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JP5551864B2 - 着雪サンプラ - Google Patents
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JP5551864B2 - 着雪サンプラ - Google Patents

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Description

本発明は、着雪サンプラに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば架空送電線の着雪状況の把握や送電線の人工着雪試験などに用いられる装置に関する。
架空送電線については、雪害予防及び保守の観点から、また、送電線着雪現象等の解明による雪害防止のための試験や研究の観点から、送電線着雪状況の正確な観測を行うと共に正確な各種定量データの収集を行うことが非常に重要である。そして、通電中の実際の架空送電線における着雪状況の観測・計測は困難であるので、着雪状況の観測や各種定量データの計測においては短尺の実際の電線を測定用電線(以下、測定用短尺電線と呼ぶ)として備えた着雪サンプラが用いられる。
ここで、送電線への着雪に影響する因子としては、気温,湿度,降水量,風向・風速といった気象条件、及び、電線外周形状,電線直径,径間長,電線捻り剛性,電線温度といった電線の特性が挙げられる。なお、径間長とは、送電線を支持する鉄塔と鉄塔との間の送電線の実長のことである。また、着雪影響因子としての電線温度とは、通電による送電線自体の温度上昇を考慮することであり、送電線に通電される電流値で代替することもできる。
そして、送電線への着雪が成長する過程では、着雪によって発生する偏心モーメントによって送電線が徐々に捻れていく現象が見られ、この捻りの程度を決定づける電線捻り剛性の違いによって着雪形状及び着雪量に大きな違いが生じることが知られている。したがって、実際の送電線における着雪の状況を着雪サンプラにおいて正確に再現するためには、測定用短尺電線の捻り剛性を、送電線を支持する鉄塔と鉄塔との間の実際の架空送電線(以下、実径間と呼ぶ)の捻り剛性と等価になるように設計することが特に重要である。
その上で、雪害予防及び保守並びに着雪現象の解明を目的とする試験や研究のために、着雪サンプラによって、架空送電線における電線捻回角(即ち、送電線の軸心を中心とする軸回転の角度),着雪形状,着雪重量を正確に観測・計測可能であることが必要とされる。
従来の着雪サンプラとしては、例えば、図4に示すように、間隔をおいて配置された一組の支持板101,101間にボールベアリング機構102を介して回動自在に支持されたシャフト103と、これら支持板101,101間でシャフト103に同心円筒状に被嵌されたスペーサ104,104と、このスペーサ104を外抱し且つ一端がシャフト103に係止され他端が一組の支持板101,101のいずれか一方に係止された所定の捻り剛性を有するコイルスプリング105と、シャフト103とコイルスプリング105とを係止した支持板101との相対回転変位角を検出する回転検出器106と、支持板101,101間を耐湿保護する保護カバー107と、シャフト103及びコイルスプリング105を係止した支持板101,101のいずれか一方に直接又は他の部材を介して固着された測定用短尺電線の一端を同軸的に接続するコネクタ108と、他方に直接又は他の部材を介して固着された外部取付部材109とを備えるものがある(特許文献1)。
実公平2−41558号
しかしながら、特許文献1の着雪サンプラにおいては、ボールベアリング機構102と特殊なコイルスプリング105とを保護カバー107に内蔵する支持機構は非常に複雑であって製作に手間がかかる。また、両端支持部の軸心合わせに細心の注意が必要とされ調整に手間がかかる。このため、汎用的であるとは言い難い。さらに、軸心合わせが正確でない場合には計測に誤差が生じてしまうという問題がある。
