JP5555374B2 - 外科処置後の急性腎傷害の予測および認識 - Google Patents
外科処置後の急性腎傷害の予測および認識 Download PDFInfo
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Description
冠動脈バイパス外科処置は、冠動脈アテローム硬化の局在性または程度のため経皮冠動脈介入が不可能である患者に優先的に実施される。この介入は著しいAKIのリスクを伴い、このリスクは10〜20%の範囲に及び、これらの個体のうち1〜5%は透析を必要とすると記載されている(Mehta, Circulation 2006: 114 2208 - 16)。
a)対象の試料、好ましくは尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアント、好ましくは尿中肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較し;そして
c)段階b)で実施した比較に基づいてリスクを予測する。
a)対象の試料、好ましくは尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアント、好ましくは尿中肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;そして
b)段階a)で測定した量を基準量と比較する
段階を含み;これにより、対象が外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクを予測する方法を提供する。
さらに本発明は、予め定めた対象患者に適切な療法を決定する方法、療法をモニタリングする方法、ならびに本発明の方法を実施するためのデバイスおよびキットに関する。
本明細書中で用いる用語“モニタリング”は、各個体の病態生理学的状態をAKI関連事象、特にAKI自体、または透析の必要性、疾患の発症および/または進行、あるいは特定の処置が疾患の進行に及ぼす影響について追跡し続けることに関する。本明細書中で用いる診断は、関連疾患の分析およびモニタリングを表わす。特に、診断は臓器の特定部分(たとえば、腎臓の糸球体、尿細管およびヘンレ係蹄)の病理学的状態を分析して損傷および修復(たとえば、尿細管の場合)の程度を推定することを意味する。
腎不全では、腎機能が適切でなく、結果的に尿産生の減少、体液蓄積および体液障害、ならびに健康な腎臓では濾過される電解質および廃棄物の蓄積が生じる。さらに、エリスロポエチン合成減少の結果として貧血が頻繁にみられる。
CKDは数カ月または数年にすらわたって悪化する可能性のある腎機能喪失として知られている。悪化しつつある腎機能の症状は不特定である。CKDでは糸球体濾過速度が著しく低下し、腎臓が水および溶質の濾過により廃棄物を排出する能力が結果的に低下する。クレアチニンレベルはCKDの初期には正常な場合がある。CKDは可逆性ではない。CKDの重症度は5期に分類され、1期は最も軽度であり、通常はほとんど症状を引き起こさない。5期は、短い余命を含めた重篤な疾病を構成し、末期腎疾患(ESRD)、慢性腎不全(chronic kidney failure(CKF)またはchronic renal failure(CRF))とも呼ばれる。
AKIはそれの基礎原因に関して不均一であり、腎低潅流の状況で起きる原因(腎前性)、腎臓の主要部分で起きる原因(内因性または腎性)、および尿路閉塞に関係する原因(腎後性)が含まれる。
用語“L−FABP”には、L−FABP、好ましくはヒトL−FABPの、バリアントも含まれる。そのようなバリアントは少なくともL−FABPと同じ本質的な生物学的および免疫学的特性をもち、すなわちそれらは遊離の脂肪酸および/またはコレステロールおよび/またはレチノイド類を結合し、ならびに/あるいは細胞内脂質輸送に関与する。特に、本明細書中に述べるものと同じ特異的アッセイ法、たとえばL−FABPを特異的に認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイ法でそれらを検出できれば、それらは同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明に従って述べるバリアントは少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失および/または付加のため異なるアミノ酸配列をもつはずであることを理解すべきである;その際、バリアントのアミノ酸配列はなお、ヒトL−FABPのアミノ酸配列と好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一である。同一度を判定する方法は、本明細書の他の箇所に詳述されている。バリアントは対立遺伝子バリアント、または他のいずれかの種特異的なホモログ、パラログもしくはオルソログであってもよい。さらに、本明細書中で述べるバリアントには、L−FABPまたは前記タイプのバリアントのフラグメントが含まれる;ただし、これらのフラグメントが前記に述べた本質的な免疫学的および生物学的特性をもつ限りにおいてである。そのようなフラグメントは、たとえばL−FABPの分解生成物であってもよい。さらに、翻訳後修飾、たとえばリン酸化またはミリスチル化のため異なるバリアントが含まれる。用語“L−FABP”は、好ましくは心臓FABP、脳FABPおよび腸FABPを含まない。
