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JP5559622B2 - 液状化対策地盤および液状化対策地盤の造成方法 - Google Patents
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液状化対策地盤および液状化対策地盤の造成方法 Download PDF

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Description

基盤層と基盤層の上層に位置する液状化層を備える地盤に液状化対策を施すことによって造成する液状化対策地盤およびその造成方法に関する。
基盤層および基盤層の上層に位置する液状化層で構成された地盤に液状化対策を施した液状化対策地盤として、従来、液状化層全体をセメントなどによって固化する方法がある。液状化層全体を固化させる方法は、セメントなどの固化材ミルクを地盤中に注入し、この固化材ミルクと液状化層とを撹拌混合して地盤改良体を造成することによって液状化のおそれがある液状化層全体を固化するものである。地盤改良体を造成する際には、深層混合処理工法や薬液注入工法が用いられる。このうち、深層混合処理工法には、撹拌用の重機を用いて撹拌を行う機械式撹拌工法や固化材ミルクを地盤内で高圧噴射して撹拌を行う高圧噴射撹拌工法などがある。また、薬液注入工法は、地盤中の地下水を薬液に置換して固化させることで、地盤に粘着力成分を付与することで液状化を防止する。
ところが、液状化層全体を固化させる工法では、固化材を大量に必要としたり、工期の長期化を招いたりするなどの問題がある。また、液状化層全体を改良する全面改良に対して、地盤の一部を効率的に改良する部分固化の考え方がある。この部分固化では、液状化対策地盤の一部に地盤改良体を造成したり、薬液注入を行ったりする工法がある。これらの工法では、地盤の一部を固化させるのみであるので、固化材の使用量を少なくするとともに、工期の短縮を図ることができる。
液状化対策地盤の一部を深層混合処理工法によって固化させる液状化対策として、従来、次のものが知られている。たとえば、固化材ミルクを地盤と混合撹拌して造成した地盤改良体を平面格子状に配置し、格子状地盤改良体を造成し、地震時における地盤のせん断変形を抑制し、地下水および土の移動を抑制することによって液状化を防止する工法があり、その施工実績も多い。この場合の施工や格子間隔の算定方法も知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。さらには、格子状地盤改良体を単独で造成するだけでなく、杭基礎構造と併用して用いる工法も知られている(たとえば、特許文献3参照)。
また、薬液注入工法としては、基礎杭の周辺部のみに薬液注入を施すなど、液状化抑制に効率的な注入領域だけに、部分的に薬液を注入するものがある(たとえば、特許文献4,5参照)。このような注入領域を設定することにより、全面注入に比べて薬液の使用量を抑制している。
さらに、液状化対策とは異なるものの、構造物の水平抵抗力の増加や側方流動を防止することを目的とした部分固化による地盤改良工法も知られている(たとえば、特許文献6〜8参照)。これらの地盤改良工法では、杭頭部を鋼材などで固定する工法や、杭頭部あるいは地盤中に、複数の水平固化盤を間隔を空けて造成し、鉛直の杭式改良体と一体化させるものである。このように杭頭部や水平固化盤を杭式改良体と一体化させることにより、杭式改良体のせん断変形に対する剛性を高めている。
特開2000−265455号公報 特開2008−50787号公報 特開2001−342637号公報 特開2008−208631公報 特開2007−217979号公報 特開2003−247227号公報 特開2001−20275号公報 特開平8−134885号公報
液状化対策地盤を造成するにあたり、液状化層全体を固化させる工法は、液状化対策として最も確実な工法ではある。ところが、液状化層全体を固化させることから、大量の固化材ミルクを要するという問題があった。また、施工の際には、地盤内に注入する固化材ミルクの量と同量以下のスライムが地上に排出されるため、排出されたスライムの処理や運搬の手間が掛かるという問題もあった。