また、着雪サンプラにおいては着雪による偏心モーメントに追従して測定用短尺電線が滑らかに捻回する必要があるが、特許文献1の着雪サンプラのようにボールベアリング機構102を介した支持機構ではベアリング部の摩擦等によって滑らかな捻回が阻害されるので、正確な観測・計測を行うことができないという問題がある。具体的には、或る一定以上の着雪によって偏心モーメントが大きくなるまでは測定用短尺電線が捻回せず、或る一定以上の着雪量で急激に捻回するという挙動を示すので正確な観測・計測を行うことができない。さらに、着雪重量によって測定用短尺電線にたわみが生じることによってもベアリング部の滑らかな動きが阻害されるので正確な観測・計測を行うことができない。
また、特許文献1の着雪サンプラでは、ベアリング部の作動性を確保するために潤滑油の注入等の整備を定期的に行う必要がありメンテナンスの手間がかかるという問題がある。
さらに、実際の送電線における着雪の状況を着雪サンプラにおいて正確に再現するために測定用短尺電線の捻り剛性を実径間の捻り剛性と等価にすることが重要であるところ、特許文献1の着雪サンプラでは、コイルスプリング105を交換しないと測定用短尺電線の捻り剛性を調整することができない。したがって、観測対象とする実径間の条件が変わるたびに複雑な支持機構を分解してコイルスプリングを交換すると共に再度組み立て、且つ両端支持部の軸心合わせをあらためて行わなければならないので計測の準備に手間がかかるという問題がある。
また、着雪形状を正確に観測するためには測定用短尺電線の軸方向正面から着雪を撮影することが望ましい。しかしながら、特許文献1の着雪サンプラでは、ボールベアリング機構102を含む支持機構が電線軸方向(即ちシャフト103の軸方向)の視野を妨げてしまうために当該方向正面から着雪を撮影することができず、最適な態様で着雪形状を観測することができないという問題がある。
そこで、本発明は、簡単な構成で送電線における着雪状況の正確な観測・計測を行うことができると共に計測及びメンテナンスの手間を軽減することができる着雪サンプラを提供することを目的とする。さらに、本発明は、最適な態様で送電線における着雪形状を観測することができる着雪サンプラを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1記載の着雪サンプラは、測定用短尺電線と、該測定用短尺電線の両端のそれぞれに固定的に結合された一対のワイヤと、各ワイヤの測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が結合されてワイヤを介して測定用短尺電線を架空させて支持する一対の支柱とを有し、ワイヤの直径及び長さが、測定用短尺電線において実径間の捻り剛性を再現する直径及び長さに設定されるようにしている。
したがって、この着雪サンプラによると、測定用短尺電線を線状の吊り下げ部材によって単に吊り下げて支持するようにしているので、測定用短尺電線の支持機構の構成が非常に簡単であり、装置の製作及び調整の手間がかからない。
また、この着雪サンプラによると、測定用短尺電線を線状の吊り下げ部材によって単に吊り下げて支持するようにしているので、測定用短尺電線が捻回する際に支持機構との間で摩擦が生じることがなく、着雪当初から滑らかで連続的な捻回が実現され、着雪に伴う電線捻回角を正確に再現することができる。また、測定用短尺電線を両端のそれぞれに結合された線状の吊り下げ部材によって支持するようにしているので、着雪によって測定用短尺電線にたわみが生じても滑らかな捻回が阻害されることがなく、着雪に伴う電線捻回角を正確に再現することができる。
また、この着雪サンプラによると、線状の吊り下げ部材の直径及び長さを調整することによって測定用短尺電線の捻り剛性と実径間の捻り剛性とを一致させることができるので、着雪サンプラにおいて実径間の捻り剛性の再現をすることが容易にできる。そして、観測対象の実径間の条件が変わった場合には吊り下げ部材の交換のみによって測定用短尺電線の捻り剛性を実径間の捻り剛性に一致させることができるので、計測の準備を簡単に行うことができる。
