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JP5560838B2 - 静電アクチュエータの移動子および静電アクチュエータ - Google Patents
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JP5560838B2 - 静電アクチュエータの移動子および静電アクチュエータ - Google Patents

静電アクチュエータの移動子および静電アクチュエータ Download PDF

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本発明は、静電アクチュエータの移動子および静電アクチュエータに関する。
従来、電極が設けられた固定子と、この固定子上に配置されるとともに、樹脂基板と、樹脂基板上に設けられた抵抗体膜とを有する移動子と、を備えた静電アクチュエータが知られている。
このような構成からなる静電アクチュエータにおいて、移動子の抵抗体膜は、例えば、湿度変化に対して安定と言われる酸化スズ等の酸化金属系の材料と、これらの材料を結合するバインダとを含んでいる。
このような移動子において、湿度変化により抵抗体膜の表面抵抗値が大きく変わると、移動子の抵抗体膜が固定子の電極から電界をかけられても、表面抵抗値が低い場合は帯電後すぐ放電し、高い場合は帯電されにくくなる。すなわち、移動子を安定して動作させることができなくなる問題がある。
また、従来の静電アクチュエータには、移動子の抵抗体膜の材料として、ATO(Antimony Tin Oxide)とバインダとを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この従来の静電アクチュエータにおいては、ATOは、導電性粒子、すなわち、粒状(粒子状)の状態で抵抗体膜に用いられるものであり、鎖状(ファイバー状、針状、網目状、または、ネットワーク状とも称される)のATOを抵抗体膜に用いるものではない。
特開2005−237651号公報
本発明は、このような点を考慮してなされるものであり、移動子の動作特性に対する湿度変化の影響を低減することが可能な移動子を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る移動子は、
基板と前記基板上に各々独立して設けられ互いに平行に配置された複数の線状電極とを有する固定子の前記線状電極上に配置される、移動子において、
前記移動子は、樹脂基板と、前記樹脂基板上に設けられた抵抗体膜と、を有し、
前記抵抗体膜は、鎖状または多層プレート状のATOおよびカーボンナノチューブのうち少なくとも一方と、前記鎖状または多層プレート状のATOまたは前記カーボンナノチューブを結合するバインダと、からなる材料を含む、
ことを特徴とする移動子である。
また、上記移動子において、
前記バインダとして、ポリエステルまたはポリプロピレンが用いられていてもよい。
本発明の一態様に係る静電アクチュエータは、
基板と、前記基板上に各々独立して設けられ、互いに平行に配置された複数の線状電極とを有する固定子と、
前記固定子の前記線状電極上に配置される移動子と、を備え、
前記移動子は、樹脂基板と、前記樹脂基板上に設けられた抵抗体膜と、を有し、
前記抵抗体膜は、鎖状のまたは多層プレート状のATOおよびカーボンナノチューブのうち少なくとも一方と、前記鎖状または多層プレート状のATOまたは前記カーボンナノチューブを結合するバインダと、からなる材料を含む、
ことを特徴とする静電アクチュエータである。
また、上記静電アクチュエータにおいて、
前記バインダとして、ポリエステルまたはポリプロピレンが用いられてもよい。
本発明に係る静電アクチュエータの移動子は、固定子に対向する樹脂基板と、樹脂基板上に設けられた抵抗体膜と、を有し、この抵抗体膜は、鎖状(ファイバー状、針状、網目状、または、ネットワーク状とも称される)または多層プレート状のATO、または、カーボンナノチューブの何れか1つと、バインダと、からなる材料を含む。
これにより、従来技術と比較して、湿度変化による移動子の抵抗体膜の抵抗値の変化が抑制される。したがって、固定子の電極により帯電させられる移動子の静電気は適切な時間保持される事になり、移動子は安定して動作する。
