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JP5545107B2 - 動力伝達チェーン用ピンの研削装置及び研削方法 - Google Patents
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JP5545107B2 - 動力伝達チェーン用ピンの研削装置及び研削方法 - Google Patents

動力伝達チェーン用ピンの研削装置及び研削方法 Download PDF

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Description

本発明は、動力伝達チェーン用ピンを研削する装置及び方法に関する。
例えば自動車のチェーン式CVT(Continuously Variable Transmission)には、動力伝達用にチェーンが使用されている。このチェーンは、リンクプレートと呼ばれる薄板を重ねた構造の単位部材を、ピンを介して無端状に、かつ、屈曲自在に連結したものである。図10は、ピンの斜視図である。図において、ピン1の長手方向の両端面1aは、CVTの円錐プーリに接触する部位であり、図示のように全体的に傾斜し、かつ、エッジロードを低減するため、2方向にクラウニング加工が施されている。この端面1aのA矢視形状は、楕円に近いものである。
図10において、互いに直交する3方向をX,Y,Zとして、Zはピンの長さ方向、Xは幅方向、Yは厚さ方向とする。各端面1aには、互いに交差する2方向に曲率を有するダブルクラウニング加工が施され、X−Z平面における曲率半径がR1、Y−Z平面における曲率半径がR2である。また、端面1aの中央が、端面全体から見て最も凸な位置すなわち、頂点Pとなっている。
図11は、上記ピン1を研削する装置(例えば、特許文献1参照。)の主要部を示す図であり、(a)は砥石103と、複数のピン1を保持したキャリア102とを示す部分的正面図、(b)は砥石103の断面図である。図中のX,Y,Z3方向は、図10における3方向と対応し、通常、X,Zは水平方向、Yは鉛直方向である。キャリア102には、その周方向に等間隔にピン1が装着されている。キャリア102に装着されたピン1は、両端面1aをキャリア102から突出させて、Z方向に平行に支持されている。なお、キャリア102は、実際には図示しているものより相対的に大径であるが、ここでは小径なキャリア102を想定して描いている。
一方、砥石103の外周近傍には、断面形状が図示のような形状となる周溝103aが形成されている。周溝103aの軸方向(Z,−Z方向)両側壁は、傾斜した砥面103bであり、これらは、Z方向に互いに対向して対称な形状を成している。また、(b)において、ピン1を研削する砥面103bの部分は、曲率半径がR1となるように仕上げられている。このR1は、研削仕上がり時のピン1の曲率半径R1(図10)に対応する。また、キャリア102の中心軸102zから見たピン1の中心までの回転半径は、R2’である。研削仕上がり時のピン1の曲率半径R2(図10)は、このR2’に基づくものである。
研削は、砥石103が一定速度で回転している状態で、その一対の砥面103b間を、キャリア102の回転によってピン1を通過させることにより行われる。ピン1の両方の端面1aは、回転する砥面103bにより同時に研削される。
国際公開番号WO2006/043605A1のパンフレット
上記のような従来の動力伝達チェーン用ピンの研削装置では、エッジロードのさらなる低減等の理由から、ピン1の端面1aの曲率半径R2をさらに小さくする要請がある。図11の(a)は、このことを意識してキャリア102を意図的に実寸イメージよりも小径に表している。しかしながら、キャリア102の回転中心となる中心軸102zは、実際には所定の直径を持つシャフトであり、当該シャフトは砥石103の外周端との間に一定の隙間を確保しなければならない。従って、図11におけるR2’を小さくするにも限界がある。また、キャリア102を小径化し過ぎると、一度に多数のピンを保持することが困難となり、研削作業全体の能率が悪くなる。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、キャリアを小径化せずにピンの端面の曲率半径(R2)をさらに小さくすることができる動力伝達チェーン用ピンの研削装置及び研削方法を提供すること、を目的とする。