さらに、この着雪サンプラによると、実径間の捻り剛性を再現するための仕組みが非常に簡単であり、特別な整備を必要とすることなく実径間の捻り剛性を再現する仕組みの作動性が確保される。
また、請求項2記載の着雪サンプラは、複数の測定用短尺電線と、該複数の測定用短尺電線のうち両端に位置する各測定用短尺電線の一端に結合された一対の線状の吊り下げ部材と、複数の測定用短尺電線同士を連結する一本若しくは複数の連結部材と、各吊り下げ部材の測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が結合されて吊り下げ部材を介して測定用短尺電線を架空させて支持する一対の支柱とを有するようにしている。
したがって、この着雪サンプラによると、請求項1記載の発明の作用に加え、測定用短尺電線を複数設けるようにしているので、実際の送電線の複数箇所の着雪状況を再現することができる。
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の着雪サンプラにおいて、測定用短尺電線を軸方向正面から撮影する撮影装置を更に有するようにしている。この場合には、測定用短尺電線の両端には線状の吊り下げ部材が結合しているだけであるので、測定用短尺電線の軸方向正面から撮影することができ、測定用短尺電線の軸心位置において軸方向正面からの電線の捻回状況及び着雪状況の画像が得られる。
また、請求項4記載の発明は、請求項記載の着雪サンプラにおいて、一対の支柱のそれぞれに支持されると共に各ワイヤの測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が連結されるロードセルを更に有するようにしている。また、請求項5記載の発明は、請求項2記載の着雪サンプラにおいて、一対の支柱のそれぞれに支持されると共に各吊り下げ部材の測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が連結されるロードセルを更に有するようにしている。れらの場合には、測定用短尺電線の着雪重量が計測される。
請求項1記載の着雪サンプラによれば、測定用短尺電線の支持機構の構成が非常に簡単であり、装置の製作及び調整の手間を軽減することができるので、装置の汎用性の向上が可能になる。
また、請求項1記載の着雪サンプラによれば、測定用短尺電線が捻回する際に支持機構との間に摩擦が生じることがなく、着雪当初から滑らかで連続的な捻回が実現され、着雪に伴う電線捻回角を正確に再現することができるので、実径間と同様の状況をつくり出して実径間における着雪状況を正確に再現することができ、装置の信頼性・有用性の向上が可能になる。さらに、着雪によって測定用短尺電線にたわみが生じても滑らかな捻回が阻害されることがなく、着雪に伴う電線捻回角を正確に再現することができるので、実径間と同様の状況をつくり出して実径間における着雪状況を正確に再現することができ、装置の信頼性・有用性の向上が可能になる。
また、請求項1記載の着雪サンプラによれば、着雪サンプラにおいて実径間の捻り剛性の再現をすることが容易にでき、さらに、計測の準備を簡単に行うことができるので、操作にかかる手間を軽減して操作性の向上が可能になる。
また、請求項1記載の着雪サンプラによれば、特別な整備を必要とすることなく実径間の捻り剛性を再現する仕組みの作動性を確保することができるので、メンテナンスの手間を軽減して運用性の向上が可能になる。
また、請求項2記載の着雪サンプラによれば、実際の送電線の複数箇所の着雪状況を再現することができるので、実際の送電線における状況の再現性の向上が可能になる。
また、請求項3記載の着雪サンプラによれば、測定用短尺電線の軸心位置において軸方向正面からの電線の捻回状況及び着雪状況の画像が得られるので、着雪に伴う電線捻回角を正確に計測することができると共に最適な態様で電線の着雪形状を正確に観測することができ、装置の信頼性・有用性の向上が可能になる。
