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JP5565718B2 - 半導体物品のエッチング方法 - Google Patents
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Description

本発明は、エッチング液を使用して、シリコンウェハなどの表面をエッチングする半導体物品のエッチング方法に関するものである。
SOI(Silicon on Insulator)基体を使用した半導体装置は、シリコン(Si)ウェハなどのSi基体を使用した半導体装置より動作速度、省エネの点で有利であるといわれており、例えば、イメージセンサー等の光電変換装置の分野でもSOI基体を利用する提案がなされている。
一方、高精彩、高解像度で撮像したり物体を観察したりする機会が増え、高密度イメージセンサーの提案・開発が年々盛んになってきている。高密度イメージセンサーは、その光電変換部を構成する、フォトダイオード等の光電変換素子が高密度に配列しているものであり、高密度になればなるほど、光電変換素子の受光面(ピクセル)の面積は、小さくならざるを得なくなる。受光面の面積が小さくなると光電変換素子に入射する単位時間辺りの光量が少なくなるので、光電変換素子の光感度を高める必要が生じるが、それにも限界がある。
更に、高密度化に伴って受光面の面積が必要以上に小さくなる大きな要因に、各光電変換素子や駆動素子に信号を送ったり、イメージセンサーの所定の箇所に所定の電圧を印加したりするための配線が占める面積がある。一般的には、製造の便宜上から配線の抵抗を低く保つために配線の幅を出来る限り広くとるように設計される。そのために、二次元に配列された複数の受光面で、その一部が構成される受光部の配線の占める面積の割合は、受光面が高密度に配列されるに従って大きくなる。それを避けるために、配線の幅の広さで低抵抗化を図るのではなく、配線の厚みを厚くすることで低抵抗化を図ることが提案され実用化もされているが、製造工程数が増しコストアップの原因になっている。
最近は、高密度化と高光感度化を両立させる一案として、配線面積の影響を少なくすることが出来ることから、一般のイメージセンサーの光電変換部への入射方向とは反対の側(Si基体の裏面側)から光入射させる、所謂、裏面照射タイプのイメージセンサーが多数提案されており、一部は実用化もされている。このタイプのイメージセンサーでは、光電変換部が設けられた第一の基体とSOI基体上に駆動回路が設けられた第二の基体とを、第一の基体の光電変換部が設けられた側と反対側の面と第二の基体の駆動回路が設けられた側の面とが対面するようにして貼り合わせてある。
しかしながら、光電変換素子にSi基体を通して光入射させるので、何れの色(波長)の光も対応する各光電変換素子の受光面に効率良く入射させる工夫が必要である。
その一つに、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)やウエットエッチングでSi基体の裏面側を除去してSi基体の厚みを出来るだけ薄くする提案がある。しかしながら、Si基体が比較的厚いために、これまでは、CMPで所定厚まで研削し、その後CMPによる所謂ダメージ層を除去するためにウエットエッチングを行っていた。そのため、多大な時間が掛かり、しかもこのことが生産効率を律速しているため、コスト高の要因になっていた。
その解決策として、エッチング液として従来実用的には不向きでるとされていた高濃度のフッ硝酸を使用して生産効率を飛躍的に上げる提案がある(特許文献1)。
特開2012−119656号公報
しかしながら、本願発明者らが、特許文献1に記載されてある技術について追試実験を行った結果、以下のような課題の存在が確認された。
即ち、図1を参照して説明すると、Siに対するフッ硝酸薬液のエッチングレイトが極めて高くてかつ濃度依存性が小さくないので、被エッチング面の面積が大きいと場合によっては、被エッチング面上のエッチング薬液の濃度に位置的不均一性が生じてエッチング進度に斑が出て、その結果、SiO層表面104上にエッチング残りとしてのSi凸部(残部)106が残る。そのため、SiO層102の厚みbがSi凸部(残部)106の最大高さaに比べてはるかに薄い場合は、最大高さaを有するSi凸部(残部)106bの全てがエッチング除去され終わる前に、既に露出しているSiO層露出表面部105において、SiO層102の全てがエッチング除去されて仕舞うため、SiO層102がエッチング・ストップ層として十分機能しないことがある。この現象は、Si基体100のエッチングを受ける表面の面積が大きくなる程発現し易くなる傾向にあることも我々発明者の実験で確認されている。