(1)本発明の動力伝達チェーン用ピンの研削装置は、第1中心軸周りに回転する回転体であって、外周近傍に、被研削部材である動力伝達チェーン用ピンの両端面を研削する一対の砥面を有する砥石部と、前記第1中心軸と平行な第2中心軸周りに回転する回転体であって、前記ピンを、前記第1中心軸に平行な姿勢で保持して前記一対の砥面間に挿入し、通過させるキャリアと、前記砥石部に対して前記ピンが最も深く入り込んで研削される最深位置の前後位置では前記第2中心軸が前記第1中心軸に相対的に近づいており、当該最深位置では相対的に遠ざかっている進退動作をするように前記キャリアを駆動する駆動機構とを備えたものである。
上記のように構成された動力伝達チェーン用ピンの研削装置では、第2中心軸を中心としてピンの端面の中心までが、本来のピン送り半径である。しかし、最深位置の前後位置では第2中心軸が第1中心軸に相対的に近づいており、最深位置では相対的に遠ざかっている進退動作をすることによって、擬似的にピン送り半径が小さくなる。従って、擬似的に小さくなったピン送り半径に基づいて、ピンの端面の対応する曲率半径をさらに小さくすることができる。
(2)また、上記(1)の研削装置において、進退動作は、一定変位量の前進をした状態で、ピンが最深位置の前位置としての研削開始位置に来るように、キャリアの回転と同期して行われるようにしてもよい。
この場合、擬似的にピン送り半径が小さくなった状態で研削が開始されるので、確実にピンの端面の曲率半径を小さくすることができる。また、最深位置では第2中心軸が後退しているので、ピンの端面における頂点の研削が深くなるということはない。
(3)また、上記(1)の研削装置において、駆動機構は、キャリアとカム機構を構成することによって進退動作を生じさせるようにしてもよい。
この場合、カム機構によって、安定した確実な進退動作を実現することができる。
(4)一方、本発明は、第1中心軸周りに回転する回転体であって、外周近傍に、被研削部材である動力伝達チェーン用ピンの両端面を研削する一対の砥面を有する砥石部と、前記第1中心軸と平行な第2中心軸周りに回転する回転体であって、前記ピンを、前記第1中心軸に平行な姿勢で保持するキャリアとを有する研削装置を用いて行う動力伝達チェーン用ピンの研削方法において、回転する前記砥石部の前記一対の砥面間に前記キャリアにより前記ピンを挿入して通過させるとき、(i)前記砥石部に対して前記ピンが最も深く入り込んで研削される最深位置の前位置では前記第2中心軸を前記第1中心軸に相対的に近づけ、(ii)前記最深位置では前記第2中心軸を前記第1中心軸から相対的に遠ざけ、(iii)前記最深位置の後位置では前記第2中心軸を前記第1中心軸に相対的に近づける、という進退動作を前記キャリアが実行するものである。
このような動力伝達チェーン用ピンの研削方法では、第2中心軸を中心としてピンの端面の中心までが、本来のピン送り半径である。しかし、(i)〜(iii)のステップにより、最深位置の前後位置では第2中心軸が第1中心軸に相対的に近づいており、最深位置では相対的に遠ざかっている進退動作が実現され、擬似的にピン送り半径が小さくなる。従って、擬似的に小さくなったピン送り半径に基づいて、ピンの端面の対応する曲率半径をさらに小さくすることができる。
本発明の動力伝達チェーン用ピンの研削装置又は研削方法によれば、キャリアを小径化せずにピンの端面の曲率半径をさらに小さくすることができる。