すなわち、移動子の動作特性に対する湿度変化の影響を低減することができる。
本発明による静電アクチュエータの構成の一例を示す斜視図である。 図1に示す静電アクチュエータを模式的に示す上面図である。 図2のA−A線に沿った静電アクチュエータの断面を示す断面図である。 鎖状のカーボンナノチューブの観察写真である。 多層プレート状のカーボンナノチューブ(CNT)の観察写真である。 多層プレート状のカーボンナノチューブ(CNT)のモデル図である。 線状電極に印加される信号の波形の一例を示す波形図である。 本発明に係る静電アクチュエータが置かれた雰囲気の湿度と、移動子の固定子に対する相対的な移動距離との関係を示す図である。 比較例の静電アクチュエータが置かれた雰囲気の湿度と、移動子の固定子に対する相対的な移動距離との関係を示す図である。 鎖状のATOを含む移動子(本発明)の表面抵抗値の経時変化と、粒状のATOを含む移動子(比較例)の表面抵抗値の経時変化と、を示す図である。 比較例の静電アクチュエータにおいて、酸化スズを含む抵抗体膜を有する移動子の表面抵抗値と、湿度と、の関係の一例を示す図である。
以下、本発明による静電アクチュエータの実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による静電アクチュエータ100の構成の一例を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す静電アクチュエータ100を模式的に示す上面図である。また、図3は、図2のA−A線に沿った静電アクチュエータ100の断面を示す断面図である。なお、簡単のため、図2おいては、カバーフィルム103、摺動構造膜104を省略している。
図1および図2に示すように、静電アクチュエータ100は、一面102aと他面102bとを有する基板102と、基板102の一面102aに各々独立して設けられ、互いに平行に等間隔で配置された複数の線状電極1a〜1dと、を有する固定子1と、固定子1の線状電極1a〜1d上に移動自在に配置された移動子2と、を備える。
なお、移動子2を駆動するための信号a〜dは、図示しない駆動回路から4線式静電アクチュエータ100に入力される。このとき、各信号a〜dは、バスライン101a〜101d、スルーホール配線1b2、1d2、および、パッド電極1b1、1d1を介して、線状電極1a〜1dに、それぞれ印加される。
以下、固定子1について、さらに詳述する。上述のように、固定子1は、基板102と、この基板102の一面102aに設けられた導電性を有する複数の線状電極1a〜1dとを備えている。
さらに、複数の線状電極1a〜1dの一側に(図2の左側)、複数の線状電極1a〜1dに直交する方向に延設するとともに、線状電極1aと線状電極1bに各々接続される第1のバスライン101aと第2のバスライン101bが互いに平行に設けられている。さらに、複数の線状電極1a〜1dの他側に(図2の右側)、複数の線状電極1a〜1dに直交する方向に延設するとともに線状電極1cと線状電極1dに各々接続される第3のバスライン101cと第4のバスライン101dとが互いに平行に設けられている。
また、基板102の一面102a上に設けられた複数の線状電極1a〜1dを覆ってカバーフィルム103が設けられ、さらにカバーフィルム103を覆って摺動構造膜104が設けられている。
ところで、基板102は、例えば、25μmの厚さを有する。この基板102に用いられる素材としては、例えば、ポリイミド、ガラスエポキシ樹脂、フェノール樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、PEN(ポリエチレンナフレタート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルフイド)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリウレタン等が、選択される。特にPENは高耐熱性、高強度であり好ましい。