一方、SOIデバイスのBOX層、MOS−FETのゲート酸化膜は、形成されるトランジスタTrの性能を高めるためには、それらの厚みはできるだけ薄く形成されることが望まれる。しかも、最近は、極薄い膜品質の良いSiO膜を形成できる手法も確立されてきており、トランジスタTrの性能は益々向上し微細化も進んで、マイクロコンピュータ(μC)などの、トランジスタTrのような機能電子素子を高密度に搭載した高度インテリジェント半導体装置の開発に拍車がかかっていることからすれば、前述のエッチング技術は、生産効率を高め低コストで半導体装置が提供できるので、前記の課題を解決することは、半導体産業を大いに発展させることになる。
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、エッチング薬液として高エッチングレイトのフッ硝酸を使用しても、SiO層がエッチング・ストップ層として確実に機能するシリコン系の半導体基体のエッチング方法を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、生産性が極めて高く確実にエッチング処理ができるシリコン系の半導体基体のエッチング方法を提供することである。
このような目的を達成するために、本発明の第一の態様は、
基体上に、SiO層と、自由表面を有し該SiO層上に直接積層したSi層、とを有する半導体物品を用意し、前記自由表面側からエッチング液を供給しながら前記Si層をエッチングする工程を含む半導体物品のエッチング方法において、
前記エッチング液として濃度の高いフッ硝酸を使用してエッチングを行うとともに前記Si層直下の前記SiO層の表面の少なくとも一部が露出する直前若しくは直後に前記フッ硝酸よりも濃度の低いフッ硝酸に切り替えてエッチング処理を進めることを特徴とする半導体物品のエッチング方法である。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様において、エッチング処理するエッチング方法において、エッチング処理中に、前記表面の複数の所定位置の温度を計測し、その計測値に応じて前記表面を加熱若しくは冷却することを特徴とする半導体物品のエッチング方法である。
また、本発明の第三の態様は、基体上に、SiO層と、自由表面を有し該SiO層上に直接積層したSi層、とを有する半導体物品の前記Si層表面にフッ硝酸液を供給しながらエッチング処理するエッチング方法において、化学組成が、
HF(a) HNO(b) HO(c)
(ここで、a、b及びcは、濃度を表す数値であり、その単位はwt%である。a+b+c=100、a+b≧50)
である第一のフッ硝酸を使用して前記Si基体の表面にエッチング処理を、前記SiO層の表面の少なくとも一部が露出する直前若しくは直後まで施す第一の過程、該第一の過程に順を追って、前記第一のフッ硝酸よりも濃度の低い第二のフッ硝酸を使用してエッチング処理を進める第二の過程、を備えたことを特徴とする半導体物品のエッチング方法である。
本発明の第四の態様は、前記第三の態様において、エッチング処理中に、前記Si層の被エッチング表面の複数の所定位置の温度を計測し、その計測値に応じて前記表面を加熱若しくは冷却することを特徴とする半導体物品のエッチング方法である。
更に、本発明の第五の態様は、基体上に、SiO層と、自由表面を有し該SiO層上に直接積層したSi層、とを有する半導体物品の前記Si層の表面にエッチング液を供給しながらエッチング処理する際にエッチングに発熱反応を伴うエッチング方法において、エッチング処理中に、前記表面の複数の所定位置の温度を計測し、その計測値に応じて前記表面を加熱若しくは冷却するとともに、前記SiO層の表面の少なくとも一部が露出する直前若しくは直後に濃度の高いエッチング薬液から濃度の低いエッチング薬液に切り替えることを特徴とする半導体物品のエッチング方法である。
本発明の半導体物品のエッチング方法によれば、第一に、平滑性と平面性に優れた表面を備える半導体物品が提供できる。
第二には、外部からの光を効率よく光電変換部に導入することができる光入射面を有する光電変換モジュール用の平滑性と平面性に優れた表面を備える半導体物品が提供できる。
第三には、生産効率を飛躍的に向上させた、裏面照射タイプのイメージセンサー用の平滑性と平面性に優れた表面を備える半導体物品が提供できる。
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付すこともある。