一方、上記特許文献1〜5に開示された液状化対策地盤の一部に地盤改良体を造成したり、薬液注入を行ったりする工法では、固化材ミルクや薬剤の使用量を抑制できる。さらには、固化材ミルクの使用量が少なくなるため、排出されるスライムの量も少なくなり、スライムの処理や運搬に掛かる手間を軽減することができる。
しかし、上記特許文献1〜3に開示された格子状地盤改良体を造成する工法においては、地盤改良体をラップさせて連続的に造成することで壁体を構築している。このため、固化材ミルクのロスが生じるという問題は依然として残されている。また、上記特許文献4,5に開示された薬液注入を行う工法では、注入薬液が固化材ミルクよりも一般的に高価であるとともに、薬液の注入範囲の管理が困難であることがあり、品質保証の点で難がある。
そこで、本発明の課題は、地盤の液状化対策を施すにあたり、固化材ミルクの消費量を抑制することができる液状化対策地盤およびその造成方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明に係る液状化対策地盤は、基盤層と基盤層の上層に形成された液状化層を備える地盤に液状化対策が施された液状化対策地盤であって、地盤における液状化層から基盤層に到達する深さまで複数の杭式改良体が打設されて、横方向に隣接する杭式改良体同士の間に複数の柱状の補強体が形成されており、杭式改良体同士の間に形成された補強体のそれぞれは、隣接する杭式改良体同士を繋げており、補強体は、隣接する杭式改良体同士の間で、深さ方向に離間して複数形成されており、複数の補強体として、最上層に配置された上層補強体と、最下層に配置された下層補強体とを備え、液状化層における上層補強体と地表面との間の厚さおよび下層補強体と基盤層との間の厚さが、それぞれ液状化層の深さ方向の厚さの20%〜40%の距離に設定され、液状化層における上層補強体と下層補強体との間の深さ方向の厚さが、液状化層の深さ方向の厚さの30%以下の距離に設定されていることを特徴とする。
また、本発明に係る液状化対策地盤は、基盤層と基盤層の上層に形成された液状化層を備える地盤に液状化対策が施された液状化対策地盤であって、地盤における液状化層から基盤層に到達する深さまで複数の杭式改良体が打設されて、隣接する杭式改良体同士の間に補強体が形成されており、補強体は、隣接する杭式改良体同士を繋げていると共に、隣接する杭式改良体同士の間で、深さ方向に離間して複数形成されており、複数の補強体として、最上層に配置された上層補強体と、最下層に配置された下層補強体とを備え、液状化層における上層補強体と地表面との間の厚さおよび下層補強体と基盤層との間の厚さが、それぞれ液状化層の深さ方向の厚さの20%〜40%の距離に設定され、液状化層における上層補強体と下層補強体との間の深さ方向の厚さが、液状化層の深さ方向の厚さの30%以下の距離に設定されていることを特徴とする。
本発明に係る液状化対策地盤においては、液状化層に杭式改良体が打設されており、杭式改良体同士の間に補強体が形成されている。杭式改良体補強体が形成されていることにより、液状化層の全体を固化させる場合よりも、杭式改良体および補強体を形成するための固化材ミルクの消費量を抑制することができる。また、壁状配置のように杭式改良体を深度方向にすべてラップさせることなく、補強体を形成しているので、固化材ミルクのロスを小さくすることができる。さらに、杭式改良体および補強体を形成する際に、薬液注入工法に用いられる薬液を用いる必要もないので、薬液注入を行う場合のような管理を不要としながら、地盤の液状化対策を施すことができる。また、補強体が隣接する杭式改良体同士の間で、深さ方向に離間して複数形成されていることにより、杭式改良体を効率的に補強することができ、補強体を形成するための固化材ミルクの注入量の抑制をさらに図ることができる。また、液状化層における上層補強体と地表面との間の厚さおよび下層補強体と基盤層との間の厚さが、それぞれ液状化層の深さ方向の厚さの20%〜40%の距離に設定され、液状化層における上層補強体と下層補強体との間の深さ方向の厚さが、液状化層の深さ方向の厚さの30%以下の距離に設定されていることにより、液状化抑制効果を高いものとすることができる。
さらに、深さ方向に離間して形成された複数の補強体は、地表面に近づくにつれて、体積が大きく形成されている態様とすることができる。
このように、複数の補強体が、地表面に近づくにつれて、つまり、地盤に作用するせん断変形が大きい深度で、体積が大きく形成されていることにより、液状化抑制効果をさらに高いものとすることができる。