第2に、リガンドが目的ペプチドまたはポリペプチドの酵素活性の基質としても作用するならば、酵素反応生成物を測定してもよい(たとえばプロテアーゼの量は、開裂した基質の量をたとえばウェスタンブロット法で測定することにより測定できる)。あるいは、リガンドが酵素特性そのものを示してもよく、“リガンド/ペプチドもしくはポリペプチド”複合体、またはペプチドもしくはポリペプチドが結合したリガンドを、それぞれ適切な基質と接触させて、強度信号の発生により検出することができる。酵素反応生成物を測定するためには、好ましくは基質の量を飽和させる。反応前に基質を検出可能な標識で標識化してもよい。好ましくは、適切な期間、試料を基質と接触させる。適切な期間とは、検出可能な、好ましくは測定可能な量の生成物を生成させるのに必要な時間を表わす。生成物の量を測定する代わりに、一定の(たとえば、検出可能な)量の生成物が出現するのに必要な時間を測定してもよい。
E=(TP/TO)×100;
式中、TP=真陽性、TO=検査の総数=TP+FP+FN+TN、ここでFP=偽陽性、FN=偽陰性、およびTN=真陰性。Eは下記の範囲の数値をもつ:0<E<100)。好ましくは、Eの数値が少なくとも約50、より好ましくは少なくとも約60、より好ましくは少なくとも約70、より好ましくは少なくとも約80、より好ましくは少なくとも約90、より好ましくは少なくとも約95、より好ましくは少なくとも約98であれば、検査した基準値は十分に安全な診断を提供する。
したがって本発明は、生理学的状態および/または病理学的状態および/または特定の病理学的状態の指標となる閾値量を決定する方法であって、適切な患者グループにおいて適切なマーカー(単数または複数)の量を測定し、データを集め、そしてデータを統計学的方法で分析して閾値を確立する段階を含む方法をも含む。
本発明者らは意外にも、先行技術において公開された結果、すなわちAKIを発症する患者はAKIを発症しなかった患者におけるレベルより低いL−FABPまたはそのバリアント、アディポネクチンまたはそのバリアント、およびNGALまたはそのバリアントのレベルをもつことを見出した前掲のPortilla et al, Kidney International 2008と、本明細書に示すそれらの結果との相違を見出した。この意外な所見は、介入直後に測定した場合のアルブミンまたはそのバリアント、アディポネクチンおよびNGALについて、これらのマーカーは透析の必要性ではなくAKI(3日以内に0.3mg/dlを超えるクレアチニン増加か指標となる)を予測する際に有用ではないらしいということを示した。事実、検査した大部分の患者は尿中の腎損傷マーカーの増加の証拠を伴っていたが、この増加は意外にも腎機能の低下とは関係がなかった。Portilla et alのデータ(心肺バイパス形成術を受ける小児において確立されたもの)は、外科処置前に測定したL−FABP濃度自体からAKIは予測されず、外科処置後のL−FABP濃度の上昇がAKIと関連することを示すように思われたが、これと対照的に本発明者らは、成人、好ましくは心血管疾患を伴う患者において、外科処置前に測定したL−FABP濃度が将来のAKIを予測することを見出した。
用語“外科的介入”には、たとえば四肢(足、手)および頭部に対する介入も含まれる。
特に、この用語は心血管に対する介入(心血管外科処置とも呼ばれる)、特にバイパス移植術を表わす。
用語“心血管外科処置”は、心血管疾患に関して実施される外科処置を表わす。好ましい態様において、この用語はCADに関して実施される外科処置に関するものであり、“CAD外科処置”と呼ぶこともできる。
L−FABPまたはそのバリアントについて、≦約3.6μg/g、好ましくは≦約3.2μg/g、より好ましくは≦約2.9μg/g(クレアチニン)の基準量は、その個体がAKIに罹患するリスクが低い、好ましくはリスクがより低い、より好ましくはリスクがきわめて低いことの指標となる(除外(rule out))。
さらにアディポネクチンまたはそのバリアントの量を測定する場合、AKI/透析の必要性を生じるリスクが低いことおよびAKI/透析の必要性を生じるリスクが高いことの指標となる基準値は、下記のとおりである:
アディポネクチンまたはそのバリアントについて、≦約3.6μg/g、好ましくは≦約3.2μg/g、より好ましくは≦約2.8μg/g(クレアチニン)の基準量は、その個体がAKIに罹患するリスクが低い、好ましくはリスクがより低い、より好ましくはリスクがきわめて低いことの指標となる(除外)。
アルブミン:
さらにアルブミンまたはそのバリアントの量を測定する場合、AKI/透析の必要性を生じるリスクが低いことおよびAKI/透析の必要性を生じるリスクが高いことの指標となる基準値は、下記のとおりである:
アルブミンまたはそのバリアントについて、≦約6μg/g、好ましくは≦約4μg/g、より好ましくは≦約2μg/g(クレアチニン)の基準量は、その個体がAKIに罹患するリスクが低い、好ましくはリスクがより低い、より好ましくはリスクがきわめて低いことの指標となる(除外)。
NGAL:
さらにNGALまたはそのバリアントの量を測定する場合、AKI/透析の必要性を生じるリスクが低いことおよびAKI/透析の必要性を生じるリスクが高いことの指標となる基準値は、下記のとおりである:
NGALまたはそのバリアントについて、≦約7.0μg/g、好ましくは≦約5.5μg/g、より好ましくは≦約3.5μg/g(クレアチニン)の基準量は、その個体がAKIに罹患するリスクが低い、好ましくはリスクがより低い、より好ましくはリスクがきわめて低いことの指標となる(除外)。
本発明の1態様において、L−FABPまたはそのバリアント、アディポネクチンまたはそのバリアント、アルブミンまたはそのバリアント、およびNGALまたはそのバリアントのうち1種類以上を、外科処置終了時または外科処置終了後に測定する。これにより、AKIおよび/または透析の必要性を生じるリスクを判定できる。これらの1種類以上のマーカーを、外科処置の終了時(すなわち、外科処置の終了後、数分ないし約1時間以内)に測定し、および/またはその後、間隔をおいて、たとえば外科処置終了の約2時間、4時間、5時間、6時間、10時間、12時間、16時間、24時間後に測定することができる。
a)対象の試料、好ましくは尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアント、好ましくは尿中肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントを測定し;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較し;
c)段階b)で実施した比較に基づいてそのリスクを予測し;
d)段階c)で得た情報に基づいて、適切な療法の開始または適切な療法の差控えを推奨または決定する。
a)対象の試料、好ましくは尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアント、好ましくは尿中肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較する
段階を含み;これにより、対象が外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクを予測し、この予測に基づいて適切な療法の開始または差控えを推奨する方法を提供する。
有利には、本発明方法によって、高いAKIリスクをもつ患者を外科的介入前および/または外科的介入後に同定できる。患者のAKIリスクが高いという判定から、外科処置後にAKIに罹患するリスクが高い患者において、AKIを促進することが分かっているリスク因子を制御することができる。これらのリスク因子の制御には、外科処置の途中および後の慎重な体液バランスが含まれる。外科処置に際して心肺バイパスを用いる場合、低い潅流温度を避けるべきである。腎毒性薬物(たとえば、非ステロイド系抗炎症薬およびスルホンアミド類)も避けるべきである。さらに、エリスロポエチンの投与を適用することができる(Song et al., 2009, American Journal of Nephrology, 253-260)。患者における外科的介入後の急性腎傷害のリスクをその介入の前および/またはその介入の後に予測できることは、その患者がその外科処置に適格であるかどうかの決定について意義をもつことが明らかである。
a)種々の時点(少なくとも2つの異なる時点)で得た対象の尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;そして
b)段階a)で測定した量を基準量と比較し;
c)段階b)で実施した比較に基づいてそのリスクを予測し;
d)段階c)で得た情報に基づいて、適切な療法の開始または適切な療法の差控えを推奨または決定する。
a)種々の時点(少なくとも2つの異なる時点)で得た対象の尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;そして
b)段階a)で測定した量を基準量と比較する
段階を含み;これにより、対象が外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクを予測し、この予測に基づいて適切な療法の開始または差控えを推奨する方法を提供する。
a)好ましくは対象の尿試料中の肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較し;そして
c)段階b)で実施した段階に基づいてAKIを診断する。
a)好ましくは対象の尿試料中の肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;そして
b)段階a)で測定した量を基準量と比較する
段階を含み;その際、段階b)で実施した段階に基づいてAKIを診断する方法を提供する。
さらに本発明は、対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクを予測するためのデバイスであって、
a)対象の試料、好ましくは尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質、好ましくは尿中肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)もしくはそのバリアント、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントおよび/またはNGALもしくはそのバリアントおよび/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を測定するための手段;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較するための手段;ならびに