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1は、本発明の課題を模式的に説明するための模式的説明図である。 図2は、本発明に係るエッチング装置の一例の主要部を説明する模式的説明図である。 図3は、本発明に係る実験結果の典型的な例の一つを説明するための模式的説明図である。 図4Aは、本発明に於いて、Si基体の被エッチング表面にエッチング液を供給するための供給ノズルからの液供給方向と被エッチング表面との関係の好適な例を説明するための模式的説明図である。 図4Bは、本発明に於いて、Si基体の被エッチング表面にエッチング液を供給するための供給ノズルからの液供給方向と被エッチング表面との関係の好適な例を説明するための模式的説明図である。 図5は、エッチングレイトの温度依存性の一例を説明するグラフである。 図6は、本発明を実施するためのエッチング装置の好適な例の一つを説明するための模式的説明図である。 図7は、本発明に係るエッチングシステムの好適な一例を説明するための模式的構成図である。 図8は、本発明に係る別のエッチング装置の主要部を説明する模式的説明図である。
本発明は、本発明者等が、繰り返し行った実験において、エッチング状態を注意深く繰り返し観察してみると、大きなうねり状凹凸の形成は、エッチング液の供給位置と供給量、及びエッチング液の流れ方向とに関連しており、しかも、被エッチング面の表面温度に著しい位置依存性があることが判明したことに基づいている。
以下、本発明について、図を参照しながらより具体的に説明するが、本発明は、以下の記載例に限定されるものではない。
図2は、本発明に係るエッチング装置の一例の主要部を説明する模式的説明図である。
Si基体201は、図2に示す様に、ノズル203が基体201の回転中心に位置するように配され、定速回転しながら、ノズル203からエッチング薬液205の供給を受ける。又、Si基体201は、基体支持手段202a、202b、202cで支えられている。ノズル203から基体201の被エッチング面に供給されるエッチング薬液205は、基体201が所定の回転速度で定速回転しているので、その回転力により発生する遠心力により、基体201の被エッチング面上を渦状に基体201の外周端に向かって流動して行く。
フッ硝酸によるSi基体のエッチングは、そのエッチング反応が発熱反応であるため、場合によっては、局部的に100℃に近い温度まで温度上昇することがある。フッ硝酸のSiに対するエッチングレイトERは、濃度たけでなく温度にも依存し、薬液温度が上昇するとエッチングレイトERも上昇する。従って、場合によっては、エッチング処理中に薬液の温度を下げる必要が生ずることがある。その為に、冷媒供給用のノズル204を設けておくのが好都合である。
冷媒206は、液体でも気体でもよい。液体としては、冷水、液体窒素等が、気体としては、冷却空気等が挙げられる。図2に於ける装置では、ノズル204からは、冷媒206が基体201の裏面に向かって吐出される。冷媒206供給用ノズル204は、図2の場合2本(204a、204b)設けてある。
先ず以下に、図2の装置で、所定の濃度のフッ硝酸をノズル203から供給してエッチング処理する場合の最も簡素な典型例の一つを図3で説明する。
(1)実験条件
・ノズル203の位置・・・・基体の被エッチング面の上方で基体の回転中心軸上
・エッチング薬液供給量・・・・1L/min
・試料(p型Si基体:200mmφ)の回転スピード・・・・850rpm
・エッチング時間・・・・15sec
・エッチング薬液・・・・HF:30%/HNO:28%のフッ硝酸
・試料表面の温度・・・・サーモカメラで測定
図3に、得られた結果の典型例の一つを示す。図3において、横軸は、薬液供給位置(基体201の回転中心)からSi基体201の外周端方向(基体201の半径方向)へ向かっての回転中心からの位置(薬液の流動位置)を示す。縦軸は、エッチングレイトER若しくは薬液温度T(℃)の相対値を示す。図3において、実線がエッチングレイトER、点線が薬液温度である。
Si基体201の回転中心位置(ノズル203の薬液供給位置)からSi基体201の外周に向かってある一定距離までは、回転中心位置におけるエッチングレイト(ER)とほぼ等しいエッチングレイト(ER)の領域(定ER領域:図3のグラフの中心底部)になっているが、その領域を過ぎると矢印Aで示す様にER上昇領域(A)になり、エッチングレイト(ER)は、位置Xでピークになる。ピーク位置Xを過ぎると矢印Bで示す様にER下降領域(B)になり、Si基体201の外周端付近になるとエッチングレイト(ER)の下降には緩やかさが備わってくることが図3から理解される。