また、複数の杭式改良体は、それぞれ平面視して正方形もしくは正三角形の角部に配置され、またはそれぞれ平面視して千鳥に配置されている態様とすることができる。
このように、複数の杭式改良体の配置位置は、それぞれ平面視して正方形もしくは正三角形の角部に配置され、またはそれぞれ平面視して千鳥に配置とすることができる。
本発明に係る液状化対策地盤およびその造成方法によれば、地盤の液状化対策を施すにあたり、固化材ミルクの消費量を抑制することができる。
第1の実施形態に係る液状化対策地盤の側断面図である。 液状化対策地盤の平面図である。 液状化対策地盤の造成工程を示す工程図である。 液状化対策地盤の他の例の平面図である。 液状化対策地盤のさらに他の例の平面図である。 解析に用いた液状化対策地盤の側断面のモデルの図であり、(a)は、補強改良体を設けない状態、(b)は、補強改良体を設けた状態を示す図である。 (a)〜(c)とも、せん断ひずみ抑制効果を示すグラフである。 砂質土の繰り返し載荷試験の結果の一例を示すグラフである。 第2の実施形態に係る液状化対策地盤の側断面図である。 液状化対策地盤のさらに他の例の平面図である。 液状化対策地盤のさらに他の例の平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液状化対策地盤の側断面図、図2は、その平面図である。図1および図2に示すように、本実施形態に係る液状化対策地盤S1は、基盤層S11を備えており、基盤層S11の上方には液状化層S12が位置している。基盤層S11は、構造物の支持層ともなり、地震が発生した際にも液状化が起こり難い堅固な地盤である。また、液状化層S12は、砂質土などからなり、地震が発生した際に液状化が発生しやすい地盤である。
液状化層S12には、複数の杭式改良体1が打設されている。杭式改良体1は、液状化層S12を超えて、その下層における基盤層S11まで到達している。杭式改良体1は、基盤層S11に根入れされているのが好ましいが、その根入れ深さは、わずかでも問題ない。また、図2に示すように、複数の杭式改良体1のうちの4本は、平面視して正方形の角部となる位置に配置されている。このように、隣接する4本が平面視して正方形の角部となる位置に配置された状態で複数の杭式改良体1が打設されている。
液状化層S12における複数の杭式改良体1における隣接する杭式改良体1同士の間には、本発明の補強体である補強改良体2が形成されている。補強改良体2は、図1に示すように、隣接する杭式改良体1同士の間で高さ方向に離間して複数形成されている。本実施形態では、隣接する杭式改良体1同士の間の5個の補強改良体2が形成されている。
杭式改良体1を平面視した際の径は、たとえばφ2.2mとされている。また、隣接する杭式改良体1同士の間の距離は、たとえば1mとされている。さらに、補強改良体2を平面視した際の径は、たとえばφ1.8mとされている。また、補強改良体2は、隣接する杭式改良体1における杭中心を結ぶ最短の線分の中心位置に配置されている。このため、図2に示すように、補強改良体2は、隣接する杭式改良体1同士を繋げている。
次に、本実施形態に係る液状化対策地盤の造成方法について説明する。図3は、本実施形態に係る液状化対策地盤の造成工程を模式的に示す工程図である。液状化対策地盤を造成する際には、まず、液状化層S12を貫通して基盤層S11に到達する杭式改良体1を造成し、杭式改良体1の杭間地盤に補強改良体2を造成する。以下、その手順について説明する。
液状化対策地盤S1を造成する際には、杭式改良体1を造成する。杭式改良体1は、たとえば深層混合処理工法によって造成することができ、ここではいわゆる高圧噴射撹拌工法によって造成する。高圧噴射撹拌工法では、杭式改良体1を造成する位置に噴射ノズルを挿入し、噴射ノズルの側方から固化材ミルクを高圧で噴射するとともに、噴射ノズルを回転させながら徐々に引き上げていく。
こうして、噴射ノズルを液状化対策地盤S1の地表位置まで引き上げることにより、杭式改良体1を造成する位置に、円筒状の固化材ミルクと地盤との混合体が形成される。この混合体における固化材ミルクが固化することにより、杭式改良体1が造成される。同様の手順によって複数の杭式改良体1を造成したら、隣接する杭式改良体1同士の間に補強改良体2を形成する。補強改良体2の形成にあたっても、杭式改良体1を造成する場合と同様に深層混合処理工法、ここでは高圧噴射撹拌工法を用いることができる。