本発明の一実施形態に係る動力伝達チェーン用ピンの研削装置における全体構成の第1例を示す正面図である。 (a)は、図1におけるキャリア及び砥石の部分拡大図であり、(b)は、(a)における中心線を含む水平断面図である。 (b)は、図2の(b)と同様のキャリア及び砥石の断面図、また、(a)は(b)と対応させてキャリアの中心軸の進退動作を幾何学的に示す図である。 図3の(a)を、経時的に分けて示した図である。 図1の研削装置における駆動機構としてカム機構を採用した例を示す図である。 図5と同様の図であるが、1つのピンに対する研削加工を1サイクルとしたときの、図5の状態から半サイクル前又は半サイクル後の状態を示している。 研削装置の全体構成の第2例を示す正面図である。 (a)は、図7におけるキャリア及び砥石の部分拡大図であり、(b)は、(a)における中心線を含む要部の水平断面図である。 図8におけるピン保持部を拡大して示した斜視図である。 ピンの斜視図である。 従来の研削方法によりピンを研削する装置の主要部を示す図であり、(a)は砥石と、複数のピンを保持したキャリアとを示す部分的正面図、(b)は砥石の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る動力伝達チェーン用ピンの研削装置(研削方法)について、図面を参照して説明する。なお、研削によって製造しようとするピン1の形態については、図10に既に示した通りであり、ここでは説明を省略する。
《全体構成:第1例》
図1は、研削装置100の全体構成の第1例を示す正面図である。
図1において、相互に直交する水平(横)、鉛直、奥行の各方向を図示のように、X方向、Y方向、Z方向とする。これらの方向は、研削時のピン1の図10における各方向とも対応する。研削装置100は、基台4と、基台4に対してX方向と平行に移動可能に取り付けられた砥石支持台5と、砥石支持台5によって中心軸3z周りに回転自在に支持された砥石3と、砥石支持台5に対してX方向及びY方向とそれぞれ平行に移動可能に取り付けられたドレッサー支持台6,7と、ドレッサー支持台6,7によって支持されたドレッサー8とを備えている。
また、研削装置100は、基台4に取り付けられたキャリア支持台9と、キャリア支持台9に取り付けられ、キャリア2にX方向への進退動作をさせ得る駆動機構10と、この駆動機構10を介してキャリア支持台9に支持され、かつ、Z方向に平行な中心軸2z周りに回転自在に支持された円盤状のキャリア2とを備えている。
なお、上下方向(Y方向)への移動用のドレッサー支持台7を備えていない研削装置もあり、その場合には、ドレッサー8は、キャリア2及び砥石3の中心線CL1上に配置される。
また、図は、構造をわかりやすく示すことを主眼においたもので、図示している各部の大きさは実際の寸法と必ずしも比例関係ではない。このことは、後述の図2〜9についても同様である。
キャリア2及び砥石3は、それぞれ図示しないモータによって反時計回り方向に回転駆動される。キャリア2は、例えば2段階(高速・低速)の回転速度で回転させることができ、研削時には低速回転となる。
また、ドレッサー8も図示しないモータによって回転駆動される。砥石3及びドレッサー8を回転させながら、ドレッサー支持台6,7によってドレッサー8を砥石3に接触させることにより、砥石3を所望の形状に成形することができる。
図2の(a)は、図1におけるキャリア2及び砥石3の部分拡大図である。キャリア2の中心軸2zと、砥石3の中心軸3zとは、同一のX方向の中心線CL1上にある。(b)は、(a)における中心線CL1を含む水平断面図である。キャリア2には、その周方向に等間隔にポケット2aが設けられており、ピン1が、図示しない治具を用いて装着される。キャリア2のポケット2aに装着されたピン1は、両端面をキャリア2から突出させて、Z方向に平行に支持されている。なお、ポケット2a及びピン1の数は、単に一例を示すものであり、さらに密に設けられる場合もある。
砥石3は、全体として円盤状の回転体であり、Z方向への中心軸3zを中心として例えば反時計回り方向に一定速度で回転する。
一方、砥石3の外周近傍には、断面形状が図示のような形状となるように外周面から内方に切り込んだ周溝3aが形成されている。周溝3aの外周側寄りの、軸方向(Z,−Z方向)両側壁は、傾斜した(全周で見ると円錐面状の)砥面3bとなっており、これらは、Z方向に互いに対向して対称な形状を成している。(b)において、ピン1を研削する砥面3bの部分は、曲率半径がR1となるように仕上げられている。このR1は、研削仕上がり時のピン1の曲率半径R1に対応するものである。