この場合の液温温度Tは、点線で示す様に、基体201の回転中心から位置Xまでは、エッチングレイトERと似た傾向を示している。しかし、液温温度Tは、位置Xを過ぎてもエッチングレイトERの様に下降せず略平坦である。
2つのピーク位置X(X、X)の位置は、必ずしも絶対値的にも一致するものではない。勿論、一致する場合もあり得るし、本発明に於いては一致するか否かは本質的なことではない。
前記のエッチングレイト領域とERカーブの形状、ERのピーク値、ピーク位置Xの位置、等々は、エッチングを受ける面を備える基体201の回転スピード、エッチング液の単位時間当たりの供給量、エッチング液の組成・組成比・濃度と粘度、表面張力、ノズル203の数と設置位置、その吐出口の形状、吐出方向、等々に依存する。
本発明に於いては、ノズル203の数と設置位置、の吐出口の形状、吐出方向、等々、フッ硝酸の組成比・濃度、ノズル203からのフッ硝酸薬液の供給量、供給の仕方、基体201の回転スピード、等々、を調節して、又は/及びこれらのパラメータの中、エッチング処理中に或いはエッチング処理を中断して変更・再調整が可能なパラメータは、エッチング処理中に或いはエッチング処理を中断して変更・再調整することで、最適な(フラットな)ERカーブが得られるようにする。
その上で、SiO層表面が露出する直前または直後からは、それまでのエッチングレイトERの高いフッ硝酸(高ERフッ硝酸)に替えて、エッチングレイトERの低いフッ硝酸(低ERフッ硝酸)をエッチング液にしてエッチング処理を進める。
高ERフッ硝酸から低ERフッ硝酸に切り替える切り替え方法は、種々考えられるが、例えば、高ERフッ硝酸用ノズルと低ERフッ硝酸用ノズルの2種類の薬液用のノズルを夫々設けておき、適切な薬液供給タイミングで、高ERフッ硝酸から低ERフッ硝酸に切り替える方法、図2の装置の場合は、ノズル204から適切なタイミングで冷媒をSi基体201裏面に噴出させてSi基体201を急冷してSi基体201上の薬液の温度を低下させエッチングレイトERを下げる、或いは、ノズル203に又は/及びノズル203に連通する供給パイプの途中に冷却手段を設けておき、切り替えの良いタイミングでノズル203から供給されるフッ硝酸薬液の液温を急降下させてSi基体201の被エッチング面上に低ERフッ硝酸薬液を瞬時に供給する、等々が、本発明に於いては好ましく採用される。
高ERフッ硝酸から低ERフッ硝酸に切り替える切り替えのタイミングを計る方法は、本発明の目的が効果的に達成される範囲に於いて適宜選択される。例えば、好ましくは以下に記す方法の中の一つを選択するのが望ましい。
その一つ(切り替えタイミングの取得方法Aとそれに基づく本発明の実施A)は、次の通りである。
(1)先ず、事前に、使用するSiウェハのエッチングレイトERとエッチングレイトERの分布のデータを取得する。
(2)高ERフッ硝酸でSi基体(試料)のSi層のエッチングを進める過程で、SiO層の表面が最初に露出した段階で、一旦エッチングを中断し、SiO層の表面上に残っているSi残部の残り厚(図1のaに相当)をレーザー変位計で測定する。
(3)Si残部の残り厚の測定結果とエッチングレイトの濃度依存性のデータから、低ERフッ硝酸で、後何秒間エッチング処理したらSi残部が完全にエッチング除去でき、且Si残部下のSiO層表面でエッチングを寸止め出来るかを計算で求める。
(4)求めた計算値に基づいて、高ERフッ硝酸でのエッチングの後、低ERフッ硝酸に切り替えてエッチング試験を行い、確実に所定のSi残部が除去できており且つSiO層表面でエッチングが寸止めされているかレーザー変位計で確認する。
(5)以上の準備後に、上記試験と同様の条件でSi基体のエッチング処理の本番(本発明の実施)を行う。
もう一つのより好例(完全自動化)を、以下に記す。
エッチング処理チャンバー中に、レーザーセンサープローブ(耐薬品性に優れた)を設置しておき、インラインでエッチング処理中或いはエッチング処理直後にSi層の厚みの変化をモニターし、予め中央制御装置にインプットしてあるSi層の厚み量分がエッチング除去された段階で、高ERフッ硝酸から低ERフッ硝酸に瞬時に自動的に切り替える。レーザーセンサープローブは、Si基体の表面を任意に走査できるようにシステム化されている。
上記の他、以下の例も本発明に於いては好ましいものである。
即ち、光干渉式膜厚測定装置をエッチング処理チャンバーに装着して置き、Si層、SiO層の厚みを直接監視しながらエッチングを行う方法である。
図4A,Bには、3本のノズルを所定の位置に配してエッチングする場合の各ノズルの位置関係、ノズルからの液吐出方向(ノズルの向き)等を説明するための模式的説明図が示される。