c)段階b)で実施した比較に基づいてリスクを予測すること
を含み、これにより腎損傷の診断に適応させたデバイスに関する。
a)対象の試料、好ましくは尿試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質、好ましくは尿中肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)もしくはそのバリアント、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントおよび/またはNGALもしくはそのバリアントおよび/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を測定するための手段;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較するための手段;ならびに
c)段階b)で実施した比較に基づいてリスクを予測すること
を含み、これにより腎損傷の診断に適応させたキットに関する。
本発明はまた、対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクを予測し、および/または対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクをもつ対象に適切な療法を推奨または決定し、および/または対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクをもつ対象において療法をモニタリングするのに用いる診断用組成物の調製のための、下記のものの使用に関する:L−FABPもしくはそのバリアントに対する抗体、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントに対する抗体、および/またはNGALもしくはそのバリアントに対する抗体、および/またはアルブミンもしくはそのバリアントに対する抗体;ならびに/あるいはL−FABPもしくはそのバリアントの量を測定する手段、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントの量を測定する手段、および/またはNGALもしくはそのバリアントの量を測定する手段、および/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を測定する手段;ならびに/あるいはL−FABPもしくはそのバリアント、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントおよび/またはNGALもしくはそのバリアントおよび/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を少なくとも1つの基準量と比較する手段;その際、すべての使用は対象におけるAKIに関連する有害事象のリスクの予測に基づく。
本発明はまた、対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクを予測し、および/または対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクをもつ対象に適切な療法を推奨または決定し、および/または対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクをもつ対象において療法をモニタリングするための、下記のものの使用に関する:L−FABPもしくはそのバリアントに対する抗体、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントに対する抗体、および/またはNGALもしくはそのバリアントに対する抗体、および/またはアルブミンもしくはそのバリアントに対する抗体;ならびに/あるいはL−FABPもしくはそのバリアントの量を測定する手段、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントの量を測定する手段、および/またはNGALもしくはそのバリアントの量を測定する手段、および/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を測定する手段;ならびに/あるいはL−FABPもしくはそのバリアント、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントおよび/またはNGALもしくはそのバリアントおよび/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を少なくとも1つの基準量と比較する手段;その際、すべての使用は対象におけるAKIに関連する有害事象のリスクの予測に基づく。
本明細書に引用したすべての参考文献を、それらの開示内容全体および本明細書に詳述した開示内容に関して本明細書に援用する。