さらに、請求項4,5記載の着雪サンプラによれば、請求項1,2記載の発明においても把握可能な電線捻回角と着雪形状とに加えて測定用短尺電線の着雪重量を計測することができるので、着雪状況についてのより多様なデータの把握が可能になる。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の着雪サンプラの第一の実施形態を示す。この着雪サンプラは、測定用短尺電線1と、該測定用短尺電線1の両端のそれぞれに結合された一対の線状の吊り下げ部材2,2と、該吊り下げ部材2,2のそれぞれが連結される一対のロードセル3,3と、測定用短尺電線1を軸方向正面から撮影する撮影装置4と、ロードセル3,3のそれぞれを支持し吊り下げ部材2,2を介して測定用短尺電線1を架空させて支持する一対の支柱6,6とを有する。
測定用短尺電線1は、着雪状況の観測対象の送電線として実際に用いられているものと同じ電線を短尺に切断したものである。測定用短尺電線1の長さは特定の長さに限定されるものではなく、例えば現場において観測を行うために着雪サンプラを設置する場所の広さや実験施設の規模などに合わせて数m程度の長さに切断したものを用いるようにする。
一対の線状の吊り下げ部材2,2は、測定用短尺電線1の軸方向正面の両端にそれぞれ取り付けられる。吊り下げ部材2としては、自身への着雪の影響をできるだけ低減するために細い線状の部材であって可撓性のある材質のものが用いられる。具体的には例えばステンレスワイヤが用いられる。
吊り下げ部材2と測定用短尺電線1とは、一方が他方に対して相対的に軸回転することがないように相互に固定的に結合される。すなわち、測定用短尺電線1は軸心を中心とする回転(即ち捻回)について自由ではなく、測定用短尺電線1が捻回する際には吊り下げ部材2に固定的に結合している影響を受ける。
そして、第一の実施形態では、吊り下げ部材2が、測定用短尺電線1において実径間の捻り剛性を再現する役割を果たす。このため、測定用短尺電線1において実径間の捻り剛性が再現されるように吊り下げ部材2の直径及び長さが設定される。
測定用短尺電線1において実径間の捻り剛性を再現するための吊り下げ部材2の直径及び長さの決定方法は特定の方法に限定されるものではなく、例えば材料力学の釣り合いの関係から求めるようにしても良いしシミュレーションを用いて求めるようにしても良い。測定用短尺電線1において実径間の捻り剛性を再現するための吊り下げ部材2の直径及び長さは、具体的には例えば以下の手順によって求められる。
本実施形態で観測対象とする実径間が図3の通りであるとする。具体的には、径間長(即ち電線実長)が2L〔m〕であり、径間中央部分の長さ2Laの区間(以下、着雪区間と呼ぶ)に着雪が生じている状態を想定する。なお、着雪は始まった初期の状態であって電線の捻回角は小さいと共に着雪区間に亘って着雪形状が等しく着雪によって生じる捻回モーメントが等しいと仮定する。
着雪区間の電線単位長さあたりに作用する着雪によるモーメントをMu〔N m/m〕とおく。着雪区間のうち径間端部からの位置xの単位長さへの着雪が発生させるモーメントによる位置xの電線捻回角は数式1で表される。
Figure 0005551864
ここで、kxは数式2の通りである。
Figure 0005551864
ここに、θxx:位置xの電線捻回角,Mu:モーメント〔N m/m〕,kx:位置xの捻りバネのバネ定数〔N m/rad〕,GJ:電線の捻り剛性〔N m〕(なお、G:横弾性係数,J:断面二次極モーメント),2L:径間長(即ち電線実長)〔m〕,x:径間端部からの位置〔m〕をそれぞれ表す。
このとき、位置xの単位長さあたりの着雪に起因する径間中央(即ちx=L)における電線捻回角θLxは数式3の通りになる。
Figure 0005551864
したがって、径間中央部分の着雪区間(長さ2La)への着雪によって生じる径間中央(即ちx=L)における電線捻回角θLは数式4のようになる。
Figure 0005551864
一方、着雪サンプラの測定用短尺電線1の長さを2Lsとする。そして、測定用短尺電線1に上述の実径間と等しい単位長さあたりの着雪によるモーメントMuが生じるとする。また、測定用短尺電線1を支持する吊り下げ部材2の捻りバネのバネ定数をksとする。このとき、測定用短尺電線1の着雪による電線捻回角θsは数式5のようになる。