補強改良体2を造成する際には、図3(a)に示すように、隣接する杭式改良体1同士の中間位置に噴射ロッド10を挿入する。このときの噴射ロッド10の挿入位置は、隣接する杭式改良体1同士の間におけるそれぞれの杭中心を結ぶ線分の中心位置またはその近傍位置とされており、噴射ロッド10の先端部には、固化材ミルクの噴射口が形成されている。このとき、噴射ロッド10における噴射口の位置が、補強改良体2を形成する深さ位置となるように噴射ロッド10を挿入する。噴射ロッド10を挿入したら、杭式改良体1を造成する場合と同様に、噴射ロッド10の側方から固化材ミルクを高圧で噴射するとともに、噴射ロッド10を回転させながら徐々に引き上げていく。
それから、補強改良体2の厚さ分だけ噴射ロッド10を引き上げたら、噴射ロッド10における噴射口からの固化材ミルクの噴射を一旦停止する。次に、その上方の補強改良体2を形成する位置まで噴射ロッド10を引き上げる。このため、補強改良体2同士の間には、深さ方向に所定間隔を空けて未改良部分が残存することとなるので、その分、固化材ミルクの消費量を低減させることができる。
その後、図3(b)に示すように、次の補強改良体2を形成する位置から再び、噴射ロッド10の側方から固化材ミルクを高圧で噴射するとともに、噴射ロッド10を回転させながら徐々に引き上げていく。こうして、上方における補強改良体2を順次形成していくことができる。
さらには、図3(c)に示すように、さらに上方に噴射ロッド10を移動させて、噴射ロッド10の側方から固化材ミルクを高圧で噴射するとともに、噴射ロッド10を回転させながら徐々に引き上げていく。また、図1に示す他の杭式改良体1の間に対しても、同様の手順によって固化材ミルクの高圧噴射を行う。さらには、補強改良体2における上方の地表面には、別途補強処理を施す。この補強処理には、セメント安定処理などを用いるのが好適である。その後、噴射ノズルから噴射された固化材ミルクが固化することにより、杭式改良体1および補強改良体2が形成され、液状化対策地盤S1が造成される。
地震が発生した際、砂質土地盤からなる液状化層S12が地震力を受け、過剰間隙水圧が上昇することによって液状化に至る。液状化層S12において液状化を防止するためには、せん断変形を抑制する方法と過剰間隙水圧の上昇を防止する方法に大別される。過剰間隙水圧を抑制するためには、砂質土地盤を固化することや間隙水を薬液に置換することが考えられる。ところが、これらの工法では、固化材や薬液を大量に必要とすることとなる。
この点、上記の手順で造成された液状化対策地盤S1においては、隣接する杭式改良体1同士の間に補強改良体2が形成され、補強改良体2によって杭式改良体1がつながっているため、隣接する杭式改良体1同士を一体化することができる。したがって、地震時のせん断変形に対する剛性を大幅に高めることができるので、せん断変形を好適に防止することができ、大量の固化材や薬液を要することなく、地震時における液状化層S12の液状化を防止することができる。さらには、補強改良体2が形成されることにより、液状化層S12からの過剰間隙水圧の伝達を遮断することができる。
また、隣接する杭式改良体1同士の間に補強改良体2を形成することにより、確実な施工を行うことができるとともに、隣接する杭式改良体1同士の幅が広い場合でも、隣接する杭式改良体1同士を容易に一体化することができる。
さらには、高圧噴射撹拌工法によって固化材ミルクの噴射と噴射ロッド10の引き抜きを繰り返して行いながら杭式改良体1および補強改良体2を造成している。このため、改良範囲を部分的に調整することができる。また、部分噴射によって補強改良体2を形成することができるので、全面的な改良を施す場合よりも改良率の低減を図ることができ、固化材の消費量の低減を図ることができる。さらには、固化材ミルクの噴射を部分的に行うことにより、スライムの発生を抑制することができ、建設廃棄物の発生の抑制に寄与することができる。
また、杭式改良体1および補強改良体2の配置については、図2に示すように、隣接する杭式改良体1の杭中心を結ぶ最短の線分の中心に配置する形態以外の形態とすることもできる。たとえば、図4に示すように、平面視して正方形の角部となる配置された4本の杭式改良体1における図心(中央位置)に補強改良体2を形成する態様とすることができる。あるいは、図5に示すように、平面視して千鳥に配置された多数の杭式改良体1のうちの3本の杭式改良体1の中央位置に補強改良体2を形成する態様とすることもできるし、図示はしないが、正三角形の角となる配置とすることもできる。さらには、図2、図4、図5に示す態様等を組み合わせて形成することもできる。
