熱線などの影響により、感光体架橋型電荷輸送層の温度が上昇する。感光体表面温度が上昇しすぎると、架橋型電荷輸送層の硬化収縮が起こりやすいこと、隣接層中に含まれる低分子成分が架橋型電荷輸送層に移行するために、硬化阻害などが生じたり、電子写真感光体としての電気特性が低下するなど好ましくない。そのためUV照射時の感光体表面温度は100℃以下、好ましくは80℃以下にするとよい。冷却方法としては感光体内部への助冷剤封入、感光体内部の気体や液体による冷却などを使用することができる。
硬化後の架橋型電荷輸送層に対して、必要に応じて後加熱をしてもよい。例えば、膜中に残留溶媒が多く残留している場合などは、電気的特性の低下や経時劣化の原因となりうるため、後加熱により残留溶媒を揮発させることが好ましい。
架橋型電荷輸送層の膜厚としては、感光層の保護の観点から1〜15μmが好ましく、より好ましくは3〜10μmがよい。架橋型電荷輸送層が薄い場合には感光体への当接部材による機械的摩耗や帯電器などによる近接放電などから感光層を保護できなくなるだけでなく、膜形成時にレベリングされにくくなるために、膜表面がゆず肌状になることがある。一方、架橋型電荷輸送層が厚い場合には感光体全層が厚くなり、電荷の拡散による画像の再現性が低下するため好ましくない。ただし、電荷輸送層の膜厚よりも架橋型電荷輸送層の膜厚が厚くなると、明部電位が上昇する傾向が強くなり好ましくない。本発明においては、第1の電荷輸送層の膜厚をT1、第2の電荷輸送層の膜厚をT2、架橋型電荷輸送層の膜厚をT3としたとき、下式(4)の関係を満たすことにより、それらの影響を抑制できるためより好ましい。
T1+T2 > T3×2 ・・・式(4)
<接着層について>
架橋型電荷輸送層/第2の電荷輸送層感光層間での接着性不良による層間剥離を防ぐことを目的として、必要に応じて両層間に接着層を設けてもよい。
接着層としては前記ラジカル重合性モノマーを用いてもよいし、非架橋系の高分子化合物を用いてもよい。非架橋系の高分子化合物としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるがこれに限定されない。また、ラジカル重合性モノマーと非架橋系高分子化合物はいずれを用いる場合についても単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。さらには、十分な接着性が得られるならばラジカル重合性モノマーと非架橋系高分子化合物を併用してもよい。もちろん、本明細書に記載の電荷輸送物質を用いても、併用してもよい。また、接着性を向上することを目的とすれば、適宜添加剤を用いてもよい。
接着層は所定の配合に処方された化合物をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒に溶解・分散した塗工液を浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。接着層の膜厚は、0.1〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜3μmが最も適当である。
<下引き層について>
本発明の感光体においては、導電性支持体と電荷発生層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に電荷発生層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
<ブロッキング層について>
また、導電性支持体と下引き層の間もしくは下引き層と電荷発生層との間にさらにブロッキング層を設けることも可能である。ブロッキング層は、導電性支持体からのホールの注入を抑制するために加えられるもので、主目的は地汚れの抑制にある。ブロッキング層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ポリアミド(可溶性ナイロン)、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。ブロッキング層の形成法としては、前記した方法、さらに公知の塗布法が採用される。なお、ブロッキング層の厚さは、0.05〜2μmが適当である。ブロッキング層と下引き層の2層構成とすることにより、地汚れ抑制効果は飛躍的に高まるが、残留電位上昇の影響が増加する傾向にある。そのため、ブロッキング層及び下引き層の組成や膜厚を十分考慮して決める必要がある。
<保護物質について>
電子写真感光体の低表面エネルギー化によるクリーニング性向上や、電気的・機械的ハザードからの保護を目的として、電子写真感光体の表面に保護物質を塗布してもよい。保護物質としては電子写真感光体表面に均一に塗布できるものであれば種々の材料を使うことが可能であるが、ワックス、シリコーンオイル、脂肪酸塩のような材料が有効である。脂肪酸塩は電子写真感光体の電気特性の低下を引き起こさずに感光体表面に薄層均一塗布が可能であることから特に有効である。脂肪酸としてはウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、アラキドン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸などが挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの金属との塩が挙げられる。
さらに、保護物質としてはステアリン酸亜鉛のようなラメラ結晶紛体を使用すると好適である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。この作用が低摩擦係数化に効果があるのであるが、放電からの感光体表面保護の観点から見た場合にも、せん断力を受けて均一に感光体表面を覆っていくラメラ結晶の特性は少量の保護物質によって効果的に感光体表面を覆うことができるので保護物質として望ましい。
保護物質の塗布方法については特に限定されないが、例えば、クリーニング部材など感光体に当接する部材にあらかじめ保護物質を塗布させておく方法や、専用の塗布部材をプロセスカートリッジと一体とする方法が挙げられる。専用の塗布部材を設ける場合は長期に亘って安定した量を塗布することができるため好ましい。
<<画像形成装置の構成について>>
次に図面に基づいて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成装置とは、本発明の架橋型電荷輸送層を有した電子写真感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写の各手段よりなり、さらに必要により定着及び感光体表面のクリーニングという手段よりなるものである。場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成装置では、感光体に配した上記手段を必ずしも有するものではない。