Si基体401の被エッチング処理表面には、3つのエッチング液供給ノズル402a、402b、402cからエッチング液が落下供給される。各ノズルから供給されるエッチング液は、所定の液温に調整されて供給される。Si基体401は、矢印aで示すように所望の回転数で回転する。Si基体401の被エッチング処理面へのエッチング液の供給は、Si基体401を定速回転させながら実施される。ノズル402aの位置は、Si基体401の回転中心位置となっている。
各ノズルからSi基体401の被エッチング処理面へ落下供給されるエッチング液は、Si基体401の回転速度に応じた渦巻状または円弧状の軌跡を描いて、Si基体401の外周方向に流動する。このエッチング液の流動の軌跡は、Si基体401の回転速度が大きくなるに従って直線に近いものとなる。
液供給の吐出方向を基体の回転の向きと逆行する方向にすると、供給される液体と回転している基体上にある液層とが接触する部分において、液層の盛り上がりが出来て基体上の液の安定流動を阻害する。この阻害が局所的にエッチングレイトに変化を起こす場合があるので、液供給の吐出方向を基体の回転の向きと逆行する方向にするのは好ましくない場合がある。この阻害の度合いは、基体の回転速度、及び液の吐出速度・吐出角度に依存する。そのため、好ましくは、その阻害の影響がエッチングレイトに局所的変化を実質的に起こさないように、基体の回転速度、及び液の吐出速度・吐出角度を選択するのが望ましい。吐出方向は、特に好ましくは、基体の回転の向きに順行する方向にするのが望ましい。
ノズル402bの吐出口からの液吐出の方向は、X軸との関係に於いては、角度θで矢印bの方向に向けられるのが、基体401表面上のエッチング液の流れを出来るだけ乱さないように出来るので好ましい。角度θは、好ましくは、0度<θ<90度の範囲であるのが望ましく、より好ましくは、10度≦θ≦45度の範囲であるのが望ましい。ノズル402bの吐出口からの液吐出の方向は、回転中心軸Zとの関係に於いてはZ軸と角度φを保って、XY面上での関係ではX軸と角度θを保って、所定の方向に設定される。角度φは、角度θ、ノズル402の形状と大きさ、及びノズル402に設けた吐出口の形状と大きさ、数、基体401の回転スピードとの関係に於いて、本発明の目的が効果的に適う様に最適な角度に配される。
図4A,Bの場合、図示のごとくに3本のノズルがSi基体401の被エッチング面(表面)と所定の間隔を置いてSi基体401の上方に配される。即ち、ノズル402aがSi基体401の回転中心と同等の位置に、ノズル402bがX軸上と同等の位置に、ノズル402cがY軸上と同等の位置に、夫々配されている。ノズル402aとノズル402bとは、間隔Xを設けて配されている。ノズル402aとノズル402cとは距離Yを隔てて配されている。
3本のノズル402からのエッチング(薬)液の基体401に向けた吐出方向の最も容易な配置は、基体401の表面に垂直な方向である。この場合、3本のノズル402からの単位時間当たりの液供給量は、基体401の回転スピードと大きさを考慮してそれぞれ適正な液供給量が決められる。基体401がそれほど大きくない場合は、ノズル402a一本で適正な液供給が行える場合もある。
間隔X,Yは、ノズル402の形状と大きさ、ノズル402に設けた吐出口の形状と大きさ、数に依存するが、これらは、本発明の目的が効果的に適う様に設計される。ノズルの形状と吐出口構造、及び液吐出力と吐出方向は、基体上のエッチング液の流動性に影響し、その影響がある程度以上になると、エッチングレイトに変化を齎すようになる。そのため、ノズルの形状と吐出口構造、及び液吐出力と吐出方向は、本発明の目的に適う様に的確に選択するのが望ましい。
ノズルの形状は、直状的であっても、先絞り(先細り)、先広がりであってもよいが、よい正確な吐出方向性が得られやすいということから、先絞りであるのが好ましい。ノズル配列は、本発明の目的が達成されるように設計されるのなら、一直列、複直列、同心円配列の何れでもよい。また、複数のノズルからのエッチング薬液等の吐出法は、所謂シャワーヘッドの様に、放散タイプ、或いは指向タイプ、収束タイプの何れにしても良い。ノズルの吐出口面積を小さくして吐出圧力を高めることも液供給方向の指向性を高めるのに有効である。
Si基体の被エッチング面への薬液の供給は、圧送式、加圧式、重力落下式、垂直吐出供給式、加圧落下式、傾斜吐出式の何れでも良い。
角度φは、好ましくは、90度≧φ>0度の範囲にあるのが望ましく、より好ましくは、60度≧φ≧10度の範囲にあるのが望ましい。