Figure 0005551864
したがって、想定した実径間中央における電線捻回角θLと測定用短尺電線1の電線捻回角θsとを一致させるためのバネ定数ksは、数式4と数式5とが等しいとしてksについて解くことにより、数式6のようになる。
Figure 0005551864
ここで、径間全体に一様に着雪する場合はLa=Lであり、数式6は数式7のようになる。
Figure 0005551864
すなわち、実径間において径間全体に着雪する状況を再現するための捻りバネのバネ定数ksは、着雪状況の観測対象であって模擬すべき実際の送電線の捻り剛性GJ及び径間長L並びに測定用短尺電線1の長さLsの値に依存する。
一方、着雪サンプラの吊り下げ部材2の長さをLw、捻り剛性をGwJwとすると、測定用短尺電線1は、数式8で表されるバネ定数kswを有する捻りバネに支持されていることになる。
Figure 0005551864
したがって、実径間において径間全体に着雪する状況を着雪サンプラによって再現するためには、数式7のバネ定数ksと数式8のバネ定数kswとが一致するように吊り下げ部材2の長さ及び捻り剛性を設定すれば良い。
具体的には、数式7については、着雪状況の観測対象であって模擬すべき実際の送電線を選択すれば捻り剛性GJと径間長2Lとが決定されるので、測定用短尺電線1の長さ2Lsを設定すればバネ定数ksが算出される。そして、数式8について、算出されたバネ定数ksの値をバネ定数kswに代入すると共に、吊り下げ部材2の材質と直径とを設定することによって決定される捻り剛性GwJwの値を代入すると、吊り下げ部材2の長さLwが決定される。
ロードセル3は、測定用短尺電線1の着雪重量を計測するためのものである。具体的には、測定用短尺電線1の軸方向両端のそれぞれに吊り下げ部材2,2が結合されると共に、当該各吊り下げ部材2,2の測定用短尺電線1が結合されている側と反対側の端部がそれぞれロードセル3,3と連結されることによって測定用短尺電線1の着雪重量が計測される。
両ロードセル3,3はそれぞれ支柱6,6によって支持される。本実施形態では、支柱6は、垂直部材6aと、対の相手側支柱6に向かってせり出して垂直部材6aの頂部に取り付けられた水平部材6bとからなり、水平部材6bにロードセル3が取り付けられている。なお、両支柱6,6間の距離は、両吊り下げ部材2,2を介して測定用短尺電線1が架空されるように調整され、両吊り下げ部材2,2の各ロードセル3,3と連結する端部間の距離Dが測定用短尺電線1の長さ2Lsよりも少なくとも長くなるように調整される。
一方の支柱6には、測定用短尺電線1を当該電線の軸方向正面から撮影するための撮影装置4が取り付けられる。撮影装置4としては例えばデジタルカメラが用いられる。また、本実施形態では、撮影装置4が、支柱6の垂直部材6aに取り付けられた固定部材6cによって測定用短尺電線1の軸心位置の軸方向正面に合わせて取り付けられている。
撮影装置4を用いて測定用短尺電線1の軸方向正面から、即ち最適な態様で当該電線を撮影することで、測定用短尺電線1の着雪形状を正確に観測することができると共に、測定用短尺電線1の電線捻回角を計測することができる。なお、電線捻回角は、例えば、測定用短尺電線1の撮影装置4側の端面に当該電線の半径に該当する線を予め付けておいて当該線の傾きによって計測することができる。
次に、図2を用いて、本発明の着雪サンプラの第二の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第二の実施形態において上述の第一の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この第二の実施形態の着雪サンプラは、三本の測定用短尺電線1a,1b,1cと、該測定用短尺電線1a,1b,1cのうち両端に位置する各測定用短尺電線1b,1cの一端に結合された一対の線状の吊り下げ部材2,2と、該吊り下げ部材2,2のそれぞれが連結される一対のロードセル3,3と、測定用短尺電線1a及び1b並びに1a及び1cを連結する二本の連結部材5,5と、測定用短尺電線1aを軸方向正面から撮影する撮影装置4と、ロードセル3,3のそれぞれを支持し吊り下げ部材2,2を介して測定用短尺電線1を架空させて支持する一対の支柱6,6とを有する。