図2は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ(3)が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体(1)上に静電潜像を形成するために画像露光部(5)が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体(1)上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット(6)が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体(9)上に転写するために転写チャージャ(10)が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ(7)を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写体(9)を感光体(1)より分離する手段として分離チャージャ(11)、分離爪(12)が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ(11)としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ(14)、クリーニングブレード(15)が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ(13)を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用い
られる。除電手段としては除電ランプ(2)、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。図2において、4はイレーサ、8はレジストローラである。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等の手段は公知のものが使用できる。
本発明の画像形成装置は、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素が複数配列された構成とすることもできる。
また本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関するものである。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図3に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図3に例示される装置による画像形成方法について示すと、感光体(101)は、矢印方向に回転しながら、帯電手段(102)による帯電、露光手段(103)による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段(104)でトナー現像され、該トナー現像は転写手段(106)により、転写体(105)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段(107)によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、部及び%は重量基準である。
最初に、電荷発生物質(チタニルフタロシアニン結晶)の合成例について記載する。
(合成例1)
(チタニルフタロシアニン結晶の合成)
はじめに、本発明に用いたチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1、3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図4に示す。
<X線回折スペクトル測定条件>
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
(分散液1)
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及びチタニルフタロシアニン結晶を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、電荷発生層用塗工液を作製した。
チタニルフタロシアニン結晶 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
(合成例2)
特許第3166293号公報、合成例及び実施例1に準じて、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを合成した。
即ち、1、3−ジイミノイソインドリン30部及び三塩化ガリウム9.1部をキノリン230部中に添加し、200℃において3時間反応させた後、生成物を濾別した。次いで、アセトン、メタノールで洗浄し、湿ケーキを乾燥してクロロガリウムフタロシアニン結晶28部を得た。
次いで、上記クロロガリウムフタロシアニン結晶3部を濃硫酸60部に0℃にて溶解後、この溶液を5℃の蒸留水450部中に滴下して結晶を析出させた。蒸留水、希アンモニア水等で洗浄後、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶2.5部を得た。更に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.5部をジメチルホルムアミド15部及び直径1mmのガラスビーズ30部と共に24時間ミリングした後、結晶を分離した。次いで、メタノールで洗浄後、乾燥して、目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、合成例1と同じ条件によりX線回折スペクトル測定したところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを有していた。得られたスペクトルは、特許第3166293号公報、図8に記載のX線回折スペクトルと同様であった。
(分散液2)
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及びヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、電荷発生層用塗工液を作製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
(合成例3)
特許第3123185号公報、合成例及び実施例2に準じて、クロロガリウムフタロシアニンを合成した。
即ち、1、3−ジイミノイソインドリン30部及び三塩化ガリウム9.1部をキノリン230部中に添加し、200℃において3時間反応させた後、生成物を濾過し、アセトン、メタノールで洗浄した。次いで、湿ケーキを乾燥してクロロガリウムフタロシアニン結晶を得た。このクロロガリウムフタロシアニン結晶を、自動乳鉢で3時間乾式磨砕し、更にクロロガリウムフタロシアニン0.5部を、1mmφガラスビーズ60部と共に、室温下、水/クロロベンゼン1:10の混合溶媒20部中で24時間ボールミリング処理した後、瀘別し、メタノール10部で洗浄し、乾燥してクロロガリウムフタロシアニン結晶を得た。
得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶を、合成例1と同じ条件によりX線回折スペクトル測定したところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを有していた。得られたスペクトルは、特許第3123185号、図7に記載のX線回折スペクトルと同様であった。
(分散液3)
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及びクロロガリウムフタロシアニン結晶を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、電荷発生層用塗工液を作製した。
クロロガリウムフタロシアニン結晶 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
(合成例4)