また、上述のように、複数の線状電極1a〜1dは、基板102の一面102a上に各々独立して設けられ、互いに平行に等間隔で櫛歯状に繰り返し配置されているが、この線状電極1a〜1dは、例えば、配線ピッチが0.3mm以下に設定され、また、この線状電極1a〜1dは、その厚さは、例えばPET基板上に電極材としてITO(酸化インジウムスズ)を形成する場合では1,500Å程度を有する(図2および図3参照)。
また、2本の第1、第2のバスライン101a、101bは、各々帯状をなし、上述のように線状電極1a〜1dの一側(図2の左側)に、設けられている。
このうち第1のバスライン101aは、基板102の一面(上面)102aに設けられ、この第1のバスライン101aは、線状電極1aに電気的に接続されている。
また、第2のバスライン101bは、基板102の他面(下面)102bに設けられ、線状電極1bに電気的に接続されている。また、基板102には、基板102を貫通し、基板102の他面102bに設けられた第2のバスライン101bに接続されるスルーホール配線1b2が設けられている。さらに、基板102の一面102aに、線状電極1bの一側とスルーホール配線1b2とを接続するパッド電極1b1が設けられている。
これにより、第2のバスライン101bは、線状電極1bに電気的に接続される。
また、2本の第3、第4のバスライン101c、101dは、各々帯状をなし、上述のように線状電極1a〜1dの他側(図2の右側)に、設けられている。
また、第3のバスライン101cは、基板102の一面(上面)102aに設けられ、線状電極1cに電気的に接続されている。
また、第4のバスライン101dは、基板102の他面(下面)102bに設けられ、線状電極1dに電気的に接続されている。ここで、基板102には、基板102を貫通し、基板102の他面102bに設けられた第4のバスライン101dと接続されるスルーホール配線1d2が設けられている。そして、基板102の一面(上面)102aに、線状電極1dの一側とスルーホール配線1d2とを接続するパッド電極1d1が設けられている。
これにより、第4のバスライン101dは、線状電極1dに電気的に接続されている。
次に、図3により、固定子1のカバーフィルム103および摺動構造膜104について詳述する。図3に示すように、カバーフィルム103は、基板102上に複数の線状電極1a〜1dを覆うように設けられている。このカバーフィルム103は、例えば、12.5μmの厚さを有する。このカバーフィルム103に用いられる素材としては、例えば、ポリイミドが選択される。
また、摺動構造膜104は、カバーフィルム103上に設けられている。この摺動構造膜104は、移動子2の下面(後述の樹脂基板2aの下面)に対して摺動性を有する。この摺動構造膜104は、例えば、数nmの厚さを有する。この摺動構造膜104に用いられる素材としては、例えば、シリコンが選択される。
なお、線状電極(駆動電極)1a〜1dの上面から抵抗体膜2bの帯電面(下面)までの距離dは、例えば、30μm以上、150μm以下に設定される。
次に、図1および図2により移動子2について詳述する。図1および図2に示すように、移動子2は、固定子1上に配置されている。この移動子2は、図3に示すように、固定子1に対向して設けられた樹脂基板2aと、樹脂基板2a上に設けられた抵抗体膜2bとを有している。
このうち樹脂基板2aは、固定子1に対向して接触するように配置される。この樹脂基板2aは、例えば、50μm程度の厚さを有する。
この樹脂基板2aに用いられる素材としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、PEN(ポリエチレンナフレタート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルフイド)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリウレタン等が、選択される。特に、PENは高耐熱性、高強度であり好ましい。
抵抗体膜2bは、上述のように、樹脂基板2a上に設けられ、この抵抗体膜2bは、例えば、1μm程度の厚さを有する。また、抵抗体膜2bは、例えば、1011〜1013Ω/□の範囲の表面抵抗値を有する。