エッチングレイトは、エッチングの際に起こる発熱反応の程度の要因となるエッチング液の化学構成材料のエッチング液中の濃度にも、その依存性が高い。本発明の目的の一つは、本発明を実施するに際し、エッチング処理する基体の被エッチング面の温度分布に、図3に典型例が示されるような大きなエッチングレイト差を生じないように図ることにある。
本発明に於いて、使用されるフッ硝酸は、通常使用されている一般的な組成比・濃度のフッ硝酸であっても、本発明の効果は十分得られるが、以下のような液組成比・高濃度のフッ硝酸を使用すれば、格段にエッチングレイトが高く本発明の効果が劇的レベルで得られるという高量産性という技術視点で、好ましいものである。
即ち、前記した式の「a、b、c」の値としては、目的とするSi基体が生産効率良く製造出来る所望のエッチングレイトとなるように適宜選択される。
本発明に於いて、「a、b、c」の値としては、通常は、
19≦a≦42、11≦b≦60、28≦c≦45、a+b+c=100
であることが望ましい。この条件下にあれば、Si基体のエッチングレイトは、少なくとも400μm/minを確保することができる。
好ましくは、
23≦a≦40、14≦b≦52、25≦c≦46、a+b+c=100
であることが望ましい。この条件下にあれば、Si基体のエッチングレイトは、少なくとも600μm/minを確保することができる。
より好ましくは、
27≦a≦37、18≦b≦45、28≦c≦45、a+b+c=100
の範囲の中から選択されるのが望ましい。この条件下にあれば、Si基体のエッチングレイトは、少なくとも800μm/minを確保することができる。
但し、以上の式において、a、b、cの単位はwt%である。
本発明の更に好ましいのは、上記の条件に加えて、
c≦a+b
であることが望ましい。
本発明に於いては、HF(a) HNO(b) HO(c)における「a、b、c」の値及びその関係が上記したものに規定され、エッチングレイトに実用上の悪影響がなければ、目的に応じて必要な添加物を添加してもよい。そのような添加物としては、酢酸、硫酸、燐酸が挙げられる。
[実験1]
以下のようにして、エッチングレイトの温度依存性を確認した。実験装置は、極一般的なエッチング用装置を使用した。
浸漬漕内に、エッチング薬液である所定濃度のフッ硝酸を収納した。浸漬漕は、恒温漕内に配して置いた。浸漬漕内のエッチング薬液を所定の温度に保った。浸漬漕内には、磁性の撹拌子を収め、外部から回転力を与えて浸漬漕内にあるエッチング薬液を撹拌し、エッチング薬液の温度を均一に保つようにした。実験用の試料であるシリコンウェハを、上記のように準備された浸漬漕内に浸漬しエッチングの実験をした。
以下、実験条件を記す。
(1)試料と薬液の準備
・試料・・・・30mm角p型シリコンウェハ基板
775μm厚
・エッチング薬液・・・・所定濃度のフッ硝酸薬液
(HNO:4〜49wt%、HF:13.5〜47wt%の範囲で濃度調整)
(2)エッチングの仕方
・エッチング方法・・・・浸漬法
・エッチング面・・・・両面
・エッチング時間・・・・20秒〜1分間
・試料403を薬液中で揺動(搖動周期:1.5秒/1往復)
(3)エッチングレイトの測定
・測定方法・・・・レーザー厚み測定器(精度:1μm)
・エッチング前後のウェハ厚みの差の1/2
結果を図5に示す。図5から、エッチング薬液の濃度が高くなるとエッチングレイトの温度依存性が高くなることが判る。
図6には、本発明の実施の際に使用されるエッチング装置の好適な例の一つを説明するための模式的説明図が示される。
図6に示すエッチング装置600は、3つのサブシステムで構成されている。第一と第二のサブシステムは、フッ硝酸薬液を供給するシステムで、薬液供給サブシステム601は、高ERフッ硝酸薬液の供給用であり、薬液供給サブシステム602は、低ERフッ硝酸薬液の供給用である。
薬液供給サブシステム601は、薬液の貯留用のタンク604と薬液吐出用のノズル605を備えており、薬液の貯留用のタンク604と薬液吐出用のノズル605は、薬液供給ライン606で連通されている。薬液供給ライン606の途中には、ポンプ607および冷却手段608が設けられてある。
タンク604内には、薬液610を所定の温度に加熱するためのヒーター611が備え付けてある。ポンプ607は、薬液供給ライン606を通じて薬液をノズル605に所定の圧力で供給するためのものであり、ノズル605から吐出される薬液の吐出圧、単位時間当たりの吐出量も調節できるようになっている。勿論、単位時間当たりの吐出量はバルブ609の開閉量を調節することによっても所望通りの薬液量が吐出されるように調整できる。
