JP5559528B2 - 温泉水の選択的メタンガス分離方法及び装置 - Google Patents
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ところで、水に対するメタンの体積溶解度は、例えば、1乃至100気圧の圧力範囲内で、略3%とされている。このことは、水にかかる圧力が、地中での10気圧又はそれ以上の圧力の場合、及び常圧の場合の何れの場合においても、100リットルの温泉水中に略3リットルのメタンガスが溶解しているということであり、1リットルのメタンガスを1気圧までその圧力を下げたときは、気体の性質上、その体積は略30リットルとなるから、仮にメタンガスを飽和する10気圧の源泉等の温泉水100リットルを揚湯して、1気圧の温泉貯留槽に貯湯する場合には、10気圧の温泉水100リットルに溶解している略30リットルのメタンガスの中で、3リットルしか、温泉水100リットルに溶解しないこととなるから、その差の27リットルは水に溶解できなくなり、分離されることになる。
そこで、送湯先の風呂等の利用施設内で、温泉水からメタンガスの放出による爆発を防止するために、温泉法が改正されて、温泉水の残留メタンガス濃度は、ヘッドスペース法による分析値で、0.25パーセント体積濃度未満と定められた。
温泉水の残留メタンガス濃度を、ヘッドスペース法による分析値で、0.25パーセント体積濃度未満とするには、温泉井戸からポンプにより汲み上げた温泉水に随伴されるメタンガスを温泉水から分離しなければならない。
といって、(4)これらの問題を回避するために、散水量やエアレーション量を調整したり、または装置を密閉すると、メタンガスの分離性能が低下して、ヘッドスペース法による分析値で、0.25パーセント体積濃度未満までのメタンガスの除去が困難となる。
本発明は、温泉水の酸化による化学成分の変化や、炭酸水素イオンの減少によるカルシウムスケールの発生や、温泉の湯温の低下などの、従来法における好ましくない現象をきたすことなく、温泉法に規定される安全基準のヘッドスペース法による分析値で、0.25パーセント体積濃度未満までの量のメタンガスを、温泉水から除去することを目的としている。
即ち、本発明は、メタンガスが分離される温泉水を噴射孔から噴射圧力で噴出させて、該温泉水と該温泉水のメタンガスとの気液混合流体の噴流を形成し、メタンガス分圧の小さい外気の空気の送風下に、該温泉水からメタンガスの一部を分離した温泉水に、前記温泉水と前記温泉水のメタンガスとの気液混合流体の噴流を衝突させることにより、前記噴流中のメタンガスを放出させて分離すると共に、前記メタンガスの一部を分離した温泉水中に、メタンガス分圧の小さい外気の空気を巻き込み混合させて、該温泉水中に、メタンガス分圧の小さい外気の空気泡を形成し、該空気泡と該温泉水を接触させて、前記メタンガスの一部を分離した温泉水中に溶解するメタンガスの一部を、メタンガス分圧の差により前記メタンガス分圧の小さい外気の空気泡中に移動させて分離し、該メタンガスの一部を前記空気泡中に移動させて分離された温泉水を滝状に流れ落ちる水流に形成し、この温泉水の水流を、メタンガス分圧の小さい外気の空気流と接触させて、前記温泉水の水流と前記外気の空気流のメタンガス分圧の差により前記温泉水に溶解するメタンガスの一部を前記メタンガス分圧の小さい外気の空気流に移動させて分離することを特徴とする温泉水中のメタンガスの分離方法にある。本発明において、温泉水へのメタンガスが分離される温泉水の噴流の吹き込みを、温泉水面上に送風された送風ガスの空気を通して行なうことができる。
そしてまた、本発明は、上部にガス排出口を備え、下部にメタンガスが分離された温泉水の排出口を備え、側部にメタンガス分圧が小さい外気の空気を送風機により導入する送風ガス導入口を有し、且つ側部内側に前記送風ガス導入口を隔壁で囲み下端部に送風口を有する送風ガスの送風部を備えるメタンガス分離槽と、該メタンガス分離槽内に設けられ、上端部に開口部が形成され、該開口部を囲んで溢流壁が設けられ、その側壁部及び底壁部が密閉されて形成され、前記溢流壁が、溢流する温泉水をその外壁面を伝わって流れ落ちさせるように形成されている衝撃水槽と、該衝撃水槽の上方に設けられて、メタンガスが分離される温泉水を噴射して該温泉水と該温泉水のメタンガスとの気液混合流体の噴流を形成し、前記衝撃水槽内の温泉水に前記噴流を衝突させる噴射孔を有する、メタンガスが分離される温泉水の噴射管とを備えており、前記衝撃水槽の下方のメタンガス分離槽の底部には、メタンガスが分離された温泉水が集まる温泉水落水部が形成されており、前記送風部の送風口を形成する隔壁の下端部は、前記温泉水落水部の液面から間隔を置いて上方に設けられて、隔壁の下端部と前記温泉水落水部の液面との間には送風ガス通路が形成されており、該送風ガス通路は、前記衝撃水槽の壁部の外壁面に沿って設けられている送風上向き部に続いていることを特徴とする温泉水のメタンガス分離装置にある。