ここで、図4は、鎖状のカーボンナノチューブの観察写真である。また、図5は、多層プレート状のカーボンナノチューブ(CNT)の観察写真である。また図6は、多層プレート状のカーボンナノチューブ(CNT)のモデル図である。
抵抗体膜2bは、例えば、図4に示すような鎖状(ファイバー状、針状、網目状、または、ネットワーク状とも称される)または図5、図6に示すような多層プレート状のATOおよびカーボンナノチューブのうち少なくとも一方と、これらATOまたはカーボンナノチューブを結合させるバインダと、からなる材料を含む。
バインダとしては、例えば、ポリエステルまたはポリプロピレン等の吸湿性が低い樹脂で構成を用いることができる。これにより、アクリル樹脂等と比べて、湿度変化による表面抵抗値の変化が小さくなり、移動子の安定した動作を図ることができる。
なお、抵抗体膜2bは、可能であれば、エマルジョン化剤、分散剤(界面活性剤)を含んでいないことが望ましい。
また、抵抗体膜2が鎖状または多層プレート状のATOおよびカーボンナノチューブのうち少なくとも一方を含むことの評価方法には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)による評価が適用される。
次に、以上のような構成を有する本実施の形態の作用、すなわち、静電アクチュエータ100の動作について説明する。
まず、図2に示すように、信号a〜dは、図示しない駆動回路から静電アクチュエータ100に入力される。このとき、各信号a〜dは、バスライン101a〜101d、スルーホール配線1b2、1d2、および、パッド電極1b1、1d1を介して、線状電極1a〜1dに、それぞれ印加される。
ここで、図7は、線状電極1a〜1dに印加される信号a〜dの波形の一例を示す波形図である。なお、図7では、信号a〜dが矩形波の場合について示しているが、信号a〜dが正弦波である場合も同様の位相関係になる。
図7に示すように、隣接する線状電極1a、1bに入力される2つの信号a、bは、4分の1周期だけずれている。同様に、隣接する線状電極1b、1cに入力される2つの信号b、cは、4分の1周期だけずれている。同様に、隣接する線状電極1c、1dに入力される2つの信号c、dは、4分の1周期だけずれている。
これにより、線状電極1aと線状電極1cには、各々位相が半周期ずれた信号a、cが入力される。また、線状電極1bと線状電極1dには、各々位相が半周期ずれた信号b、dが入力される。
この場合、移動子2の抵抗体膜2bが、線状電極1a〜1dに印加される信号a〜dに応じて帯電する。そして、信号a〜dの電圧が変化することにより、移動子2の帯電した部分が放電する前に、移動子2が固定子1上を線状電極1a〜1dに垂直な方向に、移動する(図2)。
なお抵抗体膜の表面抵抗値が低い場合は、信号a〜dの電圧変化で移動する前に放電し動かず、表面抵抗値が高い場合は帯電しにくいため動かない不具合が発生する。
次に、図8および図9を用いて、移動子の移動特性と湿度との関係について検討する。この移動子の移動特性と湿度との関係を調べることにより、移動子の動作の経時的な安定度を知ることができる。なお、図8および図9の例では、移動特性として、移動子の固定子に対する相対的な移動距離を測定している。
ここで、図8は、本発明に係る静電アクチュエータが置かれた雰囲気の湿度と、移動子の固定子に対する相対的な移動距離との関係を示す図である。また、図9は、比較例である従来の静電アクチュエータが置かれた雰囲気の湿度と、移動子の固定子に対する相対的な移動距離との関係を示す図である。
なお、図8および図9において、縦軸の移動距離は、移動子の固定子に対する相対的な規定の移動距離(40mm)を100として、正規化されている。また、評価サンプルとして、50μm厚の基板(PET)上に0.7±0.3μmの抵抗体膜が成膜されて構成され、10cm×10cmの矩形の形状を有する移動子を用いている。また、図8の例では、移動子の抵抗体膜に、鎖状のATOを用いている。また、図9の比較例では、移動子の抵抗体膜に、粒状のATOを用いている。
図8および図9に示すように、湿度が20%から50%の範囲では、鎖状のATOを含む抵抗体膜を有する移動子(本発明)と、粒状のATOを含む抵抗体膜を有する移動子(比較例)とは、同様に規定の移動距離を移動することができる。