研削は、砥石3が一定速度で回転している状態で、その一対の砥面3b間を、キャリア2の回転によってピン1を通過させることにより行われる。このときキャリア2は、砥面3b間に次に投入されるピン1が、砥面3bによって実際に研削される回転範囲にあるときは低速で回転し、それ以外のときは高速で回転する。図2の(a)においてキャリア2の「3時」の位置にある研削時のピン1は、その厚さがY方向、長さがZ方向、幅がX方向となる姿勢であり、厚さ方向の中心線が、X方向(水平方向)への砥石3の中心線CL1上にある。ピン1の両端面1aは、一対の砥面3bによって同時に研削される。これにより、砥面3bの曲率で研削され、ピン1の端面1aには外側へ凸形状の曲率半径R1の曲面が形成される。
一方、砥石3によって研削される回転範囲にピン1が入るのと同期して、キャリア2の中心軸2zがX方向へ一定変位量の進退動作を行う。具体的には、砥石3に対してピン1が最も深く入り込んで研削される図2の(a)における3時のピン1の位置を最深位置、また、その最深位置の前後位置のうち、ピン1の端面1aの研削が開始される位置を前位置、最深位置を挟んで前位置と逆の位置を後位置とそれぞれ定義すると、以下の進退動作となる。
すなわち、(i)まず、最深位置の前位置ではキャリア2の中心軸2zを砥石3の中心軸3zに近づけ、(ii)次に、最深位置ではキャリア2の中心軸2zを砥石3の中心軸3zから遠ざけ、そして、(iii)最深位置の後位置ではキャリア2の中心軸2zを砥石3の中心軸3zに近づける。
《キャリアの中心軸変位と研削との関係》
図3の(b)は、図2の(b)と同様のキャリア2及び砥石3の断面図、また、図3の(a)は(b)と対応させて上記の進退動作を幾何学的に示す図である。図3の(a)において、3つの楕円はピン1の端面1aを概念的に示している。斜線を付した中央の楕円が、砥面3bとの関係で最深位置にあるピン1を表している。前述のように、図1又は図2に示すキャリア2は、反時計回り方向に回転するため、図3の(a)において、研削されるピン1は、紙面の下方側から上方側へ通り抜ける。従って、下方の楕円は研削時に最深位置より前位置となり、研削の開始位置である。上方の楕円は最深位置を挟んで前位置と逆の位置すなわち、後位置である。
図中のrgは、砥石3の中心軸3zから最深位置のピン1の端面1aの中心P(図10の頂点Pとほぼ同じ。)までの長さを表している。r0は、キャリア2の中心軸2zから最深位置のピン1の端面1aの中心Pまでの長さすなわち、ピン送り半径を表している。Cは、中心軸2zが変位量Δxだけ前進したときの位置を表している。円弧Aqは、キャリア2上の点Q(固定点)の移動する軌跡を示し、その半径は(rg+r2)である。r2は、擬似的に得たい所望のピン送り半径である。また、図示のように、角度θ及びφを規定する。
《変位量の算出法》
ここで、図3の(a)において、キャリア2の中心軸2zの変位量Δxに関する関係式を導出する。中心軸2zの本来の位置を原点とすると、点Qの座標(xq,yq)は、以下のように表される。
xq=r0+rg−(rg+r2)cos(φ−θ) ...(1)
yq=(rg+r2)sin(φ−θ)
=(r0−r2)sinθ ...(2)
式(1)、(2)よりθを求めると、
θ=arctan[(rg+r2)sinφ/{r0−r2+(rg+r2)cosφ}] ...(3)
となる。
また、点Cの座標(xc,yc)は、(Δx,0)である。線分CQは、
CQ=r0−r2 ...(4)
であることを用いると、
Δx=[(r0−r2)−{(rg+r2)sinθ}1/2+{r0+rg−(rg+r2)cos(φ−θ)} ...(5)
となる。
上記式(5)において、r0、rgは構造的に決まる値である。また、θは研削開始の位置から求めることができる。φは、θに依存する。従って、上記式(5)は、所望のr2を得るために必要な変位量Δxを示す式となる。逆に言えば、変位量Δxを決定すればr2も決まる。