すなわち、第一の実施形態と第二の実施形態とを対比すると、第一の実施形態においては測定用短尺電線1が一本であるのに対し、第二の実施形態においては測定用短尺電線1が複数本である点で両者は大きく異なる。そして、第二の実施形態では、測定用短尺電線1同士を連結するための連結部材5を有する。なお、第二の実施形態においては、各吊り下げ部材2,2と測定用短尺電線1b,1cとは一方が他方に対して相対的に軸回転することがないように相互に固定的に結合され、さらに、各連結部材5,5と各測定用短尺電線1a,1b,1cとは一方が他方に対して相対的に軸回転することがないように相互に固定的に結合される。すなわち、各測定用短尺電線1a,1b,1cは捻回について自由ではなく、各測定用短尺電線1a,1b,1cが捻回する際には吊り下げ部材2や連結部材5に固定的に結合している影響を受ける。
ここで、実径間においては、送電線を支持する鉄塔と鉄塔との間の中央部において送電線の電線捻回角が最も大きく、鉄塔の近傍ほど電線捻回角が小さい。すなわち、実径間内の位置によって送電線の電線捻回角の大きさが異なる。したがって、第二の実施形態のように測定用短尺電線を複数設けるようにすることにより、実径間内の位置毎の電線捻回角や着雪状況を再現することが可能になり、実際の送電線における状況の再現性をより向上させることができる。
そして、第二の実施形態においては、吊り下げ部材2及び連結部材5が、各測定用短尺電線1a,1b,1cにおいて実径間の捻り剛性を再現する役割を果たす。このため、各測定用短尺電線1a,1b,1cにおいて実径間の捻り剛性が再現されるように吊り下げ部材2及び連結部材5の直径及び長さが設定される。
各測定用短尺電線1a,1b,1cにおいて実径間の捻り剛性を再現するための吊り下げ部材2及び連結部材5の直径及び長さの決定方法は特定の方法に限定されるものではなく、例えば材料力学の釣り合いの関係から求めるようにしても良いしシミュレーションを用いて求めるようにしても良い。各測定用短尺電線1a,1b,1cにおいて実径間の捻り剛性を再現するための吊り下げ部材2及び連結部材5の直径及び長さは、具体的には例えば以下の手順によって求められる。
まず、第二の実施形態の着雪サンプラが模擬対象とするのは、長さ2L〔m〕の径間長の実径間全長に亘って着雪する状況である。このときの径間中央の捻回角θLは数式9のようになる。なお、数式9は、数式4のLaにLを代入することによって得られるものであり、各記号の意味も数式4に関連して説明した通りである。なお、第二の実施形態においても、着雪が始まった初期の状態であって径間全体に亘って着雪形状が等しく着雪によって生じる捻回モーメントが等しいと仮定している。
Figure 0005551864
一方、着雪サンプラの各測定用短尺電線1a,1b,1cの長さを全て2Lsとする。そして、電線単位長さあたりにMu〔N m/m〕のモーメントが作用しているとする。
また、吊り下げ部材2及び連結部材5の長さをLw、捻り剛性をGwJwとする。このとき、測定用短尺電線1bへの着雪による測定用短尺電線1bの電線捻回角θbbについて数式10が成り立つ。なお、吊り下げ部材2及び連結部材5の直径は測定用短尺電線1a,1b,1cよりも小さく、吊り下げ部材2及び連結部材5の捻回に比べて測定用短尺電線1a,1b,1cの捻れは無視できるとする(即ち、各測定用短尺電線1a,1b,1cは剛体として扱う)。また、数式10及び数式11は、数式1及び数式2と同様の考え方に基づくものである。
Figure 0005551864
よって、測定用短尺電線1bへの着雪による測定用短尺電線1bの電線捻回角θbbは数式11のようになる。
Figure 0005551864
また、測定用短尺電線1bへの着雪による測定用短尺電線1bの捻回に起因する測定用短尺電線1aの電線捻回角θab及び測定用短尺電線1cの電線捻回角θcbは、測定用短尺電線1c側の吊り下げ部材2のロードセル3との連結点2aからの吊り下げ部材2および連結部材5の長さの合計に比例するので、それぞれ数式12,数式13のようになる。