そして、湿度が50%を超えた場合に、両者共に、移動特性が劣化する。しかし、鎖状のATOを含む抵抗体膜を有する移動子(本発明)の方が、粒状のATOを含む抵抗体膜を有する移動子(比較例)よりも、移動特性の劣化が小さい。
このように、鎖状のATOを含む抵抗体膜を有する移動子(本発明)は、粒状のATOを含む抵抗体膜を有する移動子(比較例)よりも、移動特性に対する湿度変化の影響が小さいと考えられる。
次に、図10を用いて、移動子の表面抵抗値の経時変化について検討する。移動子の表面抵抗値の経時変化を調べることにより、移動子の動作の経時的な安定度を知ることができる。図10は、鎖状のATOを含む移動子(本発明)の表面抵抗値の経時変化と、粒状のATOを含む移動子(比較例)の表面抵抗値の経時変化とを示す図である。なお、図10において、評価サンプルとして、100μm厚の基板(PET)上に0.7±0.3μmの抵抗体膜が成膜されて構成され、10cm×10cmの矩形の形状を有する移動子を用いている。保存方法は実際に即し倉庫内に放置(湿度約40〜80%、温度20〜35℃)とし、また測定時の湿度は、50±5%であり、温度は、22±1℃である。
図10に示すように、鎖状、粒状ともパーコレーションの閾値が1012Ω/□付近にあるため変化は大きいが、特に粒状のATOを含む移動子(比較例)の表面抵抗値は、評価サンプルの形成から8週間程度で、2.8×1012Ω/□から2.6×1011Ω/□に大きく低下(約10分の1に変化)する。すなわち、粒状のATOを含む抵抗体膜は、粒子がクラスターを形成するなど導通を得るには比較的多量に必要であり、抵抗体膜を形成する粒子間の隙間が狭く環境中の水分や異物が付着した影響を受け易いため、表面抵抗値が大きく低下する。
一方、鎖状のATOを含む移動子(本発明)の表面抵抗値は、評価サンプルの形成から8週間程度で、1.3×1012Ω/□から2.8×1012Ω/□に変化(約2倍に変化)する(図10)。これは鎖状で長いため導通が取り易く、比較的少量で導通が得られる事により、抵抗体膜中の隙間が広く環境中の水分や異物などの影響を受け難いためと考えられる。
このように、粒状のATOを含む移動子(比較例)は、時間経過により、表面抵抗値(抵抗体膜の抵抗値)が大きく変化する。そして、抵抗体膜の抵抗値が低下すると、移動子の抵抗体膜が線状電極に帯電されても放電し易くなり、移動子を安定して動作させることができなくなる。さらに、表面抵抗値(抵抗体膜の抵抗値)が大きく変化すると、抵抗体膜の表面抵抗値を目標値に設定するのが難しく、歩留りが低下する。
これに対し、鎖状のATOを含む移動子(本発明)は、時間経過による水分や異物による特性変化や変質が起こりにくいので、表面抵抗値の変化が小さく、移動子の安定した動作を図ることができる。
また、鎖状のATOを抵抗体膜の材料として採用することにより、少ないATOの量で抵抗体膜の所望の特性(例えば、1012Ω/□程度の表面抵抗値)を得ることができるので、静電アクチュエータの製造コストを下げることができる。さらに、透明度がより高くでき意匠性が良い。
一方、移動子の抵抗体膜がカーボンナノチューブを含む場合も、従来技術と比較して、湿度変化や経時変化に対して表面抵抗値の変化が小さくなる。したがって、この場合も、移動子の安定した動作を図ることができる。カーボンナノチューブも鎖状ATOと同様に長い構造を有し、抵抗体膜中の隙間が広いため環境中の水分や異物の影響が少ない。
なお、粒子状のATOやカーボンナノチューブは凝集し易く攪拌しても分散しない問題があり、表面抵抗値が低下したり、表面抵抗値の面内バラつきが大きくなったりする問題がある。凝集で表面抵抗値が低下した場合、バインダを少量づつ加え調整しようとしても急に表面抵抗値が上昇するなど調整は困難となる。
これに対し、鎖状の場合は凝集しにくいため、長期保存した場合でも攪拌すれば表面抵抗値を所定値に調整し易く面内バラつきも小さい。粒子状では約1ヶ月で凝集のため使用不可となったが、鎖状では3ヶ月を経過しても攪拌すれば使用できた。
次に本発明に係る静電アクチュエータの移動子の特性を、酸化スズを含む抵抗体膜を有する一般的な移動子との比較において説明する。