次に、本発明者らは、補強改良体2の配置条件について、次の地震応答解析を行った。解析では、図6(a)に示すように、液状化層S12と基盤層S11とを想定した地盤モデルを用いた。この地盤モデルでは、液状化層S12および基盤層S11に対して、杭間距離Lとなる3本の杭式改良体1を配置する例を想定した。また、図6(b)に示すように、液状化層S12における杭間地盤に未改良部に2本の補強改良体2A,2Bを配置する例を想定した。このうち、上層補強改良体2Aは、複数の補強改良体の最上層に配置し、下層補強改良体2Bは複数の補強改良体の最下層に配置した。
ここで、地表面から上層補強改良体2Aまでの上層領域における深度方向の厚さを上層厚h1とし、上層補強改良体2Aと下層補強改良体2Bとの間の中層領域における深度方向の厚さを中層厚h2とする。また、下層補強改良体2Bと基盤層S11との間における下層領域の深度方向の厚さ下層厚h3とする。この地盤モデルを用いて、杭式改良体3におけるせん断変形抑制効果を求めた。また、液状化層S12の層厚は、液状化層厚Hとしている。
せん断変形抑制効果を評価するために、上層領域、中層領域、および下層領域におけるそれぞれのせん断ひずみ比γmax/γmax(無補強)を求めた。ここで、γmaxは、杭式改良体に補強改良体が追加された場合の杭間地盤に発生するせん断ひずみ値であり、γmax(無補強)は、杭式改良体のみの場合の杭間地盤に発生するせん断ひずみ値である。したがって、せん断ひずみ比とは、杭式改良された杭間地盤に補強体が入ることで抑制される地震時のせん断ひずみの低減率となる。このせん断ひずみ比γmax/γmax(無補強)が低いほど、せん断変形抑制効果が高く、せん断変形の発生が抑制されていることを意味する。
地震応答解析では、液状化層厚Hを一定とし、上層厚h1、中層厚h2、下層厚h3を適宜変更しながら、上層領域、中層領域、および下層領域におけるそれぞれのせん断ひずみ比γmax/γmax(無補強)を求めた。その結果を、上層領域および下層領域について、それぞれ図7(a)、(b)、(c)に示す。また、地震応答解析の結果から、液状化層厚Hに対する杭間地盤の深さ方向の厚さ(上層厚h1、中層厚h2、下層厚h3)の割合が、液状化抑制に効果的になるように補強改良体の配置を定めた。すなわち、補強改良体の深度方向の離隔は、ここで定める距離で設定するのが、液状化抑制に合理的である。
図8は、液状化層を模擬した砂で作成した供試体に対して、繰り返し地震力に相当する一定のひずみを与えた繰り返し載荷試験の結果の一例である。ここで、図8中、「RD」は、相対密度を意味し、供試体の密度が密詰めと緩詰めの密度の間の何%の状態にあるかを示している。また、「σ′3」は、実験を行った際の供試体の拘束圧力を示している。さらに、「f」は、地震力を再現するために供試体に荷重を載荷した際の単位時間当りの荷重の載荷回数を表す周波数を示している。
図8から分かるように、地盤に発生するせん断ひずみを50%程度抑制することができれば、液状化に至るまでの地震力の繰り返し回数が大きく増加し、繰り返し地震力に対する余裕が大幅に向上する。したがって、せん断ひずみを50%に低減できれば液状化が発生するリスクを大幅に低減できる。このことから、せん断ひずみ比50%以下を目標値として、補強改良体2A,2Cの配置を検討した。
図7(a)に示すように、上層領域では、杭間地盤の上層厚h1が液状化層厚Hの2〜3割のときに、せん断ひずみ発生比を50%程度に抑えることができる。また、図7(b)に示すように、下層領域では、杭間地盤の下層厚h3が液状化層厚Hの3〜4割のときに、せん断ひずみ発生比を50%程度に抑えることができる。上層領域と下層領域とにおける液状化層厚Hに対する比率の相違は、基盤層から離れる上層領域の方が、せん断変形が大きいことから、上層領域で補強改良体2を密に入れる必要があることに起因するものである。この結果から、上層厚h1と下層厚h3とが、液状化層厚Hの2〜4割程度となるように、補強改良体2A,2Bの造成間隔を設定することが好適となることが分かる。