冷却手段608は、ノズル605に供給される薬液を瞬時に冷却できる瞬間式冷却手段であり、それまで供給していた高温の薬液を瞬時に冷却して低温の薬液に変えてノズル605から供給できるようになっている。冷却手段608としては、図2で説明した冷媒を使用する手段も本発明に於いては、好適に採用される。その他、冷風ファン、冷却ポンプ、ペルチェ素子なども使用されて良い。
薬液供給サブシステム602は、高ERフッ硝酸610の代わりに低ERフッ硝酸618を供給する以外は、薬液供給サブシステム601と同様の手段と機能を備えている。
因みに、薬液供給サブシステム602は、薬液供給サブシステム601と同様に、タンク612、ノズル613、ポンプ615、薬液供給ライン614、冷却手段616、バルブ617、ヒーター619を備えており、タンク612には、低ERフッ硝酸618が貯留されている。
洗浄サブシステム603は、必要に応じて、半導体物品の被エッチング面を超純水で洗浄する場合に用いられる。洗浄サブシステム603は、少なくともノズル620、洗浄液供給ライン621、バルブ2で構成される。
[好適な実施態様例]
図7に、本発明を実施する際に使用されるエッチングシステムの好適な実施態様例が示される。
図7に示すエッチングシステム700は、サブシステム701とエッチング装置本体702から構成されている。
サブシステム701は、中央制御装置703とレーザーセンサープローブ704を備えている。サブシステム701では、レーザーセンサープローブ704によりエッチング状況が常時計測されて、そのデータがデータ転送ライン705により中央制御装置703に転送される。この転送データに基づいて中央制御装置703から発せられる制御信号が、制御信号転送ライン716により転送されて、ノズル706aに付設してある薬液吐出制御手段(不図示)をコントロールする。ノズル706aから吐出される薬液は、その温度と吐出量の何れか一方又は両者が自動的にコントロールされる。また、薬液の切り替えのタイミングも、前記制御信号に従ってコントロールされる。
装置本体702は、エッチング薬液供給用のノズル706a、加熱用液体を吐出するノズル706b、冷却用液体を吐出する2本のノズル706c、706d、エッチング処理を受けるSi基体701を支持する3つの支持手段707a、707b、707c、冷却液体収容用のタンク708、冷却液体供給用の供給ライン709、加熱液体を収容するためのタンク710、加熱液体供給用の供給ライン711、瞬時式加熱手段712、を備えている。
制御信号転送用の転送ライン713,714,715は、それぞれ制御対象に接続されている。転送ライン713は、制御対象であるタンク710内の液体を所定の加熱液温に保持するための信号を転送する。また、転送ライン714により転送される信号により、瞬時式加熱手段712がコントロールされる。このコントロールにより、供給ライン711により供給される加熱液体の温度を、レーザーセンサープローブ704の計測データに基づいて瞬時にコントロールすることができ、基体701の被エッチング面の温度をエッチング処理中、位置依存性なく保持できる。転送ライン715により転送される制御信号により、タンク708内にある冷却液体の温度が瞬時に所定温度にコントロールされる。
[実施例]
エッチングシステム700により、下記の条件でエッチング処理を行った。
エッチング処理条件は、以下の通りである。
・被エッチング試料・・・・p型Siウェハ(基体)
・エッチング薬液・・・・HF/30%:HNO/28%のフッ硝酸
・薬液ノズル位置と薬液供給・・・・中心軸上に配置、垂直落下供給
・薬液供給量・・・・5L/min
・基体回転数・・・・800rpm
・制御温度・・・・反応温度が85℃になるように制御
・試験時間・・・・45sec
エッチング終了後、UPW(超純水)により、5L/minで10sec間、リンスした。リンス終了後、レーザーセンサープローブによりウェハの残り厚みを測定した。その結果もっともエッチングされた箇所の残り厚みがSiO層まで残り約2μmだった。
その後以下の条件でエッチングをした。
・被エッチング試料・・・・p型Siウェハ(基体)
・エッチング薬液・・・・HF/15%:HNO/43.8%のフッ硝酸
・薬液ノズル位置と薬液供給・・・・中心軸上に配置、垂直落下供給
・薬液供給量・・・・3L/min
・基体回転数・・・・800rpm
・制御温度・・・・反応温度が30℃になるように制御
・試験時間・・・・30sec
エッチング終了後、UPW(超純水)により、5L/minで10sec間、リンスした。エッチング表面を観察したところ、SiO層の表面が極めて広範囲まで(基体外周付近まで)露出しており、SiO層には、SiOの完全除去部も全くなく且つSi残部も全く存在していなかった。このことから本発明の効果が確認できた。