Figure 0005551864
Figure 0005551864
次に、測定用短尺電線1aへの着雪による測定用短尺電線1aの電線捻回角θaaについて数式14が成り立つ。
Figure 0005551864
よって、測定用短尺電線1aへの着雪による測定用短尺電線1aの電線捻回角θaaは数式15のようになる。
Figure 0005551864
また、測定用短尺電線1aへの着雪による測定用短尺電線1aの捻回に起因する測定用短尺電線1bの電線捻回角θba及び測定用短尺電線1cの電線捻回角θcaは数式16のようになる。
Figure 0005551864
さらに、測定用短尺電線1cへの着雪による測定用短尺電線1cの電線捻回角θccについは、系の対称性を考慮すれば、測定用短尺電線1bへの着雪による測定用短尺電線1bの電線捻回角θbbと同様に表される。すなわち、数式17のようになる。
Figure 0005551864
また、測定用短尺電線1cへの着雪による測定用短尺電線1cの捻回に起因する測定用短尺電線1aの電線捻回角θac及び測定用短尺電線1bの電線捻回角θbcはそれぞれ数式18,数式19のようになる。
Figure 0005551864
Figure 0005551864
以上より、測定用短尺電線1a,1b,1cの各電線捻回角θa,θb,θcはそれぞれ数式20のようになる。
Figure 0005551864
したがって、実径間において径間全体に着雪する状況を着雪サンプラによって再現するためには、数式9のθLと数式20のθaとが一致するように吊り下げ部材2及び連結部材5の長さ及び捻り剛性を設定すれば良い。すなわち、数式21を満たすようにすれば良い。
Figure 0005551864
そして、数式21に基づき、着雪状況の観測対象であって模擬すべき実際の送電線を選択すれば捻り剛性GJと径間長2Lとが決定され、測定用短尺電線1の長さ2Lsを設定すると共に、吊り下げ部材2及び連結部材5の材質と直径とを設定することによって決定される捻り剛性GwJwの値を数式22に代入することにより、吊り下げ部材2及び連結部材5の長さLwが決定される。
Figure 0005551864
なお、数式20に示されるように、図2に示される第二の実施形態では、両端の測定用短尺電線1b,1cの捻回角θb,θcは、中央の測定用短尺電線1aの捻回角θaの3/4になる。すなわち、電線への着雪の発達に伴って捻回角が大きくなると捻回角の違いによって着雪形状に違いが現れる。第二の実施形態によれば、測定用短尺電線1aと測定用短尺電線1b,1cとに捻回角の違いが生じて径間位置による着雪形状の違いを再現することができる。
また、第二の実施形態のように複数の測定用短尺電線を備えるようにする場合には、特に両端の測定用短尺電線1b,1cが極端に傾いていないようにすることが好ましい。このため、各測定用短尺電線の長さ2Ls並びに吊り下げ部材2及び連結部材5の長さLwの合計に基づいて、両端の測定用短尺電線1b,1cが極端に傾かないように、両吊り下げ部材2,2の各ロードセル3,3と連結する端部間の距離D(即ち一対の支柱6,6の間隔)が調整されることが好ましい。そして、実際の送電線における着雪の状況を着雪サンプラにおいてより正確に再現するため、各測定用短尺電線の傾きが実径間における架空送電線の各部分の傾きに近くなるように一対の支柱6,6の間隔が調整されることが更に好ましい。
以上のように構成された着雪サンプラによれば、簡単な構成で送電線における着雪状況の正確な観測・計測を行うことができると共に計測及びメンテナンスの手間を軽減することができる。さらに、本発明の着雪サンプラによれば、最適な態様で送電線における着雪形状を撮影することができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、第一の実施形態及び第二の実施形態では、着雪重量を計測するためにロードセル3を備えるようにしているが、これに限られず、着雪重量を計測する必要がない場合、すなわち、着雪形状及び電線捻回角を計測することを目的とする場合にはロードセル3を備えずに吊り下げ部材2を支柱6に直接結合するようにしても良い。