ここで、図11は、比較例の静電アクチュエータにおいて、酸化スズを含む抵抗体膜を有する移動子の表面抵抗値と、湿度と、の関係を示す図である。なお、評価サンプルとして、100μm厚の基板(PET)上に0.7±0.3μmの抵抗体膜が成膜されて構成された移動子を用いている。
図11に示すように、湿度が50%から80%に上昇することにより、抵抗体膜の表面抵抗値が、20分の1倍〜30分の1倍に変化する。このように、抵抗体膜の抵抗値が変化すると、移動子の抵抗体膜と線状電極に帯電されても放電し易くなり移動子を安定して動作させることができなくなる。さらに、表面抵抗値(抵抗体膜の抵抗値)が大きく変化すると、抵抗体膜の表面抵抗値を目標値に設定するのが難しく、歩留りが低下する。
図11に示す比較例としての静電アクチュエータの移動子に対して、本発明に係る静電アクチュエータの移動子は、既述のように、固定子に対向して設けられた樹脂基板と、樹脂基板上に設けられた抵抗体膜と、を有し、この抵抗体膜は、鎖状(ファイバー状、針状、網目状、または、ネットワーク状とも称される)または多層プレート状のATO、または、カーボンナノチューブの何れか1つと、バインダと、からなる材料を含む。
これにより、湿度変化による移動子の抵抗体膜の抵抗値の変化が抑制され、移動子を安定して動作させることができる。
さらに、カーボンナノチューブを抵抗体膜の材料として採用することにより、少ないカーボンの量で抵抗体膜の所望の特性(例えば、1012Ω/□程度の表面抵抗値)を得ることができるので、静電アクチュエータの製造コストを下げることができる。さらに、透明度がより高くでき意匠性が良い。なお、抵抗体膜におけるカーボンの含有量を少なくすることができるので、水分が抵抗体膜の隙間に入っても抵抗値に対する影響が小さいと考えられる。
また、既述のように、鎖状または多層プレート状のATOおよびカーボンナノチューブを採用する何れの場合にも、バインダには、ポリエステルやポリプロピレン等の吸湿性が少ない樹脂を用いるため、より湿度変化の影響を低減することができる。
以上のように、本実施例に係る静電アクチュエータの移動子によれば、移動子の動作特性に対する湿度変化の影響を低減することができる。
1 固定子
1a〜1d 線状電極
1b1、1d1 パッド電極
1b2、1d2 スルーホール配線
2 移動子
2a 樹脂基板
2b 抵抗体膜
100 静電アクチュエータ
101a 第1のバスライン
101b 第2のバスライン
101c 第3のバスライン
101d 第4のバスライン
102 基板
103 カバーフィルム
104 摺動構造膜
a〜d 信号

Claims (4)

  1. 基板と前記基板上に各々独立して設けられ互いに平行に配置された複数の線状電極とを有する固定子の前記線状電極上に配置される、移動子において、
    前記移動子は、樹脂基板と、前記樹脂基板上に設けられた抵抗体膜と、を有し、
    前記抵抗体膜は、鎖状のまたは多層プレート状のATO(Antimony−Tin−Oxide)と、前記鎖状または多層プレート状のATOを結合するバインダと、からなる材料を含む、
    ことを特徴とする移動子。
  2. 前記バインダとして、ポリエステルまたはポリプロピレンが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の移動子。
  3. 基板と、前記基板上に各々独立して設けられ、互いに平行に配置された複数の線状電極とを有する固定子と、
    前記固定子の前記線状電極上に配置される移動子と、を備え、
    前記移動子は、樹脂基板と、前記樹脂基板上に設けられた抵抗体膜と、を有し、
    前記抵抗体膜は、鎖状または多層プレート状のATO(Antimony−Tin−Oxide)と、前記鎖状または多層プレート状のATOを結合するバインダと、からなる材料を含む、
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  4. 前記バインダとして、ポリエステルまたはポリプロピレンが用いられていることを特徴とする請求項3に記載の静電アクチュエータ。
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