装置の一部が大気に開放されている装置であっても、装置内は一般に外界と仕切られており、装置内の空気は外界と相違する。殊に、メタンガス分離装置内の空気は、温泉水からメタンガスが排出されているため、装置中のメタンガス濃度は外界に対して高くなっている。仮に装置内空気中のメタンガス濃度が50パーセントである場合には、理論上は温泉水中のメタンガス濃度は1.5パーセントとなる。空気中のメタンガスの分圧が小さいと、平衡に達するまで温泉水から、メタンガスは分離されるから、温泉水中のメタンガス濃度を低くすることができる。
また、本発明において、噴射管からのメタンガスが分離される温泉水の噴射流を、衝撃水槽内の温泉水に吹き込むことは、ヘンリーの第二の法則によるメタンガスの分圧の差による分離を行なうものである。即ち、噴射管からの温泉水の噴射流は、衝撃水槽内の温泉水の水面に当てられ、その周囲の空気を引き込んで温泉水中に流入して、引き込まれた空気の泡を形成して、温泉水と空気との界面の面積を増加させるものである。本発明において、噴射管からのメタンガスが分離される温泉水の噴射流は、その吹き込みの際に生じる負圧により、周囲の空気が温泉水中に引き込まれて、空気の泡を形成するのであり、エアレーションのように、空気に圧力を掛けて温泉水中に空気を導入して泡を形成するものではないから、圧力により酸素が温泉水に溶解し易くなることにはならない。また、エアレーションの場合は、空気泡が浮力により水面へ上がってくる時間が温泉水と空気との接触時間となるに対して、噴射の場合には噴射速度を上げることにより空気と触れる時間を短くすることができる。
この混合流体の形成は温泉水内に泡を発生させるが、温泉水は、衝撃水槽からオーバーフローして、滝状に落ち、その効果により、温泉水内の泡が弾け、泡を消すことができる。さらに、本発明においては、装置内へ送風機により送風を行い、メタンガスの装置内への滞留を防止するとともにメタンガス分圧の低い大気を導入することで、温泉水中のメタン分圧と槽内空気のメタン分圧の差を確保し、濃度勾配により平衡移動速度を上昇させる。
スケール発生の原因は、第一に酸素ガスが温泉水に溶解することであるが、空気からの酸素ガスの溶解は、接触時間を最小限にすることにより抑制することができる。第二にメタンガスを選択的に分離するには、メタンガスは水分子に対してファンデルワールス力による相互的な力を受けるものの、炭酸ガスのようなイオンによる電気的なより強い結合ではないから、相対的に炭酸ガスよりもメタンガスが分離され易い傾向にあり、処理時間を小さくすることにより、炭酸ガスの分離を抑制しつつメタンガスを選択的に分離することができる。
本発明において、温泉水に吹き込まれる温泉水の噴流は、噴射管の噴射孔から、0.07乃至0.3MPa(メガパスカル)の範囲の噴射圧力で吹き込まれるのが好ましく、より好ましくは、0.1乃至0.2MPaであるのが好ましく、実用的である。噴射孔から噴射される噴流の水頭が0.07MPaより小さいと、処理した温泉水中のメタンガス濃度が高くなる傾向があり、また、噴射孔から噴射される噴流の水頭が、0.3MPaを越えると、水槽が破壊する危険がある。
噴射管の噴射孔は、噴射孔から噴射される噴流の水頭が0.07乃至0.3MPaの範囲となるように、噴射孔の口径や減圧弁により噴流の水頭を調整するのが好ましい。噴射管から衝撃水槽までの距離は、30乃至50センチメートルの範囲内とするのが好ましい。この範囲を越えて、噴射管から衝撃水槽までの距離大きくしても、又は小さくしても、メタンガスの分離効率が悪化する傾向にあることが分かった。また、温泉水量を増加させる場合には、噴射管の口径と衝撃水槽のサイズを大きくするのではなく、噴射管と衝撃水槽の組み合わせを温泉水量に応じて1セットから2セットへと増加させ、メタンガス分離装置本体を大きくすることで対応し、噴射管と衝撃水槽の組み合わせのセット数を増加させるのが好ましい。一つの噴射管に噴射ノズル孔を、複数設けることができる。この場合、ノズル孔径やノズル数を調整することができる。