[変形例]
図8には、図2に示すエッチング装置の変形例が示される。エッチング装置800は、図2の装置のノズル203の代わりにノズルバー801を設けた以外は、図2の装置と本質的に同じである。ノズルバー801には、5個の吐出口(802a〜802e)が設けてあり、各吐出口からは、所望の濃度・温度を有する薬液(803a〜803e)が吐出されるようになっている。
吐出口802は、基体201の直径方向に沿って横一列に配列されている。本発明に於いては、吐出口の配列は、この配列に必ずしも限定されるものではなく、複数配列、千鳥配列など目的に応じて適宜設計される。また、吐出口の配列ピッチも等間隔、不等間隔、拡散間隔等目的に合わせて最適設計がなされる。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
100、201 Si基体
101 Siウェハ基板
102 SiO
103 Si層
104 SiO層表面
105 SiO層露出表面
106 Si残部
107 Si層表面
200 エッチング装置
202 支持手段
203、204 ノズル
205 吐出薬液
206 冷媒
401 基体
402 ノズル
600 エッチング装置
601、602 薬液供給サブシステム
603 洗浄液供給サブシステム
604、612 タンク
605、613、620 ノズル
606、614 薬液供給ライン
607、615 ポンプ
608、616 冷却手段
609、617、622 バルブ
610、618 薬液
611、619 ヒーター
621 洗浄液供給ライン
700 本発明に係るエッチングシステム
701 サブシステム
702 装置本体
703 中央制御装置
704 サーモカメラ
705 データ転送ライン
706 ノズル
707 支持手段
708、710 タンク
709 冷却液供給ライン
711 加熱液供給ライン
712 瞬時式加熱手段
713、714、715、716 制御信号転送ライン

Claims (5)

  1. 基体上に、SiO層と、自由表面を有し該SiO層上に直接積層したSi層、とを有する半導体物品を用意し、前記自由表面側からエッチング液を供給しながら前記Si層をエッチングする工程を含む半導体物品のエッチング方法において、
    前記エッチング液として濃度の高いフッ硝酸を使用してエッチングを行うとともに前記Si層直下の前記SiO層の表面の少なくとも一部が露出する直前若しくは直後に前記フッ硝酸よりも濃度の低いフッ硝酸に切り替えてエッチング処理を進めることを特徴とする半導体物品のエッチング方法。
  2. 前記エッチング処理中に、前記表面の複数の所定位置の温度を計測し、その計測値に応じて前記表面を加熱若しくは冷却する請求項1に記載の半導体物品のエッチング方法。
  3. 基体上に、SiO層と、自由表面を有し該SiO層上に直接積層したSi層、とを有する半導体物品の前記Si層表面にフッ硝酸液を供給しながらエッチング処理するエッチング方法において、化学組成が、
    HF(a) HNO(b) HO(c)
    (ここで、a、b及びcは、濃度を表す数値であり、その単位はwt%である。a+b+c=100、a+b≧50)
    である第一のフッ硝酸を使用して前記Si基体の表面にエッチング処理を、前記SiO層の表面の少なくとも一部が露出する直前若しくは直後まで施す第一の過程、該第一の過程に順を追って、前記第一のフッ硝酸よりも濃度の低い第二のフッ硝酸を使用してエッチング処理を進める第二の過程、を備えたことを特徴とする半導体物品のエッチング方法。
  4. 前記エッチング処理中に、前記Si層の被エッチング表面の複数の所定位置の温度を計測し、その計測値に応じて前記表面を加熱若しくは冷却することを特徴とする請求項3に記載の半導体物品のエッチング方法。
  5. 基体上に、SiO層と、自由表面を有し該SiO層上に直接積層したSi層、とを有する半導体物品の前記Si層の表面にエッチング液を供給しながらエッチング処理する際にエッチングに発熱反応を伴うエッチング方法において、エッチング処理中に、前記表面の複数の所定位置の温度を計測し、その計測値に応じて前記表面を加熱若しくは冷却するとともに、前記SiO層の表面の少なくとも一部が露出する直前若しくは直後に濃度の高いエッチング薬液から濃度の低いエッチング薬液に切り替えることを特徴とする半導体物品のエッチング方法。
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