また、上層補強改良体2Aと下層補強改良体2Bとの間の中層領域では、図7(c)に示すように、中層厚h2が小さくなるほど、せん断ひずみ比γmax/γmax(無補強)が小さくなり、せん断変形の抑制効果が高くなる。ここで、中層厚h2が液状化層厚Hの3割以下の場合、せん断ひずみ比γmax/γmax(無補強)が小さくなる割合が減少し、せん断変形抑制効果の大きな増加が期待できない。このことから、中層領域h2については、液状化層厚Hの3割程度になるように、補強改良体2A,2Bを設けるのが最も合理的となる。
次に、杭式改良体3同士の間に形成する補強改良体の数について検討する。いま、補強改良体の数をnとし、補強改良体の厚さを一律tとする。この場合、下記(1)式が成立する。
H=h1+h2+h3+n・t ・・・(1)
ここで、中層厚h2については、中層領域が複数形成される場合には、その合計厚さとする。このとき、上層厚h1、中層厚h2、および下層厚h3をすべて液状化層厚Hの20%とすると、(1)式は、(2)式で表すことができる。
H=0.2H+0.2H+0.2H+n・t ・・・(2)
液状化層厚Hは、液状化対策地盤によって予め既定値となっているので、補強改良体の数および厚さはどちらか一方が決まることによって決まることとなる。たとえば、補強改良体の厚さtを0.1Hとすると、補強改良体の数nは4となる。こうして、補強改良体を好適に形成することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図9は、第2の実施形態に係る液状化対策地盤の側断面図である。図9に示すように、本実施形態に係る液状化対策地盤S2は、上記第1の実施形態に係る液状化対策地盤S1と同様、基盤層S21と液状化層S22とを備えており、液状化層には複数の杭式改良体3が造成されている。
複数の杭式改良体3のうちの4本は、図2に示す第1の実施形態における杭式改良体1と同様、平面視して正方形の角部となる位置に配置されている。また、隣接する杭式改良体3同士の間には、高さ方向に離間して配置された4個の補強改良体4A〜4Dが形成されている。
このうち、第1補強改良体4Aは、液状化層S22における地表面に露出する形で形成されている。第1補強改良体4Aの下層として第2補強改良体4Bが形成され、第2補強改良体4Bの下層として第3補強改良体4Cが形成されている。さらに、第3補強改良体4Cの下層として第4補強改良体4Dが形成されている。
ここで、第1補強改良体4A〜第4補強改良体4Dの深さ方向の厚さを比較すると、第1補強改良体4Aの厚さである第1層厚さt1がもっとも厚くされており、次に、第2補強改良体4Bの厚さである第2層厚さt2厚くされている。続いて、第3補強改良体4Cの厚さである第3層厚さt3が厚くされており、第4補強改良体4Dの厚さである第4層厚さt4がもっとも薄くされている。その他の点は、上記第1の実施形態と同様の構成を有している。
次に、本実施形態に係る液状化対策地盤S2の作用について説明する。本実施形態に係る液状化対策地盤S2では、複数の杭式改良体3を補強改良体4A〜4Dによって一体化している。このため、上記第1の実施形態に係る液状化対策地盤S1と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態に係る液状化対策地盤S2では、補強改良体4A〜4Dでは、配置されている位置が深いほど、その厚さが薄くされている。
一般に、液状化層S22では、地表面に近いほど杭式改良体3におけるせん断変形量が大きくなる。また、深さが深い位置になるほどせん断変形量は小さくなる。このように、杭式改良体3のせん断変形量が大きい地表面付近での第1補強改良体4Aが厚く、杭式改良体3のせん断変形量が小さい深い位置での第4補強改良体4Dが薄くされていることにより、固化材ミルクの消費量を抑制しながら、効率よく杭式改良体3のせん断変形を抑制し、これによって液状化対策地盤S2の液状化を効果的に防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、杭式改良体1および補強改良体2を。いずれも高圧噴射撹拌工法によって形成しているが、他の深層混合処理工法、たとえば機械式撹拌工法などで形成することもできる。もちろん、その他の地盤改良工法を用いることもできる。