特公平60−29109号公報及び特許第3026645号公報に記載の方法に準じて下記非対称アゾ顔料を作製し、以下に示す方法で分散を行った。
下記組成の処方にて、下記に示す分散方法にて分散を行い、電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。この分散液を分散液4とする。
(分散液4)
下記化学式で示される非対称アゾ顔料 5部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 2部
シクロヘキサノン 250部
2−ブタノン 100部
Figure 0005544733
<分散方法>
ボールミル分散機に直径10mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した溶媒およびアゾ顔料を全て投入し、回転数85r.p.m.にて7日間分散を行い、分散液を作製した。
(合成例5)
次に、後述する感光体作製例の架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例について記載する。
(1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例)
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記式A)113.85部(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138部(0.92mol)にスルホラン240部を加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99部(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。
この反応液にトルエン約1500部を加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。
その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。
得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。
この様にして下記式Bの白色結晶88.1部(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
Figure 0005544733
Figure 0005544733
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(例示化合物No.54)上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(式B)82.9部(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4部、水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2部(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73部(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
Figure 0005544733
<実施例>
導電性支持体としての直径100mmのアルミニウムシリンダーに、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、第1の電荷輸送層塗工液、第2の電荷輸送層塗工液、架橋型電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、約3.5μmの下引き層、約0.2umの電荷発生層、表7記載の膜厚の第1の電荷輸送層、第2の電荷輸送層、架橋型電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した。なお、各層の塗工後に指触乾燥を行った後、下引き層は130℃、電荷発生層は95℃、第1の電荷輸送層及び第2の電荷輸送層は120℃で各々20分乾燥を行った。
架橋型電荷輸送層は、架橋型電荷輸送層塗工液を前記導電性支持体/下引き層/電荷発生層/第1の電荷輸送層/第2の電荷輸送層からなる積層感光体上に塗布した後にUVランプ(バルブ種Hバルブ)(FusionUVシステムズ社製)を用いて、ランプ出力200W/cm、照度:450mW/cm、照射時間:30秒の条件で光照射を行なうことで架橋させた。この後、130℃20分の乾燥を行なうことにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/第1の電荷輸送層/第2の電荷輸送層/架橋型電荷輸送層からなる電子写真感光体を得た。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン: 50部
(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業(株)製)
アルキッド樹脂: 14部
(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業(株)製)
メラミン樹脂: 8部
(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)製)
2−ブタノン: 70部
電荷発生層、第1の電荷輸送層、第2の電荷輸送層、架橋型電荷輸送層の組成は以下の表に示す。
(電荷輸送層塗工液)
電荷輸送層塗工液に使用する材料は以下の通り。
電荷輸送物質
Figure 0005544733
置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物
Figure 0005544733
Figure 0005544733
酸化防止剤
・サノールLS―2626 三共製・・・AO−1
Figure 0005544733
・サノールLS―744 三共製・・・AO−2
Figure 0005544733
・BHT 関東化学製・・・AO−3
Figure 0005544733
<架橋型電荷輸送層塗工液材料>
架橋型電荷輸送層液は以下に示す材料を用いて作製した。カッコ内は処方表内で用いる略号を示す。
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物
Figure 0005544733
(電荷輸送構造を有しないラジカル重合性モノマー)
・トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製) ・・・(AM−1)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・6−ヘキサンジオールジアクリレート(和光純薬製)・・・(AM−2)
分子量:226、官能基数:2官能、分子量/官能基数=113
・ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)・・・(AM−3)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325
(フィラー)
・アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、スミコランダムAA03 住友化学工業製)
・・・(AA03)
(重合開始剤)