《変位のタイミング》
図4は、図3の(a)を、経時的に分けて示した図である。すなわち、図4の(a)はピン1が前位置にあるとき、(b)は最深位置にあるとき、(c)は後位置にあるとき、をそれぞれ示している。(a)において、中心軸2zは、ピン1が研削開始される前位置に達したとき(又はその時までに)X方向へ、変位量Δxの前進をしている。次に、ピン1が(a)の位置から(b)に示す最深位置に移動するまでに中心軸2zは後退し、元の位置に戻る。そして、ピン1が(b)の位置から(c)に示す後位置に移動するまでに再び変位量Δxだけ前進する。このような一連の動きをピン1個に対する1サイクル動作として、逐次、サイクル動作を繰り返す。
ここで、ピン1の中心が移動する軌跡は、点Qを中心とした半径r2の円上である。従って、ピン1は、ピン送り半径r2で回動しているのと同じである。なお、厳密には(a)、(b)、(c)で点Qの位置が異なるため、半径r2の円は同一ではないが、角度θが小さいため、ピン1がピン送り半径r2で回動しているとみなすことができる。
以上のように、当該研削装置では、キャリア2の中心軸2zを中心としてピン1の端面1aの中心Pまでが、本来のピン送り半径(r0)である。しかし、最深位置の前後位置では中心軸2zが砥石3の中心軸3zに近づいており、最深位置では遠ざかっている進退動作をすることによって、擬似的にピン送り半径がr0からr2に、小さくなる。このピン送り半径r2は、ほぼ、ピン1の端面1aの曲率半径R2(図10)に一致する。従って、擬似的に小さくなったピン送り半径に基づいて、ピン1の端面1aの曲率半径R2をさらに小さくすることができる。すなわち、この動力伝達チェーン用ピンの研削装置によれば、キャリア2を小径化せずにピン1の端面1aの曲率半径R2をさらに小さくすることができる。
また、進退動作は、一定変位量Δxの前進をした状態で、ピン1が最深位置の前位置である研削開始位置に来るように、キャリア2の回転と同期して行われるので、擬似的にピン送り半径が小さくなった状態で研削が開始される。従って、確実にピン1の端面1aの曲率半径R2を小さくすることができる。また、最深位置では中心軸2zが後退しているので、ピン1の端面1aにおける頂点P(図10)の研削が深くなるということはない。
なお、上記のような研削装置(研削方法)における擬似的なピン送り半径r2には理論的な下限値はなく、極小化も可能となる。
また、ピン1の付け替えなしで一気に両端面1aが研削されることにより、付け替えに伴う誤差が生じないので、研削の精度に優れている。
《駆動機構の例》
キャリア2に、上記のような進退動作をさせる駆動機構10(図1)は、研削されるピン1の角度検知や、それに基づく一定変位量の進退動作ができる構成であればよく、例えば、角度検知のセンサや、進退駆動用のサーボモータ等により制御系として構成することができる。また、電気的な制御に依存せず、キャリア2の一定量回動に連動するリンク機構によって往復のストローク動作を生み出すメカニカルな構成でもよい。
図5は、駆動機構10としてカム機構を採用した例を示す図である。図において、このキャリア2は、18個のピン1を保持している。キャリア2と一体回転する中心軸2zには、カム2cが固定されている。カム2cの外周には滑らかな凹凸が形成され、そのうちの凹部は、角度的にピン1に対応する18箇所に形成されている。係合ピン11は、キャリア2とは別に固定して設けられており、カム2cと係合する。すなわち、キャリア2側のカム2cと、係合ピン11とによってカム機構が構成される。中心軸2zは、図示しないモータによって回転駆動され、かつ、X方向に所定範囲で(すなわち変位量の分だけ)移動可能である。図示の状態では係合ピン11はカム2cの凹部に係合している。3時の位置にあるピン1は、研削の最深位置にある。