L−FABPは、L−FABP ELISA−Kit(CMIC Co.,Ltdから,日本)を用いて測定された。この検査はELISA 2段階アッセイに基づいていた。L−FABP標準品または尿試料をまず、この検査法と共に提供される前処理溶液で処理し、アッセイ用緩衝液を入れたL−FABP抗体コートしたマイクロプレートへ移し、インキュベートした。このインキュベーションに際して、反応液中のL−FABPは固定化抗体に結合した。洗浄後、二次抗体−PODコンジュゲートを二次抗体として添加してインキュベートし、これにより固定化抗体とコンジュゲート抗体の間のL−FABP抗原のサンドイッチを形成した。インキュベーション後、プレートを洗浄し、酵素反応の基質を添加すると、L−FABP抗原量に従って発色した。光学濃度に基づいてL−FABP濃度を測定した。このアッセイ法は3ng/mlから400ng/mlまでの測定範囲をもっていた。
1)総アディポネクチン画分:“総−Ad”− プレート上で直接アッセイされた;
2)高分子量アディポネクチン画分(12量体〜18量体に相当):“HMW−Ad”− プレート上で直接アッセイされた;
3)中分子量アディポネクチン画分(6量体に相当):“MMW−Ad”− HMW−Adの濃度をMMW−Ad + HMW−Adの合計濃度から差し引くことにより得られた推測値;
4)低分子量アディポネクチン画分(3量体に相当、アルブミン結合アディポネクチンを含む):“LMW Ad”− MMW−Ad + HMW−Adの合計濃度を総Ad濃度から差し引くことにより得られた推測値。
マイクロタイタープレートのウェルを抗ヒト−アディポネクチンモノクローナル抗体でコートした。標準品および前処理検体中のアディポネクチンは、1回目のインキュベーションに際してこの抗体により捕獲された。その後、洗浄段階ですべての非結合物質を除去した。次いで、ビオチン標識した抗ヒト−アディポネクチン抗体を添加し、ウェル内に固定化されたアディポネクチンに結合させた。次いで、ビオチン標識した抗ヒト−アディポネクチン抗体を添加し、ウェル内に固定化されたアディポネクチンに結合させた。2回目のインキュベーションおよびそれに続く洗浄段階の後、HRP標識ストレプトアビジンを添加した。3回目のインキュベーションおよびそれに続く洗浄段階の後、基質溶液を添加した。最後に、発色させた後に停止試薬を添加した。発色強度をマイクロプレートリーダーで読みとった。プレートリーダーが示した吸光度値は試料中のアディポネクチンの濃度に比例していた。この検査キットは、0.075ng/mlから4.8ng/mlまでの範囲で有効であった。
段階1.部分量の検量体、希釈した試料、およびいずれかの対照を、HRPコンジュゲートした検出抗体と共に、コートしたマイクロウェル内でインキュベートした。NGALだけがコートと検出抗体の両方に結合し、一方、結合しなかった物質は洗浄により除去された。
合併症が起きる尤度または起きない尤度を予測する基準値を最適化するために、受動者操作曲線(ROC曲線)を作成した。本発明に関する合併症は、前記に定めた腎傷害または透析の必要性である。合併症が起きる尤度または起きない尤度を測定する時点は、好ましくは外科処置前であった。この時点は、本発明において説明したように、外科処置を実施しない可能性を含めて、そのような合併症を避けるためのあらゆる適切な措置をとるのを可能にする。そのような合併症を回避または改善するための外科処置後またはさらに遅れた措置はこれよりはるかに制限されるが、透析のリスクに関してはそのような情報はそのような合併症に対して準備するのに適切な時間を提供するであろう;たとえば、透析装置の入手、適切なユニットへの移動、より集中した監視など。
クレアチニンが正常範囲であり、選択的冠動脈バイパス外科処置を受ける合計126人の患者(中央年齢63歳)を、介入の前、後、ならびに6、12および24時間後に、腎傷害マーカーの存在について評価した。
結果をROC曲線1〜18として示す(前記を参照)。
ある患者が心肺バイパス移植術を受ける計画である。この患者の外科処置前の尿中L−FABP量は36.0μg/g(クレアチニン)である。したがって、患者の体液バランスを慎重にモニタリングし、低い潅流温度での心肺バイパス避ける。患者は腎傷害の徴候または症状なしに外科処置から回復する。
ある患者が心肺バイパス移植術を受ける計画である。この患者の外科処置前の尿中L−FABP量は3.1μg/g(クレアチニン)である。特別な措置を行なわなくても、患者は腎傷害の徴候または症状なしに外科処置から回復する。
Claims (15)
- 対象が外科的介入後に急性腎傷害(AKI)に関連する有害事象を経験するリスクを予測するための方法であって、
a)外科的介入前に得た対象の試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;そして
b)段階a)で測定した量を基準量と比較する
段階を含み;これにより、対象が外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクを予測する方法。 - さらに試料中のアディポネクチンまたはそのバリアントの量を測定し、そのマーカー量と各基準量の比較に基づいてリスクを予測する、請求項1に記載の方法。
- 試料中のアルブミンまたはそのバリアントおよび好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)またはそのバリアントから選択される少なくとも1種類の追加マーカーの量を測定し、そのマーカー量と各基準量の比較に基づいてリスクを予測する、請求項1または2に記載の方法。