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)・・・I−184
以下に実施例で使用した電子写真感光体の処方表を示す。
なお、PC−Zは電荷輸送層に用いたビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂である。
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
<実機試験>
実機による通紙ランニングは、電子写真用プロセスカートリッジに前記電子写真感光体を装着し、リコー製imagioMP C6000改造機のカラーステーションを用いて、最大で100万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位−700V)を実施し、摩耗量測定、明部電位測定、画像濃度評価、地汚れ評価を行った。電位測定、画像出力はブラックステーションで行った。
表11には、摩耗量測定、明部電位測定等の感光体の特性の測定結果を示している。
(摩耗量測定)
ランニング10万枚、30万枚、100万枚終了後に感光体を取り出し、ランニング試験前後の感光体の膜厚の差から、摩耗量を測定した。膜厚測定は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー製)を用いた。
(明部電位測定)
暗部電位が−700(V)になるようにグリッド電位を調節した後、黒ベタ画像を出力することによって、ランニング前における明部電位を測定した。さらに、ランニング10万枚後及びランニング30万枚後、ランニング100万枚後においても同様にして明部電位を測定した。表面電位計はTREKMODEL344を用いた。
<NOxガス曝露試験>
前記通紙ランニングで使用した電子写真感光体とは別の電子写真感光体を用いてNOxガス曝露試験を行った。感光体表面に5cm角のテープを貼り、感光体をマスキングした。NOガス濃度40ppm、NO2ガス濃度10ppmの雰囲気に調整したチャンバー内に96時間静置することでガス曝露を実施した。ガス曝露終了後、リコー製imagio MP C6000を用いて画像濃度50%のハーフトーン画像を出力し、ガス曝部と、マスキング部(未曝露部)の画像濃度差を評価した。なお、マスキングされた部分はガス曝露されていないとみなす。
画像濃度差は以下の基準によった。
5:曝露部とマスク部の濃度差が肉眼では確認できないレベル
4:曝露部とマスク部の濃度差がわずかに確認できるレベル
3:曝露部とマスク部の濃度差が確認できるが、目視観察では問題ないレベル
2:曝露部とマスク部の濃度差がはっきりと確認できるレベル
1:曝露部とマスク部の濃度差が非常に大きいレベル
次に、実際の画像について、以下の評価項目で特性の評価も行った。
(画像濃度評価)
ランニング前、ランニング10万枚、30万枚終了後、100万枚終了後に画像濃度50%のハーフトーン画像を出力し、ランニング前後で濃度変化を確認した。
(地汚れ評価)
ランニング前、ランニング10万枚、30万枚終了後、100万枚終了後に白ベタ画像(光書き込みなし)を出力し、目視観察により地汚れを確認した。
(ネガゴースト評価)
ランニング前、ランニング10万枚、30万枚終了後、100万枚終了後に白ベタ画像(光書き込みなし)を出力し、目視観察によりネガゴーストを確認した。
地汚れ評価結果およびネガゴースト評価結果は表XXに示す。
以下の基準で評価を行った。
◎:地汚れ、ネガゴーストともに問題なし
○:地汚れ、ネガゴーストのいずれかにわずかに悪化が認められるが、問題ないレベル
その他異常画像が確認された場合は、その旨を記した。
<明部電位リピート測定>
リコー製imagio MP C6000改造機のブラックステーションを用いて、ベタ画像を1000枚連続で出力し、同時に明部電位を測定した。1枚目と1000枚目の画像濃度を比較し以下の基準で評価を行った。ランニング10万枚終了後、30万枚終了後、100万枚終了後にも同様にベタ画像を1000枚連続で出力し、同時に明部電位を測定し、1枚目と1000枚目の画像濃度を比較し以下の基準で評価を行った
5:1枚目と1000枚目の濃度差が肉眼では確認できないレベル。
4:1枚目と1000枚目の濃度差がわずかに確認できるレベル
3:1枚目と1000枚目の濃度差が確認できるが、目視観察では問題ないレベル
2:1枚目と1000枚目の濃度差がはっきりと確認できるレベル
1:1枚目と1000枚目の濃度差が非常に大きいレベル
上記試験結果を以下の表に示す。
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
Figure 0005544733
上記結果から、関係式(1)を満足し、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された、架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体は、ランニング試験後においても明部電位上昇は少なく、ネガゴーストやNOx曝露による画像流れも観察されず、耐摩耗性にも優れ、地汚れの発生も抑制され、画像連続出力時の急激な明部電位上昇を抑制できた。また、上記結果から、電荷輸送層に、一般式(4−1)で表される化合物、一般式(5−1)で表される化合物、一般式(5−2)で表される化合物、一般式(6)で表される化合物を含有させるとさらに画質安定性が向上することが確認できた。
その結果長期繰り返し使用後においても高画質画像を安定に得ることが可能となった。特に、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基数が3以上であり、分子量/官能基数が250以下のものと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物架橋させることで耐摩耗性が向上し、さらに架橋型電荷輸送層にフィラーを含有させることで大幅に耐摩耗性が向上した。
また、上記結果から、電荷輸送層の電荷輸送物質がジスチリル化合物、特にジスチリルベンゼン誘導体の場合、明部電位低減に大きな効果があることが確認された。さらに、上記結果から、一般式(3)で表されるジスチリルベンゼン誘導体のR3、R8、R19及びR24のうち少なくとも1つがメチル基である場合、明部電位低減に有効であることが確認された。
また、電荷輸送層にヒンダードアミン系酸化防止剤、あるいはヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有すれば、NOxガス曝露後の画像濃度変動を抑制できることが確認された。同一分子中に、ヒンダードアミンとヒンダードフェノール骨格の両方を有する酸化防止剤は特にNOxガス曝露後の画像濃度変動に効果があった。
また、上記結果から、第1の電荷輸送層の膜厚が第2の電荷輸送層の膜厚の2倍より薄い場合、NOx曝露後の画像濃度差が大きくなることが確認され、第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層の膜厚も高画質化に対し重要な因子であることが確認された。
また、上記結果から、電荷輸送層の膜厚が架橋型電荷輸送層の膜厚の2倍より薄い場合、明部電位が上昇する傾向が確認され、電荷輸送層と架橋型電荷輸送層の膜厚も高画質化に対し重要な因子であることが確認された。
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 導電性支持体
32 電荷発生層
33 第1の電荷輸送層
34 第2の電荷輸送層