一方、図6では、1つのピン1に対する研削加工を1サイクルとしたときの、半サイクル前又は半サイクル後の状態を実線で示している(点線は図5の状態)。前述の前位置は、半サイクル前から最深位置までの途中にあるか又は、半サイクル前の位置そのものであってもよい。後位置は、最深位置から半サイクル後までの途中にあるか又は、半サイクル後の位置そのものであってもよい。図6の状態では、係合ピン11がカム2cの凸部に乗り上げている。これにより、固定点である係合ピン11に対して中心軸2zを含むキャリア2全体がX方向へ一定量移動している。この一定量として、前述の変位量Δx以上の値を確保することにより、キャリア2は、自己の一定角度の回転に同期して、中心軸2zに1往復の進退動作をさせることができる。このようなカム機構によれば、安定した確実な進退動作を実現することができる。
《全体構成:第2例》
以下、研削装置の全体構成に関する他の例について参考のため説明する。
図7は、研削装置100の全体構成の第2例を示す正面図である。この第2例は、キャリア2の構成(形状及びピン保持の構造)が第1例とは異なるが、それ以外は同じであり、キャリア2を進退動作させる点も同じである。
第2例におけるキャリア2は、図示のように、円盤状の部材の外周面に切り欠きが等間隔に形成された形状を有している。
図8の(a)は、図7におけるキャリア2及び砥石3の部分拡大図である。キャリア2の中心軸2zと、砥石3の中心軸3zとは、同一のX方向の中心線CL1上にある。図8の(b)は、(a)における中心線CL1を含む要部の水平断面図である。キャリア2には、その周方向に等間隔に例えば8箇所、周面を切り欠いて形成されたピン保持部20が設けられており、ピン1が保持されている。ピン保持部20に保持されたピン1は、その両端面がキャリア2から突出した状態で、Z方向(中心軸3z)に平行に保持されている。
なお、砥石3の構成については、第1例と基本的に同様であるので、説明を省略する。
図9は、ピン保持部20を拡大して示した斜視図である。ピン保持部20は、キャリア2の径方向線上に沿い、かつ、中心軸2zに平行に形成されたピン保持面21と、ピン保持面21に対して段差が設けられた段差面22に固定された板状の押さえ部材23とを備えている。ピン1は、その下面及び側面をそれぞれ、ピン保持面21及び、このピン保持面21と段差面22とを繋ぐ段部22aに当接させて位置決めされる。また、ピン1は、ピン保持面21と、押さえ部材23との間に挟持され、上述したように、両端面をキャリア2から突出させた状態で、Z方向に平行に保持されている。
押さえ部材23は、例えばばね鋼を図示の形状に成形した板ばねであり、その一端部側は中央部付近までシム24,25で挟持されつつボルト26によって段差面22に固定されており、他端部側は、段差面22から突出させることで突出部23aを成している。この突出部23aは、ピン1を挟持しない状態で、ピン保持面21に対してピン1の厚さ寸法よりやや小さい寸法を置いて対向している。板ばねである突出部23aは適度な弾性変形が可能であり、ピン1を保持したときに発生する弾性変形による弾性力によって、ピン1を適度に挟持することができる。
また、一対のピン保持面21の間には凹部27が形成されており、そのため、ピン1の下面(X−Z面)は、その両端部近傍2箇所のみで、ピン保持面21と当接している。この場合、ピン1はZ方向に互いに離れた2箇所で保持されるので、姿勢が安定するとともに、保持状態におけるピン1のがたつき等の発生を最小限に抑制することができる。また、ピン保持面21とピン1との接触面積が減少するので、ピン1の着脱時の抵抗を小さくすることができ、より着脱が容易になる。
上記のように構成された第2例の研削装置100において、研削は第1例と同様にして行われ、ダブルクラウニング(曲率半径R1,R2)が形成される。
また、保持されるピン1は砥面3bの研削方向に相対するピン保持面21に当接して保持されるので、両端面1aの研削に伴ってピン1に作用する研削抵抗の大半をピン保持面21によって受け止めることができる。従って、ピン1を頑強に保持せずとも、ピン保持面21と弾性変形可能な押さえ部材23とによって挟持するという比較的簡単な構成で保持でき、しかも、複雑な手順を要することなくピン1を着脱できる。