- 外科的介入を実施する前に測定した際、L−FABPまたはそのバリアントについて≦3.6μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体がAKIに罹患するリスクが低いことの指標であり、L−FABPまたはそのバリアントについて≧10.8μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体がAKIに罹患するリスクが高いことの指標である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 外科的介入を実施する前に測定した際、L−FABPまたはそのバリアントについて≦4.2μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体が透析の必要性を生じるリスクが低いことの指標であり、L−FABPまたはそのバリアントについて≧35.4μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体が透析の必要性を生じるリスクが高いことの指標である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 外科的介入を実施する前に測定した際、アディポネクチンまたはそのバリアントについて≦3.6μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体がAKIに罹患するリスクが低いことの指標であり、アディポネクチンまたはそのバリアントについて≧15.6μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体がAKIに罹患するリスクが高いことの指標である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 外科的介入を実施する前に測定した際、アディポネクチンまたはそのバリアントについて≦8.8μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体が透析の必要性を生じるリスクが低いことの指標であり、アディポネクチンまたはそのバリアントについて≧30.4μg/g(クレアチニン)の基準量はその個体が透析の必要性を生じるリスクが高いことの指標である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクをもつ対象に適切な療法を推奨する方法であって、
a)外科的介入の前に対象の尿試料中の肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)またはそのバリアントの量を測定し;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較する
段階を含み;これにより、対象が外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクを予測し、この予測に基づいて適切な療法の開始または差控えを推奨する方法。 - 対象が外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクを予測するための、外科的介入前における抗L−FABP抗体の使用。
- 外科的介入後に急性腎傷害AKIに関連する有害事象を経験するリスクをもつ対象に適切な療法を推奨または決定するための、外科的介入前における抗L−FABP抗体の使用。
- 対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクを予測するためのデバイスであって、
a)対象の試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)もしくはそのバリアント、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントおよび/またはNGALもしくはそのバリアントおよび/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を測定するための手段;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較するための手段;ならびに
c)段階b)で実施した比較に基づいてリスクを予測するための手段
を含み、これにより腎損傷の診断に適応させたデバイス。 - 対象の外科的介入の結果としての急性腎傷害AKIに関連する有害事象のリスクを予測するためのキットであって、
a)対象の試料中の、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)もしくはそのバリアント、ならびに場合によりアディポネクチンもしくはそのバリアントおよび/またはNGALもしくはそのバリアントおよび/またはアルブミンもしくはそのバリアントの量を測定するための手段;
b)段階a)で測定した量を基準量と比較するための手段;ならびに
c)段階b)で実施した比較に基づいてリスクを予測するための手段
を含み、これにより腎損傷の診断に適応させたキット。 - a)における試料が尿試料である、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
- a)における試料が尿試料である、請求項11記載のデバイス。
- a)における試料が尿試料である、請求項12記載のキット。
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