35 架橋型電荷輸送層
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
特開2002−139859号公報 特開2001−125286号公報 特開2001−324857号公報 特開2003−098708号公報 特開平5−181299号公報 特開2002−006526号公報 特開2002−082465号公報 特開2000−284514号公報 特開2000−284515号公報 特開2001−194813号公報 特許第3194392号公報 特開2004−302451号公報 特開2007−072139号公報 特開2002−207308号公報 特開2000−292959号公報 特開2003−186222号公報 特開平4−284459号公報 特開2001−255685号公報 特開2007−279678号公報 特開2007−272191号公報 特開2007−272192号公報 特開2005−99688号公報 特開2000−242008号公報 特開平11−352710号公報 特開平8−082941号公報 特許第3287126号号公報 特開平07−244389号公報 特開2005−047695号公報 特開2002−207308号公報 特開2008−70676号公報

Claims (25)

  1. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、第1の電荷輸送層、第2の電荷輸送層及び電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成された、架橋型電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、
    該第1の電荷輸送層はトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物を含有し、
    該第2の電荷輸送層はトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、第1の電荷輸送層に含有される化合物と同一の、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物を含有し、
    第1の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくともの1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC1、
    第2の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC2、としたとき、
    下記式(1)が成り立つ
    0 ≦ C2 < C1 ・・・式(1)
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 更に前記C1について下記式(2)が成り立つ
    0.005 < C1 < 0.15 ・・・式(2)
    ことを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基及び/又は前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基数が3以上であり、官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)が、250以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の電荷輸送性構造が、トリアリールアミン構造である
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、
    下記一般式(1)又は(2)で示される化合物の少なくとも一種である
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005544733
    (式中、R40は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR41(R41は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表わす。)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR4243(R42及びR43は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)を表わし、Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar4、Ar5は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
  7. 前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(4−1)で表されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005544733
    (式中、R92、R93は芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。また、R92、R93は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。j、kは0〜3の整数を表わす。ただしjとkが同時に0となることはない。R94、R95は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Ar51、Ar52は置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  8. 前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(5−1)で表されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005544733
    (式中、R96、R97は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。ただし、R96、R97のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R96、R97は互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。Ar53、Ar54は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。p、qはそれぞれ0〜3の整数を表わす。ただし、p、qが同時に0となることはない。rは1〜3の整数を表わす。)
  9. 前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(5−2)で表されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005544733
    (式中、R98、R99は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。ただし、 98 99 のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R98、R99は互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。Ar55、Ar56は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。s、tはそれぞれ0〜3の整数を表わす。ただし、s、tが同時に0となることはない。uは1〜3の整数を表わす。)