図1は、本発明の一実施例のガス分離装置についての概略の側面断面図である。
温泉水落水部13に集められたメタンガスが分離された温泉水は、メタンガス分離槽5の流出口4から温泉貯留槽(図示されていない)に送られる。
本例においては、気液接触によりメタンガス分離槽8内の気相中に温泉水からのメタンガスが放出されても、気相中に温泉水から放出されたメタンガスを送風ガスにより速やかに取り除くので、気液接触によるメタンガスの分離を速やかに行うことができる。
外壁面11上を滝状に流れ落ちる温泉水は温泉水落水部13の下部にあるガス分離槽5の底部3に打ちつけられ、さらに衝撃が与えられてメタンガスを分離する。
メタンガスを分離された温泉水は外壁面11を滝状に流れ落ちて、温泉水落水部13から温泉処理水吐出管4により温泉貯留槽に貯湯される。
このガス分離装置5に送湯された温泉水は平均1から2秒程度の速度で処理され、メタンガスが選択的に分離される。
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したがって、本発明は、温泉の安全な利用を実現することができるものであり、また温泉の快適性を最大限損なわないよう泉質の変化を抑制することができるものであって、産業上の利用性が大きい。
2 排気筒
3 底部
4 メタンガス分が分離された温泉水の流出口
5 メタンガス分離槽
6 噴射ノズル孔
7 温泉水噴射管
8 衝撃水槽
9 衝撃水槽8の上端開口部
10 上端開口部9の側壁部
11 衝撃水槽8の外壁部
12 溢流堰
13 温泉水落水部
14 メタンガス分離装置1の側壁部
15 隔壁部
16 送風部
17 送風機
18 隔壁部15の下端部
19 送風ガス通路
20 送風上向き部
21 送風排気部
Claims (2)
- メタンガスが分離される温泉水を噴射孔から噴射圧力で噴出させて、該温泉水と該温泉水のメタンガスとの気液混合流体の噴流を形成し、メタンガス分圧の小さい外気の空気の送風下に、該温泉水からメタンガスの一部を分離した温泉水に、前記温泉水と前記温泉水のメタンガスとの気液混合流体の噴流を衝突させることにより、前記噴流中のメタンガスを放出させて分離すると共に、前記メタンガスの一部を分離した温泉水中に、メタンガス分圧の小さい外気の空気を巻き込み混合させて、該温泉水中に、メタンガス分圧の小さい外気の空気泡を形成し、該空気泡と該温泉水を接触させて、前記メタンガスの一部を分離した温泉水中に溶解するメタンガスの一部を、メタンガス分圧の差により前記メタンガス分圧の小さい外気の空気泡中に移動させて分離し、該メタンガスの一部を前記空気泡中に移動させて分離された温泉水を滝状に流れ落ちる水流に形成し、この温泉水の水流を、メタンガス分圧の小さい外気の空気流と接触させて、前記温泉水の水流と前記外気の空気流のメタンガス分圧の差により前記温泉水に溶解するメタンガスの一部を前記メタンガス分圧の小さい外気の空気流に移動させて分離することを特徴とする温泉水中のメタンガスの分離方法。
- 上部にガス排出口を備え、下部にメタンガスが分離された温泉水の排出口を備え、側部にメタンガス分圧が小さい外気の空気を送風機により導入する送風ガス導入口を有し、且つ側部内側に前記送風ガス導入口を隔壁で囲み下端部に送風口を有する送風ガスの送風部を備えるメタンガス分離槽と、該メタンガス分離槽内に設けられ、上端部に開口部が形成され、該開口部を囲んで溢流壁が設けられ、その側壁部及び底壁部が密閉されて形成され、前記溢流壁が、溢流する温泉水をその外壁面を伝わって流れ落ちさせるように形成されている衝撃水槽と、該衝撃水槽の上方に設けられて、メタンガスが分離される温泉水を噴射して該温泉水と該温泉水のメタンガスとの気液混合流体の噴流を形成し、前記衝撃水槽内の温泉水に前記噴流を衝突させる噴射孔を有する、メタンガスが分離される温泉水の噴射管とを備えており、前記衝撃水槽の下方のメタンガス分離槽の底部には、メタンガスが分離された温泉水が集まる温泉水落水部が形成されており、前記送風部の送風口を形成する隔壁の下端部は、前記温泉水落水部の液面から間隔を置いて上方に設けられて、隔壁の下端部と前記温泉水落水部の液面との間には送風ガス通路が形成されており、該送風ガス通路は、前記衝撃水槽の壁部の外壁面に沿って設けられている送風上向き部に続いていることを特徴とする温泉水のメタンガス分離装置。
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