たとえば、杭式改良体について、2軸機械式撹拌によって造成することができる。この場合、図10に示すように、小径の杭式改良体1同士の間に比較的大径の補強改良体2を形成する態様とすることができる。このような場合、補強改良体2については高圧噴射撹拌工法によって形成する。こうして、液状化対策地盤を造成する態様とすることもできる。
他方、杭式改良体や補強改良体については適宜の改良径とすることができる。ここで、高圧噴射撹拌工法では、噴射ロッドの仕様や噴射圧力や固化材ミルクの注入量を調整することにより、改良径を調整することが可能である。このため、図11に示すように、小径、たとえばφ2m以下の杭式改良体1と、大径、たとえばφ5mの補強改良体2を形成する場合でも、1本の噴射ロッドによる高圧噴射撹拌工法によって造成が可能となる。もちろん、大径の杭式改良体1と小径の補強改良体2を形成する場合でも、同様に1本の噴射ロッドによる高圧噴射撹拌工法によって造成が可能となる。
また、上記実施形態では、補強改良体2を杭式改良体1に食い込ませるようにして補強改良体2と杭式改良体1とを一体化しているが、補強改良体2を杭式改良体1に接円させて補強改良体2と杭式改良体1とを一体化させる態様とすることもできる。さらに、上記実施形態では杭式改良体1および補強改良体2を形成して液状化対策地盤S1を造成するようにしているが、杭式改良体1などの杭などが予め造成されている場合には、その周囲に補強改良体2を形成することによって液状化対策地盤を造成することもできる。
1,3…杭式改良体
2,4…補強改良体
4A…第1補強改良体
4B…第2補強改良体
4C…第3補強改良体
4D…第4補強改良体
4X…上層補強改良体
4Y…下層補強改良体
10…噴射ロッド
S1,S2…液状化対策地盤
S11,S21…基盤層
S12,S22…液状化層

Claims (4)

  1. 基盤層と前記基盤層の上層に形成された液状化層を備える地盤に液状化対策が施された液状化対策地盤であって、
    前記地盤における前記液状化層から前記基盤層に到達する深さまで複数の杭式改良体が打設されて、横方向に隣接する前記杭式改良体同士の間に複数の柱状の補強体が形成されており、
    前記杭式改良体同士の間に形成された前記補強体のそれぞれは、隣接する前記杭式改良体同士を繋げており、
    前記補強体は、隣接する前記杭式改良体同士の間で、深さ方向に離間して複数形成されており、
    前記複数の補強体として、最上層に配置された上層補強体と、最下層に配置された下層補強体とを備え、
    前記液状化層における前記上層補強体と地表面との間の厚さおよび前記下層補強体と前記基盤層との間の厚さが、それぞれ前記液状化層の深さ方向の厚さの20%〜40%の距離に設定され、前記液状化層における前記上層補強体と前記下層補強体との間の深さ方向の厚さが、前記液状化層の深さ方向の厚さの30%以下の距離に設定されていることを特徴とする液状化対策地盤。
  2. 基盤層と前記基盤層の上層に形成された液状化層を備える地盤に液状化対策が施された液状化対策地盤であって、
    前記地盤における前記液状化層から前記基盤層に到達する深さまで複数の杭式改良体が打設されて、隣接する杭式改良体同士の間に補強体が形成されており、
    前記補強体は、隣接する前記杭式改良体同士を繋げていると共に、隣接する前記杭式改良体同士の間で、深さ方向に離間して複数形成されており、
    前記複数の補強体として、最上層に配置された上層補強体と、最下層に配置された下層補強体とを備え、
    前記液状化層における前記上層補強体と地表面との間の厚さおよび前記下層補強体と前記基盤層との間の厚さが、それぞれ前記液状化層の深さ方向の厚さの20%〜40%の距離に設定され、前記液状化層における前記上層補強体と前記下層補強体との間の深さ方向の厚さが、前記液状化層の深さ方向の厚さの30%以下の距離に設定されていることを特徴とする液状化対策地盤。
  3. 前記深さ方向に離間して形成された複数の前記補強体は、地表面に近づくにつれて、体積が大きく形成されている請求項1又は2に記載の液状化対策地盤。
  4. 複数の前記杭式改良体は、それぞれ平面視して正方形もしくは正三角形の角部に配置され、またはそれぞれ平面視して千鳥に配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状化対策地盤。
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