なお、上記第2例では押さえ部材23に板ばねを用いたが、弾性変形可能であってピン1を着脱可能に挟持できるものであればよく、例えば樹脂等を用いることもできる。また、押さえ部材23の形状についても、ピン1を着脱可能に挟持できる形状であれば板状に限定されるものではない。
《その他》
なお、上記全体構成の各例に共通な前述のキャリア2の進退動作に関して、例えば図3の(a)における中心軸2zの位置を本来の位置として、そこからΔxの変位を生じる、として説明したが、周期的に進退動作が繰り返される状態では、どちらが本来の位置かは便宜上の設定に過ぎない。すなわち、図3の(a)における点Cの位置が本来の位置で、Δxの変位を(−x)方向に生じさせていると解することもできる。但し、キャリア2の中心軸2zを砥石3の中心軸3zに対して相対的に「近づける」若しくは「遠ざける」、又は、キャリア2の中心軸2zが砥石3の中心軸3zに対して相対的に「近づいている」若しくは「遠ざかっている」という関係は、上記解釈に関わらず共通である。
なお、上記全体構成の第1例、第2例では共に、砥石3は基本的に単一の部材である。このような構成によれば、両方の砥面3bは1つの砥石3に属するので、周溝3aの寸法精度を確保しやすく、従ってピン1の研削の精度を確保することが容易である。但し、例えば砥面3bを有する同一形態の一対の砥石3を用意し、砥面3b同士を、所定の間隔をとって互いに対向させるように組み合わせ、全体として実質的に図2の(b)に示すような形態の「砥石部」を構成してもよい。また、中間に砥石以外の基材を挟んだ3層構造の「砥石部」であってもよい。
1:ピン(動力伝達チェーン用ピン)、2:キャリア、2c:カム(カム機構)、2z:中心軸(第2中心軸)、3:砥石(砥石部)、3b:砥面、3z:中心軸(第1中心軸)、10:駆動機構、11:係合ピン(カム機構)、100:研削装置

Claims (4)

  1. 第1中心軸周りに回転する回転体であって、外周近傍に、被研削部材である動力伝達チェーン用ピンの両端面を研削する一対の砥面を有する砥石部と、
    前記第1中心軸と平行な第2中心軸周りに回転する回転体であって、前記ピンを、前記第1中心軸に平行な姿勢で保持して前記一対の砥面間に挿入し、通過させるキャリアと、
    前記砥石部に対して前記ピンが最も深く入り込んで研削される最深位置の前後位置では前記第2中心軸が前記第1中心軸に相対的に近づいており、当該最深位置では相対的に遠ざかっている進退動作をするように前記キャリアを駆動する駆動機構と
    を備えたことを特徴とする動力伝達チェーン用ピンの研削装置。
  2. 前記進退動作は、一定変位量の前進をした状態で、前記ピンが前記最深位置の前位置としての研削開始位置に来るように、前記キャリアの回転と同期して行われる請求項1記載の動力伝達チェーン用ピンの研削装置。
  3. 前記駆動機構は、前記キャリアとカム機構を構成することによって前記進退動作を生じさせる請求項1記載の動力伝達チェーン用ピンの研削装置。
  4. 第1中心軸周りに回転する回転体であって、外周近傍に、被研削部材である動力伝達チェーン用ピンの両端面を研削する一対の砥面を有する砥石部と、前記第1中心軸と平行な第2中心軸周りに回転する回転体であって、前記ピンを、前記第1中心軸に平行な姿勢で保持するキャリアとを有する研削装置を用いて行う動力伝達チェーン用ピンの研削方法において、
    回転する前記砥石部の前記一対の砥面間に前記キャリアにより前記ピンを挿入して通過させるとき、
    前記砥石部に対して前記ピンが最も深く入り込んで研削される最深位置の前位置では前記第2中心軸を前記第1中心軸に相対的に近づけ、
    前記最深位置では前記第2中心軸を前記第1中心軸から相対的に遠ざけ、
    前記最深位置の後位置では前記第2中心軸を前記第1中心軸に相対的に近づける、
    という進退動作を前記キャリアが実行することを特徴とする動力伝達チェーン用ピンの研削方法。
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