また、第二の実施形態では、測定用短尺電線を三本備えるようにしているが、これに限られず、実径間内の位置毎の電線捻回角や着雪状況の再現性を高めるということであれば測定用短尺電線を二本以上備えるようにすれば良い。なお、第二の実施形態においては測定用短尺電線の数を奇数にすることにより、電線捻回角が最も大きくなる鉄塔と鉄塔との間の中央部を再現して当該中央部の電線捻回角を計測することができる。
本発明の着雪サンプラにおける測定用短尺電線1及び吊り下げ部材2の直径及び長さの設定の実施例を説明する。なお、本実施例では、上述の第一の実施形態の着雪サンプラ(図1参照)を用いた場合を例に挙げて説明する。
本実施例では、240mm単導体,径間長2L=300〔m〕の実径間を模擬する場合を想定した。
吊り下げ部材2として直径1.5〔mm〕のステンレスワイヤを用いた。また、測定用短尺電線1の長さ2Ls=2〔m〕とした。
ステンレスワイヤは送電線と同じような線構造であり、横弾性係数GwはアルミのACSR240mmに対して約3倍とみなした。また、ACSR240mmの直径22.4〔mm〕に対してステンレスワイヤの直径は1.5〔mm〕であるので、断面二次極モーメントJwはACSR240mmのJに対して(1.5/22.4)倍とした。これに基づいてGwJw=GJ×3×(1.5/22.4)とみなした。
このとき、数式7で表される実径間を模擬するための捻りバネ定数ksと数式8で表される測定用短尺電線1の支持に係る捻りバネ定数kswとが等しいとして数式9が得られた。
Figure 0005551864
数式9に、GwJw=GJ×3×(1.5/22.4),L=150,2Ls=2を代入し、Lw=0.67〔m〕が得られた。
本発明の着雪サンプラの第一の実施形態を示す図である。 本発明の着雪サンプラの第二の実施形態を示す図である。 本発明における捻りバネのバネ定数の説明において想定する実径間を説明する図である。 従来の着雪サンプラの支持構造の構成図である。
符号の説明
1 測定用短尺電線
2 吊り下げ部材
3 ロードセル
4 撮影装置
6 支柱

Claims (5)

  1. 測定用短尺電線と、該測定用短尺電線の両端のそれぞれに固定的に結合された一対のワイヤと、各前記ワイヤの前記測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が結合されて前記ワイヤを介して前記測定用短尺電線を架空させて支持する一対の支柱とを有し、前記ワイヤの直径及び長さが、前記測定用短尺電線において実径間の捻り剛性を再現する直径及び長さに設定されることを特徴とする着雪サンプラ。
  2. 複数の測定用短尺電線と、該複数の測定用短尺電線のうち両端に位置する各測定用短尺電線の一端に結合された一対の線状の吊り下げ部材と、前記複数の測定用短尺電線同士を連結する一本若しくは複数の連結部材と、各前記吊り下げ部材の前記測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が結合されて前記吊り下げ部材を介して前記測定用短尺電線を架空させて支持する一対の支柱とを有することを特徴とする着雪サンプラ。
  3. 前記測定用短尺電線を軸方向正面から撮影する撮影装置を更に有することを特徴とする請求項1または2記載の着雪サンプラ。
  4. 前記一対の支柱のそれぞれに支持されると共に前記各ワイヤの測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が連結されるロードセルを更に有することを特徴とする請求項1記載の着雪サンプラ。
  5. 前記一対の支柱のそれぞれに支持されると共に前記各吊り下げ部材の測定用短尺電線が結合された側と反対側の端部が連結されるロードセルを更に有することを特徴とする請求項2記載の着雪サンプラ。
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