  10. 前記少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物が下記一般式(6)で表されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005544733
    (式中、R101、R102は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、同一でも異なっていてもよい。但し、R101、R102のいずれか1つは置換もしくは無置換のアルキル基である。また、R101、R102は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。Ar57は置換もしくは無置換の芳香環基を表わす。)
  11. 前記第1の電荷輸送層及び第2の電荷輸送層に含有されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質がジスチリル化合物であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記トリアリールアミン構造を有するジスチリル化合物が下記構造を示す一般式(3)で示されるジスチリルベンゼン誘導体である
    ことを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
    Figure 0005544733
    〔上式中、R1〜R30は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたアリール基、無置換のアリール基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
  13. 前記一般式(3)で示されるジスチリルベンゼン誘導体のR3、R8、R19及びR24のうち少なくとも1つがメチル基である
    ことを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記前記第1の電荷輸送層及び/又は第2の電荷輸送層がヒンダードフェノール誘導体及びヒンダードアミン誘導体から選択される少なくとも1種類の酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体。
  15. 前記酸化防止剤が、同一分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造とを有する化合物であることを特徴とする請求項14に記載の電子写真感光体。
  16. 前記電荷発生層に電荷発生物質として、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、及びクロロガリウムフタロシアニンの中から選ばれるいずれか1又は2以上を含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の電子写真感光体。
  17. 前記チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°のピークと9.4°のピークとの間に回折ピークを有しなく、26.3°に回折ピークを有しないチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
  18. 前記第1の電荷輸送層の膜厚T1と前記第2の電荷輸送層の膜厚T2が、下記式(3)の関係を満たす
    ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の電子写真感光体。
    T1 > T2×2 ・・・式(3)
  19. 前記第1の電荷輸送層の膜厚T1と前記第2の電荷輸送層の膜厚T2と前記架橋型電荷輸送層の膜厚T3が、下記式(4)の関係を満たす
    ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の電子写真感光体。
    T1+T2 > T3×2 ・・・式(4)
  20. 前記架橋型電荷輸送層がフィラーを含有することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の電子写真感光体。
  21. 請求項1記載の電子写真感光体の製造方法であって、
    導電性支持体上に電荷発生層を形成する工程、
    該電荷発生層の上に、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物とを含有する塗工液を塗布して第1の電荷輸送層を形成する工程、
    該第1の電荷輸送層の上にトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質と、第1の電荷輸送層に含有される化合物と同一の、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物とを含有する塗工液を塗布して第2の電荷輸送層を形成する工程、
    該第2の電荷輸送層の上に電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とをふくむ塗工液を塗布し硬化して架橋型電荷輸送層を形成する工程とを含み、
    第1の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくともの1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC1とし、第2の電荷輸送層の固形分重量に対する少なくとも1つのアルキルアミノ基を有するアリールアミン化合物の重量比をC2としたとき、下記式(1)が成り立つ
    0 ≦ C2 < C1 ・・・式(1)
    ようにしたことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  22. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至20のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  23. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素が複数配列され、該電子写真感光体が請求項1乃至20のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  24. 電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となったカートリッジを搭載し、かつ該カートリッジが装置本体に対し着脱自在であることを特徴とする請求項22又は23に記載の画像形成装置。
  25. 電子写真感光体と帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が請求項1乃至20のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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